JP2015183702A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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大樹 川上
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Abstract

【課題】オイルポンプの吐出量が増加の途上にある領域でトルク制限を実施した場合の動力性能を向上させる。
【解決手段】エンジン1からの入力トルクで駆動されるオイルポンプ4と、オイルポンプ4の吐出量に応じて決まる締結圧で締結されるクラッチと、を備える車両用の自動変速機の制御装置であって、入力トルクの制限開始が決定されると、自動変速機2の入力トルクの上限値を設定するトルク制限手段201を備え、トルク制限手段201は、入力トルクが所定値未満である入力トルクの増加時に、入力トルクの制限開始が決定されると、入力トルクの上限値を、制限開始が決定された時点のクラッチ許容トルクよりも大きい値に設定して、入力トルクの増加を許容すると共に、以降、増加した入力トルクが所定値になるまで、上限値を所定時間毎に所定量ずつ段階的に増加させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動変速機の制御装置に関する。
車両用の自動変速機では、エンジンから入力される回転駆動力の伝達経路上に、クラッチが設けられている。
このクラッチでは、駆動側(エンジン側)の摩擦板と、被駆動側の摩擦板とが、同軸上で相対回転可能に設けられており、これら駆動側の摩擦板と被駆動側の摩擦板を、油圧駆動されるピストンで回転軸方向に押圧すると、駆動側と被駆動側の摩擦板が相対回転不能に締結されて、クラッチの上流側と下流側との間で動力伝達が行われるようになっている。
ここで、駆動側と被駆動側の摩擦板を相対回転不能に締結しているときに、エンジンから自動変速機に入力されるトルク(入力トルク)が、駆動側の摩擦板と被駆動側の摩擦板とを相対回転不能に締結した状態を維持できる上限のトルク(クラッチ許容トルク)よりも大きくなると、駆動側の摩擦板と被駆動側の摩擦板とが互いに接触した状態で相対回転するスリップ状態になる。
かかる状態が長く続くと、駆動側の摩擦板と被駆動側の摩擦板が、スリップに起因する発熱により劣化して、耐久性が低下してしまう。
そのため、従来の自動変速機の制御装置では、締結していた駆動側と被駆動側の摩擦板がスリップ状態となった場合に所定の条件が満たされると、エンジン側から自動変速機に入力されるトルクを低下させるトルク制限を行って、エンジン側から入力されるトルクがクラッチ許容トルクよりも小さくなるようにすることで、駆動側の摩擦板と被駆動側の摩擦板を、スリップ状態から締結状態に戻すようにしている(例えば、特許文献1)。
特開2005−080308号公報
ここで、摩擦板を押圧するピストンの作動油圧を、エンジン駆動されるオイルポンプの吐出圧から調整する自動変速機の場合、エンジンの始動直後の入力トルクがゼロ(=0)に近い領域では、オイルポンプの吐出量が増加の途上にあって、オイルポンプの吐出圧が小さいために、クラッチ許容トルクが小さくなる。
そのため、エンジンの始動直後では、運転者の加速要求によりエンジンからの入力トルクが上昇しているにも拘わらず、オイルポンプの吐出圧が上昇の途上にあるために、入力トルクがクラッチ許容トルクを超えないようにするトルク制限が実施されることがある。
かかる場合、トルク制限の実施により、自動変速機への入力トルクが低下することになるが、この入力トルクの低下は、エンジンからの入力回転の低下を引き起こすと共に、オイルポンプの吐出圧の低下と、ピストンの作動油圧の低下を引き起こすので、クラッチ許容トルクがさらに低下してしまう。
そうすると、トルク制限を実施する制御装置は、駆動側と被駆動側の摩擦板がスリップ状態となることを防止するために、自動変速機への入力トルクをさらに低下させることになり、この入力トルクの低下は、クラッチ許容トルクのさらなる低下を招いてしまう。
このように、トルク制限が実施される自動変速機では、エンジンの始動直後のように、オイルポンプの吐出量が増加の途上にある領域でオイルポンプを駆動しているときにトルク制限が実施されると、自動変速機への入力トルクが、次々とより低い値に制限される。そして、この入力トルクのより低い値への制限は、自動変速機を搭載した車両の走行状態によっては、車両の駆動力を低下させて、運転者が望む動力性能が発揮されなくなる場合がある。
そこで、オイルポンプの吐出量が増加の途上にある領域でトルク制限を実施した場合の動力性能を向上させることが求められている。
本発明は、
駆動源からの入力回転で駆動されるオイルポンプと、
前記オイルポンプの吐出量に応じて決まる締結圧で締結されるクラッチと、を備える車両用の自動変速機の制御装置であって、
自動変速機に入力される入力トルクの指令値を、前記駆動源の制御装置に出力する指令値出力手段と、
前記駆動源からの入力トルクが、前記クラッチ許容トルクに応じて決まる閾値トルクまで増加すると、前記入力トルクの上限値を設定して入力トルクを規制すると共に、前記設定した上限値を前記指令値とする入力トルク制限手段と、を備え、
前記入力トルク制限手段は、
締結されたクラッチをスリップさせずに保持できるクラッチ許容トルクを算出するクラッチ許容トルク算出部と、
前記入力トルクが前記閾値トルクまで増加すると、前記入力トルクの制限開始を決定する開始決定部と、
入力トルクの制限開始が決定されると、前記制限開始が決定された時点の前記クラッチ許容トルクに基づいて、前記入力トルクの上限値を設定する上限値設定部と、を備え、
前記上限値設定部は、
前記入力回転が所定値未満である前記入力回転の増加時に、前記制限開始が決定されると、トルク緩和による制限を実施し、
前記トルク緩和による制限では、前記上限値を、前記制限開始が決定された時点の前記クラッチ許容トルクよりも大きい値に設定して、前記入力トルクの増加を許容すると共に、以降、増加した前記入力回転が前記所定値になるまで、前記上限値を所定時間毎に前記所定量ずつ段階的に増加させる構成の自動変速機の制御装置とした。
本発明によれば、入力回転が所定値未満である入力回転の増加時に、入力トルクの制限が開始されると、以降、入力回転が所定値未満である間は、入力トルクの上限値が段階的に増加して、入力トルクの増加が許容される。
入力回転が所定値未満であるときには、オイルポンプの吐出量が増加の途上にあり、オイルポンプの吐出量は入力回転の変化に追従して変化するので、増加した入力トルクが閾値トルクになったのちも入力トルクの増加を許容すると、クラッチがスリップするものの、入力回転の増加に追従するオイルポンプの吐出量の増加によりクラッチ許容トルクが増加するので、クラッチのスリップは短時間で終了する。
よって、入力回転が所定値未満であって、オイルポンプの吐出量が入力トルクの変化に追従して変化する間、入力トルクの上限値を所定時間毎に所定量ずつ段階的に増加させると、クラッチの短時間のスリップを繰り返しながら、入力トルクを増加させることができる。
これにより、入力トルクが閾値トルクまで増大すると、以降、入力トルクがクラッチ許容トルクよりも小さい値に制限される従来の自動変速機のように、車両の駆動力が低下して、運転者が望む動力性能が発揮されなくなることがない。
よって、オイルポンプの吐出量が増加の途上にある領域でトルク制限を実施した場合の動力性能を向上させることができる。
実施の形態にかかる無段変速機を搭載した車両の概略構成図である。 CVTコントロールユニットの構成を説明する図である。 トルク制限を説明する図である。 オイルポンプの吐出量と入力トルクとの関係(油量収支)を説明する図である。 トルク緩和によるトルク制限を説明する図である。 目標トルク勾配マップを説明する図である。 トルク緩和量マップを説明する図である。 トルク制限手段で実行される処理のフローチャートである。 トルク制限手段で実行される処理のフローチャートである。 トルク緩和によるトルク制限の例を説明するタイムチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態にかかる制御装置(CVTコントロールユニット20)を適用した自動変速機2(無段変速機)を搭載した車両の概略構成図である。
自動変速機2は、トルクコンバータ3と、オイルポンプ4と、前後進切替機構5と、バリエータ6と、CVTコントロールユニット20と、を有している。
トルクコンバータ3は、エンジン1の出力軸1aに連結されるポンプインペラ3aと、前後進切替機構5の入力軸5dに連結されるタービンランナ3bと、ステータ3cと、ロックアップクラッチ3dとを備えており、ポンプインペラ3aに入力されたエンジン1の出力回転(入力トルク)が、トルクコンバータ3内の流体を介して、タービンランナ3b側に伝達されるようになっている。
また、ロックアップクラッチ3dが完全に締結されたロックアップ状態では、エンジン1の出力軸1aと前後進切替機構5の入力軸5dとがロックアップクラッチ3dを介して直結されて、エンジン1の出力回転が、前後進切替機構5にそのまま入力されるようになっている。
オイルポンプ4は、エンジン駆動されるギアポンプであり、タービンランナ3bと一体に回転するインナギヤ4aと、インナギヤ4aの外周を囲むアウタギア4bとが、オイルポンプカバー4c内に収容された基本構成を有している。
インナギヤ4aは、トルクコンバータ3に入力されるエンジン1の出力回転(入力トルク)で回転駆動されるようになっており、インナギヤ4aが回転すると、図示しないオイルパン内のオイルが、オイルポンプ4により吸引・加圧されたのち、油圧制御回路30に供給されるようになっている。
前後進切替機構5は、ダブルピニオン遊星歯車組5aを主たる構成要素とし、そのサンギヤはトルクコンバータ3のタービンランナ3bに結合され、キャリアはバリエータ6のプライマリプーリ61に結合されている。
前後進切替機構5は、ダブルピニオン遊星歯車組5aのサンギヤとキャリアとの間を直結する前進クラッチ5bと、リングギヤを固定する後進ブレーキ5cと、をさらに備えており、前進クラッチ5bの締結時には、トルクコンバータ3を介して入力されるエンジン1の出力回転が、そのままプライマリプーリ61に伝達され、後進ブレーキ5cの締結時には、エンジン1の出力回転が逆転されて、プライマリプーリ61に伝達されるようになっている。
前進クラッチ5bと後進ブレーキ5cは、入力側(エンジン1側)の摩擦板と出力側(バリエータ6側)の摩擦板を、回転軸方向に交互に配置した基本構成を有しており、これら複数の摩擦板を回転軸方向に押圧するピストン5e、5fを備えている。
実施の形態では、油圧制御回路30が、オイルポンプ4の吐出圧からピストン5e、5fのクラッチ圧P(締結圧)を調整するようになっており、車両の前進走行時には、前進クラッチ5bがピストン5fにより押されて締結されて、トルクコンバータ3を介して入力されるエンジン1の出力回転が、そのままプライマリプーリ61に伝達されるようになっている。
また、車両の後退走行時には、後進ブレーキ5cがピストン5eにより押されて締結されて、エンジン1の出力回転が逆転されたのちに、プライマリプーリ61に伝達されるようになっている。
バリエータ6は、一対のプライマリプーリ61およびセカンダリプーリ62の間にベルト65を巻き掛けて構成されており、プライマリプーリ61とセカンダリプーリ62におけるベルト65の巻き掛け半径(接触半径)を変化させることで、前後進切替機構5側から入力されるエンジン1の出力回転を所望の変速比で変速するようになっている。
そして、このバリエータ6で変速されたエンジン1の出力回転は、出力軸7、歯車組8、ディファレンシャル9を介して、駆動輪10に伝達されるようになっている。
バリエータ6では、プライマリプーリ61およびセカンダリプーリ62の円錐板のうちの一方が、固定円錐板61a、62aとされ、他方が、軸線方向へ変位可能な可動円錐板61b、62bとされている。
可動円錐板61b、62bは、プライマリプーリ室61cおよびセカンダリプーリ室62cに供給されるプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecにより、固定円錐板61a、62aに向けて付勢されており、固定円錐板61a、62aとの間に把持したベルト65を介して、プライマリプーリ61に入力された回転が、セカンダリプーリ62側に伝達されるようになっている。
プライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecの出力は、前進クラッチ5b、後進ブレーキ5cの締結油圧(作動油圧)を調整する油圧制御回路30において制御されるようになっており、この油圧制御回路30からの出力は、CVTコントロールユニット20からの信号に応答して制御されるようになっている。
CVTコントロールユニット20は、プライマリプーリ61の回転数Npriを検出するプライマリプーリ回転センサ26からの信号と、セカンダリプーリ62の回転数Nsecを検出するセカンダリプーリ回転センサ27からの信号が入力される。
さらに、アクセルペダル踏み込み量を検出するアクセル操作量センサ23からの信号と、車速センサ24からの出力信号度、加速度センサ25からの出力信号と、プライマリプーリ61の入力軸61dに入力されるトルク(伝達トルク)を検出するトルクセンサ28からの信号、前後進切替機構5に供給される油圧を検出する油圧センサ21からの出力信号など、が入力される。
また、エンジン1を制御するエンジンコントロールユニット(ECU11)から、エンジン回転数Neやエンジンからの入力トルクTe、そして燃料噴時間などを示す信号が入力される。
図2は、CVTコントロールユニット20の構成を説明する図であり、トルク制限手段201を機能ブロック図で示した図である。
図3は、トルク制限を説明する図であって、(a)は、トルクダウンによるトルク制限が開始されたのちの、クラッチ許容トルクTcと入力トルクTeとエンジン回転数Neとの関係を示す図であり、(b)は、トルク緩和によるトルク制限が開始されたのちの、クラッチ許容トルクTcと入力トルクTeとエンジン回転数Neとの関係を示す図である。
図4は、オイルポンプの油量収支を説明する図であって、入力回転Neと、オイルポンプ4の吐出量との関係を説明する図である。
図5は、トルク緩和時に設定される入力トルクの上限値Tmのトルク緩和勾配と、トルク緩和量αと、緩和時間tとの関係と、トルク緩和時のクラッチ温度の変化を説明する図である。
図1に示すように、CVTコントロールユニット20は、エンジン1から自動変速機2に入力される入力トルクの上限値を設定するトルク制限手段201と、エンジン1から自動変速機2に入力される入力トルクの指令値を設定する指令値出力手段208と、記憶手段209と、を有している。
図2に示すように、トルク制限手段201は、図示しないバスなどを介して、指令値出力手段208や記憶手段209と接続されており、トルク制限手段201は、クラッチ許容トルク算出部202と、開始決定部203と、制限内容決定部204と、トルク緩和勾配設定部205と、上限値設定部206と、を有している。
クラッチ許容トルク算出部202は、締結させたクラッチ(ブレーキ)の摩擦板をスリップさせずに保持できる上限の閾値トルク(クラッチ許容トルクTc)を算出する。
例えば、車両が前進走行する場合には、前進クラッチ5b(図1参照)の摩擦板をスリップさせずに保持できるクラッチ許容トルクTcが算出され、後進走行する場合には、後進ブレーキ5cの摩擦板をスリップさせずに保持できるクラッチ許容トルクTcが算出される。
実施の形態では、クラッチ許容トルク算出部202は、下記式(1)を用いて、クラッチ許容トルクTcを算出する。
Tc=μND(AP−F)/ic (1)
ここで、μは、クラッチを構成する摩擦板の静摩擦係数であり、Nは、摩擦板の枚数であり、Dは、摩擦板の有効径であり、Aは、摩擦板を押圧するピストンの受圧面積であり、Pは、クラッチ圧(締結圧)であり、Fは、ピストンを初期位置に復帰させる方向に付勢するスプリングの荷重であり、icは、分担比である。
クラッチ圧Pは、前後進切替機構5に供給される油圧を検出する油圧センサ21の出力信号により特定され、他のパラメータの値(μ、N、D、F、ic)は、記憶手段209に記憶された基礎データを参照して取得される。
開始決定部203は、入力トルクTeと、クラッチ許容トルクTcと、に基づいて、トルク制限(入力トルクの制限)の開始の要否を判定する。
具体的には、開始決定部203は、エンジン1からの入力トルクTeと、算出されたクラッチ許容トルクTcとの差が所定値β未満である場合(β>Tc−Te)に、トルク制限の開始を決定する(図3の(a)参照)。
ここで、増加している入力トルクTeがクラッチ許容トルクTcを超えると、クラッチがスリップ状態になる。
実施の形態では、入力トルクの上限値Tmをクラッチ許容トルクTc以下の値に抑えるトルクダウン(図3の(a)参照)と、入力トルクの上限値Tmをクラッチ許容トルクTcよりも大きい値に緩和するトルク緩和(図3の(b)参照)が、トルク制限の実施態様として用意されている。
そのため、トルクダウンによるトルク制限が開始されたあとに、入力トルクがクラッチ許容トルクTcを超えて、クラッチがスリップ状態とならないようにするために、増加している入力トルクTeがクラッチ許容トルクTcよりも所定量β小さい値になった時点で、トルク制限の開始を決定することで、トルクダウンによるトルク制限が間に合わなくなって、入力トルクTeがクラッチ許容トルクTcを超えてしまうことがないようにしている。
なお、入力トルクTeは、エンジン1のエンジンコントロールユニット(ECU11)の出力信号から特定される。また、所定値βは、CVTコントロールユニット20の記憶手段209から取得される。
制限内容決定部204は、入力トルクTeと、クラッチ許容トルクTcと、クラッチ温度Tempと、に基づいて、トルクダウンによるトルク制限と、トルク緩和によるトルク制限のうちの一方を、トルク制限の実施態様として決定する。
ここで、実施の形態にかかる自動変速機2では、クラッチの締結圧を、油圧制御回路30が、エンジン駆動されるオイルポンプ4の吐出圧から調整するようになっている。
そのため、図4に示すように、エンジン1からの入力回転Neがゼロ(=0)に近い領域では、オイルポンプ4の吐出量が少ないために、調整されるクラッチの締結圧が低くなってしまう。
ここで、オイルポンプ4の吐出量は、エンジン1からの入力回転Neが所定値Th1未満の領域(Ne<Th1)では、入力回転Neの増減に連動して大きく変化し、入力回転Neが所定値Th1以上の領域(Ne≧Th1)では、入力回転Neの増減の影響を大きく受けずにゆっくりと変化する。
実施の形態では、入力回転Neが所定値Th1未満の領域(Ne<Th1)では、入力回転Neの増加に対するオイルポンプ4の吐出量の増加率が大きいことに着目して、入力回転Neの大きさが所定値Th1未満(Ne<Th1)である場合であって、締結しているクラッチのクラッチ温度Tempが所定温度Tx以下である場合には、入力トルクの上限値Tmを、その時点のクラッチ許容トルクTcから段階的に大きくするトルク緩和を実施して、クラッチの一時的なスリップを許容しつつ入力トルクを段階的に増加させることで、自動変速機2を搭載する車両の駆動性能を確保するようにしている。
ここで、入力トルクの上限値Tmを段階的に大きくする場合、上限値を大きくした直後は、入力トルクTeがクラッチ許容トルクTcよりも大きくなるので、クラッチがスリップ状態になる。
しかし、入力回転Neの大きさが所定値Th1未満の領域では、入力回転Neが大きくなると、入力回転Neの増大に追従してオイルポンプの回転が増すことで、オイルポンプ4の吐出量が増加すると共に、この吐出量の増加に追従してクラッチの締結圧が大きくなるので、スリップ状態になったクラッチは、短時間で締結状態に戻ることになる。
ここで、入力トルクの上限値Tmを段階的に大きくするトルク緩和を実施すると、クラッチの一時的なスリップに起因してクラッチの温度Tempが上昇する(図5参照)。
実施の形態では、上昇したクラッチの温度が、締結状態に戻ったクラッチが再びスリップ状態になるまでの間で十分に下がらない虞がある場合には、トルク緩和によるトルク制限を行わないようにしている。
そして、締結状態に戻ったクラッチが再びスリップ状態になるまでの間で、上昇したクラッチの温度が十分に下がるか否かを判定するためのパラメータとして、トルク制限の開始が決定された時点でのクラッチ温度Tempを採用している。
そのため、実施の形態では、トルク制限の開始が決定された時点で、入力回転Neが所定値Th1未満(Ne<Th1)であっても、締結しているクラッチのクラッチ温度Tempが、所定温度Txよりも高い場合には、トルク制限の実施態様として、トルクダウンを決定するようにしている。
また、トルク制限の開始が決定された時点で、入力回転Neが所定値Th1以上(Ne≧Th1)である場合にも、トルク制限の実施態様として、トルクダウンを決定するようにしている。
なお、トルク制限の実施態様として、トルクダウンが決定された場合には、入力トルクの上限値Tmが、トルク制限の開始が決定された時点のクラッチ許容トルクTcよりも小さい値に制限される。これにより、自動変速機2への入力トルクが、クラッチ許容トルクTcよりも小さい値に制限されるので、締結されたクラッチは、スリップ状態となることなく締結状態で保持されるようになっている。
なお、このクラッチ温度Tempは、オイルパン内に貯留されたオイル(作動油)の温度を検出する温度センサ(図示せず)などの出力信号に基づいて推定される。
トルク緩和勾配設定部205は、トルク緩和を実施する際に、入力トルクの上限値Tmの目標とする増加率(目標トルク勾配)を設定し、設定した目標トルク勾配に基づいて、トルク緩和量αと、緩和時間tとを決定する(図5参照)。
実施の形態では、車両の走行状態に応じて決まる車両負荷Lと、車速Vとアクセル開度Tvoとの乗算値Hとを、目標トルク勾配を設定するためのパラメータとしたマップデータ(トルク緩和勾配マップMP1:図6参照)が、CVTコントロールユニット20の記憶手段209に記憶されている。トルク緩和勾配設定部205は、トルク緩和の実施が決定された時点での車両負荷Lと、車速Vと、アクセル開度Tvoと、に基づいてトルク緩和勾配マップMP1を参照して、目標トルク勾配を決定する。
なお、トルク緩和勾配マップMP1では、車両負荷Lと乗算値Hの両方が小さいときに、目標トルク勾配が最も小さくなり、車両負荷Lと乗算値Hの両方が大きいときに、目標トルク勾配が最も大きくなるように設定されている。
さらに、トルク緩和勾配設定部205は、設定した目標トルク勾配と、車両負荷Lと、車速Vとアクセル開度Tvoとの乗算値Hとに基づいて、入力トルクの上限値Tmの緩和量(トルク緩和量α)を設定する。
実施の形態では、車両の走行状態に応じて決まる車両負荷Lと、車速Vとアクセル開度Tvoとの乗算値Hとを、トルク緩和量αを設定するためのパラメータとしたマップデータ(緩和量マップMP2:図7参照)が、記憶手段209に記憶されており、この緩和量マップMP2は、目標トルク勾配毎に用意されている。
そのため、トルク緩和勾配設定部205は、記憶手段209に記憶されている緩和量マップMP2の中から、トルク緩和勾配設定部205で設定された目標トルク勾配について用意された緩和量マップMP2を参照して、トルク緩和の実施が決定された時点での車両負荷Lと、車速Vと、アクセル開度Tvoとに基づいて、トルク緩和量αを決定する。
さらにトルク緩和勾配設定部205は、増加させた指令値の保持時間(緩和時間t)を、目標トルク勾配と、トルク緩和量αとに基づいて設定する。
図5に示すように、実施の形態では、入力トルクの上限値Tmを経時的に増加させる際の変化率が目標トルク勾配により規定されている。そのため、トルク緩和量αが設定されると、設定されたトルク緩和量αと目標トルク勾配とにより、設定できる最長の緩和時間tが決まるようになっている。
ここで、トルク緩和量αが大きくなると、クラッチ許容トルクTcと、自動変速機2に実際に入力される入力トルクTeとの差が大きくなるので、クラッチがスリップ状態になる時間が長くなる。そうすると、スリップに起因するクラッチ温度の上昇幅が大きくなるので、締結状態に戻ったクラッチが再びスリップ状態になるまでの間でクラッチ温度を下げるために、クラッチを締結状態で保持する時間(緩和時間t)を長くする必要が生じる。
実施の形態では、トルク緩和量αの上限値α_maxと、緩和時間tの最短時間t_minと、が予め用意されており、これら上限値α_maxと最短時間t_minとが、車両の走行状態などに応じて決まるようになっている。
そのため、トルク緩和勾配設定部205は、設定したトルク緩和量αが上限値α_max以上になった場合や、設定した緩和時間tが、最短の最短時間t_minよりも短くなった場合には、設定した目標トルク勾配を、より小さい変化率の目標トルク勾配に変更したうえで、トルク緩和量αと緩和時間tを再設定するようになっている。
そして、上限値設定部206は、トルク緩和によるトルク制限の開始が決定された場合には、トルク緩和勾配設定部205で設定されたトルク緩和量αと、緩和時間tとに基づいて、その時点での入力トルクの上限値を設定し、設定した上限値を指令値出力手段208に出力するようになっている。
一方、上限値設定部206は、トルクダウンによるトルク制限の開始が決定された場合には、トルク制限の開始が決定された時点のクラッチ許容トルクTcよりも小さい値を、入力トルクの上限値として設定し、設定した上限値を、指令値出力手段208に出力する。
指令値出力手段208は、トルク制限手段201で設定された入力トルクの上限値Tmを、エンジン1から自動変速機2に入力されるトルクの指令値としてエンジン1のコントロールユニット(ECU11)に出力する。
これにより、エンジン1が指令値に基づいて制御されて、自動変速機2に入力される入力トルクが、上限値で規定された値に制限される。
以下、トルク制限手段201で実行される処理を、図8および図9のフローチャートと、図2および図10を参照して説明する。
始めに、ステップS101においてクラッチ許容トルク算出部202が、クラッチ許容トルクTcを算出する。
続くステップS102において開始決定部203が、現時点における自動変速機2への入力トルクTeと、算出されたクラッチ許容トルクTcとに基づいて、入力トルクの制限(トルク制限)の開始の要否を判定する。
具体的には、開始決定部203は、入力トルクTeとクラッチ許容トルクTcとの差が所定値β未満である場合(β>Tc−Te)にトルク制限の開始を決定し、所定値β以上である場合には、トルク制限の開始を決定しない。
トルク制限の開始を決定しない場合(ステップS102、No)には、ステップS101の処理にリターンする。そのため、トルク制限の開始が決定されるまでの間は、ステップS101とステップS102の処理が繰り返し実施される。
ここで、図10に示すタイムチャートの場合、時刻t0において、入力トルクTeとクラッチ許容トルクTcとの差が所定値β未満(β>Tc−Te)になっているので、この時刻t0において、開始決定部203が、トルク制限の開始を決定する。
トルク制限の開始が決定された場合には(ステップS102、Yes)、制限内容決定部204が、ステップS103以降の処理を行って、トルク制限を、トルク緩和と、トルクダウンの何れの態様にて実施するのかを決定する。
具体的には、ステップS103において、制限内容決定部204は、トルク制限の開始が判定された時点の入力回転Neが、所定値未満(Ne<Th1)であるか否かを確認する。
入力回転Neが所定値未満(Ne<Th1)である場合には(ステップS103、Yes)、ステップS104において制限内容決定部204が、その時点でのクラッチ温度Tempを推定し、ステップS105において制限内容決定部204が、クラッチ温度Tempが、所定温度Tx以下であるか否かを確認する。
そして、クラッチ温度Tempが、所定温度Tx以下である場合には(ステップS105、Yes)、制限内容決定部204が、トルク緩和によるトルク制限の開始を決定する。
一方、クラッチ温度Tempが、所定温度Tx以下でない場合(ステップS105、No)、トルク制限の開始を決定した時点の入力回転Neが所定値未満(Ne<Th1)でない場合には(ステップS103、No)には、制限内容決定部204が、トルクダウンによるトルク制限の開始を決定する。
そして、トルク緩和によるトルク制限の開始が決定されると、トルク緩和勾配設定部205が、トルク緩和勾配と、トルク緩和量αと、緩和時間tと、を設定する。
以下、トルク緩和勾配設定部205での処理を説明する。
図9に示すように、ステップS201においてトルク緩和勾配設定部205は、トルク制限の開始が判定された時点での車両負荷Lと、車速Vと、アクセル開度Tvoと、に基づいてトルク緩和勾配マップMP1(図6)を参照して、目標トルク勾配を決定する。
続くステップS202においてトルク緩和勾配設定部205は、記憶手段209に記憶されている緩和量マップMP2の中から、トルク緩和勾配設定部205で設定された目標トルク勾配について用意された緩和量マップMP2を参照して、トルク制限の開始が決定された時点での車両負荷Lと、車速Vと、アクセル開度Tvoと、に基づいて、トルク緩和量αを決定する。
ステップS203においてトルク緩和勾配設定部205は、決定したトルク緩和量αと、現時点の車両の状態に応じて決まる上限値α_maxとを比較する。そして、トルク緩和量αが上限値α_max未満である場合には(ステップS203、Yes)、ステップS204においてトルク緩和勾配設定部205が、トルク緩和量αと目標トルク勾配とに基づいて、緩和時間tを設定する。
続くステップS205においてトルク緩和勾配設定部205は、設定した緩和時間tと、車両の走行状態とクラッチ温度Tempとに応じて決まる最短の緩和時間t_minとを比較する。そして、緩和時間tが、最短の緩和時間t_min以上である場合には、先に設定したトルク緩和量αと、緩和時間tとを、上限値設定部206に出力する。
なお、緩和時間tが最短の緩和時間t_min未満である場合(ステップS205、No)、トルク緩和量αが上限値α_max以上である場合(ステップS203、No)、ステップS201の処理にリターンして、先のステップS201の処理で決定した目標トルク勾配を、より小さい変化率の目標トルク勾配が決定されることになる。
このようにして、目標トルク勾配と、トルク緩和量αと、緩和時間tとが設定されると、上限値設定部206が、設定されたトルク緩和量αと緩和時間tとに基づいて、トルク緩和によるトルク制限の開始後の入力トルクの上限値Tmを設定する。
ここで、図10のタイムチャートの場合には、トルク制限の開始が決定された時刻t0以降、入力トルクの上限値Tmが、所定時間(緩和時間t)毎に所定量(トルク緩和量α)ずつ段階的に上昇するので、指令値出力手段208からECU11に出力される入力トルクの指令値もまた、時刻t0以降、クラッチ許容トルクTcよりも大きい値に段階的に上昇することになる。
そうすると、エンジン回転数Neが、この指令値の段階的な上昇に追従して上昇するので、自動変速機2に入力される入力トルクTeもまた、上昇することになる。
ここで、入力トルクの上限値Tmが段階的に大きくなると、上限値Tmが大きくなった直後は、入力トルクTeがクラッチ許容トルクTcよりも大きくなるので、クラッチがスリップ状態になる。
しかし、トルク緩和によるトルク制限が実施される領域(入力回転Neの大きさが所定値Th1未満の領域)では、入力トルクTeが大きくなると、入力トルクTeの増大に追従してオイルポンプ4の吐出量が増加すると共に、この吐出量の増加に追従してクラッチの締結圧が大きくなるので、スリップ状態になったクラッチは、短時間で締結状態に戻ることになる。
そして、入力トルクTeの上限値が段階的に大きくなると、クラッチがスリップと締結を繰り返すことになるので、クラッチ温度Tempは、図10に示すように、クラッチがスリップしている間の上昇と、クラッチが締結されている間の低下とを、交互に繰り返すことになる。
このように、入力回転Neが所定値Th1未満である間は、入力トルクの上限値Tmを段階的に大きくするトルク緩和によるトルク制限を実施して、クラッチの一時的なスリップを許容しつつ入力トルクTeを段階的に増加させることで、エンジン回転数が段階的に大きくなるので、自動変速機2を搭載する車両の駆動性能が確保されるようになっている。
そして入力回転Neが所定値Th1まで上昇すると(図10:時刻t1参照)、オイルポンプ4の吐出量(吐出圧)の増加が、最大圧Pmax付近で頭打ちになるので、この時刻t1の時点で、トルク緩和によるトルク制限の実施を終了して、通常のトルクダウンによるトルク制限の実施が行われることになる。
なお、通常のトルクダウンによるトルク制限では、図3の(a)に示すように、トルク制限が開始されると、入力トルクの上限値Tmが、その時点のクラッチ許容トルクTcよりも小さい値に制限されるので、指令値出力手段208からECU11に出力される入力トルクの指令値もまた、トルクダウンによりトルク制限が開始された時点のクラッチ許容トルクTcよりも大きい値に制限されることになる。
そうすると、トルクの指令値が経時的に低下して、エンジン回転数Neもまた、この指令値の低下に追従して低下するので、自動変速機2に入力される入力トルクTeが低下することになる。
よって、トルクダウンによるトルク制限が開始されたのちは、入力トルクTeがクラッチ許容トルクTcよりも小さい値に抑えられて、クラッチが締結状態で保持されることになる。
以上の通り、実施の形態では、エンジン1(駆動源)からの入力回転Neで駆動されるオイルポンプ4と、オイルポンプ4の吐出量に応じて決まる締結圧で締結されるクラッチ(前進クラッチ5b、後進ブレーキ5c)と、を備える車両用の自動変速機の制御装置(CVTコントロールユニット20)であって、
自動変速機に入力される入力トルクTeの指令値を、エンジン1の制御装置(ECU11)に出力する指令値出力手段208と、
エンジン1からの入力トルクTeが、クラッチ許容トルクTcに応じて決まる閾値トルクまで増加すると、入力トルクの上限値Tmを設定して入力トルクTeを規制すると共に、設定した上限値Tmを指令値とするトルク制限手段201(入力トルク制限手段)と、を備え、
トルク制限手段201は、
締結されたクラッチをスリップさせずに保持できるクラッチ許容トルクTcを算出するクラッチ許容トルク算出部202と、
入力トルクTeが閾値トルク(クラッチ許容トルクTc−β)まで増加すると、入力トルクTeの制限開始を決定する開始決定部203と、
入力トルクの制限開始が決定されると、制限開始が決定された時点のクラッチ許容トルクTcに基づいて、入力トルクの上限値Tmを設定する上限値設定部206と、を備え、
上限値設定部206は、
入力回転Neが所定値Th1未満である入力回転Neの増加時に、制限開始が決定されると、トルク緩和による入力トルクの制限を実施し、
トルク緩和による入力トルクの制限では、上限値Tmを、制限開始が決定された時点のクラッチ許容トルクTcよりも大きい値に設定して、入力トルクTeの増加を許容すると共に、以降、増加した入力回転Neが所定値Th1になるまで、上限値Tmを所定時間毎に所定量ずつ段階的に増加させる構成とした。
このように構成すると、入力回転Neが所定値Th1未満である入力回転Neの増加時に、入力トルクTeの制限が開始されると、以降、入力回転Neが所定値Th1未満である間は、入力トルクの上限値Tmが段階的に増加して、入力トルクTeの増加が許容される。
入力回転Neが所定値Th1未満であるときには、オイルポンプ4の吐出量が増加の途上にあり、オイルポンプ4の吐出量は入力回転Neの変化に追従して変化するので、増加した入力トルクTeが閾値トルクになったのちも入力トルクの増加を許容すると、クラッチがスリップするものの、入力回転Neの増加に追従するオイルポンプの吐出量の増加によりクラッチ許容トルクが増加するので、クラッチのスリップは短時間で終了する。
よって、入力回転Neが所定値未満であって、オイルポンプの吐出量が入力トルクの変化に追従して変化する間、入力トルクの上限値Tmを所定時間(監査時間t)毎に所定量(トルク緩和量α)ずつ段階的に増加させると、クラッチの短時間のスリップを繰り返しながら、入力トルクを増加させることができる。
よって、オイルポンプの吐出量が増加の途上にある領域でトルク制限を実施した場合における動力性能を向上させることができるので、運転者が望む動力性能が発揮されなくなることを好適に防止できる。
上限値設定部206は、制限開始が決定された時点のクラッチ温度Tempが、所定温度Tx以下である場合に、トルク緩和による制限を実施する構成とした。
入力トルクの上限値Tmを段階的に大きくするトルク緩和を実施すると、クラッチの一時的なスリップに起因してクラッチの温度Tempが上昇する(図5参照)。
クラッチ温度Tempの上昇は、クラッチの耐久性に影響を及ぼすので、耐久性に影響を及ぼさない上限の温度から、スリップによる温度上昇分を減じた温度を、トルク緩和の実施を判定するための閾値温度Txし、制限開始が決定された時点のクラッチ温度Tempが、閾値温度Tx以下である場合にトルク緩和による制限を実施することで、トルク緩和による制限時の発熱で、クラッチの耐久性が低下することを好適に防止できる。
トルク緩和による制限では、クラッチが入力トルクの上限値Tmが増加するたびに一時的にスリップ状態になり、
緩和時間tは、スリップ状態となったことで上昇したクラッチ温度が、スリップ状態になる前の温度まで低下するのに必要な長さに設定されている構成とした。
このように構成すると、トルク緩和による制限時に、クラッチの間欠的なスリップにより、クラッチの温度が上昇しても、クラッチが次にスリップ状態になるまでの間に、クラッチ温度が低下するので、間欠的なスリップによる発熱が蓄積されて、クラッチが高温状態になることを好適に防止でき、トルク緩和による制限時の発熱で、クラッチの耐久性が低下することを好適に防止できる。
前記した実施の形態では、エンジン1を駆動源として備える車両用の自動変速機の場合を例示したが、エンジンとモータの両方を駆動源として備えるハイブリット車両用の自動変速機に適用しても良い。
ハイブリット車両の場合には、エンジン停止させてモータの出力回転のみで車両を走行させるモードがあり、このモードから、エンジンの出力回転で車両を走行させるモードに切り替わる際には、オイルポンプの吐出量が増加の途上にある領域でトルク制限が実施されることがある。そのため、前記したトルク緩和によるトルク制限の実施を行うことで、発熱によるクラッチの耐久性の低下を抑えつつ、運転者が求める動力性能を発揮されることが可能となる。
さらに、前記した実施の形態では、自動変速機がベルト式の無断変速機である場合を例示したが、複数のクラッチの締結・解放の組合せにより複数の変速段を実現する自動変速機であっても良い。
前記した実施の形態では、車両の走行状態に応じて決まる車両負荷Lと、車速Vとアクセル開度Tvoとの乗算値Hとに基づいて、トルク緩和勾配マップMP1(図6)、緩和量マップMP2(図7)を参照して、目標トルク勾配と、トルク緩和量αを設定する場合を例示したが、CVTコントロールユニット20は、車両の走行状態を推定する推定手段を備えている場合には、車両の走行状態を加味したうえで、目標トルク勾配と、トルク緩和量αを設定するようにしても良い。
例えば、図6および図7に示すように、トルク緩和勾配マップMP1と緩和量マップMP2に、車両の走行状態(例えば、通常発進、市街地走行)などの領域を設定しておき、推定された車両の走行状態の領域の中から、車両負荷Lと、車速Vとアクセル開度Tvoとの乗算値Hに基づいて、目標トルク勾配と、トルク緩和量αを設定するようにしても良い。
このように構成すると、走行状態に応じて、目標トルク勾配(入力トルクの上限値Tmの変化率)と、トルク緩和量αをより好ましい値に設定して、トルク制限が実施された場合の動力性能を向上させることができるので、トルク制限を実施した場合でも、運転者が望む動力性能により近い動力性能を発揮させることができる。
さらに、前記した実施の形態では、記憶手段209に記憶されているトルク緩和量αの上限値α_maxと、緩和時間tの最短時間t_minとにより、トルク緩和勾配設定部205で設定したトルク緩和量αと、緩和時間tの適否を判定する場合を例示したが、トルク緩和によるトルク制限を実施した際の実際のクラッチ温度Tempに基づいて、トルク緩和量αの上限値α_maxと、緩和時間tの最短時間t_minとを補正するようにしても良い。
クラッチ温度Tempの変化には、自動変速機の機体差も影響するので、トルク緩和によるトルク制限を実施した際の実際のクラッチ温度Tempに基づいて、トルク緩和量αの上限値α_maxと、緩和時間tの最短時間t_minとを補正することで、トルク緩和によるトルク制限時の、トルク緩和量αと、緩和時間tとをより適切に設定できるようになる。
よって、発熱によるクラッチの耐久性の低下を抑えつつ、運転者が求める動力性能を発揮されることが可能となる。
さらに、前記した実施の形態では、トルク緩和量αを、車両負荷Lと、車速Vとアクセル開度Tvoとの乗算値Hとに基づいて、入力トルクの上限値Tmの緩和量(トルク緩和量α)を設定する場合を例示したが、トルク制限の開始が判定された時点でのクラッチ温度Tempと、クラッチの熱劣化を抑えることができる上限温度(耐熱温度)との差に基づいて、設定しても良い。例えば、上限温度との差が大きくなるほど、トルク緩和量αを大きくすることで、発熱によるクラッチの耐久性の低下を抑えつつ、運転者が求める動力性能を発揮されることが可能となる。
1 エンジン
2 自動変速機
3 トルクコンバータ
4 オイルポンプ
5 前後進切替機構
6 バリエータ
7 出力軸
8 歯車組
9 ディファレンシャル
10 駆動輪
11 エンジンコントロールユニット(ECU)
20 CVTコントロールユニット
21 油圧センサ
23 アクセル操作量センサ
24 車速センサ
25 加速度センサ
28 トルクセンサ
30 油圧制御回路
31 油圧センサ
61 プライマリプーリ
62 セカンダリプーリ
65 ベルト
201 トルク制限手段
202 クラッチ許容トルク算出部
203 開始決定部
204 制限内容決定部
205 トルク緩和勾配設定部
206 上限値設定部
208 指令値出力手段
209 記憶手段
Tc クラッチ許容トルク
Te 入力トルク

Claims (4)

  1. 駆動源からの入力回転で駆動されるオイルポンプと、
    前記オイルポンプの吐出量に応じて決まる締結圧で締結されるクラッチと、を備える車両用の自動変速機の制御装置であって、
    前記駆動源から自動変速機に入力される入力トルクの指令値を、前記駆動源の制御装置に出力する指令値出力手段と、
    前記駆動源からの入力トルクが、前記クラッチ許容トルクに応じて決まる閾値トルクまで増加すると、前記入力トルクの上限値を設定して入力トルクを規制すると共に、前記設定した上限値を前記指令値とする入力トルク制限手段と、を備え、
    前記入力トルク制限手段は、
    締結されたクラッチをスリップさせずに保持できるクラッチ許容トルクを算出するクラッチ許容トルク算出部と、
    前記入力トルクが前記閾値トルクまで増加すると、前記入力トルクの制限開始を決定する開始決定部と、
    入力トルクの制限開始が決定されると、前記制限開始が決定された時点の前記クラッチ許容トルクに基づいて、前記入力トルクの上限値を設定する上限値設定部と、を備え、
    前記上限値設定部は、
    前記入力回転が所定値未満である前記入力回転の増加時に、前記制限開始が決定されると、トルク緩和による制限を実施し、
    前記トルク緩和による制限では、前記上限値を、前記制限開始が決定された時点の前記クラッチ許容トルクよりも大きい値に設定して、前記入力トルクの増加を許容すると共に、以降、増加した前記入力回転が前記所定値になるまで、前記上限値を所定時間毎に前記所定量ずつ段階的に増加させることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記上限値設定部は、前記制限開始が決定された時点の前記クラッチの温度が、所定温度以下である場合に、前記トルク緩和による制限を実施することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記トルク緩和による制限では、前記上限値が増加するたびに前記クラッチが一時的にスリップ状態になり、
    前記所定時間は、前記スリップ状態となったことで上昇した前記クラッチの温度が、スリップ状態になる前の温度まで低下するのに必要な長さに設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記上限値は、前記制限開始は決定された時点の前記クラッチの温度と、クラッチの耐熱温度との差に応じて設定され、
    前記クラッチの温度と前記耐熱温度との差が大きくなるほど、大きい値に設定されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。
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