JP6247518B2 - 油圧制御装置 - Google Patents

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本発明は、変速機のトルクコンバータにおける油圧を制御する油圧制御装置に関する。
オートマティックトランスミッション(AT)車やCVT(Continuously Variable Transmission)車には、車両の走行速度が略一定となるとトルクコンバータを介さずにエンジン回転力を駆動輪側へ伝達するロックアップ機構が一般に設けられている。ロックアップ機構により、トルクコンバータでの流体の粘性や滑りによるロスを低減して伝達効率を向上させることができる。近年では、ロックアップ機能の機能向上のため様々な検討がなされている。
例えば特許文献1には、ロックアップが解除されたとき、トルクコンバータのリリース回路の内圧を上昇させてリリース圧を上昇させる一方、アプライ圧回路によってアプライ圧を低下させ、リリース圧とアプライ圧との差圧を早期に生起させる技術が開示されている。これにより、変速時のロックアップクラッチの解除が迅速に達成され、タイミングの遅れによる変速ショックを回避している。
また、例えば特許文献2には、ロックアップクラッチを係合状態にするときに、クラッチ係合圧を係合側油室に供給するとともに、セカンダリ圧を背圧側油室に供給する油圧制御装置が開示されている。かかる油圧制御装置より、制御を煩雑化させることなく係合側油室と背圧側油室との差圧を油圧クラッチの状態に応じて適正に設定することが可能となる。
特許第2524721号 特開2012−197870号公報
また、ロックアップ機構において更なる燃費向上を図るために、ロックアップ機構を機能させるロックアップ領域を拡大することが行われている。ロックアップ領域では、通常リリース圧はゼロとされアプライ圧のみが供給されるため、リリース圧によって潤滑する部位の作動油量が減少し、タンパー部の作動によって滑りが生じる。このため、ロックアップ領域を拡大させると、特にトルクコンバータの軸心部の潤滑が不足して、耐久性が低下する懸念がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ロックアップ機構においてフルロックアップ状態を維持しつつリリース圧によって潤滑する部位の潤滑性を向上させることが可能な、新規かつ改良された油圧制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、クラッチプレートによってトルクコンバータのフロントカバーとタービンランナとの間の空間を区画して形成された、タービンランナ側のアプライ室およびフロントカバー側のリリース室の圧力を制御する油圧制御装置であって、フルロックアップ状態のとき、エンジンにより発生される現在の回転トルクに関連するパラメータに基づいて、アプライ室へアプライ圧を印加するとともにリリース室にリリース圧を印加する差圧低減モードを実行するか否かを判定する差圧低減モード実行判定部と、差圧低減モードを実行する際に、アプライ圧とリリース圧との差圧ロックアップクラッチに滑りを発生させない範囲内となるように制御する差圧制御部と、を備えることを特徴とする、油圧制御装置が提供される。
本発明によれば、フルロックアップ状態において、トルクコンバータの構成要素の摩耗が懸念される場合に、エンジンにより発生される現在の回転トルクに関連するパラメータに基づいて、アプライ室へアプライ圧を印加するとともにリリース室にリリース圧を印加する差圧低減モードを実行するか否かを判定する。そして、差圧低減モードを実行すると判定されたとき、フルロックアップ状態において、アプライ圧とリリース圧との差圧がロックアップクラッチに滑りを発生させない範囲内となるようにリリース圧を印加して、リリース圧とアプライ圧との差圧を小さくする。これにより、トルクコンバータの摩耗が懸念される部位に作動油が介在され、ロックアップクラッチの滑りを防止しつつトルクコンバータの構成要素の摩耗を抑制できる。
差圧低減モード実行判定部は、エンジンにより発生される現在の回転トルクにおいてフルロックアップ状態を維持するために必要な第1の差圧と、トルクコンバータの構成要素の摩耗を防止し、かつロックアップクラッチを滑らせないために必要な第2の差圧とを比較し、第1の差圧が第2の差圧より大きいとき、差圧低減モードを実行してもよい。第1の差圧が第2の差圧よりも大きい場合、アプライ圧とリリース圧との差圧を現状より小さく設定してもロックアップクラッチの滑りは発生しない。このような場合にはフルロックアップ状態を維持しつつリリース圧を印加することで、トルクコンバータの構成要素の摩耗を抑制できる。
第2の差圧は、例えばトルクコンバータの回転力を考慮して設定することができる。この回転力によってトルクコンバータの摩耗が懸念される部位に介在する作動油量を推定することができる。これよりトルクコンバータの構成要素の摩耗を防止し、かつロックアップクラッチを滑らせないために必要な作動油量を介在させるための差圧を設定することができる。
差圧低減モード実行判定部は、パラメータとしてアクセル開度を参照し、フルロックアップ状態において、アクセル開度が所定値以上のときにはリリース圧は印加せず、アクセル開度が所定値より小さいときに差圧低減モードを実行してアプライ圧およびリリース圧を印加してもよい。アクセル開度が所定値より小さい場合には、エンジンからの回転トルクが低く、ロックアップクラッチの安全率に余裕があるので、リリース圧を印加して差圧を小さくすることが可能となる。
差圧制御部は、差圧低減モードにおいて、トルクコンバータの構成要素の摩耗を防止し、かつロックアップクラッチを滑らせないために必要な第2の差圧以下とならない範囲、アプライ圧とリリース圧との差圧を小さくするようにしてもよい。これにより、ロックアップクラッチの滑りを防止しつつトルクコンバータの構成要素の摩耗を抑制できる。
以上説明したように本発明によれば、ロックアップ機構においてフルロックアップ状態を維持しつつリリース圧によって潤滑する部位の潤滑性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る車両の駆動装置の概略構成を示す説明図である。 同実施形態に係るフルロックアップ時におけるトルクコンバータの油圧制御方法を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.駆動装置の概略構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る車両の駆動装置の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る車両の駆動装置の概略構成を示す説明図である。なお、図1に示す車両は、変速器としてCVTを備えているものであるが、本発明はATにも適用可能である。また、本実施形態において、ロックアップクラッチが「滑らない」とは、トルクコンバータの発生する音に変化が生じたり、伝達効率の低下等の滑りの影響を無視できなかったりする等といった、大きな滑りが発生しないことをいい、トルクコンバータの機能や走行への影響がない範囲での僅かな滑りは発生しても問題はない。
本実施形態に係る車両は、エンジンを駆動源として駆動輪を駆動し走行することが可能な車両である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両は、各種センサ10と、各種センサ10からの入力に基づき車両の各種制御を行う制御装置20とを備える。また、車両は、制御装置20の駆動制御に従って駆動力として回転トルクを発生させるエンジン30と、エンジン30により発生された回転トルクに基づいて回転駆動する駆動輪40と、エンジン30の発生する回転トルクを所定の回転トルクに変換する変速機50とを備える。
[各種センサ]
各種センサ10としては、例えばアクセル開度センサ12や速度センサ、加速度センサ等がある。アクセル開度センサ12は、ドライバーによるアクセルペダルの操作量を検出するセンサである。速度センサは、駆動輪40の回転速度に応じた車速パルス信号を出力する。この車速パルス信号に基づいて例えば制御装置20のECU210により車両の速度が演算される。加速度センサは、車体に作用する加速度を検出するセンサである。例えば、加速度センサは、車体の前後方向の加速度や、車体の横方向の加速度を検出する。
[制御装置]
制御装置20としては、例えばエンジン制御ユニット(Engine Control Unit、以下「ECU」とも称する。)210や、トランスミッション制御ユニット(Transmission Control Unit、以下「TCU」とも称する。)220を備える。
ECU210は、各種センサ10からの入力信号に基づいてエンジン30を制御する。例えば、ECU210は、エンジントルク要求値に基づき、エンジン30の実出力トルクがエンジントルク要求値に近づくように、スロットル開度、燃料噴射量、吸排気バルブタイミング、および点火時期などを制御する。
TCU220は、各種センサ10からの入力信号等に基づいて変速機50を制御する。例えば、TCU220は、油圧制御部222により、各種センサ10からの入力信号やオイルポンプ88の状態に基づいてトルクコンバータ70の油圧を制御する。油圧制御部222は、例えば、トルクコンバータ70の差圧制御弁(図示せず。)の開度からアプライ室76の圧力(アプライ圧)、リリース室78の圧力(リリース圧)、およびこれらの差圧を取得する差圧取得部224や、フルロックアップ状態においてリリース圧を印加し、アプライ圧とリリース圧との差圧を低減させる差圧低減モード実行部225、差圧制御弁を制御する差圧制御部226等を備えている。差圧制御部226は、エンジン30によって駆動されるオイルポンプ88も制御し、油圧の供給制御も行ってもよい。
また、TCU220は、バリエータ制御部228によって目標変速比を示す制御信号に基づき変速機50に設けられたバリエータ60による変速比を制御したり、変速機50に設けられた各クラッチの状態を制御したりする。
[エンジン]
エンジン30は、ECU210からの制御に従って駆動力として回転トルクを発生させる内燃機関である。エンジン30により発生された回転トルクは、クランク軸34およびトルクコンバータ70を介してバリエータ60のプライマリ軸63に伝達される。
[変速機]
変速機50は、エンジン30により発生された回転トルクを変換するトルクコンバータ70と、変速比を連続的に変化させるバリエータ60を備える。
トルクコンバータ70は、バリエータ60のプライマリプーリ62およびエンジン30の間に設けられ、エンジン30により発生された回転トルクをバリエータ60のプライマリ軸63に伝達する。より詳細に説明すると、トルクコンバータ70は、フロントカバー72、クランク軸34にフロントカバー72を介して連結されるポンプインペラ73、フロントカバー72とポンプインペラ73の間でポンプインペラ73に対向して配置されたタービンランナ74、およびタービンランナ74に連結されたタービン軸75を備える。
また、フロントカバー72とタービンランナ74との間には、クランク軸34とタービン軸75との連結関係を切り替えるロックアップクラッチ82が組み込まれている。ロックアップクラッチ82は、タービンランナ74に連結されるクラッチプレート83を有する。このクラッチプレート83により、フロントカバー72とタービンランナ74との間は、クラッチプレート83のタービンランナ74側のアプライ室76およびクラッチプレート83のフロントカバー72側のリリース室78に区画される。
アプライ室76に作動油が供給されリリース室78から作動油が排出されると、クラッチプレート83はフロントカバー72に押圧され、ロックアップクラッチ82がクランク軸34とタービン軸75を直結させる締結状態(以下、「フルロックアップ状態」とも称する。)となる。フルロックアップ状態においては、フロントカバー72とタービンランナ74が一体的に回転するので、クランク軸34の回転トルクがタービン軸75に直接伝達される。
一方、リリース室78に作動油が供給されアプライ室76から作動油が排出されると、クラッチプレート83がフロントカバー72から引き離され、ロックアップクラッチ82がクランク軸34とタービン軸75とを切り離した解放状態となる。このロックアップクラッチ82の解放状態においては、クランク軸34の回転トルクがフロントカバー72を介してポンプインペラ73に伝達されると、トルクコンバータ70を満たしている作動油が、ポンプインペラ73の回転によりポンプインペラ73からタービンランナ74へと循環する。これにより、ポンプインペラ73の回転トルクが流体である作動油を介してタービンランナ74に伝達され、タービンランナ74に連結されたタービン軸75が回転する。
バリエータ60は、駆動チェーン61、プライマリプーリ62、プライマリプーリ62の回転軸であるプライマリ軸63、プライマリ油室64、セカンダリプーリ66、セカンダリプーリ66の回転軸であるセカンダリ軸67、およびセカンダリ油室68を有する。駆動チェーン61は、プライマリプーリ62およびセカンダリプーリ66の間に動力伝達要素として軸架されている。これより、プライマリプーリ62の回転トルクは、駆動チェーン61を介してセカンダリプーリ66に伝達され、セカンダリ軸67から出力される。バリエータ60のセカンダリ軸67から出力された回転トルクにより駆動輪40は駆動される。
プライマリプーリ62の溝幅は、プライマリ油室64に供給する油圧を制御することにより変化する。このプライマリプーリ62の溝幅を変化させることでプライマリプーリ62の巻き掛け径(Rp)を調整できる。同様に、セカンダリプーリ66の溝幅は、セカンダリ油室68に供給する油圧を制御することにより変化する。このセカンダリプーリ66の溝幅を変化させることでセカンダリプーリ66の巻き掛け径(Rs)を調整できる。従って、バリエータ60は、プライマリプーリ62およびセカンダリプーリ66の溝幅が変化されることにより、プライマリプーリ62からセカンダリプーリ66に対する変速比(Rs/Rp)を無段階に調整することができる。
<2.フルロックアップ状態におけるトルクコンバータの油圧制御>
[2−1.目的]
本実施形態に係る車両の変速機50のトルクコンバータ70には、上述したようにロックアップ機構が備えられている。トルクコンバータ70の特性として、車両速度が略一定となりポンプインペラ73とタービンランナ74との回転速度が近づくとトルク増幅作用による効果が弱まる。このため、車両が変速しない領域でロックアップ機構のロックアップクラッチ82によってクランク軸34とタービン軸75とを直結させることで、トルクコンバータでの流体の粘性や滑りによるロスを低減して伝達効率を向上させることができる。
ここで、ロックアップ機構を作用させるロックアップ領域を拡大して燃費の向上を図ろうとすると、リリース圧によって潤滑する部位の作動油量が減少するとともに、ダンパー部の作動により滑りが生じる。このため、軸心部の作動油量が不足して耐久性が低下することが懸念される。そこで、本実施形態では、フルロックアップ状態において、ロックアップクラッチ82に大きな滑りが発生しない範囲でアプライ圧とともにリリース圧を印加することで、リリース圧によって潤滑する部位の潤滑性を持たせ、トルクコンバータ70の構成要素の耐久性を向上させるようにトルクコンバータ70の油圧を制御する。
[2−2.油圧制御方法]
以下、図2に基づいて、本実施形態に係るフルロックアップ状態におけるトルクコンバータ70の油圧制御について説明する。図2は、本実施形態に係るフルロックアップ状態におけるトルクコンバータ70の油圧制御方法を示すフローチャートである。
(フルロックアップ中判定:S100)
まず、TCU220は、差圧低減モード実行判定部225により、トルクコンバータ70のロックアップクラッチ82がフルロックアップ中であるか否かを判定する(S100)。ロックアップクラッチ82がフルロックアップ中であるか否かの判定は、リリース圧がゼロであるか否かを判定することで行われる。リリース圧は差圧制御弁の状態に基づき差圧取得部224により取得可能である。ステップS100にてロックアップクラッチ82がフルロックアップ中ではないと判定したとき、差圧低減モード実行判定部225はステップS100の処理を繰り返す。
(摩耗懸念判定:S110)
一方、ステップS100にてロックアップクラッチ82がフルロックアップ中であると判定したとき、差圧低減モード実行判定部225は、トルクコンバータ70の構成要素に摩耗が懸念されるか否かを判定する(S110)。摩耗が懸念される構成要素として、例えばタービン軸75に設けられたタービンハブ(図示せず。)と対向するようにフロントカバー72に設けられたスラストワッシャ(図示せず。)がある。
フルロックアップ状態において、ロックアップクラッチ82は、タービンハブとスラストワッシャとの間にある作動油のリリース回路を絞り、クランク軸34とタービン軸75とを直結させる。スラストワッシャのタービンハブとの対向面には溝が形成されており、フルロックアップ状態においてスラストワッシャとタービンハブとが接触しても、スラストワッシャの溝によってこれらの間に作動油が介在できる。しかし、スラストワッシャが摩耗して溝がなくなってくると、スラストワッシャとタービンハブとの間に作動油が介在しなくなり、ロックアップピストンの外周から漏れ込む微小な潤滑があるのみとなる。このためスラストワッシャの摩耗が早くなり、トルクコンバータ70の耐久性の低下が懸念される。
スラストワッシャの摩耗状態は、その使用状況、すなわちトルクコンバータ70の回転数や作動油の温度(すなわち粘度)、スラストワッシャとタービンハブとの間のリリース流路での作動油の滞在時間等に応じて判定される。これらのパラメータに対し、トルクコンバータ70の摩耗が懸念される各値の閾値が経験的に予め設定されている。差圧低減モード実行判定部225は、現在の各種センサ10より取得された各パラメータの値のいずれも閾値を超えるものがなければ、ステップS100に戻り、ステップS100から再び処理を実行する。
(リリース圧印加可否判定:S120)
現在の各種センサ10より取得された各パラメータの値のうちいずれか1つが閾値を超えると、差圧低減モード実行判定部225は、トルクコンバータ70の構成要素の摩耗が懸念されると判定する。そして、差圧低減モード実行判定部225は、エンジン30により発生される現在の回転トルクにおいてフルロックアップ状態を維持するために必要な差圧(第1の差圧)と、トルクコンバータ70の構成要素の摩耗を防止し、かつロックアップクラッチ82を滑らせないために必要な差圧(第2の差圧)とを比較する(S120)。
本実施形態では、ロックアップクラッチ82がフルロックアップ状態であるときに、フルロックアップ状態では通常印加されないリリース圧を印加する。リリース圧を印加することで、リリース回路に作動油が流れ、例えばスラストワッシャとタービンハブとの間の構成要素間の潤滑性を高めることができる。一方で、ロックアップクラッチ82に滑りが生じる可能性がある。そこで、本実施形態では、現在のロックアップ機構のリリース室78におけるリリース圧とアプライ室76におけるアプライ圧との差圧に応じて、ロックアップクラッチ82に滑りが生じない範囲で作動油が流れるようにリリース圧を印加する。ステップS120では、フルロックアップ状態においてリリース圧を印加してもロックアップクラッチ82に滑りが生じないかを判定している。
具体的には、差圧低減モード実行判定部225は、フルロックアップ状態を維持するために最低限必要な第1の差圧(以下、「すべり防止差圧」とも称する。)がロックアップクラッチ82を滑らせないために必要な第2の差圧(以下、「摩耗防止差圧」とも称する。)を比較する。
すべり防止差圧は、エンジン30が発生する現在の回転トルクに対してロックアップクラッチ82に滑りが生じない範囲で最大限広げてよい差圧であり、例えばトルクコンバータ70の回転力等を考慮して設定される固定値とすることができる。摩耗防止差圧は、スラストワッシャ等の構成要素の摩耗を抑制するために最低限必要な差圧である。リリース圧とアプライ圧との差圧が摩耗防止差圧よりも大きければ摩耗は生じない。摩耗防止差圧には、例えばロックアップクラッチ82を滑らせないために必要な差圧に所定の係数k(k>1.0)を掛けることによりマージンを付加し、滑りに対する余裕を持たせることができる。係数kは、例えば1.3〜1.5程度に設定される。
差圧低減モード実行判定部225は、すべり防止差圧が摩耗防止差圧より大きいか否かを判定し、トルクコンバータ70の構成要素が摩耗する可能性の有無を判定する。すべり防止差圧が摩耗防止差圧以下の場合、リリース圧を印加して現在のアプライ圧とリリース圧との差圧より小さい差圧に設定してしまうと摩耗防止差圧を維持できなくなる。したがって、この場合には、リリース圧の印加は行わず、ステップS100に戻り、ステップS100から再び処理を実行する。
(差圧低減モード実行:S130)
一方、現在の差圧が摩耗防止差圧より大きい場合には、リリース圧を印加してアプライ圧とリリース圧との差圧をより小さな差圧に設定しても摩耗防止差圧を維持できる。そこで、差圧低減モード実行判定部225は、差圧制御部226に対し、フルロックアップ状態においてリリース圧を印加して、アプライ圧とリリース圧との差圧を小さくする差圧低減モードを実行させる(S130)。
差圧制御部226は、差圧低減モードにおいて、作動油の温度から介在させる作動油量を時間調整して、フルロックアップ状態を維持しつつトルクコンバータ70の構成要素に摩耗が生じない程度にリリース圧を印加する。このとき、差圧制御部226は、トルクコンバータ70の構成要素の摩耗を防止し、かつロックアップクラッチ82を滑らせないために必要な摩耗防止差圧以下とならない範囲で差圧制御弁を制御し、アプライ圧とリリース圧との差圧を小さくするようにしてもよい。これにより、フルロックアップ状態を維持しつつ、リリース回路を流れる作動油量が増加され、トルクコンバータ70の構成要素の摩耗を抑制することができる。
差圧低減モードを実行すると、差圧制御部226は、トルクコンバータ70の構成要素の摩耗の可能性は一旦なくなると判断し、ステップS110での摩耗懸念判定結果をリセットして、図2に示す処理を終了する。その後、TCU220は、図2に示す処理をステップS100から再び開始する。
以上、本実施形態に係るフルロックアップ状態におけるトルクコンバータ70の油圧制御方法について説明した。なお、上述の説明において、ステップS120のリリース圧印加可否判定処理は、エンジンにより発生される現在の回転トルクに基づき算出されるすべり防止差圧と摩耗防止差圧との比較に基づき行ったが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、エンジン30により発生される現在の回転トルクに関連するパラメータとして、アクセル開度センサ12により検出されるアクセル開度を用い、ステップS120のリリース圧印加可否判定処理を実行してもよい。
例えば、フルロックアップ状態においてアクセル開度が全開のときには、ロックアップクラッチ82の安全性の観点からリリース圧とアプライ圧との差圧をあまり大きくすることはできない。一方で、アクセルが緩み、車両がほぼ一定速度で走行している時にはエンジン30により発生される回転トルクは小さくなるため、ロックアップクラッチ82の安全率に十分な余裕があり、リリース圧とアプライ圧との差圧を大きくすることが可能となる。
そこで、差圧低減モード実行判定部225は、例えばアクセル開度が所定値以上のときにはリリース圧は印加せず、アクセル開度が所定値より小さいときに差圧低減モードを実行してアプライ圧およびリリース圧を印加するようにしてもよい。アクセル開度の所定値は、例えば全開状態を100%としたとき30%程度に設定してもよい。このように、エンジン30により発生される現在の回転トルクに関連するパラメータに基づいて差圧低減モードの実行を判定することで、フルロックアップ状態においてロックアップクラッチ82に大きな滑りを発生させることなくトルクコンバータ70の構成要素の摩耗を抑制するためのリリース圧の印加の可否を判定することができる。
<3.まとめ>
本実施形態によれば、フルロックアップ状態において、トルクコンバータ70の構成要素の摩耗が懸念される場合に、エンジン30により発生される現在の回転トルクに関連するパラメータに基づいて、アプライ室76へアプライ圧を印加するとともにリリース室78にリリース圧を印加する差圧低減モードを実行するか否かを判定する。例えば当該回転トルクから演算されるすべり防止差圧が摩耗防止差圧より大きいか否かを判定する。そして、すべり防止差圧が摩耗防止差圧より大きい場合にフルロックアップ状態においてリリース圧を印加して、リリース圧とアプライ圧との差圧を小さくする。これにより、トルクコンバータ70の摩耗が懸念される部位に作動油が介在され、トルクコンバータ70の構成要素の摩耗を抑制できる。この際、アプライ圧とリリース圧との差圧は、アプライ圧とリリース圧との差圧がロックアップクラッチに滑りを発生させない範囲内に設定されるため、ロックアップクラッチ82が不意に滑ることもない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 各種センサ
12 アクセル開度センサ
20 制御装置
30 エンジン
34 クランク軸
40 駆動輪
50 変速機
60 バリエータ
61 駆動チェーン
62 プライマリプーリ
63 プライマリ軸
66 セカンダリプーリ
67 セカンダリ軸
70 トルクコンバータ
72 フロントカバー
73 ポンプインペラ
74 タービンランナ
75 タービン軸
76 アプライ室
78 リリース室
82 ロックアップクラッチ
210 エンジン制御ユニット(ECU)
220 トランスミッション制御ユニット(TCU)
222 油圧制御部
224 差圧取得部
225 差圧低減モード実行判定部
226 差圧制御部
228 バリエータ制御部

Claims (5)

  1. クラッチプレートによってトルクコンバータのフロントカバーとタービンランナとの間の空間を区画して形成された、前記タービンランナ側のアプライ室および前記フロントカバー側のリリース室の圧力を制御する油圧制御装置であって、
    フルロックアップ状態のとき、エンジンにより発生される現在の回転トルクに関連するパラメータに基づいて、前記アプライ室へアプライ圧を印加するとともに前記リリース室にリリース圧を印加する差圧低減モードを実行するか否かを判定する差圧低減モード実行判定部と、
    前記差圧低減モードを実行する際に、前記アプライ圧と前記リリース圧との差圧ロックアップクラッチに滑りを発生させない範囲内となるように制御する差圧制御部と、
    を備えることを特徴とする、油圧制御装置。
  2. 前記差圧低減モード実行判定部は、
    エンジンにより発生される現在の回転トルクにおいてフルロックアップ状態を維持するために必要な第1の差圧と、前記トルクコンバータの構成要素の摩耗を防止し、かつ前記ロックアップクラッチを滑らせないために必要な第2の差圧とを比較し、
    前記第1の差圧が第2の差圧より大きいとき、差圧低減モードを実行することを特徴とする、請求項1に記載の油圧制御装置。
  3. 前記第2の差圧は、前記トルクコンバータの回転力を考慮して設定されることを特徴とする、請求項2に記載の油圧制御装置。
  4. 前記差圧低減モード実行判定部は、前記パラメータとしてアクセル開度を参照し、
    フルロックアップ状態において、前記アクセル開度が所定値以上のときにはリリース圧は印加せず、前記アクセル開度が所定値より小さいときに差圧低減モードを実行して前記アプライ圧および前記リリース圧を印加することを特徴とする、請求項1に記載の油圧制御装置。
  5. 前記差圧制御部は、差圧低減モードにおいて、前記トルクコンバータの構成要素の摩耗を防止し、かつ前記ロックアップクラッチを滑らせないために必要な第2の差圧以下とならない範囲、前記アプライ圧と前記リリース圧との差圧を小さくすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の油圧制御装置。
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