以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、ある変速機構の「変速比」は、当該変速機構の入力回転速度を当該変速機構の出力回転速度で割って得られる値である。また、「最Low変速比」は当該変速機構の変速比が車両の発進時などに使用される最大変速比である。「最High変速比」は当該変速機構の最小変速比である。
図1は本発明の実施形態に係るコーストストップ車両の概略構成図である。この車両は駆動源としてエンジン1を備え、エンジン1の出力回転は、ロックアップクラッチ2a付きトルクコンバータ2、第1ギヤ列3、無段変速機(以下、単に「変速機4」という。)、第2ギヤ列5、差動装置6を介して駆動輪7へと伝達される。第2ギヤ列5には駐車時に変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられている。
変速機4には、エンジン1の回転が入力されエンジン1の動力の一部を利用して駆動されるメカオイルポンプ10mと、バッテリ13から電力供給を受けて駆動される電動オイルポンプ10eとが設けられている。電動オイルポンプ10eは、オイルポンプ本体と、これを回転駆動する電気モータ及びモータドライバとで構成され、運転負荷を任意の負荷に、あるいは、多段階に制御することができる。また、変速機4には、メカオイルポンプ10mあるいは電動オイルポンプ10eからの油圧(以下、「ライン圧PL」という。)を調圧して変速機4の各部位に供給する油圧制御回路11が設けられている。
変速機4は、ベルト式無段変速機構(以下、「バリエータ20」という。)と、バリエータ20に直列に設けられる副変速機構30とを備える。「直列に設けられる」とはエンジン1から駆動輪7に至るまでの動力伝達経路においてバリエータ20と副変速機構30が直列に設けられるという意味である。副変速機構30は、この例のようにバリエータ20の出力軸に直接接続されていてもよいし、その他の変速ないし動力伝達機構(例えば、ギヤ列)を介して接続されていてもよい。あるいは、副変速機構30はバリエータ20の前段(入力軸側)に接続されていてもよい。
バリエータ20は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プーリ21、22の間に掛け回されるVベルト23とを備える。プーリ21、22は、それぞれ固定円錐板21a、22aと、この固定円錐板21a、22aに対してシーブ面を対向させた状態で配置され固定円錐板21a、22aとの間にV溝を形成する可動円錐板21b、22bと、この可動円錐板21b、22bの背面に設けられて可動円錐板21b、22bを軸方向に変位させる油圧シリンダ23a、23bとを備える。油圧シリンダ23a、23bに供給される油圧を調整すると、V溝の幅が変化してVベルト23と各プーリ21、22との接触半径が変化し、バリエータ20の変速比が無段階に変化する。
プライマリプーリ21の油圧シリンダ23aに供給される油圧が小さい場合でもトルク容量が大きくなるように、プライマリプーリ21の油圧シリンダ23aの受圧面積は大きくすることが望ましい。プライマリプーリ21とセカンダリプーリ22とは、プライマリプーリ21の受圧面積がセカンダリプーリ22の受圧面積よりも大きくなるように設けられている。
副変速機構30は前進2段・後進1段の変速機構である。副変速機構30は、2つの遊星歯車のキャリアを連結したラビニョウ型遊星歯車機構31と、ラビニョウ型遊星歯車機構31を構成する複数の回転要素に接続され、それらの連係状態を変更する複数の摩擦締結要素(Lowブレーキ32、Highクラッチ33、Revブレーキ34)とを備える。各摩擦締結要素32〜34への供給油圧を調整し、各摩擦締結要素32〜34の締結・解放状態を変更すると、副変速機構30の変速段が変更される。
例えば、Lowブレーキ32を締結し、Highクラッチ33とRevブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速となる。Highクラッチ33を締結し、Lowブレーキ32とRevブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速よりも変速比が小さな2速となる。また、Revブレーキ34を締結し、Lowブレーキ32とHighクラッチ33を解放すれば副変速機構30の変速段は後進となる。
各摩擦締結要素32〜34は、動力伝達経路上、バリエータ20の前段又は後段に設けられ、摩擦締結要素32〜34のいずれかが締結されると変速機4の動力伝達を可能にし、全ての摩擦締結要素32〜34が解放されると変速機4の動力伝達を不能にする。
油圧制御回路11は複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。油圧制御回路11は、コントローラ12からの変速制御信号に基づき、複数の油圧制御弁を制御して油圧の供給経路を切り換えるとともにメカオイルポンプ10m又は電動オイルポンプ10eで発生した油圧から必要な油圧を調製し、これを変速機4の各部位に供給する。これにより、バリエータ20の変速比、副変速機構30の変速段が変更され、変速機4の変速が行われる。
コントローラ12は、エンジン1及び変速機4を統合的に制御するコントローラであり、図2に示すように、入力インターフェイス123と、出力インターフェイス124と、入力信号演算部121と、クラッチ滑り検知部122と、電動オイルポンプ指示演算部126と、制御部120と、これらを相互に接続するバス125とから構成される。コントローラ12は、CPU、ROM、RAMなどによって構成され、CPUがROMに格納されたプログラムを読み出すことで、コントローラ12の機能が発揮される。
入力インターフェイス123には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ41の出力信号、変速機4の入力回転速度を検出する回転速度センサ42の出力信号、変速機4の出力回転速度を検出する回転速度センサ48、車速VSPを検出する車速センサ43の出力信号、ライン圧PLを検出するライン圧センサ44の出力信号、セレクトレバーの位置を検出するインヒビタスイッチ45の出力信号、ブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ46の出力信号、車両の加速度、または減速度を検出するGセンサ47の出力信号、油温センサ49の出力信号等が入力される。
入力信号演算部121は、車速センサ43の出力信号から副変速機構30の駆動輪7側回転速度(以下、第1回転速度と言う。)を算出し、回転速度センサ48の出力信号から副変速機構30のエンジン側の回転速度(以下、第2回転速度と言う。)を算出する。
制御部120は、入力インターフェイス123、入力信号演算部121などと接続しており、これらを含んだ車両を制御する。制御部120は、入力インターフェイス123を介して入力される各種信号に対して各種演算処理を施して、変速制御信号などを生成し、生成した信号を出力インターフェイス124を介して油圧制御回路11、エンジン1に出力する。
制御部120は、燃料消費量を抑制し、燃費を向上するために、以下に説明するコーストストップ制御を行う。
コーストストップ制御は、低車速域で車両が走行している間、エンジン1を自動的に停止させて燃料消費量を抑制する制御である。アクセルオフ時に実行される燃料カット制御とは、エンジン1への燃料供給が停止される点で共通するが、ロックアップクラッチ2aを解放してエンジン1と駆動輪7との間の動力伝達経路を絶ち、エンジン1の回転を完全に停止させる点において相違する。
コーストストップ制御を実行するにあたっては、制御部120は、まず、例えば以下に示すコーストストップ条件a〜fを判断する。これらの条件は、言い換えれば、運転者に停車意図があるかを判断するための条件である。
a:アクセルペダルから足が離されている(アクセル開度APO=0)。
b:ブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキ液圧が所定値以上)。
c:車速が所定のコーストストップ開始車速以下である。
d:ロックアップクラッチ2aが解放されている。
e:油温が所定の油温範囲である。
f:バリエータ20の変速比が所定の変速比領域内である。
これらのコーストストップ条件を全て満たす場合に、制御部120はコーストストップ制御を実行する。
コーストストップ条件fの所定の変速比領域とは、第1所定変速比と、第1所定変速比よりも変速比が大きい(Low側)第2所定変速比との間の領域である。第2所定変速比は、例えば最Lowである。第1所定変速比は、コーストストップ制御が終了、または中止され、その後再加速する場合に車両の運転性を損なわないように設定される。コーストストップ制御中に変速比を例えば最Lowとすることができれば、第1所定変速比は最Highであっても良い。
コーストストップ制御が実行されると、エンジン1の回転が完全に停止するために、Highクラッチ33、バリエータ20などに必要な油圧を電動オイルポンプ10eによって発生させる。電動オイルポンプ10eの吐出圧は、電動オイルポンプ指示演算部126によって算出され、算出された吐出圧に基づいて電動オイルポンプ10eの駆動信号が出力される。電動オイルポンプ10eは駆動信号に基づいて制御される。
コーストストップ制御が早い段階で開始されると、エンジン1の自動停止時間が長くなり、燃費を向上することができる。例えばコーストストップ開始車速が高い場合には、車速に関するコーストストップ実行領域(駆動源停止許可領域)が広く、他のコーストストップ条件が同じ場合であっても比較的に早い段階でコーストストップ制御が開始され、エンジン1の自動停止時間が長くなり、燃費を向上することができる。
しかし、電動オイルポンプ10eが駆動信号に基づいて油を吐出しても、電動オイルポンプ10eの吐出可能圧のばらつきなどによって実際の吐出圧が設定された吐出圧よりも低い場合がある。コーストストップ実行領域を広くすると、吐出可能圧が低い電動オイルポンプ10eを有するコーストストップ車両において、コーストストップ制御中に油圧不足が生じ、Highクラッチ33で滑りが発生する場合がある。従来はHighクラッチ33で滑りが生じない範囲で各コーストストップ条件のコーストストップ実行領域が設定されている。つまり、電動オイルポンプ10eの吐出可能圧にばらつきなどがあってもHighクラッチ33で滑りが生じないようにコーストストップ条件は設定されている。
本実施形態では、燃費を向上させるためにコーストストップ実行領域を従来のコーストストップ実行領域よりも広く設定し、燃費を向上させる。具体的には、コーストストップ開始車速の初期値を従来のコーストストップ開始車速よりも高く設定し、燃費向上を図っている。
そして、クラッチ滑り検知部122によってHighクラッチ33の状態が検知され、Highクラッチ33で滑りが発生した場合には、制御部120は、次回のコーストストップ制御からコーストストップ開始車速を低くして、車速に関するコーストストップ実行領域を狭めて、Highクラッチ33における滑りの発生を抑制する。
本実施形態では、Highクラッチ33における滑りが複数回発生した場合にコーストストップ実行領域を狭めている。これは、Highクラッチ33で滑りが発生した原因によっては、コーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りが毎回発生する訳ではないからである。
エンジン1が自動停止すると、エンジン回転速度がゼロとなる際にエンジン1が逆回転し、この逆回転に伴い、メカオイルポンプ10mの軸も逆回転するので、メカオイルポンプ10mから逆方向に油が吐出され、Highクラッチ33の油圧が低下する。メカオイルポンプ10mの逆回転量が小さい場合には、Highクラッチ33の油圧低下量も小さく、Highクラッチ33で滑りは発生しない。しかし、メカオイルポンプ10mの逆回転量が大きい場合には、Highクラッチ33の油圧低下量が大きく、Highクラッチ33で滑りが発生する。この逆回転量は、エンジン1の自動停止毎に同じではなく、ばらつきがある。そのため、今回のエンジン1の自動停止時にHighクラッチ33で滑りが発生したとしても、以降のエンジン1の自動停止時にHighクラッチ33で滑りが発生するとは限らない。
また、エンジン1が自動停止し、メカオイルポンプ10mが停止した場合に、メカオイルポンプ10mにおいて吸入ポートと吐出ポートと連通した状態で停止することがある。この場合には、吐出ポートから吸入ポートへ油が流れ、Highクラッチ33の油圧が低下し、Highクラッチ33で滑りが発生する。なお、電動オイルポンプ10eによって油圧を供給しても、メカオイルポンプ10mによって油圧が低下し、Highクラッチ33で滑りが発生する。しかし、メカオイルポンプ10mにおいて吸入ポートと吐出ポートとが連通した状態で停止する頻度は極めて低い。そのため、今回のエンジン1の自動停止時にHighクラッチ33で滑りが発生したとしても、以降のエンジン1の自動停止時にHighクラッチ33で滑りが発生するとは限らない。
さらに、エンジン1が自動停止するタイミングと車両が路面の凹凸を乗り越えるタイミングとが同じである場合には、駆動輪7からHighクラッチ33に入力するトルクに対してHighクラッチ33の油圧が不足し、Highクラッチ33で滑りが発生する。しかし、2つのタイミングが同じとなる可能性は低い。そのため、今回のエンジン1の自動停止時にHighクラッチ33で滑りが発生したとしても、以降のエンジン1の自動停止時にHighクラッチ33で滑りが発生するとは限らない。
このように、エンジン1を自動停止し、コーストストップ制御を実行した場合にHighクラッチ33で滑りが発生しても、以降のコーストストップ制御時にHighクラッチ33で滑りが必ず発生するとは限らない。そのため、コーストストップ制御を実行してからHighクラッチ33で滑りが1回発生し、コーストストップ実行領域を狭めると、次回のコーストストップ制御ではHighクラッチ33で滑りが発生しない可能性が高いにも関わらず、コーストストップ制御が実行されない。従って、燃費を向上する余地があるにも関わらず、燃費を向上することができない。
そのため、本実施形態では、Highクラッチ33における滑りが複数回発生した場合にコーストストップ実行領域を狭めている。
次に本実施形態のコーストストップ制御について図3のフローチャートを用いて説明する。
ステップS100では、制御部120は、コーストストップ制御を実行しているかどうか判定する。処理は、コーストストップ制御を実行している場合にはステップS101へ進み、コーストストップ制御を実行していない場合には、本制御を終了する。
ステップS101では、制御部120は、車速センサ43からの信号に基づいて第1回転速度を検出する。
ステップS102では、制御部120は、回転速度センサ48からの信号に基づいて第2回転速度を検出する。
ステップS103では、クラッチ滑り検知部122は、Highクラッチ33の滑り量を算出する。具体的には、クラッチ滑り検知部122は、ステップS101で検出した第1回転速度、ステップS103で検出した第2回転速度、第2ギヤ列5およびHighクラッチ33における変速比に基づいてHighクラッチ33における回転速度差を算出する。
ステップS104では、クラッチ滑り検知部122は、ステップS103によって算出したHighクラッチ33の滑り量に基づいてHighクラッチ33で滑りが発生しているかどうか判定する。具体的には、クラッチ滑り検知部122は、Highクラッチ33の滑り量がゼロの場合、つまり滑りが発生していない場合のHighクラッチ33における回転速度差よりも、現在のHighクラッチ33における回転速度差が大きい場合にHighクラッチ33で滑りが発生していると判定する。処理は、Highクラッチ33で滑りが発生している場合にはステップS105へ進み、Highクラッチ33で滑りが発生していない場合には本制御を終了する。
ステップS105では、制御部120は、Highクラッチ33の滑り量が所定量以上であるかどうか判定する。所定量は、予め設定された値である。滑り量が大きく、その後Highクラッチ33が再締結した場合には、再締結時の締結ショックが大きくなる。また、このような場合には、Highクラッチ33の耐久性が低下するおそれがある。所定量は、このような点を考慮して設定される。
ステップS106では、制御部120は、詳しくは後述する所定回数を変更する。具体的には、制御部120は、所定回数を現在の所定回数から少なくする。例えば制御部120は現在の所定回数から1を減算して所定回数を少なくする。滑り量が所定量以上である場合には、Highクラッチ33の再締結時の締結ショックが大きくなり、またHighクラッチ33の耐久性が低下するおそれがある。そのため、このような場合には、所定回数を少なくする。
ステップS107では、制御部120は、現在の滑り回数をカウントアップする。
ステップS108では、制御部120は、滑り回数が所定回数となったかどうか判定する。つまり、制御部120は、上記する滑りが所定回数発生したと判定する。所定回数は、初期値が予め設定されており、滑り量が所定量以上の場合に変更される。処理は、滑り回数が所定回数になった場合にステップS109に進み、滑り回数が所定回数よりも少ない場合には本制御を終了する。
所定回数の初期値は、2以上の値であり、Highクラッチ33で滑りが発生する原因に基づいて設定される。例えば、メカオイルポンプ10mが停止した場合に、メカオイルポンプ10mにおいて吸入ポートと吐出ポートと連通した状態で停止する頻度は極めて低いので、これを考慮すると、所定回数の初期値は例えば30回に設定される。また、エンジン1が自動停止するタイミングと車両が路面の凹凸を乗り越えるタイミングとが同じになる頻度は低いが、駆動輪7からHighクラッチ33に入力するトルクが大きく、Highクラッチ33の耐久性が大幅に低下する。そのため、滑りを許容可能な所定回数は少なく、所定回数の初期値は例えば3回に設定される。また、エンジン回転速度がゼロとなる際にエンジン1が逆回転する頻度は高いが、Highクラッチ33の耐久性への影響は小さい。そのため、所定回数の初期値は、例えば10回に設定される。本実施形態では、上記所定回数の初期値の中からHighクラッチ33の耐久性を考慮し、所定回数の初期値を最小回数に設定し、3回とする。
ステップS109では、制御部120は、Highクラッチ33の滑り量に基づいて図4に示すマップを用いてコーストストップ開始車速の減少量を算出する。
コーストストップ制御中は、ロックアップクラッチ2aが解放され、トルクコンバータ2はコンバータ状態となっており、エンジン1は停止している。トルクコンバータ2のタービン軸には駆動輪7の回転が伝達されているが、エンジン1が停止しているのでタービン軸は反力を受ける。タービン軸が受ける反力は、図5に示すようにタービン軸の回転速度(車速)が大きくなるほど大きくなる。図5はタービン軸の回転速度とタービン軸が受ける反力との関係を示すマップである。タービン軸が受ける反力が大きくなると、Highクラッチ33で滑りが発生しないようにHighクラッチ33を締結させるために必要な油圧が高くなる。コーストストップ制御中は、Highクラッチ33を締結させるために必要な油圧は電動オイルポンプ10eによって発生させており、タービン軸の回転速度が大きくなると、電動オイルポンプ10eの吐出圧も高くする必要がある。
しかし、部品のばらつきなどによって電動オイルポンプ10eの吐出可能圧が低い場合には、Highクラッチ33で滑りを発生させない油圧を電動オイルポンプ10eからHighクラッチ33に供給できない場合がある。
そこで、制御部120は、Highクラッチ33で滑りが所定回数発生した場合には、Highクラッチ33の滑り量に基づいてコーストストップ開始車速の減少量を算出する。滑り量は、ステップS103によって算出した滑り量である。なお、滑り量が所定量よりも大きくなった場合の滑り量を記憶しておき、記憶した滑り量の平均値に基づいてコーストストップ開始車速の減少量を算出してもよい。
ステップS110では、制御部120は、現在設定されているコーストストップ開始車速からステップS109によって算出したコーストストップ開始車速の減少量を減算した車速を、新たにコーストストップ開始車速として設定する。
これにより、次回からのコーストストップ制御は、車速が新たに設定されたコーストストップ開始車速以下となり、かつ他のコーストストップ条件を満たした場合に実行される。つまり、次回から車速に関してコーストストップ実行領域が狭くなる。そのため、今回、Highクラッチ33で滑りが発生した車速において、コーストストップ制御は実行されず、エンジン1が駆動している。エンジン1の駆動によってメカオイルポンプ10mによって油圧が発生し、この油圧によってHighクラッチ33は締結しているので、Highクラッチ33で滑りが発生することが抑制される。
ステップS111では、制御部120は、滑り回数をリセットする。
ステップS112では、制御部120は、コーストストップ制御を終了する。
以上のようにコーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りが所定回数発生した場合に、コーストストップ開始車速を低くすることで、次回からのコーストストップ制御においてタービン軸の回転速度が小さくなり、Highクラッチ33の滑りを抑制することができる。
なお、制御部120は、イグニッションスイッチがOFFとなるまでは新たに設定されたコーストストップ開始車速を記憶している。これによって、Highクラッチ33で滑りが発生した車速でコーストストップ制御が実行されることはなく、Highクラッチ33の滑り発生を抑制することができる。
また、制御部120は、車両の減速度が急減速を示す所定減速度よりも大きい場合には、コーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りが検出された場合でも、新たなコーストストップ開始車速の設定を行わない。車両が急減速された場合に滑りが発生しないように新たなコーストストップ開始車速を設定すると、コーストストップ実行領域が極小となり、燃費向上を図ることができなくなる。そのため車両の減速度が急減速を示す所定減速度よりも大きい場合には、新たなコーストストップ開始車速の設定を行わない。その結果、車速に関するコーストストップ実行領域を不必要に狭くせずに燃費を向上することができる。
次にコーストストップ制御を実行した場合のタイムチャートについて図6を用いて説明する。図6においては、エンジン回転速度を二点鎖線、タービン軸の回転速度を一点鎖線、第1回転速度を実線、第2回転速度を破線で示し、コーストストップ開始車速を点線で示す。また、メカオイルポンプ10mの吐出圧を破線で示す。
時間t0において、コーストストップ制御が開始される。これにより、エンジン1が停止し、メカオイルポンプ10mの吐出圧が低下する。また、電動オイルポンプ10eが駆動し、電動オイルポンプ10eの吐出圧が高くなる。第1回転速度および第2回転速度は徐々に減少する。
タービン軸の回転速度が比較的に高い場合には、トルクコンバータ2でタービン軸が受ける反力が大きい。そのため、電動オイルポンプ10eの吐出可能圧にバラツキが生じて吐出圧が低い場合に、時間t1においてHighクラッチ33で滑りが発生し、滑り回数が所定回数となる。
Highクラッチ33で滑りが所定回数発生すると、時間t2においてHighクラッチ33の滑り量に基づいてコーストストップ開始車速を低くし、滑り回数をリセットし、コーストストップ制御を終了する。変更前のコーストストップ開始車速を時間t1以降において説明のために間隔が短い点線で示す。
その後、再び車両の運転状態がコースト状態となり、時間t3において車速が時間t1においてコーストストップ制御が開始されたコーストストップ開始車速となっても、コーストストップ制御は開始されない。
時間t4において、車速が、変更されたコーストストップ開始車速となるとコーストストップ制御が開始される。ここでは、車速が十分に低くなっているので、タービン軸が受ける反力は小さい。そのため、電動オイルポンプ10eの吐出可能圧が低くても、電動オイルポンプ10eから吐出される油圧によってHighクラッチ33で滑りを生じさせずに締結させることができる。
本発明の第1実施形態の効果について説明する。
コーストストップ実行領域を従来のコーストストップ実行領域よりも広く設定し、コーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りが所定回数発生すると、コーストストップ実行領域を現在のコーストストップ実行領域よりも狭くする。これにより、従来、コーストストップ制御を実行しないコーストストップ実行領域においてもコーストストップ制御を実行することができ、燃費を向上することができる(請求項1に対応する効果)。
コーストストップ制御中にHighクラッチ33に滑りが発生している場合に運転者から再加速要求があると、コーストストップ制御は中止され、エンジン1が再始動する。エンジン1が再始動するとメカオイルポンプ10mから高い油圧が供給されるので、Highクラッチ33は完全に締結する。この時、滑り量に応じた締結ショックが発生し、滑り量が大きいと締結ショックも大きくなる。また、滑り量が大きいとHighクラッチ33における発熱量が大きくなり、Highクラッチ33の耐久性が低下し、Highクラッチ33が劣化する。
本実施形態では、滑り量が所定量以上となった場合には、所定回数を少なくすることで、コーストストップ実行領域を広くして燃費を向上しつつ、滑り量が大きい滑りの発生を抑制し、締結ショックが大きくなることを抑制し、またHighクラッチ33の耐久性低下を抑制し、Highクラッチ33の劣化を抑制することができる(請求項2に対応する効果)。
本実施形態では、コーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りが所定回数発生した場合には、その領域(条件)で再度滑りが発生することを抑制することができる。そのためHighクラッチ33で滑りが生じる条件でコーストストップ制御が実行されることを防ぐことができ、コーストストップ制御中に運転者によって再加速要求があり、エンジン1を再始動した場合に再締結時の締結ショックの発生を抑制することができる。また、滑りによるHighクラッチ33の劣化を抑制することができる(請求項1に対応する効果)。
コーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りが所定回数発生すると、コーストストップ開始車速を小さくする。これにより、Highクラッチ33で滑りが発生した車速においてコーストストップ制御が開始されることを防ぐことができ、Highクラッチ33で滑りが発生することを抑制することができる(請求項3に対応する効果)。
コーストストップ開始車速を変更した後に、Highクラッチ33で滑りが所定回数発生した場合には、変更したコーストストップ開始車速をさらにHighクラッチ33の滑り量に基づいて変更する。これにより、Highクラッチ33で滑りが発生する場合に、コーストストップ開始車速を徐々に低くし、コーストストップ開始車速をできる限り高くし、燃費を向上させつつ、Highクラッチ33における滑り発生を抑制することができる(請求項6に対応する効果)。
コーストストップ開始車速の減少量は、Highクラッチ33の滑り量が大きいほど大きくなる。Highクラッチ33の滑り量が大きいほど、電動オイルポンプ10eからHighクラッチ33への供給油圧の不足量が大きい。そのため、Highクラッチ33の滑り量が大きいほどコーストストップ開始車速の減少量を大きくすることで、次回からのHighクラッチ33における滑り発生を抑制することができる(請求項7に対応する効果)。
電動オイルポンプ10eの吐出圧がメカオイルポンプ10mの吐出圧よりも高くなり、かつ車両が急減速している場合に、Highクラッチ33で滑りが検出された場合でも、コーストストップ開始車速の変更は行われない。このような場合では、Highクラッチ33で滑りが生じ、その後に油圧が供給されHighクラッチ33が締結しても、締結ショックはほとんど生じないので、コーストストップ開始車速の変更を行わない。Highクラッチ33における滑りが問題とならない場合には、コーストストップ開始車速の変更を行わないことで、燃費を向上することができる(請求項8に対応する効果)。
変更されたコーストストップ開始車速は、イグニッションスイッチがOFFとなるまで記憶される。これにより、Highクラッチ33で滑りが発生した車速で、コーストストップ制御が実行されることを防止することができ、Highクラッチ33で滑りが発生することを抑制することができる(請求項9に対応する効果)。
また、イグニッションスイッチがOFFとなるとコーストストップ開始車速は初期値にリセットされる。これに対して、イグニッションスイッチがOFFとなってもコーストストップ開始車速を初期値にリセットせずに、次回のイグニッションスイッチがONとなった後も引き続き変更したコーストストップ開始車速を用いることも考えられる。この場合、狭くなった車速に関するコーストストップ実行領域に対して変更が繰り返され、コーストストップ実行領域は次第に狭くなり続ける。車両の運転状態は、運転者の操作変化、路面状況の変化、周囲環境の変化などによって変わる。従って、前回滑りが発生した車速であっても毎回必ず滑りが発生するとは限らない。そのため、イグニッションスイッチがOFFとなると、コーストストップ開始車速を初期値にリセットし、再度コーストストップ実行領域を広くすることで、コーストストップ制御を広範囲で実行し、燃費向上を図ることができる(請求項9に対応する効果)。
このようなコーストストップ開始車速の初期化は、車両の走行距離がある所定走行距離となった場合に行うことも可能である。しかし、所定走行距離が長く設定されるとコーストストップ制御が実行される時間が短くなり、燃費向上効果が低減される。一方、所定走行距離を短く設定するとイグニッションスイッチがONとなり、OFFとなるまでの間にコーストストップ開始車速の初期化が行われ、運転者に煩わしさを与える。コーストストップ開始車速の初期化が走行時間に応じて行う場合も同様である。そのため、コーストストップ開始車速の初期化は、運転が終了する時であるイグニッションスイッチがOFFとなった時に行われることが望ましい。
次に本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態については第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態のコーストストップ制御について図7のフローチャートを用いて説明する。
ステップS200からステップS208までの制御は、第1実施形態のステップS100からステップS108までの制御と同じなので、ここでの説明は省略する。
ステップS209では、制御部120は、図8に示すマップからHighクラッチ33の滑り量に基づいてコーストストップ条件の所定の油温範囲の低下量を算出する。図8はHighクラッチ33の滑り量と所定の油温範囲の低下量との関係を示すマップである。滑り量が大きくなると、所定の油温範囲の低下量は大きくなる。つまり、滑り量が大きくなると、油温に関するコーストストップ実行領域が狭くなり、所定の油温範囲は狭くなる。電動オイルポンプ10eの吐出可能圧は、部品のバラツキなどによって設定された吐出可能圧よりも低い場合がある。このような電動オイルポンプ10eの吐出可能圧と油温との関係を図9に示す。図9では設定された吐出可能圧を実線で示し、吐出可能圧が設定された吐出可能圧よりも低い電動オイルポンプ10eの吐出可能圧を破線で示す。また、コーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りを生じさせない電動オイルポンプ10eの吐出圧を一点鎖線で示す。図9によると、設定された吐出可能圧よりも実際の吐出可能圧が低い電動オイルポンプ10eでは、コーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りが発生しない吐出圧よりも吐出圧が低くなるおそれがある。そのため、Highクラッチ33で滑りを発生させないために必要な油圧を電動オイルポンプ10eによって供給できないおそれがある。
そこで、制御部120は、Highクラッチ33で滑りが所定回数発生した場合には、Highクラッチ33の滑り量に基づいて油温範囲の低下量を算出する。油温範囲の低下量を算出する際の滑り量は、第1実施形態と同じである。
ステップS210では、制御部120は、算出した油温範囲の低下量に基づいてコーストストップ条件の所定の油温範囲を狭くする。本実施形態では、現在設定されている所定の油温範囲の下限値に低下量を加算し、所定の油温範囲を狭くする。図9において所定の油温範囲は実線の矢印で示す範囲から破線の矢印で示す範囲に変更される。
ステップS211では、制御部120は、滑り回数をリセットする。
ステップS212では、制御部120は、コーストストップ制御を終了する。
なお、制御部120は、イグニッションスイッチがOFFとなるまでは新たに設定された所定の油温範囲を記憶している。これによって、Highクラッチ33で滑りが発生した油温でコーストストップ制御が実行されることはなく、Highクラッチ33の滑り発生を抑制することができる。
次に本実施形態のコーストストップ制御を実行した場合のタイムチャートについて図10を用いて説明する。図10では、エンジン回転速度を二点鎖線で示し、第1回転速度を実線、第2回転速度を破線で示す。また、メカオイルポンプ10mの吐出圧を破線で示す。さらに所定の油温範囲の下限値を破線で示す。
時間t0において、コーストストップ制御が開始される。これにより、エンジン1が停止し、メカオイルポンプ10mの吐出圧が低下する。また、電動オイルポンプ10eが駆動し、電動オイルポンプ10eの吐出圧が高くなる。第1回転速度および第2回転速度は徐々に減少する。
電動オイルポンプ10eの吐出可能圧にバラツキが有り、吐出可能圧が低く、実際の電動オイルポンプ10eの吐出圧が設定された吐出圧よりも低い場合に、時間t1においてHighクラッチ33で滑りが発生し、滑り回数が所定回数となる。
Highクラッチ33で滑りが発生すると、時間t2において、所定の油温範囲の下限値を変更して所定の油温範囲を狭くし、滑り回数をリセットし、コーストストップ制御を終了する。
その後、再び車両の運転状態がコースト状態となり、油温が、変更される前の所定の油温範囲の下限値よりも高い場合でも、コーストストップ制御は実行されない。
時間t3において、油温が、変更された後の所定の油温範囲の下限値となると、コーストストップ制御が開始される。油温が高いので、電動オイルポンプ10eの吐出圧が高く、Highクラッチ33での滑りの発生を抑制することができる。
本発明の第2実施形態の効果について説明する。
コーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りが発生すると、所定の油温範囲を狭くする。これにより、滑りが発生した油温においてコーストストップ制御が実行されることを防ぐことができ、Highクラッチ33で滑りが発生することを抑制することができる(請求項4に対応する効果)。
次に本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態のコーストストップ制御について図11のフローチャートを用いて説明する。
ステップS300からステップS308までは第1実施形態のステップS100からステップS108と同じ制御なので、ここでの説明は省略する。
ステップS309では、制御部120は、Highクラッチ33の滑り量に基づいて図12に示すマップを用いてコーストストップ制御開始時のバリエータ20の変速比の変化量を算出する。図12は、滑り量と変速比の変化量との関係を示すマップである。滑り量が大きくなると、変速比の変化量は大きくなる。変速比の変化量は、バリエータ20におけるHigh側への変化量である。変速比の変化量を算出する際の滑り量は、第1実施形態と同じである。
ステップS310では、制御部120は、今回コーストストップ制御を開始した時の第2所定変速比からステップS309で算出した変化量を減算し、第2所定変速比を変更する。つまり、第2所定変速比をHigh側へ変更し、所定の変速比領域を狭くする。これにより、次回のコーストストップ制御は、今回のコーストストップ制御開始時の変速比よりもHigh側の変速比で実行される。例えば、第2所定変速比が最Lowに設定されており、コーストストップ制御を開始した時の変速比が最Lowであった場合には、所定の変速比領域は、第1所定変速比と最Lowと間の領域から、第1所定変速比と最Lowの変速比から変化量を減算した変速比との間の領域に変更される。つまり、次回から変速比に関してコーストストップ実行領域が狭くなる。
図5に示すようにタービン軸の回転速度が大きくなるほどタービン軸が受ける反力は大きくなる。そこで、制御部120は、コーストストップ制御開始時のバリエータ20の変速比をHigh側へ変更することでタービン軸の回転速度を小さくし、Highクラッチ33で滑りを発生することを抑制する。
ステップS311では、制御部120は、滑り回数をリセットする。
ステップS312では、コーストストップ制御を終了する。
なお、制御部120は、イグニッションスイッチがOFFとなるまでは新たに設定された所定の変速比領域を記憶している。これによって、Highクラッチ33で滑りが発生した変速比でコーストストップ制御が実行されることはなく、Highクラッチ33の滑り発生を抑制することができる。
本発明の第3実施形態の効果について説明する。
コーストストップ制御中にHighクラッチ33で滑りが所定回数発生すると、第2所定変速比をHigh側へ変更し、所定の変速比領域をHigh側へ狭くなるように変更する。これにより、次回からのコーストストップ制御を開始する時のバリエータ20の変速比はHighクラッチ33で滑りが発生した時の変速比よりもHigh側となる。そのため、コーストストップ制御中に、タービン軸の回転速度を小さくし、タービン軸が受ける反力を小さくすることができ、Highクラッチ33で滑りが発生することを抑制することができる(請求項5に対応する効果)。
コーストストップ条件として車両減速度や路面勾配などを用いても良く、例えばHighクラッチ33で滑りが発生した場合に、許可車両減速度を小さくし、または許可路面勾配を小さくする。
また、上記実施形態では、コーストストップ制御でHighクラッチ33を締結させる場合について説明したが、これに限られることはなくLowブレーキ32であっても良く、さらに副変速機構30以外の摩擦締結要素であっても良い。
上記実施形態を組み合わせても良い。
上記実施形態では、Highクラッチ33で滑りが発生しても、滑り回数が所定回数となるまではコーストストップ実行領域が狭くならないので、その間、Highクラッチ33で滑りが発生すると、その後のHighクラッチ33の締結時に締結ショックが発生し、運転者に違和感を与える。そのため、運転者に違和感を与えることを抑制するために、所定回数の初期値を少なくしてもよい。上記実施形態では、所定回数の初期値を3回としたが、これを2回としてもよい。なお、Highクラッチ33で滑りが発生することによるHighクラッチ33の耐久性低下を抑制するために、所定回数の初期値を少なくしてもよい。コーストストップ制御は低車速で実行されるので、滑りが発生することによるHighクラッチ33の耐久性低下はさほど問題とならない場合がある。そのような場合には、Highクラッチ33の再締結時に発生する締結ショックの抑制を優先して所定回数の初期値を設定する。
上記実施形態では、滑り量と所定量とを比較したが、所定量を複数設定してもよい。例えば所定量を、「小」、「中」、「大」の3つに分けてもよい。この場合、例えば滑り量が「小」であった場合には所定回数を変更せず、「中」であった場合には所定回数を3回から2回に変更し、「大」であった場合には所定回数を3回から1回に変更する。このように所定量を複数設定することで、滑り量に応じてコーストストップ実行領域を変更することができる。
所定量を複数設定する場合には、図13に示すように設定してもよい。図13は、滑り量と、所定回数と、滑り回数との関係を示す図である。図13において、Sは滑り量である。X1、X2、X3は所定量であり、X1<X2<X3である。Y1、Y2、Y3は所定回数であり、Y1>Y2>Y3である。ここでは、所定回数の変更は行わず、滑り量に応じて滑り回数をカウントする。そして、式(1)を満たす場合に、コーストストップ開始車速の減少量などを算出し、コーストストップ実行領域を狭くする。
(数1)
N1/Y1+N2/Y2+N3/Y3+・・・≧1 (1)
各所定回数は、Highクラッチ33の耐久性、滑り発生後のHighクラッチ33の再締結時の締結ショックに応じて設定される。このように所定量を複数設定することで、滑り量が異なる滑りが発生した場合に、滑り量に応じてコーストストップ実行領域を狭くすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。