JP2017116045A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルトの滑りの発生を適切に抑制できる、ベルト無段変速機の制御装置を提供する。【解決手段】セカンダリプーリに対するベルトの滑りが発生したことに対して(S1:YES)、セカンダリプーリとベルトとの間の摩擦係数μが推定により取得される(S2)。そして、摩擦係数μの取得時における変速比γとが対応づけられて、μマップに記憶される(S3)。μマップに記憶されている摩擦係数μに基づいて、ベルトの滑りの発生を抑制するためのフェイルセーフが実行される。【選択図】図3

Description

本発明は、無段変速機の制御装置に関する。
車両に搭載される変速機として、ベルト式のCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)が広く知られている。
ベルト式のCVTは、入力側のプライマリプーリと出力側のセカンダリプーリとに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有している。プライマリプーリおよびセカンダリプーリの各プーリは、固定シーブと、固定シーブにベルトを挟んで対向し、その対向方向(軸線方向)に移動可能な可動シーブとを備えている。
プライマリプーリの可動シーブに対するオイルの供給が制御されることにより、プライマリプーリの固定シーブと可動シーブとの間隔が変更される。これに伴い、プライマリプーリに対するベルトの巻きかけ径が変化するとともに、セカンダリプーリの固定シーブと可動シーブとの間隔が変化し、セカンダリプーリに対するベルトの巻きかけ径が変化する。これにより、変速比(プーリ比)が無段階で連続的に変化する。
一方、ベルト式のCVTは、各プーリとベルトとの間の接触摩擦力により、プライマリプーリからセカンダリプーリに動力を伝達する構成であるので、その動力伝達の際、各プーリに対してベルトが滑らないように、入力トルクに応じた挟圧が各プーリからベルトに付与される必要がある。そのため、たとえば、入力トルクに対してベルトの滑りを防止できる最低限の挟圧に所定の安全率を掛け合わせることにより挟圧が設定され、その設定された挟圧が得られるよう、セカンダリプーリの可動シーブに供給される油圧が制御される。
特開2015−194169号公報
ところが、ベルトにイナーシャトルクが作用する急制動時などに、ベルトに付与される挟圧(ベルト挟圧)に不足が生じ、ベルトの滑りが発生するおそれがある。ベルトの滑りによりプーリが異常摩耗して、ベルトとプーリとの間の摩擦抵抗が低下すると、プーリに対してベルトが滑りやすくなる。ベルトの滑りを防止するため、挟圧を設定する際の安全率が大きく設定されると、挟圧が過大になり、各部(プーリを支持するベアリングなど)に過負荷が加わり、また、各部でのエネルギ損失の増大を招く。
本発明の目的は、ベルトの滑りの発生を適切に抑制できる、ベルト無段変速機の制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る無段変速機の制御装置は、プーリに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有するベルト式の無段変速機の制御装置であって、プーリに対するベルトの滑りを検出する滑り検出手段と、滑り検出手段によるベルトの滑りの検出に対して、プーリの状態を取得する状態取得手段と、状態取得手段により取得されるプーリの状態を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されているプーリの状態に基づいて、ベルトの滑りの発生を抑制するためのフェイルセーフを実行するフェイルセーフ実行手段とを含む。
この構成によれば、プーリに対するベルトの滑りが発生したことに対して、プーリの状態が取得されて記憶手段に記憶される。そして、記憶手段に記憶されているプーリの状態に基づいて、ベルトの滑りの発生を抑制するためのフェイルセーフが実行される。フェイルセーフがベルトの滑りの発生と対応関係を有するプーリの状態に基づいて実行されるので、ベルトの滑りの発生を適切に抑制することができる。
状態取得手段は、プーリの状態として、滑り検出手段によるベルトの滑りの検出時における無段変速機の変速比に対応する変速比対応値を取得し、フェイルセーフ実行手段は、フェイルセーフとして、無段変速機の変速比が記憶手段に記憶されている変速比対応値に応じた変速比を含む所定範囲内である場合に、ベルトに付与される挟圧を増大させるか、または、変速比の構成を制限してもよい。
これにより、無段変速機の変速比がベルトの滑りの発生時における変速比を含む所定範囲内である場合に、ベルトに付与される挟圧が増大されるか、または、その変速比を構成することが制限されるので、ベルトの滑りの発生を良好に抑制することができる。また、ベルトがプーリにおける同一箇所に接触した状態でベルトの滑りが繰り返し発生することを抑制できるので、その箇所の異常摩耗による摩擦係数の低下を抑制することができる。また、挟圧が限定的に増大されることにより、変速比にかかわらず挟圧を増大させる手法と比較して、各部に過負荷が加わることを抑制でき、また、各部でのエネルギ損失の増大を抑制することができる。
また、状態取得手段は、プーリの状態として、滑り検出手段によるベルトの滑りの検出時におけるプーリとベルトとの間の摩擦係数に対応する摩擦係数対応値を取得し、フェイルセーフ実行手段は、フェイルセーフとして、記憶手段に記憶されている摩擦係数対応値に応じてベルトに付与される挟圧を増大させてもよい。
ベルトの滑りの発生時に取得された摩擦係数対応値に応じてベルトに付与される挟圧が増大されることにより、ベルトの滑りの発生を良好に抑制することができる。また、ベルトがプーリにおける同一箇所に接触した状態でベルトの滑りが繰り返し発生することを抑制できるので、その箇所の異常摩耗による摩擦係数の低下を抑制することができる。
変速比対応値は、変速比そのものの値であってもよいし、変速比に対応するプーリに対するベルトの巻きかけ径であってもよい。
摩擦係数対応値は、プーリとベルトとの間の摩擦係数そのものの値であってもよい。
本発明によれば、ベルトの滑りの発生を適切に抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載された車両の要部の構成を示す図である。 車両の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。 μマップ作成処理の流れを示すフローチャートである。 μマップの一例を示す図である。 μマップの他の例を示す図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<車両の要部構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載された車両1の要部の構成を示す図である。
車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。エンジン2の出力は、トルクコンバータ3および無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)4を介して、車両1の左右の駆動輪に伝達される。
エンジン2には、エンジン2の燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータが付随して設けられている。
車両1には、CPU、ROMおよびRAMなどを含む構成の複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が備えられている。複数のECUには、エンジンECU11およびCVTECU12が含まれる。各ECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。
エンジンECU11には、アクセルセンサ21およびエンジン回転数センサ22などが接続されている。
アクセルセンサ21は、運転者により操作されるアクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力する。エンジンECU11は、アクセルセンサ21から入力される検出信号に基づいて、アクセルペダルの最大操作量に対する操作量の割合、つまりアクセルペダルが踏み込まれていないときを0%とし、アクセルペダルが最大に踏み込まれたときを100%とする百分率であるアクセル開度を演算する。
エンジン回転数センサ22は、エンジン2の回転(クランクシャフトの回転)に同期したパルス信号を検出信号として出力する。エンジンECU11は、エンジン回転数センサ22から入力されるパルス信号の周波数をエンジン2の回転数(エンジン回転数)に換算する。
エンジンECU11は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、エンジン2の始動、停止および出力調整などのため、エンジン2に設けられた電子スロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグなどを制御する。
CVTECU12には、プライマリ回転数センサ23、セカンダリ回転数センサ24および油圧センサ25などが接続されている。
プライマリ回転数センサ23は、たとえば、無段変速機4のプライマリ軸51(図2参照)の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。CVTECU12は、プライマリ回転数センサ23から入力されるパルス信号の周波数をプライマリ軸51の回転数(プライマリ回転数)に換算する。
セカンダリ回転数センサ24は、たとえば、無段変速機4のセカンダリ軸52(図2参照)の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。CVTECU12は、セカンダリ回転数センサ24から入力されるパルス信号の周波数をセカンダリ軸52の回転数(セカンダリ回転数)に換算する。
油圧センサ25は、無段変速機4のセカンダリプーリ54の可動シーブ66(図2参照)に作用する油圧に応じた検出信号を出力する。CVTECU12は、油圧センサ25の検出信号から可動シーブ66に作用する油圧を取得する。
CVTECU12は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、無段変速機4の変速制御などのため、無段変速機4の各部に油圧を供給するための油圧回路26に含まれる各種のバルブなどを制御する。
<駆動系統の構成>
図2は、車両1の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。
トルクコンバータ3は、ポンプインペラ31、タービンランナ32およびロックアップクラッチ33を備えている。ポンプインペラ31には、エンジン2の出力軸(E/G出力軸)が連結されており、ポンプインペラ31は、E/G出力軸と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。タービンランナ32は、ポンプインペラ31と同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。ロックアップクラッチ33は、ポンプインペラ31とタービンランナ32とを直結/分離するために設けられている。ロックアップクラッチ33が係合されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが直結され、ロックアップクラッチ33が解放されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが分離される。
ロックアップクラッチ33が解放された状態において、E/G出力軸が回転されると、ポンプインペラ31が回転する。ポンプインペラ31が回転すると、ポンプインペラ31からタービンランナ32に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ32で受けられて、タービンランナ32が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ32には、E/G出力軸の動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。
ロックアップクラッチ33が係合された状態では、E/G出力軸が回転されると、E/G出力軸、ポンプインペラ31およびタービンランナ32が一体となって回転する。
トルクコンバータ3と無段変速機4との間には、オイルポンプ5が設けられている。オイルポンプ5は、機械式オイルポンプであり、ポンプ軸は、ポンプインペラ31と回転軸線が一致するように配置され、ポンプインペラ31に相対回転不能に連結されている。これにより、エンジン2の動力によりポンプインペラ31が回転されると、オイルポンプ5のポンプ軸が回転し、オイルポンプ5からオイルが吐出される。
無段変速機4は、トルクコンバータ3から入力される動力をデファレンシャルギヤ6に伝達する。無段変速機4は、インプット軸41、アウトプット軸42、ベルト伝達機構43および前後進切替機構44を備えている。
インプット軸41は、トルクコンバータ3のタービンランナ32に連結され、タービンランナ32と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
アウトプット軸42は、インプット軸41と平行に配置されている。アウトプット軸42には、出力ギヤ45が相対回転不能に支持されている。
ベルト伝達機構43には、プライマリ軸51およびセカンダリ軸52が含まれる。プライマリ軸51およびセカンダリ軸52は、それぞれインプット軸41およびアウトプット軸42と同一軸線上に配置されている。
そして、ベルト伝達機構43は、プライマリ軸51に支持されたプライマリプーリ53とセカンダリ軸52に支持されたセカンダリプーリ54とに、無端状のベルト55が巻き掛けられた構成を有している。
プライマリプーリ53は、プライマリ軸51に固定された固定シーブ61と、固定シーブ61にベルト55を挟んで対向配置され、プライマリ軸51にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ62とを備えている。可動シーブ62に対して固定シーブ61と反対側には、プライマリ軸51に固定されたピストン63が設けられ、可動シーブ62とピストン63との間に、ピストン室(油室)64が形成されている。
セカンダリプーリ54は、セカンダリ軸52に対して固定された固定シーブ65と、固定シーブ65にベルト55を挟んで対向配置され、セカンダリ軸52にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ66とを備えている。可動シーブ66に対して固定シーブ65と反対側には、セカンダリ軸52に固定されたピストン67が設けられ、可動シーブ66とピストン67との間に、ピストン室68が形成されている。
なお、図示されていないが、可動シーブ66とピストン67との間には、ベルト55に初期挟圧(初期推力)を与えるためのバイアススプリングが介在されている。バイアススプリングの弾性力により、可動シーブ66およびピストン67は、互いに離間する方向に付勢されている。
前後進切替機構44は、インプット軸41とベルト伝達機構43のプライマリ軸51との間に介装されている。前後進切替機構44は、遊星歯車機構71、リバースクラッチC1およびフォワードブレーキB1を備えている。
遊星歯車機構71には、キャリア72、サンギヤ73およびリングギヤ74が含まれる。
キャリア72は、インプット軸41に相対回転可能に外嵌されている。キャリア72は、複数のピニオンギヤ75を回転可能に支持している。複数のピニオンギヤ75は、円周上に配置されている。
サンギヤ73は、インプット軸41に相対回転不能に支持されて、複数のピニオンギヤ75により取り囲まれる空間に配置されている。サンギヤ73のギヤ歯は、各ピニオンギヤ75のギヤ歯と噛合している。
リングギヤ74は、その回転軸線がプライマリ軸51の軸心と一致するように設けられている。リングギヤ74には、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51が連結されている。リングギヤ74のギヤ歯は、複数のピニオンギヤ75を一括して取り囲むように形成され、各ピニオンギヤ75のギヤ歯と噛合している。
リバースクラッチC1は、油圧により、キャリア72とサンギヤ73とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態(オン)と、その直結を解除する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
フォワードブレーキB1は、キャリア72とトルクコンバータ3および無段変速機4を収容するトランスミッションケースとの間に設けられ、油圧により、キャリア72を制動する係合状態(オン)と、キャリア72の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
車両1の前進時には、リバースクラッチC1が解放されて、フォワードブレーキB1が係合される。エンジン2の動力がインプット軸41に入力されると、キャリア72が静止した状態で、サンギヤ73がインプット軸41と一体に回転する。そのため、サンギヤ73の回転は、リングギヤ74に逆転かつ減速されて伝達される。これにより、リングギヤ74が回転し、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51およびプライマリプーリ53がリングギヤ74と一体に回転する。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。そして、セカンダリ軸52と一体に、アウトプット軸42および出力ギヤ45が回転する。出力ギヤ45は、デファレンシャルギヤ6(デファレンシャルギヤ6の入力ギヤ)と噛合している。出力ギヤ45が回転すると、デファレンシャルギヤ6から左右に延びるドライブシャフト7,8が回転して、駆動輪(図示せず)が回転することにより、車両1が前進する。
一方、車両1の後進時には、リバースクラッチC1が係合されて、フォワードブレーキB1が解放される。エンジン2の動力がインプット軸41に入力されると、キャリア72およびサンギヤ73がインプット軸41と一体に回転する。そのため、サンギヤ73の回転は、リングギヤ74に回転方向が逆転されずに伝達される。これにより、リングギヤ74が車両1の前進時と逆方向に回転し、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51およびプライマリプーリ53がリングギヤ74と一体に回転する。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。そして、セカンダリ軸52と一体に、アウトプット軸42および出力ギヤ45が回転する。出力ギヤ45が回転すると、デファレンシャルギヤ6から左右に延びるドライブシャフト7,8が前進時と逆方向に回転して、駆動輪(図示せず)が回転することにより、車両1が後進する。
<μマップ作成処理>
図3は、μマップ作成処理の流れを示すフローチャートである。
エンジン2の作動中、CVTECU12により、図3に示されるμマップ作成処理が一定周期で実行される。
μマップ作成(更新)処理では、セカンダリプーリ54に対するベルト55の滑りを検出したか否かが判断される(ステップS1)。たとえば、プライマリ回転数が急上昇し、その急上昇後のプライマリ回転数が所定時間以上継続して維持されると、セカンダリプーリ54に対するベルト55の滑りの検出とされ、ベルト55の滑りを検出したと判断される。
ベルト55の滑りが検出されるまで(ステップS1のNO)、以降の処理は実行されない。
ベルト55の滑りが検出されると(ステップS1のYES)、セカンダリプーリ54とベルト55との間の摩擦係数μが推定される(ステップS2)。摩擦係数μの推定に際して、無段変速機4に入力される入力トルク、セカンダリプーリ54の推力およびセカンダリプーリ54に対するベルト55の巻きかけ径が求められる。そして、入力トルク、推力および巻きかけ径から摩擦係数μが推定される。
入力トルクは、エンジントルクにトルクコンバータ3のトルク比を乗じることにより算出される。エンジントルクは、たとえば、エンジンECU11によりアクセル開度およびエンジン回転数から推定され、エンジンECU11からCVTECU12に送信される。トルク比は、トルクコンバータ3の速度比に応じたトルク増幅率である。速度比は、タービン回転数をエンジン回転数で除した除算値である。
セカンダリプーリ54の推力は、セカンダリ油圧とセカンダリプーリ54の可動シーブ66の受圧面積とを乗じ、その乗算値に可動シーブ66に作用する遠心油圧およびバイアススプリングによる初期推力を加算することにより算出される。可動シーブ66の受圧面積およびバイアススプリングによる初期推力は、既知であり、CVTECU12の不揮発性メモリに記憶されている。可動シーブ66に作用する遠心油圧は、CVTECU12の不揮発性メモリに記憶されている所定のオイル密度とセカンダリ回転数の二乗値とを乗じ、その乗算値に無段変速機4の諸元に応じて設定された係数をさらに乗じることにより求められる。
巻きかけ径は、変速比γ(プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54のプーリ比)により定める値である。変速比γは、プライマリ回転数およびセカンダリ回転数から求めることができる。
摩擦係数μの推定後、その推定された摩擦係数μと摩擦係数μの推定時における変速比γとが対応づけられて、CVTECU12の書換可能な不揮発性メモリ(フラッシュメモリまたはEEPROMなど)に記憶される(ステップS3)。
<μマップ>
図4は、μマップの一例を示す図である。図5は、μマップの他の例を示す図である。
μマップは、変速比γと摩擦係数μとの関係をマップ化したものである。CVTECU12の書換可能な不揮発性メモリには、μマップが初期時から記憶されており、ベルト55の滑りが検出されて、摩擦係数μおよび変速比γが取得されると、その摩擦係数μおよび変速比γを用いてμマップが更新されることにより、摩擦係数μおよび変速比γが不揮発性メモリ(μマップ)に記憶される。
具体的には、初期時のμマップでは、変速比γの最小値γminと最大値γmaxとの間において、一定差αずつ異なる各変速比γに対して、セカンダリプーリ54とベルト55との間の摩擦係数μの諸元値である一定値μが記憶されている。ベルト55の滑りが検出されて、たとえば、その一定値μよりも低い摩擦係数μが変速比γとともに取得されると、μマップにおいて、その取得された変速比γを含む所定範囲(たとえば、変速比「γmin+N・α(N:0以上の整数)」を下限とし、変速比「γmin+(N+M)・α(M:1以上の整数)」を上限とする範囲)内の各変速比γに対応する摩擦係数μが取得された摩擦係数μに書き換えられる。
<油圧制御>
無段変速機4では、CVTECU12により、アクセル開度および車速に応じた変速比となるよう、油圧回路26からプライマリプーリ53の可動シーブ62(ピストン室64)およびセカンダリプーリ54の可動シーブ66(ピストン室68)に供給される油圧が制御される(変速制御)。
変速比γが下げられるときには、プライマリプーリ53の可動シーブ62に供給される油圧が上げられる。これにより、可動シーブ62が固定シーブ61側に移動し、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ53に対するベルト55の巻きかけ径が大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が小さくなり、変速比γが小さくなる。
変速比γが上げられるときには、プライマリプーリ53の可動シーブ62に供給される油圧が下げられる。これにより、ベルト55に対するセカンダリプーリ54の推力がベルト55に対するプライマリプーリ53の推力よりも大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔が小さくなるとともに、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が大きくなり、無段変速機4の変速比γが大きくなる。
一方、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の挟圧は、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54とベルト55との間で滑りが生じない大きさを必要とする。そのため、インプット軸41に入力される入力トルクの大きさに応じた挟圧が得られるよう、セカンダリプーリ54の可動シーブ66に供給される油圧が制御される(挟圧制御)。
この挟圧制御において、μマップが用いられる。すなわち、CVTECU12により、μマップが参照されて、変速制御によって構成される変速比γに対応する摩擦係数μが取得される。変速比γに対応する摩擦係数μがμマップに示されている場合には、その摩擦係数μがμマップから読み出される。変速比γに対応する摩擦係数μがμマップに示されていない場合は、μマップに示されている値から補間により、変速比γに対応する摩擦係数μが求められる。そして、μマップから取得された摩擦係数μが一定値μよりも低いか否かが判断され、図4に示されるように、摩擦係数μが一定値μよりも低い場合には、入力トルクの大きさに応じた挟圧よりも所定量増大された挟圧が得られるよう、セカンダリプーリ54の可動シーブ66に供給される油圧が制御される。言い換えれば、μマップから一定値μよりも低い摩擦係数μに対応する変速比γの範囲が読み出されて、その範囲内に変速制御によって構成される変速比γが含まれる場合、入力トルクの大きさに応じた挟圧よりも所定量増大された挟圧が得られるよう、セカンダリプーリ54の可動シーブ66に供給される油圧が制御される。所定量は、一定量であってもよいし、摩擦係数μに応じた量、たとえば、摩擦係数μが小さいほど大きい量に設定されてもよい。挟圧計算に摩擦係数μを用いている場合、μマップから取得された摩擦係数μが低くなったとき挟圧計算でおのずと摩擦係数μに応じて挟圧が高くなる。
また、変速制御においても、μマップが用いられる。すなわち、CVTECU12により、μマップが参照されて、μマップに閾値μth以下の摩擦係数μと変速比γとの関係が示されているか否かが調べられる。そして、μマップに閾値μth以下の摩擦係数μと変速比γとの関係が示されている場合、変速制御では、その閾値μth以下の摩擦係数μと対応する変速比γを構成することが禁止される。
<作用効果>
以上のように、セカンダリプーリ54に対するベルト55の滑りが発生したことに対して、セカンダリプーリ54の状態の一例として、セカンダリプーリ54とベルト55との間の摩擦係数μが推定により取得される。そして、摩擦係数μの取得時における変速比γとが対応づけられて、μマップに記憶される。
μマップに記憶されている摩擦係数μに基づいて、ベルト55の滑りの発生を抑制するためのフェイルセーフが実行される。
このフェイルセーフとして、μマップから一定値μよりも低い摩擦係数μに対応する変速比γの範囲が読み出されて、その範囲内に変速制御によって構成される変速比γが含まれる場合、入力トルクの大きさに応じた挟圧よりも所定量増大された挟圧が得られるよう、セカンダリプーリ54の可動シーブ66に供給される油圧が制御される。
ベルト55の滑りの発生時に取得される摩擦係数μは、一定値μよりも低いので、一定値μよりも低い摩擦係数μに対応する変速比γは、ベルト55の滑りの発生時における変速比γに対応する。変速制御によって構成される変速比γが一定値μよりも低い摩擦係数μに対応する変速比γの範囲内である場合に、ベルト55に付与される挟圧が増大されるので、ベルト55の滑りの発生を抑制することができる。また、ベルト55がセカンダリプーリ54における同一箇所に接触した状態でベルト55の滑りが繰り返し発生することを抑制できるので、その箇所の異常摩耗による摩擦係数μの低下を抑制することができる。また、挟圧が限定的に増大されることにより、変速比γにかかわらず挟圧を増大させる手法と比較して、各部に過負荷が加わることを抑制でき、また、各部でのエネルギ損失の増大を抑制することができる。
また、他のフェイルセーフとして、μマップに閾値μth以下の摩擦係数μと変速比γとの関係が示されている場合、閾値μth以下の摩擦係数μは異常な値であるから、変速制御では、その閾値μth以下の摩擦係数μと対応する変速比γを構成することが禁止される。
閾値μth以下の摩擦係数μと対応する変速比γが構成されないことにより、ベルト55の滑りの発生を抑制することができる。また、ベルト55がセカンダリプーリ54における同一箇所に接触した状態でベルト55の滑りが繰り返し発生することを抑制できるので、その箇所の異常摩耗による摩擦係数μの低下を抑制することができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、μマップは、変速比γと摩擦係数μとの関係をマップ化したものであるとした。しかしながら、変速比γとセカンダリプーリ54に対するベルト55の巻きかけ径との間には一定の関係があるので、μマップは、セカンダリプーリ54に対するベルト55の巻きかけ径と摩擦係数μとの関係をマップ化したものであってもよい。この場合、μマップの使用に際しては、変速制御によって構成される変速比γからセカンダリプーリ54に対するベルト55の巻きかけ径が算出されるとよい。
また、変速制御では、閾値μth以下の摩擦係数μと対応する変速比γを構成することが禁止されるとした。しかしながら、挟圧制御で挟圧が摩擦係数μに応じた量だけ増大される構成が採用される場合、変速制御では、挟圧の増大量が所定量以上となる摩擦係数μに対応する変速比γを構成することが禁止されてもよい。
ベルト55の滑りが発生したことに対して変速比γが取得されて、変速制御では、所定回数以上のベルト55の滑りが発生した変速比γを構成することが禁止されてもよい。また、ベルト55の滑りが発生したことに対してその滑りによりセカンダリプーリ54に与えられた熱量が取得されて、その熱量が滑り発生時の変速比γと対応づけてCVTECU12の不揮発性メモリに記憶されて、変速制御では、所定量以上の熱量と対応づけられた変速比γを構成することが禁止されてもよい。また、発進時の駆動力不足を防ぐため、シーブ入力トルクが小さいときは変速比γの構成の禁止が一時的に解除されてもよい。
前述の各センサは、本発明に関連するセンサを例示したものに過ぎず、エンジンECU11およびCVTECU12には、その他のセンサが接続されていてもよい。
エンジンECU11およびCVTECU12の機能の一部または全部は、1つのECUに集約されていてもよい。
また、無段変速機4を取り上げたが、本発明に係る制御装置は、動力分割式無段変速機に本発明に係る制御装置を用いることもできる。動力分割式無段変速機は、変速比の変更により動力を無段階に変速するベルト式の無段変速機構と、動力を一定の変速比で変速する一定変速機構とを備え、駆動源の動力を2系統に分割して伝達可能な変速機である。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
4 無段変速機
12 CVTECU(制御装置、滑り検出手段、状態取得手段、記憶手段、フェイルセーフ実行手段)
54 セカンダリプーリ
55 ベルト

Claims (3)

  1. プーリに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有するベルト式の無段変速機の制御装置であって、
    前記プーリに対する前記ベルトの滑りを検出する滑り検出手段と、
    前記滑り検出手段による前記ベルトの滑りの検出に対して、前記プーリの状態を取得する状態取得手段と、
    前記状態取得手段により取得される前記プーリの状態を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶されている前記プーリの状態に基づいて、前記ベルトの滑りの発生を抑制するためのフェイルセーフを実行するフェイルセーフ実行手段とを含む、制御装置。
  2. 前記状態取得手段は、前記プーリの状態として、前記滑り検出手段による前記ベルトの滑りの検出時における前記無段変速機の変速比に対応する変速比対応値を取得し、
    前記フェイルセーフ実行手段は、前記フェイルセーフとして、前記無段変速機の変速比が前記記憶手段に記憶されている変速比対応値に応じた変速比を含む所定範囲内である場合に、前記ベルトに付与される挟圧を増大させるか、または、変速比の構成を制限する、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記状態取得手段は、前記プーリの状態として、前記滑り検出手段による前記ベルトの滑りの検出時における前記プーリと前記ベルトとの間の摩擦係数に対応する摩擦係数対応値を取得し、
    前記フェイルセーフ実行手段は、前記フェイルセーフとして、前記記憶手段に記憶されている摩擦係数対応値に応じて前記ベルトに付与される挟圧を増大させる、請求項1に記載の制御装置。
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