JP2015183575A - 流路形成部、ケーシング、および、遠心式回転機械 - Google Patents

流路形成部、ケーシング、および、遠心式回転機械 Download PDF

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Hiroki Nakamura
裕樹 中村
真成 飯野
Masanari Iino
真成 飯野
公彦 光田
Kimihiko Mitsuta
公彦 光田
康博 小山
Yasuhiro Koyama
康博 小山
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Abstract

【課題】流体の剥離を低減して十分な整流効果が得られ、効率向上を図ることができる流路形成部、ケーシングおよび遠心式回転機械を提供する。【解決手段】流体が径方向外側へ向かって流れた後に径方向内側に向かって流れる流路のうち、流体が径方向外側から内側に向かって流れる範囲に設けられて周方向に互いに間隔をあけて配される複数のリターンベーン2と、周方向に互いに隣り合うリターンベーン2の圧力面4と負圧面7との間に設けられ、圧力面4との間、および、負圧面7との間にそれぞれ流体を案内するスプリッタSと、を備え、スプリッタSは、少なくともリターンベーン2の径方向外側の端部6から径方向内側に向かって延び、スプリッタSの径方向内側の端部15は、リターンベーン2の径方向内側の端部16よりも径方向外側に配されている。【選択図】図3

Description

この発明は、流路形成部、ケーシング、および、遠心式回転機械に関する。
複数のインペラを有した多段ポンプや多段遠心圧縮機等の遠心式回転機械が知られている。このような遠心式回転機械は、リターン流路を有するケーシングによって複数のインペラが覆われている。インペラの各段から流出した流体は、それぞれリターン流路を介して次段へと導かれるようになっている。一般に、リターン流路は、次段のインペラの直前となる位置に複数のリターンベーンを備えている。複数のリターンベーンは、周方向流れを打ち消すなど流体を整流して次段のインペラに流入させる。これらリターンベーンは、リターン流路の周方向に互いに間隔をあけて配されている。また、これらリターンベーンは、流体の旋回方向に向かって凸となる弧状に形成されている。リターンベーンは、凸状となる側が負圧面となり、その反対の凹状となる側が圧力面となる。
複数のリターンベーンの下流側端部近傍には、各リターンベーンの負圧面側に剥離領域が形成される場合がある。剥離領域が形成された場合、流体の圧力損失が増加するなど、遠心式回転機械の性能が低下してしまう可能性があった。そこで、周方向に隣り合うリターンベーンの下流側端部間の周方向中央にスプリッタベーンを配置して、リターン流路内における剥離領域を低減させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−286198号公報
ところで、上述したリターン流路は、流体の流れの向きを径方向外側から径方向内側に変えるリターン部を備えている。リターン部は、装置の大型化を低減するなどの理由から極小さな曲率半径で湾曲形成される場合が多い。
一方で、上述したリターンベーンは、その長手方向の寸法が長いほど、流体の周方向成分を打ち消すなどの整流効果が向上できる。そのため、リターンベーンの始端は、リターン部に隣接する場合が多い。
しかしながら、リターン部の湾曲した内周側部分と、リターンベーンの外周側部分(上流側端部)の負圧面とは、それぞれ剥離が生じやすい。そのため、これらリターン部の内周側部分と、リターンベーンの負圧面とが近接する部分は、剥離領域がより一層形成され易くなってしまう。剥離領域が形成されると、十分な整流効果が得られず、遠心式回転機械の効率向上が困難になってしまう。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、流体の剥離を低減して十分な整流効果が得られ、効率向上を図ることができる流路形成部、ケーシングおよび遠心式回転機械を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この発明に係る流路形成部は、流体が径方向外側へ向かって流れた後に径方向内側に向かって流れる流路を形成する遠心式回転機械の流路形成部であって、前記流路のうち前記流体が径方向外側から内側に向かって流れる範囲に設けられて周方向に互いに間隔をあけて配される複数のリターンベーンと、周方向に互いに隣り合う前記リターンベーンの圧力面と負圧面との間に設けられ、前記圧力面との間、および、前記負圧面との間にそれぞれ前記流体を案内するスプリッタと、を備え、前記スプリッタは、少なくとも前記リターンベーンの径方向外側の端部から径方向内側に向かって延び、前記スプリッタの径方向内側の端部は、前記リターンベーンの径方向内側の端部よりも径方向外側に配されている。
このように構成することで、周方向に互いに隣り合うリターンベーンの間の流路のうち径方向外側の領域を、スプリッタによって2つの細い流路に分割することができる。そのため、リターンベーンの径方向外側の端部付近の負圧面から流体が剥離することを抑制できる。また、スプリッタの径方向内側の端部が、リターンベーンの径方向内側の端部と径方向で同じ位置又は径方向内側にある場合よりも、スプリッタと流体との接触面積を低減して圧力損失を抑制できる。
さらに、この発明に係る流路形成部は、上記流路形成部において、前記スプリッタが、前記リターンベーンの径方向外側の端部よりも径方向外側に向かって延びていてもよい。
このように構成することで、スプリッタによりリターンベーンの上流側で流体の周方向成分を打ち消すことができる。その結果、流体の周方向成分により掛かるリターンベーンの径方向外側の端部の負荷を軽減できる。
さらに、この発明に係る流路形成部は、上記流路形成部において、前記流路のうち前記流体が径方向内側から外側に向かって流れる範囲に設けられて周方向に互いに間隔をあけて配される複数のディフューザベーンを備え、前記スプリッタの上流側の端部が、周方向に隣り合う前記ディフューザベーンの間にそれぞれ配されていてもよい。
このように構成することで、ディフューザベーンの出口で生じる流体の失速を低減できる。
さらに、この発明に係る流路形成部は、上記流路形成部において、前記スプリッタが、周方向で隣り合う前記リターンベーンの圧力面と負圧面との周方向中央位置よりも、負圧面側に配されていてもよい。
このように構成することで、スプリッタよりも負圧面側の流路をより細く形成することができるため、負圧面側に生じる剥離をより一層低減できる。
さらに、この発明に係る流路形成部は、上記流路形成部において、前記圧力面から前記スプリッタまでの周方向の距離が、前記圧力面から前記負圧面までの距離に対して5/6よりも小さくてもよい。
このように構成することで、スプリッタが剥離領域に取り込まれてしまい十分な整流効果が得られなくなることを抑制できる。
さらに、この発明に係る流路形成部は、上記流路形成部において、前記圧力面と前記スプリッタとの周方向の距離をG1とし、前記スプリッタと前記負圧面との周方向の距離をG2とした場合に、前記スプリッタはG1:G2=2:1となる位置に配されていてもよい。
このように構成することで、スプリッタが剥離領域に取り込まれることなしに、流体の剥離領域を効率よく抑制することができる。
さらに、この発明に係る流路形成部は、上記流路形成部において、前記リターンベーンの長手方向の寸法よりも、前記リターンベーンの圧力面と負圧面との間に配されている前記スプリッタの長手方向の寸法が短く形成されていてもよい。
このように構成することで、スプリッタによる圧力損失を抑制しつつ、剥離領域の発生を低減することができる。
さらに、この発明に係るケーシングは、上記流路形成部を備えている。
さらに、この発明に係る遠心式回転機械は、上記ケーシングを備えている。
これにより、流路において剥離領域が生じることを抑制できるため、流体を円滑に流すことができる。
この発明に係る流路形成部、ケーシング、および、遠心式回転機械によれば、流体の剥離を十分に低減して、効率向上を図ることが可能となる。
この発明の第一実施形態における遠心式回転機械である遠心ポンプの概略構成を示している。 この発明の第一実施形態における遠心ポンプのリターン流路の断面図である。 図2の下流側流路の部分拡大図である。 この発明の第一実施形態におけるスプリッタの径方向長さを示す断面図である この発明の第一実施形態におけるリターン流路の下流側流路で生じる圧力損失に対するスプリッタの径方向内側の端部位置の関係を示すグラフである。 この発明の第一実施形態におけるスプリッタの周方向の各位置における整流効果を示すグラフである。 この発明の第二実施形態におけるリターン流路の拡大断面図である。 この発明の第三実施形態におけるリターン流路の拡大断面図である。 この発明の第三実施形態におけるディフューザの拡大断面図である。
以下、この発明の一実施形態に係る流路形成部、ケーシング、および、遠心式回転機械を図面に基づき説明する。
図1は、この発明の第一実施形態における遠心式回転機械である遠心ポンプ100の概略構成を示している。
図1に示すように、第一実施形態の遠心ポンプ100は、軸線O方向に複数のインペラ10が並んで取り付けられた回転軸5を備えている。この回転軸5は、ジャーナル軸受102およびスラスト軸受103を介してケーシング101に回転可能に支持されている。
ケーシング101は、複数のインペラ10を外側から覆っている。この実施形態におけるケーシング101は、回転軸5の軸線O方向の前方側(図1における左側)に、外部から流体Gを流入させるための吸込口105を備え、軸線O方向の後方側(図1における右側)に、外部へ流体Gを流出させるための排出口106を備えている。
ケーシング101は、リターン流路104を更に備えている。リターン流路104は、軸線O方向で隣り合うインペラ10同士の間に形成されている。リターン流路104は、インペラ10から径方向外側に流出した流体Gの流れの向きを、径方向内側に変更して次段のインペラ10へ供給する。ここで、この実施形態においては、ケーシング101が、リターン流路104を形成する流路形成部となっている 。
リターン流路104は、流体Gが径方向外側に向かって流れる上流側流路104aと、流体Gの向きを径方向外側から径方向内側に向きを変えるために湾曲形成されるリターン部104bと、流体Gが径方向外側から内側に向かって流れる下流側流路104cとを備えている。
上流側流路104aには、ディフューザ11が形成されている。このディフューザ11は、インペラ10から径方向外側に流出した流体Gの運動エネルギーを圧力エネルギーに変換させる。ディフューザ11は、周方向に互いに間隔をあけて配される複数の後述するディフューザベーン21(図8参照)を有している。周方向に隣り合うディフューザベーン21の間に形成される流路の断面積は、下流側ほど拡大されている。ディフューザ11の下流側(言い換えれば、径方向外側)の端部は、リターン部104bの上流側に隣接して配置されている。
下流側流路104cには、リターンベーン2が形成されている。これらリターンベーン2は、前段のインペラ10により昇圧された流体Gが軸線O方向に沿って次段のインペラ10に流入するように、流体Gに含まれる回転成分を打ち消すなどの整流機能を有している。リターンベーン2は、リターン部104bの下流側に隣接して配置されている。つまり、流体Gは、各インペラ10から流出して次段のインペラ10に流入するまでの間に、ディフューザ11により減速され、更にリターンベーン2によって回転成分等が打ち消されることとなる。
上記構成を備える遠心ポンプ100によれば、まず、インペラ10が回転することで、流体Gが吸込口105からケーシング101内に流入する。ケーシング101内に流入した流体Gは、インペラ10によって昇圧され、リターン流路104を介して次段のインペラ10へ供給される。このようにして流体Gは、吸込口105側から排出口106側に向かって複数のインペラ10によって順次昇圧される。最終段のインペラ10から流出した流体Gは、排出口106からケーシング101の外部に排出される。ここで、図1においては、回転軸5にインペラ10が直列に6個設けられた多段遠心ポンプの一例を示しているが、インペラ10の数は上記のものに限られない。
図2は、この発明の第一実施形態における遠心ポンプ100のリターン流路104の断面図である。
図2に示すように、リターン流路104の下流側流路104cには、複数のリターンベーン2が周方向に互いに間隔をあけて配されている。
複数のリターンベーン2は、下流側流路104cにおいて、軸線O方向の吸込口105側の面3から軸線O方向の排出口106側の面(図示せず)に渡るように形成されている。これらリターンベーン2は、それぞれ流体Gが流れる径方向外側から内側に向かって延びている。さらに、複数のリターンベーン2は、回転軸5の回転方向とは逆方向に湾曲した弧状に形成されている。このようにリターンベーン2が湾曲した弧状に形成されていることで、リターンベーン2の圧力面4が凹状になり、流体Gの回転成分を効率よく打ち消すことが可能となっている。これらリターンベーン2は、弧状の凸となる側が負圧面7となり、その反対の凹となる側が圧力面4となる。
図3は、図2の下流側流路104cの部分拡大図である。
図2、図3に示すように、各リターンベーン2の間には、それぞれスプリッタSが配されている。これらスプリッタSは、リターンベーン2の上流側の端部6近傍の負圧面7から流体Gが剥離することを抑制する。より具体的には、スプリッタSは、周方向で隣り合うリターンベーン2間の流路を圧力面4側と負圧面7側とに分割して2つの流路を形成する。スプリッタSは、これら2つの流路に流体Gをそれぞれ案内している。
各スプリッタSは、リターンベーン2と周方向に間隔をあけて配されている。各スプリッタSは、リターンベーン2に沿うように弧状に延びている。各スプリッタSの長手方向の寸法L1は、リターンベーン2の長手方向の寸法Lrよりも短く形成されている。これらスプリッタSは、径方向でリターンベーン2の径方向外側の端部6の位置から径方向内側に向かって延びている。これらスプリッタSの径方向内側の端部15は、リターンベーン2の径方向内側の端部16よりも径方向外側に配されている。
この実施形態の一例におけるスプリッタSは、周方向の幅寸法W1が一定とされており、この周方向の幅寸法W1が、径方向外側の端部6におけるリターンベーン2の幅寸法W2と同程度、又は小さく形成されている。スプリッタSの幅寸法W1は、端部6側におけるリターンベーン2の圧力面4と負圧面7との間の距離である入口幅D2に対して十分に小さくなるようにすることが好ましい。このようにスプリッタSの幅寸法W1および入口幅D2を設定することで、流体Gの流路抵抗の増加を抑制することが可能となっている。
図4は、この発明の第一実施形態におけるスプリッタSの径方向長さを示す断面図である。図5は、この発明の第一実施形態におけるリターン流路104の下流側流路104cで生じる圧力損失に対するスプリッタSの径方向内側の端部位置の関係を示すグラフである。
この実施形態の一例におけるスプリッタSの長手方向の寸法L1は、リターンベーン2の長手方向の寸法Lrよりも十分短く形成されている。例えば、図4に示すように、リターンベーン2の径方向長さL4を100%とすると、リターンベーン2の径方向外側の端部6の配置範囲は、圧力面4と負圧面7との間で上流側70%以内とするのが好ましく、さらに30%の位置とするのがより好ましい。これは、流体GとスプリッタSとが接触することにより発生する圧力損失と、負圧面7に生じる剥離による圧力損失とをそれぞれ含む図5の縦軸に示す全体の圧力損失が、十分に低減されるためである。つまり、スプリッタSの径方向内側の端部15は、リターンベーン2の径方向内側の端部16よりも径方向外側に配されることとなる。
ここで、図5に示すように、リターンベーン2全体の圧力損失は、スプリッタSの径方向内側の端部15の配置がリターンベーン2の端部6から径方向内側に向かって30%の位置とされた場合に最も小さくなる。また、リターンベーン2全体の圧力損失は、スプリッタSの径方向内側の端部15の配置が上記30%の位置よりも径方向外側になるにつれて、次第に圧力損失が大きくなる。これは、スプリッタSが短くなることで負圧面7に生じる剥離領域が増加するためと考えられる。
同様に、リターンベーン2全体の圧力損失は、スプリッタSの径方向内側の端部15の配置が上記30%の位置よりも径方向内側になるにつれて、次第に圧力損失が大きくなる。この場合、スプリッタSの径方向内側の端部15の配置が上記30%よりも径方向外側になる場合と比較して、圧力損失の増加率が大きくなっている。これは、スプリッタSの長さ寸法L1が長くなることにより、剥離の抑制効果よりも、流体Gとの接触面積が増加することによる圧力損失の方が十分に大きくなるためと考えられる。
図6は、この発明の第一実施形態におけるスプリッタSの周方向の各位置における整流効果を示すグラフである。
この図6のグラフは、縦軸を整流度、横軸をスプリッタSの位置としている。ここで、負圧面7に対して剥離が全く生じていない理想状態の流体Gの流れの角度を「θBEST」、負圧面7に対する実際の流体Gの流れ角度を「θ」とした場合、整流度は(θ/θBEST)と示すことができる。つまり、整流度が「1」に近いほど、スプリッタSによる整流効果が高くなり、「1」よりも低くなるにつれて、端部6の負圧面7からの流体Gの剥離が大きくなり整流効果が低くなることを示している。
図3において、「θBEST」のときの流体Gの向き、および、「θ」の一例における流体Gの向きをそれぞれ矢印で示している。また、図6におけるスプリッタSの周方向の位置は、圧力面4側を「0」、負圧面7側を「1」として示している。つまり、上述した圧力面4と負圧面7との間の周方向中央位置Cが図6で示す横軸の「1/2」の位置に相当する。
図6に示すように、整流度は、スプリッタSが「1/2」の位置から負圧面7側になるにつれて徐々に上昇し、「2/3」の位置で最も高くなる。この「2/3」の位置では、整流度はほぼ「1」となる。その後、「2/3」の位置よりも負圧面側になるにつれて、整流度は、「1/2」の位置から「2/3」の位置までの上昇率よりも大きな角度で減少する。そして、整流度は、「5/6」の位置において「0.95」となる。ここで、負圧面7からの流体Gの剥離を抑制する上で、整流度を「0.95」よりも大きくすることが一つの基準となっている。ここで、図6において、図示都合上、スプリッタSが「2/3」の位置となるときに整流度が「1」となっているが、整流度が「1」に近づくだけであり、厳密にいえば整流度が「1」になることはない。
そのため、スプリッタSの周方向における位置は、「1/2」の位置よりも負圧面7側の範囲で、「5/6」の位置よりも圧力面4側にすることが好ましい。スプリッタSの周方向における位置を「5/6」以上の位置とした場合、スプリッタSが剥離領域に取り込まれてしまうことにより整流度が低下してしまうと考えられる。
さらに、上記スプリッタSの周方向における位置は、「2/3」の位置とすることがより好ましい。この「2/3」の位置とは、圧力面4とスプリッタSとの距離を「G1」、スプリッタSと負圧面7との距離を「G2」とした場合(図3参照)、G1:G2=2:1の関係が成り立つ位置である。ここで、「圧力面4とスプリッタSとの距離」とは、圧力面4とスプリッタSの幅方向中心(軸線O2)との最短距離であり、スプリッタSと負圧面7との距離とは、スプリッタSの幅方向中心(軸線O2)と負圧面7との最短距離である。
したがって、上述した第一実施形態によれば、スプリッタSがリターンベーン2の径方向外側の端部6から径方向内側に向かって延びるとともに、スプリッタSの径方向内側の端部15が、リターンベーン2の径方向内側の端部16よりも径方向外側に配されている。これにより、周方向に互いに隣り合うリターンベーン2の間の流路のうち径方向外側の領域をスプリッタSにより2つの細い流路に分割することができる。そのため、リターンベーン2の径方向外側の端部6付近の負圧面7から流体Gが剥離することを抑制することができる。また、スプリッタSの径方向内側の端部15が、リターンベーン2の径方向内側の端部16と径方向で同じ位置又は径方向内側にある場合よりも、スプリッタSと流体Gとの接触面積を低減して圧力損失を抑制できる。その結果、十分な整流効果が得られるとともに、効率向上を図ることが可能となる。
さらに、スプリッタSが、周方向で隣り合うリターンベーン2の圧力面4と負圧面7との周方向中央位置Cよりも、負圧面7側に配されていることで、スプリッタSよりも負圧面7側の流路をより細く形成することができるため、負圧面7側に生じる剥離をより一層低減できる。
また、圧力面4からスプリッタSまでの周方向の距離を、圧力面4から負圧面7までの距離に対して5/6よりも小さくすることで、スプリッタSが剥離領域に取り込まれてしまい十分な整流効果が得られなくなることを抑制できる。
さらに、スプリッタSが、G1:G2=2:1となる位置に配されることで、リターン流路104の下流側における流体Gの更なる整流効果を得ることができる。
また、リターン流路104に剥離領域が生じることを抑制できるため、流体Gを円滑に流すことができる。その結果、遠心式回転機械である遠心ポンプ100の効率が向上して性能向上を図ることが可能となる。
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態は、上述した第一実施形態とスプリッタSの径方向外側の端部の位置のみが異なる。そのため、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図7は、この発明の第二実施形態におけるリターン流路の拡大断面図である。
図7に示すように、この第二実施形態においては、流体Gの流れ方向におけるスプリッタSの上流側の端部20が、リターン部104bに配されている。つまり、第二実施形態のスプリッタSは、第一実施形態のスプリッタSよりも上流側、すなわちリターンベーン2の径方向外側の端部6よりも径方向外側に延びている。
スプリッタSの上流側の端部20は、リターン部104bのうち、断面積が最も大きくなる位置に配されている。この第二実施形態の一例においては、リターン部104bのうち、リターン部104bの流れ方向の中央部の断面積が最も大きくなっている。このようにリターン部104bのうち断面積が最も大きくなる位置は、流体Gの流速が最も低くなっている。
したがって、第二実施形態によれば、リターンベーン2の端部6よりもスプリッタSが上流側に延びていることで、スプリッタSによりリターンベーン2の上流側で流体Gの周方向成分を打ち消すことができる。その結果、流体Gの周方向成分によってリターンベーン2の径方向外側の端部6に掛かる負荷を軽減することができる。
また、スプリッタSの上流側の端部20が、リターン部104bのうち、断面積が最も大きくなる位置に配されていることで、端部20に衝突する流体Gの流速を低減できる。その結果、リターン流路104における圧力損失を低減できる。
次に、この発明の第三実施形態を図面に基づき説明する。この第三実施形態は、上述した第一、第二実施形態とスプリッタSの径方向外側の端部の位置のみが異なる。そのため、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図8は、この発明の第三実施形態におけるリターン流路の拡大断面図である。図9は、この発明の第三実施形態におけるディフューザの拡大断面図である。
図8に示すように、この第三実施形態においては、流体Gの流れ方向におけるスプリッタSの上流側の端部20が、ディフューザ11に配されている。より具体的には、図9に示すように、ディフューザ11は、周方向に互いに間隔をあけて配される複数のディフューザベーン21を有している。複数のディフューザベーン21は、弧状に形成されている。ディフューザベーン21は、外周側を向く弧状の凸となる側が表面27となり、その反対の内周側を向く凹となる側が裏面24となる。スプリッタSの上流側の端部20は、周方向に隣り合う記ディフューザベーン21の間にそれぞれ配されている。
上述したリターンベーン2の長手方向の寸法Lrに対するスプリッタSの長手方向の寸法L1と同様に、スプリッタSのうち、ディフューザベーン21の間に配されている部分の長手方向の寸法は、ディフューザベーン21の長手方向の寸法よりも十分に短く形成される。スプリッタSの上流側の端部20の配置と、圧力損失との関係は、上述した第一実施形態の図5のグラフと同様である。すなわち、ディフューザベーン21の径方向の寸法L5を100%とすると、スプリッタSの上流側の端部20の配置範囲は、表面27と裏面24との間で下流側70%以内とするのが好ましく、さらに30%の位置とするのがより好ましい。
ここで、ディフューザ11全体の圧力損失は、ディフューザベーン21の径方向長さL5に対するスプリッタSの上流側の端部20の配置がディフューザベーン21の径方向外側の端部22から径方向内側に向かって30%の位置とされた場合に最も小さくなる。また、ディフューザベーン21全体の圧力損失は、スプリッタSの上流側の端部20の配置が上記30%の位置よりも径方向外側になるにつれて、次第に圧力損失が大きくなる。これは、スプリッタSが短くなることでディフューザ11の出口付近で流体が失速し易くなるためと考えられる。
同様に、ディフューザ11全体の圧力損失は、スプリッタSの上流側の端部20の配置が上記30%の位置よりも径方向内側になるにつれて、次第に圧力損失が大きくなる。これは、ディフューザ11の径方向内側の領域ほど流速が高いため、スプリッタSの上流側の端部20に流体Gが衝突する際の圧力損失が大きくなるためと考えられる。
したがって、上述した第三実施形態によれば、ディフューザ11の出口で生じる流体の失速を低減できるため、圧力損失を抑制できる。
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
上述した第三実施形態においては、スプリッタSが上流側流路104aからリターン部104bを経由して下流側流路104cに渡るように一体に形成される場合について説明した。しかし、スプリッタSは、リターン部104bにおいて断続的に形成されていても良い。
さらに、上述した第一実施形態においては、遠心ポンプ100のケーシング101が流路形成部を備える場合を一例に説明した。しかし、リターン流路104を形成する流路形成部と、ケーシング101とは、別部材であってもよい 。また、ケーシング101が一体的に形成される一例を説明したが、複数の流路形成部によってケーシング101を形成するようにしても良い。
さらに、上述した各実施形態においては、多段遠心ポンプを一例に説明した。しかし、インペラ10を多段に備えた遠心式の回転機械であれば、ポンプに限られるものではない。遠心式回転機械は、例えば、ターボ機械などであってもよい 。
2 リターンベーン
3 面
4 圧力面
5 回転軸
6 端部
7 負圧面
8 端部
10 インペラ
11 ディフューザ
15 端部
16 端部
20 端部
21 ディフューザベーン
24 裏面
27 表面
100 遠心ポンプ
101 ケーシング
102 ジャーナル軸受
103 スラスト軸受
104 リターン流路(流路)
104a 上流側流路
104b リターン部
104c 下流側流路
105 吸込口
106 排出口
C 周方向中央位置
G 流体
O 軸線
O2 軸線
S スプリッタ

Claims (9)

  1. 流体が径方向外側へ向かって流れた後に径方向内側に向かって流れる流路を形成する遠心式回転機械の流路形成部であって、
    前記流路のうち前記流体が径方向外側から内側に向かって流れる範囲に設けられて周方向に互いに間隔をあけて配される複数のリターンベーンと、
    周方向に互いに隣り合う前記リターンベーンの圧力面と負圧面との間に設けられ、前記圧力面との間、および、前記負圧面との間にそれぞれ前記流体を案内するスプリッタと、を備え、
    前記スプリッタは、少なくとも前記リターンベーンの径方向外側の端部から径方向内側に向かって延び、前記スプリッタの径方向内側の端部は、前記リターンベーンの径方向内側の端部よりも径方向外側に配されている流路形成部。
  2. 前記スプリッタは、
    前記リターンベーンの径方向外側の端部よりも径方向外側に向かって延びている請求項1に記載の流路形成部。
  3. 前記流路のうち前記流体が径方向内側から外側に向かって流れる範囲に設けられて周方向に互いに間隔をあけて配される複数のディフューザベーンを備え、
    前記スプリッタは、その上流側の端部が、周方向に隣り合う前記ディフューザベーンの間にそれぞれ配されている請求項1又は2に記載の流路形成部。
  4. 前記スプリッタは、
    周方向で隣り合う前記リターンベーンの圧力面と負圧面との周方向中央位置よりも、負圧面側に配されている請求項1から3の何れか一項に記載の流路形成部。
  5. 前記圧力面から前記スプリッタまでの周方向の距離が、前記圧力面から前記負圧面までの距離に対して5/6よりも小さい請求項1から4の何れか一項に記載の遠心式回転機械の流路形成部。
  6. 前記圧力面と前記スプリッタとの周方向の距離をG1とし、前記スプリッタと前記負圧面との周方向の距離をG2とした場合に、前記スプリッタはG1:G2=2:1となる位置に配されている請求項1から4の何れか一項に記載の遠心式回転機械の流路形成部。
  7. 前記リターンベーンの長手方向の寸法よりも、前記リターンベーンの圧力面と負圧面との間に配されている前記スプリッタの長手方向の寸法が短く形成される請求項1から6の何れか一項に記載の流路形成部。
  8. 請求項1から7の何れか一項に記載の流路形成部を備えるケーシング。
  9. 請求項8に記載のケーシングを備える遠心式回転機械。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110242612A (zh) * 2019-06-06 2019-09-17 南方泵业股份有限公司 一种带分流叶片的离心叶轮
CN110397628A (zh) * 2019-08-14 2019-11-01 溧阳市盛杰机械有限公司 一种用于多级流体机械的级间反导叶

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