JP2015182955A - Glp−1分泌促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規なGLP-1分泌促進剤及びその用途を提供することを課題とする。
【解決手段】特定のアントシアニンを有効成分とする、GLP-1分泌促進剤が提供される。
【選択図】図3

Description

本発明はGLP-1分泌促進剤及びその用途に関する。
GLP-1(Glucagon-like peptide-1)は、食事摂取に伴い消化管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン(血糖値低下ホルモン)分泌を促進するペプチドホルモン(インクレチン)である。GPL-1の作用として、他にも膵β細胞の増殖促進、胃排泄や胃酸分泌の抑制、食欲と摂食の抑制等が知られている。従って、GLP-1の分泌を促進することやその効果を高めることは、肥満や糖尿病等の予防・改善に有用である。
インクレチンにはGLP-1の他、GIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)があるが、例えば、2型糖尿病患者においてはGIPによるインスリンの分泌促進作用は低下するが、GLP-1によるインスリン分泌能力は低下しない。そのため、GLP-1が糖尿病等の予防・改善の標的として重要である。実際、GLP-1関連薬が開発されている。具体的には、血中に存在する分解酵素(Dipeptidyl peptidase-4; DPP-4)によりGLP-1が分解されることに注目したDPP-4阻害薬と分解抵抗性のGLP-1誘導体薬が開発された(非特許文献1)。しかし、前者については、本来DPP-4で分解されるべき機能タンパク質の分解が阻害されることによる副作用の懸念があり、後者ではペプチド製剤のため経口投与ができないといった問題等がある。
GLP-1はペプチドホルモンのため経口摂取に適さない。また、GLP-1は非常に分解され易く、生体内での半減期は数分程度である。従って、外からの投与よりも内因性GLP-1の分泌を促進することが望ましい。尚、GLP-1の分泌を促進する物質として、k-カゼイン(特許文献1)、大豆タンパク質分解物(特許文献2)、キラヤ抽出物(特許文献3)、リゾホスファチジルイノシトール(特許文献4)が報告されている。
国際公開第2007/037413号パンフレット 特開2010−138−143号公報 特開2012−131742号公報 特開2012−144518号公報
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以上の背景の下、本発明は、新規なGLP-1分泌促進剤及びその用途を提供することを課題とする。
上記課題に鑑み、本発明者はGLP-1分泌促進物質の発見を目指し、検討を重ねた。特に安全性を重視し、天然由来成分の中からGLP-1分泌促進作用の高い物質を同定することを試みた。具体的には、食品に含まれる生理機能成分であるアントシアニンに注目し、様々なアントシアニンについてGLP-1分泌促進作用の有無及び程度を検討した。その結果、強いGLP-1分泌促進作用を示す物質を同定することに成功するとともに、構造と活性の関係に関する重要且つ興味深い知見が得られた。これらの成果に基づき、以下の発明が提供される。尚、この10年ほどの間でアントシアニンの健康機能とその分子レベルでの作用メカニズムの解明に関わる研究は大きく進展している。肥満・糖尿病に対するアントシアニンの予防・抑制作用についても研究成果が蓄積されつつある。しかしながら、アントシアニンに体脂肪蓄積抑制作用あるとする報告(非特許文献2、3)や動物モデルにおけるアントシアニンの摂取によって血糖値の上昇抑制、インスリン感受性の改善などが認められたとの報告(非特許文献3〜5)等がある一方で、ブルーベリーパウダーの摂取はむしろ脂肪蓄積を促すとの報告(非特許文献6)やブラックラズベリーの摂取は高脂肪食によるマウスの体脂肪蓄積や体重増加を有意に抑制しなかったとの報告(非特許文献7〜9)などもあり、統一した見解は得られていない。また、一部の例外を除き、アントシアニン分子の中でどのような化学構造を持つことがその作用・機能の発現に必要なのかは不明である。
[1]以下の化学式、即ち、
Figure 2015182955
で表され、条件1又は条件2を満足する化合物、又はその塩を有効成分とする、GLP-1分泌促進剤、
条件1:R1がOH、R2がOH、R3がOH又はルチノースである、
条件2:R1がOCH3、R2がOCH3、R3がOH又はルチノースである。
[2]前記化合物がデルフィニジン、デルフィニジン 3−ルチノシド、マルビジン、又はマルビジン 3−ルチノシドである、[1]に記載のGLP-1分泌促進剤。
[3]糖尿病、肥満、食後高血糖又は神経変性疾患の予防又は改善、糖尿病に伴う神経障害の改善、グルカゴン分泌抑制、胃排泄や胃酸分泌の抑制、食欲や摂食の抑制、又は膵β細胞の増殖促進のために用いられる、[1]又は[2]に記載のGLP-1分泌促進剤。
[4][1]又は[2]に記載のGLP-1分泌促進剤を含有する、糖尿病又は肥満の予防又は改善用組成物。
[5]医薬、医薬部外品又は食品である、[4]に記載の組成物。
マウス腸管由来細胞(Glutag)へ投与してGLP-1分泌促進作用を調べたアントシアニンの化学構造を示す。 各種アントシアニンの構造。 マウス腸管由来細胞(Glutag)へ各種アントシアニンを最終濃度100μMで投与し、2時間後の培養上清中のGLP-1濃度を測定した結果を示す。*はコントロールと比較して有意差があることを表す。 マウス腸管由来細胞(Glutag)へデルフィニジン 3−ルチノシド(D3R)を最終濃度10、25、50、100μMになるように投与し、2時間後の培養上清中のGLP-1濃度を測定した結果を示す。*はコントロールと比較して有意差があることを表す。
本発明の第1の局面はGLP-1分泌促進剤(以下、説明の便宜上「本発明の薬剤」と呼ぶことがある)に関する。本明細書において「GLP-1分泌促進」とは、GLP-1産生細胞に直接又は間接的に作用し、GLP-1の分泌を促すことをいう。典型的には、GLP-1の分泌が促進されると生体内のGLP-1量が増大し、その結果、血中GLP-1濃度が上昇し、或いは血中GLP-1濃度の減少が抑制される。
本発明の薬剤では、有効成分として特定のアントシアニン又はその構成成分であるアントシアニジンが用いられる。アントシアニンはフラボノイド系の化合物で、一般には植物中では糖と結合した形(配糖体)として存在する。色素本体である糖以外の部分(アグリコン)はアントシアニジンと呼ばれる。アントシアニンはB環の置換基、結合糖の種類と数、アシル基の有無により多くの種類がある。
具体的には、本発明における有効成分は以下の化学式で表される。
Figure 2015182955
但し、条件1「R1がOH、R2がOH、R3がOH又はルチノースであること」又は条件2「R1がOCH3、R2がOCH3、R3がOH又はルチノースであること」を満足する。
有効成分の具体例は、デルフィニジン、デルフィニジン 3−ルチノシド、マルビジン及びマルビジン 3−ルチノシドである。デルフィニジン及びデルフィニジン 3−ルチノシドはブラックカラント(カシス)に含まれる成分である。一方、マルビジン及びマルビジン 3−ルチノシドはブドウの果皮に含まれる成分として知られている。
本発明の薬剤の有効成分として、上記特定の化合物の薬理学的に許容される塩を用いても良い。「薬理学的に許容される塩」は広義に解釈されるべきであり、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等、各種の塩を含む用語である。酸付加塩の例としてはトリフルオロ酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩が挙げられる。金属塩の例としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩が挙げられる。アンモニウム塩の例としてはアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩が挙げられる。有機アミン付加塩の例としてはモルホリン付加塩、ピペリジン付加塩が挙げられる。アミノ酸付加塩の例としてはグリシン付加塩、フェニルアラニン付加塩、リジン付加塩、アスパラギン酸付加塩、グルタミン酸付加塩が挙げられる。
上記特定の化合物は植物に含有される成分である。そこで、本発明の有効成分はそれを含む植物から抽出、精製することができる。但し、化学合成によって本発明の有効成分を調製することを妨げない。また、抽出・精製した化合物が市販されており、それらを用いることにしてもよい。
ここで、上でも言及したとおり、本発明の有効成分は植物由来である。従って、本発明の有効成分を含有する植物、その抽出液(但し、本発明の有効成分を含有するものに限る)、加工品(但し、本発明の有効成分を含有するものに限る)等を利用して本発明の医薬、医薬部外品又は食品を構成することにしてもよい。例えば、デルフィニジン又はデルフィニジン 3−ルチノシド或いはその塩等を有効成分とする場合には、ブラックカラント果実、ブラックカラント果汁又はその濃縮物や乾燥体等を用いることができる。同様に、マルビジン又はマルビジン 3−ルチノシド或いはその塩等を有効成分とする場合には、ブドウの果皮抽出物又はその濃縮物や乾燥体等を用いることができる。
本発明の薬剤は、多彩な生理作用を示すGLP-1の分泌を促進する。本発明の薬剤を生体に投与すれば、内因性のGLP-1の分泌促進を介して、GLP-1の生理作用(インスリンの分泌促進、グルカゴン分泌抑制、胃排泄や胃酸分泌の抑制、食欲や摂食の抑制、膵β細胞の増殖促進、学習・記憶能力の向上等(Gastroenterology 2007,132:2131-57))を増強ないし向上できる。従って、本発明の薬剤は糖尿病、肥満、食後高血糖又は認知症等の神経変性疾患等の予防又は改善、糖尿病に伴う神経障害の改善、グルカゴン分泌抑制、胃排泄や胃酸分泌の抑制、食欲や摂食の抑制、膵β細胞の増殖促進等に有効である。ここで、「予防」とは、疾病(障害)又はその症状の発症/発現を防止又は遅延すること、或いは発症/発現の危険性を低下させることをいう。一方、「改善」とは、疾病(障害)又はその症状が緩和(軽症化)、好転、寛解又は治癒(部分的な治癒を含む)することをいう。
上記の通り、本発明の薬剤は様々な用途に利用され得るが、特に重要な用途は糖尿病と肥満の予防又は改善である。そこで、本発明の第2の局面は、本発明の薬剤を含有する、糖尿病又は肥満の予防又は改善用組成物を提供する。本発明の組成物の形態は特に限定されないが、好ましくは医薬、医薬部外品又は食品である。尚、2種類以上の有効成分を併用することにしてもよい。
「糖尿病」は、血糖の慢性的な上昇(即ち高血糖)により特徴付けられる疾患である。虚血性心臓病(狭心症、心筋梗塞)、動脈硬化、脳血管障害(脳梗塞など)の重要な危険因子の1つであり、いわゆる「生活習慣病」の代表的疾患として注目されている。一方、「肥満」とは一般的には体内に脂肪組織が過剰に蓄積した状態をいう。本明細書では用語「肥満」は広義に解釈されるものとし、その概念に肥満症を含む。「肥満症」とは肥満に起因ないし関連する健康障害(合併症)を有するか又は将来的に有することが予測される場合であって、医学的に減量が必要とされる病態をいう。肥満の判定法には、例えば、国際的に広く使用されているBMI(body mass index)を尺度としたものがある。BMIは、体重(kg)を身長(m)の二乗で除した数値(BMI=体重(kg)/身長(m))である。BMI<18.5は低体重(underweight)、18.5≦BMI<25は普通体重(normal range)、25≦BMI<30は肥満1度(preobese)、30≦BMI<35は肥満2度(obese class I)、35≦BMI<40は肥満3度(obese class II)、40≦BMIは肥満4度(obese class III)と判定される(WHO)。また、BMIを利用して、日本人の成人の標準体重(理想体重)を以下の式、標準体重(kg)=身長(m)×22から計算し、実測体重が標準体重(計算値)の120%を超える状態を肥満とする判定法もある。もっとも、標準体重(理想体重)は性別、年齢、又は生活習慣の差異などによって個人ごとに相違することから、肥満の判定をこの方法で一律に行うことは妥当でないと考えられている。
本発明の医薬組成物及び医薬部外品組成物の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合には、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含有させることができる。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。
製剤化する場合の剤型も特に限定されず、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、外用剤、及び座剤などとして本発明の医薬組成物又は医薬部外品組成物を提供できる。
本発明の医薬組成物には、期待される治療効果や予防効果を得るために必要な量(即ち治療上有効量)の有効成分が含有される。同様に本発明の医薬部外品組成物には、期待される改善効果や予防効果等を得るために必要な量の有効成分が含有される。本発明の医薬組成物又は医薬部外品組成物に含まれる有効成分量は一般に剤型や形態によって異なるが、所望の投与量を達成できるように有効成分量を例えば約0.1重量%〜約95重量%の範囲内で設定する。
本発明の医薬組成物及び医薬部外品組成物はその剤型・形態に応じて経口又は非経口(経腸、静脈内、動脈内、皮下、筋肉又は腹腔内注射、経皮、経鼻、経粘膜、塗布など)で対象に適用される。ここでの「対象」は特に限定されず、ヒト及びヒト以外の哺乳動物(ペット動物、家畜、実験動物を含む。具体的には例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ニワトリ、ウズラ等である)を含む。好ましい一態様では、適用対象はヒトである。
本発明の医薬組成物及び医薬部外品組成物の投与量・使用量は、期待される効果が得られるように設定される。有効な投与量の設定においては一般に適用対象の症状、年齢、性別、体重などが考慮される。尚、当業者であればこれらの事項を考慮して適当な投与量を設定することが可能である。投与スケジュールとしては例えば一日一回〜数回、二日に一回、或いは三日に一回などを採用できる。投与スケジュールの作成においては、適用対象の症状や有効成分の効果持続時間などを考慮することができる。
上記の通り本発明の一態様は、本発明の薬剤を含有する食品組成物である。本発明での「食品組成物」の例として一般食品(穀類、野菜、食肉、各種加工食品、菓子類、牛乳、清涼飲料水、アルコール飲料等)、栄養補助食品(サプリメント、栄養ドリンク等)、食品添加物、愛玩動物用食品、愛玩動物用栄養補助食品を挙げることができる。栄養補助食品又は食品添加物の場合、粉末、顆粒末、タブレット、ペースト、液体等の形状で提供することができる。食品組成物の形態で提供することによって、本発明の有効成分を日常的に摂取したり、継続的に摂取したりすることが容易となる。
本発明の食品組成物には、治療的又は予防的効果が期待できる量の有効成分が含有されることが好ましい。添加量は、それが使用される対象となる者の病状、健康状態、年齢、性別、体重などを考慮して定めることができる。
<培養細胞でのGLP−1分泌試験>
マウス大腸由来のGLP-1産生細胞株GLUTag細胞を、10% FBS含有DMEM(Dulbecco’s modified eagle’s medium, high glucose、SIGMA)を用い、CO2インキュベーター内(37℃、CO2 濃度5%)で培養した。80%コンフルエントになったところで継代した。24 ウエルプレートへこの細胞を播種し、80%コンフルエントになるまで培養した。検定試料添加前に各ウェルの培地を除去し、120 mM NaCl, 5mM KCl, 2mM CaCl2, 1mM MgCl2, 22mM NaHCO3 0.5% 脂肪酸不含有ウシ血清アルブミンを含む緩衝液に交換して1時間 CO2インキュベーター内(37℃、CO2 濃度5%)で保持した。その後、各ウェル中の緩衝液を除去し、同緩衝液で洗浄した。その後、図1に示した化学構造を持つ各種アントシアニン試料(最終濃度は100μM)あるいはアントシアニンを構成する糖(グルコース、ラムノース、ルチノース、いずれも最終濃度は100μM)の存在下、同緩衝液中で2時間培養した。2時間後、培養上清を個別のチューブに回収し、800×g 4℃ 5分間遠心して得られた上清を凍結保存した。上清中のGLP-1濃度を市販のEnzyme immuno assay kit(ミリポア社製)を用い、キット添付のプロトコールに従い測定した。統計処理は、Dunnet’s testを用いた。コントロール群と試料投与群間においてP<0.05を有意差ありとした。
<結果>
各種アントシアニンの添加(最終濃度100μM)の添加は、コントロールと比較してデルフィニジン 3−ルチノシド(D3R)の投与は有意にGLP-1分泌を促進させた。デルフィニジン(Del)、マルビジン(Mal)の添加(最終濃度100μM)も、同じくGLP-1分泌を有意に促進させるが、分泌増加レベルはD3Rよりも低下した。一方、他の構造を持つアントシアニンの添加、およびアントシアニンの構成糖であるグルコース、ラムノース、ルチノースの添加(いずれも最終濃度100μM)は、コントロールと比較してGLP-1の分泌を有意に促進しなかった(図3)。
最も効果の高いD3Rの濃度を変化させたとき(最終濃度10μM、25μM、50μM、100μM)、いずれもコントロールと比較して有意にGLP-1の分泌を促進し、濃度が高くなるにつれて分泌量は増加した(図4)。
<考察>
以上の実験の結果より、GLP-1分泌促進作用を発揮するために重要な構造上の特徴として、図1上段に示した一般式においてR1とR2がOHであるか、又はR1とR2がOCH3であること(特徴1)が必須といえる。また、更なる特徴として、図1上段に示した一般式においてR3がOH又はルチノースであると作用が高まること(特徴2)、及び図1上段に示した一般式においてR4はOHであること(特徴3)を見出せる。
本発明の有効成分として用いられるアントシアニンは植物由来の成分(天然由来成分)である。天然由来成分が用いられることは安全性の点から有利且つ重要であり、日常的ないし継続的な摂取(投与)にも適する。本発明の薬剤は、GLP-1の分泌促進が奏効する各種疾患や症状などの予防や改善に有用である。具体的には、糖尿病、肥満、食後高血糖、認知症等の神経変性疾患等の予防又は改善、糖尿病に伴う神経障害の改善、グルカゴン分泌抑制、胃排泄や胃酸分泌の抑制、食欲や摂食の抑制、膵β細胞の増殖促進等に有用であり、医薬品、医薬部外品、食品、サプリメント等として本発明は活用され得る。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (5)

  1. 以下の化学式、即ち、
    Figure 2015182955
    で表され、条件1又は条件2を満足する化合物、又はその塩を有効成分とする、GLP-1分泌促進剤、
    条件1:R1がOH、R2がOH、R3がOH又はルチノースである、
    条件2:R1がOCH3、R2がOCH3、R3がOH又はルチノースである。
  2. 前記化合物がデルフィニジン、デルフィニジン 3−ルチノシド、マルビジン、又はマルビジン 3−ルチノシドである、請求項1に記載のGLP-1分泌促進剤。
  3. 糖尿病、肥満、食後高血糖又は神経変性疾患の予防又は改善、糖尿病に伴う神経障害の改善、グルカゴン分泌抑制、胃排泄や胃酸分泌の抑制、食欲や摂食の抑制、又は膵β細胞の増殖促進のために用いられる、請求項1又は2に記載のGLP-1分泌促進剤。
  4. 請求項1又は2に記載のGLP-1分泌促進剤を含有する、糖尿病又は肥満の予防又は改善用組成物。
  5. 医薬、医薬部外品又は食品である、請求項4に記載の組成物。
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