JP5317919B2 - Gip上昇抑制剤の評価又は選択方法 - Google Patents

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Description

本発明は、CPT1阻害作用を指標としたGIP上昇抑制剤の評価又は選択方法、並びにGIP上昇抑制剤に関する。
GIP(ガストリックインヒビトリーポリペプチド又はグルコースディペンデントインスリノトロピックポリペプチド)は、グルカゴン・セクレチンファミリーに属する消化管ホルモンの1つである。GIPはGLP−1(グルカゴン様ペプチド1)と共にインクレチンと称され、脂質や糖質の摂食時に小腸に存在するK細胞より分泌され、膵β細胞においてグルコースによるインスリン分泌を促進することや、脂肪組織において糖質や脂質の取り込みを亢進することが報告されている。そのため、GIPの上昇を抑制することは肥満の予防もしくは改善に有効であると考えられる。
また、GIPは、胃酸分泌抑制作用や胃運動抑制作用を有することが知られている(非特許文献1〜3)ことから、GIPの上昇抑制は、食後の消化促進や胃もたれの改善に有効であると考えられる。
従って、GIPの上昇を抑制する物質を、高感度で短期間に評価できる指標が望まれるところである。
これまでの研究によって、GIPの機能を阻害する物質として、3−ブロモ−5−メチル−2−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オール(BMPP)が知られ、食後GIPの分泌を抑制するものとして、グアガム等が知られている(特許文献1、非特許文献4〜9)。また、近年では、GIP受容体アンタゴニストである(Pro3)GIPが知られている。しかしながら、これらの物質は、安全性や効果の面で十分とはいえない。
一方、K細胞には、糖質輸送蛋白質であるSGLT1が発現していることが報告されている(非特許文献10)が、脂質代謝に関与する蛋白質発現については殆ど知られていない。更には、糖質や脂質によるGIP分泌機序については、未だ明らかにされていない。
食事として摂取した脂質は、小腸内でリパーゼにより加水分解されモノアシルグリセロールと脂肪酸となった後、小腸上皮細胞に吸収される。通常その多くは小腸上皮細胞内において再度トリグリセリドに合成され、カイロミクロンとなり肝臓や脂肪組織等へ血中を運ばれる。
生成した脂肪酸の一部は小腸上皮内において代謝分解され、エネルギーへと変換される。小腸における脂質代謝、すなわち、エネルギー変換される方法としては、小腸上皮細胞で行われるUCP酸化とβ酸化が知られている。β酸化系は脂肪酸の主要な代謝分解系であり、主にミトコンドリアで行われる。脂肪酸はアシルCoAシンセターゼの働きで、脂肪酸アシルCoAに変換され、カルニチンアシルトランスフェラーゼI(CPT1)によりミトコンドリアに運ばれ、MDAD(medium−chain acyl−CoA dehydrogenase)、ACO(acyl−CoA oxidase)等一連の酵素が関与し、β酸化が行われる。すなわち、CPT1は脂肪酸アシルCoAのミトコンドリアへの輸送に重要な役割を果たしている。
CPT1は近年、小胞体への脂肪酸輸送にも関与している可能性が示唆されている(非特許文献11)。しかし、CPT1は脂質代謝に重要な蛋白質ではあるが、K細胞における発現については全く報告がなく、また、GIP分泌との関連性についても全く知られていない。
CPT1の機能を阻害する物質としては、エトモキシル:Etomoxir(Ethyl 2−[6−(4−chlorophenoxy)hexyl]oxirane-2-carboxylate)、テトラデシルオキシランカルボキシレイトジヒドレイト:2−tetradecyl oxirane carboxylate dihydrate、メチルパルモキシレイト:Methyl palmoxirate、オクスフェニシン:Oxfenicine(L-hydroxyphenylglycine)、トリメタジジン:Trimetazidine(2,3,4-trimethoxybenzyl−piperazine di−hydrochloride)、クロモキシル:Clomoxir(2[5(4−chlorophenyl)pentyl]−oxirane-2−carboxylic acid)又はそれらの塩等が知られており、脂肪酸の酸化を阻害することが報告されている(非特許文献12−13)。
国際公開第01/87341号パンフレット 特開2004−359622号公報
J.C.Brownら、Canadian J Physiol Pharmacol. 1969,47:113−114 J.M.Falkoら、J Clin Endocrinol Metab. 1975, 41:260−265 織田敏次ら、消化管 機能と病態、1981年、中外医学社、P205−216 Gatenby SJら、Diabet Med. 1996,13:358−364 Ellis PRら、Br J Nutr. 1995,74:539−556 Simoes Nunes Cら、Reprod Nutr Dev. 1992,32:11−20 Morgan LMら、Br J Nutr. 1990,64:103−110 Requejo Fら、Diabet Med. 1990,7:515−520 Morgan LMら、Br J Nutr. 1985,53:467−475 Parker HEら、Diabetologia. 2009,52(2):289−298 Washington Lら、J.Lipid Res.2003,44:1395−1403 Collier GRら、Horm Metab Res.1993,25:9−12 Hinderling VBら、Am J Clin Nutr.2002,76:141−147
本発明は、GIP上昇抑制剤を評価又は選択する方法を提供することに関する。
本発明者等は、GIPを分泌するK細胞にCPT1が発現していることを見出した。そして、当該CPT1を阻害することによって血中GIP濃度が低下すること、さらにそこからCPT1を阻害する物質は、GIP上昇抑制剤として有用であり、また、CPT1の発現抑制作用或いはCPT1の活性抑制作用を指標として、GIP上昇抑制剤を評価又は選択が可能になることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の工程(A)〜(D):
(A)CPT1遺伝子若しくはCPT1蛋白質が発現可能又はCPT1酵素活性が測定可能な哺乳動物由来の組織或いは細胞に、被験物質を接触させる工程、
(B)当該哺乳動物由来の組織又は細胞におけるCPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性を測定する工程、
(C)上記(B)で測定した発現量又は酵素活性を、被験物質をCPT1遺伝子若しくはCPT1蛋白質が発現可能又はCPT1酵素活性が測定可能な哺乳動物由来の組織或いは細胞に接触させない対照群におけるCPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性と比較する工程、
(D)上記(C)の結果に基づいて、CPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性を減少させる被験物質をGIP上昇抑制剤として評価又は選択する工程、
を含む、GIP上昇抑制剤の評価又は選択方法、を提供するものである。
また、本発明は、以下の工程(A)〜(D):
(A)被験物質を非ヒト哺乳動物に投与する工程、
(B)当該非ヒト哺乳動物から採取した小腸におけるCPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性を測定する工程、
(C)上記(B)で測定した発現量又は酵素活性を、被験物質を投与しない対照群の非ヒト哺乳動物から採取した小腸におけるCPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性と比較する工程、
(D)上記(C)の結果に基づいて、CPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性を減少させる被験物質をGIP上昇抑制剤として評価又は選択する工程、
を含む、GIP上昇抑制剤の評価又は選択方法、を提供するものである。
また、本発明は、エトモキシル、テトラデシルオキシランカルボキシレイトジヒドレイト、メチルパルモキシレイト、オクスフェニシン、トリメタジジン、クロモキシル、若しくはそれらの塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とするGIP上昇抑制剤を提供するものである。
本発明によれば、各種物質の、血中GIP上昇抑制効果をより簡便に、また作用機序に基づき正確に評価することができ、優れたGIP上昇抑制剤の選択が可能となる。また、本発明のGIP上昇抑制剤は、肥満の発症可能性の低下、予防もしくは改善、食後の消化促進や胃もたれの改善をするための素材として有用である。
マウス十二指腸切片におけるCPT1の発現を示す図である。
本発明は、CPT1阻害作用を指標として、各種物質のGIP上昇抑制作用を評価し、又当該評価結果に基づいてGIP上昇抑制剤を選択するものである。CPT1は、ミトコンドリアへの脂肪酸アシルCoA輸送に関与し、また小胞体への脂肪酸輸送にも関与すると考えられている酵素であるが、本発明者らによって、K細胞に発現していることが新たに判明した。また、後述の実施例に示すように、CPT1を阻害することによって血中GIP濃度が低下したことから、CPT1がGIP分泌に関わっていることが判明した。すなわち、CPT1発現量又はCPT1酵素活性とGIP分泌量と間には正の相関関係がある。このことから、CPT1を阻害する物質は、GIP上昇抑制剤として有用であり、また、各種物質のGIP上昇抑制効果を、CPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性を測定することで評価でき、GIP上昇抑制剤を選択できると考えられる。
なお、本発明において「GIP上昇抑制」とは、脂質及び糖質を含む食事、特に脂質を多く含む食事、そのなかでもトリアシルグリセロールを多く含む食事を摂取することにより、小腸に存在するK細胞から分泌されたGIPの上昇を抑制することをいう。すなわち、「GIP上昇抑制」とは、主として、食後に生じるGIP上昇を抑制することをいう。そして、本発明における「GIP上昇抑制作用」は、K細胞からのGIP分泌を抑制することでGIP上昇を抑制するGIP分泌抑制作用、及び血中GIP濃度を低下させることによりGIP上昇を抑制するGIP低下作用のいずれをも含む概念である。
本発明において、GIP上昇抑制剤の評価又は選択は、in vitroで行うことも、in vivoで行うこともできる。
本発明方法をin vitroで行う場合、用いられる哺乳動物由来の組織又は細胞は、CPT1遺伝子又はCPT1蛋白質が発現可能なもの、或いは、CPT1酵素活性が測定可能なものである。なかでも哺乳動物由来の小腸組織又は細胞が好ましい。例えば、小腸組織としては哺乳類動物由来の小腸培養組織が挙げられ、細胞としては、腸培養細胞として、Caco−2細胞、IEC−6細胞、IEC−18細胞、STC-1細胞、GLUTag細胞などが挙げられる。また、哺乳類動物由来の小腸初期培養細胞であってもよい。組織又は細胞は、正常組織又は細胞の他、該当遺伝子を導入したものであってもよい。哺乳動物としては、特に限定されないが、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ等が挙げられる。
当該哺乳動物由来の組織又は細胞と被験物質との接触は、例えば被験物質を所定の濃度になるように予め培養液中に添加した後、組織又は細胞を培養液に載置すること、或いは、組織又は細胞が載置された培養液に、被験物質を所定の濃度になるように添加することにより行うことができる。CPT1遺伝子又はCPT1蛋白質発現量を解析する場合は、接触後、例えば室温(25℃)〜37℃で通常3〜48時間程度、好ましくは6〜24時間程度培養するのが好ましい。また、CPT1酵素活性を測定する場合は、接触後、例えば室温(25℃)〜37℃で通常1分〜6時間程度、好ましくは5分〜3時間程度培養するのが好ましい。
ここで、CPT1遺伝子若しくはCPT1蛋白質が発現可能又はCPT1活性が測定可能な組織或いは細胞の播種時の濃度は、細胞が増殖可能な濃度であれば特に限定されない。また、被験物質の添加濃度は、0.00001〜10質量%(乾燥残分)とするのが好ましく、特に0.0001〜3質量%(乾燥残分)とするのが好ましい。
被験物質としては、特に限定されず、例えば動植物抽出物、化合物、化学物質等を用いることができる。
CPT1遺伝子若しくはCPT1蛋白質が発現可能又はCPT1酵素活性が測定可能な組織或いは細胞を培養する培地は、当該組織又は細胞を培養できる常用の培地を用いることができ、例えばDulbecco’s Modified Eagle’s Medium等が挙げられる。細胞継代、増殖時にはこれらの培地に、血清、増殖因子、インスリン等の増殖添加剤や抗菌剤等を添加することが好ましい。
次いで、組織又は細胞を回収してCPT1遺伝子又はCPT1蛋白質の発現量を測定するか、或いはCPT1酵素活性を測定する。
また、本発明方法をin vivoで行う場合、用いられる非ヒト哺乳動物としては、性別、月齢を問わず、いかなる種類の動物でもよい。例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ又はサルを挙げることができるが、入手が容易であり、取り扱い易いラットやマウスなどのげっ歯類が好ましい。
当該非ヒト哺乳動物への被験物質の投与方法としては、例えば、経口投与、消化管内投与、腹腔内投与、血管内投与、皮内投与、皮下投与等が挙げられる。GIPは十二指腸および空腸のK細胞より分泌されることから、カニュレーション等を用い、十二指腸や空腸に直接還流させる方法、或いは簡便さや侵襲性が低いなどの点から、経口投与する方法が好ましい。
被験物質の投与量は、0.0001mg/g体重以上、好ましくは0.001〜2mg/g体重である。また、投与回数は通常1回であるが、間隔をあけて数回に分けて投与してもよい。
次いで、被験物質の投与1分〜6時間後、好ましくは5分〜2時間後に、非ヒト哺乳動物から小腸を採取し、CPT1遺伝子又はCPT1蛋白質の発現量或いはCPT1酵素活性を測定する。小腸の採取は麻酔下もしくは安楽死直後に開腹し、胃の幽門より下部を切除することにより行うことができる。
CPT1遺伝子の発現量の測定は、mRNAレベルで検出する場合は、例えば細胞からtotal RNAを抽出して、リアルタイムRT−PCR法、RNA分解酵素プロテクションアッセイ法、或いはノーザンブロット解析法等を利用して、CPT1遺伝子から転写されたmRNAを検出定量することにより行うことができる。
また、CPT1蛋白質の発現量の測定は、通常の免疫測定法により行うことができ、例えばRIA法、EIA法、ELISA、バイオアッセイ法、ウェスタンブロット等により行うことができるが、ウェスタンブロットが安価・簡便で望ましい。
また、CPT1酵素活性の測定は、ラジオアイソトープなどで標識したL−カルニチンとパルミトイル−CoAやミリストイル−CoAなどのアシルーCoAとを反応させ、生成されたアシルカルニチンを有機溶媒抽出などによりL−カルニチンと分離することにより行うことができる。具体的にはJ Lipid Res.2008,49,961−972記載の方法等により、測定することができる。
GIP上昇抑制剤の評価は、被験物質と接触させたCPT1遺伝子若しくはCPT1蛋白質が発現可能又はCPT1酵素活性が測定可能な哺乳動物由来の組織或いは細胞におけるCPT1遺伝子又はCPT1蛋白質の発現量或いはCPT1酵素活性を、被験物質に接触させない対照群(対照組織、細胞)におけるCPT1遺伝子又はCPT1蛋白質発現量或いはCPT1酵素活性と比較し、その発現量又は酵素活性が減少した場合、被験物質にはGIP上昇抑制効果があると評価でき、斯かる物質を選択することができる。
また、被験物質を投与した非ヒト哺乳動物から採取した小腸におけるCPT1遺伝子又はCPT1蛋白質の発現量或いはCPT1酵素活性を、被験物質を投与しない対照群の非ヒト哺乳動物から採取した小腸におけるCPT1遺伝子又はCPT1蛋白質の発現量或いはCPT1酵素活性と比較し、その発現量又は酵素活性が減少した場合、被験物質にはGIP上昇抑制効果があると評価でき、斯かる物質を選択することができる。
評価に際しては、必ずしも統計学的な手法を用いる必要はないが、統計学的に有意差の有無を検定して評価することが好ましい。
このようにして評価又は選択された物質は、例えば、食後のGIPを減少させ、肥満の発症可能性の低下、予防もしくは改善、消化促進や胃もたれの改善をするための医薬、食品等に有効成分として配合して使用するための素材となり得る。
CPT1を阻害する物質は、後記実施例に示すように、食後血中GIP濃度を低下させる作用を示した。従って、CPT1阻害剤は、GIP上昇抑制剤として使用することができ、また、GIP上昇抑制剤を製造するために使用することができる。このとき、当該GIP上昇抑制剤には、当該CPT1を阻害する物質を単独で、又はこれ以外に、必要に応じて適宜選択した担体等の、配合すべき後述の対象物において許容されるものを使用してもよい。なお、当該製剤は配合すべき対象物に応じて常法により製造することができる。
ここで、CPT1阻害剤は、CPT1阻害作用を有するものであればよく、例えば、エトモキシル:Etomoxir(Ethyl 2−[6−(4−chlorophenoxy)hexyl]oxirane-2-carboxylate)、テトラデシルオキシランカルボキシレイトジヒドレイト:2−tetradecyl oxirane carboxylate dihydrate、メチルパルモキシレイト:Methyl palmoxirate、オクスフェニシン:Oxfenicine(L-hydroxyphenylglycine)、トリメタジジン:Trimetazidine(2,3,4−trimethoxybenzyl−piperazine di−hydrochloride)、クロモキシル:Clomoxir(2−[5−(4−chlorophenyl)pentyl]−oxirane-2−carboxylic acid)等が挙げられる。これらの化合物は、塩であってもよく、溶媒和物であってもよい。塩としては、薬学的に許容される塩であればよく、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、ピロ硫酸塩、メタリン酸塩等の無機酸塩;クエン酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、スルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩)等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
また、溶媒和物としては、水和物、アルコール和物(例えば、エタノール和物)等が挙げられる。これらは、Tetrahedron:Asymmetry 8,8,1997,1187−1192記載の方法等により得ることができる。また、市販品を使用することもできる。
そして、前述のとおり、GIP上昇を抑制することは、肥満の発症可能性の低下、予防又は改善に有効であり、胃酸分泌の抑制及び胃運動の抑制を軽減させることから、CPT1阻害剤は、肥満の発症可能性の低下、予防又は改善剤、消化促進剤及び胃もたれ改善剤ともなり得、当該GIP上昇抑制剤、肥満の発症可能性の低下、予防又は改善剤、消化促進剤及び胃もたれ改善剤(以下、「GIP上昇抑制剤等)とする)は、肥満の発症可能性の低下、予防又は改善、食後の消化促進や胃もたれを改善するための、ヒト又は動物用の、各種食品、医薬品、医薬部外品、ペットフード等の有効成分として配合して使用できる。
本発明のGIP上昇抑制剤等を医薬品の有効成分として用いる場合、当該医薬品は任意の投与形態で投与され得る。投与形態としては、経口、経腸、経粘膜、注射等が挙げられる。経口投与のための製剤の剤型としては、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、徐放性製剤、懸濁液、エマルジョン剤、内服液、糖衣錠、丸剤、細粒剤、シロップ剤、エリキシル剤等が挙げられる。非経口投与としては、静脈内注射、筋肉注射剤、吸入、輸液、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、点眼剤、点鼻剤等が挙げられる。
また、斯かる製剤では、本発明のGIP上昇抑制剤等を単独で、又は他の薬学的に許容される担体と組み合わせて使用してもよい。斯かる担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、流動性促進剤、吸収助剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定化剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、光沢剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、矯味剤、矯臭剤、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、香料、被膜剤等が挙げられる。
これらの投与形態のうち、経口投与が好ましく、GIP上昇抑制剤等を含む経口投与用製剤中のCPT1阻害剤の含有量は、通常、製剤全質量の0.001〜100質量%であり、0.01〜20質量%であるのが好ましく、0.1〜5質量%であるのがより好ましい。
また、本発明のGIP上昇抑制剤等を食品の有効成分として配合して用いる場合、一般食品のほか、肥満の発症可能性の低下、予防や改善、食後の消化促進や胃もたれの改善をコンセプトとし、必要に応じてその旨表示した美容食品、病者用食品、栄養機能食品又は特定保健用食品等の機能性食品に応用できる。
本発明のGIP上昇抑制剤等を食品の有効成分として用いる場合、当該食品の形態は、固形、半固形または液状であり得る。食品の例としては、パン類、麺類、クッキー等の菓子類、ゼリー類、乳製品、冷凍食品、インスタント食品、でんぷん加工製品、加工肉製品、その他加工食品、コーヒー飲料等の飲料、スープ類、調味料、栄養補助食品等、及びそれらの原料が挙げられる。また、上記の経口投与製剤と同様、錠剤形態、丸剤形態、カプセル形態、液剤形態、シロップ形態、粉末形態、顆粒形態等であってもよい。
種々の形態の食品を調製するには、GIP上昇抑制剤等を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
また、GIP上昇抑制剤等を含む食品中におけるCPT1阻害剤の含有量は、その使用形態により異なるが、通常、飲料の形態では、通常0.001〜20質量%であり、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。また、錠剤や加工食品などの固形食品形態では、通常0.001〜100質量%であり、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
上記製剤の投与量は、患者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与の場合の成人1人当たりの1日の投与量は、通常、CPT1阻害剤として0.1〜20gが好ましい。また、上記製剤は、任意の投与計画に従って投与され得るが、1日1回〜数回に分けて投与することが好ましい。
実施例1 K細胞におけるCPT1の発現
(1)方法
C57BL/6Jマウス(雄)(日本クレア)より採取した十二指腸を4% Paraformaldehyde水溶液で固定後、パラフィン切片を作製し、免疫染色を行った。尚、一次抗体として、GIPの抗体にはRabbit anti−GIP(porcine) serum(Peninsula製)、CPT1の抗体にはGoat anti−CPT1(human)IgG(Santa cruz製)を用いた。また、二次抗体にはAlexa Fluor 488 Donkey Anti−Rabbit IgG (Invitrogen製)、Alexa Fluor 568 Donkey Anti−goat IgG,(Invitrogen製)を用いた。また、核染色にはProlong Gold antifade reagent with DAPI (Invitrogen製)を使用した。常法に従い、4%Paraformaldehyde水溶液において4℃にて10分間固定し、PBS洗浄後、一次抗体(100倍ブロッキング液:10% Donkey Serum in PBS)において室温で3時間反応させた。再度PBS洗浄した後、二次抗体(500倍ブロッキング液)を室温で1時間反応させ、PBS洗浄後、Prolong Gold antifade reagent with DAPI (Invitrogen製)にて核染色および封入し、顕微鏡下で観察した(405nm、488nm、568nmのレーザー使用)。
(2)結果
染色像を図1に示した。GIP陽性であるK細胞(緑色染色)においてCPT1陽性(赤色染色)所見が認められた。このことから、K細胞においてCPT1が蛋白質レベルで発現していることが判明した。
実施例2 CPT1阻害がGIP分泌に及ぼす影響
(1)方法
17時間絶食した10〜11週令のSD系ラット(雄)(日本クレア)を7%ウレタン麻酔+1.5%抱水クロラールで麻酔下、37℃保温パット上で開腹し、胃幽門より十二指腸にカニューレを挿入した。挿入したカニュレーションより、対照群には37℃のKrebs−Ringer(0.2%BSA)、試験群には37℃のKrebs−Ringer(0.2%BSA)に1mM (+)-Etomoxir sodium hydrate(シグマ製)を添加したものを、それぞれ流速4.5 mL/hで2時間還流した。その後、初期採血を尾静脈より行い、引き続き、対照群には37℃の10%トリオレイン乳剤(0.2%卵黄レシチン(和光純薬工業(株))で乳化)、試験群には37℃10%トリオレイン乳剤(0.2%卵黄レシチン(和光純薬工業(株))で乳化)に、1mM (+)-Etomoxir sodium hydrateを添加した乳剤をそれぞれ流速3mL/hで60分間還流(脂質負荷量:300mg/rat)した。各乳剤還流開始から、5、10、15、30、40、50、60分後に尾静脈より採血を行い、血中GIP量を測定した。血中GIP濃度は、Rat/Mouse GIP(Total)ELISA キット(Linco Research/Millipore co.製)を用いて測定した。
(2)結果
対照群(N=6)における60分間還流した際の血中GIP濃度を100とした場合の試験群(N=6)における60分間還流した際の血中GIP濃度(相対値)を表1に示す。なお、群間の統計学的有意差については、対照群に対するt検定を行ない、両側検定でp値が0.01以下の場合には、表中に**を示した。
図2の結果から、(+)-Etomoxir sodium hydrateによりCPT1阻害処理した試験群は、対照群に比べ、有意に血中GIP濃度が低かった。この結果から、CPT1阻害剤は、食後GIP上昇抑制効果を有することが分かった。
GIPを分泌するK細胞にCPT1発現が認められたことから、K細胞のCPT1を阻害することがGIP上昇抑制に寄与していると考えられた。

Claims (2)

  1. 以下の工程(A)〜(D):
    (A)CPT1遺伝子若しくはCPT1蛋白質が発現可能又はCPT1酵素活性が測定可能な哺乳動物由来の組織或いは細胞に、被験物質を接触させる工程、
    (B)当該哺乳動物由来の組織又は細胞におけるCPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性を測定する工程、
    (C)上記(B)で測定した発現量又は酵素活性を、被験物質をCPT1遺伝子若しくはCPT1蛋白質が発現可能又はCPT1酵素活性が測定可能な哺乳動物由来の組織或いは細胞に接触させない対照群におけるCPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性と比較する工程、
    (D)上記(C)の結果に基づいて、CPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性を減少させる被験物質をGIP上昇抑制剤として評価又は選択する工程、
    を含む、GIP上昇抑制剤の評価又は選択方法。
  2. 以下の工程(A)〜(D):
    (A)被験物質を非ヒト哺乳動物に投与する工程、
    (B)当該非ヒト哺乳動物から採取した小腸におけるCPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性を測定する工程、
    (C)上記(B)で測定した発現量又は酵素活性を、被験物質を投与しない対照群の非ヒト哺乳動物から採取した小腸におけるCPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性と比較する工程、
    (D)上記(C)の結果に基づいて、CPT1遺伝子発現量、CPT1蛋白質発現量、又はCPT1酵素活性を減少させる被験物質をGIP上昇抑制剤として評価又は選択する工程、
    を含む、GIP上昇抑制剤の評価又は選択方法。
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