以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の概略断面図である。なお、ここでは画像形成装置100として、モノクロ複合機について示している。画像形成装置100本体内には、画像形成部P、定着装置9、給送ユニット12、レジストローラー対13、機内温度センサー30、及びそれらの各装置、部材の動作を制御する制御部(CPU)90等が配置されている。
画像形成部Pには、感光体ドラム1の回転方向(図1の反時計回り方向)に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写ローラー7、クリーニング装置8、及び除電装置(図示せず)が配設されている。画像形成部Pでは、感光体ドラム1を図1において反時計回り方向に回転させながら、帯電、露光、現像及び転写の各工程により感光体ドラム1にモノクロ画像を形成する画像形成プロセスが実行される。
感光体ドラム1は、例えばアルミドラムの表面に感光層が積層されたものであり、帯電装置2により、表面を帯電させるようになっている。そして、後述する露光装置3からのレーザービームを表面に照射することにより、帯電を減衰させた静電潜像を形成する。なお、上記の感光層は、特に限定されるものではないが、例えば耐久性に優れるアモルファスシリコン(a−Si)や、有機感光層(OPC)等が好ましい。
帯電装置2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させるものである。例えば帯電装置2として、帯電ローラーに代表される帯電部材を感光体表面に接触させた状態で電圧を印加する接触式の帯電装置が用いられる。なお、接触式の帯電装置に代えて、細いワイヤー等を電極として高電圧を印加することにより放電するコロナ放電装置を用いても良い。露光装置3は、画像読取部21において読み取られた原稿画像データに基づいて光ビーム(例えばレーザービーム)を感光体ドラム1に照射し、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。
現像装置4は、感光体ドラム1の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成させるものである。この現像装置4へのトナーの供給はトナーコンテナ5から中間ホッパー6を介して行われる。なお、ここでは磁性を有するトナー成分のみから構成される一成分現像剤(以下、単にトナーともいう)が現像装置4に収容されている。
転写ローラー7は、感光体ドラム1表面に形成されたトナー像を乱さずに用紙搬送路11を搬送されてくる用紙18に転写する。クリーニング装置8は、感光体ドラム1の長手方向に線接触するクリーニングローラーやクリーニングブレード等を備えており、トナー像が用紙18に転写された後に、感光体ドラム1の表面に残った残留トナーを除去する。
画像読取部21は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。機内温度センサー30は、画像形成装置100内部の温度を継続的に検知する。機内温度センサー30は、レジストローラー対13の近傍に配置されている。
コピー動作を行う場合、画像読取部21において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。一方、画像形成部Pにおいて、帯電装置2により図1中の反時計回り方向に回転する感光体ドラム1が一様に帯電され、画像読取部21で読み取られた原稿画像データに基づいて露光装置3が感光体ドラム1上にレーザービーム(光線)を照射することで、その画像データに基づく静電潜像を感光体ドラム1表面に形成する。その後、現像装置4が静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。
上記のようにトナー像が形成された画像形成部Pに向けて、給送ユニット12により給紙カセット10から用紙18が送出され、用紙搬送路11及びレジストローラー対13を経由して画像形成部Pに所定のタイミングで搬送される。また、給紙カセット10に収納されていないサイズの用紙や封筒、厚紙等のシートは、手差し給紙部である手差しトレイ19に載置される。手差しトレイ19に載置されたシートは手差し給紙ローラー20によって用紙搬送路11に給送される。
そして、画像形成部Pにおいて転写ローラー7により感光体ドラム1表面のトナー像が用紙18に転写される。トナー像が転写された用紙18は感光体ドラム1から分離され、定着装置9に搬送されて加熱及び加圧されることで用紙18にトナー像が定着される。定着装置9を通過した用紙18は、複数方向に分岐した分岐部16によって搬送方向が振り分けられる。用紙18の片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対14によって排出トレイ15に排出される。
一方、用紙18の両面に画像を形成する場合は、定着装置9を通過した用紙18は一旦排出ローラー対14方向に搬送され、用紙18の後端が分岐部16を通過した後に排出ローラー対14を逆回転させるとともに分岐部16の搬送方向を切り換えることで、用紙18の後端から反転搬送路17に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラー対13に再搬送される。そして、感光体ドラム1上に形成された次の画像が転写ローラー7により用紙18の画像が形成されていない面に転写され、定着装置9に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ15に排出される。
次に、本実施形態の画像形成装置100の制御経路について説明する。図2は、本実施形態の画像形成装置100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
給紙ローラー対12b、レジストローラー対13は、それぞれ給紙クラッチ41、レジストクラッチ43を介して共通のモーター40に接続されている。クラッチ制御回路45は、給紙クラッチ41、レジストクラッチ43と接続され、制御部90からの出力信号により給紙クラッチ41、レジストクラッチ43を作動させる。
操作部70には、液晶表示部71、LED72が設けられており、ユーザーは操作部70を操作して指示を入力することで、画像形成装置100の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。液晶表示部71は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したり、タッチパネルとして、両面印字や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。LED72は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。
その他、操作部70には、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96、制御に必要な数値の演算処理を行う演算部97を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部P、クラッチ制御回路45、操作部70等が挙げられる。
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、後述する搬送アシストモードを実行する際の給紙ローラー対12bの回転の基準時間tや、機内温度センサー30により検出される機内温度Tに基づいて決定される給紙ローラー対12bの回転時間t1、t2等も格納されている。カウンター95は、印字枚数を積算してカウントする。なお、カウンター95を別途設けなくても、例えばRAM93で印字枚数を記憶するようにしてもよい。
図3は、本実施形態の画像形成装置100における給送ユニット12から画像形成部Pまでの用紙搬送経路を示す部分拡大図である。図2に示すように、給送ユニット12から排出ローラー対14(図1参照)までの用紙搬送路11は、給送ユニット12からレジストローラー対13までの第1搬送路11aと、レジストローラー対13から転写ローラー7(転写ニップ部)までの第2搬送路11bと、転写ローラー7から定着ローラー対23(定着ニップ部)までの第3搬送路11cと、定着ローラー対23から排出ローラー対14までの第4搬送路11dに区分される。
給送ユニット12は、給紙カセット10内に収納された束状の用紙18の最上面に接触するピックアップローラー12aと、給紙ローラー対12bとを有し、束状の用紙18を一枚ずつ分離してレジストローラー対13に搬送する。ピックアップローラー12aと給紙ローラー対12bは駆動連結されている。また、ピックアップローラー12と給紙ローラー対12bにはワンウェイクラッチが接続されており、駆動伝達を停止した状態で用紙搬送方向に従動回転することで、用紙18の搬送負荷を低減する。給紙ローラー対12bの下流側直近には、給紙ローラー対12bを用紙18が通過したか否かを検知する給紙検知センサー31が配置されている。
レジストローラー対13は、金属ローラー13aと、金属製のシャフトの外周面に弾性層としてゴム層が積層されたゴムローラー13bとで構成される。ゴム層は高い表面摩擦係数μを有し、レジストローラー対13での用紙搬送力を高めるために必要となる。給送ユニット12により給送された用紙18の先端がレジストローラー対13まで到着したタイミングでは、レジストローラー対13は停止しており、用紙の先端がレジストローラー対13に到着した後、所定のタイミングで給紙ローラー対12bを停止して、レジストローラー対13の上流側に適切な用紙18の撓みを形成し、給送ユニット12における用紙18の斜め給紙を補正する。
定着ローラー対23は、内部または外部に加熱機構を備えた加熱ローラー23aと、加熱ローラー23aに圧接されて定着ニップ部を形成する加圧ローラー23bとで構成される。転写ローラー7によりトナー像が転写された用紙18は、定着ニップ部を通過する際に加熱及び加圧され、用紙18上にトナー像が定着される。
転写ローラー7から定着ローラー対23までの第3搬送路11cには、ガイド部材21aと、搬送コロ21bとが配置されている。用紙18のトナー像が形成された面に対向する搬送コロ21bは、用紙18との接触面積を小さくしてトナーの付着を抑制するために手裏剣状をなしている。
転写ニップ部〜定着ニップ部間の第3搬送路11cを用紙18が通過する際、定着ニップ部(定着ローラー対23)の搬送速度と転写ニップ部での搬送速度の差が重要な設計要素となり、その設計の裕度は第3搬送路11cの搬送ガイド21aと搬送コロ21bとの距離(図3の搬送高さD)及び転写ニップ〜定着ニップ間の搬送距離に依存している。
具体的には、転写ニップ部の搬送速度に対して、定着ニップ部の搬送速度が速すぎる場合には、転写ローラー7と定着ローラー対23の間での用紙18の引っ張り合いの状態となる。その場合、搬送高さDの設定によっては、搬送コロ21b等への用紙18の接触によって画像が擦れたり、用紙18の後端がレジストローラー対13や転写ニップ部を抜ける際の振動により転写画像が乱れたりするという問題が発生する。また、転写ニップ部の搬送速度に対して、定着ニップ部の搬送速度が遅すぎる場合には、転写ニップ部〜定着ニップ部間の用紙18の撓みにより、搬送コロ21b等への用紙18の接触による画像擦れ等の画像乱れや、画像の等倍度や直角度の悪化等の問題が発生する。
一方、転写ニップ部での用紙搬送速度は、感光体ドラム1の線速、転写ローラー7の線速、及びレジストローラー対13の用紙搬送速度の影響を受ける。中でも、レジストローラー対13での用紙搬送速度の影響を大きく受ける。これは、レジストローラー対13〜転写ニップ部間での用紙搬送においては、レジストローラー対13での用紙18の拘束力が、転写ニップ部での用紙18の拘束力と比較して大きいことによる。つまり、レジストローラー対13の用紙搬送速度が相対的に速くなった場合には、転写ニップ部での用紙搬送速度も速くなり、逆に、レジストローラー対13の用紙搬送速度が相対的に遅くなった場合には、転写ニップ部での用紙搬送速度も遅くなる。また、レジストローラー対13での用紙搬送速度も、さらにその上流側に位置する給紙ローラー対12bの状態、およびレジストローラー対13を構成するゴムローラー13bの外径変化によって影響を受ける。
図4は、従来の画像形成装置における、用紙18が転写ニップ部を通過する際の、用紙先端からの距離と、その部分が転写ニップ部を通過する際の用紙搬送速度(転写速度)との関係を示すグラフである。図4を参照しながら、転写ニップ部の用紙搬送速度についてさらに詳細に説明する。なお、部分倍率とは、用紙を搬送方向に複数(例えば4つ)に区分したときの、それぞれ区間での等倍度のことをいう。図4では横軸に用紙先端からの距離、縦軸に転写速度(部分倍率)をとり、レジストローラー対13が高温時の搬送速度を破線で示し、レジストローラー対13が低温時の搬送速度を実線で示している。また、搬送負荷がない状態でのレジストローラー対13のゴムローラー13bが高温時の搬送速度を一点鎖線で示し、ゴムローラー13bが低温時の搬送速度を二点鎖線で示している。なお、図4の例では転写ニップ部での搬送速度をレジストローラー対13の搬送速度よりも速く設定している。
用紙18の先端が転写ニップ部に進入した直後は、レジストローラー対13〜転写ニップ部間、及び給紙ローラー対12b〜レジストローラー対13間の両方で用紙18の撓みが発生している。レジストローラー対13において用紙18の斜行を補正し、転写ニップ部への用紙18の再搬送タイミングを調整するためには、レジストローラー対13の上流側において用紙18に撓みを形成する必要がある。ここで、レジストローラー対13と転写ニップ部との間の第2搬送路11bにはある程度のスペースがあるため、必然的に給紙ローラー対12b〜レジストローラー対13間においても用紙18の撓みが発生する。この撓み量(撓み形状)は、用紙18の種類(特にコシの強さ)によって変化する。また、転写ニップ部における用紙搬送速度は、レジストローラー対13における用紙搬送速度よりも若干速く設定されている。そのため、転写速度は転写ローラー7と感光体ドラム1とで形成される転写ニップ部での用紙搬送速度のみに依存し、搬送負荷がない状態でのレジストローラー対13の用紙搬送速度に比べて速い線速となる。そして、レジストローラー対13〜転写ニップ部間、及び給紙ローラー対12b〜レジストローラー対13間での用紙18の撓みが解消されるにつれて、レジストローラー対13を通過する際の用紙18の搬送負荷が発生し、転写速度も急激に低下する(図4中のa部分)。
用紙18の撓みが完全に解消されると、レジストローラー対13での用紙搬送に対して、給紙ローラー対12bが搬送負荷となるため、レジストローラー対13〜給紙ローラー対12b間で用紙18を引っ張り合う状態になる。また、レジストローラー対13〜転写ニップ部間でも同様に用紙18を引っ張り合う状態になる。
前述したように、給紙ローラー対12bは用紙18の先端をレジストローラー対13まで搬送し、レジストローラー対13の上流側に所定の撓み量を形成した後、用紙18の後端をニップしたまま駆動力を切り離して従動状態(連れ回り状態)にするのが一般的である。その場合、レジストローラー対13での用紙搬送力に対して、給紙ローラー対12b自身は搬送負荷となる。従って、レジストローラー対13が回転駆動を開始した後、レジストローラー対13の上流側に形成された撓みを解消するまでの間は、給紙ローラー対12b自身は搬送負荷としては働かないが、レジストローラー対13と給紙ローラー対12bの間で用紙18を引っ張り合う状態になった後は、給紙ローラー対12bは搬送負荷として作用する。そのため、レジストローラー対13での用紙搬送速度は、用紙18の後端が給紙ローラー対12bを抜けるまでの間は、いわばブレーキが掛かった状態となる。
レジストローラー対13と転写ニップ部での搬送力は、レジストローラー対13での搬送力の方が大きい。そのため、転写速度は、ほぼレジストローラー対13での用紙搬送速度と同等になる。しかしながら、上述のように、レジストローラー対13には、その更に上流側の給紙ローラー対12bの搬送負荷が掛かっている状態である。その結果、実際のレジストローラー対13の用紙搬送速度(破線及び実線)は、搬送負荷がない状態でのレジストローラー対13の用紙搬送速度(一点鎖線及び二点鎖線)よりも小さくなる(図4中のb部分)。
また、搬送負荷がない状態でのレジストローラー対13での用紙搬送速度は、ゴムローラー13bの外径変化に大きな影響を受ける。高温時はゴムローラー13bの外径が大きくなるため用紙搬送速度は速くなり(一点鎖線)、逆に低温時はゴムローラー13bの外径が小さくなるため用紙搬送速度は遅くなる(二点鎖線)。
その後、用紙18の後端が給紙ローラー対12bを抜けると、給紙ローラー対12bの搬送負荷がなくなる分だけ搬送負荷が減少するため、レジストローラー対13での用紙搬送速度は搬送負荷のない状態とほぼ同等となり、転写速度も搬送負荷がない状態でのレジストローラー対13の用紙搬送速度と同等になる(図4中のc部分)。
さらに、用紙18の後端がレジストローラー対13を抜けると、レジストローラー対13の搬送負荷もなくなるため、用紙18の先端と同様に転写速度は再び転写ローラー7の線速のみに依存することとなり、用紙18は転写ニップ部での搬送負荷のない状態での搬送速度で搬送される(図4中のd部分)。
図4の破線と実線との比較から分かるように、レジストローラー対13のゴムローラー13bの温度によって、転写速度が大きく影響を受けてしまう。ゴムローラー13bのゴム層自体は熱膨張率が大きいため、ゴムローラー13bの温度が高くなれば、ゴム層が熱膨張してゴムローラー13bの外径が大きくなり、搬送速度が速くなる。逆に、ゴムローラー13bの温度が低い状態では、ゴム層が収縮してゴムローラー13bの外径が小さくなり、搬送速度も遅くなる。
そのため、レジストローラー対13が低温の状態で転写ニップ部〜定着ニップ部間の搬送速度を最適化してしまうと、画像形成装置100の連続運転等でレジストローラー対13の温度が上昇してレジストローラー対13の用紙搬送速度が速くなった場合に、転写ニップ部〜定着ニップ部間で用紙18が撓んでしまい、画像擦れや、直角度の悪化等の問題が発生してしまう。
一方、レジストローラー対13が高温の状態で転写ニップ部〜定着ニップ部間の搬送速度を最適化してしまうと、画像形成装置100の電源投入直後等でレジストローラー対13の温度が低下してレジストローラー対13の用紙搬送速度が遅くなった場合に、転写ニップ部〜定着ニップ部間で用紙18が引っ張られてしまい、用紙18の後端がレジストローラー対13を抜ける際の転写ズレによる画像スジや、定着ニップ部での用紙18のシワ等が発生してしまう。
そこで、本実施形態では、レジストローラー対13の再回転のタイミングに合わせて給紙ローラー対12bを回転させる搬送アシストモードを実行するとともに、レジストローラー対13近傍の機内温度に応じて給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを変化させることとしている。
また、用紙18がレジストローラー対13を通過中に給紙ローラー対12bを回転させた場合、給紙ローラー対12bはレジストローラー対13での用紙搬送に対して搬送負荷とはならないが、用紙18の後端が給紙ローラー対12bを抜ける直前には給紙ローラー対12bへの駆動伝達を停止する必要がある。その理由は、ピックアップローラー12aは給紙ローラー対12bと駆動連結しているため、先行する用紙18の後端がピックアップローラー12aを抜ける前に給紙ローラー対12bの駆動を停止しないと、ピックアップローラー12aが次の用紙18を繰り出してしまう(重送)ことにより、第1搬送路11a内でジャムを発生させてしまうからである。
図5は、本実施形態の画像形成装置100における、用紙18が転写ニップ部を通過する際の、用紙先端からの距離と、その部分が転写ニップ部を通過する際の用紙搬送速度(転写速度)との関係を示すグラフであり、図6は、本実施形態の画像形成装置100における搬送アシストモードの制御例を示すフローチャートである。必要に応じて図1〜図5を参照しながら、図6のステップに沿って搬送アシストモードの実行手順について説明する。なお、図5では、図4と同様に横軸に用紙先端からの距離、縦軸に転写速度(部分倍率)をとり、レジストローラー対13近傍の機内温度Tが高温時(T≧T1)の搬送速度を破線、機内温度Tが低温時(T≦T2)の搬送速度を細線、機内温度Tが常温時(T1>T>T2)の搬送速度を太線でそれぞれ示している。
ユーザーにより印字命令が入力され、印字動作が開始されると(ステップS1)、ピックアップローラー12aと共に給紙ローラー12bが回転することにより(ステップS2)、給紙カセット10から用紙18が搬送される。搬送された用紙18の先端はレジストローラー対13に到達し(ステップS3)、所定時間経過後に給紙ローラー対12bの回転を停止する(ステップS4)。これにより、用紙18はレジストローラー対13の上流側に所定の撓みが形成された状態で停止する。
次に、画像形成部9でのトナー像の形成タイミングに合わせてレジストローラー対13が回転し(ステップS5)、用紙18が再搬送される。そして、用紙18の撓みが解消する前に給紙ローラー対12bを再回転させる(ステップS6)。これにより、給紙ローラー対12bがレジストローラー対13での搬送に対して搬送負荷とならないために、レジストローラー対13での用紙搬送速度を搬送負荷のない状態(図4の一点鎖線、二点鎖線)まで上げることができる。即ち、給紙ローラー対12bが搬送負荷となることによるレジストローラー対13での搬送速度の低下を、給紙ローラー対12bの回転で補助(アシスト)することができる(搬送アシストモード)。
そして、制御部90は、機内温度センサー30によって検知された機内温度Tが、所定の閾値T1以上であるか否かを判断する(ステップS7)。機内温度Tが閾値T1以上である場合(ステップS7でYES)、制御部90はクラッチ制御回路45に制御信号を送信し、給紙ローラー対12bへの駆動伝達を停止するタイミングを早くして(ステップS8)、そのタイミングで給紙ローラー対12bへの駆動伝達を停止させる(ステップS11)。これにより、図5の破線で示すように、搬送アシストモードにおける給紙ローラー対12bへの駆動伝達時間(アシスト時間)はt1となり、基準時間tよりも短くなるため、給紙ローラー対12bの搬送負荷がレジストローラー13に早めに掛かることになる。その結果、機内温度の上昇によりゴムローラー13bが膨張して外径が大きくなることによる搬送速度の上昇を抑制することができる。
一方、機内温度Tが閾値T1よりも低い場合(ステップS7でNO)、制御部90は、機内温度Tが所定の閾値T2(T2<T1)以下であるか否かを判断する(ステップS9)。機内温度Tが閾値T2以下である場合(ステップS9でYES)、制御部90はクラッチ制御回路45に制御信号を送信し、給紙ローラー対12bへの駆動伝達を停止するタイミングを遅らせて(ステップS10)、そのタイミングで給紙ローラー対12bへの駆動伝達を停止させる(ステップS11)。これにより、図5の細線で示すように、搬送アシストモードにおける給紙ローラー対12bへの駆動伝達時間はt2となり、基準時間tよりも長くなるため、給紙ローラー対12bの搬送負荷がレジストローラー13に遅れて掛かることになる。その結果、機内温度Tの低下によりゴムローラー13bが収縮して外径が小さくなることによる搬送速度の低下を抑制することができる。
一方、機内温度TがT1>T>T2である場合は(ステップS9でNO)、給紙ローラー対12bへの駆動伝達を停止するタイミングを変化させずに所定のタイミングで給紙ローラー対12bへの駆動伝達を停止させる(ステップS11)。これにより、図5の太線で示すように、搬送アシストモードにおける給紙ローラー対12bへの駆動伝達時間は基準時間tのまま維持される。
そして、制御部90は、用紙18の後端がレジストローラー対13を通過したタイミングでクラッチ制御回路45に制御信号を送信し、レジストクラッチ43を作動させてレジストローラー対13を停止する(ステップS12)。その後、印字動作が終了したか否かが判断され(ステップS13)、印字が継続している場合はステップS2に戻り、以下同様の処理を繰り返す。印字が終了している場合は処理を終了する。
上記の制御によれば、機内温度の上昇によりゴムローラー13bの外径が大きくなった場合は搬送アシストモードにおける給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを早くすることで、レジストローラー対13を通過する用紙18の搬送速度の上昇を抑制することができる。従って、定着ニップ部の搬送速度に対して転写ニップ部の搬送速度が速くなりすぎて転写ニップ部〜定着ニップ部間で用紙18が撓んでしまうのを防止することができ、画像擦れや、直角度の悪化等を効果的に抑制することができる。
また、機内温度の低下によりゴムローラー13bの外径が小さくなった場合は搬送アシストモードにおける給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを遅らせることで、レジストローラー対13を通過する用紙18の搬送速度の低下を抑制することができる。従って、転写ニップ部の搬送速度に対して定着ニップ部の搬送速度が速くなりすぎて転写ローラー7と定着ローラー対23の間での用紙18の引っ張り合いの状態となるのを防止することができ、搬送コロ21b等への用紙18の接触による画像擦れや、用紙18の後端がレジストローラー対13や転写ニップ部を抜ける際の振動による転写画像の乱れを効果的に抑制することができる。
また、上記の制御例では、機内温度センサー30による検出温度Tが閾値T1以上である場合に給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを早めるとともに、検出温度Tが閾値T2以下である場合に給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを遅らせるようにしたが、検出温度Tに応じて給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを段階的に変化させても良い。
具体的には、検出温度Tが閾値T1に近い場合は給紙ローラー対12bへの駆動伝達時間t1を基準時間tから僅かに早めに設定し、検出温度Tが閾値T1を大きく上回っている場合には、給紙ローラー対12bへの駆動伝達時間t1と基準時間tとの差が大きくなるように設定する。このようにすれば、給紙ローラー対12bによるアシスト時間がゴムローラー13bの収縮の度合いに応じて最適化されるため、転写ニップ部における用紙搬送速度のバラツキをより精度良く補正することができる。
図7は、本発明の第2実施形態の画像形成装置100における、用紙18が転写ニップ部を通過する際の、用紙先端からの距離と、その部分が転写ニップ部を通過する際の用紙搬送速度(転写速度)との関係を示すグラフであり、図8は、第2実施形態の画像形成装置100における搬送アシストモードの制御例を示すフローチャートである。なお、図7では、図5と同様に横軸に用紙先端からの距離、縦軸に転写速度(部分倍率)をとり、連続印字枚数Nが所定枚数N1以上のときの搬送速度を破線、連続印字枚数Nが所定枚数N1よりも少ないときの搬送速度を実線で示している。また、画像形成装置100の構成については、機内温度センサー30を備えていない以外は第1実施形態の図1〜図3と同様であるため説明を省略する。
本実施形態では、給紙ローラー対12bを再回転させた後(ステップS6)、制御部90は、連続印字枚数Nが所定枚数N1以上であるか否かを判断し(ステップS7)、所定枚数N1以上である場合は(ステップS7でYES)、給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを通常よりも早める(ステップS8)。その後、変更されたタイミングで給紙ローラー対12bへの駆動伝達を停止し(ステップS9)、さらに用紙18の後端がレジストローラー対13を通過したタイミングでレジストローラー対13を停止する(ステップS10)。
通常、連続印字時には熱源となる定着装置9の駆動時間が長くなるため、機内温度が上昇する傾向にある。そのため、連続印字が継続するとゴムローラー13bが熱膨張し、レジストローラー対13での用紙搬送速度が速くなる。そこで、連続印字枚数Nが所定枚数N1以上となったときは、図7の破線で示すように、給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを早めて給紙ローラー対12bへの駆動伝達時間t1を基準時間tよりも短縮する。これにより、レジストローラー対13にはゴムローラー13bの熱膨張による搬送速度の上昇分を打ち消すように給紙ローラー対12bの搬送負荷が加わるため、レジストローラー対13での用紙搬送速度を維持することができる。
本実施形態の制御は、画像形成装置100内に機内温度センサー30が設置されていない場合、或いは機内温度センサー30が設置されていたとしても、レジストローラー対13近傍の温度を反映できない場合に特に有効である。なお、本実施形態は、連続印字枚数Nの増加に伴う機内温度の上昇に対応してレジストローラー対13での用紙搬送速度を維持する制御であるため、機内温度の低下には対応できない。そのため、搬送アシストモードにおける給紙ローラー対12bへの駆動伝達の基準時間tを、予め低温条件での最適値に設定しておき、連続印字枚数の増加に応じて駆動伝達時間t1を基準時間tから徐々に短縮することが好ましい。
また、図8の制御例では、連続印字枚数NがN1以上であるか否かで給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを早めるか否かを決定しているが、連続印字枚数Nの増加に応じて給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを段階的に早める制御としても良い。
図9は、本発明の第3実施形態の画像形成装置100における搬送アシストモードの制御例を示すフローチャートである。画像形成装置100の構成については第2実施形態と同様であるため説明を省略する。また、用紙18が転写ニップ部を通過する際の、用紙先端からの距離と、その部分が転写ニップ部を通過する際の用紙搬送速度(転写速度)との関係については第2実施形態の図7と同様であるため、図7を用いて説明する。
本実施形態では、給紙ローラー対12bを再回転させた後(ステップS6)、制御部90は、印字動作が両面印字であるか否かを判断し(ステップS7)、両面印字である場合は(ステップS7でYES)、さらに両面連続印字枚数N′が所定枚数N1′以上であるか否かを判断する(ステップS8)。所定枚数N1′以上である場合は(ステップS8でYES)、給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを通常よりも早める(ステップS9)。その後、変更されたタイミングで給紙ローラー対12bへの駆動伝達を停止し(ステップS10)、さらに用紙18の後端がレジストローラー対13を通過したタイミングでレジストローラー対13を停止する(ステップS11)。
レジストローラー対13の温度は、両面印字を連続して行うことで特に上昇することが知られている。そこで、両面連続印字枚数N′が所定枚数N1′以上となったときは、図7の破線で示すように、給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを早めて給紙ローラー対12bへの駆動伝達時間t1を基準時間tよりも短縮する。これにより、第2実施形態と同様に、レジストローラー対13にはゴムローラー13bの熱膨張による搬送速度の上昇分を打ち消すように給紙ローラー対12bの搬送負荷が加わるため、レジストローラー対13での用紙搬送速度を維持することができる。
本実施形態の制御は、第2実施形態と同様に、画像形成装置100内に機内温度センサー30が設置されていない場合、或いは機内温度センサー30が設置されていたとしても、レジストローラー対13近傍の温度を反映できない場合に特に有効である。なお、本実施形態は、両面連続印字枚数N′の増加に伴う機内温度の上昇に対応してレジストローラー対13での用紙搬送速度を維持する制御であるため、機内温度の低下には対応できない。そのため、搬送アシストモードにおける給紙ローラー対12bへの駆動伝達の基準時間tを、予め低温条件での最適値に設定しておき、両面連続印字枚数′の増加に応じて駆動伝達時間t1を基準時間tから徐々に短縮することが好ましい。
なお、図9の制御例では、両面連続印字枚数N′がN1′以上であるか否かで給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを早めるか否かを決定しているが、両面連続印字枚数N′の増加に応じて給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを段階的に早める制御としても良い。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第2、第3実施形態では、それぞれ連続印字枚数N、両面連続印字枚数N′に基づいて給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを変化させているが、連続印字枚数N、両面連続印字枚数N′の両方に基づいて給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを変化させても良い。また、第1実施形態に第2、第3実施形態を組み合わせて機内温度Tと連続印字枚数N、両面連続印字枚数N′とに基づいて給紙ローラー対12bへの駆動伝達の停止タイミングを変化させても良い。
また、上記各実施形態では、給紙カセット10からの用紙18の給送時における制御について説明したが、手差しトレイ19からの用紙18の給送時においても、レジストローラー対13の回転に合わせて手差し給紙ローラー20への駆動伝達を継続させ、用紙18の後端が手差し給紙ローラー20を抜ける前に手差し給紙ローラー20への駆動伝達を停止することで全く同様の制御を行うことができる。
さらに、給紙ローラー対12bとレジストローラー対13の間に中間ローラー対を備えた構成では、レジストローラー対13の回転に合わせて中間ローラー対への駆動伝達を継続させることで搬送アシストモードを実行することができる。この場合、中間ローラー対は給紙カセット10または手差しトレイ19からの用紙18の給紙に直接関与しないため、転写ニップ部を通過する用紙18に極力負荷を掛けたくない場合は、用紙18の後端が中間ローラー対を抜けるまで中間ローラー対への駆動伝達を継続させておくことも可能である。
また、本発明は図1に示したモノクロ複合機に限らず、カラープリンターやカラー複合機、モノクロプリンター等の、電子写真方式を用いた他の画像形成装置にも適用可能である。