以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明を適用した実施形態の画像形成装置の概略構成を説明するための説明図である。
本実施形態に係る画像形成装置1は、図1に示すように、親機101と子機102の2つの印刷機が連続的に接続されている直列タンデム機である。直列タンデム機は、親機101、子機102を連続的に使用して印刷する。直列タンデム機は特に両面印刷に適している。
親機101と子機102は、印刷するための機能、性能は同じである。したがって、ここでは親機101と子機102において同機能の部材には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
画像形成装置1は、親機101内に制御部11が備えられていて、親機101および子機102の両方、および用紙を搬送する搬送経路110などを一体的に制御している(制御部11の詳細は後述する)。
親機101側には、給紙部12が備えられていて、親機101および子機102へ印刷媒体である用紙を供給している。給紙部12の内は給紙トレイを有しており、たとえばサイズや材質などが異なる複数の用紙を収納できるようになっている。なお本実施形態では子機102側に給紙部は備えていないが、子機102側のみによる単独印刷など必要であれば、親機101を介在させずに用紙を供給するために子機102側にも給紙部を設けていても差し支えない。
親機101と子機102は、印刷エンジンである印刷部13を備えている。印刷部13は、たとえば、公知の電子写真方式による作像プロセスにより、画像を用紙等の印刷媒体に印刷する。印刷部13は、給紙部12から搬送されてきた用紙に対して画像を印刷した後、出力する。印刷部13は、たとえば、モノクロ/カラーなどの色印刷機能、拡大縮小機能、2in1、4in1などのページ割り付け機能、画像の向きを入れ替える機能などを備えている。これらの印刷機能の一つひとつは、印刷設定の中の一つとして設定されており、その設定に基づいて制御部11からの指令により実行される。
給紙部12、親機101、子機102、および後処理装置14は、用紙を搬送する搬送経路110によって接続されている。
親機101と子機102の間の搬送経路には用紙を反転させる中間反転部111を有する。中間反転部111には、用紙を中間反転経路112内に通して反転させるか、中間反転経路112を通さずに反転させないかを切り替える切替機113が備えられている。制御部11は、子機102へ入力する用紙を反転させる必要がある場合、切替機113を切り替えて中間反転部111の中間反転経路112に用紙を通過させることで用紙を反転して子機102へ搬送させる。一方、用紙を反転させる必要がない場合、中間反転経路112を通さずに子機102へ搬送させる。
子機102から出力後の搬送経路110中にも、用紙を反転させる出力反転部121を有する。出力反転部121には出力反転経路122を有する。用紙をこの出力反転経路122内に通して反転させるか、通さずに反転させないかを切り替える切替機123が備えられている。制御部11は、子機102から出力させる用紙を反転させる必要がある場合、切替機123を制御して出力反転経路122に用紙を通過させることで用紙を反転して出力させる。一方、用紙を反転させる必要がない場合、出力反転経路122を通さずに出力させる。
本実施形態では、親機101および子機102ともに印刷部13として全く同じ印刷エンジンを使用している。これは、両者の印刷特性を極力同じになるようにするためである。
本実施形態においては、親機101、子機102ともに搬送中の用紙の上を向いた面に印刷される仕様の印刷エンジンを用いることとして説明する。この場合、通常の両面印刷では、搬送中上を向いた第1面(以下、この第1面を表面という)にまず親機101により印刷される。その後、中間反転経路111によって用紙が反転されて、子機102に入力されたときに上を向いた第2面(以下、この第2面を裏面という)に印刷が行われる。子機印刷後は、そのまま出力(排紙)されることでフェースダウン方式による出力となる。
通常の印刷動作は、印刷データのページ順、すなわち、第1ページ、第2ページ、…最終ページの順に印刷が実行される。この場合印刷後に出力された用紙は、下を向いた状態でページ順に重なることになる。もちろんページの逆順となるように印刷してもよい。その場合、最終ページ、…、第2ページ、第1ページの順に印刷が実行される。この場合印刷後に出力された用紙は、下を向いた最終ページが一番下になっていて(ただし総ページ数が奇数の場合には一番下の下向きの面は空白ページとなる)、上からページ順に重なることになる。
このように両面印刷においては、あらかじめ決められたページ順に従い、最初に印刷されるページ(たとえば第1ページ)を含む画像が用紙の表面(第1面)に親機101によって印刷され、次のページ(たとえば第2ページ)を含む画像が同じ用紙の裏面(第2面)に子機102によって印刷される。両面印刷時には、このような印刷順により面付けされる。
出力形態はフェースアップ方式としてもよい。その場合、子機印刷後の用紙を出力反転部121によって反転させてから出力することになる。
なお、親機101および子機102により印刷する面は、上を向いた面に限定されない。親機101、子機102ともに同じ印刷エンジンとした場合に両方とも搬送中下を向いた面に印刷される仕様としてもよい。この場合、フェースダウン方式で下を向いた状態でページ順に重なるように出力する場合、子機印刷後の用紙を出力反転部121によって反転させてから出力することになる。フェースアップ方式で出力する場合は、子機印刷後の用紙を出力反転経路122を通さずに出力することになる。
さらに、親機101と子機102で用紙に対する印刷面が異なるようにしてもよい。たとえば、親機101は搬送中用紙の上(または下)を向いた面に印刷する仕様とし、子機102は下(または上)を向いた面に印刷する仕様とするのである。つまり、親機と子機で搬送中の用紙に対して上下から印刷できるようにするのである。この場合中間反転経路111による用紙の反転を行わずに、親機101から出力された用紙をそのまま子機102へ流して両面印刷することができ、いっそうの高速化を図ることができる。特に本実施形態の場合、見開きページで左右のページとなる表面と裏面に対する印刷を同じ印刷エンジンで実行できるため(詳細後述)、親機101と子機102で元々の印刷特性に僅かな違いがあっても、見開きページで印刷結果(色合いやにじみ具合など)に違いが出ることはない。
後処理装置14は、子機102から出力された印刷後の用紙に対して後処理を行う。後処理装置14は、制御部11からの制御によって子機102から出力されてきた用紙に対して、様々な後処理を実行する。後処理としては、たとえば、用紙の所定位置(綴じ方向)にパンチ穴を開けるパンチ機能、用紙の所定位置をステープルで止めるステープル機能、用紙を所定の折り方で折る折り機能などである。これらの後処理機能の一つひとつは、印刷設定の中で設定される。
また、画像形成装置1には、一つの操作パネル15を備えている。操作パネル15は複数あってもよいが、通常は直列タンデム構成の画像形成装置1を1台の装置として扱うため一つあればよい。操作パネル15は、各種表示を行うとともに入力も行うことのできるタッチパネル付きディスプレイ、テンキー、スタートボタン、ストップボタンなどを備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。この操作パネル15から、後述する印刷設定を行うことができる。
図2は画像形成装置1の制御部11内の構成および他の外部機器とのネットワーク接続を示すブロック図である。
画像形成装置1は外部機器であるクライアントコンピューター(以下PC(Personal Computer)という)30とネットワーク18を介して接続されている。
PC30は、一般的なパソコンなどのコンピューターであり、ネットワークインターフェース(不図示)を備え、画像形成装置1との間で印刷ジョブの送信を行う。また、印刷ジョブごとの印刷設定を行う。このためにPC30には、画像形成装置1に適したプリンタードライバー(プログラム)がインストールされている。ユーザーは、このプリンタードライバーを用いて画像形成装置1に対して印刷データとともに印刷設定を含む印刷ジョブの送信や印刷指令を行う。ここで印刷設定とは、本実施形態では片面・両面印刷や冊子形態の印刷指定などを含む。もちろん印刷設定には、一般的な画像形成装置1として備えられている機能を実行するための指定、たとえば、印刷部数や用紙サイズ、両面・片面の指定、カラー・白黒の指定なども含む。
図2においてはPC30として1台のみ示しているが、これは複数のPC30が同じネットワークに接続されていて、1台の画像形成装置1に対してそれぞれのPC30が印刷ジョブを送信することができるようにしておいてもよい。
ネットワーク18は、PC30と画像形成装置1を接続して、印刷ジョブの受け渡しやその他の情報を送受信することになる。このようなネットワーク18としては、たとえばLANを使用することができる。またPC30と画像形成装置1を直接接続する回線、専用線などであってもよい。
次に、制御部11と、その動作について説明する。
図2を参照して制御部11は、CPU21(Central Processing Unit)、ROM22(Read Only Memory)、RAM23(Random Access Memory)、フラッシュROM24(FlashROM)、ネットワークインターフェース(Network Interface:NIF27)を備える。これら各部は信号をやり取りするためのバス28により相互に接続されている。また、制御部11は、給紙部12、後処理装置14、操作パネル15、親機101および子機102両方の印刷部13と内部配線29によって制御信号のやり取りができるように接続されている(図1参照)。
この制御部11は、画像形成装置1の各部の制御を行う。ここで行われる制御は、主に、CPU21が処理に必要なプログラムを実行することで、印刷設定に従った印刷および印刷後の用紙に対する後処理の制御などを行っている。なお、印刷そのものの制御に必要なプログラムは、一般的な画像形成装置1で使用されているものと同様であるので詳細な説明は省略し、ここでは両面印刷、冊子形態として印刷する際に、見開きページの見栄えをよくするための処理について説明する。また、CPU21は印刷ジョブに含まれている印刷データのラスタライズ、および画像の面付けなども行っている。面付けされた画像はフラッシュROM24内に記憶されて、制御部11の制御によって順次印刷部13へ提供されることになる。
ROM22は、画像形成装置1として最低限必要となる基本動作を実行するための各種プログラムを記憶している。たとえば、画像形成装置1に電源投入時に各部が正常に動作するか否かを判断したり、その後の処理に必要なプログラムをフラッシュROM24から読み出したりするなど、基本的な動作のためのプログラムを記憶している。
RAM23はCPU21の作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
フラッシュROM24は、制御に必要なプログラムや印刷設定を記憶している。本実施形態では見開きページの見栄えを良くするための処理プログラムについてもこのフラッシュROM24に記憶されている。また、フラッシュROM24は、印刷データなど印刷するデータを展開する際にも使用される。なお、フラッシュROM24に代えて、ハードディスク(HDD)やその他の不揮発性メモリを使用することができる。
ネットワークインターフェース(NIF)は印刷データを受信する受信部である。ネットワークインターフェースはネットワーク18を介して外部機器と通信するためのインターフェースである。ここではPC30との接続に使用されている。なお、本実施形態では、印刷ジョブは、PC30から送信されてくるものとして説明するが、そのほかにも、たとえば、画像形成装置1にUSBなどのような有線のインターフェースや、無線によるインターフェースを設けて、様々な端末機器(たとえば、USBメモリや携帯端末など)から直接印刷ジョブを受信できるようにしておいてもよい。このような場合は、それらのインターフェースが印刷データを受信する受信部となり得る。
次に、両面印刷で冊子形態の印刷を行う際の処理手順について説明する。図3および図4は実施形態1における両面印刷で冊子形態の印刷処理手順を説明するためのフローチャートである。
まず、CPU21は、受信した印刷ジョブの中から、印刷設定、印刷データなどを抜き出し、一時記憶する(S1)。なお、印刷設定については、他に使用する目的がなければ通常RAMに記憶するだけでよい。一方、印刷データはフラッシュROM24に記憶する。これは、印刷データ容量が通常はRAM23に記憶するには大きいためフラッシュROM24に記憶するのであるが、RAM23へ記憶することができればそれでもよい。
続いて、CPU21は、抜き出した印刷データをラスタライズして画像を作成する(S2)。ラスタライズされた画像のデータはフラッフュROM24に記憶される。この処理はいわゆるRIP(Raster Image Processor)のことであり、ここではCPU21がRIPプログラムを実行することにより行っている。しかし、ラスタライズは専用のプロセッサーを用いてもよい。
続いて、CPU21は、印刷設定を解釈して両面印刷かつ冊子形態あるか否かを判断する(S3)。ここで印刷設定が、冊子形態以外および冊子形態であっても両面印刷の指定がない場合は(S3:NO)、印刷設定に従って通常の印刷動作を行う(S200)。S200の処理は従来からある通常の印刷処理であるので説明は省略する。
続いてCPU21は、S3において両面印刷かつ冊子形態が指定されていると判断した場合は、さらに見開きページにおける見栄え優先処理を行うか否かを判断する(S4)。見栄え優先の指定は、ユーザーによって印刷設定の中に指定されているか、またはこの画像形成装置1の操作パネル15から入力されることにより指定される。
図5は、このような見栄え優先設定をする際の設定画面例を説明するための説明図である。
図5に示す設定画面は、たとえば操作パネル15に表示される。設定画面300は、見開きページに対する処理を設定するための画面である。設定画面300の中には、速度優先301と見栄え優先302の項目とそれらに対応するラジオボタン(チェックボタンなど選択を示すものであればどのような形態でもよい)を配置する(図では見栄え優先302が選択れている)。
速度優先301は画像の入れ替えを行うことなく、速く印刷が完了するようにするための項目である。見栄え優先302は、本実施形態1の処理を実行して見開きページにおける見栄えをよくするための項目である。
制御部11は、この設定画面300から見栄え優先302が選択されるとこれをRAM23に一時記憶しておくことになる。そして、制御部11はS4において見栄え優先302の設定が行われているかどうかの判断をこの画面から選択された項目の記憶により行うことになる。
S4において見栄え優先でなければ(S4:NO)、S200により通常の印刷処理が行われる。
そしてS4において見栄え優先が指定されていると判断したなら(S4:YES)、CPU21は、さらに綴じ位置の指定を確認する(S5)。ここでは中綴じか、左(または右)綴じかを判断する。以下では中綴じ冊子形態が指定された場合を先に説明する。左綴じの場合の処理については後述する。
S5において中綴じが指定されていると判断されたなら、各ページを両面印刷かつ冊子形態となるように面付けする(S6)。面付けは、用紙に対して実際に印刷する画像を作成する処理である。ここでは中綴じが選択されているので、1枚の用紙の片面に2ページ分の画像が面付けされることになる。
この段階での面付け処理は通常の印刷動作と同じである。たとえば総ページ数が第1ページから第nページまでとして(nは最終ページ番号を示す。以下同様)、総ページ数が偶数の場合(すなわちnが偶数)は、第1ページと第nページが第1枚目用紙の表面に印刷されるように面付けされる。続いて第2ページと最終ページの1つ前の第n−1ページが第1枚目用紙の裏面に印刷されるように面付けされる。続いて第3ページと最終ページの2つ前の第n−2ページが次の用紙である第2枚目用紙の表面、第4ページと最終ページの3つ前の第n−3ページが第2枚目用紙の裏面、…と面付けされてゆくことになる。
一方、総ページ数が奇数の場合(すなわちnが奇数)、第1ページと空白ページが第1枚目用紙の表面に印刷されるように面付けされる。続いて第2ページと第nページが第1枚目用紙の裏面に印刷されるように面付けされる。続いて第3ページと最終ページの1つ前の第n−1ページが次の用紙である第2枚目用紙の表面、第4ページと最終ページの2つ前の第n−2ページが第2枚目用紙の裏面、…と面付けされてゆくことになる。
面付けされた画像は、面付けされた状態(ここでは2ページ分の画像)となるように、ラスタライズ後の画像を結合してフラッシュROM24に記憶しておく。
この段階では、面付けされた画像は表面用、裏面用となっている。これは、画像の送り出し順および親機101、子機102との関連付けがなされていることになる。すなわち、第1ページを含む第1枚目用紙の表面用の画像は親機101の印刷部13へ、第2ページを含む第1枚目用紙の裏面用の画像は子機102の印刷部13へ、続いて第3ページを含む第2枚目用紙の表面用の画像は親機101の印刷部13へ、第4ページを含む第2枚目用紙の裏面用の画像は子機102、…というように順番付け、および親機101、子機102との関連付けがなされていることになる。このような面付け処理は、本実施形態ではCPU21が面付け処理に必要なプログラムを実行することで行っている。したがって、CPU21を含む制御部11が面付け部となる。しかし、制御部11に代わり画像処理専用のプロセッサーを設けて面付け処理を実行するようにしてもよい。
続いて、CPU21は印刷実行の指示を出して、用紙を一枚給紙させる(S7)。続いて、給紙した用紙が偶数枚目か否かを判断する(S8)。この偶数枚目の用紙があらかじめ指定された用紙である。S8において給紙した用紙が偶数枚目でなければ(すなわち奇数枚目)(S8:NO)、面付け後の画像データをそのまま表面用は親機101へ、裏面用は子機102へ送信し(S11)、それぞれ印刷させる(S12)。
一方、S8において給紙した用紙が偶数枚目の場合(S8:YES)、その用紙が偶数枚目であることを記憶しておき、この偶数枚目の用紙に印刷される面付け後の画像について表面用と裏面用を入れ替える(S9)。
S9の表裏の入れ替えは、偶数枚目の用紙である第2枚目用紙の表面に印刷される第3ページと第n−2ページからなる画像を裏面用に指定し、第4ページと第n−3ページからなる画像を表面用に指定し直すのである。他の偶数枚目用紙の画像も同様に入れ替えることになる。
続いて、CPU21は、面付けされた左右の画像を入れ替える(S10)。これは、S9において、1枚の用紙に対する画像の表裏を入れ替えたため、1枚の用紙内において面付けされた2ページ分の画像の印刷順が逆転する。これを直すために左右の画像を入れ替えるのである。入れ替えた後の画像はフラッフュROMに元の画像に対して上書き保存される。
以上の処理を終えたのち、CPU21は入れ替えた後の表面用の画像を親機101へ、同じく入れ替えた後の裏面用の画像を子機102へ送信して(S11)、それぞれ印刷させる(S12)。このS11およびS12ではS9およびS10の処理を行った後であれば、表裏および左右の画像を入れ替えた画像が親機101および子機102へ送信されて印刷されることになる。
続いて、CPU21は印刷が終了して子機102から出力された用紙が偶数枚目であれば(S8でYESの時の記憶に基づく)、その印刷された用紙を反転させる(S13)。このとき、通常の印刷で反転させない設定(たとえばフェースダウン出力)であれば出力反転部121で反転させる。一方、通常印刷で反転させる設定(たとえばフェースアップ出力)であれば、反転経路を通さないことになる。このS13において、S8でYESの時に偶数枚目の記憶がなければ、印刷出力された用紙は反転させないで出力することになる。
その後、CPU21はすべての印刷が終了したか否かを判断して(S14)、すべての印刷が終了していなければ(S14:NO)、S7へ戻り、以降の処理を継続する。一方、S14においてすべての印刷が終了していれば(S14:YES)、CPU21は印刷処理を終了する。印刷終了後は後処理装置14に対して印刷設定で指定された後処理を実行させる(S15)。後処理は、中綴じ冊子形態が指定されていれば、折り動作などを後処理装置14に実施させることになる。これによりすべての処理が終了する。
次に、図4を参照してS5において左綴じ(または右綴じ)が選択された場合を説明する。基本的には中綴じと同様であり、見栄え優先が選択されている場合は面付けられた表裏の画像を入れ替えて印刷することになる。ただし、左右のページの入れ替えは行わない。以下、詳細に説明する。ここでは左綴じが選択された場合を例に説明するが、右綴じの場合も同様であり、後処理における綴じ位置が異なるだけである。
左綴じが指定された場合(S5:NO(左(右)綴じ))、CPU21は、各ページを面付けする(S21)。ここでの面付けは、1枚の用紙の片面に1ページ分の画像が対応付けられ、かつ両面印刷となるようにする。すなわち、第1枚目用紙の表面に第1ページ、この第1枚目用紙の裏面に第2ページ、第2枚目用紙の表面に第3ページ、第2枚目用紙の裏面に第4ページ、…となり、最後に第nページが面付けされる。面付けされた画像は、面付けされた状態となるようにフラッシュROM24に記憶しておく。
この段階では、面付けされた画像は表面用、裏面用となって、画像の送り出し順に親機101、子機102との関連付けがなされていることになる。すなわち、第1枚目用紙の表面用の画像は親機101の印刷部13へ、第1枚目用紙の裏面用の画像は子機102の印刷部13へ、…となるように関連付けがなされている。
続いて、CPU21は印刷実行の指示を出して、用紙を一枚給紙させる(S22)。続いて、給紙した用紙が偶数枚目か否かを判断する(S23)。ここでも中綴じ同様に、遇煤枚目の用紙があらかじめ指定された用紙ということになる。S23において給紙した用紙が偶数枚目でなければ(すなわち奇数枚目)であれば(S23:NO)、面付け画像のデータをそのまま表面は親機101へ裏面は子機102へ送信し(S25)、それぞれ印刷させる(S26)。
一方、S23において給紙した用紙が偶数枚目の場合(S23:YES)、そのことを記憶しておいて、この偶数枚目の用紙に印刷される面付け後の画像について表面用と裏面用を入れ替える(S24)。偶数枚目の用紙である第2枚目用紙の表面に面付けされている第2ページを裏面用にし、第3ページの画像を第2枚目用紙の表面用に指定し直すのである。他の偶数枚目用紙についても同様に入れ替えることになる。
続いて、CPU21は、表裏の画像を入れ替えた表面用の画像を親機101へ、同じく画像を入れ替えた裏面用の画像を子機102へ送信して(S25)、それぞれ印刷させる(S26)。
続いて、CPU21は印刷が終了して子機102から出力された用紙を反転させる(S27)。通常印刷で反転させない印刷の場合は出力反転経路122を通し、通常印刷で反転させる印刷の場合は出力反転経路122を通さないことで反転させることになる。
その後、CPU21はすべての印刷が終了したか否かを判断して(S28)、すべての印刷が終了していなければ(S28:NO)、S22へ戻り、以降の処理を継続する。一方、S28においてすべての印刷が終了していれば(S28:YES)、CPU21は印刷処理を終了する。その後CPU21は、後処理装置14に対して印刷設定で指定された後処理、ここでは左綴じ形態となるように、ステープルまたはパンチ穴開けなどを印刷設定の指示に従って後処理を実行させる(S15)。
次に、冊子印刷物の具体例を挙げてさらに説明する。まず中綴じ冊子形態を例に説明する。本実施形態の理解を容易にするためにここでは従来の中綴じ冊子形態の印刷から説明する。図6は従来の中綴じ冊子形態の印刷を説明するための説明図であり、(a)は印刷の説明図、(b)は出来上がり冊子の説明図である。図7は本実施形態1を適用して見栄えを良くするための処理を行った中綴じ冊子形態の印刷を説明するための説明図であり、(a)および(b)は印刷の説明図、(c)は出来上がり冊子の説明図である。ここではわかり易いように、いずれも12ページの印刷物を例に説明する。また図6および7中、[数字]は表面に印刷されたときのページ番号を示し、(数字)は裏面に印刷されたときのページ番号を示す。
図6を参照して、従来の中綴じ冊子形態の印刷を説明する。まず、第1枚目の用紙の表面には親機101によって第1ページと第12ページが印刷される。その後第1枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第2ページと第11ページが印刷される。続いて、第2枚目の用紙の表面には親機101によって第3ページと第10ページが印刷され、第2枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第4ページと第9ページが印刷される。以降同様に各ページの表面が親機101、裏面が子機102によって印刷されることになる。
このようにして印刷出力された用紙は、図6(b)に示すように、冊子形態として綴じられたとき、第2ページと第3ページが見開きページとなる。そうすると、第2ページは子機102、第3ページは親機101によって印刷されているため、親機101と子機102の微妙な違いが現れることがある。他の左右見開きとなるページも同様である。
親機101と子機102で印刷に違いが出る理由は様々であるが、たとえば、元々の印刷エンジンの個体差、また親機101と子機102とでカラーとモノクロの画像の印刷頻度が違うなどしてランニング時間の違いによる劣化の進み具合の違いなどが原因である。
次に、図7を参照して本実施形態1の場合を説明する。まず、第1枚目の用紙の表面には親機101によって第1ページと第12ページが印刷される。その後第1枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第2ページと第11ページが印刷される。続いて、第2枚目の用紙の表面には親機101によって第9ページと第4ページが印刷され、第2枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第10ページと第3ページが印刷される。
この第2枚目の用紙に対する印刷は、図7(b)に示すように、最初の面付け状態(すなわち従来の印刷(図6))と比べて、表裏、左右入れ替え後は、用紙の表裏に印刷される画像が入れ替わりかつ左右のページの画像も入れ替わっているのである。そしてこのようにして印刷出力された第2枚目の用紙は子機102から出力された段階で反転される。
その後は奇数枚目の用紙に対しては通常通り印刷し、偶数枚目の用紙に対しては表裏を入れ替えかつ左右の画像も入れ替えて印刷して最後に反転して出力することになる。
このようにして印刷出力された用紙は、図7(c)に示すように、冊子形態として綴じられたとき、第2ページと第3ページが見開きページとなる。このとき、第2ページも第3ページも子機102によって印刷されているため印刷エンジンの違いによる差は現れることがない。同様に、見開きページとなる第4ページと第5ページは親機101によって印刷されているため印刷エンジンの違いによる差は現れることがない。他の見開きページも同様に、同じ印刷エンジンによる印刷となるので印刷エンジンの違いによる差は現れることがないのである。
次に、左綴じの場合を説明する。図8は従来の左綴じ冊子形態の印刷を説明するための説明図であり、(a)は印刷の説明図、(b)は出来上がり冊子の説明図である。図9は本実施形態を適用して見栄えを良くするための処理を行った左綴じ冊子形態の印刷を説明するための説明図であり、(a)は印刷の説明図、(b)は出来上がり冊子の説明図である。いずれも12ページの印刷物を例に説明する。また図8および9中、[数字]は表面に印刷されたときのページ番号を示し、(数字)は裏面に印刷されたときのページ番号を示す。
図8を参照して、従来の左綴じ冊子形態の印刷を説明する。まず、第1枚目の用紙の表面には親機101によって第1ページが印刷される。その後第1枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第2ページが印刷される。続いて、第2枚目の用紙の表面には親機101によって第3ページが印刷され、第2枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第4ページが印刷される。以降同様に各ページの表面が親機101、裏面が子機102によって印刷されることになる。
このようにして印刷出力された用紙は、図8(b)に示すように、冊子形態として綴じられたとき、第2ページと第3ページが見開きページとなる。そうすると、第2ページは子機102、第3ページは親機101によって印刷されているため、親機101と子機102の微妙な違いが現れることがある。他の左右見開きとなるページも同様である。
次に、図9を参照して本実施形態1の場合を説明する。まず、第1枚目の用紙の表面には親機101によって第1ページが印刷される。その後第1枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第2ページが印刷される。続いて、第2枚目の用紙の表面には親機101によって第4ページが印刷され、第2枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第3ページが印刷される。この第2枚目の用紙に対する印刷は、既に説明したように、最初に面付けられた状態(従来の印刷(図8))と比べると、表裏が入れ替わっているのである。そしてこのようにして印刷出力された第2枚目の用紙は子機102から出力された段階で反転される。その後は奇数枚目の用紙に対しては通常通り印刷し、偶数枚目の用紙に対しては表裏を入れ替えて印刷して最後に反転して出力することになる。
このようにして印刷出力された用紙は、図9(b)に示すように、左綴じの冊子形態として綴じられたとき、第2ページと第3ページが見開きページとなる。このとき、第2ページも第3ページも子機102によって印刷されているため印刷エンジンの違いによる差は現れることがない。他の見開きページも同様に、見開き左右のページが同じ印刷エンジンによる印刷となるので印刷エンジンの違いによる差は現れることがないのである。
以上説明したように本実施形態1では、指定された用紙として偶数枚目の用紙に対する印刷を他の用紙(すなわち奇数枚目の用紙)に対する印刷に対して表裏の画像を入れ替えて印刷することとした。また、中綴じにおいては、さらに左右の画像も入れ替えることとした。これにより、すべての見開きページにおいて、見開き左右のページが同じ印刷エンジンによる印刷となり、印刷エンジンの違いによる差が現れることがないように印刷することができる。なお、画像を入れ替えるためのあらかじめ指定された用紙は、奇数枚目の用紙であってもよく、同様の効果が得られる。
[実施形態2]
以上説明した実施形態1では、指定された用紙としてすべての偶数枚目の用紙に対する印刷を他の用紙に対する印刷に対して表裏の画像を入れ替えて印刷することとした。しかし印刷する画像を入れ替えるのは、すべての偶数枚目の用紙に対して行う必要がない場合もある。たとえば、見開きページに文字だけが印刷されているような場合は、印刷エンジンの違いによる微妙な差は気にならないこともある。またたとえば、見開きページの一方のページ内で完結している写真やグラフィック、そのほかのイメージなどのオブジェクトは、一方のページ内にのみ印刷されるため、もう一方のページにこれら文字以外のオブジェクトがなければ左右ページの印刷エンジンの違いによる差はやはり気にならないこともある。
一方、見開きページの両方に文字以外のオブジェクト、たとえば写真、グラフィック、イメージなどが印刷される場合、従来の印刷では印刷エンジンの違いによる微妙な差に気づきやすい。
そこで、本実施形態2では、見開きページの左右に印刷される文字以外のオブジェクト(たとえば写真、グラフィック、イメージなどである。以下同様)を検出して、そのようなページが印刷される用紙に対してのみ、印刷する画像を入れ替えることとした。
図10および11は、実施形態2における両面印刷で冊子形態の印刷処理手順を説明するためのフローチャートである。また、図12は、見栄え優先ページ判定の処理手順を示すサブルーチンフローチャートである。
実施形態2の両面印刷で冊子形態の印刷処理手順において、図3および4に示した手順と異なる部分は、S7の用紙給紙の後に見栄え優先ページを判定するステップ(S30)を入れたこと、S8に当たるステップを見栄え優先ページか否かの判断としたこと(S31)。S10の左右画像入れ替えの後に反転フラグオンのステップ(S32)を入れたこと、そしてS13に当たるステップを見栄え優先の用紙を反転させるステップとしたことである。したがって、ここではこれら実施形態1とは異なる処理を中心に説明し、その他の実施形態1と同様の処理については説明を省略、または簡略して説明する。
本実施形態2では、1枚の用紙を給紙した後、見開きページの両方に文字以外のオブジェクトがあるか否かを判定する(S30:見栄え優先ページ判定)。
図12を参照して、見栄え優先ページ判定の処理手順を説明する。CPU21はまず、反転フラグがオンになっているか否かを判断する(S301)。反転フラグは、見栄え優先ページを印刷する用紙に印刷する画像を、面付けされた順番から表裏および左右の画像を入れ替えたことを示すフラグである。ここで、反転フラグがオンであれば(S301:YES)、反転フラグをオフにして(S302)、そのままメインルーチンのS11へ進み、印刷(S12)を実行させる。
反転フラグについて説明する。この段階、すなわち1枚の用紙の給紙直後に反転フラグがオンであったということは、その前に印刷した用紙は、面付けされた順番から表裏および左右の画像を入れ替えて印刷したということである。この状態で次の用紙でまた見開きページの両方に文字以外のオブジェクトありと判断されると、表裏、左右の画像を入れ替えてしまうことになる。そうすると前の用紙でせっかく印刷する画像を入れ替えて同じ印刷エンジンで見開きページが印刷されるようになったものが、次の用紙も反転させると結局、印刷順が逆になるだけで印刷エンジンは違うもので印刷することになってしまう。そこでこのS301およびS302、さらに後述のS32を用いて、このようなことにならないようにしている。したがって、S302を経て、S11、S12の場合は、面付けされたときの順番でそのまま表裏に印刷する画像がそれぞれ親機101および子機102により印刷されることになる。
S301において反転フラグがオンでなければ(S301:NO)、給紙された用紙に印刷されるページ(4ページ分ある)の中での先頭のページとその前のページ、および最後のページとその次のページの印刷する画像をそれぞれ比較する。そして先頭のページとその前のページ両方に文字以外のオブジェクトがあるか、または最後のページとその次のページの両方に文字以外のオブジェクトがあるかを判断する(S303)。
ここで給紙された用紙に印刷されるページ(4ページ分ある)の中での先頭のページおよび最後のページというのは、面付けの順でいう表面に印刷されるページ(すなわち親機101で印刷)である。一方、その前のページとは、この段階では前の用紙に対して既に印刷が終了しているページであり面付けの順でいうと裏面に印刷されたページ(すなわち子機102で印刷)である。同様にその次のページもこの段階では前の用紙に対して既に印刷が終了しているページであり面付けの順でいうと裏面に印刷されたページ(すなわち子機102で印刷)である。
このS303の段階は言い換えると、この段階で給紙された用紙の表面に印刷される2ページと、その前に印刷が終了した用紙の裏面に印刷された2ページとをそれぞれページ順に比較して、両方のページに文字以外のオブジェクトがあるか否かを判断しているのである。
ここで見開きページの両方に文字以外のオブジェクトがなければ(S303:NO)、文字以外のオブジェクトなしをRAM23に記憶して(S304)、メインルーチンへ戻る。一方、見開きページの両方に文字以外のオブジェクトがあれば(S303:YES)、文字以外のオブジェクトありをRAM23に記憶して(S305)、メインルーチンへ戻る。
この判断は、たとえば以下のようにして行うことができる。
図13は、文字以外のオブジェクトを検出する処理を説明する説明図である。
見開きページの両方に文字以外のオブジェクトがある場合とは、図13(a)のように、見開きページの左右に連続した文字以外のオブジェクト401があるもの、または図13(b)のように見開きページの左右にそれぞれ文字以外のオブジェクト401があるものをいう。
図13(a)および(b)のような左右ページの両方に文字以外のオブジェクト401があるか否かは、たとえば、各オブジェクトの色階調情報とともに画素単位に付加されているオブジェクトの種別情報(タグビットという)により判断することができる。
図13(c)は画素部分を拡大したものであり、図13(d)は、各画素に付与されている色階調情報、種別情報の説明図である。図示するように、一つひとつの画素ごとにシアン(c)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の色階調情報とともに種別情報(Tag)が付加されている。種別情報(タグビット(Tag bit))には、その画素が、たとえば、文字(テキスト)、写真、グラフィック、イメージなど、いずれのオブジェクトに属するものであるかを識別するための情報が記録されている。
図14は、色階調情報と種別情報を基にした版を説明する説明図である。色階調情報と種別情報に基づいてそれぞれの版を製作する。C,M,Y,Kの色版とともにTag版ができあがる。このうちTag版を見れば、どういった種別のオブジェクトがページ内のどの位置に存在するのかを判断することができる。図では文字以外のオブジェクト401とテキスト(文字)402が存在していることを示している。
なお、図14に示したTag版などは、説明のためのもので、実際のS303の判断において図14に示したようなTag版を製作する必要はなく、種別情報(Tag)から文字以外のオブジェクトが存在することがわかれば見栄え優先ページであると判断することになる。
S303の判断結果受けてメインルーチンに戻り、CPU21は現在の用紙に見栄え優先ページを印刷するか否かを判断する(S31)。ここではS304の記憶に基づき見栄え優先ページが存在しないとなれば(S31:NO)、面付けされた順となるように表面用、裏面用の画像をそのまま親機101および子機102に送信し(S11)、印刷(S12)させることになる。一方、S305の記憶に基づき見栄え優先ページが存在するとなれば(S31:YES)、S31ではそれを記憶しておき、面付けされた順に対して、表面用、裏面用の画像を入れ替え(S9)、さらに1枚の用紙の片面に印刷されるページの画像を左右入れ替える(S10)。
その後、CPU21は、画像の入れ替え(S9および10)が行われたことを記憶しておくために、反転フラグをオンにする(S32)。
その後は、親機101、および子機102に表面用、裏面用とした画像を送信して(S11)、印刷(S12)させる。その後は、S31で見栄え優先であることが記憶されているので、その用紙に対しては、反転させて出力する(S33)。その後は実施形態1同様に印刷終了か否かを判断して終了していなければS7へ戻り以降の処理を継続することになる。
図11を参照して、左(右)綴じの場合を説明する。左(右)綴じの場合も中綴じと同様であり、給紙された用紙に印刷するページのうち、ページ順が一番前のページとその前のページの両方に画像があるか否かを判定する(S30:見栄え優先ページ判定)。このとき中綴じとは異なり、後のページと比較する必要はない。なぜなら、左(右)綴じでは、後のページとの比較は、次に印刷される用紙においてその用紙に印刷される先頭のページとその前のページを比較することと同じだからである。なお、左(右)綴じルーチンに入っている場合、見栄え優先ページ判定のサブルーチン(図12参照)において反転フラグをオフ(S302)とした後は、S25へ進むことになる。
そしてここで両方のページに文字以外のオブジェクトがあれば(S31:YES)、表面用と裏面用の印刷する画像を入れ替えて(S24)、反転フラグをオン(S32)にして、以降の処理を行えばよい。
次に、冊子印刷物の具体例を挙げてさらに説明する。ここでは、中綴じ冊子形態を例に説明する。なお、左(右)綴じの場合も出来上がりの状態は中綴じと同様であるので具体例についての説明は省略する。
図15は本実施形態2を適用して見栄えを良くするための処理を行った中綴じ冊子形態の印刷を説明するための説明図であり、(a)は印刷の説明図、(b)は出来上がり冊子の説明図である。ここでは16ページの印刷物を例に説明する。また図15中、[数字]は表面に印刷されたときのページ番号を示し、(数字)は裏面に印刷されたときのページ番号を示す。
ここでは、第2ページと第3ページが見開きページであり、しかも両方のページに文字以外のオブジェクトが印刷される場合を説明する。
図15を参照して、まず、第1枚目の用紙の表面には親機101によって第1ページと第16ページが印刷される。その後第1枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第2ページと第15ページが印刷される。続いて、第2枚目の用紙の表面には親機101によって第4ページと第13ページが印刷され、第2枚目の用紙が子機102に搬送されて裏面に第14ページと第3ページが印刷される。この第2枚目の用紙に対する印刷は、第3ページにその前の第2ページから続く文字以外のオブジェクトがある。このため最初に面付けられた状態から表裏の画像が入れ替わり、かつ左右の画像も入れ替わっている。そしてこのようにして印刷出力された第2枚目の用紙は子機102から出力された段階で反転される。
その後、第3枚目の用紙の表面に親機101により第5および第12ページ、裏面に子機102により第6および第11ページが印刷される。第4枚目の用紙の表面に親機101により第7および第10ページ、裏面に子機102により第8および第9ページが印刷される。
このようにして印刷出力された用紙は、図15(b)に示すように、冊子形態として綴じられたとき、第2ページと第3ページが見開きページとなる。このとき第2ページも第3ページも子機102によって印刷されているため印刷エンジンの違いによる差は現れることがない。一方、他のページはこの例では、見開きページの両方に文字以外のオブジェクトは存在しないため印刷エンジンが違っても、それによる差はほとんど認識できないものとなっている。
次に、実施形態2における見栄え優先設定をする際の設定画面例を説明する。
実施形態2においても、実施形態1において説明したように(図5参照)、見栄え優先が選択されることで、自動的に見開きページの両方に文字以外のオブジェクトがある場合に、見開きページとなる一方のページが印刷される用紙に対する画像を表裏入れ替えるようにしてもよい(中綴じではさらに左右も入れ替える)。
しかし、それでは実施形態2に固有の処理のみとなって、実施形態1のようにすべての見開きページを同じ印刷エンジンで印刷することができなくなる。そこで、文字以外のオブジェクトのみに見栄え優先とするか、すべてのページで見栄え優先とするかをユーザーが選択できるようにした。
図16は、実施形態2において、文字以外のオブジェクトがあるページのみ見栄え優先とするか、すべてのページで見栄え優先とするかをユーザーが選択できる設定画面例を説明するための説明図である。
設定画面310は、実施形態1同様に操作パネル15に表示される。この設定画面310では、速度優先301、見た目優先(すべて)302、および見た目優先(画像のみ)303の項目が用意されておりそれぞれにラジオボタンが付いている。見た目優先(すべて)302は、実施形態1の処理を行ための項目である。見た目優先(画像のみ)303は実施形態2の処理を行うための項目である。なお、見た目優先(画像のみ)303における「(画像のみ)」とは、文字との対比で、文字以外のオブジェクトのことを画像と称しているものである。
この設定画面310からユーザーがいずれかの項目を選択することで、制御部11がそれぞれの処理を実行することになる。
このような設定項目を設けることでユーザーにどのような見栄え優先処理を行うか選択できるようになる。速度優先301は、もちろん見栄えに関わらず、速度を優先して両面印刷かつ冊子形態の出力を得ることを望む場合に選択される。見た目優先(すべて)302は、処理速度は多少犠牲になるものの、すべての見開きページにおいて見栄えを優先する場合に選択される。そして見た目優先(画像のみ)303は、見開きページにおいて左右のページが異なる印刷エンジン印刷された場合の微妙な差が判別されやすい文字以外のオブジェクトに対してのみ見栄え優先とする場合に選択される。このため見た目優先(画像のみ)303では、見た目優先(すべて)302よりは処理速度が速くなり、かつ見栄えの気になるページは見栄えがよくなるようにして両面印刷で冊子形態の印刷物を得ることができる。
以上説明したように本実施形態2では、指定された用紙として見開きページの両方に文字以外のオブジェクト、たとえば写真、グラフィック、イメージなどがある場合に、それら見開きページの一方のページが印刷される用紙を、他方のページが印刷される用紙に対して表裏の画像を入れ替えて印刷することとした。また、中綴じにおいては、さらに左右の画像も入れ替えることとした。これにより、特に印刷エンジンの違いによる微妙な差が見分けられやすい文字以外のオブジェクト(写真、グラフィック、イメージなど)が存在する見開きページにおいて、印刷エンジンの違いによる差が現れることがないように印刷することができる。
[実施形態3]
実施形態1および2では、見栄え優先となる印刷設定を画像形成装置1に設けられている操作パネル15から設定するための設定例を説明した。実施形態3では、ユーザーがプリンタードライバーからジョブごとに見開き設定を行う場合の例について説明する。
印刷ジョブは、PCなどにおいて作成される。その際プリンタードライバーが起動されて、様々な印刷設定が行われる。そこで、本実施形態3では、このプリンタードライバーの設定画面内に見栄え優先処理を行うための項目を追加したものである。
図17は、プリンタードライバーにより見栄え優先設定を行うためのプリンタードライバーの設定画面例を説明する説明図である。
図17(a)に示すように、プリンタードライバーの設定画面500には、面付け501、両面印刷502、中綴じ503、左綴じ504、右綴じ505、見開き設定506などの項目がそれぞれの設定を行うために設けられている。なお、図示しないが、そのほかの印刷設定のための項目が表示されることもある。
面付け501はプルダウンメニューとなっている。図17(b)に面付け501のプルダウンメニューの例を示す。面付け501のメニュー内には、たとえば小冊子511の項目がある。
両面印刷502、中綴じ503、左綴じ504、右綴じ505は、いずれもチェックボックスが備えられていて、対応するチェックボックスがチェックされることでそれらの機能が設定される。
見開き設定506はプルダウンメニューとなっている。図17(c)に見開き設定506のプルダウンメニューの例を示す。見開き設定506のメニュー内には、たとえば速度優先516、見た目優先(すべて)526、見た目優先(画像のみ)536が設けられている。なお、見た目優先(画像のみ)536における「(画像のみ)」とは、文字との対比で、文字以外のオブジェクトのことを画像と称しているものである。
これらの項目が設けられた設定画面500から、たとえば、両面印刷502および中綴じ503がチェックされて、面付け501のプルダウンメニューから小冊子511、見開き設定506のプルダウンメニューから見た目優先(すべて)526が選択されると、両面印刷で中綴じ冊子形態となる印刷を、すべての見開きページにおいて見栄え優先で実行する指示が印刷ジョブに埋め込まれる。この指示を受けた画像形成装置1は、実施形態1の処理を実行することになる。
また設定画面500から、たとえば、両面印刷502および中綴じ503がチェックされて、面付け501のプルダウンメニューから小冊子511、見開き設定506のプルダウンメニューから見た目優先(画像のみ)536が選択されると、両面印刷で中綴じ冊子形態となる印刷を、見開きページの両方のページに文字以外のオブジェクトがあるページのみ見栄え優先で実行する指示が印刷ジョブに埋め込まれる。この指示を受けた画像形成装置1は、実施形態2の処理を実行することになる。
このように、PCに組み込まれているプリンタードライバーにより見栄え優先の指示を行うことができるようにすることで、印刷ジョブの送信時に見開きページの見栄え優先による印刷を画像形成装置1に対して実行させることができるようになる。
以上、本発明と適用した実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
たとえば上述した実施形態では、画像形成装置内に制御部が組み込まれた形態を説明したが、画像形成装置の制御部は、別体の制御装置であってもよい。具体的には、印刷部をそれぞれ備えている親機、子機とは別に、実施形態1および2の処理を実行するための制御装置(いわゆるプリンターコントローラーやプリンターサーバーなど)であってもよい。
そのほか、本発明は特許請求の範囲によって解釈されるものであって、上述した実施形態や事例に限定的に解釈されるものではないことは言うまでもない。