JP2015174887A - 色材分散組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、及び有機発光表示装置 - Google Patents

色材分散組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、及び有機発光表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、高輝度な塗膜を形成可能な色材分散組成物を提供する。【解決手段】(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含む、色材分散組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、色材分散組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、及び有機発光表示装置に関する。
ディスプレイ等に代表される薄型画像表示装置、いわゆるフラットパネルディスプレイが、ブラウン管型ディスプレイよりも薄く奥行き方向に場所をとらないことを特徴として数多く上市された。その市場価格は生産技術の進化と共に年々価格が手ごろになり、さらに需要が拡大され、生産量も年々増加している。特にカラー液晶テレビはほぼTVのメインストリームに到達した。また、最近においては、自発光により視認性が高い有機ELディスプレイのような有機発光表示装置も、次世代画像表示装置として注目されている。これらの画像表示装置の性能においては、コントラストや色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が強く望まれている。
これらの液晶表示装置や有機発光表示装置には、カラーフィルタが用いられる。例えばカラー液晶ディスプレイの場合は、バックライトを光源とし、電気的に液晶を駆動させることで光量を制御し、その光がカラーフィルタを通過することで色表現を行っている。よって液晶テレビの色表現にはカラーフィルタは無くてはならず、またディスプレイの性能を左右する大きな役目を担っている。また、有機発光表示装置では、白色発光の有機発光素子にカラーフィルタを用いた場合は液晶表示装置と同様にカラー画像を形成する。
近年の傾向として、画像表示装置の省電力化が求められており、バックライトの利用効率を向上させるためにカラーフィルタの高輝度化が特に求められている。特にモバイルディスプレイ(携帯電話、スマートフォン、タブレットPC)では大きな課題である。
技術進化により電池容量が大きくなったとはいえ、モバイルの蓄電量は有限であることに変わりはなく、その一方で画面サイズの拡大に伴い消費電力は増加する傾向にある。モバイル端末の使用可能時間や充電頻度に直結するために、カラーフィルタを含む画像表示装置は、モバイル端末の設計や性能を左右する。
ここで、カラーフィルタは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法においては、色材として耐熱性や耐光性に優れた顔料を用いた顔料分散法が広く用いられてきた。しかし、顔料を用いたカラーフィルタでは、現在の更なる高輝度化の要求を達成することが困難となってきた。
高輝度化を達成するための一つの手段として、染料を用いたカラーフィルタ用着色樹脂組成物が検討されている。染料は顔料に比べて、一般に透過率が高く、高輝度のカラーフィルタを製造し得るが、耐熱性や耐光性が悪く、カラーフィルタ製造工程における高温加熱時等に、色度が変化しやすいという問題があった。また、染料を用いた着色樹脂組成物は、乾燥工程中に異物を析出しやすいという問題があった。塗膜に異物が析出するとコントラストが著しく悪化して着色層として使用することが困難であった。
染料の各種耐性を向上する手法として、染料を造塩する手法が知られている。
例えば、特許文献1には、色特性、耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れ、塗膜への異物発生もない、安定なカラーフィルタ用青色着色組成物として、キサンテン系酸性染料と4級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物と、青色顔料とを含む着色剤と樹脂とからなるカラーフィルタ用青色着色組成物が開示されている。
また、特許文献2には、着色力が高く、且つ高い耐熱性と優れた色度特性を有する着色層の形成に好適な着色組成物として、ホスホニウムカチオンを有する酸性着色剤を含む着色剤と、バインダー樹脂と、架橋剤とを含有する着色組成物が開示されている。特許文献2の着色組成物は、通常、着色剤として顔料を含むものであり、上記酸性着色剤のみでは耐熱性が悪かった。
本発明者らは、特許文献3において、複数の染料骨格が架橋基によって架橋された2価以上のカチオンと、2価以上のアニオンを含む特定の色材を用いたカラーフィルタ等を開示している。上記色材は2価以上のカチオンと2価以上のアニオンを含むことにより分子会合体が形成されて、耐熱性に優れ、当該色材を用いたカラーフィルタは高コントラストで、耐溶剤性及び電気信頼性に優れていることを開示している。
特許第4492760号公報 特開2013−190776号公報 国際公開第2012/144521号パンフレット
本発明者らは、耐熱性に優れ、高輝度化が期待できることから、特許文献3に記載の色材を用いることを検討した。しかしながら、所望の色調に調整するためには、他の色材を組み合わせて用いる必要があった。
他の色材として従来使用されているジオキサジン系顔料や、フタロシアニン系顔料を用いた場合には、当該顔料の透過率が低いために輝度が低下するという問題があった。一方、染料を用いた場合には耐熱性や耐光性が悪化し、結果として輝度が低下するという問題があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れ、高輝度な塗膜を形成可能な色材分散組成物、高輝度なカラーフィルタ、当該カラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る色材分散組成物は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含むことを特徴とする。
(一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のポリ酸のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RiiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
本発明に係るカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、前記着色層の少なくとも1つが、(A)色材と、(B)分散剤とを含有し、前記(A)色材が、上記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含むことを特徴とする。
本発明の色材分散組成物、及び本発明のカラーフィルタにおいては、前記ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)が、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、イミニウムイオン、及びスルホニウムイオンよりなる群から選択される1種以上のカチオンを含むことが、耐熱性に優れ、高輝度を達成可能な点から好ましい。
本発明の色材分散組成物、及び本発明のカラーフィルタにおいては、前記ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)が、下記一般式(II)で表されるアニオンを含むことが、耐熱性に優れ、高輝度を達成可能な点から好ましい。
(一般式(II)中、R、R、R、及びRは、各々独立に水素原子、又は置換基を有していてもよく、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい炭化水素基を表し、RとR、RとRとが互いに結合して環構造を形成してもよい。R、R及びRは、各々独立にハロゲン原子、又は、置換基を有してもよく、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい炭化水素基を表し、R、R又はRが複数ある場合、複数あるR、R又はRは、各々同一であっても異なっていてもよい。pは0〜5の整数、q及びrは0〜3の整数を表す。
sは、R〜Rにおける前記炭化水素基の置換基として有するスルホナト基、並びに、キサンテン骨格及びフェニル基の置換基として有するスルホナト基の1分子中の合計数を表し、2〜5の整数である。)
本発明は、前記本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
また、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体を有することを特徴とする有機発光表示装置を提供する。
本発明によれば、耐熱性に優れ、高輝度な塗膜を形成可能な色材分散組成物、高輝度なカラーフィルタ、当該カラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置を提供することができる。
図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す模式断面図である。 図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す模式断面図である。 図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す模式断面図である。
以下、本発明に係る色材分散組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、及び有機発光表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
また、本発明において有機基とは、炭素原子を1個以上有する基のことをいう。
1.色材分散組成物
本発明に係る色材分散組成物は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含むことを特徴とする。
(一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のポリ酸のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RiiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
本発明に係る色材分散組成物は、(A)色材として上記特定の色材(A−1)と色材(A−2)とを組み合わせて用い、当該(A)色材が(C)溶剤中で分散されていることにより、所望の色調に調整しながら、耐熱性に優れ、高輝度な塗膜を形成可能な色材分散組成物となる。
なお、本発明においてローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)は、以後単に色材(A−2)ということがある。
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推定される。
色材(A−1)は、一般式(I)で表される構造を有し、2価以上のカチオンと、2価以上のポリ酸アニオンとが塩を形成した色材である。一般式(I)におけるカチオンは、複数の発色部位を持ち、当該発色部位が塩基性染料と同様の基本骨格を有するため、従来の染料と同様に透過率に優れている一方、従来の塩基性染料よりも分子量が大きく耐熱性に優れている。本発明者らは、一般式(I)で表される色材は、2価以上のカチオンと、2価以上のアニオンとを組み合わせることにより、分子会合体が形成されて、耐熱性が更に向上することを上記特許文献3において開示している。
一方、ローダミン系酸性染料は、6−アミノキサンテン−3−イミンの誘導体であって、分子中の水素原子の少なくとも2つが、スルホ基やカルボキシ基などの酸性基及びその塩の少なくとも1種を有する置換基によって置換された構造を有し、アニオン性を示す染料である。
このようなローダミン系酸性染料は、カチオン性を示すイミンと、アニオン性を示す酸性基とが、分子内塩(ベタイン)構造をとるため、安定化して耐熱性に優れるものと推定される。また、ローダミン系酸性染料は、1分子内に上記した分子内塩構造を有する以外に、さらにアニオン性を示す酸性基を有するため、当該ローダミン系酸性染料をオニウム塩とすることにより、溶剤内に微粒子として分散した場合には、ローダミン系色素の分子内と分子間の双方で強い電気的相互作用乃至酸塩基相互作用が生じ、耐熱性に優れるものと推定される。
また、ローダミン系酸性染料は置換基としてアミノ基を有する骨格であり、一般式(I)で表される色材の発色部位、即ち、置換基としてアミノ基を有するトリアリールメタン骨格乃至キサンテン骨格と類似の骨格であるため、分光特性も前記一般式(I)で表される色材と同様に400〜450nmの波長の透過率が高い。そのため、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)と、前記色材(A−1)とを組み合わせて用いることにより、前記色材(A−1)の高透過率を損なうことなくカラーフィルタの高輝度化を達成しやすいというメリットもある。
以上のことから、色材(A−1)と色材(A−2)とを組み合わせて用いることにより、所望の色調に調整しながら、耐熱性に優れ、高輝度な塗膜を形成可能な色材分散組成物を得ることができる。
本発明の色材分散組成物は、少なくとも(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、他の成分を含有してもよいものである。以下、本発明の色材分散組成物の各成分について順に説明する。
(A)色材
本発明の色材分散組成物に用いられる(A)色材は、少なくとも、下記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含むものである。
(一般式(I)中の各符号は、上述のとおりである。)
<色材(A−1)>
前記一般式(I)におけるAは、N(窒素原子)と直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO(酸素原子)、S(硫黄原子)、N(窒素原子)が含まれていてもよいものである。Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aや他の発色部位の影響を受けず、単量体と同様の色を保持することができる。
Aにおいて、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していてもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていてもよい。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよく、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていてもよい。
また、Aにおいて上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。
中でも、骨格の堅牢性の点から、Aは、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、中でも、有橋脂環式炭化水素基が、骨格の堅牢性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいい、例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、アダマンタン等が挙げられる。有橋脂環式炭化水素基の中でも、ノルボルナンが好ましい。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい。
原料入手の容易さの観点からAは2価が好ましい。例えば、Aが2価の有機基の場合、炭素数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
〜Rにおけるアルキル基は、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、製造及び原料調達の容易さの点から、より好ましい。中でも、R〜Rにおけるアルキル基がエチル基又はメチル基であることが特に好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基等が挙げられる。
〜Rにおけるアリール基は、特に限定されない。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
iiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成しているとは、RiiとRiii、RivとRが窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。環構造は特に限定されないが、例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
中でも、化学的安定性の点からR〜Rとしては、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は、RiiとRiii、RivとRが結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
〜Rはそれぞれ独立に上記構造をとることができるが、中でも、色純度の点からRが水素原子であることが好ましく、さらに製造および原料調達の容易さの点からRii〜Rがすべて同一であることがより好ましい。
Arにおける2価の芳香族基は特に限定されない。芳香族基は、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であってもよい。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S、Nを有していてもよい。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。
芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Arは炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフチレン基であることがより好ましい。
1分子内に複数あるR〜R及びArは、同一であっても異なっていてもよい。複数あるR〜R及びArがそれぞれ同一である場合には、発色部位が同一の発色を示すため、発色部位の単体と同様の色が再現でき、色純度の点から好ましい。一方、R〜R及びArのうち少なくとも1つを異なる置換基とした場合には、複数種の単量体を混合した色を再現することができ、所望の色に調整することができる。
色材(A−1)のアニオン(Bc−)は2価以上のポリ酸アニオンである。ポリ酸アニオンとしては、イソポリ酸イオン(Md−であってもヘテロポリ酸イオン(Xd−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。また、一部にNaやH等の対カチオンが含まれていてもよい。
中でも、高輝度で耐熱性や耐光性に優れる点から、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸アニオンであることが好ましく、少なくともタングステンを含み、且つモリブデンを含んでいてもよいポリ酸アニオンであることが、耐熱性の点からより好ましい。
タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸アニオンとしては、例えば、イソポリ酸である、タングステン酸イオン[W10324−、モリブデン酸イオン[Mo192−や、ヘテロポリ酸である、リンタングステン酸イオン[PW12403−、[P18626−、ケイタングステン酸イオン[SiW12404−、リンモリブデン酸イオン[PMo12403−、ケイモリブデン酸イオン[SiMo12404−、リンタングストモリブデン酸イオン[PW12−xMo403−(xは1〜11の整数)、[P18−yMo626−(yは1〜17の整数)、ケイタングストモリブデン酸イオン[SiW12−xMo404−(xは1〜11の整数)等が挙げられる。タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸アニオンとしては、耐熱性の点、及び原料入手の容易さの点から、上記の中でもヘテロポリ酸であることが好ましく、更にP(リン)を含むヘテロポリ酸であることがより好ましい。
少なくともタングステン(W)を含むポリ酸アニオンにおいて、タングステンとモリブデンとの含有比は特に限定されないが、特に耐熱性に優れる点から、タングステンとモリブデンとのモル比が100:0〜85:15であることが好ましく、100:0〜90:10であることがより好ましい。
ポリ酸アニオン(Bc−)は、上記のポリ酸アニオンを1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができ、2種以上組み合わせて用いる場合には、ポリ酸アニオン全体におけるタングステンとモリブデンとのモル比が上記範囲内であることが好ましい。
(その他のイオン)
一般式(I)で表される色材(A−1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他のカチオンやアニオンを含んだ複塩となっていてもよい。このようなカチオンの具体例としては、他の塩基性染料のほか、アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基などアニオンと塩形成可能な官能基を含んだ有機化合物や、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン等の金属イオンが挙げられる。また、アニオンの具体例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンや、無機酸のアニオン等が挙げられる。上記無機酸のアニオンとしては、リン酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO 2−)、モリブデン酸イオン(MoO 2−)等のオキソ酸のアニオン等が挙げられる。
<色材(A−2)>
本発明の色材分散組成物は、色材として、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)を含む。
本発明においてローダミン系酸性染料とは、6−アミノキサンテン−3−イミンの誘導体であって、分子中の水素原子の少なくとも2つが、スルホ基やカルボキシ基などの酸性基及びその塩の少なくとも1種を有する置換基によって置換された構造を有し、アニオン性を示す染料である。したがって、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)においては、ローダミン系酸性染料のアニオンと、後述するオニウムイオンとによりオニウム塩が構成されている。
ローダミン系酸性染料は、カチオン性を示すイミン部分を含み、且つ、分子全体としてアニオン性となっていることから、上記酸性基及びその塩の少なくとも1種を有する置換基は、通常1分子中に2個以上含まれ、少なくとも一対の分子内塩(ベタイン構造)を有する。
本発明では、このようなローダミン系酸性染料のオニウム塩を色材として用いるため、当該色材は有機溶剤中でも塗膜中でも微粒子の状態で分散される。当該微粒子中の染料はオニウムイオンと塩形成しながら分子レベルで凝集している。本発明においては、ローダミン系酸性染料分子内のベタイン構造によって、ローダミン系色素の分子内と分子間の双方で電気的相互作用や酸塩基相互作用等が強くなるため、上記色材(A−2)は耐熱性がより向上する。
本発明においてローダミン系酸性染料は、耐熱性の点から、中でも、6−アミノキサンテン−3−イミンの誘導体であって、分子中の水素原子の少なくとも2つが、スルホ基又はその塩を有する置換基によって置換された構造を有することが好ましい。
ローダミン系酸性染料としては、中でもキサンテン骨格の9位にフェニル基を有することが好ましく、下記一般式(II)で表される構造が好適に用いられる。
(一般式(II)中、R、R、R、及びRは、各々独立に水素原子、又は置換基を有していてもよく、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい炭化水素基を表し、RとR、RとRとが互いに結合して環構造を形成してもよい。R、R及びRは、各々独立にハロゲン原子、又は、置換基を有してもよく、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい炭化水素基を表し、R、R又はRが複数ある場合、複数あるR、R又はRは、各々同一であっても異なっていてもよい。pは0〜5の整数、q及びrは0〜3の整数を表す。
sは、R〜Rにおける前記炭化水素基の置換基として有するスルホナト基、並びに、キサンテン骨格及びフェニル基の置換基として有するスルホナト基の1分子中の合計数を表し、2〜5の整数である。)
〜Rにおける炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、中でも、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることがより好ましく、更に炭素数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、酸性基又はその塩等が挙げられ、当該アリール基は、更に置換基としてハロゲン原子や、酸性基又はその塩を有していてもよい。
〜Rにおけるアリール基は、中でも、炭素数6〜20の置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基等を有する基がより好ましい。
また、R〜Rにおけるヘテロアリール基は、中でも、炭素数5〜20の置換基を有していてもよいヘテロアリール基が好ましい。
アリール基又はヘテロアリール基が有してもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、酸性基又はその塩、水酸基、アルコキシ基、ニトリル基、カルバモイル基、カルボン酸エステル基等が挙げられる。
とR、RとRがそれぞれ結合して環構造を形成しているとは、RとR、RとRがそれぞれ窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。環構造は特に限定されないが、例えば5〜7員環の含窒素複素環が挙げられ、具体的には、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
一般式(II)において、sは、R〜Rにおける前記炭化水素基の置換基として有するスルホナト基、並びに、キサンテン骨格及びフェニル基の置換基として有するスルホナト基の1分子中の合計数を表し、2〜5の整数である。耐熱性の点からsは3〜5であることが好ましい。
なお、一般式(II)オニウム塩形成時のローダミン系酸性染料の構造を示すものであり、原料としてのローダミン系酸性染料は、スルホナト基(−SO )の代わりに、スルホ基(−SOH)、スルホン酸塩基(−SOM、ここでMは金属原子を表す。)を有するものであってもよい。金属原子Mとしては、ナトリウム原子、カリウム原子等が挙げられる。
ローダミン系酸性染料の具体例としては、アシッドレッド50、アシッドレッド52、アシッドレッド289、アシッドバイオレット9、アシッドバイオレット30、アシッドブルー19等が挙げられる。
本発明においてローダミン系酸性染料は、オニウムイオンとオニウム塩を形成している。
本発明においてオニウムイオンとは、孤立電子対をもつ原子を含んだ化合物に、プロトン、又はアルキルカチオン等の陽イオン型の原子団が配位して生ずるイオンをいい、オニウム塩とは前記オニウムイオンを含む化合物をいう。
オニウムイオンとしては、例えば、アンモニウムイオン[N(R)、ホスホニウムイオン[P(R)、イミニウムイオン[(R)−N=C(R)、アルソニウムイオン[As(R)、スチボニウムイオン[Sb(R)、オキソニウムイオン[O(R)、スルホニウムイオン[S(R)、セレノニウムイオン[Se(R)、スタノニウムイオン[Sn(R)、ヨードニウムイオン[I(R)、ジアゾニウムイオン[R−N≡N]等が挙げられる。本発明においてオニウムイオンは、耐熱性の点から、中でも、アンモニウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、ジアゾニウムイオン、及びホスホニウムイオンよりなる群から選択される1種以上であることが好ましく、更に、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、イミニウムイオン及びスルホニウムイオンよりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
なお、上記オニウムイオンのイオン式中のRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有してもよく、炭素鎖中にヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基である。
炭素鎖中に有していてもよいヘテロ原子としては、窒素原子、リン原子、ヒ素原子、アンチモン原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、スズ原子、ヨウ素原子等が挙げられる。本発明においてオニウムイオンは、これらの原子を有することにより2価以上のオニウムイオンとなっていてもよい。
上記オニウムイオンのイオン式中のRにおける炭化水素基は特に限定されない。当該炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられる。また、分子内の任意のR同士が結合して環構造を形成してもよい。当該炭化水素基の具体例や有していてもよい置換基は、前記R〜Rにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。
分子内のR同士が結合して環構造を形成する例としては、例えば、イミニウムイオンを複素環内に有する、イミダゾリウム、ピリジニウム等が好ましく挙げられる。
上記オニウムイオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、モノステアリルトリメチルアンモニウムカチオン、ジステアリルジメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、トリステアリルモノメチルアンモニウムカチオン、セチルトリメチルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、ジオクチルジメチルアンモニウムカチオン、モノラウリルトリメチルアンモニウムカチオン、ジラウリルジメチルアンモニウムカチオン、トリラウリルメチルアンモニウムカチオン、トリアミルベンジルアンモニウムカチオン、トリヘキシルベンジルアンモニウムカチオン、トリオクチルベンジルアンモニウムカチオン、トリラウリルベンジルアンモニウムカチオン、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムカチオン、ベンジルジメチルオクチルアンモニウムカチオン、ベンゾイミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明においてオニウムイオンは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてオニウムイオンは、上記所望のオニウムイオンと任意のカウンターアニオンとが塩形成したオニウム塩化合物を原料として用いることができる。カウンターアニオンの具体例としては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオンや、ヘキサフルオロリン酸イオン等が挙げられる。
ローダミン系酸性染料のオニウム塩は、所望のローダミン系酸性染料と、所望のオニウムイオンを含むオニウム塩化合物とを溶剤中で混合することにより得ることができる。具体的には、例えば、(1)前記染料と前記オニウム塩化合物とが可溶な溶剤に、所望のローダミン系酸性染料と、所望のオニウム塩化合物とを添加し、必要に応じて加熱又は冷却しながら、攪拌し混合する方法、(2)所望のローダミン系酸性染料溶液と、所望のオニウム塩化合物溶液とを別々に調製する工程と、上記染料溶液と、上記オニウム塩化合物溶液とを必要に応じて加熱又は冷却しながら混合する工程とを有するローダミン系酸性染料のオニウム塩の製造方法、などが挙げられる。本発明においては、収率が高い点から上記(2)の方法が好ましい。
(2)の方法を用いる場合、上記ローダミン系酸性染料溶液に、上記オニウム塩化合物溶液を、5〜30分かけながら滴下して、混合することが好ましい。ローダミン系酸性染料溶液とオニウム塩化合物溶液の反応時の温度は、特に限定されないが、5〜90℃とすることが好ましい。
ローダミン系酸性染料は、例えば、細田 豊著「新染料化学」技報堂等に記載の合成方法など、公知の方法を参考にして合成してもよく、市販品を用いてもよい。
<他の色材>
(A)色材は、本発明の効果を損なわない範囲で、色調の制御を目的として必要に応じて他の色材を配合してもよい。他の色材としては、例えば、従来公知の顔料や染料を目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。
他の色材としては、中でも前記一般式(I)中の2価以上のカチオンと、任意の2価以上のアニオンとを含む、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載の色材を用いることが好ましい。
その他の色材の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23;C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド82等の顔料や、アシッドレッド等の染料が挙げられる。
他の色材を用いる場合、その配合量は、特に限定されない。その中でも、他の色材として、前記一般式(I)で表される2価以上のカチオンと、任意の2価以上のアニオンとを含む国際公開第2012/144521号パンフレットに記載の色材を用いる場合には、任意の割合で好適に使用できる。
他の色材の配合量としては、(A)色材全量100質量部に対して、他の色材が40質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、前記一般式(I)で表される色材の有する高透過率の特性や、耐熱性や耐光性の特性を損なうことなく、色調の制御が可能となるからである。
本発明に用いられる(A)色材の平均分散粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、コントラストを向上し、耐熱性及び耐光性に優れる点から、10〜200nmの範囲内であることが好ましく、20〜150nmの範囲内であることがより好ましい。(A)色材の平均分散粒径が上記範囲であることにより、本発明の色材分散組成物を用いて製造された液晶表示装置、有機発光表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
色材分散組成物中の(A)色材の平均分散粒径は、少なくとも溶媒を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散組成物に用いられている溶媒で、色材分散組成物をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
本発明の色材分散組成物において、色材の含有量は、特に限定されない。色材の含有量は、分散性及び分散安定性の点から、色材分散組成物全量に対して5〜40質量%、更に10〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の色材分散組成物において、色材(A−1)と、色材(A−2)の混合比は、所望の色調に調製するために適宜設定すればよく、特に限定されない。耐熱性の点からは、色材(A−1)と色材(A−2)の質量比が50:50〜99:1であることが好ましく、70:30〜95:5であることがより好ましい。
(B)分散剤
本発明の色材分散組成物において、(A)色材は、(B)分散剤により、溶剤中に分散させて用いられる。(B)分散剤としては、従来、分散剤として用いられているものの中から適宜選択して用いることができる。分散剤の具体例としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリエチレンイミン誘導体(ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩基);ポリアリルアミン誘導体(ポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる反応生成物)等が挙げられる。
このような分散剤の市販品としては、例えば、Disperbyk−2000、2001、BYK−LPN6919、21116(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、アジスパーPB821、881(味の素(株)製)等を挙げることができる。中でも、耐熱性、電気信頼性、分散性の点から、BYK−LPN6919、21116が好ましい。
高分子分散剤としては、中でも、上記色材(A)を好適に分散でき、分散安定性が良好である点から、少なくとも下記一般式(IV)で表される構成単位を有した重合体、及び、1分子内に1個以上のウレタン結合(−NH−COO−)を有する化合物からなるウレタン系分散剤よりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
以下、上記好ましい分散剤について詳細に説明する。
<少なくとも下記一般式(IV)で表される構成単位を有した重合体>
本発明においては(B)分散剤として、少なくとも下記一般式(IV)で表される構成単位を有した重合体を好適に用いることができる。
(一般式(IV)中、R11は、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(IV−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
(一般式(IV−a)中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R12及びR13は互いに同一であっても異なっていても良い。)
一般式(IV)において、Aは、直接結合又は2価の連結基である。直接結合とは、Qが連結基を介することなく一般式(IV)における炭素原子に直接結合していることを意味する。
Aにおける2価の連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素原子数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(IV)におけるAは、直接結合、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。
また、これらの分散剤の上記一般式(IV)で表される構成単位を任意の割合で下記塩形成剤によって塩形成することによって特に好適に用いることができる。
一般式(IV)で表される構成単位を有した重合体としては、中でも、WO2011/108495号パンフレット、特開2013−054200号公報、特開2010−237608号公報、特開2011−75661号公報に記載の構造を有するブロック共重合体、及びグラフト共重合体が、色材の分散性及び分散安定性及び樹脂組成物の耐熱性を向上し、高輝度且つ高コントラストな着色層を形成できる点から好ましい。
また、一般式(IV)で表される構成単位を有した重合体の市販品としては、BYK−LPN6919等が挙げられる。
(塩形成剤)
本発明の好ましい分散剤は、上記一般式(IV)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部が塩を形成(以下、塩変性と称することがある。)した重合体である。
本発明においては、塩形成剤を用い、一般式(IV)で表される構成単位が有する窒素部位を塩形成することにより、同様に塩形成している色材に対して強く分散剤が吸着することで色材の分散性及び分散安定性が向上する。塩形成剤としては、WO2011/108495号パンフレット、特開2013−054200号公報に記載の酸性有機リン化合物、有機スルホン酸化合物、4級化剤などを好適に使用できる。特に、塩形成剤が酸性有機リン化合物である場合には、色材の粒子表面に分散剤の酸性有機リン化合物を含む塩形成部位が局在化することで、色材表面がリン酸塩で被覆された状態となるため、活性酸素による色材の染料骨格への攻撃(水素引き抜き)が抑制され、染料骨格を含む色材の耐熱性や耐光性が向上する。このため、酸性有機リン化合物によって塩変性した重合体を分散剤として用いると、本発明に用いられる高透過率の色材(A)が良好に分散した状態で高温加熱時の退色をより抑制できることから、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程を経ても、より高輝度な着色層を形成できる。
<ウレタン系分散剤>
分散剤として好適に用いられるウレタン系分散剤は、1分子内に1個以上のウレタン結合(−NH−COO−)を有する化合物からなる分散剤である。
ウレタン系分散剤を用いることにより、少量で良好な分散が可能なとなる。分散剤を少量とすることにより、相対的に硬化成分等の配合量を増やすことができ、その結果、耐熱性に優れた着色層を形成することができる。
本発明においてウレタン系分散剤としては、中でも、(1)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート類と、(2)片末端又は両末端に水酸基を有するポリエステル類、及び片末端又は両末端に水酸基を有するポリ(メタ)アクリレート類から選択される1種以上との反応生成物であることが好ましく、更に、(1)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート類と、(2)片末端又は両末端に水酸基を有するポリエステル類、及び片末端又は両末端に水酸基を有するポリ(メタ)アクリレート類から選択される1種以上と、(3)同一分子内に活性水素と、塩基性基又は酸性基とを有する化合物との反応生成物であることがより好ましい。
ウレタン系分散剤の市販品としては、Disperbyk−161、162、163、164、167、168、170、171、174、182、183、184、185、BYK−9077(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、アジスパーPB711(味の素(株)製)、EFKA−46、47、48(EFKA CHEMICALS社製)等を挙げることができる。中でも、耐熱性、電気信頼性、分散性の点から、Disperbyk−161、162、166、170、174が好ましい。
(C)溶剤
本発明においては(C)溶剤は、色材分散組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解乃至分散可能な溶剤の中から、適宜選択して用いることができる。具体的には、アルコール系;エーテルアルコール系;エステル系;ケトン系;エーテルアルコールアセテート系;エーテル系;非プロトン性アミド系;ラクトン系;不飽和炭化水素系;飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられ、中でも、分散時の溶解性や塗布適性の点からエステル系溶剤を用いることが好ましい。
好ましいエステル系溶剤としては、例えば、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
中でも、人体への危険性が低いこと、室温付近での揮発性が低いが加熱乾燥性が良い点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いることが好ましい。この場合には、従来のPGMEAを用いた着色樹脂組成物との切り替えの際にも特別な洗浄工程を必要としないというメリットがある。
これらの溶剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(その他の成分)
本発明の色材分散組成物には、本発明の効果が損なわれない限り、更に必要に応じて、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
分散補助樹脂としては、例えば後述するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって色材粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の色材分散組成物は、後述するバインダー成分を含有する着色樹脂組成物、及び、バインダー成分を含有しない上記着色樹脂組成物の予備調製物のいずれをも含むものである。以下、本発明において色材分散組成物を特に区別する必要のある場合には、バインダー成分を含有する態様を着色樹脂組成物ということがあり、バインダー成分を含有しない態様を色材分散液ということがある。
本発明の色材分散組成物を、カラーフィルタ用途など塗膜として用いる場合には、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、更にバインダー成分を含有することが好ましい。中でも、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
前記色材分散組成物を、例えばインクジェット方式で用いる場合など、基板上にパターン状に選択的に付着させて着色層を形成可能な場合には、硬化性バインダー成分に現像性は必要がない。この場合、インクジェット方式等でカラーフィルタ着色層を形成する場合に用いられる、公知の熱硬化性バインダー成分や、感光性バインダー成分等を適宜用いることができる。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。熱硬化性バインダー成分の具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のものを挙げることができる。
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー工程を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。
以下、感光性バインダー成分について説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。以下に説明する感光性バインダー成分の他に、エポキシ樹脂のような加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分を更に用いてもよい。
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂と、感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物とを含んだ系等が挙げられる。
一方、ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。
本発明の色材分散組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
以下、ネガ型感光性バインダー成分を構成する、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
(1)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基としてカルボキシル基を有する樹脂であることが好ましく、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は色材分散組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、色材分散組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体の具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のものを挙げることができ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有しないモノマーと、(メタ)アクリル酸及びその無水物から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5質量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50質量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
カルボキシル基含有共重合体の好ましい分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
色材分散組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、着色樹脂組成物に含まれる色材100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると色材の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
(2)多官能モノマー
色材分散組成物において用いられる多官能モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の色材分散組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
色材分散組成物において用いられる上記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
(3)光開始剤
色材分散組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。
色材分散組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、色材分散組成物の固形分中の色材等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
また、本発明の色材分散組成物においては、更に、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などを含有してもよい。
<色材分散組成物における各成分の配合割合>
(1)色材分散組成物がバインダー成分を含む着色樹脂組成物の場合
(A)色材の合計の含有量は、色材分散組成物の固形分全量に対して、3〜65質量%、より好ましくは4〜55質量%の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、色材分散組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、分散性及び分散安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、液状の多官能モノマー等も含まれる。
また、(B)分散剤の含有量としては、(A)色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、色材分散組成物の固形分全量に対して3〜40質量%用いることができる。更に、色材分散組成物の固形分全量に対して5〜35質量%の割合で配合するのが好ましく、特に5〜25質量%の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、(A)色材の分散性及び分散安定性に優れ、保存安定性に優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。
バインダー成分は、これらの合計量が色材分散組成物の固形分全量に対して10〜92質量%、好ましくは15〜87質量%の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。また上記上限値以下であれば、現像性に優れたり、熱収縮による微小なシワの発生も抑制される。
また、(C)溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含む上記色材分散組成物の全量に対して、通常、55〜95質量%の範囲内であることが好ましく、中でも、65〜88質量%の範囲内であることがより好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
(2)色材分散組成物がバインダー成分を含まない色材分散液の場合
色材分散組成物がバインダー成分を含まない色材分散液である場合、(A)色材の含有量は、分散性及び分散安定性の点から、色材分散液全量に対して5〜40質量%、更に10〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
色材分散組成物がバインダー成分を含まない色材分散液である場合、(B)分散剤の含有量は、通常、分散液の全量に対して1〜50質量%、更に1〜20質量%の範囲内であることが、分散性及び分散安定性の点から好ましい。
また、色材分散組成物がバインダー成分を含まない色材分散液である場合、(C)溶剤を、色材分散液の全量に対して、通常は45〜94質量%、好ましくは60〜85質量%の割合で用いて調製する。溶剤が少なすぎると、粘度が上昇し、分散性が低下しやすい。また、溶剤が多すぎると、色材濃度が低下し、バインダー成分を添加して着色樹脂組成物を調製する際に、目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
なお、バインダー成分を含有しない色材分散液は、上記着色樹脂組成物を調製するための予備調製物として用いられる。すなわち、本発明において色材分散液とは、着色樹脂組成物を調製する前段階において予備調製される、(組成物中の色材成分質量)/(組成物中の色材成分以外の固形分質量)比の高い色材分散液である。具体的には、(組成物中の色材成分質量)/(組成物中の色材成分以外の固形分質量)比は通常1.0以上である。色材分散液と少なくともバインダー成分を混合することにより、分散性に優れた着色樹脂組成物を調製することができる。
<色材分散組成物の製造方法>
色材分散組成物の製造方法は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、所望により用いられるバインダー成分等の各種添加成分とを含有し、(A)色材が(B)分散剤より(C)溶剤中に均一に分散させ得る方法であればよく、特に制限されず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該色材分散組成物の調製方法としては、例えば、(1)(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを混合して色材分散液を調製した後、当該色材分散液に、バインダー成分等所望により用いられる各種添加成分を混合する方法;(2)(C)溶剤中に、(A)色材と、(B)分散剤と、バインダー成分等の所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法;(3)(C)溶剤中に、(B)分散剤と、バインダー成分等の所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、(A)色材を加えて混合する方法;などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)の方法が、色材の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。上記(1)の方法において、色材分散液の調製方法としては、(A)色材が分散剤により溶剤中に均一に分散させ得る方法であればよく、公知の混合手段を用いることができる。
色材分散液の調製方法としては、(B)分散剤を(C)溶剤に混合、撹拌し、分散剤溶液を調製した後、当該分散剤溶液に、(A)色材と必要に応じてその他の成分を混合し、公知の攪拌機または分散機を用いて分散させることによって分散液を調製することができる。また、色材(A−1)を分散した色材分散液と、色材(A−2)を分散した色材分散液とを別々に調製し、これらを混合してもよい。
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.10〜1.0mmである。
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.5〜5.0μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
2.カラーフィルタ
本発明に係るカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、前記着色層の少なくとも1つが、(A)色材と、(B)分散剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含むことを特徴とする。
(一般式(I)における各符号は、上記のとおりである。)
このような本発明に係るカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含む着色層である。
着色層は、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、色材分散組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
本発明のカラーフィルタに用いられる前記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含む着色層は、前述した(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、バインダー成分を含有し、前記(A)色材が、前記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含む、色材分散組成物を用いて形成されることが好ましく、当該色材分散組成物の硬化物であることが好ましい。当該着色層は、例えば、前記色材分散組成物が感光性樹脂組成物の場合、下記の方法により形成することができる。
まず、色材分散組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて、感光性の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する色材分散組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶剤にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、色材分散組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性やフレキシブル性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
5.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、透明基板23上に電極基板22を備えた対向基板30と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板30との間に形成された液晶層25とを有しており、カラーフィルタ10と液晶層25との間に透明電極膜21を有する。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、基板21及び基板22としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができ、例えば、透明基材上に、透明電極と配向膜を有するもの等とすることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封止することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
6.有機発光表示装置
本発明に係る有機発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(合成例1:色材αの合成)
(1)中間体1の合成
国際公開第2012/144521号パンフレットに記載の中間体3及び中間体4の製造方法を参照して、下記化学式(1)で示される中間体1を15.9g(収率70%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):511(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (78.13%、7.48%、7.78%);理論値(78.06%、7.75%、7.69%)
(2)青色色材αの合成
前記中間体1 5.00gを水300mlに加え、溶解させ中間体1溶液とした。次に日本無機化学工業製リンタングステン酸・n水和物 H[PW1240]・nHO 10.44gを水100mlに入れ、リンタングステン酸水溶液を調製した。先の中間体1溶液に調製したリンタングステン酸水溶液を混合し、生成した沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られたケーキを乾燥して下記化学式(2)で表される色材(A−1)に相当する青色色材αを13.25g(収率98%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。(モル比W/Mo=100/0)
・MS(ESI) (m/z):510(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (41.55%、5.34%、4.32%);理論値(41.66%、5.17%、4.11%)
(合成例2:色材βの合成)
Acid Red 289(東京化成社製、ローダミン系酸性染料(下記化学式(3))5.0gを水500mlに加え、80℃で溶解させ、染料溶液を調製した。アーカード2HPフレーク(ライオンアクゾ社製、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、有効固形分95.5%)4.99gをイソプロピルアルコール85gに入れて溶解させ、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド溶液を調製した。染料溶液を氷浴で5℃まで冷却し、調製したジメチルジステアリルアンモニウムクロリド溶液を、5℃で25分かけて前記染料溶液に滴下し、さらに5℃で1時間攪拌した。生成した沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られたケーキを乾燥してローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)に相当する色材β 9.07g(収率 97%)を得た。
(合成例3:色材γの合成)
Acid Red 289 5.0gを水500mlに加え、80℃で溶解させ、染料溶液を調製した。エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(東京化成工業社製)3.17gを水200mlに入れ、80℃で攪拌し、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド水溶液を調製した。調製したエトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド水溶液を、80℃で15分かけて前記染料溶液に滴下し、さらに80℃で1時間攪拌した。生成した沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られたケーキを乾燥してローダミン系酸性染料オニウム塩(A−2)に相当する色材γ 4.46g(収率60%)を得た。
(合成例4:色材δの合成)
Acid Red 289 5.0gを水500mlに加え、40℃で溶解させ、染料溶液を調製した。これとは別にベンゾイミダゾール(東京化成社製)3.49gを約5wt%塩酸水溶液30mlに入れて撹拌し、ベンゾイミダゾール塩酸塩としたのち、水170mlに溶解させ、40℃で攪拌し、ベンゾイミダゾール塩酸塩水溶液を調製した。調製したベンゾイミダゾール塩酸塩水溶液を、40℃で20分かけて前記染料溶液に滴下し、さらに40℃で1時間攪拌した。生成した沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られたケーキを乾燥してローダミン系酸性染料オニウム塩(A−2)に相当する色材δ 3.97g(収率 48%)を得た。
(合成例4:バインダー樹脂Aの合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(略称EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で90℃に昇温した後、メタクリル酸メチル32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル22質量部、メタクリル酸24質量部、開始剤としてAIBN 2.0質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aは、質量平均分子量(Mw)8500、数平均分子量(Mn)4200、分子量分布(Mw/Mn)は2.02、酸価85mgKOH/gであった。
(調製例1:塩型ブロックポリマー分散剤A溶液の調製)
反応器に、PGMEA60.74質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(アミン価120mgKOH/g、固形分60重量%)35.64質量部(有効固形分21.38質量部)をそれぞれ溶解させ、PPAを3.62質量部(ブロック共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することで塩型ブロックポリマー分散剤A溶液(固形分25%)を調製した。
(調製例2:バインダー組成物Aの調製)
PGMEA19.82質量部、合成例4のバインダー樹脂A(固形分44質量%)18.18質量部、5〜6官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM403、東亞合成社製)8.00質量部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製)3.00質量部、2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX−S、日本化薬社製)1.00質量部を混合することでバインダー組成物A(固形分40質量%)を調製した。
(実施例1:色材分散組成物Aの調製)
(1)合成例1の色材α 12.15質量部と、合成例2の色材β 0.85質量部、調製例1で調製した塩型ブロックポリマー分散剤A溶液を20.80質量部(有効固形分5.20質量部)、合成例4のバインダー樹脂A 11.82質量部(有効固形分5.20質量部)、PGMEA54.38質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで6時間分散し、色材分散液Aを得た。
(2)上記(1)で得られた色材分散液A 28.57質量部、調製例2で得られたバインダー組成物A 28.29質量部、PGMEA 43.14質量部、界面活性剤R08MH(DIC社製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン社製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、色材分散組成物Aを得た。
(実施例2:色材分散組成物Bの調製)
実施例1の(1)において、色材βの代わりに色材γを用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして色材分散液Bを調製した。
次いで、実施例1の(2)において、色材分散液Aの代わりに、上記色材分散液Bを用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、色材分散組成物Bを得た。
(実施例3:色材分散組成物Cの調製)
実施例1の(1)において、色材βの代わりに色材δを用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして色材分散液Cを調製した。
次いで、実施例1の(2)において、色材分散液Aの代わりに、上記色材分散液Cを用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、色材分散組成物Cを得た。
(比較例1〜4:比較色材分散組成物の調製)
(1)実施例1の(1)において、色材を下記表1中のものに変更したこと以外は、実施例1の(1)と同様にして比較色材分散液D〜Gを調製した。
(2)比較色材分散組成物D〜Gの調製
実施例1の(2)において、色材分散液Aの代わりに、比較色材分散液D〜Gをそれぞれ用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、比較色材分散組成物D〜Gを得た。
なお、表1中、「色材ε」は、ピグメントブルー15:6、「色材ζ」は、ピグメントバイオレッド23をそれぞれ表す。
(評価)
<光学性能評価、耐熱性評価>
各実施例及び比較例で得られた色材分散組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて40mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化膜(青色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度y=0.082になるようにし、得られた着色基板の色度(x、y)、輝度(Y)をオリンパス社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。上記の着色膜が形成された基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベーク処理し、得られた着色膜の色度(x、y)、輝度(Y)を再び測定した。ポストベーク処理前後の輝度(Y)がいずれも10以上であれば耐熱性が高く、かつ高い透過性を示し、カラーフィルタ用の青色画素として優れている。
結果を表2に示す。
[結果のまとめ]
一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩化合物(A−2)を組み合わせた、実施例1〜3の色材分散組成物を用いて得られた着色層は、従来公知の比較例1〜4のものに比べてポストベーク処理前後の輝度(Y)がいずれも10以上であり、耐熱性が高く、かつ高い透過性を示すため、高輝度なカラーフィルタを得ることができることが明らかとなった。
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
21 透明電極膜
22 電極基板
23 透明基板
25 液晶層
30 対向基板
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置

Claims (8)

  1. (A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含む、色材分散組成物。
    (一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のポリ酸のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RiiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)が、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、イミニウムイオン、及びスルホニウムイオンよりなる群から選択される1種以上のカチオンを含む、請求項1に記載の色材分散組成物。
  3. 前記ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)が、下記一般式(II)で表されるアニオンを含む、請求項1又は2に記載の色材分散組成物。
    (一般式(II)中、R、R、R、及びRは、各々独立に水素原子、又は置換基を有していてもよく、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい炭化水素基を表し、RとR、RとRとが互いに結合して環構造を形成してもよい。R、R及びRは、各々独立にハロゲン原子、又は、置換基を有してもよく、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい炭化水素基を表し、R、R又はRが複数ある場合、複数あるR、R又はRは、各々同一であっても異なっていてもよい。pは0〜5の整数、q及びrは0〜3の整数を表す。
    sは、R〜Rにおける前記炭化水素基の置換基として有するスルホナト基、並びに、キサンテン骨格及びフェニル基の置換基として有するスルホナト基の1分子中の合計数を表し、2〜5の整数である。)
  4. 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、前記着色層の少なくとも1つが、(A)色材と、(B)分散剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(A−1)と、ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)とを含む、カラーフィルタ。
    (一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のポリ酸のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RiiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
  5. 前記ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)が、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、イミニウムイオン、及びスルホニウムイオンよりなる群から選択される1種以上のカチオンを含む、請求項4に記載のカラーフィルタ。
  6. 前記ローダミン系酸性染料のオニウム塩(A−2)が、下記一般式(II)で表されるアニオンを含む、請求項4又は5に記載のカラーフィルタ。
    (一般式(II)中、R、R、R、及びRは、各々独立に水素原子、又は置換基を有していてもよく、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい炭化水素基を表し、RとR、RとRとが互いに結合して環構造を形成してもよい。R、R及びRは、各々独立にハロゲン原子、又は、置換基を有してもよく、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい炭化水素基を表し、R、R又はRが複数ある場合、複数あるR、R又はRは、各々同一であっても異なっていてもよい。pは0〜5の整数、q及びrは0〜3の整数を表す。
    sは、R〜Rにおける前記炭化水素基の置換基として有するスルホナト基、並びに、キサンテン骨格及びフェニル基の置換基として有するスルホナト基の1分子中の合計数を表し、2〜5の整数である。)
  7. 前記請求項4乃至6のいずれか一項に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
  8. 前記請求項4乃至6のいずれか一項に記載のカラーフィルタと、有機発光体を有することを特徴とする有機発光表示装置。
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