JP2017132930A - 色材分散液、カラーフィルター用着色樹脂組成物、カラーフィルター、液晶表示装置、及び、発光表示装置 - Google Patents

色材分散液、カラーフィルター用着色樹脂組成物、カラーフィルター、液晶表示装置、及び、発光表示装置 Download PDF

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Masato Okada
政人 岡田
教弘 小倉
Norihiro Ogura
教弘 小倉
史泰 村上
Fumiyasu Murakami
史泰 村上
陽平 伊藤
Yohei Ito
陽平 伊藤
寛子 天野
Hiroko Amano
寛子 天野
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Abstract

【課題】耐熱性に優れたカラーフィルターに有用な色材分散液の提供。【解決手段】式(B)で例示される、ベンゼン核にメチル基等の電子供与性基の導入されたジアルキルアミノベンゾフェノン化合物と、N,N’−ビス(1−ナフチルアミノメチル)ノルボルナン等をオキシ塩化リン等の存在下に反応させて得られるトリアリールメタン型染料を、12タングストリン酸等で塩形成させることにより製造される色材と、分散剤と、溶剤とを含有する色材分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、色材分散液、カラーフィルター用着色樹脂組成物、カラーフィルター、液晶表示装置、及び、発光表示装置に関するものである。
ディスプレイ等に代表される薄型画像表示装置、いわゆるフラットパネルディスプレイが、ブラウン管型ディスプレイよりも薄く奥行き方向に場所をとらないことを特徴として数多く上市された。その市場価格は生産技術の進化と共に年々価格が手ごろになり、さらに需要が拡大され、生産量も年々増加している。特にカラー液晶テレビはほぼTVのメインストリームに到達した。また、最近においては、自発光により視認性が高い有機ELディスプレイのような発光表示装置も、次世代画像表示装置として注目されている。これらの画像表示装置の性能においては、コントラストや色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が強く望まれている。
これらの液晶表示装置や発光表示装置には、カラーフィルターが用いられる。例えばカラー液晶ディスプレイの場合は、バックライトを光源とし、電気的に液晶を駆動させることで光量を制御し、その光がカラーフィルターを通過することで色表現を行っている。よって液晶テレビの色表現にはカラーフィルターは無くてはならず、またディスプレイの性能を左右する大きな役目を担っている。また、発光表示装置では、白色発光の発光素子にカラーフィルターを用いた場合は液晶表示装置と同様にカラー画像を形成する。
近年の傾向として、画像表示装置の省電力化が求められており、バックライトの利用効率を向上させるためにカラーフィルターの高輝度化が特に求められている。特にモバイルディスプレイ(携帯電話、スマートフォン、タブレットPC)では大きな課題である。
技術進化により電池容量が大きくなったとはいえ、モバイルの蓄電量は有限であることに変わりはなく、その一方で画面サイズの拡大に伴い消費電力は増加する傾向にある。モバイル端末の使用可能時間や充電頻度に直結するために、カラーフィルターを含む画像表示装置は、モバイル端末の設計や性能を左右する。
ここで、カラーフィルターは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法においては、色材として耐熱性や耐光性に優れた顔料を用いた顔料分散法が広く用いられてきた。しかし、顔料を用いたカラーフィルターでは、現在の更なる高輝度化の要求を達成することが困難となってきた。
高輝度化を達成するための一つの手段として、染料を用いたカラーフィルター用着色樹脂組成物が検討されている。染料は顔料に比べて、一般に透過率が高く、高輝度のカラーフィルターを製造し得るが、耐熱性や耐光性が悪く、カラーフィルター製造工程における高温加熱時等に、色度が変化しやすいという問題があった。また、染料を用いた着色樹脂組成物は、乾燥工程中に異物を析出しやすいという問題があった。塗膜に異物が析出するとコントラストが著しく悪化して着色層として使用することが困難であった。
染料の各種耐性を向上する手法として、染料を造塩する手法が知られている。
例えば、特許文献1には、トリアリールメタン系染料の熱への耐久性を向上させるためにトリアリールメタン染料の対アニオンに塩化物イオン又はアリール硫酸イオンを用いた例が知られている。
特許文献2では、色特性及び耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れる安定なカラーフィルター用着色組成物を得る手段として、トリアリールメタン系塩基性染料と少なくとも2つのスルホン基を有する有機スルホン化物とからなる造塩化合物が記載されている。
特許文献3では、耐光性に優れ、耐光性をも満たす着色樹脂組成物を得る手段として、フタロシアニンやアントラキノンなどの色素骨格のスルホン化物を対アニオンとし、カチオンであるトリアリールメタン骨格と塩形成する手法が報告されている。
一方、本発明者らは、特許文献4〜5において、複数の染料骨格が架橋基によって架橋された2価以上のカチオンと、2価以上のアニオンを含む特定の色材を用いたカラーフィルター等を開示している。特許文献4〜5では、上記色材は2価以上のカチオンと2価以上のアニオンを含むことにより分子会合体を形成するため、耐溶剤性、耐熱性、耐光性等に優れると開示されている。
特開2008−304766号公報 特開2011−7847号公報 国際公開第2009/107734号パンフレット 特開2013−57053号公報 特開2013−242522号公報
カラーフィルター製造時においては、通常、着色層を含む基板を高温加熱する工程が含まれる。当該高温加熱の前後で着色層に色変化が生じる場合、最終的な色味を設計通りのものとするためには、その色変化を予測して着色層形成用の樹脂組成物を調製する必要がある。加熱の前後において着色層の色変化が大きい場合には、樹脂組成物の調製時における精度を上げる必要があり、また製造工程における加熱時間や加熱温度等の設定を細かく設定することとなる。即ち、加熱の前後における着色層の色変化が大きい場合、カラーフィルター製造におけるプロセスマージンが低下する。そのため、カラーフィルターの分野においては、加熱の前後における色変化がより抑制された着色層が求められている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れ、加熱時の色変化が抑制された塗膜を形成可能な色材分散液、耐熱性に優れ、加熱時の色変化が抑制された着色層を形成可能なカラーフィルター用着色樹脂組成物、耐熱性に優れたカラーフィルター、当該カラーフィルターを有する液晶表示装置及び発光表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る色材分散液は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
(一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は、当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基Rを有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは、各々独立に電子供与性基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。f及びgは0以上4以下の整数を表し、f+e及びg+eは0以上4以下である。複数あるe、f及びgは同一であっても異なっていてもよい。
但し、R、R及びRより選択される置換基を1個以上有する。)
本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、前記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とをすくなくとも備えるカラーフィルターであって、前記着色層の少なくとも一つが、前記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
本発明の色材分散液、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物、及び、本発明のカラーフィルターにおいては、前記電子供与性基が、炭素原子数が1〜4個のアルキル基、又は、炭素原子数が1〜4個のアルコキシ基であることが、耐熱性に優れる点から好ましい。
本発明の色材分散液、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物、及び、本発明のカラーフィルターにおいては、前記色材(1)が、下記一般式(I’)で表される色材であることが、耐熱性に優れる点から好ましい。
(一般式(I’)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は、当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基Rを有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは、各々独立に電子供与性基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。gは0以上4以下の整数を表し、g+eは0以上4以下である。複数あるe、及びgは同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の色材分散液、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物、及び、本発明のカラーフィルターにおいては、前記アニオン(Bc−)が、タングステン及びモリブデンより選択される1種以上の元素を有するヘテロポリ酸であることが、耐熱性に優れる点から好ましい。
本発明は、前記本発明に係るカラーフィルターと、対向基板と、前記カラーフィルターと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
また、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルターと、有機発光体を有することを特徴とする発光表示装置を提供する。
本発明によれば、耐熱性に優れ、加熱時の色変化が抑制された塗膜を形成可能な色材分散液、耐熱性に優れ、加熱時の色変化が抑制された着色層を形成可能なカラーフィルター用着色樹脂組成物、耐熱性に優れたカラーフィルター、当該カラーフィルターを有する液晶表示装置及び発光表示装置を提供することができる。
本発明のカラーフィルターの一例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。 本発明に係る色材の分子会合状態を示す模式図である。
以下、本発明に係る色材分散液、カラーフィルター用着色樹脂組成物、カラーフィルター、液晶表示装置及び有機発光表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表わす。
1.色材分散液
本発明に係る色材分散液は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
(一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は、当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基Rを有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは、各々独立に電子供与性基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。f及びgは0以上4以下の整数を表し、f+e及びg+eは0以上4以下である。複数あるe、f及びgは同一であっても異なっていてもよい。
但し、R、R及びRより選択される置換基を1個以上有する。)
本発明の色材分散液を用いて形成された塗膜は、加熱による色変化が小さく、耐熱性に優れている。その理由は、未解明な部分もあるが、以下のように推定される。
トリアリールメタン系染料、及び、キサンテン系染料は、一般に、当該染料のトリアリールメタン骨格、乃至、キサンテン骨格中の、芳香環の共鳴構造の範囲内にアミノ基を有し、当該アミノ基を有する共鳴構造が発色性を有している。
本発明の色材分散液は、(A)色材として一般式(I)で表される色材を含有する。当該一般式(I)で表される色材は、前記アミノ基を有する共鳴構造内に更に電子供与性基を有しているため、芳香環内の電子密度を増大させ、芳香環の安定性が向上する。その結果、トリアリールメタン骨格、乃至、キサンテン骨格のカチオン性が向上し、アニオンとの塩形成が安定化するため、高温で加熱された場合であっても、当該トリアリールメタン骨格、乃至、キサンテン骨格が分解することなく維持され、色変化が抑制されるものと推定される。
また、一般式(I)で表される色材において、トリアリールメタン骨格、乃至、キサンテン骨格は、連結基Aを介して2個以上連結した構造を有しており、多価カチオンとなっている。また、本発明においては対アニオンとして2価以上のアニオンを用いている。そのため一般式(I)で表される色材は図4の例に示されるように、2価以上のカチオン201と2価以上のアニオン202とを組み合わせて用いることにより、複数の分子が連続したイオン結合を介して会合する、分子会合体210を形成するものと推定される。当該分子会合体は、色材の凝集体中で1つの分子のように振る舞うため、見かけの分子量は、アニオンとカチオンが1対1で結合する従来の造塩化合物と比較しても格段に大きくなり、耐熱性の向上に寄与する物と推定される。カチオンとアニオンとので構成され、カチオン性向上によってイオン結合が強化されることで当該分子会合体は相乗的に安定化すると考えられる。これらのことから、本発明の色材分散液により形成された塗膜は、耐熱性に優れたものとなると推定される。
本発明の色材分散液は、少なくとも、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に他の成分を含有してもよいものである。
以下、このような色材分散液の各成分について、順に詳細に説明する。
(A)色材
本発明の色材分散液において(A)色材は、少なくとも下記一般式(I)で表される色材を含み、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の色材を含んでいてもよいものである。下記一般式(I)で表される色材を用いることにより、耐熱性に優れた塗膜乃至着色層が形成可能となる。

(一般式(I)中の各符号は、上述のとおりである。)
<色材(1)>
前記一般式(I)におけるAは、N(窒素原子)と直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO(酸素原子)、S(硫黄原子)、N(窒素原子)が含まれていてもよいものである。Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aや他の発色部位の影響を受けず、単量体と同様の色を保持することができる。
Aにおいて、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していてもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていてもよい。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよく、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていてもよい。
また、Aにおいて上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。
中でも、骨格の堅牢性の点から、Aは、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、アダマンタン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基としては、中でも、有橋脂環式炭化水素基が、骨格の堅牢性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいい、例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、アダマンタン等が挙げられる。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい。
原料入手の容易さの観点からAは2〜4価が好ましく、2〜3価が好ましく、更に2価が好ましい。例えば、Aが2価の有機基の場合、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素原子数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
〜Rにおけるアルキル基は、特に限定されない。例えば、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基等が挙げられ、中でも、炭素原子数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、製造及び原料調達の容易さの点から、より好ましい。中でも、R〜Rにおけるアルキル基がエチル基又はメチル基であることが特に好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基等が挙げられる。
〜Rにおけるアリール基は、特に限定されない。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
とR、RとRが結合して環構造を形成しているとは、RとR、RとRが窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。環構造は特に限定されないが、例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
中でも、化学的安定性の点からR〜Rとしては、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は、RとR、RとRが結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
〜Rはそれぞれ独立に上記構造をとることができるが、中でも、色純度の点からRが水素原子であることが好ましく、さらに製造および原料調達の容易さの点からR〜Rがすべて同一であることがより好ましい。
Arにおける2価の芳香族基は特に限定されない。芳香族基は、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であってもよい。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S、Nを有していてもよい。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基として、後述する電子供与性基Rを有していてもよい。
Arは、耐熱性の点から、例えば以下の化学式(A)又は化学式(B)であることが好ましい。
(化学式(A)、及び化学式(B)中、Rは電子供与性基であり、hはRの置換数を表し、0〜kの整数であって、kは、Arを構成する芳香環内における置換可能な水素原子数を表わす)
〜Rは、電子供与性基である。本発明において電子供与性とは、共鳴効果(+M効果)や誘起効果(+I効果)により、結合する芳香環に電子を与える性質をいう。
本発明における電子供与性基としては、水酸基(−OH基);メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、イソプロピオキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などの炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐のアルコキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基;アミノ基(−NH);メチルアミノ基、エチルアミノ基などのアルキルアミノ基(−NHR(Rは炭素原子数1〜8の直鎖又は分子のアルキル基));ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基(−NRR’(R及びR’は各々独立に炭素原子数1〜8の直鎖又は分子のアルキル基)等が挙げられる。
中でも、製造の容易性や、色純度の点から、炭素原子数が1〜4のアルキル基、又は、炭素原子数が1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数が1〜2のアルキル基又は炭素原子数が1〜2のアルコキシ基であることがより好ましい。
本発明において電子供与性の置換基R〜Rは、1分子中に少なくとも1個有すればよく、1〜4個有することが好ましく、1〜2個有することがより好ましい。即ち、R〜Rの合計の置換数f+g+hが1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。
また、電子供与性の置換基R〜Rは、トリアリールメタン骨格、又は、キサンテン骨格内の共鳴構造を有する芳香環のいずれの部位に置換されていてもよいが、中でも、−NR又は−NRで表されるアミノ基を基準にメタ位に置換されていることが好ましい。即ち、下記一般式(I’)で表される色材であることが好ましい。
(一般式(I’)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は、当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基Rを有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは、各々独立に電子供与性基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。gは0以上4以下の整数を表し、g+eは0以上4以下である。複数あるe、及びgは同一であっても異なっていてもよい。)
色材(1)においてアニオン部は、(Bc−)で表される構造を有する、2価以上のアニオンである。Bc−は2価以上のアニオンであれば、特に限定されず、有機アニオンであっても無機アニオンであってもよい。ここで有機アニオンとは、炭素原子を少なくとも1つ含有するアニオンを表す。また、無機アニオンとは、炭素原子を含有しないアニオンを表す。
c−が有機アニオンである場合、その構造は特に限定されない。中でも、アニオン性置換基を有する有機基であることが好ましい。
アニオン性置換基としては、例えば、−SOSOCH、−SOCOCH、−SOSOCF、−SOCOCF、−CFSOSOCH、−CFSOCOCH、−CFSOSOCF、−CFSOCOCF等のイミド酸基や、−SO 、−CFSO 、−PO 2−、−COO、−CFPO 2−、−CFCOO等の置換基が挙げられる。
中でも、カチオンを安定化し、色材の発色を安定させる点から、1価のアニオン性置換基を2つ以上用いることが好ましい。また、原材料入手の容易さや製造コスト、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO 、−CFSO が好ましく、更に、−SO (スルホナト基)であることがより好ましい。
アニオン性置換基を複数置換する場合は、同一の置換基であってもよく、異なる置換基を用いてもよい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、特に限定されない。当該有機基としては、直鎖、分岐、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基、単環又は多環芳香族基及びこれらが組み合わされた基が挙げられ、これらは炭素鎖中に、O、S、N等の異種原子が含まれていてもよく、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基が含まれていてもよく、水素原子が置換されていてもよい。有機基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記アニオン性置換基が置換される有機基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、[2,2,2]ビシクロヘキサン、[3,2,3]ビシクロオクタン、アダマンタン等の炭化水素;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、フルオレン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キサンテン、カルバゾール等の芳香族化合物が挙げられ、更にハロゲン原子、アルキル基等の置換基を有していてもよい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、中でも、アニオン性置換基の導入が容易な点から、単環又は多環芳香族炭化水素基及びこれらが組み合わされた基であることが好ましい。
アニオンにより色変化しないことを目的とする場合には、400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基を用いることが好ましい。400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基としては、例えば、ナフタレン、テトラリン、インデン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン等の縮合多環式炭素環からなる有機基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素からななる有機基;フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環からなる有機基、ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環からなる芳香族化合物;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環からなる有機基等が挙げられる。
また、アニオン性置換基が置換される有機基としては、有機化合物又は有機金属化合物である、アゾ染料、ローダミン染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、インジゴ染料等に由来する骨格を用いてもよい。或いは、従来公知の酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いてもよい。
染料由来の骨格や酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いた場合には、得られる色材の色調が変化し、前記化学式(I)で表される色材の色調を所望のものに調整することができる。
本発明に用いられる色材は、トリスアミノアリールメタン骨格を有することから、紫〜青〜シアンを呈する。そのため、適宜、赤色や紫色を呈する染料をアニオンとして組み合わせて用い、所望の色度座標が得られる色材とすることも好ましい。
例えば、C.I.アシッドレッド50、52、289、388、アシッドバイオレット9、30、アシッドブルー19等のローダミン系酸性染料;
C.I.アシッドレッド51、87、91、92、93、94、98等のフルオレセイン系酸性染料;
C.I.アシッドレッド80、81、82、83、C.I.アシッドバイオレット34、36、39、41、42、43、47、48、51、63、109、126、C.I.アシッドブルー23、25、27、35、40、41、43、45、46、47、49、51、52、53、55、56、62、68、69、78、80、81、96、111、124、127、127:1、129、138、140、145、150、175、183、215、225、230、251、258、260、264、271、277、281、290、324、344、350等のアントラキノン系酸性染料;
C.I.アシッドブルー74等のインジゴ系酸性染料;
C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、15、17、22、24、34、38、48、75、83、86、88、90、91、93、97、100、103、104、108、109、123、142、147、213、269、C.I.アシッドバイオレット15、16、17、19、21、23、24、25、38、49、72等のトリアリールメタン系酸性染料;
C.I.アシッドブルー249、C.I.ダイレクトブルー86、87等のフタロシアニン系酸性染料;
C.I.アシッドバイオレット131、C.I.アシッドブルー26、29、36、44、85、87、92、113、114、116、118、120、128、352、C.I.リアクティブレッド120、141、152、221、231、C.I.ダイレクトレッド2、4、6、7、8、10、13、14、15、16、17、18、21、22、23、24、26、28、29、31、33、34、36、37、39、42、43、44、46、49、50、52、53、54、55、56、57、59、60、61、62、63、67、68、72、73、74、75、77、79、81、83、85、88、89、90、98、99、101、108、110、117、120、121、122、127、130、141、148、149、150、152、153、154、155、156、169、173、174、176、180、181、185、186、189、191、220、224、227、239、243、250、253、257、259、260、264、C.I.ダイレクトバイオレット1、4、5、6、7、9、11、12、13、14、16、17、21、22、25、26、27、28、31、32、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、47、48、49、51、53、57、62、63、64、66、72、77、78、79、80、81、83、85、87、88、89、102、103等のジスアゾ系酸性染料;
C.I.アシッドレッド179、180、183、184、186、187、198、201、214、251、308、357、359、362、315、316、443、405、407、C.I.アシッドバイオレット56、58、61、90、91、92、C.I.アシッドブルー42、70、154、155、158、161、169、193、198、284、317、335、349、C.I.リアクティブバイオレット1、2、4、5、33、C.I.リアクティブブルー13、20、52、160、221、C.I.ダイレクトバイオレット46、56等のモノアゾ系酸性染料;
などが挙げられる。
モノアゾ系酸性染料としては、クロム、コバルト、ニッケル等の金属原子と錯塩化した金属錯塩モノアゾ系酸性染料であることがさらに好ましい。前記金属錯塩モノアゾ系酸性染料としては、金属原子と染料分子との結合比が1:1である1:1型金属錯塩染料と、該比が1:2である1:2型金属錯塩染料とが挙げられる。
上記染料のうち、染料自体が2価以上のアニオンである場合には、当該染料をそのまま、本発明の色材におけるアニオン部として使用することができる。染料自体が2価以上のアニオンでない場合には、適宜2価以上のアニオンとなるように、アニオン性置換基を導入する。
また、前記有機アニオンとしては、国際公開第2012/144521号公報の段落0057〜0067に記載されている有機アニオンを用いても良い。
一方、Bc−が無機アニオンである場合、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物である限り、その構造や組成は特に限定されない。無機アニオンとしては、例えば、2価以上のオキソ酸のアニオン(リン酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO 2−)、モリブデン酸イオン(MoO 2−)等)や、複数のオキソ酸が縮合したポリ酸イオン等の無機アニオンやその混合物を挙げることができる。
上記ポリ酸としては、イソポリ酸イオン(Mc−であってもヘテロポリ酸イオン(Xc−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。また、一部にNaやH等の対カチオンが含まれていてもよい。
中でも、高輝度で耐熱性や耐光性に優れる点から、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸アニオンであることが好ましく、少なくともタングステンを含み、且つモリブデンを含んでいてもよいポリ酸アニオンであることが、耐熱性の点からより好ましい。
タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸としては、例えば、イソポリ酸である、タングステン酸イオン[W10324−、モリブデン酸イオン[Mo192−や、ヘテロポリ酸である、リンタングステン酸イオン[PW12403−、[P18626−、ケイタングステン酸イオン[SiW12404−、リンモリブデン酸イオン[PMo12403−、ケイモリブデン酸イオン[SiMo12404−、リンタングストモリブデン酸イオン[PW12−xMo403−(xは1〜11の整数)、[P18−yMo626−(yは1〜17の整数)、ケイタングストモリブデン酸イオン[SiW12−xMo404−(xは1〜11の整数)等が挙げられる。タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸としては、耐熱性の点、及び原料入手の容易さの点から、上記の中でもヘテロポリ酸であることが好ましく、更にリン(P)を含むヘテロポリ酸であることがより好ましい。
さらに、リンタングストモリブデン酸イオン[PW10Mo403−、[PW11Mo403−、リンタングステン酸イオン[PW12403−、のいずれかであることが耐熱性の点からさらに好ましい。
少なくともタングステン(W)を含むポリ酸アニオンにおいて、タングステンとモリブデンとの含有比は特に限定されないが、特に耐熱性に優れる点から、タングステンとモリブデンとのモル比が100:0〜85:15であることが好ましく、100:0〜90:10であることがより好ましい。
ポリ酸アニオン(Bc−)は、上記のポリ酸アニオンを1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができ、2種以上組み合わせて用いる場合には、ポリ酸アニオン全体におけるタングステンとモリブデンとのモル比が上記範囲内であることが好ましい。
前記一般式(I)におけるaは、カチオンを構成する発色性カチオン部位の数である。aは2以上の整数である。すなわち、本発明において用いられる色材は、カチオンの価数が2以上であり、且つアニオンの価数も2以上であるため、上述した分子会合体が形成され、耐熱性等の耐久性が向上する。一方、aの上限は特に限定されないが、製造の容易性の点からは、aが4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
前記一般式(I)におけるbは分子会合体中のカチオンの分子数を、dは分子会合体中のアニオンの分子数を示し、b及びdは1以上の整数を表す。本発明の色材はその結晶乃至凝集体において、b及びdがそれぞれ1の場合に限られず、それぞれ2、3、4…と2以上のいかなる自然数をもとり得る。本発明の色材は、耐熱性等の耐久性の点から、少なくとも一部がb≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。また、本発明の色材は、耐熱性等の耐久性の点から、少なくとも一部がd≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。
bが2以上の場合、分子会合体中に複数あるカチオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。また、dが2以上の場合、分子会合体中に複数あるアニオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよく、有機アニオンと無機アニオンを組み合わせて用いることもできる。
また、本発明に用いられる色材が正塩であることが、酸性塩を用いた場合のように、分散が好適に進行しない場合や、分散液が保存時にゲル化するといった問題が生じず、分散性及び分散安定性が高い点から好ましい。
前記一般式(I)で表される色材は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他のカチオンやアニオンを含んだ複塩となっていてもよい。このようなカチオンの具体例としては、他の塩基性染料のほか、アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基などアニオンと塩形成可能な官能基を含んだ有機化合物や、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン等の金属イオンが挙げられる。また、アニオンの具体例としては、酸性染料のほか、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンや、無機酸のアニオン等が挙げられる。上記無機酸のアニオンとしては、リン酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO 2−)、モリブデン酸イオン(MoO 2−)等のオキソ酸のアニオン等が挙げられる。
<その他の色材>
(A)色材は、本発明の効果を損なわない範囲で、色調の制御を目的として必要に応じて他の色材を配合してもよい。他の色材としては、例えば、従来公知の顔料や染料を目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。
その他の色材の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23;C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド82等の顔料や、アシッドレッド等の染料が挙げられる。
他の色材の配合量としては、(A)色材全量100質量部に対して、他の色材が40質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、前記一般式(I)で表される色材の有する高透過率の特性や、耐熱性や耐光性の特性を損なうことなく、色調の制御が可能となるからである。
なお、上記他の色材は、本発明の色材分散液中に含有するものであってもよいが、上記他の色材を含有する色材分散液を別途用意し、後述するカラーフィルター用着色樹脂組成物を調製する際に混合してもよい。
本発明に用いられる(A)色材の平均分散粒径としては、カラーフィルターの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、コントラストを向上し、耐熱性及び耐光性に優れる点から、10〜200nmの範囲内であることが好ましく、20〜150nmの範囲内であることがより好ましい。(A)色材の平均分散粒径が上記範囲であることにより、本発明の色材分散液を用いて製造された液晶表示装置、発光表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
色材分散液中の(A)色材の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶剤で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
本発明の色材分散液において、色材の含有量は、特に限定されない。色材の含有量は、分散性及び分散安定性の点から、色材分散液全量に対して5〜40質量%、更に10〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の色材分散液において、(A)色材として、一般式(I)で表される色材(1)と、その他の色材を混合して用いる場合、混合比は、所望の色調に調製するために適宜設定すればよく、特に限定されない。耐熱性の点からは、(A)色材全量100質量部中、色材(1)が50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましい。
(B)分散剤
本発明の色材分散液においては、少なくとも前記色材(1)を溶剤中で分散させるために分散剤が用いられる。分散剤としては、従来、分散剤として用いられているものの中から適宜選択して用いることができる。分散剤の具体例としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。これらの分散剤は1種で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリエチレンイミン誘導体(ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩基);ポリアリルアミン誘導体(ポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる反応生成物)等が挙げられる。
このような分散剤の市販品としては、例えば、Disperbyk−2000、2001、BYK−LPN6919、21116(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、アジスパーPB821、881(味の素(株)製)等を挙げることができる。中でも、耐熱性、電気信頼性、分散性の点から、BYK−LPN6919、21116が好ましい。
高分子分散剤としては、中でも、上記色材を好適に分散でき、分散安定性が良好である点から、少なくとも下記一般式(III)で表される構成単位を有した重合体、及び、1分子内に1個以上のウレタン結合(−NH−COO−)を有する化合物からなるウレタン系分散剤よりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
以下、上記好ましい分散剤について詳細に説明する。
<少なくとも下記一般式(III)で表される構成単位を有した重合体>
本発明においては分散剤として、少なくとも下記一般式(III)で表される構成単位を有した重合体を好適に用いることができる。
(一般式(III)中、R11は、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(III−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
(一般式(III−a)中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R12及びR13は互いに同一であっても異なっていても良い。)
一般式(III)において、Aは、直接結合又は2価の連結基である。直接結合とは、Qが連結基を介することなく一般式(III)における炭素原子に直接結合していることを意味する。
Aにおける2価の連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素原子数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(III)におけるAは、直接結合、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。
また、これらの分散剤の上記一般式(III)で表される構成単位を任意の割合で下記塩形成剤によって塩形成することによって特に好適に用いることができる。
一般式(III)で表される構成単位を有した重合体としては、中でも、WO2011/108495号公報、特開2013−054200号公報、特開2010−237608号公報、特開2011−75661号公報に記載の構造を有するブロック共重合体、及びグラフト共重合体が、色材の分散性及び分散安定性及び樹脂組成物の耐熱性を向上し、高輝度且つ高コントラストな着色層を形成できる点から好ましい。
また、一般式(III)で表される構成単位を有した重合体の市販品としては、BYK−LPN6919等が挙げられる。
≪塩形成剤≫
本発明の好ましい分散剤は、上記一般式(III)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部が塩を形成(以下、塩変性と称することがある。)した重合体である。
本発明においては、塩形成剤を用い、一般式(III)で表される構成単位が有する窒素部位を塩形成することにより、同様に塩形成している色材に対して強く分散剤が吸着することで色材の分散性及び分散安定性が向上する。塩形成剤としては、WO2011/108495号公報、特開2013−054200号公報に記載の酸性有機リン化合物、有機スルホン酸化合物、4級化剤などを好適に使用できる。特に、塩形成剤が酸性有機リン化合物である場合には、色材の粒子表面に分散剤の酸性有機リン化合物を含む塩形成部位が局在化することで、色材表面がリン酸塩で被覆された状態となるため、活性酸素による色材の染料骨格への攻撃(水素引き抜き)が抑制され、染料骨格を含む色材の耐熱性や耐光性が向上する。このため、酸性有機リン化合物によって塩変性した重合体を分散剤として用いると、本発明に用いられる高透過率の色材が良好に分散した状態で高温加熱時の退色をより抑制できることから、カラーフィルター製造工程における高温加熱工程を経ても、より高輝度な着色層を形成できる。
<ウレタン系分散剤>
分散剤として好適に用いられるウレタン系分散剤は、1分子内に1個以上のウレタン結合(−NH−COO−)を有する化合物からなる分散剤である。
ウレタン系分散剤を用いることにより、少量で良好な分散が可能なとなる。分散剤を少量とすることにより、相対的に硬化成分等の配合量を増やすことができ、その結果、耐熱性に優れた着色層を形成することができる。
本発明においてウレタン系分散剤としては、中でも、(1)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート類と、(2)片末端又は両末端に水酸基を有するポリエステル類、及び片末端又は両末端に水酸基を有するポリ(メタ)アクリレート類から選択される1種以上との反応生成物であることが好ましく、更に、(1)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート類と、(2)片末端又は両末端に水酸基を有するポリエステル類、及び片末端又は両末端に水酸基を有するポリ(メタ)アクリレート類から選択される1種以上と、(3)同一分子内に活性水素と、塩基性基又は酸性基とを有する化合物との反応生成物であることがより好ましい。
ウレタン系分散剤の市販品としては、Disperbyk−161、162、163、164、166、167、168、170、171、174、182、183、184、185、BYK−9077(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、アジスパーPB711(味の素(株)製)、EFKA−46、47、48(EFKA CHEMICALS社製)等を挙げることができる。中でも、耐熱性、電気信頼性、分散性の点から、Disperbyk−161、162、166、170、174が好ましい。
これらの分散剤は1種で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の色材分散液において、分散剤の含有量は、分散性、分散安定性及び膜物性の点から、通常、色材分散液全量に対して1〜50質量%、更に1〜20質量%の範囲内であることが、好ましい。
(C)溶剤
本発明において溶剤は、着色樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解乃至分散可能な溶剤の中から、適宜選択して用いることができる。具体的には、アルコール系;エーテルアルコール系;エステル系;ケトン系;エーテルアルコールアセテート系;エーテル系;非プロトン性アミド系;ラクトン系;不飽和炭化水素系;飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられ、中でも、分散時の溶解性や塗布適性の点からエステル系溶剤を用いることが好ましい。
好ましいエステル系溶剤としては、例えば、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
中でも、人体への危険性が低いこと、室温付近での揮発性が低いが加熱乾燥性が良い点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いることが好ましい。この場合には、従来のPGMEAを用いた着色樹脂組成物との切り替えの際にも特別な洗浄工程を必要としないというメリットがある。
これらの溶剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の色材分散液は、以上のような溶剤を、当該溶剤を含む色材分散液の全量に対して、通常は60〜85質量%の割合で用いて調製する。溶剤が少なすぎると、粘度が上昇し、分散性が低下しやすい。また、溶剤が多すぎると、色材濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
(その他の成分)
本発明の色材分散液には、更に必要に応じて、前記一般式(I)で表される色材以外のその他の色材、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
その他の色材は、色調の制御を目的として必要に応じて配合される。その他の色材は従来公知のものを目的に応じて選択することができ、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。その他の色材、及びその配合量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されず、後述するカラーフィルター用着色樹脂組成物で用いる場合と同様とすることができる。
分散補助樹脂としては、例えば後述するカラーフィルター用着色樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって色材粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
(色材分散液の製造方法)
本発明の色材分散液は、前記分散剤を溶剤に混合、撹拌し、分散剤溶液を調製した後、当該分散剤溶液に、色材と必要に応じてその他の化合物を混合し、分散機を用いて分散させることによって調製することができる。また、本発明の色材分散液は、色材と分散剤を溶剤に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって調製してもよい。
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1.00mmである。
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2.00mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.10mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.10〜2.00μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
本発明の色材分散液は、後述するカラーフィルター用着色樹脂組成物を調製するための予備調製物として好適に用いられる。すなわち、色材分散液とは、後述の着色樹脂組成物を調製する前段階において予備調製される、(組成物中の色材成分質量)/(組成物中の色材成分以外の固形分質量)比の高い色材分散液である。具体的には、(組成物中の色材成分質量)/(組成物中の色材成分以外の固形分質量)比は通常0.5以上であり、さらに1.0以上であることがより好ましい。色材分散液と少なくともバインダー成分を混合することにより、分散性に優れた着色樹脂組成物を調製することができる。
本発明の色材分散液は、カラーフィルター用途に好適に用いられ、中でもカラーフィルターの青色画素用途に好適に用いられ、その中でも、高色域ディスプレイ用カラーフィルター用途に好適に用いられる。
2.カラーフィルター用着色樹脂組成物
本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、前記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
本発明によれば、高温加熱時においても色変化が抑制された着色層を形成することができる。
本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物は、少なくとも(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の成分を有してもよいものである。
以下、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
なお、上記本発明に係る色材分散液に含まれ得る成分については、上記色材分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
(D)バインダー成分
成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するためにバインダー成分を含有する。中でも、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルターの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
前記カラーフィルター用着色樹脂組成物を、例えばインクジェット方式で用いる場合など、基板上にパターン状に選択的に付着させて着色層を形成可能な場合には、硬化性バインダー成分に現像性は必要がない。この場合、インクジェット方式等でカラーフィルター着色層を形成する場合に用いられる、公知の熱硬化性バインダー成分や、感光性バインダー成分等を適宜用いることができる。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。熱硬化性バインダー成分の具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号公報に記載のものを挙げることができる。
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー工程を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。
以下、感光性バインダー成分について説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。以下に説明する感光性バインダー成分の他に、エポキシ樹脂のような加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分を更に用いてもよい。
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂と、感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物とを含んだ系等が挙げられる。
一方、ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。
本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
以下、ネガ型感光性バインダー成分を構成する、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基としてカルボキシル基を有する樹脂であることが好ましく、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環はカラーフィルター用着色樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルター用着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体の具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号公報に記載のものを挙げることができ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有しないモノマーと、(メタ)アクリル酸及びその無水物から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5質量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50質量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
カルボキシル基含有共重合体の好ましい質量平均分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。なお、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求める。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号公報に記載のもの等が挙げられる。エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、着色樹脂組成物に含まれる色材100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると色材の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
<多官能モノマー>
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号公報に記載のもの等が挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の着色樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アリロイルオキシプロピル)ホスフェート等が好適なものとして挙げられる。
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる前記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、前記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能モノマーの含有量が前記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能モノマーの含有量が前記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
<光開始剤>
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号公報に記載のもの等が挙げられる。
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、着色樹脂組成物の固形分中の色材等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
(任意添加成分)
本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ他の色材や各種添加剤を含むものであってもよい。
(他の色材)
他の色材は、色調の制御を目的として必要に応じて配合される。本発明のカラーフィルター用感光性着色樹脂組成物における色材は、必須成分として前記一般式(I)で表される色材を含むが、色調を調整するために、更に他の色材を組み合わせて用いてもよい。
カラーフィルターの着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、種々の有機顔料、無機顔料、分散可能な染料を、単独で又は2種以上混合して用いることができる。中でも有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、カラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができ、より具体的には、前記本発明に係る色材分散液の欄において他の色材としてとして挙げられたものと同様のものが挙げられる。
また、染料に各種置換基を付与したり、公知のレーキ化(造塩化)手法を用いて、溶剤に不溶化することにより分散可能となった染料や、溶解度の低い溶剤と組み合わせて用いることにより分散可能となった染料を用いてもよい。このような分散可能な染料と、前記分散剤とを組み合わせて用いることにより当該染料の分散性や分散安定性を向上することができる。
分散可能な染料としては、従来公知の染料の中から適宜選択することができる。このような染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、フタロシアニン染料などを挙げることができる。
色材の配合量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されない。色材の配合量としては、例えば、前記一般式(I)で表される色材と他の色材との質量比が、100:0〜40:60であることが好ましく、95:5〜60:40であることが更に好ましい。この範囲内であれば、一般式(I)で表される色材の有する高透過率の特性を損なうことなく、色調の制御が可能となるからである。
(添加剤)
添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
界面活性剤及び可塑剤の具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号公報に記載のものが挙げられる。
(カラーフィルター用着色樹脂組成物における各成分の配合割合)
一般式(I)で表される色材及び必要に応じて配合される色材の合計の含有量は、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、5〜65質量%、より好ましくは8〜55質量%の割合で配合することが好ましい。色材が少なすぎると、カラーフィルター用着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また色材等が多すぎると、カラーフィルター用着色樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またそのカラーフィルター用着色樹脂組成物中の色材の分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために耐溶剤性等の特性が不十分になる恐れがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、溶剤中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、分散剤の含有量としては、色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、色材100質量部に対して10〜150質量部用いることができる。更に、色材100質量部に対して15〜100質量部の割合で配合するのが好ましく、特に15〜70質量部の割合で配合するのが好ましい。分散剤の合計の含有量は、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜60質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜50質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、1質量%未満の場合には、色材を均一に分散することが困難になる恐れがあり、60質量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
バインダー成分は、これらの合計量が、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶剤の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶剤を含む上記カラーフィルター用着色樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88質量%の範囲内であることが好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
(カラーフィルター用着色樹脂組成物の製造)
カラーフィルター用着色樹脂組成物の製造方法としては、例えば(1)溶剤中に、上記本発明に係る色材分散液と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法、及び(2)溶剤中に、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、これに上記本発明に係る色材分散液を加えて混合する方法などを挙げることができる。
次に、本発明のカラーフィルターについて説明する。
[カラーフィルター]
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該着色層の少なくとも1つが、前記一般式(I)で表される色材を含むことを特徴とする。
このような本発明に係るカラーフィルターについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルターの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルター10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
(着色層)
本発明のカラーフィルターに用いられる着色層は、少なくとも1つが、前記一般式(I)で表される色材を含む着色層である。
着色層は、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、感光性着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
当該着色層は、例えば、前記カラーフィルター用着色樹脂組成物が感光性樹脂組成物の場合、下記の方法により形成することができる。本発明のカラーフィルターに用いられる前記一般式(I)で表される色材を含む着色層は、前述した色材と、分散剤と、溶剤と、バインダー成分を含有し、前記色材が、前記一般式(I)で表される色材を含む、カラーフィルター用着色樹脂組成物を用いて形成されることが好ましく、当該カラーフィルター用着色樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
まず、カラーフィルター用着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて、感光性の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶剤にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
(遮光部)
本発明のカラーフィルターにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルターに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
(透明基板)
本発明のカラーフィルターにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルターに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性やフレキシブル性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルターの用途に応じて、例えば50μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルターは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには液晶材料を配向させるための配向膜や、柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。本発明のカラーフィルターは、前記例示された構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルターに用いられている公知の構成を適宜選択して用いることができる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルターと、対向基板と、前記カラーフィルターと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルター10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルター10と上記対向基板20との間に形成された液晶層15とを有している。図2においては、カラーフィルター10の着色層3側に配向膜13aと対向基板20側に配向膜13bが形成され、当該2つの配向膜13a及び13bの間に液晶層15が形成されている例について示している。さらに、図2においては、液晶表示装置40が、カラーフィルター10の外側に配置された偏光板25a、及び、対向基板20の外側に配置された偏光板25bと、液晶表示装置40の対向基板20側に配置された偏光板25bよりも外側に配置されたバックライト30とを有する例を示している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルターが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルター及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封止することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルターの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルターを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルター及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また、本発明の液晶表示装置に用いられるバックライトとしては、液晶表示装置の用途に応じて適宜選択して用いることができる。バックライトとしては、例えば、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LED、白色有機ELを光源とするバックライトユニットを具備することができる。
白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。前記蛍光体としては、量子ドットを用いても良い。
[発光表示装置]
本発明に係る発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルターと、発光体とを有することを特徴とする。本発明に係る発光表示装置としては、例えば前記発光体として有機発光体を有する有機発光表示装置が挙げられる。発光体は有機発光体に限定されず、無機発光体も適宜使用できる。
このような本発明の発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の発光表示装置100は、カラーフィルター10と、発光体80とを有している。カラーフィルター10と、発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルター上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の発光表示装置は、この図3に示される構成の発光表示装置に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた発光表示装置として公知の構成とすることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
<中間体Aの合成>
和光純薬(株)製 1−ヨードナフタレン15.2g(60mmol)、三井化学(株)製 ノルボルナンジアミン(NBDA)(CASNo.56602−77−8)4.63g(30mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 8.07g(84mmol)、アルドリッチ製 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’,−ジメトキシビフェニル 0.09g(0.2mmol)、和光純薬(株)製酢酸パラジウム 0.021g(0.1mmol)、キシレン30mLに分散し130−135℃で48時間反応させた。反応終了後、室温に冷却し水を加え抽出した。次いで硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮することにより下記化学式(A)で示される中間体Aを7.77g(収率63%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):441[M+Cl]−
<中間体Bの合成>
下記反応式(1)に従い、中間体Bを合成した。
下記化合物(C)(25g、129mmol)のトルエン(100ml)溶液中に塩化チオニル(14ml、200mmol)を加え80℃で1時間し、酸クロリドを得た後、溶媒置換をし、酸クロリドの1,2−ジクロロエタン(50ml)溶液を得た。
別容器に無水塩化アルミニウム(20.4g、155mmol)と1,2−ジクロロエタン(100ml)の混合物を氷浴で冷却し、前記酸クロリドの1,2−ジクロロエタン溶液を滴下した。攪拌後、下記化合物(D)(21.1g、129mmol)を滴下し、室温にした後、氷水に注いだ。水酸化ナトリウム水溶液でpH10以上とした後、クロロホルムで抽出した。脱水後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル800g、ヘキサン/酢酸エチル:4/1)で精製し、得られた結晶をヘキサンで洗浄して、下記化学式(B)で示される中間体Bを8.0g(収率25%)得た。
得られた化合物は、下記分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):339[MH+]
(合成例1:色材1の合成)
(1)化合物1の合成
前記中間体A 8.46g(20.8mmol)、東京化成工業製 4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン13.5g(41.6mmol)、トルエン60mLを入れ45−50℃で攪拌した。和光純薬工業製オキシ塩化リン6.38g(51.5mmol)を滴下し、2時間還流し冷却した。反応終了後、トルエンをデカントした。樹脂状析出物をクロロホルム40mL、水40mL、濃塩酸を加えて溶解しクロロホルム層を分液した。クロロホルム層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮物に酢酸エチル65mLを加え還流した。冷却の後に析出物を濾過し下記化学式(1−1)で示される化合物1を4.0g(収率53%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):752(M+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (78.22%、7.90%、7.52%);理論値(78.18%、7.99%、7.49%)
(2)色材1の合成
関東化学製12タングストリン酸・n水和物3.7g(1.1mmol)をメタノール180mL、水180mLの混合液に加熱溶解させ、前記化合物1 1.8g(1.6mmol)を加え、1時間攪拌した。沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られた沈殿物を減圧乾燥して下記化学式(1−2)で表される色材1を4.5g(収率95%)を得た。
得られた化合物(色材1)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
31P NMR(d−dmso、ppm)δ15.16
・MS(MALDI) (m/z):521(M+)、2879(M−)
(比較合成例1:色材2の合成)
(1)化合物2の合成
国際公開第2012/144521号に記載の中間体4の製造方法を参照して、下記化学式(2−1)で表される化合物2を7.2g(収率66%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):511(M+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (78.09%、7.55%、7.66%);理論値(78.06%、7.75%、7.69%)
(2)色材2の合成
前記合成例1の(2)において、化合物1の代わりに、前記化合物2 1.7gに変更した以外は、前記合成例1の(2)と同様にして下記化学式(2−2)で表される色材2を4.6g(収率96%)得た。
得られた色材2は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
31P NMR(d−dmso、ppm)δ15.14
・MS(MALDI) (m/z):511(M)2価、2879(M
(比較合成例2:色材3の合成)
(1)化合物3の合成
前記化合物2 2.39g(2.0mmol)を関東化学社製ジメチルスルホキシド70mLに溶解させた。このものにN−ブロモスクシンイミド(NBS) 1.80g(10.1mmol)のジメチルスルホキシド溶液70mLを撹拌しながら10分間かけて滴下した。その後4時間撹拌した後、クロロホルム100mLで抽出し溶媒を留去して乾燥し、下記一般式(3−1)で表される化合物3を1.88g(収率84%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):591(M+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (68.24%、6.68%、6.65%);理論値(68.10%、6.76%、6.71%)
(2)色材3の合成
前記合成例1の(2)において、化合物1の代わりに、前記化合物3 2.0gに変更した以外は、前記合成例1の(2)と同様にして下記化学式(3−2)で表される色材3を4.7g(収率96%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
31P NMR(d−dmso、ppm)δ15.14
・MS(MALDI) (m/z):591(M)2価、2879(M
(比較合成例3:色材4の合成)
(1)化合物4の合成
クロロベンゼン25g中に、エチルナフチルアミン 5.0g(22.0mmol)、前記中間体B 9.9g(30.5mmol)、オキシ塩化リン4.9g(32.0mmol)を加えて、40−45℃で3時間反応させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で有機層を洗浄、濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒クロロホルム/メタノール)で精製し、下記化学式(4−1)で表される化合物4
を3.70g(収率70%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):493(M+)、1価
・元素分析値:CHN実測値 (77.32%、8.27%、7.88%);理論値(77.02%、8.37%、7.93%)
(1)色材4の合成
前記合成例1の(2)において、化合物1の代わりに、前記化合物4 1.78gに変更した以外は、前記合成例1の(2)と同様にして下記化学式(4−2)で表される色材4を4.37g(収率94%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
31P NMR(d−dmso、ppm)δ15.14
・MS(MALDI) (m/z):493(M)1価、2879(M
(比較合成例4:色材5の合成)
前記合成例1の(2)において、化合物1の代わりに、Basic Blue 7(東京化成製)1.6g(以下、化合物5とすることがある)に変更した以外は、前記合成例1の(2)と同様にして下記化学式(5−2)で表される色材5を4.36g(収率95%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
31P NMR(d−dmso、ppm)δ15.14
・MS(MALDI) (m/z):480(M)1価、2879(M
(比較合成例5:色材6の合成)
(1)化合物6の合成
Basic Blue 7(東京化成製) 2.06g(4.0mmol)を関東化学社製ジメチルスルホキシド70mLに溶解させた。このものにNBS 1.80g(10.1mmol)のジメチルスルホキシド溶液70mLを撹拌しながら10分間かけて滴下した。その後4時間撹拌した後、クロロホルム100mLで抽出し溶媒を留去して乾燥し、下記一般式(6−1)で表される化合物6を1.88g(収率84%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):558(MH+)
・元素分析値:CHN実測値 (66.58%、6.65%、7.11%);理論値(66.61%、6.95%、7.06%)
(2)色材6の合成
前記合成例1の(2)において、化合物1の代わりに、前記化合物6 1.78gに変更した以外は、前記合成例1の(2)と同様にして下記化学式(6−2)で表される色材6を4.01g(収率93%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
31P NMR(d−dmso、ppm)δ15.14
・MS(MALDI) (m/z):558(M)1価、2879(M
(調製例1:塩型ブロックポリマー分散剤A溶液の調製)
反応器に、PGMEA60.74質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(アミン価120mgKOH/g、固形分60重量%)35.64質量部(有効固形分21.38質量部)をそれぞれ溶解させ、PPAを3.62質量部(ブロック共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することで塩型ブロックポリマー分散剤A溶液(固形分25%)を調製した。
(調製例2:バインダー組成物Aの調製)
(1)バインダー樹脂Aの合成
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(略称EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で90℃に昇温した後、メタクリル酸メチル32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル22質量部、メタクリル酸24質量部、開始剤としてAIBN 2.0質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aは、質量平均分子量(Mw)8500、数平均分子量(Mn)4200、分子量分布(Mw/Mn)は2.02、酸価85mgKOH/gであった。
(2) PGMEA19.82質量部、上記バインダー樹脂A(固形分44質量%)18.18質量部、5〜6官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM403、東亞合成社製)8.00質量部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製)3.00質量部、2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX−S、日本化薬社製)1.00質量部を混合することでバインダー組成物A(固形分40質量%)を調製した。
(実施例1:色材分散液A、及び着色樹脂組成物Aの調製)
(1)合成例1の色材1 13.0質量部と、調製例1で調製した塩型ブロックポリマー分散剤A溶液を20.80質量部(有効固形分5.20質量部)、調製例2のバインダー樹脂A 11.82質量部(有効固形分5.20質量部)、PGMEA54.38質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで6時間分散し、色材分散液Aを得た。
(2)上記(1)で得られた色材分散液A 28.57質量部、調製例2で得られたバインダー組成物A 28.29質量部、PGMEA 43.14質量部、界面活性剤R08MH(DIC社製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン社製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、着色樹脂組成物Aを得た。
(比較例1〜5:色材分散液B〜E、及び着色樹脂組成物B〜Fの調製)
実施例1において色材Aの代わりに色材2〜6をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、色材分散液B〜E、及び着色樹脂組成物B〜Eを得た。
[評価]
(色材の耐熱性評価)
実施例及び比較例で用いられる前記色材1〜6をそれぞれ約5mgを石英製パンにいれ、株式会社リガク社製、差動型示差熱天秤(TG−DTA) TG8120を用い、リファレンスとして石英製パンにアルミナ、昇温速度10℃/分として600℃まで測定を行った。
耐熱性の指標として、重量損失が5%となる温度(T5wt%)を算出した。重量損失が5%となる温度(T5wt%)は耐熱性を示す指標とすることができる。
また、色材1〜6に対応する前記化合物1〜6についても同様の測定を行ない、重量損失が5%となる温度(T’5wt%)を算出した。また、色材と対応する化合物との重量損失の差 ΔT5wt% = T5wt% − T’5wt%を算出した。結果を表1に示す。
[結果のまとめ]
表1に示される通り、前記一般式(I)で表される色材(1)である色材1は、特定部位に電子供与性基を有しない色材2及び3よりも、格段に耐熱性に優れることが明らかとなった。色材1に対応するカチオンを有する化合物1は、色材2及び3に対応するカチオンを有する化合物2及び3よりも耐熱性に優れており、特定部位に電子供与性基を有することにより耐熱性が向上することが予測される。また、色材1は、化合物1と2価以上のアニオンとを組み合わせることにより、重量損失が5%となる温度が66℃上昇しているのに対し、色材2及び3はそれぞれ49℃と33℃の上昇にとどまっている。このことから、特定部位に電子供与性基を有する2価以上のカチオン性染料と、2価以上のアニオンとの組み合わせにおいて、特に耐熱性が向上する相乗効果が得られることが明らかとなった。
[評価]
<光学性能評価、耐熱性評価>
各実施例及び比較例で得られた着色樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて40mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化膜(青色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度y=0.082になるようにし、得られた着色基板の色度(x、y)、輝度(Y)、L、a、b(L、a、b)をオリンパス社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。上記の着色膜が形成された基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークを3回処理し、得られた着色膜の色度(x、y)、輝度(Y)及びL、a、b(L、a,b)を測定した。測定した値から加熱前後の色差(ΔEab)を算出した。結果を表2に示す。
[結果のまとめ]
表2の結果に示される通り、前記一般式(I)で表される色材(1)である色材1を用いた実施例1の着色層は、特定部位に電子供与性基を有しない色材2及び3を用いた比較例1〜2の着色層よりも、加熱時の色変化を格段に抑制されることが明らかとなった。
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルター
13a、13b 配向膜
15 液晶層
20 対向基板
25a、25b 偏光板
30 バックライト
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 発光体
100 発光表示装置
201 2価以上の対カチオン
202 2価以上の対アニオン
203 Aによる連結
204 イオン結合
210 本発明に係る色材の分子会合体

Claims (8)

  1. (A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含む、色材分散液。
    (一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は、当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基Rを有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは、各々独立に電子供与性基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。f及びgは0以上4以下の整数を表し、f+e及びg+eは0以上4以下である。複数あるe、f及びgは同一であっても異なっていてもよい。
    但し、R、R及びRより選択される置換基を1個以上有する。)
  2. 前記電子供与性基が、炭素原子数が1〜4個のアルキル基、又は、炭素原子数が1〜4個のアルコキシ基である、請求項1に記載の色材分散液。
  3. 前記色材(1)が、下記一般式(I’)で表される色材である、請求項1又は2に記載の色材分散液。
    (一般式(I’)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は、当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基Rを有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは、各々独立に電子供与性基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。gは0以上4以下の整数を表し、g+eは0以上4以下である。複数あるe、及びgは同一であっても異なっていてもよい。)
  4. 前記アニオン(Bc−)が、タングステン及びモリブデンより選択される1種以上の元素を有するヘテロポリ酸である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の色材分散液。
  5. (A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含む、カラーフィルター用着色樹脂組成物。
    (一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は、当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基Rを有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは、各々独立に電子供与性基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。f及びgは0以上4以下の整数を表し、f+e及びg+eは0以上4以下である。複数あるe、f及びgは同一であっても異なっていてもよい。
    但し、R、R及びRより選択される置換基を1個以上有する。)
  6. 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とをすくなくとも備えるカラーフィルターであって、前記着色層の少なくとも一つが、下記一般式(I)で表される色材(1)を含む、カラーフィルター。
    (一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は、当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基Rを有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは、各々独立に電子供与性基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。f及びgは0以上4以下の整数を表し、f+e及びg+eは0以上4以下である。複数あるe、f及びgは同一であっても異なっていてもよい。
    但し、R、R及びRより選択される置換基を1個以上有する。)
  7. 前記請求項6に記載のカラーフィルターと、対向基板と、前記カラーフィルターと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
  8. 前記請求項6に記載のカラーフィルターと、有機発光体を有することを特徴とする発光表示装置。
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