JP2015174091A - 取鍋を保温する保温バーナの制御方法 - Google Patents

取鍋を保温する保温バーナの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶鋼を払い出した後の取鍋の蓄熱量を算出し、算出した取鍋の蓄熱量を基に、当該取鍋の蓄熱量が予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、保温バーナの入熱量を決定する取鍋を保温する保温バーナの制御方法を提供する。【解決手段】本発明に係る取鍋2を保温する保温バーナ1の制御方法は、連続鋳造終了時における取鍋2内の溶鋼温度と、連続鋳造終了時の取鍋2の状態に関する情報とを用いて、連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量を算出し、算出された連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量と、連続鋳造終了時から取鍋2を保温開始するまでの時間とを用いて、保温バーナ1にて保温を開始する直前の取鍋2の蓄熱量を算出し、算出された直前の取鍋2の蓄熱量を基に、当該取鍋2の蓄熱量が予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、保温バーナ1の入熱量を決定する。【選択図】図1

Description

本発明は、転炉から連続鋳造設備に溶鋼を払い出した後の取鍋を、加熱して保温する際の用いられる保温バーナの制御方法に関する。
取鍋(溶鋼鍋)は、転炉から溶鋼を受鋼した後、溶鋼処理を経由して連続鋳造設備に搬送され、その後、連続鋳造設備に溶鋼を払い出す。そして、連続鋳造設備で溶鋼を払い出した後、取鍋は、再度転炉に返送されて溶鋼を受鋼する。
通常、転炉と連続鋳造設備との間を移動する取鍋は、複数配備されていて、複数の取鍋は、規定のサイクル(図1の実線で示すサイクル)で転炉〜連続鋳造設備間を往復している。
ところが、連続鋳造設備で溶鋼を払い出した後、転炉で再度受鋼するまでの時間が長い場合(例えば、連続鋳造設備の整備や、連続鋳造設備のイレギュラーな操業停止など)においては、転炉での出鋼調整を行い溶鋼の入った鍋の数は連続鋳造設備の稼働数にあわせて調整されるが、先のサイクルで使っていた複数の空の取鍋が連続鋳造設備〜転炉間で停止することとなる。
特に、連続鋳造設備で溶鋼を払い出した後に空となった取鍋は、外気などにより、当該取鍋内部の温度が下がってしまうため、受鋼までの時間が長くなると取鍋内部の温度が低くなる。この後、取鍋内部の温度が下がったままで転炉から溶鋼を受鋼すると、溶鋼の温度と取鍋の温度との差が大きくなり、装入された溶鋼の温度が低下したり、取鍋内部に備えられた耐火物が損傷してしまう虞がある。
そのため、連続鋳造設備で溶鋼を払い出した後、転炉で再度受鋼するまでの時間が長い場合、転炉から溶鋼を受鋼する前に取鍋内部の温度を、保温しておく必要がある。
このような課題を解消するにあたっては、保温バーナからの火炎を取鍋内部に噴射して取鍋内部の温度を高くする(取鍋を保温する)ことが一般的であり、取鍋を保温(保熱)する保温バーナを制御する技術としては、例えば、特許文献1〜特許文献3に示すような技術が挙げられる。
特許文献1には、受鋼鍋の履歴および加熱条件と転炉の出鋼温度とを設定入力として受鋼鍋の加熱に必要な熱量との関係を記憶し、各チャージ毎に該設定条件に合わせて受鋼鍋の加熱に必要な熱量を選定し、選定された熱量と該設定条件とにもとづいて受鋼鍋のヒート・パターンを決定し、該ヒート・パターンと受鋼鍋の検出温度とにもとづいて燃焼バーナの火力を調整する受鋼鍋の温度管理方法が開示されている。
特許文献2には、耐火材が敷設された取鍋を予熱する方法であって、制御温度としての取鍋耐火材温度を測定し、加熱されるべき取鍋の設定温度を予め決定し、制御温度と設定温度を比較して取鍋への入熱量を制御し、入熱と時間の関係について平均勾配を計算し、取鍋への入熱量の変化量を求め、平均勾配を用いて、取鍋の熱含量を監視し、取鍋耐火材が全体に亘って十分に加熱されて、取鍋が使用可能状態となる時を決定する取鍋の予熱方法が開示されている。
特許文献3には、連続鋳造及び排滓を終えた後、受鋼台車に載置され、次いで、受鋼台車によって転炉の受鋼領域に搬送された後、該受鋼台車上で該受鋼領域に所定時間待機状態とされ、該待機後、直ちに受鋼位置に移動して転炉から溶鋼を受鋼する取鍋を該受鋼前に加熱する方法において、前記転炉の受鋼領域に待機状態とされる所定時間内に前記取鍋を該取鍋の上部開口を覆う鍋蓋に取り付けた蓄熱式バーナによって急速加熱し、そのときの所定の式により求められる投入熱量と所定の式により求められる排出ガス顕熱とから、所定の式により取鍋耐火物の着熱量を求めると共に、該着熱量、転炉の出鋼量及び鋼の比熱に基づいて前記急速加熱によって前記取鍋に与えた温度を求め、該温度に応じて転炉の出鋼温度を制御する取鍋の加熱方法が開示されている。
特開昭57−199011号公報 特開2000−88247号公報 特許第4613380号公報
しかしながら、特許文献1〜特許文献3に示すような取鍋を保温する保温バーナを制御する技術を用いても、以下に述べるような難点が存在する。
すなわち、特許文献1は、受鋼鍋の履歴(耐火物残存厚み)と加熱条件(初期温度と目標温度、加熱時間など)と出鋼温度を基に、受鋼鍋の加熱に必要な熱量を求め、その求めた熱量と加熱条件とを用いて、ヒート・パターン決定機にてヒート・パターンを算出する。そして、算出されたヒート・パターンに基づいて、受鋼鍋を加熱している。
しかしながら、特許文献1には、ヒート・パターン(温度パターン)を決定する基準が明確に記載されておらず、実際の操業で使用可能な技術とはなっていない。
特許文献2の技術には、「熱電対で測定された耐火物温度」により、耐火物への伝熱量を監視し、取鍋が十分に加熱された時期を表示する取鍋の予熱状態表示システムが備えられていて、この表示システムにより、取鍋が十分に加熱され、取鍋内が「所定の温度」となったことを判断することはできる。しかしながら、本願出願人は、取鍋の保温状況を把握するに必要な情報は「取鍋を構成する耐火物の温度情報」などではなく、「取鍋の耐火物の蓄熱量」であることを知見しており、特許文献2の技術では、受鋼する際に必要となる取鍋の耐火物の蓄熱量を知ることができない虞がある。また、保温バーナの燃焼量により、取鍋内部の温度(排ガス温度)が変化するので、定常となる蓄熱量が取鍋を保温するバーナの条件により異なるという問題が生じる。
特許文献3は、保温時の保温バーナの燃料量と保温バーナの排ガス温度から、保温バーナによる耐火物の着熱量を算出し、算出した耐火物の着熱量を基に、転炉の出鋼温度を制御するようになっている。しかしながら、本願出願人は、取鍋の保温状況を把握するに必要な情報は「取鍋を構成する耐火物の温度情報」などではなく、「取鍋の耐火物の蓄熱量」であることを知見しており、特許文献3の技術では、耐火物全体の蓄熱量がわからないため、溶鋼を搬送している際における溶鋼から耐火物へ伝播する伝熱量もわからない虞がある。そのため、溶鋼温度の低下速度が一定しないという問題が生じる。
すなわち、特許文献2,3の技術でも、実際の操業で取鍋条件により変化するため使用可能なものとはなっていない。
そもそも「取鍋を構成する耐火物の温度情報」を得るための熱電対に関しては、熱電対の耐久性が低く、且つ耐火物の代表温度の設定が難しいため、耐火物の温度の測定誤差が生じる虞がある。この観点から考えても、特許文献1〜3の技術は、実際の操業では温度ばらつきが多く、使用可能なものとはなっていないと思われる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、溶鋼を払い出した後の取鍋の蓄熱量を算出し、算出した取鍋の蓄熱量を基に、当該取鍋の蓄熱量が予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、保温バーナの入熱量を決定する取鍋を保温する保温バーナの制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る取鍋を保温する保温バーナの制御方法は、転炉から連続鋳造設備に溶鋼を払い出した後の取鍋を、保温バーナにて加熱して保温する取鍋を保温する保温バーナの制御方法において、連続鋳造終了時における前記取鍋内の溶鋼温度と、連続鋳造終了時の前記取鍋の状態に関する情報とを用いて、連続鋳造終了時の前記取鍋の蓄熱量を算出し、算出された連続鋳造終了時の前記取鍋の蓄熱量と、連続鋳造終了時から前記取鍋を保温開始するまでの時間とを用いて、前記保温バーナにて保温を開始する直前の前記取鍋の蓄熱量を算出し、算出された直前の前記取鍋の蓄熱量を基に、当該取鍋の蓄熱量が予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、前記保温バーナの入熱量を決定することを特徴とする。
本発明に係る取鍋を保温する保温バーナの制御方法は、転炉から連続鋳造設備に溶鋼を払い出した後の取鍋を、保温バーナにて加熱して保温する取鍋を保温する保温バーナの制御方法において、連続鋳造開始時における前記取鍋内の溶鋼温度と、連続鋳造開始時の前記取鍋の使用状況の情報とを用いて、連続鋳造開始時の前記取鍋の蓄熱量を算出し、算出された連続鋳造開始時の前記取鍋の蓄熱量と、連続鋳造終了時における前記取鍋内の溶鋼温度と、連続鋳造時間とを用いて、連続鋳造終了時の前記取鍋の蓄熱量を算出し、算出された連続鋳造終了時の前記取鍋の蓄熱量と、連続鋳造終了後から前記取鍋を保温開始する前の時間とを用いて、前記保温バーナにて保温を開始する直前の前記取鍋の蓄熱量を算出し、算出された直前の前記取鍋の蓄熱量を基に、当該取鍋の蓄熱量が、予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、前記保温バーナの入熱量を決定することを特徴とする。
本発明の取鍋を保温する保温バーナの制御方法によれば、溶鋼を払い出した後の取鍋の蓄熱量を算出し、算出した取鍋の蓄熱量を基に、当該取鍋の蓄熱量が予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、保温バーナの入熱量を決定することができる。
製鋼工程における取鍋の運行状況を模式的に示した図である。 溶鋼を払い出した後から取鍋の保温を開始するまでの時間と、取鍋の保温時間の実績との関係を示した図である。 取鍋に溶鋼が装入されているときにおける取鍋の蓄熱量を算出する方法を示した図である。 取鍋が空のときにおける取鍋の蓄熱量を算出する方法を示した図である。 取鍋が保温されているときにおける取鍋の蓄熱量を算出する方法を示した図である。 取鍋の放熱量(取鍋の耐火物の蓄熱量)の算出方法を示したフローチャートである。 本発明の取鍋を保温する保温バーナの制御方法を用いて、連続鋳造終了時から取鍋を保温開始するまでの間の取鍋の蓄熱量を算出する方法を示したフローチャートである。 本発明の取鍋を保温する保温バーナの制御方法を用いて、連続鋳造開始時から取鍋を保温開始するまでの間の取鍋の蓄熱量を算出する方法を示したフローチャートである。 溶鋼を払い出した後から取鍋の保温を開始するまでの時間と、保温バーナの燃焼量と、耐火物の蓄熱量との関係を示した図である。 取鍋の保温時間と保温バーナにおける燃料の使用比率との関係を示した図である。 取鍋の保温を開始する時間及び、保温バーナの入熱量に対する取鍋の蓄熱量の時間変化と、取鍋から排出される排ガス温度の時間変化の関係を示した図である。 溶鋼を払い出した後から取鍋の保温を開始するまでの時間と、耐火物の蓄熱量との関係を示した図である。
以下、本発明に係る取鍋を保温する保温バーナの制御方法を、図面に基づき詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。
まず、本発明の取鍋2を保温する保温バーナ1の制御方法を説明する前に、製鋼工程について、図を基に説明する。図1は、製鋼工場における製鋼工程を模式的に示した図である。
図1に示すように、製鋼工程では、転炉8や電気炉で精錬した溶鋼10を取鍋2に出鋼して、取鍋2を二次精錬設備に搬送し、二次精錬設備にて溶鋼10の介在物除去や成分調整などの精錬(溶鋼処理)を行う。
そして、二次精錬設備にて精錬を終了後、取鍋2は連続鋳造設備9に搬送されて、取鍋2内の溶鋼10を払い出す。払い出された溶鋼10は、連続鋳造設備9にて鋳片に鋳造される。溶鋼10を払い出した後の取鍋2は、スラグなどが排滓された後に、取鍋2下部の注入口7などの鍋整備が行われる。鍋整備後、取鍋2は転炉8などに返送されて、溶鋼10を再度受鋼する。
このように、溶鋼10を転炉8などから連続鋳造設備9まで搬送するために使用される取鍋2は、製鋼工程に複数配備されていて、複数の取鍋2は一定のサイクルで溶鋼10を順次搬送している。このような一定のサイクルで連続鋳造設備9に溶鋼10を払い出した後の取鍋2は、通常、すぐに転炉8などに返送されて、溶鋼10を再度受鋼するようになっている。
ところが、連続鋳造設備9で溶鋼10を払い出した後、転炉8などで再度受鋼するまでの時間が長くなる場合(例えば、連続鋳造設備9の整備や、連続鋳造設備9のイレギュラーな操業停止など)においては、複数の取鍋2が連続鋳造設備9〜転炉8間で停止することとなる。
このとき、溶鋼10を払い出した後に空となった取鍋2は、外気などにより、取鍋2内(鉄皮4の内側)に施工された耐火物3の温度(取鍋2内部の温度)が急激に下がってしまい、溶鋼10の温度と取鍋2の温度との差が大きくなる。それ故、装入された溶鋼10の温度が低下したり、取鍋2の鉄皮4や取鍋2内部の耐火物3が損傷してしまう。
このことから、連続鋳造設備9で溶鋼10を払い出した後、転炉8で再度受鋼するまでの時間が長い場合、保温バーナ1を用いて、取鍋2内部の温度を溶鋼10の温度付近にまで高くしている(取鍋2を保温している)。現状では、取鍋2内の温度低下による溶鋼温度の低下を避けるために、保温バーナ1の火炎を最大にして長時間保温している。
そこで、図2に示すように、本願出願人らは、取鍋2を保温しない場合における耐火物3の蓄熱量と、取鍋2を保温する場合に必要な耐火物3の蓄熱量を付与することのできる時間(適正保温時間)を算出した。その結果、取鍋2の適正保温時間は、図2中の実線に示す曲線となった。この結果を受けて、現状行われている耐火物3に付与する蓄熱量を調べてみると、頻度の多い領域を含め、保温が過剰であることがわかった。つまり、取鍋2の耐火物3に蓄熱量を付与する保温バーナ1の入熱量が、余剰であることがわかった。
以上より、本願出願人らは、保温バーナ1の入熱量を適切にした上で、取鍋2を受鋼することができる温度にまで高くする、すなわち取鍋2の保温状況を正確に把握するには、保温バーナ1の入熱量(燃焼量)や、耐火物3の蓄熱状態が耐火物3の厚み方向で異なるなど、「取鍋2の耐火物3の蓄熱量」の情報を得ることが必要であることを知見した。
次に、取鍋2の保温状況を正確に把握する方法、すなわち取鍋2を保温する保温バーナ1の制御方法について、説明する。
本発明に係る取鍋2を保温する保温バーナ1の制御方法は、連続鋳造終了時における取鍋2内の溶鋼温度と、連続鋳造終了時の取鍋2の状態に関する情報とを用いて、連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量を算出し、算出された連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量と、連続鋳造終了時から取鍋2を保温開始するまでの時間とを用いて、保温バーナ1にて保温を開始する直前の取鍋2の蓄熱量を算出し、算出された直前の取鍋2の蓄熱量を基に、当該取鍋2の蓄熱量が予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、保温バーナ1の入熱量を決定する方法である。
上記した取鍋2の状態に関する情報は、取鍋2の耐火物3厚み情報及び、取鍋2の温度情報である。取鍋2の耐火物3厚み情報は、取鍋2の使用回数、連続鋳造終了時における取鍋2の鉄皮4の表面温度、取鍋2の重量などである。また、取鍋2の温度情報は、連続鋳造時の溶鋼温度、連続鋳造終了時間からの経過時間などである。
まず、溶鋼10を受鋼した取鍋2における取鍋2の耐火物3の蓄熱量を求め、この耐火物3の蓄熱量を定常の蓄熱状態とする。定常状態の耐火物3の蓄熱量を求めるには、この定常状態での取鍋2の鉄皮4の表面温度と、連続鋳造終了時の溶鋼温度とを求める。そして、求めた取鍋2の鉄皮4の表面温度と連続鋳造終了時の溶鋼温度とを用いて、受鋼した取鍋2における取鍋2の耐火物3の蓄熱量を求める。
なお、鉄皮4の表面温度は、断熱材である耐火物施工後の低い温度を示しており、温度変動が少ないので一定値としてもよい。
そして、連続鋳造終了から保温バーナ1にて保温を開始する直前までの時間から、取鍋2の耐火物3の温度低下量が求まり、伝熱計算により耐火物3の蓄熱量の変化を推定する。さらに、保温バーナ1で取鍋2を保温する場合における耐火物3の蓄熱量の変化も伝熱計算で求める。
そして、保温バーナ1の燃焼量が一定であると仮定して、取鍋2の蓄熱量が所定のレベル(定常の蓄熱状態)になるまでの時間(取鍋2の保温時間)を算出する。
溶鋼10を払い出した後から取鍋2の保温終了までの時間、つまり連続鋳造終了から次の出鋼までの時間が算出され、取鍋2の保温の開始時間が求まる。これにより、保温バーナ1の入熱量(燃料量、時間など)を決定する。
なお、保温バーナ1の入熱量及び耐火物3の蓄熱量は、取鍋2の耐火物3の残存状態(取鍋2の使用回数、取鍋2の重量、耐火物3の厚みなど)により変化するので、取鍋2の耐火物3の残存状態ごとに保温バーナ1の入熱量と耐火物3の蓄熱量を算出する。
上記のようにして保温バーナ1の入熱量を決定し、その決定した保温バーナ1の入熱量を基に取鍋2を保温することで、取鍋2の蓄熱量を所定の量にまで増加させることができると共に、取鍋2全体で均一化することができる。さらに、保温バーナ1の燃料使用量を低減させることができ、取鍋2を保温する際の余剰な加熱をすることを防ぐことができる。
また、取鍋2の蓄熱量を所定の量に調整しているため、受鋼した際の溶鋼温度の時間当たりの低下量が安定する。
[実験例]
以下、本発明に係る取鍋2を保温する保温バーナ1の制御方法の実験例について、図を基に説明する。
図3に示すように、まず、連続鋳造終了時(溶鋼10払い出し直後)における取鍋2内の溶鋼温度Tと、連続鋳造終了時の取鍋2の状態に関する情報とを用いて、取鍋2の耐火物3の温度T(溶鋼10と接する面の耐火物3の温度)を、下式を用いて算出する。
q=λ×(T−T)/t=λ×(T−Ti+1)/t=h×(T−T
ただし、溶鋼温度T=Tとし、熱束qは一定である。
また、連続鋳造終了時の取鍋2の状態に関する情報を以下に示す。
:溶鋼温度
:耐火物の温度 (溶鋼と接する面の耐火物の温度T〜鉄皮の表面温度T
:取鍋内の雰囲気温度
h:炉内ガスと耐火物の熱伝達率
:雰囲気温度
:鉄皮と雰囲気との熱伝達率
λ:耐火物の熱伝導率 (i=1〜n)
Cp:耐火物の比熱 (i=1〜n)
:耐火物の面積(半径方向の熱伝導する断面)(i=1〜n)
:耐火物の厚み (i=1〜n)
ρ:耐火物の密度 (i=1〜n)
:耐火物重量(=A×t×ρ)(i=1〜n)
time_i:計算開始からの時間(i=1〜n)
そして、算出した取鍋2の耐火物3の温度T、つまり取鍋2内の溶鋼温度Tと、連続鋳造終了時の取鍋2の状態に関する情報とを用いて、連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量Q(含熱量)を下式を用いて、算出する。
Q=ΣT×W×Cp(i=1〜n)
次に、図4に示すように、取鍋2内が空の状態における耐火物3の蓄熱量、すなわち空状態の取鍋2の放熱量を算出する。
例えば、取鍋2の蓋5に変形が生じていない場合、取鍋2内は断熱されているので、鉄皮4表面からの放熱量のみを算出し、連続鋳造終了時からの耐火物3の温度の時間変化を算出する。
一方、取鍋2の蓋5の変形が大きく生じている場合、取鍋2の放熱量も大きいので、鉄皮4表面からの放熱量に加えて放射伝熱による取鍋2内からの放熱量も計算する。また、鍋修理などで取鍋2の蓋5を離脱する場合、上記した取鍋2の放熱量に加えて取鍋2内から大気へ放出される放射伝熱量も算出する。
続いて、図5に示すように、取鍋2を保温している際における取鍋2の耐火物3の蓄熱量を算出する。
保温バーナ1の火炎からの放射伝熱量(入熱量)と、取鍋2内の各側面から放出される放射伝熱量を算出する。例えば、耐火物3から取鍋2内に放出される放射伝熱量は、非定常の熱伝導計算で算出する。また、鉄皮4の表面から大気に放出される放射伝熱量は、鉄皮4の表面と大気雰囲気との対流伝熱における放熱計算で算出する。
ここで、図6に示すフローチャートに沿って、上記した取鍋2の放熱量(取鍋2の耐火物3の蓄熱量)を算出する手順を説明する。
まず、時間time_iにおける耐火物3の温度T(time_i)を初期条件とする(i=1〜n)。
そして、取鍋2内の温度Tを設定するために、耐火物3の伝熱量Qinrを、下式にて算出する。
inr=q×A
q=h×(T−T
保温バーナ1の入熱量Qinと算出した耐火物3の伝熱量Qinrとの差を算出し、取鍋2の蓋5に備えられた排出口6から大気へ放出される排ガスの温度Tとする(T=(Qin−Qinr)/(排ガス比熱×排ガス流量))。
算出した排ガス温度Tを、取鍋2内の温度(炉内温度)Tと仮定する(T=T)。そして、取鍋2内の温度Tが所定の値となるまで、上記した取鍋2内の温度Tの計算を繰り返す。
所定の値となった温度Tにおける耐火物3の伝熱量Qinrを算出する
(Qinr=q×A=A×h×(T−T))
また、耐火物3の厚み方向(取鍋2の径外方向)の温度分布による熱伝導Qi+1を、下式にて算出する。
i+1=q×A
i=λ×(T−Ti+1)/ti
また、耐火物3が表面から大気に放出する放熱量Qn−aを、下式にて算出する。
n−a=q×An
q=ha×(T−T
算出した耐火物3の伝熱量Qinrと、熱伝導Qi+1と、放熱量Qn−aとから、一定時間経過後Δtime=time_i+1-time_iの耐火物3の温度Ti+1の時間変化(熱移動量)を、下式にて算出する。
(1)取鍋2内側の耐火物3の温度
1(time_i+1)=
1(time_i)+(Qinr(time_i)−Q1(time_i))×Δtime/ρCpAti
(2)耐火物3の厚み方向中途部近傍の温度
(time_i+1)=
(time_i)+(Qi−1(time_i)−Qi+1(time_i))×Δtime/ρCpAti
(3)鉄皮4(取鍋2外側)の温度
(time_i+1)=
(time_i)+(Qn−1(time_i)−Qn-a(time_i))×Δtime/ρCpAti
上記により、時間time_i+1における耐火物3の温度T(time_i+1)が求まる。
次に、時間time_i+2における耐火物3の温度T(time_i+2)を、時間time_i+1における耐火物3の温度T(time_i+1)により算出する。
次に、時間time_i+2における耐火物3の温度T(time_i+2)を、時間time_i+1における耐火物3の温度T(time_i+1)により算出する。
まず、取鍋2内の温度Tを設定するために、耐火物3の伝熱量Qinrを算出する。算出した耐火物3の伝熱量Qinrと保温バーナ1の入熱量Qinとを用いて、排ガス温度Tを算出する。ここで、算出した排ガス温度Tを、取鍋2内の温度Tとし、温度Tにおける耐火物3の伝熱量Qinrを算出する。
次に、耐火物3の厚み方向(取鍋2の径外方向)の温度分布による熱伝導Qを、下式にて算出する。
i+1=qi+1×A
i+1=λ×(T−Ti+1)/ti
また、耐火物3が表面から大気に放出する放熱量Qn−aを算出する。
算出した耐火物3の伝熱量Qinrと、熱伝導Qi-1、i+1と、放熱量Qn−aとから、一定時間経過後の耐火物3の温度T1(time_i+2)の時間変化(熱移動量)を、下式にて算出する。
(1)取鍋2内側の耐火物3の温度
1(time_i+2)=
1(time_i+1)+(Qinr(time_i+1)−Q2(time_i+1))×Δtime/ρCpAti
(2)耐火物3の厚み方向中途部近傍の温度
(time_i+2)=
(time_i+1)+(Qi−1(time_i+1)−Qi+1(time_i+1))×Δtime/ρCpAti
(3)鉄皮4(取鍋2外側)の温度
(time_i+2)=
(time_i+1)+(Qn−1(time_i+1)−Qn-a(time_i+1))×Δtime/ρCpAti
上記により、時間time_i+2における耐火物3の温度T(time_i+2)が求まる。
以上の計算過程を繰り返すことで、任意の時間time_iにおける耐火物3の温度T(time_i)を求めることができる。
次に、本発明に係る取鍋2を保温する保温バーナ1の制御方法を、図7及び図8に基づいて説明する。
図7は、連続鋳造終了時から取鍋2を保温開始するまでの間の取鍋2の蓄熱量を算出する方法を示したフローチャートである。図8は、連続鋳造開始時から取鍋2を保温開始するまでの間の取鍋2の蓄熱量を算出する方法を示したフローチャートである。
まず、連続鋳造終了時から取鍋2を保温開始するまでの間の取鍋2の蓄熱量を算出する手順について、説明する。
図7の(1)に示すように、まず連続鋳造終了時における取鍋2内の溶鋼温度と、連続鋳造終了時の取鍋2の状態に関する情報とを用いて、連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量を算出する。
ここで、取鍋2の使用回数などから、耐火物3の厚みd(=F(n,鍋重量))を推定する。
例えば、耐火物3は取鍋2内面より溶損するため、取鍋2の最内面層に備えられる耐火物3(ウエアレンガ)の厚みdを、下式にて設定する。
=d−C×n
ただし、
d:初期のレンガ厚み
n:チャージ回数
max:最大チャージ回数
min:最終レンガ厚み
C:定数(=(d−dmin)/nmax
次に、図7の(2)に示すように、算出された連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量と、連続鋳造終了時から取鍋2を保温開始するまでの時間とを用いて、保温バーナ1にて保温を開始する直前の取鍋2の蓄熱量を算出する。
保温を開始する直前の取鍋2の蓄熱量を算出するにあたっては、保温開始直前までに放出される取鍋2の放熱量を算出する。このとき、取鍋2の蓄熱量が鉄皮4表面からの放熱されており、耐火物3の温度は低下している。なお、保温開始前に行われる鍋整備においては、取鍋2の蓋5を取り外して整備するので取鍋2は蓋5のない状態となり、熱が大気に放出されている。それ故、鍋整備における取鍋2の放熱量も算出する。
算出された保温開始直前の取鍋2の蓄熱量を基に、当該取鍋2の蓄熱量が予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、保温バーナ1の入熱量(保温バーナ1の炊き始めの時間など)を決定する。
そして、図7の(3)に示すように、決定した保温バーナ1の入熱量を基に、取鍋2の保温開始を開始する。
続いて、連続鋳造開始時から取鍋2を保温開始するまでの間の取鍋2の蓄熱量を算出する手順について、説明する。
図8に示すように、連続鋳造開始時から取鍋2を保温開始するまでの間の取鍋2の蓄熱量を算出する方法は、図7に示す取鍋2の蓄熱量を算出する方法と略同じである。
すなわち、連続鋳造開始時から取鍋2を保温開始するまでの間の取鍋2の蓄熱量を算出する方法は、連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量を算出し、算出された連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量と、連続鋳造終了後から取鍋2を保温開始する前の時間とを用いて、保温バーナ1にて保温を開始する直前の取鍋2の蓄熱量を算出し、算出された取鍋2の蓄熱量を基に、当該取鍋2の蓄熱量が、予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、保温バーナ1の入熱量を決定する点が同じである。
しかしながら、連続鋳造開始時から取鍋2を保温開始するまでの間の取鍋2の蓄熱量を算出する方法は、連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量を算出する前に、連続鋳造開始時における取鍋2内の溶鋼温度と、連続鋳造開始時の取鍋2の使用状況の情報とを用いて、連続鋳造開始時の取鍋2の蓄熱量を算出している点が大きく異なっている(図8(1)参照)。
連続鋳造開始時の取鍋2の蓄熱量を算出する理由としては、連続鋳造開始から連続鋳造終了までの間、溶鋼10の温度は低下とともに出鋼により取鍋内の溶鋼液面が低下し耐火物上部から放熱が進むため、そのときの取鍋2の蓄熱量も変化しているので、連続鋳造中の取鍋2の蓄熱状態を得るためである。
このように、連続鋳造終了時の取鍋2の蓄熱量と、保温バーナ1にて保温を開始する直前の取鍋2の蓄熱量とに加えて、連続鋳造開始時の取鍋2の蓄熱量を算出することで、より正確に出鋼時に必要とされる取鍋2の蓄熱量を算出することができ、そのために必要な保温バーナ1の入熱量を決定することができる。
ここで、保温バーナ1の入熱量を決定する手順について、図を基に説明する。
図9は、溶鋼10を払い出した後から取鍋2の保温を開始するまでの時間と、保温バーナ1の燃焼量と、耐火物3の蓄熱量との関係を示した図である。
図9に示すように、取鍋2の保温を開始する直前の耐火物3の蓄熱量と、目標とする耐火物3の蓄熱量と、出鋼時間と、予め算出しておいたコークス炉ガス(COG)の流量とにより、耐火物3に目標とする蓄熱量を付与するのに必要とされるCOGの流量を決定する。
図9をみてみると、目標とする耐火物3の蓄熱量は、取鍋2の蓄熱状態が定常とされる、溶鋼10を払い出した後から2時間後の約6800Mcalである。そして、取鍋2の定常の蓄熱状態を保持し続けるために必要なCOGの流量は、200Nm/h程度(短破線)と算出することができる。
一方で、保温バーナ1にて保温を開始する時間を溶鋼10を払い出した後から3時間後にした(保温バーナ1の点火を1時間遅くした)場合、図9から、保温バーナ1の入熱量が300Nm/h(実線)において、溶鋼10を払い出した後から約4.6時間後に、必要な蓄熱量、約6800Mcalが得られる。なお、図9から、溶鋼10を払い出した後から3時間後の取鍋2の蓄熱量は、約6400Mcalと低下していることがわかる。
そして、各保温バーナ1の燃料量を算出する。
溶鋼10を払い出した2時間後から連続燃焼で取鍋2を保温(2.6時間保温)する場合、
200(Nm/h)×2.6(hr)=520(Nm
と算出される。
一方、溶鋼10を払い出した3時間後から取鍋2を保温(1.6時間保温)する場合、
300(Nm/h)×1.6(hr)=480(Nm
と算出される。
この結果から、溶鋼10を払い出した3時間後から取鍋2を保温する場合の保温バーナ1の燃料消費量が、連続燃焼で取鍋2を保温する場合に使用される保温バーナ1の燃料消費量より、約8%削減できることがわかる。
図10は、取鍋2の保温時間と保温バーナ1における燃料の使用比率との関係(保温バーナ1の燃料消費量を削減できる割合)を示した図である。
図10に示すように、取鍋2の保温時間が長くなるにつれて、保温バーナ1の燃料消費量を削減できる効果が大きくなることがわかる。なお、実際の製鋼工程では、出鋼時間が早くなることもあるので、取鍋2の保温を開始する時間は少し余裕を持って設定することになる。また、取鍋2の保温を開始する時間を遅くすると効果が底打ちするので、取鍋2の保温を開始する時間は、例えば6時間程度までにするとよい。
図11に、取鍋2の保温を開始する時間及び、保温バーナ1の入熱量に対する耐火物3の蓄熱量の時間変化と、取鍋2から排出される排ガス温度の時間変化の関係を示す。
図11に示すように、取鍋2の保温を開始する時間を3つのパターンに分けて行った。このとき、保温バーナ1の入熱量は、2つのパターンとした。
図11中の(1)のパターンは、溶鋼10を払い出した2時間後(親鍋終了)から、蓄熱状態が定常とされる(約6800Mcal)取鍋2をそのまま保温し続ける場合である(太実線)。このときの保温バーナ1のCOG流量は、200Nm/hとする。
図11中の(2)のパターンは、溶鋼10を払い出した2時間後の取鍋2を保熱場に移動させて、その保熱場にて1時間待機し、その後蓄熱状態が定常とされるまで取鍋2を保温する場合である(破線)。このときの保温バーナ1のCOG流量は、300Nm/hとする。
図11中の(3)のパターンは、溶鋼10を払い出した2時間後の取鍋2を保熱場に移動させて、その保熱場にて2時間待機し、その後蓄熱状態が定常とされるまで取鍋2を保温する場合である(細実線)。このときの保温バーナ1のCOG流量は、300Nm/hとする。
まず、(1)のパターンと(2)のパターンを比較する。
図11中の(2)のパターンをみてみると、耐火物3の蓄熱量が必要な量(約6800Mcal)に到達した時間(約4.6時間)までの(2)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度は、最初の段階では(1)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度より低く((2)<(1))、その後(1)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度より高く((1)<(2))なっていることがわかる。
そして、最初の段階での取鍋2の排ガス温度の時間積分量について検討してみる。(1)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度と(2)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度の差をとって(2)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度を評価すると、(2)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度の方が、領域aに示す面積分だけ排ガス損失が少ないことがわかる。
一方で、取鍋2の保温が後半の段階になったときの排ガス温度の時間積分量について検討してみる。(1)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度と(2)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度の差をとって(2)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度を評価すると、(2)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度の方が、領域bに示す面積分だけ排ガス損失が大きくなることがわかる。
そして、領域aの面積と領域bの面積を比較すると、領域bの面積の方が領域aの面積より、小さいことがわかる(領域bの面積<領域aの面積)。
以上より、(2)のパターンの方が(1)のパターンより取鍋2からの排ガス損失が小さい、すなわち取鍋2に対する保温バーナ1の入熱が効率的であることがわかる。
次に、(1)のパターンと(3)のパターンを上記と同様に比較する。
図11中の(3)のパターンをみてみると、耐火物3の蓄熱量が(1)のパターンで付与される量に到達した時間(約8時間)までの(3)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度は、最初の段階では(1)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度より低く((2)<(1))、その後(1)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度より高く((1)<(2))なっていることがわかる。
そして、最初の段階での取鍋2の排ガス温度の時間積分量について検討してみる。(1)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度と(3)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度の差をとって(3)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度を評価すると、(3)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度の方が、領域a+領域dに示す面積分だけ排ガス損失が少ないことがわかる。
一方で、取鍋2の保温が後半の段階になったときの排ガス温度の時間積分量について検討してみる。(1)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度と(3)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度の差をとって(3)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度を評価すると、(3)のパターンにおける取鍋2の排ガス温度の方が、領域cに示す面積分だけ排ガス損失が大きくなることがわかる。
そして、領域a+領域dの面積と領域cの面積を比較すると、領域cの面積の方が領域a+領域dの面積より、小さいことがわかる(領域cの面積<領域a+領域dの面積)。
以上より、(3)のパターンの方が(1)のパターンより取鍋2からの排ガス損失が小さい、すなわち取鍋2に対する保温バーナ1の入熱が効率的であることがわかる。
図11をまとめると、取鍋2の保温を開始する時間を適切に決定すると共に、保温バーナ1の入熱量を適切に制御すると、保温バーナ1の燃料消費量などが大幅に削減できることがわかる。
図12に、取鍋2の保温を開始する時間を決定する手順を示す。
図12に示すように、取鍋2の保温を開始する時間tを決定するにあたっては、連続鋳造終了から取鍋2の保温を経て出鋼するまでの時間tと、通常サイクルでの連続鋳造終了から出鋼までの時間tを基に決定する。
その取鍋2の保温を開始する時間tを決定する際の式を、以下に示す。
=((t−t)/c)+t
ただし、
:連続鋳造終了から取鍋の保温を開始するまでの時間(保温開始時間)
:連続鋳造終了から出鋼するまでの時間
:保温不要時における連続鋳造終了から出鋼までの時間(目標蓄熱量となる時間)
c:係数(c>1)
なお、本実施形態では、取鍋2の保温の待機時間が長くなると取鍋2の放熱量が増加し、保温バーナ1の入熱量(取鍋2の蓄熱に必要なCOGガスの流量Fmin×バーナ蓄熱効率)が増加するので、連続鋳造終了から取鍋2を保温開始するまでの時間を最低限の待機時間としている。
しかし、何らかの理由で取鍋2の保温開始が遅れる場合、取鍋2の放熱量が増加するので、取鍋2が昇温する際のCOGガスの流量Fで耐火物3に付与する蓄熱量を補う必要がある。それ故、取鍋2の保温時間が長くなる。
通常、取鍋2の蓄熱に必要なCOGガスの流量Fminは、取鍋2が昇温する際のCOGガスの流量Fより少ないので(Fmin<F)、上記した係数cで取鍋2の保温時間を短くする。
その係数cを下式で算出する。
c=1+(Fmin/F)
ただし、
min:取鍋の蓄熱に必要なCOGガス(コークス炉ガス)の流量
F:取鍋が昇温する際のCOGガスの流量
ここで、係数cを上記の式とした理由を説明する。
保温バーナ1の点火時間、つまり取鍋2の保温開始を遅らせた場合、耐火物3から放出される放熱量は、
COGの流量Fmin×保温バーナ効率×(t−t
である。
また、保温バーナ1を点火した後、取鍋2内が昇温している間の蓄熱量は、
COGの流量F×保温バーナ効率×(t−t
である。
この取鍋2内が昇温している間の蓄熱量が、耐火物3から放出される放熱量と略同じとなる。また、保温バーナ1の効率も略同じである。
以上より、
min×保温バーナ効率×(t−t)=F×保温バーナ効率×(t−t
th=((t−t)/c)+t
上記の2つの式から、
c=1+(Fmin/F)
と算出される。
以上述べたように、本発明の取鍋2を保温する保温バーナ1の制御方法によれば、溶鋼10を払い出した後の取鍋2の蓄熱量と保温直前の取鍋2の蓄熱量とを算出し、算出した取鍋2の蓄熱量を基に、当該取鍋2の蓄熱量が予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、保温バーナ1の入熱量を決定することができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 保温バーナ
2 取鍋
3 耐火物
4 鉄皮
5 蓋
6 排出口
7 注入口
8 転炉
9 連続鋳造設備
10 溶鋼

Claims (2)

  1. 転炉から連続鋳造設備に溶鋼を払い出した後の取鍋を、保温バーナにて加熱して保温する取鍋を保温する保温バーナの制御方法において、
    連続鋳造終了時における前記取鍋内の溶鋼温度と、連続鋳造終了時の前記取鍋の状態に関する情報とを用いて、連続鋳造終了時の前記取鍋の蓄熱量を算出し、
    算出された連続鋳造終了時の前記取鍋の蓄熱量と、連続鋳造終了時から前記取鍋を保温開始するまでの時間とを用いて、前記保温バーナにて保温を開始する直前の前記取鍋の蓄熱量を算出し、
    算出された直前の前記取鍋の蓄熱量を基に、当該取鍋の蓄熱量が予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、前記保温バーナの入熱量を決定する
    ことを特徴とする取鍋を保温する保温バーナの制御方法。
  2. 転炉から連続鋳造設備に溶鋼を払い出した後の取鍋を、保温バーナにて加熱して保温する取鍋を保温する保温バーナの制御方法において、
    連続鋳造開始時における前記取鍋内の溶鋼温度と、連続鋳造開始時の前記取鍋の使用状況の情報とを用いて、連続鋳造開始時の前記取鍋の蓄熱量を算出し、
    算出された連続鋳造開始時の前記取鍋の蓄熱量と、連続鋳造終了時における前記取鍋内の溶鋼温度と、連続鋳造時間とを用いて、連続鋳造終了時の前記取鍋の蓄熱量を算出し、
    算出された連続鋳造終了時の前記取鍋の蓄熱量と、連続鋳造終了後から前記取鍋を保温開始する前の時間とを用いて、前記保温バーナにて保温を開始する直前の前記取鍋の蓄熱量を算出し、
    算出された直前の前記取鍋の蓄熱量を基に、当該取鍋の蓄熱量が、予定されている出鋼時間までに予め設定された目標の蓄熱量となるように、前記保温バーナの入熱量を決定する
    ことを特徴とする取鍋を保温する保温バーナの制御方法。
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