JP2015174063A - 流動層反応器の設計方法、および該設計方法により設計された流動層反応器 - Google Patents

流動層反応器の設計方法、および該設計方法により設計された流動層反応器 Download PDF

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【課題】温度不安定系の流動層反応器において、精密な温度制御を実現する。
【解決手段】複数の温度検出部と、複数系列の冷却用の除熱管とを有し、除熱管に通ずる冷媒量を、調節弁をステップ的に動かすことにより調整し、温度制御する方式の温度不安定系の流動層反応器の設計方法であって、除熱管の除熱機能が、当該除熱管による冷却効果の無駄時間+1次遅れ系の関数で表現でき、かつ、この関数におけるパラメータが除熱管からの距離および除熱管長さに依存することを利用して除熱管の系列数と除熱管の配置パターンを決定する。
【選択図】図7

Description

本発明は、流動層反応器の設計方法、および該設計方法により設計された流動層反応器に関する。
流動層反応器を利用した化学品の合成プロセスは数多くあり、無水マレイン酸、アクリロニトリル、2,6−キシレノール、o−クレゾールなど数多く知られている。例えば、アクリロニトリルを製造するプロセスとしては、プロピレンを原料としてアンモ酸化法によって製造する、いわゆるソハイオ法がよく知られている。このプロピレン原料による従来のアンモ酸化法は、外乱によって流動層反応器の温度が変動しても発熱と除熱がバランスする温度に自動的にもどるという自己制御性をもった反応系であり、このような安定操作点での流動層の温度制御は比較的容易であった(図2参照)。しかし近年開発が進められているプロパンを原料とするアンモ酸化法では、わずかな外乱が入っても低温側あるいは高温側に移行しようとする、いわゆる不安定操作点での運転となる(図3参照、以降では、このようにわずかな外乱の影響により不安定操作点での運転となる系を温度不安定系と呼び、このような系において温度に関する不安定操作点で利用される流動層反応器を温度不安定系の流動層反応器と呼ぶ)。この系は酸化反応であり高温側への移行はすなわち暴走反応となり、触媒が失活するのみならず重大な産業事故を引き起こす可能性もあり、逆に低温側への移行は反応停止、急激な未反応酸素の放出といった安定・安全運転の阻害要因となり精密な温度制御技術なしには工業化が成立しない。特に商業規模の大型流動層では局所的な暴走も許されず、また製品選択率が最大となる温度での運転となるため温度むらが即選択率の低下に結び付くため、経時的および空間的にも温度むらを極小化する必要性が生じる。
ここで、流動層反応器を用いて気相発熱反応を実施する際に、反応器の温度を制御するにあたっては、例えば特許文献1や非特許文献1において開示されているように、流動層内に垂直管群を配置し、これに冷却媒体となる流体を通じることで除熱管として用い、反応熱を回収する方法が最も一般的である。このとき、反応器内に設置された温度検出部で検出された温度に基づいて、反応器温度を制御するための方法として、例えば特許文献2は、少なくとも一つの除熱管には可変速度で冷却媒体を流し、その流量を調節することで温度を制御することのできる流動層反応器及び流動層反応器の温度調節方法を開示している。また、特許文献3では大規模な流動層反応器において複数の温度検出部、及び複数系列の除熱管を有し、有効断面積で20平方メートルを超えない有効断面積範囲毎に温度を制御する方法を開示している。
米国特許第3156538号明細書 国際公開第95/21692号 特開2008−80219号公報
橋本健治 編著、工業反応装置、培風館、1984年2月、pp.168〜177
しかしながら、先に述べたごとく温度不安定系の気相酸化反応系としてさまざまな系がある中で各ケースにおいて温度不安定系の大型流動層反応器の温度制御方法、具体的には温度制御が可能な有効断面上の範囲を見つけだし、精密な制御を実現するには十分ではなく、ケースによらず設計が可能な手法の確立が求められていた。
大規模流動層反応器の温度制御をする方法として、原料供給量を微調整する、原料供給温度を微調整するといった方法が考えられるが、いずれも局所的な温度の上昇・発散には不向きである。これを可能にする方法としては各所に配置させた内挿除熱管の除熱量を個別に微調整する方法があるが、上述のように大きな商業規模スケールの流動層においてどのような配置でどのくらいの除熱量の除熱管を設置すればよいかという設計指針はこれまでにない。
本発明の目的は、温度不安定系の流動層反応器において、精密な温度制御を実現するための流動層反応器の設計方法、および該設計方法により設計された流動層反応器を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、1)冷却用の除熱管自体の応答遅れの定量化 2)除熱管の冷却作用が及ぼす距離の影響の定量化をしたうえで、これらをベースにシミュレーションを行い局所的な温度の発散もなく温度むらを極小化することを可能とする冷却用除熱管とその配置の設計手法と温度制御技術を確立した。
即ち、本発明は、温度不安定系の流動層反応器で該流動層反応器の内部温度を検出する複数の温度検出部と、複数系列の冷却用の除熱管とを有し、前記除熱管に通ずる冷媒量を、調節弁をステップ的に動かすことにより調整し、温度制御する方式の温度不安定系の流動層反応器の設計方法であって、
前記除熱管の除熱機能が、当該除熱管による冷却効果の無駄時間+1次遅れ系の関数で表現でき、かつ、この関数におけるこれら無駄時間と1次遅れ時定数の各パラメータが前記除熱管からの距離および除熱管長さに依存することを利用して前記除熱管の系列数と除熱管の配置パターンを決定する、というものである。
本発明では、除熱管による冷却作用の遅れ方を無駄時間+1次遅れ系で関数化し、かつこれらが除熱管の長さおよび除熱管からの距離に依存するとして所定の数式にしたがったシミュレーションを行い、流動層内の温度調整用の除熱管からもっとも遠い点で温度が発散するか否か判別することを可能としている。
このような流動層反応器の設計方法においては、
前記温度不安定系における前記流動層反応器の内部温度の時間変化を記述する微分方程式を構築し、
その微分方程式に前記除熱管による冷却・制御項を加え、
前記除熱管の種々の配置パターンおよび種々の除熱変化量でシミュレーションを行い、温度が発散しない配置パターンと除熱量変動の組み合わせを導き、前記除熱管の系列数と除熱管の配置パターンを決定することができる。
また、この設計方法により設計される流動層反応器としては、以下に挙げるようなものがある。
・実施する反応がプロパンおよび/またはプロピレンを原料とする気相アンモ酸化反応であり、反応の生成物がアクリロニトリルであることを特徴とする流動層反応器。
・実施する反応が1−ブテン、2−ブテン、1−ブテンまたは2−ブテンを含む混合物を原料とする気相酸化脱水素反応であり、反応の生成物が1,3−ブタジエンであることを特徴とする流動層反応器。
・実施する反応がn−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン、ベンゼンから選ばれる一つ以上を原料とする気相酸化反応であり、反応の生成物が無水マレイン酸であることを特徴とする流動層反応器。
・実施する反応がi−ブテンおよび/またはi−ブタンを原料とする気相アンモ酸化反応であり、反応の生成物がメタクリロニトリルであることを特徴とする流動層反応器。
・実施する反応がo−キシレンおよび/またはナフタレンを原料とする気相酸化反応であり、反応の生成物が無水フタル酸であることを特徴とする流動層反応器。
・実施する反応がフェノールおよびメタノールを原料とする気相酸化反応であり、反応の生成物が2,6−キシレノールおよび/またはo−クレゾールであることを特徴とする流動層反応器。
・実施する反応がメタンおよび/またはメタノールを原料とする気相アンモ酸化反応であり、反応の生成物が青酸(HCN)であることを特徴とする流動層反応器。
・実施する反応がエタン、エテン、エタノールから選ばれる一つ以上を原料とする気相アンモ酸化反応であり、反応の生成物がアセトニトリルであることを特徴とする流動層反応器。
本発明によれば、温度不安定系の流動層反応器において、精密な温度制御を実現することが可能となる。
流動層反応器の構成の一例を示す図である。 プロピレン原料による従来のアンモ酸化法における、反応温度と発熱量・除熱量の関係の一例を示すグラフである。 プロパンを原料とするアンモ酸化法における、反応温度と発熱量・除熱量の関係の一例を示すグラフである。 無駄時間+1次遅れ系について一例を示すグラフである。 冷媒として加温水を使用し、1つの除熱管に冷媒をステップ状に供給あるいは遮断した場合の無駄時間および1次遅れ時定数の除熱管長さおよび距離X依存性の一例を示すグラフである。 除熱管のコイル長さと無駄時間との関係を示すグラフである。 代表距離と1次遅れ時定数・無駄時間との関係の一例を示すグラフである。 実施例1における流動層反応器と除熱管を示す図である。 実施例1における、温度調整用除熱管から最遠点での温度の時間経過を示すグラフである。 比較例1における流動層反応器と除熱管を示す図である。 比較例1における、温度調整用除熱管から最遠点での温度の時間経過を示すグラフである。 温度調整用除熱管の長さとこの除熱管からの距離の組み合わせからなる温度制御可能マップである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係る流動層反応器1の構成例を示す。図1中における符号2は触媒流動層、3は酸素供給管、4は原料供給管、5は反応生成ガス抜き出し管、6は除熱管、7は温度調整用除熱管、8は調節弁、9は温度指示計、10は温度検出部を示す。なお、同じものが2つ設けられているものには、添字aまたはbを付した符号をかっこ書きにて併記している。
本実施形態における流動層反応器1の設計方法は以下のとおりである。
[1]まず、系の温度の時間変化を記述する簡単な微分方程式を構築する。
[2]その微分方程式に温度調節用除熱管7による冷却・制御項を加える。これは、数式上では制御項qc(温度調節用除熱管7による除熱効果)の項を数式に加えることに該当するものであり、その詳細については後述する。
[3]温度調節用除熱管7の除熱機能を無駄時間+1次遅れ系で表現し、かつこれらのパラメータを温度調節用除熱管7からの距離および温度調節用除熱管7の長さの関数として表現する。これは流動層での簡易テスト情報から整理する。
[4]さまざまな温度調節用除熱管7の配置パターンおよびさまざまな除熱変化量でシミュレーションを行い、温度が発散しない配置パターンと除熱量変動の組み合わせを導く。微分方程式を解く方法としては、例えばルンゲクッタギル法がある。
このような手続きを踏むことでこれまでできなかった大規模な温度不安定系流動層の精密温度制御およびそれを達成する温度調節用除熱管7の配置設計ができるようになる。
以下、さらに詳細に記載する。
系の温度変化を記述するモデルは式(1)となる。
MCp(dT/dt)=△q ‥‥(1)
ここでM, Cp, Tおよびtはそれぞれ系内質量、系の比熱、系内温度および時間である。
式(1)における△qは
△q=[(反応発熱量)−(供給ガス顕熱除熱量)−(放熱量)]−(除熱管除熱量)
=[正味発熱量] −(除熱管除熱量) ‥‥(2)
と表され、[正味発熱量]の温度依存性を運転点T[℃]の近傍で直線近似すると、
[正味発熱量]=a・T+C (a, Cは系固有の定数) ‥‥(3)
と表される。除熱量は、加圧水(沸点Tj)による潜熱除熱とすると、
(除熱管除熱量)=UA(T−Tj) ‥‥(4)
と表現できる。ここで、U,Aは除熱管6の総括伝熱係数および伝熱面積である。
今、系の温度変化を運転点T[℃]からの微小なずれδTで追跡しようとすると下記のような簡単な微分方程式で表現できる。
d(δT)/dt=[(a−UA)/(MCp)]・(δT) ‥‥(5)
今、ε=[(a−UA)/(MCp)][単位:1/hr]とおくと、d(δT)/dt=ε・(δT)となり、系のεが正の値で大きければ発散性が強く、εが負であれば温度が自己収れんするというように、系ごとの発散性の違いが定量的に比較できる。εの物理的な意味は、系の温度が突然の降雨等何らかの外乱で1℃ずれたとき、この系は1時間にε℃の速さで温度が発散していくことを意味する。さらにこの式に除熱コントロールの項qcを加えれば、下記式のように様々な除熱制御方法に対し系の温度変化が手に取るように再現できる。別言すれば、これは、上述した式 d(δT)/dt=ε・(δT) が全く制御をしない反応器の温度変化を表すのに対し、下記式(6)のように温度調整用除熱管7の除熱量を積極的に変化させる数式項qcを付け加えるということを意味する。
d(δT)/dt=ε・(δT)+qc/(MCp) ‥‥(6)
εの値は系ごとに異なり、例えばプロピレン原料アクリロニトリルプロセスの場合には-7.9となり温度は発熱量と除熱量が釣り合う温度に自然に収束する。しかしプロパン法アクリロニトリルプロセスでは+7.6となり外乱により温度のむらが発生すると、温度が発散していく。
次に、制御項qcのモデルは、発明者の様々な実験結果から、図4のごとく無駄時間+1次遅れ系で表現できることが判明した。この際、特開2011-225481号公報に記載されているように、温度調節用除熱管7に備え付けられた調節弁8は、反応器内に設置された少なくとも1つの温度計を参照して、設定した目標温度となるよう自動制御するが、その調節弁8の開閉方法としては弁の開度を連続的に滑らかに動かすか、又は、全開→全閉→全開→・・・のようにステップ的に動かす方法がとられる。温度不安定系の場合、応答をより速く行う目的のためにはステップ的に稼働させることがより好ましい。より具体的には流動層内の温度計で測定した反応温度と目標温度とのズレを検知し、該温度ズレを極小化する方向に調節弁8を自動開閉させる。弁の開度を連続的に滑らかに動かす調節弁8は、弁を徐々に開くか、又は閉じて、冷媒流量を調整する。一方、ステップ的に動かす調節弁8では、開とする設定温度及び閉とする設定温度を予め定めておき、弁の開閉を行うといった方法がとられる。ここで冷媒の種類としては加温水であっても、蒸気であってもよい。温度調整用除熱管7の除熱能力が小さすぎると温度制御が不可能となり温度が発散するが、逆に大きすぎると温度ムラがかえって大きくなり精密制御とはならず系によって適切な除熱能力がある。
続いて、本実施形態の設計方法における流れやその作用等について以下に説明する。
まず、温度調節用除熱管7による冷却効果の無駄時間と1次遅れ時定数の情報を取得する。これはプロピレン原料アクリロニトリルプロセスの既存の大型流動層でステップ応答テストをすることで取得できる。この系には、様々な長さの除熱管6が具備されており、これらのうち1つの除熱管6について冷媒をステップ状に供給、あるいは遮断し、この除熱管6からの距離X[m]だけ離れた位置の温度変化を読み取ることで無駄時間および1次遅れ時定数の除熱管長さおよび距離X依存性が求められる。またこの系は、自己収れん系であり、上記のような冷媒のステップ状の変化を与えても発散することは無いので、非常に簡便に情報を得ることができる。図5は冷媒として加温水を使用した場合の一例である。除熱管6の冷媒をカット後すぐには温度が上がらないがこれは除熱管内部の残留加圧水が蒸発しきるまで冷却機能が持続してしまうためである。これが無駄時間となる。この無駄時間は図6のごとく冷却除熱管6が長いほど長く、残留水保有量の違いであると推定できる。つまり温度調節用除熱管7はその径が同じであるならば短いほうがよい。一方、図7のごとく1次遅れ時定数は除熱管6からの距離が大きいほど増大し応答性が悪くなる傾向がある。これは流動層での粒子の横方向へ運動範囲が限定されているため、これが横方向への有効熱伝導度の相違となって表れたものと考えられる。つまりできるだけ温度調整用除熱管7はたくさん散りばめた方がよい。しかし、あまりに数が多いと反応器の側壁に膨大な数のノズルを設置する必要があり物理的に温度調節用除熱管7を設置できないか、あるいはそうでなくとも膨大な数の調整弁が必要になり設備費の面からも好ましくない。このように温度調節用除熱管7による冷却作用の遅れ方を無駄時間+1次遅れ系で関数化し、かつこれらが除熱管7の長さおよび除熱管7からの距離に依存するとして上記式(6)にしたがってシミュレーションを行うと、流動層内の温度調整用の温度調節用除熱管7からもっとも遠い点で温度が発散するか否かが判別できる。
なお、図7中の「代表距離」についてここで言及しておく。通常、除熱管6はU字状の管が複数連なり1本につながっている。この1本に連なったU字状のコイル群と温度検出点との距離Xとして、「コイルと温度検出点との距離がもっとも短くなる長さ」を、本明細書では「代表距離」と称している。
(実施例1)
直径が7.8mの流動層反応器1内に、長さ10.4mの温度調整用除熱管7を7セット(合計長さ10.4×7=72.8m)設置した(図8参照)。7セットは互いの除熱管7の制御エリアができるだけオーバーラップしないよう効率よく配置すると、温度調整用除熱管7からもっとも遠い位置では距離X=1.95mとなる。長さ10.4mかつX=1.95mでの無駄時間および1次遅れ時定数を図6および図7より読みとり、式(6)にもとづきシミュレーションを行った。温度調整用除熱管7の除熱量として総除熱量の2%を与えた場合について計算をおこなったところ図9のごとく、高温側に発散していくこともなければ、低温側に発散することもなく温度として±0.5℃の範囲に収めることができていることから、当該温度調整用除熱管7から最遠点でも温度制御が可能であることが判った。
(比較例1)
比較例として、図10のごとく温度調整用の除熱管長さが72.8mで1セットの除熱管7を、流動層反応器1の中心に設置した。これは実施例1と温度調整用除熱管7の合計長さが同一であり除熱能力としては同一のものである。温度調整用除熱管7からもっとも遠い位置での距離X=3.9mとなる。長さ72.8mかつX=3.9mでの無駄時間および1次遅れ時定数を図6および図7より読みとり、式(6)にもとづきシミュレーションを行うと図11のごとく最遠点では、除熱の応答が遅く温度制御できないことが判った。
このようなケーススタディ(実施例1、比較例1)を行うことで、図12のごとく温度調整用除熱管7の長さとこの除熱管からの距離の組み合わせとして温度制御可能マップを作成することができることが確認できた。より具体的に説明すると以下のとおりである。すなわち、図12に示す実施例1は、1本が1つのU字管からなる短い除熱管を7か所にちりばめた場合であり(1U 7set)、温度調節用除熱管7からもっとも遠い点までの距離は1.95mとなった。この条件では温度が発散することなく制御することができることがわかった。一方、図12に示す比較例1は、1本が7つのU字管からなる長い除熱管を1か所に設置した場合であり(7U 1set)、温度調節用除熱管7からもっとも遠い点までの距離は3.9mとなった。この条件では温度が発散してしまい制御することができないことがわかった。
つまり、本発明によれば、大規模な温度不安定系流動層反応器1であっても、精密に温度制御可能な温度調整用除熱管7の長さおよび設置系列数および配置について設計できるようになることがわかった。結果、種々の合成樹脂・合成繊維の製造に有用なモノマーを、工業的に製造する際に広く用いられている流動層反応器1の温度を精細に制御することが可能となり、触媒が最高収率となる温度領域で、長期間安定に運転することが可能となることが確認できた。
本発明は、複数の温度検出部と、複数系列の冷却用の除熱管とを有し、除熱管に通ずる冷媒量を、調節弁をステップ的に動かすことにより調整し、温度制御する方式の温度不安定系の流動層反応器の設計に適用して好適である。
1 流動層反応器
2 触媒流動層
3 酸素供給管
4 原料供給管
5 反応生成ガス抜き出し管
6 除熱管
7 温度調整用除熱管
8 調節弁
9 温度指示計
10 温度検出部

Claims (10)

  1. 温度不安定系の流動層反応器で該流動層反応器の内部温度を検出する複数の温度検出部と、複数系列の冷却用の除熱管とを有し、前記除熱管に通ずる冷媒量を、調節弁をステップ的に動かすことにより調整し、温度制御する方式の温度不安定系の流動層反応器の設計方法であって、
    前記除熱管の除熱機能が、当該除熱管による冷却効果の無駄時間+1次遅れ系の関数で表現でき、かつ、この関数におけるこれら無駄時間と1次遅れ時定数の各パラメータが前記除熱管からの距離および除熱管長さに依存することを利用して前記除熱管の系列数と除熱管の配置パターンを決定する、流動層反応器の設計方法。
  2. 前記温度不安定系における前記流動層反応器の内部温度の時間変化を記述する微分方程式を構築し、
    その微分方程式に前記除熱管による冷却・制御項を加え、
    前記除熱管の種々の配置パターンおよび種々の除熱変化量でシミュレーションを行い、温度が発散しない配置パターンと除熱量変動の組み合わせを導き、前記除熱管の系列数と除熱管の配置パターンを決定する、請求項1に記載の流動層反応器の設計方法。
  3. 実施する反応がプロパンおよび/またはプロピレンを原料とする気相アンモ酸化反応であり、反応の生成物がアクリロニトリルであることを特徴とする請求項1または2に記載の設計方法により設計された流動層反応器。
  4. 実施する反応が1−ブテン、2−ブテン、1−ブテンまたは2−ブテンを含む混合物を原料とする気相酸化脱水素反応であり、反応の生成物が1,3−ブタジエンであることを特徴とする請求項1または2に記載の設計方法により設計された流動層反応器。
  5. 実施する反応がn−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン、ベンゼンから選ばれる一つ以上を原料とする気相酸化反応であり、反応の生成物が無水マレイン酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の設計方法により設計された流動層反応器。
  6. 実施する反応がi−ブテンおよび/またはi−ブタンを原料とする気相アンモ酸化反応であり、反応の生成物がメタクリロニトリルであることを特徴とする請求項1または2に記載の設計方法により設計された流動層反応器。
  7. 実施する反応がo−キシレンおよび/またはナフタレンを原料とする気相酸化反応であり、反応の生成物が無水フタル酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の設計方法により設計された流動層反応器。
  8. 実施する反応がフェノールおよびメタノールを原料とする気相酸化反応であり、反応の生成物が2,6−キシレノールおよび/またはo−クレゾールであることを特徴とする請求項1または2に記載の設計方法により設計された流動層反応器。
  9. 実施する反応がメタンおよび/またはメタノールを原料とする気相アンモ酸化反応であり、反応の生成物が青酸(HCN)であることを特徴とする請求項1または2に記載の設計方法により設計された流動層反応器。
  10. 実施する反応がエタン、エテン、エタノールから選ばれる一つ以上を原料とする気相アンモ酸化反応であり、反応の生成物がアセトニトリルであることを特徴とする請求項1または2に記載の設計方法により設計された流動層反応器。
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