JP6387480B1 - 反応生成ガスの製造方法及び流動層気相反応装置 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕
流動層気相反応装置を用いて原料ガスから反応生成ガスを製造する方法であって、
前記流動層気相反応装置が、触媒が流動可能に収納された反応器と、前記反応器に前記原料ガスを供給する第一の供給管と、前記反応器から前記反応生成ガスを排出する流出管と、前記反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、前記反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、前記流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、を有し、
前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
反応生成ガスの製造方法。
(a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す前記圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
(c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
〔2〕
前記流動層気相反応装置が、前記第一の供給管に設置された冗長な複数の原料ガス流量計FIをさらに有し、
前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第七から第八の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(d1)から(d2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
〔1〕に記載の製造方法。
(d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
(d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
〔3〕
前記流動層気相反応装置が、前記反応器に酸素含有ガスを供給する第二の供給管と、前記第二の供給管に設置された冗長な複数の酸素含有ガス流量計FIと、をさらに有し、
前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第九から第十の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(e1)から(e2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管、又は、前記第一の供給管及び前記第二の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
(e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
(e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
〔4〕
前記原料ガスが、アルカン及び/又はアルケンを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔5〕
前記アルカンが、プロパン及び/又はイソブタンである、〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕
前記アルケンが、プロピレン及び/又はイソブチレンである、〔4〕に記載の製造方法。
〔7〕
前記気相反応が、アンモ酸化反応である、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔8〕
触媒が流動可能に収納された反応器と、前記反応器に原料ガスを供給する第一の供給管と、前記反応器から反応生成ガスを排出する流出管と、前記反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、前記反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、前記流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、緊急反応停止制御部と、を有し、
下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
流動層気相反応装置。
(a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す前記圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
(c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
〔9〕
前記流動層気相反応装置が、前記第一の供給管に設置された冗長な複数の原料ガス流量計FIをさらに有し、
下記第七から第八の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(d1)から(d2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
〔8〕に記載の流動層気相反応装置。
(d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
(d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
〔10〕
前記流動層気相反応装置が、前記反応器に酸素含有ガスを供給する第二の供給管と、前記第二の供給管に設置された冗長な複数の酸素含有ガス流量計FIと、をさらに有し、
下記第九から第十の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(e1)から(e2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管、又は、前記第一の供給管及び前記第二の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
〔8〕又は〔9〕に記載の流動層気相反応装置。
(e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
(e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
本実施形態の流動層気相反応装置は、触媒が流動可能に収納された反応器と、反応器に原料ガスを供給する第一の供給管と、反応器から反応生成ガスを排出する流出管と、反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、緊急反応停止制御部と、を有する。
次に、誤作動及び不作動のリスクレベルを低減する観点から、上記異常検知に用いる計器、運転条件等の階層分けについて説明する。以下の記載及び図6に示す通り、火災、爆発、破壊又は設備に致命的な損害(例えば、触媒の失活など)を与える事故に直接つながる異常現象を検知する計器及び運転管理の観点から重要な計器は全て異常検知用の計器とすることができる。
反応器内の温度が反応器の設計温度を超過し、なおも上昇すると反応器の溶損(破壊)事故に至る。一方で、反応器内の温度が低下する場合は、反応器1に供給される原料ガスや酸素含有ガスのうち未反応物が増え、排出口から流出する反応生成ガスCや、反応器1内部のガスが爆発混合気を作りやすくなる傾向にある。爆発混合気は爆発事故につながる恐れがあるため、反応器内の温度は重要な運転管理値である。また、温度高低により、流動層触媒が過酸化又は過還元するなど触媒へ悪影響を及ぼす温度が規定される場合もある。したがって、反応器内の温度については所定の上限値及び下限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定される。図6において、太線で示す。
反応器内の圧力が反応器の設計圧力を超過し、なおも上昇すると反応器の破壊に至る。一方で、反応器内の圧力の低下は、反応へ何らかの影響を及ぼすかもしれないが、直接的に事故に結びつくことは少ない。したがって、反応器内の圧力については所定の上限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定される。
原料ガス流量計は、第1の供給管に設置することができる。原料ガス流量が増加すると、後述する原料ガス流量/酸素含有ガス流量にも変化が生じる。原料ガス流量が増加すると反応量が多くなるため反応発熱熱が増加し、反応器温度が上昇する。冷却装置で対応できれば反応器温度は制御できるが、急激な増加などで対応が不十分な場合、反応器温度がなおも上昇し、反応器の溶損(破壊)事故に至る。原料ガス流量の増加により未反応原料ガスが異常増加する場合としては、例えば、原料ガスの急激な増加、原料のアンバランスにより反応する相手がいない場合、流動層触媒が増加ガス量に対して不足している場合、ガスの片流れ等で未反応原料ガスが増加する場合などが考えられる。これらの場合、反応器下流機器、特に廃ガス焼却設備における異常燃焼や爆発の危険性が生じる。また、未反応原料ガスの変化は、後述する反応生成ガス組成分析でも検知することができる。
酸素含有ガス流量が増加すると、可燃性ガスである原料ガス及び生成ガスと酸素から爆発混合気を形成し、爆発に至る。一方で、酸素含有ガス流量が減少すると、原料ガスが十分に反応できず、未反応の原料ガスが増加する。これらの現象は、廃ガス焼却装置等の反応器下流機器で異常燃焼、爆発に至る懸念がある。酸素含有ガス流量の変化は、原料ガス流量/酸素含有ガス流量及び反応生成ガス組成分析値にも変化を及ぼす。酸素含有ガス流量の異常は、直接事故には結びつかないが、原料ガスの場合と同様に、選択される必要のある測定値として扱われるのが妥当である。したがって、酸素含有ガス流量については所定の上限値及び下限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
酸素含有ガス流量及び原料ガス流量で代用できるが、酸素含有ガス流量/原料ガスのモニタリングをさらに行ってもよい。酸素含有ガス流量/原料ガスは、2つの計器からの演算値であるので、分散制御システム(DCS)を使わない場合、別途、演算をするシステム、例えば安全計装などが必要となる。図6において、細線で示す。
反応生成ガスは、生成ガス、未反応原料ガスから成り、酸化反応であれば、さらに酸素や、場合に応じて窒素等が加わる。通常運転において、反応生成ガス中の酸素濃度は、爆発防止の観点から限界酸素濃度未満に管理されている。さらに、触媒が還元雰囲気下で劣化するような場合は、触媒が還元劣化しない酸素濃度以上で管理されている。しかしながら、反応場に何らかの異常が発生した場合には、反応生成ガス組成が変化する。このような場合については、反応場における異常の仔細について不明であったとしても、反応生成ガスの組成に異常が発生しているか否かを監視できていれば異常の発生を知ることができる。例えば、気層接触反応が酸化反応であれば、反応生成ガスに含まれる酸素濃度を必須の測定対象とする。酸素濃度を必須の測定対象とするのは、可燃物があっても酸素がなければ爆発を生じないので、爆発の防止の観点から重要であるからである。また、酸化反応以外であれば、原料ガス濃度及び/又は生成ガス濃度を測定する。したがって、反応生成ガス分析については所定の上限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定される。
正確さ向上の点から、冷却コイルの冷媒流量のモニタリングをさらに行ってもよい。冷却コイル冷媒流量が変動すると反応温度に影響を及ぼす。冷却コイルに通ずる冷媒としては、多くは飽和温度の水及び/又は蒸気が用いられる。冷却コイルに通じた飽和温度の水は、反応で発生した熱を吸収してその一部(蒸発率5〜30%)が蒸発する。飽和温度の水の流量が増えた場合でも、このタイプの冷却コイルの除熱量はほとんど変化がない。冷媒が蒸気の場合、蒸気流量が増加すると除熱量は増加する傾向となるが、使用できる蒸気流量の上限に制限があること及び/又は蒸気を用いる冷却コイル数が比較的少ないことから反応温度に及ぼす影響は少ない。一方、冷媒流量が減少する場合、反応熱を除去できなくなり、反応温度が上昇する。すなわち、冷却コイル冷媒流量の減少は、結果として反応器温度高をもたらすこと、冷却コイル流量の変更は一般的には行われないことを考慮する。したがって、冷却コイル冷媒流量については所定の上限値及び下限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
流動層触媒量のモニタリングをさらに行ってもよい。正常運転中に流動層触媒が増加することは想定されない。しかしながら、何らかの原因、例えばサイクロンの不調で流動層触媒が捕捉できず、流動層触媒量が減少する場合においては、反応が進まず未反応物が増加する可能性がある。このような場合には、反応生成ガス中の原料ガス濃度が上昇するか、酸化反応の場合は酸素濃度が上昇することとなる。そのため、触媒量が減少する場合には、上述した反応生成ガス組成の分析により代替的に検知できる。また、触媒量の減少は、反応器内の温度の低下としても代替的に検知することが可能である。さらに、流動層触媒量は、複数の圧力計等の計器から間接的に算出することもできる。このように、流動層触媒量については、既に述べた他の計器によって代替的な検知が可能である。したがって、上記のとおり、費用面や実現性、又は、誤った緊急停止を予め防ぐ観点からは、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されなくともよいし、これらが担保されるのであれば、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
反応生成ガス配管のバルブ閉止の観測をさらに行ってもよい。反応器から流出する反応生成ガスを移送するための配管に取り付けられたバルブが何らかの原因で閉止方向に作動した場合、反応器の圧力が上昇し、反応器の破壊に至る可能性がある。そのため、バルブの閉止は、反応器圧力が高いこと等から圧力計により代替的に検知できる。このように、反応生成ガス配管のバルブ閉止については、既に述べた他の計器によって代替的な検知が可能である。したがって、上記のとおり、費用面や実現性、又は、誤った緊急停止を予め防ぐ観点からは、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されなくともよいし、これらが担保されるのであれば、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
原料ガス蒸発器の運転異常の観測をさらに行ってもよい。原料ガス蒸発器の運転は、熱媒の流量及び温度、原料ガス蒸発器内の原料液位、原料ガス蒸発器内の圧力等に影響を受け、原料ガス流量に影響が波及する。そのため、原料ガス蒸発器の運転異常は、原料ガス流量で代替的に検知できる。また、原料ガス蒸発器の運転に影響を及ぼす各条件は、反応器運転には直接的には影響を与え難い傾向にある。このように、原料ガス蒸発器の運転条件・状態に関する異常検知は、既に述べた他の計器によって代替的な検知が可能である。したがって、上記のとおり、費用面や実現性、又は、誤った緊急停止を予め防ぐ観点からは、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されなくともよいし、これらが担保されるのであれば、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
空気圧縮機の運転異常の観測をさらに行ってもよい。空気圧縮機の運転は、圧縮機の駆動源である蒸気又は電気の供給状況、空気供給先である反応器の圧力の影響を受け、酸素含有ガス流量に影響が波及する。そのため、空気圧縮機の運転異常は、酸素含有ガス流量で代替的に検知できる。このように、空気圧縮機の運転条件・状態に関する異常検知は、既に述べた他の計器によって代替的な検知が可能である。したがって、上記のとおり、費用面や実現性、又は、誤った緊急停止を予め防ぐ観点からは、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されなくともよいし、これらが担保されるのであれば、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
本実施形態においては、複数の温度計TI、圧力計PI、及び反応生成ガス分析器DIについて多数決選定方式を適用して得られた値が所定の閾値を超過する場合において、緊急反応停止制御部が、少なくとも第一の供給管を遮断することにより流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる。具体的には、触媒の存在下で原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる。
(a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
(c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
(d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
(e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
(e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
状態(a1)は、反応器温度の上限の閾値を定める条件であり、反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とする。また、状態(a2)は、反応器温度の下限の閾値を定める条件であり、反応温度低下により触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とする。
状態(b)は、反応器圧力の上限の閾値を定める条件であり、反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とする。また、上記のとおり、反応器圧力の下限の閾値については特に制限されない。
状態(c1)は、爆発防止の観点から反応生成ガスの酸素濃度の上限の閾値を定める条件であり、爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とする。また、状態(c2)は、触媒劣化防止の観点から反応生成ガスの酸素濃度の下限の閾値を定める条件であり、触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とする。さらに、状態(c3)は、廃ガス焼却装置での処理能力の観点から反応生成ガス中の原料ガス濃度の上限の閾値を定める条件であり、原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とする。なお、ここで、「原料ガス濃度の設計値」とは、反応器に供給した原料ガスの0.5〜10%の値をいう。通常、反応器では原料ガスの転化率は100%ではなく、上記原料ガス濃度の設計値に相当する原料ガスが未反応の状態で残存する。反応器において、何らかの原因で原料ガスの転化率が下がる場合、原料ガスを焼却処理する廃ガス焼却装置には、過剰な原料ガスが供給されることになる。そうすると原料ガス処理過多となり、廃ガス焼却装置が暴走する恐れがある。
状態(d1)は、原料ガス流量の上限の閾値を定める条件であり、原料ガス供給システムの異常による流量増加を検知する観点、及び、異常現象につながる流量増加を検知する観点から決められる。しかしながら、原料ガス流量の変化が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響を定量的に推定することは諸条件の前提が必要となり、流量値の特定は実質的に困難な場合が多い。よって、単純に原料ガス流量のみが増加した場合の影響を計算で求め、流量値を決める。具体的には、(1)原料ガス流量が増えると、反応器温度が上昇かつ酸素消費量が増え、酸素濃度が低下する。低酸素雰囲気における触媒の還元による失活を異常現象として想定すると、触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値が計算できる。(2)原料ガス流量が増えると、反応器温度が上昇する。反応器の溶損を異常現象として想定すると、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値が計算できる。(3)原料ガス流量が増えると、反応器温度が上昇する。高反応温度雰囲気における触媒の劣化を異常現象として想定すると、触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値が計算できる。以上(1)〜(3)で求めた想定原料ガス流量値のうち最小値を採用し、状態(d1)においては、当該最小値の85〜100%を第七の基準値とする。
状態(e1)は、酸素含有ガス流量の上限を定める条件であり、酸素含有ガス供給システムの異常による流量増加を検知する観点、及び、異常現象につながる流量増加を検知する観点から決められる。しかしながら、酸素含有ガス流量の変化が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響を定量的に推定することは諸条件の前提が必要となり、流量値の特定は実質的に困難な場合が多い。よって、単純に酸素含有ガス流量のみが増加した場合の影響を計算で求め、流量値を決める。具体的には、酸素含有ガス流量が増えると、酸素濃度が上昇し、爆発混合気を形成し、爆発に至る。爆発混合気形成を異常現象として想定すると、流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値が計算できる。状態(e1)においては、流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とする。
また、反応器下流で生じる別の異常現象抑制の観点としては、酸素含有ガス流量が減ると、原料ガスの一部は、酸素と反応器内で反応できず未反応となって、後工程の廃ガス焼却装置で焼却される場合を考えることができる。廃ガス焼却装置の焼却能力及び燃焼生成ガスの処理の観点から燃焼可能な可燃性ガス量が定められるので、燃焼可能な可燃性ガス量の100〜120%を基準として併用することもできるとする。
異常を検知する計器のどれかが異常を検知した場合、反応器は停止方向に操作される。反応を停止させる観点から、反応器への供給ガスは全て遮断する。すなわち、原料ガス及び酸素含有ガスの反応器への供給を止める。ガスの遮断は、流量を制御するコントロールバルブ(CV)の閉止に加え、遮断弁を設備してこれを閉止させることが好ましい。CVからの漏れを想定し、漏れを防止する観点から遮断弁を設置し、二重化しておくことが好ましいからである。反応器から流出するガスの行先は確保し、反応器が加圧し、破壊することを防止する。通常は、反応器から流出するガスは、反応器→急冷塔→吸収塔→廃ガス焼却施設→大気の順に流れるが、緊急停止時は、遮断弁を自動で作動させ、反応器→急冷塔→廃ガス焼却設備→大気とする。吸収塔につながないのは、反応器が複数基あり、吸収塔が共用である場合、正常な反応生成ガスがつながれている吸収塔に非定常時のガスを入れないためである。反応器内のガスの不活性ガスによるパージは必須ではないが、流動層触媒を高温かつ反応生成ガス雰囲気下における性能劣化を防止する観点で、不活性ガスによる反応生成ガスの追い出しを行っても良い。不活性ガスによる反応器内のガスをパージしない場合においては、停止後、反応器温度が低下するので、反応器の負圧対策として不活性ガスを負圧にならないよう適量流すのが良い。不活性ガスは、窒素の使用が好ましい。
本実施形態の流動層気相反応装置を用いて行う流動層気相反応としては、特に限定されないが、例えば、酸化反応、アンモ酸化反応、アルキル化反応が挙げられる。また、気相反応は発熱反応であっても吸熱反応であってもよいが、本実施形態の緊急停止の必要性の観点から発熱反応が好ましい。
上記表1に記載の条件下で原料ガス流量及び空気流量は保持したまま、冷却コイルの冷媒喪失を想定した反応温度のシミュレーションを行った。冷却コイルの冷媒喪失時点を0minとして、冷却コイルの冷媒喪失からの反応器内の温度変化(実線)を図12に示す。冗長な複数の温度計TIにより測定される反応器内の温度が500℃(表1の反応温度の高基準値(第一の基準値))となり状態(a1)に達すると、緊急停止が作動して反応器への原料ガス及び空気の供給が遮断された。その結果、反応温度は点線のように降温した。
上記表1に記載の条件下でプロピレンの供給減少を想定したシミュレーションを行った。プロピレン流量の減少開始時点を0minとして、プロピレン流量が1分当たり1%ずつ減少するケース(実線)と同5%ずつ減少するケース(破線)の反応温度の推移を図13に示す。冗長な複数の温度計TIにより測定される反応器内の温度が410℃(表1の反応温度の低基準値(第二の基準値))となり状態(a2)に達すると、緊急停止が作動して反応器への原料ガス及び空気の供給が遮断された。その結果、爆発混合気の形成が解消されたことが確認された。
上記表1に記載の条件下で急冷塔出口の弁が閉止され、反応生成ガスが反応器から排出されないことを想定したシミュレーションを行った。急冷塔出口の弁の閉止時点を0secとして、急冷塔出口の弁の閉止からの反応器内の圧力変化(実線)を図14に示す。冗長な複数の圧力計PIにより測定される反応器内の圧力が1.5kg/cm2G(表1の反応器圧力の高基準値(第三の基準値))となり状態(b)に達すると、緊急停止が作動して反応器への原料ガス及び空気の供給が遮断され、ベント弁が開放された。その結果、反応器圧力は点線のように降下した。
上記表1に記載の条件下で空気供給の増加を想定したシミュレーションを行った。原料空気流量の増加開始時点を0minとして、空気流量が1分当たり5%ずつ増加するケース(実線)と同10%ずつ増加するケース(破線)の酸素濃度の推移を図15に示す。冗長な複数の反応生成ガス分析器DIにより測定される酸素濃度が7%(表1の酸素濃度の高基準値(第四の基準値))となり状態(c1)に達すると、緊急停止が作動して反応器への原料ガス及び空気の供給が遮断された。その結果、酸素濃度は一点鎖線のように降下した。
反応温度の高基準値を445℃(閾値の89%)とした以外は、実施例1と同様のシミュレーションを行った。その結果、正常運転の範囲ではあるものの、反応工程における反応温度は上下動(ゆらぎ)により445℃に達することがあったため、反応器の緊急停止が誤って作動された。
反応温度の高基準値を510℃(閾値の102%)とした以外は、実施例1と同様のシミュレーションを行った。その結果、反応器の緊急停止が作動される前に、反応器の材質への悪影響が懸念された。
反応温度の低基準値を350℃(閾値の97%)とした以外は、実施例2と同様のシミュレーションを行った。その結果、反応ガスが爆発混合気を形成し、反応器下流機器における火災、爆発現象の発生が懸念された。
反応温度の低基準値を435℃(閾値の121%)とした以外は、実施例2と同様のシミュレーションを行った。その結果、正常運転の範囲ではあるものの、反応工程における反応温度は上下動(ゆらぎ)により435℃に達することがあったため、反応器の緊急停止が誤って作動された。
反応器圧力の高基準値を1.3kg/cm2G(閾値の65%)とした以外は、実施例3と同様のシミュレーションを行った。その結果、正常運転の範囲ではあるものの、実機運転のスタートアップ及び/又はシャットダウン操作時に反応器圧力が1.3kg/cm2Gに近接することがあったため、反応器の緊急停止が誤って作動された。
反応器圧力の高基準値を1.8kg/cm2G(閾値の90%)とした以外は、実施例3と同様のシミュレーションを行った。その結果、緊急停止による降圧が遅れると2.0kg/cm2G(反応器の設計圧力)に近接する可能性があることがわかった。
酸素濃度の高基準値を4%(閾値の33%)とした以外は、実施例4と同様のシミュレーションを行った。その結果、正常運転の範囲ではあるものの、実機運転のスタートアップ及び/又はシャットダウン操作時において酸素濃度が4%に近接する場合があり、反応器の緊急停止が誤って作動された。
酸素濃度の高基準値を13%(閾値の108%)とした以外は、実施例4と同様のシミュレーションを行った。その結果、緊急停止が作動される前に限界酸素濃度を超えており、火災、爆発の可能性が高い状態であることがわかった。
2 酸素含有ガス導入管
3 酸素含有ガス分散板
4 原料ガス導入管
5 原料ガス分散管
6 冷却コイル
7 サイクロン
8 流出管
9a 濃厚層
9b 希薄層
A 酸素含有ガス
B 原料ガス
C 反応生成ガス
D 別の原料ガス
PI 圧力指示計
TI 温度指示計
FI 流量指示計
DI 反応生成ガス分析器
Claims (10)
- 流動層気相反応装置を用いて原料ガスから反応生成ガスを製造する方法であって、
前記流動層気相反応装置が、触媒が流動可能に収納された反応器と、前記反応器に前記原料ガスを供給する第一の供給管と、前記反応器から前記反応生成ガスを排出する流出管と、前記反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、前記反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、前記流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、を有し、
前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
反応生成ガスの製造方法。
(a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す前記圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
(c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態 - 前記流動層気相反応装置が、前記第一の供給管に設置された冗長な複数の原料ガス流量計FIをさらに有し、
前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第七から第八の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(d1)から(d2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
請求項1に記載の製造方法。
(d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
(d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合 - 前記流動層気相反応装置が、前記反応器に酸素含有ガスを供給する第二の供給管と、前記第二の供給管に設置された冗長な複数の酸素含有ガス流量計FIと、をさらに有し、
前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第九から第十の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(e1)から(e2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管、又は、前記第一の供給管及び前記第二の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
請求項1又は2に記載の製造方法。
(e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
(e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合 - 前記原料ガスが、アルカン及び/又はアルケンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記アルカンが、プロパン及び/又はイソブタンである、請求項4に記載の製造方法。
- 前記アルケンが、プロピレン及び/又はイソブチレンである、請求項4に記載の製造方法。
- 前記気相反応が、アンモ酸化反応である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 触媒が流動可能に収納された反応器と、前記反応器に原料ガスを供給する第一の供給管と、前記反応器から反応生成ガスを排出する流出管と、前記反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、前記反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、前記流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、緊急反応停止制御部と、を有し、
下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
流動層気相反応装置。
(a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す前記圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
(c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態 - 前記流動層気相反応装置が、前記第一の供給管に設置された冗長な複数の原料ガス流量計FIをさらに有し、
下記第七から第八の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(d1)から(d2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
請求項8に記載の流動層気相反応装置。
(d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
(d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合 - 前記流動層気相反応装置が、前記反応器に酸素含有ガスを供給する第二の供給管と、前記第二の供給管に設置された冗長な複数の酸素含有ガス流量計FIと、をさらに有し、
下記第九から第十の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(e1)から(e2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管、又は、前記第一の供給管及び前記第二の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
請求項8又は9に記載の流動層気相反応装置。
(e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
(e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
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