JP6387480B1 - 反応生成ガスの製造方法及び流動層気相反応装置 - Google Patents

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Abstract

触媒の存在下で原料ガスを流動層気相反応に供する反応工程において、所定の条件のうち少なくとも1つを満たす場合に、少なくとも第一の供給管を遮断することにより流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、反応生成ガスの製造方法。

Description

本発明は、反応生成ガスの製造方法及び流動層気相反応装置に関する。
流動層技術は19世紀後半に開発されて以来、各種の製造技術に応用がなされてきた。流動層の主たる工業的応用としては、石炭ガス化炉、FCCプラント、プロピレンのアンモ酸化によるアクリロニトリル製造プラント、ポリエチレン気相重合プラント、無水マレイン酸製造プラントなどが挙げられる。流動層反応器は、反応熱の除去又は付加が容易であるため、層内を均一温度に維持でき反応ムラを回避できること、爆発範囲の高濃度ガスの処理ができること、生産性が高いことなどが特徴として挙げられ、今後も各方面での応用、改良が期待されている。
図1は、従来技術の流動層気相反応装置を示す。気相反応を行う流動層反応器1は、その内部に酸素含有ガスAを供給する分散板3や空気等の原料ガスBを供給する分散管5を有する。さらに冷却コイル6を有し、水や蒸気を流通させることで反応熱を除去し、反応温度を制御している。反応中の流動層反応器1の内部空間は、下部に位置する触媒の空間密度が高い濃厚層9aと、上部に位置する触媒の空間密度が低い希薄層9bとを有する。反応は主として濃厚層9aで進行する。希薄層9bにおける反応ガス中の流動層触媒は、サイクロン7で反応ガスから分離され、反応器下部の濃厚層9aに戻される。
一種類以上の単独又は混合原料ガスBの流量は、流量センサーで測定され、流量指示計FI1で流量が表示される。同様に、必要に応じて導入される酸素含有ガスAの流量は、流量センサーで測定され、流量指示計FI2で流量が表示される。反応器内の温度を測定するため、濃厚層9aに温度計TI1、希薄層9bにTI2が設置される。反応圧力は、希薄層9b、たとえば反応器上部に設置された圧力計PI1で測定される。
流動層気相反応装置の反応の安定性に関わる発明として、例えば特許文献1には、温度不安定系の流動層反応器において、精密な温度制御を実現する設計方法及び流動層反応器が開示されている。
特許文献2には、非ルーチンリアクターのシャットダウン法が開示されている。プロセスに影響を及ぼす可能性のある望ましくない状態を検出する工程、反応物質の反応を最小限に抑える工程、および反応混合物が反応ゾーンから移し出されるようにプロセスの反応ゾーンを通る物質流を維持する工程を含む、化学反応プロセスを安全に操作する方法により達成されるとしている。
特許文献3には、運転の無駄な緊急停止を省き、必要な緊急停止のみを確実に行うための不飽和炭化水素の分子状酸素含有ガスによる気相部分酸化反応装置の緊急停止方法が開示されている。
特開2015−174063号公報 特開2006−143730号公報 特開2004−277339号公報
流動層気相反応装置の安定化は、目的生成物の収率を高位に維持する観点、及び安全運転の観点から必須の事項であり、多くの発明がなされてきた。しかしながら、流動層気相反応装置におけるプロセス値が何らかの影響で乱れ、事故に至ってしまうことを防止する流動層気相反応装置の運転方法の発明については、不十分であり、いまだ改善の余地がある。
特許文献2は、部分酸化反応プロセスをモニターし、必要な場合には反応プロセスを安全にシャットダウンする方法に関する発明である。前記発明の方法を実施するためには、リアクター装置のシャットダウンを必要とする望ましくない反応プロセス条件のリストを作成し、リスト化された望ましくない条件のそれぞれを示す臨界プロセス測定値を特定する。用いられる臨界プロセス測定値の種類は、温度、圧力、流れ、供給比、可燃性計算値、および流れ組成(たとえばオンラインアナライザーにより決定される)、ならびにリアクター装置内のサポート装置の操作状態(たとえば、リアクター冷却循環ポンプ、反応物質フィード気化装置)および分離装置および関連する装置、および廃棄物低減装置および関連する装置における下流装置の操作状態を含むリストから選択される1以上を含みうるとしている。しかしながら、前記臨界プロセス測定値の種類は、多岐に渡ること及び具体化されておらず全てを採用することは過剰と考えられる上、緊急停止システムが複雑となるため、多数の測定器のいずれかが故障することによる誤検出の発生率が上がるという作動上の問題発生の懸念が考えられる。さらに経済的にも困難である。これを避けるため、有効な測定値を選択採用する場合においても選択方法については記載がなく、実施者の裁量により選択することになり、本来選択すべきものを洩らす等安全にシャットダウンする目的を達成できないことが懸念される。
本発明は、流動層気相反応装置を用いる気相反応において、異常の未検出(異常を正常と検出することをいう)及び異常の誤検出(正常を異常と検出することをいう)を防ぎ、正確に異常を検知し運転を停止させることのできる、十分なプロセス安全性が確保された反応生成ガスの製造方法、及び当該方法を達成する流動層気相反応装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、流動層気相反応装置を用いた気相反応において、異常反応を確実に検知し、災害を未然に防ぐ方法を鋭意検討した結果、特定箇所のプロセス値及びガス分析値を予め定めた基準値と比較モニタリングすることにより、この課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
流動層気相反応装置を用いて原料ガスから反応生成ガスを製造する方法であって、
前記流動層気相反応装置が、触媒が流動可能に収納された反応器と、前記反応器に前記原料ガスを供給する第一の供給管と、前記反応器から前記反応生成ガスを排出する流出管と、前記反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、前記反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、前記流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、を有し、
前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
反応生成ガスの製造方法。
(a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す前記圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
(c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
〔2〕
前記流動層気相反応装置が、前記第一の供給管に設置された冗長な複数の原料ガス流量計FIをさらに有し、
前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第七から第八の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(d1)から(d2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
〔1〕に記載の製造方法。
(d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
(d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
〔3〕
前記流動層気相反応装置が、前記反応器に酸素含有ガスを供給する第二の供給管と、前記第二の供給管に設置された冗長な複数の酸素含有ガス流量計FIと、をさらに有し、
前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第九から第十の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(e1)から(e2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管、又は、前記第一の供給管及び前記第二の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
(e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
(e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
〔4〕
前記原料ガスが、アルカン及び/又はアルケンを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔5〕
前記アルカンが、プロパン及び/又はイソブタンである、〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕
前記アルケンが、プロピレン及び/又はイソブチレンである、〔4〕に記載の製造方法。
〔7〕
前記気相反応が、アンモ酸化反応である、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔8〕
触媒が流動可能に収納された反応器と、前記反応器に原料ガスを供給する第一の供給管と、前記反応器から反応生成ガスを排出する流出管と、前記反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、前記反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、前記流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、緊急反応停止制御部と、を有し、
下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
流動層気相反応装置。
(a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す前記圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
(c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
〔9〕
前記流動層気相反応装置が、前記第一の供給管に設置された冗長な複数の原料ガス流量計FIをさらに有し、
下記第七から第八の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(d1)から(d2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
〔8〕に記載の流動層気相反応装置。
(d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
(d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
〔10〕
前記流動層気相反応装置が、前記反応器に酸素含有ガスを供給する第二の供給管と、前記第二の供給管に設置された冗長な複数の酸素含有ガス流量計FIと、をさらに有し、
下記第九から第十の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(e1)から(e2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管、又は、前記第一の供給管及び前記第二の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
〔8〕又は〔9〕に記載の流動層気相反応装置。
(e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
(e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
本発明によると、流動層気相反応装置を用いた気相反応において、正確に異常を検知し運転を停止させることのできる、十分なプロセス安全性が確保された反応生成ガスの製造方法、及び当該方法を達成する流動層気相反応装置を提供することができる。
従来技術に係わる流動層気相反応装置を示す概略図である。 本実施形態の流動層気相反応装置の一例を示す概略図である。 別の本実施形態の流動層気相反応装置の一例を示す概略図である。 別の本実施形態の流動層気相反応装置の一例を示す概略図である。 別の本実施形態の小型流動層気相反応装置の一例を示す概略図である。 災害現象に至る現象と異常検知の一例を示す概念図である。 本実施形態の流動層気相反応装置の流出管8より下流を示す概念図である。 条件(a1)及び条件(a2)における緊急停止フローチャートである。 条件(b)における緊急停止フローチャートである。 条件(c)において酸素濃度をモニタリングする場合における緊急停止フローチャートである。 条件(d1)〜(e2)における緊急停止フローチャートである。 実施例1のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例2のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例3のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例4のシミュレーション結果を示すグラフである。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、装置や部材の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
なお、本明細書においては、正常運転と、人が対応すべき異常運転の境界を「閾値1」といい、人が対応すべき異常運転と自動で緊急停止すべき異常運転の境界を「閾値2」ということがある。また、閾値2を、より具体的に圧力や酸素濃度等により数値化して表現したものを、「基準値」ということがある。
〔緊急反応停止制御部を有する流動層気相反応装置及び当該装置を用いた反応生成ガスの製造方法〕
本実施形態の流動層気相反応装置は、触媒が流動可能に収納された反応器と、反応器に原料ガスを供給する第一の供給管と、反応器から反応生成ガスを排出する流出管と、反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、緊急反応停止制御部と、を有する。
まず、異常状態に作動する緊急反応停止制御部は、正常状態で反応制御を行うシステム(例えば、分散制御システム(DCS))とは概念的に異なる。反応制御は、運転の状態に合わせて行われる。ここでいう、運転の状態とは、モニタリング対象の測定値(実測値)が正常運転の範囲(便宜的に「ブルーゾーン」という)、危険運転の範囲(便宜的に「レッドゾーン」という)、正常運転の範囲外でかつ危険運転の範囲外でもある冗長性を持たせた範囲(便宜的に「イエローゾーン」という)が挙げられる。以下では、ブルーゾーンとイエローゾーンとの境界となるモニタリング対象の測定値を閾値1、イエローゾーンとレッドゾーンとの境界となるモニタリング対象の測定値を閾値2ともいう。
モニタリング対象として温度を例にすると、分散制御システムは、所定の箇所の温度がブルーゾーン内におさまっているか否かを監視し、ブルーゾーンから温度が外れそうな傾向が見られたときには温度を上昇又は下降させる要因をフィードバック及び/又はフィードフォーワード制御により制御することにより、温度がブルーゾーンから外れないように制御するものである。また、温度がブルーゾーンから閾値1を超えてイエローゾーンに入った時にも、分散制御システムは、温度がブルーゾーンに再び戻るよう制御を加える。また、温度がイエローゾーンに入ったときは、反応装置の監視者が人為的に反応制御を行い、温度がブルーゾーンに再び戻るよう制御を加えることもある。
一方で、異常状態に作動する緊急反応停止制御部は、温度がイエローゾーンから閾値2を超えレッドゾーンに入らないか否かを監視し、温度がイエローゾーンを超えてレッドゾーンに入った時には、強制的に反応装置を緊急停止させるものである。
上記では温度を例にしたが、緊急反応停止制御部は、流動層気相反応装置の事故を未然に防止する目的で構築されるものであるので、流動層気相反応装置に係わるあらゆる事故に対応する必要がある。このような観点から検討をすると、流動層気相反応装置の事故は、火災、爆発及び破壊に大別できることがわかった。先ず、潜在危険及びリスク解析で用いられる手法、例えば、FTA(Fault Tree Analysis)やHAZOP(Hazard And Operability)等から異常検知に用いる計器等を抽出した。その結果、反応器温度、反応器圧力、原料ガス流量、酸素含有ガス流量、ガス流量/酸素含有ガス流量、反応生成ガス組成、冷却コイル冷媒流量、流動層触媒量、反応生成ガス配管のバルブ、原料ガス蒸発器の運転条件、空気圧縮機の運転条件が流動層気相反応装置の異常を発生させる計器又は運転条件であることがわかった。
このように、緊急反応停止制御部が検知する対象は温度以外に、圧力、各種ガス流量、ガス組成などがあり、また、検知する場所は反応器、反応器に原料を供給する各種供給管、流出管などがある。流動層気相反応装置の運転中の異常を検知するに際し、このような流動層気相反応装置に設置される全ての計器及び流動層気相反応装置に接続する全ての機器の異常から1以上を検知することは一つの理想形ではある。しかしながら、高温高圧下で稼働する流動層気相反応装置においては、計器の故障及び誤作動・不作動が生じる可能性は排除できず、この点を担保せずに流動層気相反応装置に設置される全ての計器及び流動層気相反応装置に接続する全ての機器を常に監視し、1つでもレッドゾーンに入った時点で緊急停止をしようとすれば、現実には正常に運転されていたものを誤って緊急停止することにもなりかねない。また、流動層気相反応装置の費用面から考えてもあらゆる計器を流動層気相反応装置の至る所に設置することは現実性に乏しい。また、仮想実験を行って、流動層気相反応装置の至る所に設置した計器それぞれに対して個別にブルーゾーンからレッドゾーンまでの規定値を個別設定することも容易ではない。
したがって、緊急反応停止制御部を正常に稼働させる観点から、必要な検知手段を過不足なく選択する必要がある。また、計器の故障及び誤作動・不作動が生じる可能性を排除する観点からは、異常検知に用いる計器について相応の信頼性が確保できるよう構成される必要がある。このような前提に基づき、本発明者らは、計器の信頼性の担保及び必要な検知手段の選択について検討し、緊急反応停止制御部を有する流動層気相反応装置を成すに至った。以下、初めに計器の信頼性の担保について説明し、その後検知手段の選択について説明する。
本実施形態の流動層気相反応装置は、異常検知用の計器として、反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIとを有し、各場所において異常値(レッドゾーンの範囲)を示す計器が、設置された計器総数の過半数を超過する場合には、当該計器の値を信頼し、流動層気相反応装置を緊急停止させる。これは、図1のように各場所の計器数が1つである場合に、その唯一の計器が故障及び誤作動・不作動となってしまうことに起因して、現実には正常に運転されていたものを誤って緊急停止することになってしまう場合や、現実には異常に運転されていたものを正常運転と誤認して稼働させ続けてしまうことを防止するためである。ここで、「冗長な複数の」とは、同じ対象を複数の測定器で測定することを意味する。この意味の範囲においては、同じ種類の測定器を同じ位置に設置して測定をする他、同一の対象(例えば温度)を測定方式の異なる複数種の測定器を用いて測定してもよいし、測定位置が完全に同一でなくとも測定される値が計算上同一とみなせる位置範囲において複数の測定器を設置してもよいし、これらを組み合わせてもよい。たとえば図5では、濃厚層9aの温度をTI1、TI2,TI3の3つの温度計で測定しているが、これらの温度が同一とみなせる範囲であれば「冗長な複数の」に該当するとしてよい。また、希薄層9bの温度を測定する温度計TI4,TI5や、希薄層9bの圧力を測定する圧力計PI1、PI2についても同様である。
緊急反応停止制御部は、流動層気相反応装置の温度計、圧力計、及び反応生成ガス分析器のそれぞれから、計測値を受け取り、それら計測値が多数決選定方式により異常と判断される場合において、少なくとも第一の供給管を遮断することにより流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである。
2 out of 3の多数決選定方式を用いる観点から、異常検知用の計器数は3個が好ましい。計器を3重化し、3つの出力の内どれか1つが間違った信号を出しても、残りの2つの信号が同じ場合にはそれを採用することで信頼性を向上させることが可能となる。
なお、流量異常については、反応器温度及び反応生成ガス分析でも代替的に異常検知が可能であるが、緊急停止を判断するために流量計のモニタリングを行ってもよい。流量を直接モニタリングすることで、より早期の異常発見が可能となるため、流量計のモニタリングを行うことが好ましい。流量計は多数を独立設置させることが技術的又は経済的に困難な場合が多いため、2重化したものであってもよい。計器を2重化する場合には、誤作動を防止する観点から2 out of 2の多数決選定方式を採用することが好ましい。
図2及び図3は、温度計と圧力計と流量計とが2重化された態様を示し、図4は、流量計が2重化され温度計と圧力計が3重化された態様を示す。なお、図中において、TIは温度計を示し、PIは圧力計を示し、FIは流量計を示す。温度計TIはそれぞれ、反応器1の触媒が高濃度で存在する濃厚層9aと、触媒が相対的に低濃度で存在する希薄層9bにそれぞれ設置されている。また、温度計は反応温度をモニタリングする観点から濃厚層9aに設置することが必須であり、さらに希薄層9bに設置してもよい。また、圧力計PIは、サイクロンの入り口よりも上の反応器上部に設置されている。さらに、流量計FIは、原料を供給する供給管にそれぞれ設置されており、2本以上の供給管が反応器に入る前に途中で合流する構造を有する場合には、供給管それぞれに設置される。
これら温度計と圧力計とは、複数の反応生成ガス分析器と組み合わせて使用される。図7は流動層気相反応装置の流出管より下流において、反応生成ガス分析器が異なるか所で2重化された態様を示す。なお、図中において、DIは反応生成ガス分析器を示す。
次に、異常検知に用いる計器等について説明する前に、本実施形態の流動層気相反応装置の全体的な構成態様について説明する。
図2は、本実施形態の流動層気相反応装置の第1の態様を表す模式図を示す。反応器1には、触媒が流動可能に収納されており、反応生成ガスから触媒を分離回収するサイクロン7のほか、必要に応じて、主に反応器1の濃厚層9aの反応熱を除去し反応温度を制御するための冷却コイル6を有する。
また、反応器1には、原料ガスBを供給する第一の供給管4が接続されている。原料ガスBは、反応器1の下方に接続された第一の供給管4から分散管5を介して反応器1内に供給される。第一の供給管4の上流は、別の原料ガスD等のガス種毎の供給管が合流する構造を有していてもよく、その場合には、ガス種毎の供給管それぞれに冗長な複数の流量計が設置されることが好ましい。
触媒は、触媒自体の自重及び嵩、並びに、原料ガスB及び後述する酸素含有ガスAの供給量等のバランスの中で、反応器1内で流動している。触媒の単位空間あたりの存在量(分布)は、分散管5より上の空間において、反応器1の下から上に行くにつれて減少する。
反応器1に設置された冷却コイル6は、反応器1の反応熱を制御するよう働くために、主に触媒濃度の高い反応器1の濃厚層9aに設置される。気相反応で発生する熱は、除熱管である冷却コイル6内を流通する冷媒により除熱され、反応温度が制御される。
反応器1は、反応器1内で反応生成ガスCから触媒を分離回収するサイクロン7と、サイクロン7で分離された反応生成ガスCを反応器1から排出する流出管8と、を有する。サイクロン7には、その入口から触媒を同伴させた反応生成ガスCが入る。サイクロン7に入った触媒は、サイクロン7の円錐部分で螺旋を描くように下方に落下し、反応生成ガスCはサイクロン7の上部から上方に延びる管より流出管8へと導かれていく。サイクロン7の円錐部分の下方には、さらに反応器3の下方に向けて管が伸びており、この管の中を通って触媒は反応器1の下方に導かれる。一方で、反応器1の下流に設置された流出管8へと導かれた反応生成ガスCは、流出管8から下流工程に送られる。
流出管8から流出する反応生成ガスCは、必要に応じて下流にある反応器出口熱交換器(図示せず)で空気及び/又はボイラー水で冷却される。その後、急冷塔(図7参照)において、反応生成ガス中のアンモニアを硫酸で中和し、高沸点物質等及び触媒を除去して、さらに冷却する。急冷塔より流出する反応生成ガスは、吸収塔(図7参照)に供給される。吸収塔では水等の溶媒に生成物を吸収させ、回収工程に送る。吸収塔頂から流出する未反応ガス、未回収有機物等を含む未凝縮ガスは廃ガス焼却設備(図7参照)で焼却処理する。
図3は、本実施形態の流動層気相反応装置の第2の態様を表す模式図を示す。第2の態様の流動層気相反応装置は、反応器1に、酸素を含む酸素含有ガスAを供給する第二の供給管2が接続されていること以外は、第1の態様と同様に構成されたものである。酸素含有ガスAは、反応器1の下方に接続された第二の供給管2から分散板3を介して反応器1内に供給される。複数の供給口4から供給される原料ガスBと、分散板5により分散されて供給される酸素含有ガスAは、互いに対向するように供給され、交絡しつつ混合される。
図4は、本実施形態の流動層気相反応装置の第3の態様を表す模式図を示す。第3の態様の流動層気相反応装置は、温度計と圧力計の各計器が3重化されていること以外は、第2の態様と同様に構成されたものである。第3の態様においては2 out of 3の多数決選定方式を用いることができる。
図5は、本実施形態の流動層気相反応装置の第4の態様を表す模式図を示す。第4の態様の流動層気相反応装置は、濃厚層の温度計が3重化されていること以外は、第2の態様と同様に構成されたものである。第4の態様においては2 out of 3の多数決選定方式を用いることができる。第4の態様においては、濃厚層9aの温度を水平方向及び高さ方向の位置を変えつつ、温度が同一とみなせる範囲においてTI1、TI2,TI3の3つの温度計により測定し、希薄層9bの温度を水平方向及び高さ方向の位置を変えつつ、温度が同一とみなせる範囲においてTI4,TI5の2つの温度計で測定し、希薄層9bの圧力を水平方向の位置を変えつつ圧力が同一とみなせる範囲においてPI1、PI2の2つの圧力計により測定する。このように、測定値が実質的に同一とみなせる範囲において冗長な複数の測定器を設置させることにより、測定器に囲まれる一定の空間範囲の流動層気相反応装置の運転の状態をモニターすることが可能となる。また、図5においては図示していないが、温度計TI1等がそれぞれ冗長化されている構成としてもよい。
(異常検知に用いる計器等)
次に、誤作動及び不作動のリスクレベルを低減する観点から、上記異常検知に用いる計器、運転条件等の階層分けについて説明する。以下の記載及び図6に示す通り、火災、爆発、破壊又は設備に致命的な損害(例えば、触媒の失活など)を与える事故に直接つながる異常現象を検知する計器及び運転管理の観点から重要な計器は全て異常検知用の計器とすることができる。
反応器内の温度計:
反応器内の温度が反応器の設計温度を超過し、なおも上昇すると反応器の溶損(破壊)事故に至る。一方で、反応器内の温度が低下する場合は、反応器1に供給される原料ガスや酸素含有ガスのうち未反応物が増え、排出口から流出する反応生成ガスCや、反応器1内部のガスが爆発混合気を作りやすくなる傾向にある。爆発混合気は爆発事故につながる恐れがあるため、反応器内の温度は重要な運転管理値である。また、温度高低により、流動層触媒が過酸化又は過還元するなど触媒へ悪影響を及ぼす温度が規定される場合もある。したがって、反応器内の温度については所定の上限値及び下限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定される。図6において、太線で示す。
反応器内の温度計は、濃厚層9a、または濃厚層9aと希薄層9bの両方に設置する。具体的には、冷却コイル6の上端よりも低い位置及び/又は冷却コイル6の上端よりも高い位置に設置することができる。温度計は、反応器1内部の温度を測定するものであり、信号伝送機能を備えたものであることが好ましい。温度計の種類としては、特に制限されず石油化学プラントにおいて温度を測定できるものであれば良いが、熱電対、抵抗温度計が好ましい。
流動層反応の温度は比較的均一であるのが特徴ではあるが、触媒存在の有無、反応率、冷却コイルの使用等により温度分布が生じる可能性がある。そのため、冷却コイルの上端よりも低い位置にある冗長な複数の温度計TIにより、主に気相反応が活発に起こっている触媒濃度の高い反応器1の下部(濃厚層9a)の温度を監視し、冷却コイルの上端よりも高い位置にある冗長な複数の温度計TIにより、反応器1の上部(希薄層9b)の温度を監視することが好ましい。図2及び図3の例では、濃厚層9a内の1箇所を2つの温度計TI3及びTI4で測定し、かつ希薄層9bの1箇所を2つの温度計TI1及びTI2で測定している。図4の例では、濃厚層9a内の1箇所を3つの温度計TI4、TI5及びTI6で測定し、かつ希薄層9bの1箇所を3つの温度計TI1、TI2及びTI3で測定している。温度計の断線や結線不良等による故障が生じることを想定し、フェールセーフ側の故障となるような配慮を行うことが好ましい。すなわち、温度高及び温度低を検知する温度計をそれぞれ設置する。こうすることで、温度高検知用の温度計が故障した場合、温度高を指示し、温度低検知用の温度計が故障した場合、温度低を指示するようにする。例えば、図2のTI3及びTI4が温度高を検知する温度計とした場合、温度低を検知する別の温度計TI3’及びTI4’が濃厚層9a内の1箇所に設置されることが好ましい。
反応器内の圧力計:
反応器内の圧力が反応器の設計圧力を超過し、なおも上昇すると反応器の破壊に至る。一方で、反応器内の圧力の低下は、反応へ何らかの影響を及ぼすかもしれないが、直接的に事故に結びつくことは少ない。したがって、反応器内の圧力については所定の上限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定される。
反応器内の圧力計は、反応器1の希薄層9b、特に塔頂部に設置することができる。圧力計は、反応器1内部の圧力を測定するものであり、ゲージ圧力を表示し、信号伝送機能を備えたものであることが好ましい。圧力計の種類としては、特に制限されず石油化学プラントに用いることができるものであれば良いが、ブルドン管、ベローズ式、ダイヤフラム式などが好ましい。圧力計は、反応器の内部圧力が測定できる位置に設置されれば良く限定されないが、流動層触媒内の圧力は、触媒量や触媒流動に影響を受けるので、希薄層9bに設置することが好ましい。
また、ノズル閉塞等ノズルの不具合が複数の圧力計に影響を及ぼすため、計器信頼性の観点から、1つの取り出しノズルから分岐して2つ以上の圧力計に接続する態様よりも、圧力計と反応器1がノズルを通じて1対1で接続される方が好ましい。
原料ガス流量計:
原料ガス流量計は、第1の供給管に設置することができる。原料ガス流量が増加すると、後述する原料ガス流量/酸素含有ガス流量にも変化が生じる。原料ガス流量が増加すると反応量が多くなるため反応発熱熱が増加し、反応器温度が上昇する。冷却装置で対応できれば反応器温度は制御できるが、急激な増加などで対応が不十分な場合、反応器温度がなおも上昇し、反応器の溶損(破壊)事故に至る。原料ガス流量の増加により未反応原料ガスが異常増加する場合としては、例えば、原料ガスの急激な増加、原料のアンバランスにより反応する相手がいない場合、流動層触媒が増加ガス量に対して不足している場合、ガスの片流れ等で未反応原料ガスが増加する場合などが考えられる。これらの場合、反応器下流機器、特に廃ガス焼却設備における異常燃焼や爆発の危険性が生じる。また、未反応原料ガスの変化は、後述する反応生成ガス組成分析でも検知することができる。
一方、原料ガス流量が減少すると、反応熱が減少し、反応器温度が低下する。反応器温度が低下すると原料ガスや酸素含有ガスの未反応物が増え、爆発混合気を作り爆発に至る。原料ガス流量が減少する場合も原料ガス流量/酸素含有ガス流量、及び反応生成ガス組成分析値に変化が生じる。
以上より、原料ガス流量の増減は、時系列的に言えば原料ガス流量/酸素含有ガス流量の増減、反応器温度の増減及び反応生成ガス組成分析値の変化を経て、事故に結びつく。ここで、原料ガス流量は、流動層気相反応装置の重要な運転条件の一つであり、頻繁な運転操作が行われること、原料ガス流量変化は異常現象を引き起こす発端であること、流量計の測定値の信頼性は比較的高いことを考慮する。したがって、直接的に事故には結びつかない可能性はあるが、原料ガス流量については所定の上限値及び下限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
なお、流量計は、反応器1に供給するガスの流量を測定するもので、流体の種類毎に設置し、信号伝送機能を備えたものが好ましい。流量計の種類は、石油化学プラントにおけるガス流体を測定できるものであれば特に制限されず、差圧式流量計、面積式李流量計、渦式流量計、タービン式流量計、容積式流量計、コリオリ式流量計、超音波流量計が好ましい。以下、酸素含有ガス流量計においても同様である。
酸素含有ガス流量計:
酸素含有ガス流量が増加すると、可燃性ガスである原料ガス及び生成ガスと酸素から爆発混合気を形成し、爆発に至る。一方で、酸素含有ガス流量が減少すると、原料ガスが十分に反応できず、未反応の原料ガスが増加する。これらの現象は、廃ガス焼却装置等の反応器下流機器で異常燃焼、爆発に至る懸念がある。酸素含有ガス流量の変化は、原料ガス流量/酸素含有ガス流量及び反応生成ガス組成分析値にも変化を及ぼす。酸素含有ガス流量の異常は、直接事故には結びつかないが、原料ガスの場合と同様に、選択される必要のある測定値として扱われるのが妥当である。したがって、酸素含有ガス流量については所定の上限値及び下限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
酸素含有ガス流量/原料ガス流量計:
酸素含有ガス流量及び原料ガス流量で代用できるが、酸素含有ガス流量/原料ガスのモニタリングをさらに行ってもよい。酸素含有ガス流量/原料ガスは、2つの計器からの演算値であるので、分散制御システム(DCS)を使わない場合、別途、演算をするシステム、例えば安全計装などが必要となる。図6において、細線で示す。
反応生成ガス分析器:
反応生成ガスは、生成ガス、未反応原料ガスから成り、酸化反応であれば、さらに酸素や、場合に応じて窒素等が加わる。通常運転において、反応生成ガス中の酸素濃度は、爆発防止の観点から限界酸素濃度未満に管理されている。さらに、触媒が還元雰囲気下で劣化するような場合は、触媒が還元劣化しない酸素濃度以上で管理されている。しかしながら、反応場に何らかの異常が発生した場合には、反応生成ガス組成が変化する。このような場合については、反応場における異常の仔細について不明であったとしても、反応生成ガスの組成に異常が発生しているか否かを監視できていれば異常の発生を知ることができる。例えば、気層接触反応が酸化反応であれば、反応生成ガスに含まれる酸素濃度を必須の測定対象とする。酸素濃度を必須の測定対象とするのは、可燃物があっても酸素がなければ爆発を生じないので、爆発の防止の観点から重要であるからである。また、酸化反応以外であれば、原料ガス濃度及び/又は生成ガス濃度を測定する。したがって、反応生成ガス分析については所定の上限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定される。
反応生成ガス分析器DIによる反応生成ガスの分析は、反応器1から流出する反応生成ガスを連続でサンプリングして行うことができる。反応生成ガスのサンプリング箇所(反応生成ガス分析器の設置個所)は、図7に記載のように、反応器(出口熱交換器)〜急冷塔間又は急冷塔〜吸収塔間が好ましい。酸素分析をする場合の分析器としては、特に制限されないが、例えば、ジルコニア式、磁気式、レーザー分光式、電極式の分析器が挙げられる。また、反応生成物及び/又は反応未反応物の分析は、ガスクロマトグラフィーを用いることが好ましい。分析器の汚れが少なくできるため、急冷塔〜吸収塔間で反応生成ガスの分析を行うことがより好ましい。
冷却コイル冷媒流量計:
正確さ向上の点から、冷却コイルの冷媒流量のモニタリングをさらに行ってもよい。冷却コイル冷媒流量が変動すると反応温度に影響を及ぼす。冷却コイルに通ずる冷媒としては、多くは飽和温度の水及び/又は蒸気が用いられる。冷却コイルに通じた飽和温度の水は、反応で発生した熱を吸収してその一部(蒸発率5〜30%)が蒸発する。飽和温度の水の流量が増えた場合でも、このタイプの冷却コイルの除熱量はほとんど変化がない。冷媒が蒸気の場合、蒸気流量が増加すると除熱量は増加する傾向となるが、使用できる蒸気流量の上限に制限があること及び/又は蒸気を用いる冷却コイル数が比較的少ないことから反応温度に及ぼす影響は少ない。一方、冷媒流量が減少する場合、反応熱を除去できなくなり、反応温度が上昇する。すなわち、冷却コイル冷媒流量の減少は、結果として反応器温度高をもたらすこと、冷却コイル流量の変更は一般的には行われないことを考慮する。したがって、冷却コイル冷媒流量については所定の上限値及び下限値が、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
流動層触媒量の測定:
流動層触媒量のモニタリングをさらに行ってもよい。正常運転中に流動層触媒が増加することは想定されない。しかしながら、何らかの原因、例えばサイクロンの不調で流動層触媒が捕捉できず、流動層触媒量が減少する場合においては、反応が進まず未反応物が増加する可能性がある。このような場合には、反応生成ガス中の原料ガス濃度が上昇するか、酸化反応の場合は酸素濃度が上昇することとなる。そのため、触媒量が減少する場合には、上述した反応生成ガス組成の分析により代替的に検知できる。また、触媒量の減少は、反応器内の温度の低下としても代替的に検知することが可能である。さらに、流動層触媒量は、複数の圧力計等の計器から間接的に算出することもできる。このように、流動層触媒量については、既に述べた他の計器によって代替的な検知が可能である。したがって、上記のとおり、費用面や実現性、又は、誤った緊急停止を予め防ぐ観点からは、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されなくともよいし、これらが担保されるのであれば、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
反応生成ガス配管のバルブ:
反応生成ガス配管のバルブ閉止の観測をさらに行ってもよい。反応器から流出する反応生成ガスを移送するための配管に取り付けられたバルブが何らかの原因で閉止方向に作動した場合、反応器の圧力が上昇し、反応器の破壊に至る可能性がある。そのため、バルブの閉止は、反応器圧力が高いこと等から圧力計により代替的に検知できる。このように、反応生成ガス配管のバルブ閉止については、既に述べた他の計器によって代替的な検知が可能である。したがって、上記のとおり、費用面や実現性、又は、誤った緊急停止を予め防ぐ観点からは、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されなくともよいし、これらが担保されるのであれば、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
原料ガス蒸発器の運転条件・状態:
原料ガス蒸発器の運転異常の観測をさらに行ってもよい。原料ガス蒸発器の運転は、熱媒の流量及び温度、原料ガス蒸発器内の原料液位、原料ガス蒸発器内の圧力等に影響を受け、原料ガス流量に影響が波及する。そのため、原料ガス蒸発器の運転異常は、原料ガス流量で代替的に検知できる。また、原料ガス蒸発器の運転に影響を及ぼす各条件は、反応器運転には直接的には影響を与え難い傾向にある。このように、原料ガス蒸発器の運転条件・状態に関する異常検知は、既に述べた他の計器によって代替的な検知が可能である。したがって、上記のとおり、費用面や実現性、又は、誤った緊急停止を予め防ぐ観点からは、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されなくともよいし、これらが担保されるのであれば、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
空気圧縮機の運転条件・状態:
空気圧縮機の運転異常の観測をさらに行ってもよい。空気圧縮機の運転は、圧縮機の駆動源である蒸気又は電気の供給状況、空気供給先である反応器の圧力の影響を受け、酸素含有ガス流量に影響が波及する。そのため、空気圧縮機の運転異常は、酸素含有ガス流量で代替的に検知できる。このように、空気圧縮機の運転条件・状態に関する異常検知は、既に述べた他の計器によって代替的な検知が可能である。したがって、上記のとおり、費用面や実現性、又は、誤った緊急停止を予め防ぐ観点からは、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されなくともよいし、これらが担保されるのであれば、緊急停止を判断するための値として選択され、設定されてもよい。
(閾値)
本実施形態においては、複数の温度計TI、圧力計PI、及び反応生成ガス分析器DIについて多数決選定方式を適用して得られた値が所定の閾値を超過する場合において、緊急反応停止制御部が、少なくとも第一の供給管を遮断することにより流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる。具体的には、触媒の存在下で原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる。
(a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
(b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
(c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
(c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
また、本実施形態の流動層気相反応装置が、第一の供給管に設置された冗長な複数の原料ガス流量計FIをさらに有し、下記第七から第八の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(d1)から(d2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合には、緊急反応停止制御部が、少なくとも第一の供給管を遮断することにより流動層気相反応装置の運転を緊急停止させることができる。
(d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
(d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
さらに、流動層気相反応装置が、反応器に酸素含有ガスを供給する第二の供給管と、第二の供給管に設置された冗長な複数の酸素含有ガス流量計FIと、をさらに有し、下記第九から第十の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(e1)から(e2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合には、緊急反応停止制御部が、少なくとも第一の供給管を遮断することにより流動層気相反応装置の運転を緊急停止させることができる。
(e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
(e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
反応器温度の上限及び下限の閾値:
状態(a1)は、反応器温度の上限の閾値を定める条件であり、反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とする。また、状態(a2)は、反応器温度の下限の閾値を定める条件であり、反応温度低下により触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とする。
状態(a1)に関し、本発明者らはシミュレーションにより反応温度の動的特性を検討した。それによると反応温度が定常値から上限の閾値に達する時間は、数分〜数十分であり、比較的緩やかな速度であることがわかった。さらに、実機装置の運転実績等から気相反応は、緊急停止により反応を停止させると反応温度は即時に低下することも見出した。これら知見に基づき、第一の基準値の上限は使用最高温度(反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方)の100%とすることができる。また、第一の基準値の下限は早期検知の観点から低いことが好ましいが、条件変動時等の温度変動による誤作動を考慮して、90%が採用される。
状態(a2)に関し、状態(a1)と同様にシミュレーションを行い、反応温度の動的特性を検討した。それによると反応温度が定常値から下限の閾値に達する時間は、数分〜数十分であり、比較的緩やかな速度であることがわかった。さらに、実機装置の運転実績等から気相反応は、緊急停止により反応を停止させると爆発混合気の形成は直ちに解消されることも見出した。これら知見に基づき、第二の基準値の下限は使用最低温度(反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方)の100%とすることができる。また、第二の基準値の上限は早期検知の観点から高いことが好ましいが、条件変動時等の温度変動による誤作動を考慮して、120%が採用される。
図8に、状態(a1)及び状態(a2)における緊急停止フローチャートを示す。図8に示すとおり、冗長な複数の温度計TIは、反応終了まで設置場所における温度をモニタリングし続ける。図8においては、多数決決定方式により信頼性のあるとされた温度が、温度の上限閾値1を超えてイエローゾーンに入っていないかを判断し、イエローゾーンに入っている場合には、温度を低下させる方向にフィードバック及び/又はフィードフォーワード制御をかける。当該制御によっても温度上昇が継続し、多数決決定方式により信頼性のあるとされた温度が、温度の上限閾値2を超えてレッドゾーンに入った場合には、本実施形態の緊急停止が作動する。なお、ここで上限閾値2は、状態(a1)において第一の基準値として定められるものである。
一方で、冗長な複数の温度計TIは、多数決決定方式により信頼性のあるとされた温度が、温度の下限閾値1を超えてイエローゾーンに入っていないかについても判断し、イエローゾーンに入っている場合には、温度を上昇させる方向にフィードバック及び/又はフィードフォーワード制御をかける。当該制御によっても温度下降が継続し、多数決決定方式により信頼性のあるとされた温度が、温度の下限閾値2を超えてレッドゾーンに入った場合には、本実施形態の緊急停止が作動する。ここで下限閾値2は、状態(a2)において第二の基準値として定められるものである。図8においては、比較的重大性の高い状態(a1)の判断をしてから状態(a2)を判断する流れとなるが、特にこれに制限されるものではない。
反応器圧力の上限の閾値:
状態(b)は、反応器圧力の上限の閾値を定める条件であり、反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とする。また、上記のとおり、反応器圧力の下限の閾値については特に制限されない。
状態(b)に関し、本発明者らはシミュレーションにより反応器圧力の動的特性を検討した。それによると反応器圧力が定常値から上限の閾値に達する時間は、数十秒のオーダーであり、比較的速いことがわかった。実機装置の運転実績等から気相反応は、緊急停止によりガス供給を停止させると反応器圧力は即時に低下することを見出した。圧力上昇が比較的早く生じるというシミュレーション結果を考慮し、第三の基準値の上限は設計圧力の85%とし、緊急停止が発動された後の動作、例えばコントロール弁の閉止動作時間等に対する余裕を持たせた。また、第三の基準値の下限は早期検知の観点から低いことが好ましいが、条件調整時の圧力高による誤作動を考慮して、70%が採用される。
図9に、状態(b)における緊急停止フローチャートを示す。図9に示すとおり、冗長な複数の圧力計PIは、反応終了まで設置場所における温度をモニタリングし続ける。図9においては、多数決決定方式により信頼性のあるとされた圧力が、圧力の上限閾値1を超えてイエローゾーンに入っていないかを判断し、イエローゾーンに入っている場合には、圧力を低下させる方向にフィードバック及び/又はフィードフォーワード制御をかける。当該制御によっても圧力上昇が継続し、多数決決定方式により信頼性のあるとされた圧力が、圧力の上限閾値2を超えてレッドゾーンに入った場合には、本実施形態の緊急停止が作動する。なお、ここで上限閾値2は、状態(b)において第三の基準値として定められるものである。
反応生成ガス組成の上限の閾値:
状態(c1)は、爆発防止の観点から反応生成ガスの酸素濃度の上限の閾値を定める条件であり、爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とする。また、状態(c2)は、触媒劣化防止の観点から反応生成ガスの酸素濃度の下限の閾値を定める条件であり、触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とする。さらに、状態(c3)は、廃ガス焼却装置での処理能力の観点から反応生成ガス中の原料ガス濃度の上限の閾値を定める条件であり、原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とする。なお、ここで、「原料ガス濃度の設計値」とは、反応器に供給した原料ガスの0.5〜10%の値をいう。通常、反応器では原料ガスの転化率は100%ではなく、上記原料ガス濃度の設計値に相当する原料ガスが未反応の状態で残存する。反応器において、何らかの原因で原料ガスの転化率が下がる場合、原料ガスを焼却処理する廃ガス焼却装置には、過剰な原料ガスが供給されることになる。そうすると原料ガス処理過多となり、廃ガス焼却装置が暴走する恐れがある。
状態(c1)に関し、本発明者らはシミュレーションにより反応生成ガスの酸素濃度の動的特性を検討した。それによると酸素濃度が定常値から上限の閾値に達する時間は、数分〜数十分であり、比較的緩やかな速度であることがわかった。さらに、実機装置の運転実績等から気相反応は、緊急停止により反応を停止させると酸素濃度は即時に低下することも見出した。これら知見に基づき、第四の基準値の上限は爆発限界酸素濃度の100%とすることができる。また、第四の基準値の下限は早期検知の観点から低いことが好ましいが、条件変動時の誤作動を考慮して、40%が採用される。
状態(c2)に関し、状態(c1)と同様にシミュレーションを行い、反応生成ガスの酸素濃度の動的特性を検討した。それによると酸素濃度が定常値から下限の閾値に達する時間は、数分〜数十分であり、比較的緩やかな速度であることがわかった。さらに、実機装置の運転実績等から気相反応は、緊急停止により反応を停止させると温度降下により触媒の劣化が直ちに抑制されることも見出した。これら知見に基づき、第五の基準値の下限は使用最低酸素濃度の100%とすることができる。また、第五の基準値の上限は早期検知の観点から高いことが好ましいが、条件変動時の誤作動を考慮して、120%が採用される。
状態(c3)に関し、状態(c1)と同様にシミュレーションを行い、反応生成ガスの原料ガス濃度の動的特性を検討した。それによると反応生成ガス中の原料ガス濃度が定常値から上限の閾値に達する時間は、数分〜数十分であり、比較的緩やかな速度であることがわかった。さらに、実機装置の運転実績等から気相反応は、緊急停止により反応を停止させると反応生成ガス中の原料ガス流量が直ちに低下することも見出した。これら知見に基づき、第六の基準値の下限設定は、誤作動防止及び早期検知の観点から原料ガス濃度の設計値の150%とすることができる。また、第六の基準値の上限は廃ガス焼却装置の設備能力に依存し、300%が採用される。
図10に、状態(c1)〜状態(c3)において酸素濃度及び原料ガス濃度をモニタリングする場合における緊急停止フローチャートを示す。図10に示すとおり、冗長な複数の反応生成ガス分析器DIは、反応終了まで設置場所における反応生成ガス組成をモニタリングし続ける。図10においては、多数決決定方式により信頼性のあるとされた反応生成ガス組成(酸素濃度、原料ガス濃度、又はその他可燃性ガス濃度)が、反応生成ガス組成の上限閾値1を超えてイエローゾーンに入っていないかを判断し、イエローゾーンに入っている場合には、反応生成ガス組成を正常化させる方向にフィードバック及び/又はフィードフォーワード制御をかける。当該制御によっても反応生成ガス組成変化が継続し、多数決決定方式により信頼性のあるとされた反応生成ガス組成が、反応生成ガス組成の上限閾値2を超えてレッドゾーンに入った場合には、本実施形態の緊急停止が作動する。なお、ここで上限閾値2は、爆発防止の観点から反応生成ガスの酸素濃度の上限の閾値を定める条件であり、状態(c1)において第四の基準値として定められるもの、又は、廃ガス焼却装置での処理能力の観点から反応生成ガス中の原料ガス濃度の上限の閾値を定める条件であり、状態(c3)において第六の基準値として定められるものである。
一方で、冗長な複数の反応生成ガス分析器DIは、多数決決定方式により信頼性のあるとされた反応生成ガス組成(酸素濃度、原料ガス濃度、又はその他可燃性ガス濃度)が、反応生成ガス組成の下限閾値1を超えてイエローゾーンに入っていないかを判断し、イエローゾーンに入っている場合には、反応生成ガス組成を正常化させる方向にフィードバック及び/又はフィードフォーワード制御をかける。当該制御によっても反応生成ガス組成変化が継続し、多数決決定方式により信頼性のあるとされた反応生成ガス組成が、反応生成ガス組成の下限閾値2を超えてレッドゾーンに入った場合には、本実施形態の緊急停止が作動する。なお、ここで下限閾値2は、触媒劣化防止の観点から反応生成ガスの酸素濃度の下限の閾値を定める条件であり、状態(c2)において第五の基準値として定められるものである。
原料ガス流量の上限及び下限の閾値:
状態(d1)は、原料ガス流量の上限の閾値を定める条件であり、原料ガス供給システムの異常による流量増加を検知する観点、及び、異常現象につながる流量増加を検知する観点から決められる。しかしながら、原料ガス流量の変化が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響を定量的に推定することは諸条件の前提が必要となり、流量値の特定は実質的に困難な場合が多い。よって、単純に原料ガス流量のみが増加した場合の影響を計算で求め、流量値を決める。具体的には、(1)原料ガス流量が増えると、反応器温度が上昇かつ酸素消費量が増え、酸素濃度が低下する。低酸素雰囲気における触媒の還元による失活を異常現象として想定すると、触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値が計算できる。(2)原料ガス流量が増えると、反応器温度が上昇する。反応器の溶損を異常現象として想定すると、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値が計算できる。(3)原料ガス流量が増えると、反応器温度が上昇する。高反応温度雰囲気における触媒の劣化を異常現象として想定すると、触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値が計算できる。以上(1)〜(3)で求めた想定原料ガス流量値のうち最小値を採用し、状態(d1)においては、当該最小値の85〜100%を第七の基準値とする。
状態(d1)に関し、本発明者らはシミュレーションにより原料ガス流量が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響の動的特性を検討した。それによると原料ガス流量が定常値から上限の閾値に達する時間は、数分〜数十分であり、比較的緩やかな速度であることがわかった。さらに、実機装置の運転実績等から緊急停止により原料ガスを直ちに停止させることができる。これら知見に基づき、第七の基準値の上限は想定原料ガス流量値の100%とすることができる。また、第七の基準値の下限は早期検知の観点から低いことが好ましいが、条件変動時の誤作動を考慮して、85%が採用される。
また、反応器下流で生じる別の異常現象抑制の観点としては、原料ガス流量の増加分は、反応器内で反応せず、後工程の廃ガス焼却装置で焼却される場合を考えることができる。廃ガス焼却装置の焼却能力及び燃焼生成ガスの処理の観点から燃焼可能な可燃性ガス量が定められるので、燃焼可能な可燃性ガス量の85〜100%を基準として併用することもできる。
また、状態(d2)は、原料ガス流量の下限の閾値を定める条件であり、原料ガス供給システムの異常による流量減少を検知する観点、及び、異常現象につながる流量減少を検知する観点から決められる。しかしながら、原料ガス流量の変化が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響を定量的に推定することは諸条件の前提が必要となり、流量値の特定は実質的に困難な場合が多い。よって、単純に原料ガス流量のみが減少した場合の影響を計算で求め、流量値を決める。具体的には、原料ガス流量が減ると、酸素消費量が減り、酸素濃度が上昇する。爆発混合気形成を異常現象として想定すると、流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値が計算できる。状態(d2)においては、流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とする。
状態(d2)に関し、本発明者らはシミュレーションにより原料ガス流量が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響の動的特性を検討した。それによると原料ガス流量が定常値から下限の閾値に達する時間は、数分〜数十分であり、比較的緩やかな速度であることがわかった。さらに、実機装置の運転実績等から気相反応は、緊急停止により反応を停止させると爆発混合気の形成は直ちになくなることも見出した。これら知見に基づき、第八の基準値の下限は設最低流量の100%とすることができる。また、第八の基準値の上限は早期検知の観点から高いことが好ましいが、条件変動時の誤作動を考慮して、120%が採用される。
酸素含有ガス流量の上限及び下限の閾値:
状態(e1)は、酸素含有ガス流量の上限を定める条件であり、酸素含有ガス供給システムの異常による流量増加を検知する観点、及び、異常現象につながる流量増加を検知する観点から決められる。しかしながら、酸素含有ガス流量の変化が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響を定量的に推定することは諸条件の前提が必要となり、流量値の特定は実質的に困難な場合が多い。よって、単純に酸素含有ガス流量のみが増加した場合の影響を計算で求め、流量値を決める。具体的には、酸素含有ガス流量が増えると、酸素濃度が上昇し、爆発混合気を形成し、爆発に至る。爆発混合気形成を異常現象として想定すると、流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値が計算できる。状態(e1)においては、流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とする。
状態(e1)に関し、本発明者らはシミュレーションにより酸素含有ガス流量が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響の動的特性を検討した。それによると酸素含有ガス流量が定常値から上限の閾値に達する時間は、数分〜数十分であり、比較的緩やかな速度であることがわかった。さらに、実機装置の運転実績等から緊急停止により酸素含有ガスを直ちに停止させることができる。これら知見に基づき、第九の基準値の上限は前記想定酸素含有ガス流量値の100%とすることができる。また、第九の基準値の下限は早期検知の観点から低いことが好ましいが、条件変動時の誤作動を考慮して、85%が採用される。
状態(e2)は、酸素含有ガス流量の下限を定める条件であり、酸素含有ガス供給システムの異常による流量減少を検知する観点、及び、異常現象につながる流量減少を検知する観点から決められる。しかしながら、酸素含有ガス流量の変化が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響を定量的に推定することは諸条件の前提が必要となり、流量値の特定は実質的に困難な場合が多い。よって、単純に酸素含有ガス流量のみが減少した場合の影響を計算で求め、流量値を決める。具体的には、酸素含有ガス流量が減ると、酸素濃度が低下する。低酸素雰囲気における触媒の還元による失活を異常現象として想定すると、触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値が計算できる。状態(e2)においては、触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とする。
また、反応器下流で生じる別の異常現象抑制の観点としては、酸素含有ガス流量が減ると、原料ガスの一部は、酸素と反応器内で反応できず未反応となって、後工程の廃ガス焼却装置で焼却される場合を考えることができる。廃ガス焼却装置の焼却能力及び燃焼生成ガスの処理の観点から燃焼可能な可燃性ガス量が定められるので、燃焼可能な可燃性ガス量の100〜120%を基準として併用することもできるとする。
状態(e2)に関し、本発明者らはシミュレーションにより酸素含有ガス流量が温度、圧力、ガス組成に及ぼす影響の動的特性を検討した。それによると酸素含有ガス流量が定常値から下限の閾値に達する時間は、数分〜数十分であり、比較的緩やかな速度であることがわかった。さらに、実機装置の運転実績等から気相反応は、緊急停止により反応を停止させると温度降下により触媒の劣化が直ちに抑制される及び可燃性ガスの生成は直ちになくなることも見出した。これら知見に基づき、第十の基準値の下限は設最低流量の100%とすることができる。また、第十の基準値の上限は早期検知の観点から高いことが好ましいが、条件変動時の誤作動を考慮して、120%が採用される。
図11に、状態(d1)〜(e2)における緊急停止フローチャートを示す。図11に示すとおり、冗長な複数の原料ガス流量計FI及び酸素含有ガス流量計FI(以下、まとめて「流量計FI」ともいう)は、反応終了まで設置場所における流量をモニタリングし続ける。図11においては、多数決決定方式により信頼性のあるとされた流量が、流量の上限閾値1を超えてイエローゾーンに入っていないかを判断し、イエローゾーンに入っている場合には、流量を低下させる方向にフィードバック及び/又はフィードフォーワード制御をかける。当該制御によっても流量上昇が継続し、多数決決定方式により信頼性のあるとされた流量が、流量の上限閾値2を超えてレッドゾーンに入った場合には、本実施形態の緊急停止が作動する。なお、ここで上限閾値2は、状態(d1)及び(e1)において第七の基準値及び第九の基準値として定められるものである。
一方で、冗長な複数の流量計FIは、多数決決定方式により信頼性のあるとされた流量が、流量の下限閾値1を超えてイエローゾーンに入っていないかについても判断し、イエローゾーンに入っている場合には、流量を上昇させる方向にフィードバック及び/又はフィードフォーワード制御をかける。当該制御によっても流量下降が継続し、多数決決定方式により信頼性のあるとされた流量が、流量の下限閾値2を超えてレッドゾーンに入った場合には、本実施形態の緊急停止が作動する。ここで下限閾値2は、状態(d2)及び(e2)において第八の基準値及び第十の基準値として定められるものである。図11においては、比較的重大性の高い状態(d1)及び(e1)の判断をしてから状態(d2)及び(e2)を判断する流れとなるが、特にこれに制限されるものではない。
(異常を検知した場合の動作)
異常を検知する計器のどれかが異常を検知した場合、反応器は停止方向に操作される。反応を停止させる観点から、反応器への供給ガスは全て遮断する。すなわち、原料ガス及び酸素含有ガスの反応器への供給を止める。ガスの遮断は、流量を制御するコントロールバルブ(CV)の閉止に加え、遮断弁を設備してこれを閉止させることが好ましい。CVからの漏れを想定し、漏れを防止する観点から遮断弁を設置し、二重化しておくことが好ましいからである。反応器から流出するガスの行先は確保し、反応器が加圧し、破壊することを防止する。通常は、反応器から流出するガスは、反応器→急冷塔→吸収塔→廃ガス焼却施設→大気の順に流れるが、緊急停止時は、遮断弁を自動で作動させ、反応器→急冷塔→廃ガス焼却設備→大気とする。吸収塔につながないのは、反応器が複数基あり、吸収塔が共用である場合、正常な反応生成ガスがつながれている吸収塔に非定常時のガスを入れないためである。反応器内のガスの不活性ガスによるパージは必須ではないが、流動層触媒を高温かつ反応生成ガス雰囲気下における性能劣化を防止する観点で、不活性ガスによる反応生成ガスの追い出しを行っても良い。不活性ガスによる反応器内のガスをパージしない場合においては、停止後、反応器温度が低下するので、反応器の負圧対策として不活性ガスを負圧にならないよう適量流すのが良い。不活性ガスは、窒素の使用が好ましい。
停止した反応器に供給していた空気は不要であるので、空気圧縮機は、停止することが好ましい。冷却コイルへの冷媒供給はそのままの状態で維持して良い。
(反応)
本実施形態の流動層気相反応装置を用いて行う流動層気相反応としては、特に限定されないが、例えば、酸化反応、アンモ酸化反応、アルキル化反応が挙げられる。また、気相反応は発熱反応であっても吸熱反応であってもよいが、本実施形態の緊急停止の必要性の観点から発熱反応が好ましい。
反応原料としては気相反応の原料となるものであれば特に限定されず、例えば、アルカン、アルケン、アルコール、芳香族炭化水素が挙げられる。具体的には、上記アンモ酸化反応の場合、炭化水素等の有機化合物と、酸素や空気などの酸化剤と、アンモニアとが反応原料として用いられる。アンモ酸化反応の原料の一つとなる炭化水素の例として、アルカン及び/又はアルケンが挙げられる。有機化合物及び酸化剤はそれぞれ1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
アルカンとしては、特に制限されないが、例えば、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタンが挙げられる。また、アルケンとしては、特に制限されないが、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、t−ブチレンが挙げられる。これらの中では、生成するニトリル化合物の化学品中間原料としての価値の観点から、アルカンとしてはプロパン及び/又はイソブタンが好ましく、アルケンとしてはプロピレン及び/又はイソブチレンが好ましい。
また、反応器内に充填される気相反応の触媒としては、その反応に通常用いられ固体触媒であれば特に限定されないが、例えば、シリカ等に担持された金属酸化物触媒が挙げられる。
以下、本発明をより具体的に説明するため、プロピレン、アンモニア及び空気を縦型円筒型の流動層反応器に供給し、プロピレンのアンモ酸化反応を実施したとする場合のシミュレーションの結果について説明する。但し、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
まず、実施したシミュレーションの条件を表1に示す。なお、流動層気相反応装置としては、図3の構成を有するものを想定した。なお、気相反応としては、原料ガスはプロピレンとし、その他の原料ガスはアンモニアとし、酸素含有ガスは空気として、アンモ酸化反応を想定した。
[実施例1]
上記表1に記載の条件下で原料ガス流量及び空気流量は保持したまま、冷却コイルの冷媒喪失を想定した反応温度のシミュレーションを行った。冷却コイルの冷媒喪失時点を0minとして、冷却コイルの冷媒喪失からの反応器内の温度変化(実線)を図12に示す。冗長な複数の温度計TIにより測定される反応器内の温度が500℃(表1の反応温度の高基準値(第一の基準値))となり状態(a1)に達すると、緊急停止が作動して反応器への原料ガス及び空気の供給が遮断された。その結果、反応温度は点線のように降温した。
[実施例2]
上記表1に記載の条件下でプロピレンの供給減少を想定したシミュレーションを行った。プロピレン流量の減少開始時点を0minとして、プロピレン流量が1分当たり1%ずつ減少するケース(実線)と同5%ずつ減少するケース(破線)の反応温度の推移を図13に示す。冗長な複数の温度計TIにより測定される反応器内の温度が410℃(表1の反応温度の低基準値(第二の基準値))となり状態(a2)に達すると、緊急停止が作動して反応器への原料ガス及び空気の供給が遮断された。その結果、爆発混合気の形成が解消されたことが確認された。
[実施例3]
上記表1に記載の条件下で急冷塔出口の弁が閉止され、反応生成ガスが反応器から排出されないことを想定したシミュレーションを行った。急冷塔出口の弁の閉止時点を0secとして、急冷塔出口の弁の閉止からの反応器内の圧力変化(実線)を図14に示す。冗長な複数の圧力計PIにより測定される反応器内の圧力が1.5kg/cm2G(表1の反応器圧力の高基準値(第三の基準値))となり状態(b)に達すると、緊急停止が作動して反応器への原料ガス及び空気の供給が遮断され、ベント弁が開放された。その結果、反応器圧力は点線のように降下した。
[実施例4]
上記表1に記載の条件下で空気供給の増加を想定したシミュレーションを行った。原料空気流量の増加開始時点を0minとして、空気流量が1分当たり5%ずつ増加するケース(実線)と同10%ずつ増加するケース(破線)の酸素濃度の推移を図15に示す。冗長な複数の反応生成ガス分析器DIにより測定される酸素濃度が7%(表1の酸素濃度の高基準値(第四の基準値))となり状態(c1)に達すると、緊急停止が作動して反応器への原料ガス及び空気の供給が遮断された。その結果、酸素濃度は一点鎖線のように降下した。
[比較例1−1]
反応温度の高基準値を445℃(閾値の89%)とした以外は、実施例1と同様のシミュレーションを行った。その結果、正常運転の範囲ではあるものの、反応工程における反応温度は上下動(ゆらぎ)により445℃に達することがあったため、反応器の緊急停止が誤って作動された。
[比較例1−2]
反応温度の高基準値を510℃(閾値の102%)とした以外は、実施例1と同様のシミュレーションを行った。その結果、反応器の緊急停止が作動される前に、反応器の材質への悪影響が懸念された。
[比較例2−1]
反応温度の低基準値を350℃(閾値の97%)とした以外は、実施例2と同様のシミュレーションを行った。その結果、反応ガスが爆発混合気を形成し、反応器下流機器における火災、爆発現象の発生が懸念された。
[比較例2−2]
反応温度の低基準値を435℃(閾値の121%)とした以外は、実施例2と同様のシミュレーションを行った。その結果、正常運転の範囲ではあるものの、反応工程における反応温度は上下動(ゆらぎ)により435℃に達することがあったため、反応器の緊急停止が誤って作動された。
[比較例3−1]
反応器圧力の高基準値を1.3kg/cm2G(閾値の65%)とした以外は、実施例3と同様のシミュレーションを行った。その結果、正常運転の範囲ではあるものの、実機運転のスタートアップ及び/又はシャットダウン操作時に反応器圧力が1.3kg/cm2Gに近接することがあったため、反応器の緊急停止が誤って作動された。
[比較例3−2]
反応器圧力の高基準値を1.8kg/cm2G(閾値の90%)とした以外は、実施例3と同様のシミュレーションを行った。その結果、緊急停止による降圧が遅れると2.0kg/cm2G(反応器の設計圧力)に近接する可能性があることがわかった。
[比較例4−1]
酸素濃度の高基準値を4%(閾値の33%)とした以外は、実施例4と同様のシミュレーションを行った。その結果、正常運転の範囲ではあるものの、実機運転のスタートアップ及び/又はシャットダウン操作時において酸素濃度が4%に近接する場合があり、反応器の緊急停止が誤って作動された。
[比較例4−2]
酸素濃度の高基準値を13%(閾値の108%)とした以外は、実施例4と同様のシミュレーションを行った。その結果、緊急停止が作動される前に限界酸素濃度を超えており、火災、爆発の可能性が高い状態であることがわかった。
本発明の方法は、流動層気相反応装置を用いて原料ガスから反応生成ガスを製造する方法として有効に利用できる。特に、流動層気相反応装置の安全な運転という観点から、流動層気相反応装置の緊急停止方法として有用である。
1 反応器
2 酸素含有ガス導入管
3 酸素含有ガス分散板
4 原料ガス導入管
5 原料ガス分散管
6 冷却コイル
7 サイクロン
8 流出管
9a 濃厚層
9b 希薄層
A 酸素含有ガス
B 原料ガス
C 反応生成ガス
D 別の原料ガス
PI 圧力指示計
TI 温度指示計
FI 流量指示計
DI 反応生成ガス分析器

Claims (10)

  1. 流動層気相反応装置を用いて原料ガスから反応生成ガスを製造する方法であって、
    前記流動層気相反応装置が、触媒が流動可能に収納された反応器と、前記反応器に前記原料ガスを供給する第一の供給管と、前記反応器から前記反応生成ガスを排出する流出管と、前記反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、前記反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、前記流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、を有し、
    前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
    反応生成ガスの製造方法。
    (a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
    (a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
    (b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す前記圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
    (c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
    (c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
    (c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
  2. 前記流動層気相反応装置が、前記第一の供給管に設置された冗長な複数の原料ガス流量計FIをさらに有し、
    前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第七から第八の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(d1)から(d2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
    請求項1に記載の製造方法。
    (d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
    (d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
  3. 前記流動層気相反応装置が、前記反応器に酸素含有ガスを供給する第二の供給管と、前記第二の供給管に設置された冗長な複数の酸素含有ガス流量計FIと、をさらに有し、
    前記反応器内で、前記触媒の存在下で前記原料ガスを気相反応に供する反応工程において、下記第九から第十の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(e1)から(e2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、少なくとも前記第一の供給管、又は、前記第一の供給管及び前記第二の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させる停止工程を行うことを含む、
    請求項1又は2に記載の製造方法。
    (e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
    (e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
  4. 前記原料ガスが、アルカン及び/又はアルケンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記アルカンが、プロパン及び/又はイソブタンである、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記アルケンが、プロピレン及び/又はイソブチレンである、請求項4に記載の製造方法。
  7. 前記気相反応が、アンモ酸化反応である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 触媒が流動可能に収納された反応器と、前記反応器に原料ガスを供給する第一の供給管と、前記反応器から反応生成ガスを排出する流出管と、前記反応器に設置された冗長な複数の温度計TIと、前記反応器の希薄層部にある冗長な複数の圧力計PIと、前記流出管の下流にある冗長な複数の反応生成ガス分析器DIと、緊急反応停止制御部と、を有し、
    下記第一から第六の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(a1)から(c3)の6つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
    流動層気相反応装置。
    (a1) 反応器の設計温度又は触媒保護の観点から定められる最高温度のうちいずれか低い方の温度の90〜100%の値を第一の基準値とし、第一の基準値より大きな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
    (a2) 触媒の活性が低下して未反応が増え、反応器で爆発混合気を作る温度又は下流機器で異常燃焼が生じる温度のうちいずれか高い方の温度の100〜120%の値を第二の基準値とし、第二の基準値より小さな実測値を示す前記温度計TIの数が、温度計TIの総数の過半数を超過した状態
    (b) 反応器の設計圧力の70〜85%の値を第三の基準値とし、第三の基準値より大きな実測値を示す前記圧力計PIの数が、圧力計PIの総数の過半数を超過した状態
    (c1) 爆発限界酸素濃度の40〜100%の値を第四の基準値とし、第四の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
    (c2) 触媒の還元的な劣化が生じる酸素濃度の100〜120%の値を第五の基準値とし、第五の基準値より小さな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
    (c3) 原料ガス濃度の設計値の150〜300%の値を第六の基準値とし、第六の基準値より大きな実測値を示す前記反応生成ガス分析器DIの数が、反応生成ガス分析器DIの総数の過半数を超過した状態
  9. 前記流動層気相反応装置が、前記第一の供給管に設置された冗長な複数の原料ガス流量計FIをさらに有し、
    下記第七から第八の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(d1)から(d2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
    請求項8に記載の流動層気相反応装置。
    (d1) 触媒が失活する酸素濃度となる想定原料ガス流量値、反応器の設計温度となる想定原料ガス流量値、及び触媒が劣化する温度となる想定原料ガス流量値のうち最も低い流量値の85〜100%の値を第七の基準値とし、第七の基準値より大きな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
    (d2) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定原料ガス流量値の100〜120%の値を第八の基準値とし、第八の基準値より小さな実測値を示す前記原料ガス流量計FIの数が、原料ガス流量計FIの総数の過半数を超過する場合
  10. 前記流動層気相反応装置が、前記反応器に酸素含有ガスを供給する第二の供給管と、前記第二の供給管に設置された冗長な複数の酸素含有ガス流量計FIと、をさらに有し、
    下記第九から第十の基準値のそれぞれに対する実測値をモニターし、下記(e1)から(e2)の2つの状態のうち少なくとも1つの状態が発生した場合に、前記緊急反応停止制御部が、少なくとも前記第一の供給管、又は、前記第一の供給管及び前記第二の供給管を遮断することにより前記流動層気相反応装置の運転を緊急停止させるものである、
    請求項8又は9に記載の流動層気相反応装置。
    (e1) 流出管における酸素濃度が限界酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量値の85〜100%の値を第九の基準値とし、第九の基準値より大きな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
    (e2) 触媒が失活する酸素濃度となる想定酸素含有ガス流量の100〜120%の値を第十の基準値とし、第十の基準値より小さな実測値を示す前記酸素含有ガス流量計FIの数が、酸素含有ガス流量計FI2の総数の過半数を超過する場合
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