JP2015172015A - チオフェン系化合物の誘導体、チオフェン系化合物及びそれらの製造方法 - Google Patents

チオフェン系化合物の誘導体、チオフェン系化合物及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機半導体材料、有機EL、太陽電池等の導電性が必要とされる用途に用いることのできる、安定した構造を有する導電性チオフェン誘導体の提供。【解決手段】式(A−4)にて代表されるチオフェン誘導体。【選択図】なし

Description

本発明は、チオフェン系化合物の誘導体、チオフェン系化合物、並びに、それらの製造方法に関する。
近年では、有機半導体材料、有機EL、太陽電池等の導電性が必要とされる用途に用いる有機化合物として導電性の高いチオフェン系の化合物の応用が期待されており、種々のチオフェン系の化合物が研究されてきた。
例えば、特開2006−037098号公報(特許文献1)においては、チオフェンがトリアゾール等の複素芳香族環を介して複数結合した化合物やその製造方法が開示されている。また、特開2012−174805号公報(特許文献2)においては、第一の単分子膜にトリアゾールを介してオリゴチオフェンを固定化した材料やその製造方法が開示されている。しかしながら、このような特許文献1や2に記載のような従来の化合物や材料の製造方法では、チオフェン系化合物の導入数等を十分に制御することができず、所望の構造の単一の化合物を効率よく製造するといった点では必ずしも十分なものではなかった。
また、2011年発行の「J.Am.Chem.Soc(vol.133)」の16486−16494頁に記載のIan D.Tevisらの論文「Self−Assembly and Orientation of Hydrogen−Bonded Oligothiophene Polymorphs at Liquid−Membrane−Liquid Interfaces(非特許文献1)」においては、オリゴチオフェンの側鎖にアミド基を導入し、アミド基の相互作用を利用して、オリゴチオフェン部位を配列させる方法が開示されている。さらに、2005年発行の「Chem.Eur.J.(vol.11)」の4735〜4742頁に記載のShin−ichiro Kawanoらの論文「Quater−,quinque−,and sexithiophene organogelators: unique thermochromism and heating−free sol−gel phase transition(非特許文献2)」においては、コレステリル基を備えるオリゴチオフェン化合物において、ファンデルワールス力とπ−πスタッキングにより、オリゴチオフェン化合物を配列させる方法が開示されている。しかしながら、非特許文献1や2に記載の技術においては、水素結合やファンデルワールス力等によりオリゴチオフェンが配向されており、オリゴチオフェンが配列された安定した構造の誘導体を得るといった点では必ずしも十分なものではなかった。
また、2005年発行の「J.Am.Chem.Soc.(vol.127)」の8082−8089頁に記載のToyofumi Sakaiらの論文「Syntheses,structures,spectroscopic properties,and π−dimeric interactions of [n.n]quinquethiophenophanes(非特許文献3)」においては、特定のオリゴチオフェン部位を有する化合物を共有結合で結合させた多量体及びその製造方法が開示されている。さらに、2008年発行の「Chemistry Letters(vol.37、No.8)」の870〜871頁に記載のAkihiko Tsugeらの論文「Preparation,Structure,and Spectral Properties of Cyclophane Consisting of Oligothiphene Units(非特許文献4)」においては、2つのオリゴチオフェン部位を有するシクロファン型の化合物及びその製造方法が開示されている。しかしながら、このような非特許文献3〜4に記載のオリゴチオフェン部位を有する化合物は、オリゴチオフェン部位を逐次積み重ねることが困難な分子設計となっており、モノマーを逐次連結させてオリゴチオフェン部位を逐次配列させることは困難であった。
さらに、2012年発行の「Chem Commun.(vol.48)」の10618−10620頁に記載のJetsuda Areephongらの論文「Directional stack exchange along oriented oligothiophene stacks(非特許文献5)」においては、オリゴチオフェン部位を有する化合物を重合して、オリゴチオフェン部位がπ−πスタッキング等により自己組成的に配列した多量体を得ることが開示されている。しかしながら、このような非特許文献5に記載の多量体の製造方法では、所望の構造となるように選択的にオリゴチオフェンを配列して積み重ねることができず、複数のポリマーの複合物が形成されてしまい、所望の構造の単一のチオフェン系化合物の多量体を製造するといった点においては必ずしも十分なものではなかった。なお、非特許文献5に記載の多量体の製造方法では、チオフェン部位やオリゴチオフェン部位の構造などが異なる複数の異なる種類のチオフェン系化合物を利用して前記誘導体を製造する場合に、その種類に応じてチオフェン系化合物を導入する位置を制御したり、導入数を制御することはできなかった。
また、2003年発行の「Angew.Chem.Int.Ed.(vol.42)」の2285〜2289頁に記載のTeruaki Hayakawaらの論文「From Angstroms to Micrometers: Self−Organized Hierarchical Structure within a Polymer Film(非特許文献6)」においては、特定のポリマーの側鎖の水酸基に、末端にカルボン酸塩化物基[−C(=O)−Cl]を有するオリゴチオフェン化合物を反応させて、ポリマーの側鎖にオリゴチオフェン部位を導入する技術が開示されている。しかしながら、このような非特許文献6に記載の方法においても、やはりチオフェン系化合物の導入数等を十分に制御することが困難であり、所望の構造の単一の化合物を効率よく製造するといった点では必ずしも十分なものではなかった。
なお、特開2007-204367号公報(特許文献3)においては、特定の構造を有するヌクレオシド誘導体及びその製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献3においては、チオフェンやオリゴチオフェンの構造を有する化合物は何ら記載も示唆もなされていない。
特開2006−037098号公報 特開2012−174805号公報 特開2007-204367号公報
Ian D.Tevisら,「Self−Assembly and Orientation of Hydrogen−Bonded Oligothiophene Polymorphs at Liquid−Membrane−Liquid Interfaces」,J.Am.Chem.Soc.2011年発行,vol.133,16486−16494頁 Shin−ichiro Kawanoら,「Quater−,quinque−,and sexithiophene organogelators: unique thermochromism and heating−free sol−gel phase transition」,Chem.Eur.J.,2005年発行,vol.11,4735〜4742頁 Toyofumi Sakaiら,「Syntheses,structures,spectroscopic properties,and π−dimeric interactions of [n.n]quinquethiophenophanes」,J.Am.Chem.Soc.,2005年発行,vol.127,8082−8089頁 Akihiko Tsugeら,「Preparation,Structure,and Spectral Properties of Cyclophane Consisting of Oligothiphene Units」,Chemistry Letters,2008年発行,vol.37,No.8,870〜871頁 Jetsuda Areephongら,「Directional stack exchange along oriented oligothiophene stacks」,Chem Commun.,2012年発行,vol.48,10618−10620頁 Teruaki Hayakawaら,「From Angstroms to Micrometers: Self−Organized Hierarchical Structure within a Polymer Film」,Angew.Chem.Int.Ed.,2003年発行,vol.42,2285〜2289頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、チオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位を有しながら安定した構造を有することを可能とするチオフェン系化合物の誘導体を提供すること;その誘導体の原料化合物として好適に利用可能なチオフェン系化合物を提供すること;前記チオフェン系化合物の誘導体を効率よく製造することが可能なチオフェン系化合物の誘導体の製造方法を提供すること;及び、前記チオフェン系化合物を効率よくかつ確実に製造することが可能なチオフェン系化合物の製造方法を提供すること;を目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表される構造単位を含有せしめることにより、チオフェン系化合物の誘導体を、チオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位を有しながら安定した構造を有するものとすることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のチオフェン系化合物の誘導体は、下記一般式(1):
Figure 2015172015
[式(1)中、Rは水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかを示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかを示し、
Yは下記一般式(2−i)〜(2−iv):
Figure 2015172015
(式中、Rは単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、Rは式(1)中のテトラヒドロフラン骨格の5位の炭素に結合しておりかつ単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかを示し、
Zは下記一般式(3):
−S−R− (3)
(式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかを示し、
nは0〜500のうちのいずれかの整数を示す。]
で表される構造単位を含有することを特徴とするものである。
上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体としては、下記一般式(4):
Figure 2015172015
[式(4)中のR、R、R、R、R、Y、Z及びnは、前記式(1)中のR、R、R、R、R、Y、Z及びnと同義であり、
は保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
は、Rが保護基で保護されていてもよいエチニル基である場合には保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、Rがアジド基及び置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかを示し、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
mは1〜500のうちのいずれかの整数を示す。]
で表される化合物であることが好ましい。
また、本発明のチオフェン系化合物は、下記一般式(5):
Figure 2015172015
[式(5)中、Rは水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかを示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかを示し、
は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
は保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
は、Rが保護基で保護されていてもよいエチニル基である場合には保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、Rがアジド基及び置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかを示し、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
Zは下記一般式(3):
−S−R− (3)
(式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかを示し、
nは0〜500のうちのいずれかの整数を示す。]
で表される化合物であることを特徴とするものである。
また、本発明の第一のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(以下、場合により、単に「チオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)」と称する。)は、下記一般式(5):
Figure 2015172015
で表され、該式中のRが水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかであり、R及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Zが下記一般式(3):
−S−R− (3)
(式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかであり、nが0〜500のうちのいずれかの整数であり、Rがエチニル基であり、かつRが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかである化合物(A)と、
前記一般式(5)で表され、該式中のR、R、R、R、R、Z、nが前記化合物(A)中のR、R、R、R、R、Z、nと同義であり、Rがアジド基であり、かつ、Rが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである化合物(B)と、
を反応せしめ、前記一般式(1)中のYが前記式(2−i)及び(2−iii)で表される基のうちのいずれかである構造単位を含有する上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体を得ることを特徴とする方法である。
上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)においては、前記化合物(B)として前記一般式(5)中のRが保護基で保護されたエチニル基である化合物を用い、
反応後に得られた生成物中に存在する保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離し、該保護基を脱離した生成物と前記化合物(B)とを反応せしめる工程を1回以上施すことが好ましい。
本発明の第二のオフェン系化合物の誘導体の製造方法(以下、場合により、単に「チオフェン系化合物の誘導体の製造方法(II)」と称する。)は、下記一般式(5):
Figure 2015172015
で表され、該式中のRが水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかであり、R及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Zが下記一般式(3):
−S−R− (3)
(式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかであり、nが0〜500のうちのいずれかの整数であり、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかであり、かつRがエチニル基である化合物(C)と、
前記一般式(5)で表され、該式中のR、R、R、R、R、Z、nが前記化合物(C)中のR、R、R、R、R、Z、nと同義であり、Rがアジド基であり、かつRが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである化合物(D)と、
を反応せしめ、前記一般式(1)中のYが上記式(2−ii)及び(2−iv)で表される基のうちのいずれかである構造単位を含有する上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体を得ることを特徴とする方法である。
本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(II)においては、前記化合物(D)として前記一般式(5)中のRが保護基で保護されたエチニル基である化合物を用い、
反応後に得られた生成物中に存在する保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離し、該保護基を脱離した生成物と前記化合物(D)とを反応せしめる工程を1回以上施すことが好ましい。
本発明のチオフェン系化合物の製造方法は、下記一般式(6):
Figure 2015172015
[式(6)中、Rは水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかを示し、
は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
は保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
は、Rが保護基で保護されていてもよいエチニル基である場合には保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、Rがアジド基及び置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかを示し、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
Xはハロゲン原子、水素原子、一価の金属、グリニャール試薬、グリニャール試薬の塩、有機クプラート、グリニャール試薬以外のハロゲン化金属、トリアルキルスズ、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリアルキルケイ素のうちのいずれかを示し、
Zは下記一般式(3):
−S−R− (3)
(式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかを示す。]
で表される化合物と、下記一般式(7):
Figure 2015172015
[式(7)中、R及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかを示し、
Qはハロゲン原子、水素原子、一価の金属、グリニャール試薬、グリニャール試薬の塩、有機クプラート、グリニャール試薬以外のハロゲン化金属、トリアルキルスズ、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリアルキルケイ素のうちのいずれかを示し、
nは0〜500のうちのいずれかの整数を示す。]
で表される化合物とを反応せしめて、上記本発明のチオフェン系化合物を得ることを特徴とする方法である。
上記本発明のチオフェン系化合物の製造方法においては、前記一般式(6)中のXがハロゲン原子であり、かつ、前記一般式(7)中のQが下記一般式(8):
Figure 2015172015
(式中、*は式(7)中のチオフェンジイル基とQとの間の結合手を示す。)
で表される基であることが好ましい。
本発明によれば、チオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位を有しながら安定した構造を有することを可能とするチオフェン系化合物の誘導体を提供すること;その誘導体の原料化合物として好適に利用可能なチオフェン系化合物を提供すること;前記チオフェン系化合物の誘導体を効率よく製造することが可能なチオフェン系化合物の誘導体の製造方法を提供すること;及び、前記チオフェン系化合物を効率よくかつ確実に製造することが可能なチオフェン系化合物の製造方法を提供すること;が可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[チオフェン系化合物の誘導体]
本発明のチオフェン系化合物の誘導体は、下記一般式(1):
Figure 2015172015
で表される構造単位を含有することを特徴とするものである。
上記一般式(1)中のRは水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかである。このようなヒドロキシル基の保護基としては、特に制限されず、ヒドロキシル基の保護基として利用可能な公知の基を適宜選択できるが、例えば、アセチル基等のアルカノイル基(アシル基)、トリフルオロアセチル基等のハロゲン化低級アルカノイル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基等の置換又は無置換アリールアルキル基、ベンゾイル基等のアロイル基、トリメチルシリル基等のアルキルシリル基等が挙げられる。このような保護基の中でも、製造の容易性の観点から、アセチル基が好ましい。
このようなRとしては、誘導体の原料となるチオフェン系化合物の製造時において、1’位に置換基を導入する際に2’位にアセチル基が存在する条件下で高立体選択的に置換基を導入することができ、入手が容易であるという観点からは、ヒドロキシル基がアセチル基などのアシル基に保護された基となっていることが好ましく、また、化合物の塩基性条件下での安定性の観点からは、ヒドロキシル基もしくは水素原子であることが好ましい。更に、構造の柔軟性の観点からは、水素原子であることが好ましい。
上記一般式(1)中のR及びRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかである。
このような一価の有機基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基等)、ホスホノ基を好適に利用できる。
また、このような一価の有機基の中でも、製造の容易性(原料化合物の入手の容易性等)や化合物の溶解性等の観点から、アルキル基が好ましく、炭素数が20以下(更に好ましくは炭素数が12以下、特に好ましくは炭素数が1〜6)のアルキル基がより好ましい。
また、R及びRとして選択され得るハロゲン原子としては、製造の容易性等の観点から、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I
)が好ましく、塩素(Cl)、臭素(Br)がより好ましい。
また、このようなR及びRとしては、それぞれ製造の容易性(原料化合物の入手の容易性等)や化合物の溶解性等の観点から、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(より好ましくは炭素数が12以下のアルキル基)であることが好ましく、水素原子、アルキル基(より好ましくは炭素数が12以下のアルキル基)であることがより好ましい。
上記一般式(1)中のYは下記一般式(2−i)〜(2−iv):
Figure 2015172015
(式中、Rは単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、Rは式(1)中のテトラヒドロフラン骨格の5位の炭素に結合しておりかつ単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかである(なお、ここにいうテトラヒドロフラン骨格の5位の炭素とは、上記一般式(1)においてYが結合しているテトラヒドロフラン骨格中の炭素をいう。)。
このような一般式(2−i)〜(2−iv)中、R及びRはそれぞれ独立に単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかである。なお、ここにいう単結合とは、Rが単結合である場合を例に説明すると、一般式(2−i)〜(2−iv)中においてRが結合しているトリアゾール環の炭素又は窒素が、テトラヒドロフラン骨格の5位の炭素と直接結合していることを意味する(このように、「単結合」とは、直接結合を意図する。)。
また、このようなR及びRとして選択され得る、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基としては、置換又は無置換の炭素数が1〜6のアルキレン基、置換又は無置換の炭素数が2〜6のアルケニレン基、置換又は無置換の炭素数が2〜6のアルキニレン基(ここにおいて、前記アルキレン基、前記アルケニレン基及び前記アルキニレン基は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を有していてもよい)、並びに、飽和、部分的飽和又は芳香族の、置換又は無置換の、4〜7員単環式又は8〜10員二環式の炭素環基又はヘテロ環基(ここで、前記ヘテロ環基は、環員として、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む)であることが好ましい。
また、前記飽和、部分的飽和または芳香族の、置換又は無置換の、4〜7員単環式又は8〜10員二環式の炭素環基又はヘテロ環基としては、置換又は無置換のアリーレン基、ヘテロアリーレン基及びシクロアルキレン基が好ましい。また、このような置換基としては、特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が1〜6のアルケニル基、炭素数が1〜6のアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基中の少なくとも1つの水素原子とアリール基とが置換された炭素数が1〜6のアルキル基、アルキル基中の少なくとも1つの水素原子とヘテロアリール基とが置換された炭素数が1〜6のアルキル基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、炭素数が1〜6のアルキルアミノ基、炭素数が1〜6のアルキルチオ基等が挙げられる。また、前記アリール基は、5〜20個の炭素原子、好ましくは6〜14個の炭素原子、さらに好ましくは6〜10個の炭素原子を含んでいる芳香族の単環式又は多環式炭化水素環基であることが好ましい。このようなアリール基としては、特に制限されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アズレニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、テトラヒドロナフチル基、インダニル基およびフェナントリジニル基等が挙げられる。更に、前記アリーレン基は、上記アリールの二価の基を意味する。
また、前記ヘテロアリール基は、芳香族の単環式環基又は多環式環基であることが好ましい。ここで、該芳香族の単環式環基または多環式環基とは、5〜20個の炭素原子、好ましくは5〜10個の炭素原子を含み、その際、1個以上の環炭素、好ましくは、1〜4個の環炭素が、それぞれ、酸素原子、窒素原子または硫黄原子などのヘテロ原子で置き換えられたものである。このようなヘテロアリール基としては、5〜6員の単環式ヘテロアリール基及び8〜10員の二環式ヘテロアリール基が包含される。このようなヘテロアリール基としては、特に制限されないが、例えば、イミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、インダゾリル基、ピリダジル基、ピリジル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、キノキサリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、フリル基、チエニル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、テトラゾリル基、ベンゾフラニル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチエニル基、キノリニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソキノリニル基、イソインドリル基、アクリジニル基及びベンゾイソオキサゾリル基等が挙げられる。なお、前記ヘテロアリーレン基は上記ヘテロアリール基の二価の基を意味する。
また、前記シクロアルキル基としては、3〜20個の炭素原子、好ましくは3〜12個の炭素原子、さらに好ましくは3〜10個の炭素原子を有する、単環式又は多環式の非芳香族炭化水素環基が好ましい。更に、前記シクロアルキレン基は上記シクロアルキル基の二価の基を意味する。
このようなR及びRとしては、それぞれ、製造の容易性の観点から、単結合、置換基を有していてもよい炭素数が1〜6(より好ましくは1〜3)のアルキレン基、酸素原子(この場合、−R−はエーテル基となる。)、硫黄原子(この場合、−R−はチオエーテル基となる。)、式:NHで表される基(この場合、−R−は、−NH−で表される基となる。)が好ましく、単結合、置換基を有していてもよい炭素数が1〜6(より好ましくは1〜3)のアルキレン基がより好ましい。
また、上記一般式(1)中のZは下記一般式(3):
−S−R− (3)
で表される基のうちのいずれかである。
このような一般式(3)中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかである。
このようなRとして選択され得るアルキレン基としては炭素数が1〜10のものが好ましく、1〜5のものがより好ましい。このような炭素数が前記上限を超えるとアルキル鎖どうしの非特異的な相互作用が強くなる傾向にある。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられるが、中でも、化合物の溶解性の観点から、プロピレン基,ブチレン基が好ましい。また、このようなRとして選択され得るアリーレン基としては、R及びRにおいて説明したアリーレン基と同様のものが好ましい。
また、Rとして選択され得るアルキレン基及びアリーレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が1〜6のアルケニル基、炭素数が1〜6のアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基中の少なくとも1つの水素原子とアリール基とが置換された炭素数が1〜6のアルキル基、アルキル基中の少なくとも1つの水素原子とヘテロアリール基とが置換された炭素数が1〜6のアルキル基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、炭素数が1〜6のアルキルアミノ基、炭素数が1〜6の1〜6アルキルチオ基等が挙げられる。このような置換基の中でも化合物の溶解性の観点からは、水素原子、炭素数が1〜6のアルキル基が好ましい。
また、Rとして選択され得る置換基を有していてもよいチオフェンジイル基としては、下記一般式(9):
Figure 2015172015
で表される基が挙げられる。このような式(9)中のRは一般式(1)中のRと同様のものである(Rは一般式(1)中のRと同義であり、その好適なものも同様である。)。なお、Rが単結合の場合には、Zは式:−S−で表される基となる。
さらに、上記一般式(1)中のZにおいては、製造の容易性の観点から、Rが、アリーレン基、チオフェンジイル基であることが好ましく、フェニレン基、チオフェンジイル基であることがより好ましい。
さらに、上記一般式(1)中のnは0〜500のうちのいずれかの整数である。このようなnの値が前記上限を超えると精製が困難となる傾向にある。このようなnとしては、チオフェン系化合物間のπスタックを強化し,かつ製造が容易であるという観点から、4〜50であることがより好ましく、4〜10であることが更に好ましい。
本発明においては、上記一般式(1)で表される構造単位を有していればよく、チオフェン系化合物の誘導体中に含有されている該構造単位の数は特に制限されないが、該構造単位の数は1〜500であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。このような構造単位の数が前記上限を超えると精製が困難となる傾向にある。なお、前記構造単位を複数含有する場合、R、R、R、Y、Z及びnはそれぞれ同一のものであってもよく、あるいは、異なるものであってもよい。このように、前記構造単位を複数含有する場合、R、R、R、Y、Z及びnは、構造単位ごとに、それぞれ独立に選択することができる。なお、このような構造単位を有するチオフェン系化合物の誘導体は、例えば、後述の本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法を利用することで、製造時に利用するチオフェン系化合物の種類に応じて、容易に、R、R、R、Y、Z及びnの種類が異なる複数の構造単位を適宜組み合わせたものとすることも可能である。
また、このような構造単位の含有量としては、チオフェン系化合物の誘導体中の全構造単位に対して30モル%以上であることが好ましく、30〜80モル%であることが好ましい。このような含有量が前記下限未満ではチオフェン系化合物間のπスタックが弱くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると製造が困難となる傾向にある。
また、本発明のチオフェン系化合物の誘導体としては、下記一般式(4):
Figure 2015172015
で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(4)中のR、R、R、R、R、Y、Z及びnは、前記式(1)中のR、R、R、R、R、Y、Z及びnと同義である。
また、上記一般式(4)中のRは、保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかである。
このようなエチニル基の保護基としては、特に制限されず、エチニル基の保護基として利用可能な公知の基を適宜選択でき、例えば、トリアルキルシリル基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ブチルジメチルシリル基、テキシルジメチルシリル基等)、ビフェニルジアルキルシリル基(ビフェニルジメチルシリル基、ビフェニルジイソプロピルシリル基等)、ジメチル[1,1−ジメチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロピルシリル]、2−(2−ヒドロキシプロピル)等が挙げられる。このような保護基の中でも、製造の容易性の観点から、トリアルキルシリル基がより好ましい。
また、ヒドロキシル基の保護基としては、特に制限されず、ヒドロキシル基の保護基として利用可能な公知の基を適宜選択できるが、例えば、アセチル基等の低級アルカノイル基、トリフルオロアセチル基等のハロゲン化低級アルカノイル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基等の置換又は無置換アリールアルキル基、ベンゾイル基等のアロイル基、トリメチルシリル基等のアルキルシリル基等が挙げられる。このような保護基の中でも、製造の容易性の観点から、ベンゾイル基が好ましい。
さらに、アミノ基(−NH)の保護基としては、特に制限されず、アミノ基の保護基として利用可能な公知の基を適宜選択できるが、例えば、アセチル基等の低級アルカノイル基、トリフルオロアセチル基等のハロゲン化低級アルカノイル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基等の置換又は無置換アリールアルキル基、ベンゾイル基等のアロイル基等が挙げられる。このような保護基の中でも、製造の容易性の観点から、ベンゾイル基が好ましい。
前記置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基としては、下記一般式(10):
Figure 2015172015
で表される基が好ましい。このような式(10)中のRは上記一般式(1)中のRと同様のものである(Rは一般式(1)中のRと同義であり、その好適なものも同様である。)。このように、1,2,3−トリアゾール基が有していてもよい置換基は、一般式(1)中のRと同様の基とすることが好ましい。
また、このような一般式(4)中のR及び/又はRとして選択され得る基材としては、R若しくはRに、又は、R若しくはRが単結合の場合にはテトラヒドロフラン骨格の4位若しくは5位の炭素原子に、直接的に、あるいは、連結基等を介して、結合することが可能なものであれば、特に制限されるものではなく、用途等に応じて適宜様々な材料等を基材として利用することができ、例えば、ポリスチレン樹脂等(樹脂材料等)の有機化合物、ガラス材料(例えば多孔性の球状ガラスビーズ(CPG)等)等の無機材料(無機化合物等)等が挙げられ、高分子化合物(多量体)の1分子であっても、あるいは、各種形状に形成された基板などであってもよい。このような基材の形態は特に制限されず、各種形態を採用でき、例えば、板状体等の各種形状に形成された状態のものであってもよい。また、このような基材としては、例えば、太陽電池用の電極基板、有機発光ダイオードなどの各種基板であってもよい(この場合、例えば、該基板の表面上の有機化合物又は無機化合物と酸素原子、エチニル基、アジド基などの連結基を介して、R若しくはRに、又は、R若しくはRが単結合の場合にはテトラヒドロフラン骨格の4位若しくは5位の炭素原子に、結合するような形態となっていてもよい。)。
このようなRとしては、製造の容易性の観点から、保護基で保護されていてもよいエチニル基であることがより好ましく、無保護のエチニル基であることが更に好ましい。
また、上記一般式(4)中のRは、保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかである。このようなRとして選択され得る基(保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基)や基材としては、Rとして選択され得る基や基材と同様のものであり、その好適なものもRで説明したものと同様である。
ここにおいて、上記一般式(4)中のRは、製造時に利用する化合物の構造上、Rが保護基で保護されていてもよいエチニル基である場合には、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかであることが好ましい。また、上記一般式(4)中のRは、製造時に利用する化合物の構造上、Rがアジド基及び置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基のうちのいずれかである場合には、保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかであることが好ましい。また、上記一般式(4)中のRは、製造時に利用する化合物の構造上、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかであることが好ましい。なお、Rが基材であって、かつ太陽電池用の電極基板、有機発光ダイオードなどの各種の基板である場合には、上記一般式(4)中のRは、製造の容易性等の観点から、保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基及び置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基のうちのいずれかであることがより好ましい。
また、上記一般式(4)中のmは、1〜500のうちのいずれかの整数である。このようなmの値が前記上限を超えると精製が困難となる傾向にある。また、上記一般式(4)中のmの値は製造の容易性の観点から、4〜50であることがより好ましく、4〜10であることが更に好ましい。なお、このようなmの好適な範囲が前記下限未満ではチオフェン化合物間のπスタックが弱くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると製造が困難となる傾向にある。
このように、上記一般式(1)で表される構造単位を含有する本発明のチオフェン系化合物の誘導体は、下記一般式:
Figure 2015172015
で表されるチオフェン部位、及び/又は、下記一般式:
Figure 2015172015
(式中、lは1〜500の整数を示す。)
で表されるオリゴチオフェン部位が、Zで表される基を介してテトラヒドロフラン骨格に結合し、かかるテトラヒドロフラン骨格が一般式(1)中においてYで表される基(トリアゾール環を含む基)により、他の構造単位中のテトラヒドロフラン骨格と結合(共有結合)したものとすることも可能であるため、該誘導体の構造を、前記チオフェン部位及び/又は前記オリゴチオフェン部位を有する基を共有結合により架橋した構造とすることが可能であり、前記チオフェン部位及び/又は前記オリゴチオフェン部位を有しつつ該部位が高度に安定した状態で配列された構造体として利用することが可能である。なお、このような本発明のチオフェン系化合物の誘導体においては、複数の前記チオフェン部位及び/又は前記オリゴチオフェン部位を、いわゆるπスタッキングを利用して自己組成的に配列させることも可能であることから、配向性を十分に制御することも可能である。このように、本発明のチオフェン系化合物の誘導体においては、前記チオフェン部位及び/又は前記オリゴチオフェン部位を共有結合により架橋させた構造体とすることができるため、所望の分子のパッキング構造や所望の配向性を有し、十分に精密な空間制御(空間的な配列の制御)が行なわれた構造体とすることも可能である。従って、このような本発明のチオフェン系化合物の誘導体は、前記チオフェン部位及び/又は前記オリゴチオフェン部位の構造に由来して十分に高度な導電性を付与することも可能であり、例えば、有機半導体材料、有機ELや有機太陽電池等の材料に好適に利用することが可能である。
[チオフェン系化合物]
本発明のチオフェン系化合物は、下記一般式(5):
Figure 2015172015
で表される化合物であることを特徴とするものである。
このような一般式(5)中、R、R、R、R、R、R、R、R、Z、nは、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体において説明した、一般式(1)及び/又は(4)中のR、R、R、R、R、R、R、R、Z、nと同義であり、その好適なものも一般式(1)及び/又は(4)中のR、R、R、R、R、R、R、R、Z、nと同様である。
このような本発明のチオフェン系化合物は、これを適宜選択して利用することで、本発明のチオフェン系化合物の誘導体を効率よく製造することが可能である。そのため、本発明のチオフェン系化合物は、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体を製造するための原料化合物として好適に利用可能である。例えば、本発明のチオフェン系化合物として、一般式(5)中のRが保護基で保護されていてもよいエチニル基でありかつRがアジド基であるチオフェン系化合物、又は、一般式(5)中のRがアジド基でありかつRが保護基で保護されていてもよいエチニル基であるチオフェン系化合物を準備した場合、準備した種類のチオフェン系化合物の化合物間においてエチニル基とアジド基とを反応せしめることで、複数のチオフェン系化合物を互いに連結することが可能となり、上記一般式(1)で表される構造単位を有するチオフェン系化合物の誘導体を製造することも可能である。なお、配列状態を適宜制御した誘導体を製造するといった観点からは、後述の本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)及び(II)に記載のように、本発明のチオフェン系化合物の中から化合物(A)〜(D)を選択して適宜組み合わせて利用することが好ましい。
[チオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)]
本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)は、下記一般式(5):
Figure 2015172015
で表され、該式中のRが水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかであり、R及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Zが下記一般式(3):
−S−R− (3)
(式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかであり、nが0〜500のうちのいずれかの整数であり、Rがエチニル基であり、かつRが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかである化合物(A)と、
前記一般式(5)で表され、該式中のR、R、R、R、R、Z、nが前記化合物(A)中のR、R、R、R、R、Z、nと同義であり、Rがアジド基であり、かつ、Rが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである化合物(B)と、
を反応せしめ、上記一般式(1)中のYが前記式(2−i)及び(2−iii)で表される基のうちのいずれかである構造単位を含有する上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体を得ることを特徴とする方法である。
このような化合物(A)は、Rがエチニル基であり、かつRが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかである以外は、上記本発明のチオフェン系化合物(前記一般式(5)で表される化合物)と同様のものである。すなわち、化合物(A)に関して、式(5)中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nは、上記本発明のチオフェン系化合物において説明した一般式(5)中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nと同様のものであり、その好適なものも一般式(5)中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nと同様のものである。また、化合物(A)に関して、Rがエチニル基であり、かつRが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかである。なお、このような保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材としては、上記一般式(4)中のRにおいて説明した、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材と同様のものである。
また、前記化合物(B)は、前記一般式(5)で表され、該式中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nが前記化合物(A)中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nと同義であり、Rがアジド基であり、かつ、Rが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである化合物である。なお、このような保護基で保護されたエチニル基における保護基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材としては、上記一般式(4)中のRにおいて説明した、保護基で保護されていてもよいエチニル基の保護基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材と同様のものである。
このように、前記化合物(B)は、上記本発明のチオフェン系化合物のうち、Rが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかであり、かつRがアジド基である化合物である。
このように、前記化合物(A)は前記一般式(5)で表され且つ構造中にエチニル基を有する化合物であり、前記化合物(B)は前記一般式(5)で表され且つ構造中にアジド基を有する化合物となる。
本発明においては、前記化合物(A)と前記化合物(B)を反応させる。このような反応は、前記化合物(A)中のエチニル基と前記化合物(B)中のアジド基とを反応させて1,2,3−トリアゾール環を形成させることが可能な方法であればよく、エチニル基とアジド基とを反応させてトリアゾール環を形成させることが可能な公知の方法を適宜採用することができる。このような化合物(A)及び(B)を反応させるための具体的な方法として、例えば、クリック化学の代表例である銅触媒Huisgen[3+2]型付加環化反応を活用してもよい。なお、エチニル基とアジド基を反応させて1,2,3−トリアゾール環を形成する反応自体は公知である(例えば、K.B.Sharpless et al.,Angrew.Chem.Int.Ed.,2001年発行,vol.40,2004−2021頁;Li Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.2005年発行,15998−15999頁等)。
また、このようなエチニル基とアジド基とを反応させる反応は、一価銅錯体又はルテニウム錯体の存在下で行うことが好ましい。このような一価銅錯体としては、例えば、臭化銅ジメチルスルフィド錯体等のハロゲン化銅ジメチルスルフィド錯体、並びに、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)及び塩化銅(I)等のハロゲン化銅(I)が挙げられる。硫酸銅(II)又は硫酸銅(II)五水和物をアスコルピン酸ナトリウム等の還元剤により溶液中で一価銅を生成させる手法も好適に使用できる。溶媒への溶解性が高いことから、臭化銅ジメチルスルフィド錯体を用いるのが好ましい。このような一価銅錯体は、上記式(2−i)および式(2−ii)で表される基の形成に好適である。また、ルテニウム錯体としては、Ru(OAc)(PPh、Cp*RuCl(PPh、Cp*RuCl(NBD)等の二価ルテニウム錯体(なお、化学式中、Cpはシクロペンタン環を示す。)が挙げられる。このようなルテニウム錯体は、上記式(2−iii)および式(2−iv)で表される基の形成に好適である。
また、このような反応は、溶媒中において行うことが好ましい。このような溶媒としては、特に制限されないが、例えば、アルコール、DMF、ピリジン、THF、水、DMSOを用いることができる。また、このような反応においては、特に制限されないが、一価銅錯体を用いる場合、一価の銅が酸化されやすいという観点から、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
なお、このような化合物(A)と(B)の反応は、例えば、下記反応式(I):
Figure 2015172015
[反応(I)式中、式:−Tで表される基は、下記一般式:
Figure 2015172015
で表される基(式中のR、R、Z、nは、上記本発明のチオフェン系化合物において説明した式(5)中のR、R、Z、nと同義である。)を示し、式(5−I)で表わされる化合物は化合物(A)を示し、式(5−II)で表わされる化合物は化合物(B)を示し、式(1−I)中のYは上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体において説明した前記式(2−i)及び(2−iii)で表される基のうちのいずれかであり、式(1−I)中のRは化合物(B)において選択されたRと同義であり、式(1−I)中のRは化合物(A)において選択されたRと同義である。なお、式(5−I)、式(5−II)及び式(1−I)中のR、R、Rは、上記本発明のチオフェン系化合物において説明した式(5)中のR、R、Rと同義であり、式(5−I)中のRは、化合物(A)において選択され得るRと同義であり、式(5−II)中のRは、化合物(B)において選択され得るRと同義である。]
で表されるような反応とすることも可能である。
このように、化合物(A)と(B)を反応させることにより、上記一般式(1)中のYが前記式(2−i)及び(2−iii)で表される基のうちのいずれかである構造単位(反応式(I)中の式(1−I)で表される化合物中の大括弧内の構造部分)を含有する上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体を得ることが可能となる。なお、このような反応により、上記一般式(4)で表されるチオフェン系化合物の誘導体(Rが化合物(B)において選択されたRと同じものとなり、Rが化合物(A)において選択されたRと同じものとなるチオフェン系化合物の誘導体)を得ることが可能である。
また、本発明においては、化合物(A)及び(B)を反応させる工程を含んでいればよく、他の工程を適宜含んでいてもよい。このような他の工程としては特に制限されるものではなく、目的とする誘導体の構造に応じて各種工程を適宜採用することができる。
また、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)においては、得られる誘導体に、前記チオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位を逐次的に導入していくことが可能となるといった観点から、前記化合物(B)として前記一般式(5)中のRが保護基で保護されたエチニル基である化合物を用い、反応後に得られた生成物中に存在する保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離し、該保護基を脱離した生成物と前記化合物(B)とを反応せしめる工程を1回以上施すこと(場合により繰り返し施すこと)が好ましい。
このような工程を、その好適な一実施形態として、下記反応式(II):
Figure 2015172015
で表される反応を例に挙げて簡単に説明する。なお、反応式(II)中のR、R、R、R、T、Y、nは、反応式(I)中のR、R、R、R、T、Y、nと同義であり、Vはエチニル基の保護基を示す。そのため、反応式(II)中の式(5−I)で表される化合物は前記化合物(A)であり、式(5−II’)で表される化合物は、前記一般式(5)中のRが保護基で保護されたエチニル基である化合物(B)である。
このような反応式(II)においては、先ず、式(5−I)で表される化合物(A)と、Rが保護基で保護されたエチニル基である式(5−II’)で表される化合物(B)とを反応させる工程(工程I)を施し、次に、反応後に得られた生成物(式(1−Ia)で表される化合物)中に存在する保護基で保護されたエチニル基から、保護基を脱離する工程(工程II)を施し、次いで、保護基を脱離した生成物(式(1−Ib)で表される化合物)と、式(5−II’)で表される化合物(B)とを反応せしめる工程(工程III)とを施して、mが2となる一般式(1−Ic)で表される化合物を得る。
このような工程Iは、化合物(B)としてRが保護基で保護されたエチニル基である化合物を用いる以外は、既に説明した化合物(A)と化合物(B)の反応と同様の反応を行う工程である。このような保護基(反応式(II)中のV)としては、前記一般式(4)中のRにおいて説明したエチニル基の保護基と同様のものである。
また、工程IIは、前記工程Iに記載の反応後に得られた生成物(式(1−Ia)で表される化合物)中に存在する保護基で保護されたエチニル基から、保護基を脱離する工程(エチニル基を脱保護する工程)である。このような保護基(反応式(II)中のV)を脱離する方法としては特に制限されず、保護基の種類に応じて公知の方法を適宜採用できる。このような保護基(反応式(II)中のV)を脱離する方法としては、例えば、保護基がトリアルキルシリル基である場合には、テトラブチルアンモニアフルオリドを用いて脱離する方法等を適宜採用してもよい。
工程IIIは、保護基を脱離した生成物(式(1−Ib)で表される化合物)と、式(5−II’)で表される化合物(B)とを反応せしめる工程である。このような工程IIIにおける反応は、式(1−Ib)で表される化合物中のエチニル基と、式(5−II’)で表される化合物中のアジド基とを反応させるものであり、基本的に、化合物(A)と前記化合物(B)の反応(化合物(A)中のエチニル基と化合物(B)中のアジド基との反応)において採用する反応条件(錯体の種類等も含む)と同様の反応条件を採用することができる。
また、このような反応式(II)で得られる生成物(式(1−Ic)で表される化合物)を、式(1−Ia)で表される化合物の代わりに用いて、工程II及び工程IIIを繰り返すことにより、mの数値を順次増加させた化合物を得ることが可能となる。すなわち、前記化合物(B)として前記一般式(5)中のRが保護基で保護されたエチニル基である化合物を用い、反応後に得られた生成物中に存在する保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離し、該保護基を脱離した生成物と前記化合物(B)とを反応せしめる工程を繰り返し施すことで(各工程により得られる生成物を前述の「反応後に得られた生成物」として利用して、前記工程を繰り返すことで)、mの数値を順次増加させた化合物を得ることが可能となる。このように、本発明によれば、保護基を利用して、誘導体中に逐次的にチオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位を有する構造単位を導入して配列させることが可能となり(前記構造単位を一単位ずつ伸長することが可能となり)、化合物の構造単位の数(式中のm)や、組み合わせる構造単位の種類等を適宜制御した所望の構造の誘導体を得ることも可能となる。このように、保護基を活用して、逐次的に化合物を反応せしめることで、前記構造単位を一単位ずつ伸長することが可能となり、得られる誘導体の構造を所望の構造とすることができ、複数種類の原料化合物を用いた場合には、その導入位置や導入数を制御して、様々な構造の誘導体を製造することも可能となる。
このように、本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)は、チオフェン系化合物を逐次連結させて、所望の構造のチオフェン系化合物の誘導体を形成することが可能な方法である。すなわち、本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)は、複数のTで表される基(チオフェン又はオリゴチオフェン部位を有する基)が結合されたテトラヒドロフラン骨格を、トリアゾール環を有する基により架橋して、チオフェン系化合物の誘導体の構造(チオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位のパッキング構造を含む。)や配列性を制御することも可能な方法である。また、このような本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)は、上述のような原料化合物(化合物(A)及び(B))を用いているため、いわゆるクリック化学を応用してチオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位のユニット間を逐次架橋できるため、合成効率が高く、簡便な方法でありながら、高選択的かつ高効率でチオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位が所望の構造で配列された誘導体を得ることが可能となる。また、このような方法は、反応工程が十分に少なく、しかも基質一般性の高い反応を利用しているため、様々なチオフェン系化合物を利用して、多様な構造の単一のチオフェン系化合物の誘導体を効率よく製造することも可能である。このように、本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)によれば、反応に用いるチオフェン系化合物(化合物(A)及び(B))の種類に応じて、分子設計を所望の構造に自在に変更することができ、目的に応じた機能性を有する誘導体(多量体)を適宜製造することも可能である(例えば、チオフェン系化合物(化合物(A)及び(B))中のTの種類を適宜変更することで、異なる種類のTで表される基が導入された誘導体(多量体)を得ることも可能である。)。
なお、本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)においては、例えば、化合物(A)又は(B)中のR又はRのいずれかを基材とした場合には、基材上にチオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位が所望の構造で配列された化合物を形成することも可能となるため、用いる用途に応じて基材上に単一の化合物の膜を適宜製造することも可能である。
このように、上記一般式(1)で表される構造単位を含有するチオフェン系化合物の誘導体を効率よく製造することが可能であることから、本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)は、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体を製造するための方法として好適に利用することが可能な方法である。
このように、本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)は、チオフェン系化合物の導入数を十分に制御することができ、目的の設計に応じてチオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位を逐次導入することが可能な方法であり、更には、複数の異なる種類のチオフェン系化合物を用いた場合においても、その種類に応じてチオフェン系化合物の導入位置や導入数を制御して多量体を製造することも可能であり、複数の異なるチオフェン系化合物を一分子中に導入した単一の構造を有するチオフェン系化合物の誘導体を効率よく確実に製造することも可能な方法である。なお、このような方法によれば、従来は困難であった精密な空間制御を行なうことが可能となるため、薄膜中での分子のパッキング構造の制御や、基盤や電極に対する配向性の制御を十分に行うことも可能である。
[チオフェン系化合物の誘導体の製造方法(II)]
本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(II)は、下記一般式(5):
Figure 2015172015
で表され、該式中のRが水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかであり、R及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Zが下記一般式(3):
−S−R− (3)
(式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかであり、nが0〜500のうちのいずれかの整数であり、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかであり、かつRがエチニル基である化合物(C)と、
前記一般式(5)で表され、該式中のR、R、R、R、R、Z、nが前記化合物(C)中のR、R、R、R、R、Z、nと同義であり、Rがアジド基であり、かつRが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである化合物(D)と、
を反応せしめ、前記一般式(1)中のYが上記式(2−ii)及び(2−iv)で表される基のうちのいずれかである構造単位を含有する上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体を得ることを特徴とする方法である。
このような化合物(C)は、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかであり、かつRがエチニル基である以外は、上記本発明のチオフェン系化合物(前記一般式(5)で表される化合物)と同様のものである。すなわち、化合物(C)に関して、式(5)中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nは、上記本発明のチオフェン系化合物において説明した、一般式(5)中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nと同様のものであり、その好適なものも一般式(5)中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nと同様のものと同様である。また、化合物(C)に関して、Rはエチニル基であり、且つ、Rは、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかである。なお、このような保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材としては、一般式(4)中のRおいて説明した、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材と同様のものである。
また、前記化合物(D)は、前記一般式(5)で表され、該式中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nが前記化合物(C)中のR、R、R、R、R、Z(Z中のR)、nと同義であり、Rがアジド基であり、かつRが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである化合物である。なお、このような保護基で保護されたエチニル基における保護基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材としては、一般式(4)中のRにおいて説明した、保護基で保護されていてもよいエチニル基の保護基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材と同様のものである。
このように、化合物(D)は、上記本発明のチオフェン系化合物のうち、Rがアジド基であり、かつRが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである化合物である。
このように、前記化合物(C)は前記一般式(5)で表され且つ構造中にエチニル基を有する化合物であり、化合物(D)は前記一般式(5)で表され且つ構造中にアジド基を有する化合物となり、これらの化合物の反応は、前記化合物(C)中のエチニル基と前記化合物(D)中のアジド基とを反応させることが可能な方法であればよく、エチニル基とアジド基とを反応させてトリアゾール環を形成させることが可能な公知の方法を適宜採用することができる。このような化合物(C)及び(D)を反応させるための具体的な方法として、例えば、銅触媒Huisgen[3+2]型付加環化反応を活用してもよい。このように、反応に採用できる条件等としては、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)で採用することが可能な条件(錯体の種類等も含む)等と同様の条件等を採用することができる。
なお、このようなRがエチニル基である化合物(C)と、Rがアジド基である化合物(D)を利用することで、前記一般式(1)中のYが上記式(2−ii)及び(2−iv)で表される基のうちのいずれかである構造単位を含有する上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体を得ることが可能となる。
また、本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(II)においては、前記化合物(D)として前記一般式(5)中のRが保護基で保護されたエチニル基である化合物を用い、
反応後に得られた生成物中に存在する保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離し、該保護基を脱離した生成物と前記化合物(D)とを反応せしめる工程を1回以上施すことが好ましい。このような工程において、保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離する方法や、該保護基を脱離した生成物と前記化合物(D)とを反応せしめる方法としては、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)において「反応後に得られた生成物中に存在する保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離し、該保護基を脱離した生成物と前記化合物(B)とを反応せしめる工程を1回以上施す」際に採用することが可能な方法として説明した方法と同様の方法を採用することができ、各反応の条件も同様の条件を採用することができる。すなわち、化合物(B)と化合物(D)とでは、化合物中のテトラヒドロフラン骨格に対してアジド基結合する位置が異なり、チオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)とチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(II)とでは生成物中のエチニル基の位置がそれぞれ異なるものの、これらの化合物を用いる各反応(工程)は、生成物中のエチニル基と、化合物中のアジド基とが反応させるという点では、基本的に同じ反応を利用するものであるため、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)において説明した反応の条件と同様の条件を適宜採用することが可能である。
このような本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(II)によれば、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)とは、得られる化合物中のYの種類が異なる誘導体(式中のYが上記式(2−ii)及び(2−iv)で表される基のうちのいずれかである構造単位を含有する上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体)を製造することが可能となる。このように、本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(II)は、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体を製造するための方法として好適に利用することが可能である。
このような本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(II)は、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)と同様に、チオフェン系化合物の導入数を十分に制御することができ、目的の設計に応じてチオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位を逐次導入することが可能であり、更には、複数の異なる種類のチオフェン系化合物を用いた場合に、その種類に応じてチオフェン系化合物の導入位置や導入数を制御して多量体を製造することも可能であり、単一の構造を有するチオフェン系化合物の誘導体を効率よく確実に製造することが可能な方法である。
[チオフェン系化合物の製造方法]
本発明のチオフェン系化合物の製造方法は、下記一般式(6):
Figure 2015172015
[式(6)中、Rは水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかを示し、
は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
は保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
は、Rが保護基で保護されていてもよいエチニル基である場合には保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、Rがアジド基及び置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかを示し、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
Xはハロゲン原子、水素原子、一価の金属、グリニャール試薬、グリニャール試薬の塩、有機クプラート、グリニャール試薬以外のハロゲン化金属、トリアルキルスズ、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリアルキルケイ素のうちのいずれかを示し、
Zは下記一般式(3):
−S−R− (3)
(式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
で表される基のうちのいずれかを示す。]
で表される化合物と、下記一般式(7):
Figure 2015172015
[式(7)中、R及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかを示し、
Qはハロゲン原子、水素原子、一価の金属、グリニャール試薬、グリニャール試薬の塩、有機クプラート、グリニャール試薬以外のハロゲン化金属、トリアルキルスズ、ボロン酸エステル基、ボロン酸、ボレート基及びトリアルキルケイ素のうちのいずれかを示し、
nは0〜500のうちのいずれかの整数を示す。]
で表される化合物とを反応せしめて、上記本発明のチオフェン系化合物を得ることを特徴とする方法である。
このような一般式(6)で表される化合物において、式(6)中のR、R、R、R、R、Zは、上記本発明のチオフェン系化合物において説明した式(5)中のR、R、R、R、R、Zと同義である(その好適なものも同様である)。すなわち、一般式(6)中のR、R、R、R、R、Zは、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体において説明した一般式(1)及び/又は(4)中のR、R、R、R、R、Zと同義であり、その好適なものも同様である。
また、上記一般式(6)中のXは、ハロゲン原子、水素原子、一価の金属、グリニャール試薬、グリニャール試薬の塩、有機クプラート、グリニャール試薬以外のハロゲン化金属、トリアルキルスズ、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリアルキルケイ素のうちのいずれかである。このような一価の金属としては、リチウムが挙げられる。また、前記グリニャール試薬としては、ハロゲン化マグネシウム(−MgX:Xはハロゲンを示す。)が挙げられ、前記グリニャール試薬の塩としては、例えば、前記グリニャール試薬と、リチウムクロリド、セリウムクロリド等との塩が挙げられる。また、このような有機クプラートとしては、ギルマン試薬、シアノクプラート,リプシュッツクプラートなどが挙げられ、前記グリニャール試薬以外のハロゲン化金属としては、ハロゲン化パラジウム、ハロゲン化ニッケル、ハロゲン化鉛などが挙げられる。また、ボロン酸エステル基としては、ボロン酸ピナコールエステル基、ボロン酸イソプロパノールエステル基,ボロン酸トリメチレングリコールエステル基等が挙げられ、ボレート基としては、トリフルオロボレート基、トリオールボレート基,MIDAボロネート基等が挙げられる。また、トリアルキルスズ及びトリアルキルケイ素中の各アルキル基はそれぞれ、炭素数が1〜6のアルキル基であることが好ましく、1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
このようなXとしては、製造の容易性の観点から、ハロゲン原子がより好ましく、中でも、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I
)が好ましく、臭素(Br)、塩素(Cl)がより好ましく、臭素(Br)が更に好ましい。
このような一般式(6)で表される化合物を調製する方法としては特に制限されず、公知の方法を利用して適宜製造することができる。例えば、原料としてβ−D−リボフラノースを用いた場合を例に挙げて説明すると、原料中の水酸基を、目的とする化合物の設計に応じて、適宜、基材と結合させたり、保護基で保護したり、アジド化やアミノ化やアルキニル化(より好ましくはエチニル化)したり、更には、エステル化した後にエステル基と式:H−Z−X(式中のZ、Xは、上記一般式(6)中のZ、Xと同義である。)で表される化合物とを反応させて置換反応により式:−Z−Xで表される基を導入すること等により、一般式(6)で表される化合物を調製してもよい。なお、このように、原料中の水酸基を、基材と結合させる方法、保護基で保護する方法、アジド化する方法、アミノ化する方法、エチニル化(アルキニル化)する方法、エステル化する方法、置換反応させる方法は特に制限されず、目的とする化合物の設計に応じて、公知の方法を適宜採用することができる。なお、アジド化とはアジド基を付加する反応をさし、アミノ化とはアミノ基を付加する反応をさし、エチニル化とはエチニル基を付加する反応をさす。ここにおいて、原料中の水酸基をアジド化する方法としては、例えば、水酸基をトリフリル基に誘導した後、アジドアニオンの求核置換反応によりアジド化する方法を採用してもよい。また、原料中の水酸基をアミノ化する方法としては、例えば、前述のアジド基を還元する方法を採用してもよい。また、エチニル化する方法としては、例えば、アセチリドの求核置換反応を利用する方法を採用してもよい。更には、エステル化する方法としては、例えば、アシルハライドを用いる方法を採用してもよい。また、置換反応により式:−Z−Xで表される基を導入する方法としては、例えば、ルイス酸存在下でのグリコシル化の条件で反応させる方法を採用してもよい。このように、一般式(6)で表される化合物は、目的とする設計に応じて、公知の方法を適宜利用して製造することができる。
なお、このような一般式(6)で表される化合物を調製する方法として好適に採用することが可能な方法としては、例えば、下記一般式(11):
Figure 2015172015
(式中、R、R、Rは、上記一般式(6)中のR、R、Rと同義である。)
で表される原料化合物を準備し、式中のR及びRのうちの一方に結合している水酸基をエチニル化し、R及びRのうちのもう一方に結合している水酸基をアジド化した後に、前記原料化合物中の水酸基をエステル化(例えばアセチル化)し、テトラヒドロフラン骨格の2位の炭素原子(なお、Rが結合する炭素原子は3位の炭素原子であり、Rが結合する炭素原子は4位の炭素原子であり、Rが結合する炭素原子は5位の炭素原子である。)に結合しているエステル基と、式:H−Z−X(Z、Xは式(6)中のZ、Xと同義である。)で表される化合物とを反応させてテトラヒドロフラン骨格の2位の炭素原子に式:−Z−Xで表される基を導入する方法(なお、式(11)中のRが水酸基の場合であって、前記エステル化によりRに示す水酸基もエステル基となる場合には、−Z−Xで表される基を導入した後、更に、塩基性条件下、加水分解することにより、Rに示す基を水酸基にする工程を更に含むことが好ましい。)を適宜採用することができる。なお、エステル基を水酸基にする方法としても特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
なお、上記一般式(6)で表される化合物中のR又はRを置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基とする方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、R又はRをアジド基とした後に、そのアジド基に、エチニル基を有する化合物(例えば前記一価の有機基とエチニル基とが結合した化合物等)を適宜反応させることで、R又はRを、前述のような置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基とすることが可能である。なお、このような反応においては、前述の本発明のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法(I)において説明したエチニル基とアジド基を反応させて1,2,3−トリアゾール環を形成する反応と、同様の条件を採用することができる。また、このようにして、R又はRを置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基とすることで、長鎖の多量体を合成することが可能となる。また、上記一般式(6)で表される化合物を調製する際に、原料化合物中の水酸基をエチニル化した場合には、形成されたエチニル基を保護基により保護してもよい。
上記一般式(7)で表される化合物において、R、R、nは、上記本発明のチオフェン系化合物において説明した一般式(5)中のR、R、nと同義である(その好適なものも同様である)。すなわち、一般式(7)中のR、R、nは、上記本発明のチオフェン系化合物の誘導体において説明した一般式(1)及び/又は(4)中のR、R、nと同義であり、その好適なものも同様である。
また、上記一般式(7)中のQはハロゲン原子、水素原子、一価の金属、グリニャール試薬、グリニャール試薬の塩、有機クプラート、グリニャール試薬以外のハロゲン化金属、トリアルキルスズ、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリアルキルケイ素のうちのいずれかである。このようなQとして選択され得るハロゲン原子、一価の金属、グリニャール試薬、グリニャール試薬の塩、有機クプラート、グリニャール試薬以外のハロゲン化金属、トリアルキルスズ、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリアルキルケイ素は、前記Xにおいて説明したものと同様のものである。
また、このようなQとしては、製造の容易性の観点から、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基がより好ましく、下記一般式(8):
Figure 2015172015
(式中、*は式(7)中のチオフェンジイル基とQとの間の結合手を示す。)
で表される基が特に好ましい。
また、このような一般式(7)で表される化合物を調製するための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用できる。例えば、原料化合物としてブロモ化オリゴチオフェンを用いて、宮浦ボリル化反応によりボリル化することにより、前記Qが上記一般式(8)で表される基となっている上記一般式(7)で表される化合物を調製する方法を採用してもよい。
また、一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物を反応させる方法としては、一般式(6)で表される化合物中のXの種類や一般式(7)で表される化合物中のQの種類に応じて、これらの化合物を反応させることが可能な条件を適宜採用すればよい。なお、このように、上記反応は、一般式(6)で表される化合物中のXの種類や、一般式(7)で表される化合物中のQの種類に応じて、適宜進行せしめることが可能であることから、一般式(6)中のX及び一般式(7)中のQは、一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物とを反応させることが可能なように、前記X及びQの中から適宜好適な基を選択して利用することが好ましい。このように、一般式(6)中のXと一般式(7)中のQは、一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物との反応が進行するように選択されるため、XとQとが、異なる種類の、基、原子又は金属となっていることが好ましい。また、より効率よく反応を進行せしめることが可能であるため、前記一般式(6)中のXがハロゲン原子であり、かつ、前記一般式(7)中のQが上記一般式(8)で表される基であることが特に好ましい。
なお、一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物を反応させる方法としては、一般式(6)で表される化合物中のXで表わされる基と、一般式(7)で表される化合物中のQで表わされる基の種類によっても異なるものであるが、例えば、溶媒中、塩基性条件下において、触媒としてテトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム等を用い、60〜80℃の温度条件下において反応せしめる方法を採用してもよい。
このような溶媒としては、特に制限されないが、例えば、THFと水の混合物、DMFと水の混合物、DMSOと水の混合物、DMF、DMSO等が挙げられる。また、このような溶媒の使用量としては、基質の濃度が0.05〜0.2mol/L(特に好ましくは0.1M程度)とすることが好ましい。また、このような反応においては、触媒の酸素への安定性の観点から、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
また、溶媒中において反応を行う場合においては、溶媒中の一般式(6)で表される化合物に対する一般式(7)で表される化合物の含有量が1〜3当量となることが好ましく、1.2〜1.5当量となることがより好ましい。このような使用量が前記下限未満では反応の進行が遅くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると製造コストが高くなる傾向にある。
また、前記触媒の使用量としては、一般式(6)で表される化合物に対して1〜30モル%となるようにして用いることが好ましく、5〜10モル%となるようにして用いることがより好ましい。このような触媒の使用量が前記下限未満では反応が遅くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとコストが高くなる傾向にある。
このような本発明のチオフェン系化合物の製造方法によれば、上記本発明のチオフェン系化合物を効率よく確実に製造することが可能となる。そのため、このような本発明のチオフェン系化合物の製造方法は、上記本発明のチオフェン系化合物を製造するための方法として好適に利用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例等において、全ての反応は窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気)下で行った。また、各実施例等で得られた化合物の分離精製の方法や特性を測定する方法としては以下の(A)〜(D)に記載の方法を採用した。
(A)フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー
各実施例において、得られた化合物の精製の際には、1978年発行の「J.Org.Chem.(vol.43)」の2923〜2925頁に記載のStill,W.C.とKahn,M.とMitra,A.の論文を参照して、中性で球状のシリカゲル(粒子径:40〜50μm、関東化学社製の商品名「シリカゲル60N」)を用いたフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行なった。
(B)IR(赤外吸収スペクトル)の測定
得られた化合物に対して、Nicolet iS10 FT−IR(Thermo Scientific社製)を用いて全反射測定法(ATR)によりIR(赤外吸収スペクトル)を測定した。このような赤外吸収スペクトルは、そのピークが観測された位置の波数(単位:cm−1)により結果を示す。
(C)NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定
CDClを溶媒として、400MHzにおいて、JNM−ECS 400(JEOL社製)及びAVANCE 400(Bruker社製)を用いてH−NMRを測定した。また、CDClを溶媒として、100MHzにおいて、JNM−ECS 400(JEOL社製)及びAVANCE 400(Bruker社製)を用いて13C−NMRを測定した。なお、13C−NMRスペクトルにおいて、メチル(CH)のシグナル、メチレン(CH)のシグナル及びメチン(CH)のシグナルは、DEPT(Distorsionless Enhancement
by Polarization Transfer)スペクトルにより判別した。また、化合物の構造確認のために、得られたH−NMR及び13C−NMRのスペクトルは前記溶媒共鳴のデータを参照して分析した。
(D)高分解能質量分析(HRMS)
測定装置としてJOEL社製の商品名「JMS−T100CS」を用い、外部標準試料をレセルピン(reserpine:1ng/μL)として、ESI−TOF MS測定で高分解能質量分析を行なった。
(合成例1)
下記反応式(A):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−1)で表される化合物から一般式(A−2)で表される化合物を合成した。なお、一般式(A−1)で表される化合物は、Tomoko Fujino et al.,Chem.Lett.,2012年発行,vol.41(4),403−405頁、に記載された方法に準拠して製造した。また、このような化合物の合成に際しては、先ず、ジクロロメタン(16.0mL)中に上記一般式(A−1)で表される化合物(2.03g、4.79mmol)を含有する溶液を準備し、0℃の温度条件下、該溶液にp−ブロモベンゼンチオール(0.91g、4.82mmol)及びボロントリフルオリド−ジエチルエーテル錯体(710μL、5.75mmol)を添加して24時間撹拌することにより混合物を得た。次に、得られた混合物に重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(16.0mL)を加えた後、形成された有機層(ジクロロメタン層)を取り出して有機層を得た。次いで、残った水層から生成物をジクロロメタン(50mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:ジクロロメタン層)を取り出すことにより有機層を得る工程を4回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(約5g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):ジクロロメタン(20容量%)/ヘキサン(80容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−2)で表される化合物(無色油状、2.10g、3.80mmol、収率:79%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果(IR、H NMR、13CNMR、HRMS)を以下に示す。
IR(neat) 2943(m),2865(m),2175(w),2111(s),1753(s),1219(s),1050(s),678(s)cm−1
H NMR(400MHz,CDCl) δ1.07(m,21H),2.18(s,3H),2.59(dd,J=6.8,17.2Hz,1H),2.72(dd,J=5.2,17.2Hz,1H),4.09(ddd,J=5.2,6.0,6.8Hz,1H),4.14(dd,J=4.4,6.0Hz,1H),5.24(d,J=4.4Hz,1H),5.25(dd,J=4.4,4.4Hz,1H),7.37(m,2H),7.43(m,2H);
13CNMR(100MHz,CDCl) δ11.3(CH),18.7(CH),20.7(CH),25.6(CH),63.5(CH),76.0(CH),81.0(CH),84.5,88.0(CH),102.0,112.9,131.6,132.3(CH),134.4,169.9;
HRMS calcd for C2434BrNSSiNa [M+Na] 574.1171,found 574.1169。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−2)で表される化合物(2−アセチル−3−アジド−1−(4−ブロモベンゼン)スルフェニル−1,3,5−トリデオキシ−5−(トリイソプロピルシリル)エチニル−β−D−リボフラノース:2-acetyl-3-azido-1-(4-bromobenzene)sulfenyl-1,3,5-trideoxy-5-(triisopropylsilyl)-ethynyl-β-D-ribofuranose)であることが確認された。
(合成例2)
下記反応式(B):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−2)で表される化合物(合成例1で得られた化合物)から一般式(A−3)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、28容量%の水酸化アンモニウム水溶液(16mL)及びメタノール(16mL)の混合液中に、合成例1で得られた一般式(A−2)で表される化合物(1.84g、3.33mmol)を含有する溶液を準備し、該溶液を60℃で5時間加熱し、反応を進行せしめた後、揮発性の成分を真空条件で除去して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):ジクロロメタン(10容量%)/ヘキサン(90容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−3)で表される化合物(無色油状、1.65g、3.23mmol,収率:97%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果(IR、H NMR、13CNMR、HRMS)を以下に示す。
IR(neat) 2942(m),2865(m),2174(w),2111(s),1474(m),1385(w),1258(m),1009(s),678(s)cm−1
H NMR(400 MHz,CDCl) δ1.08(m,21H),2.38(d,J=6.4Hz,1H),2.55(dd,J=7.6,17.2Hz,1H),2.74(dd,J=4.4,17.2Hz,1H),4.11(ddd,J=4.4,5.4,7.6,1H),4.15(m,1H),4.24(ddd,J=5.2,5.4,6.4Hz,1H),5.13(d,J=5.2Hz,1H),7.37(m,2H),7.44(m,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl) δ11.3(CH),18.7(CH),25.7(CH),65.7(CH),75.5(CH),80.9(CH),84.5,90.3(CH),102.2,122.4,132.2,132.3(CH),133.9(CH);
HRMS calcd for C2232SSiNa [M+Na] 532.1066, found 532.1060。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−3)で表される化合物(3−アジド−1−(4−ブロモベンゼン)スルフェニル−1,3,5−トリデオキシ−5−(トリイソプロピルシリル)エチニル−β−D−リボフラノース:3-azido-1-(4-bromobenzene)sulfenyl-1,3,5-trideoxy-5-(triisopropylsilyl)ethynyl-β-D-ribofuranose)であることが確認された。
(実施例1)
下記反応式(C):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−3)で表される化合物(合成例2で得られた化合物)から一般式(A−4)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、ジメチルホルムアミド(DMF)と水との容量比[DMF:水]が4:1の混合溶媒(0.40mL)中に、合成例2で得られた一般式(A−3)で表される化合物(27.6mg、57.3μmol)を含有する溶液を準備し、該溶液に対して、チオフェン−2−ボロン酸ピナコールエステル(17.2mg、81.7μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(4.91mg、4.25μmol)及び炭酸ナトリウム(17.4mg、165.7μmol)を添加して混合液を得た。次に、前記混合液を80℃で1時間加熱して反応を進行せしめた。その後、前記混合液を室温(外気温:25℃)まで冷却してアンモニウムクロリドの飽和水溶液(0.5mL)を添加した。次いで、前記混合液から生成物をクロロホルム(10mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:クロロホルム層)を取り出すことにより有機層を得る工程を3回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(1g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):酢酸エチル(10容量%)/ヘキサン(90容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−4)で表される化合物(無色油状、20.0mg、41.2μmol、収率:78%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果(IR、H NMR、13CNMR、HRMS)を以下に示す。
IR(neat) 2942(m),2864(m),2174(w),2110(s),1463(w),1259(m),816(s),677(s)cm−1
H NMR(400MHz,CDCl) δ1.09(m,21H),2.41(d,J=6.0Hz,1H),2.54(dd,J=7.8,16.8Hz,1H),2.73(dd,J=4.8,16.8Hz,1H),4.11(dd,J=5.2,5.4Hz,1H),4.16(ddd,J=4.8,5.2,7.8Hz,1H),4.25(dd,J=5.2,5.4,6.8Hz,1H),5.16(d,J=5.2Hz,1H),7.08(dd,J=3.6,5.2Hz,1H),7.29(dd,J=1.2,5.2Hz,1H),7.32(dd,J=1.2,3.6Hz,1H),7.51(m,2H),7.55(m,2H);
HRMS calcd for C2635SiNa [M+Na] 536.1838, found 536.1848。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−4)で表される化合物(3−アジド−1−[4−(2’−チエニル)ベンゼン]スルフェニル−1,3,5−トリデオキシ−5−(トリイソプロピルシリル)エチニル−β−D−リボフラノース:3-azido-1-[4-(2'-thienyl)benzene]sulfenyl-1,3,5-trideoxy-5-(triisopropylsilyl)-ethynyl-β-D-ribofuranose)であることが確認された。
(実施例2)
下記反応式(D):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−3)で表される化合物(合成例2で得られた化合物)から一般式(A−5)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、テトラヒドロフラン(THF)と水との容量比[THF:水]が10:1の混合溶媒(0.65mL)中に合成例2で得られた一般式(A−3)で表される化合物(33.4mg、65.4μmol)を含有する溶液を準備し、該溶液に対して、5:2’−ビチオフェン−2−ボロン酸ピナコールエステル(28.7mg、98.1μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.56mg、6.54μmol)及びリン酸三カリウム(41.6mg、196μmol)を添加して混合液を得た。次に、前記混合液を80℃で6時間加熱して反応を進行せしめた。その後、前記混合液を室温(外気温:25℃)まで冷却してアンモニウムクロリドの飽和水溶液(0.65mL)を添加した。次いで、前記混合液から生成物をクロロホルム(15mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:クロロホルム層)を取り出すことにより有機層を得る工程を4回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(2g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):酢酸エチル(10容量%)/ヘキサン(90容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−5)で表される化合物(無色油状、31.2mg、52.3μmol、収率:80%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果(IR、H NMR、13CNMR、HRMS)を以下に示す。
IR(neat) 2943(m),2866(m),2174(w),2111(s),798(s)cm−1
H NMR(400MHz,CDCl) δ1.06(m,21H),2.56(dd,J=7.6,16.8Hz,1H),2.75(dd,J=4.4,16.8Hz,1H),4.12(m,2H),4.25(dd,J=5.2,5.6Hz,1H),5.17(d,J=5.2Hz,1H),7.03(dd,J=3.6,5.2Hz,1H),7.14(d,J=3.6Hz,1H),7.20(dd,J=1.2,3.6Hz,1H),7.22(d,J=3.6,1H),7.23(dd,J=1.2,5.2Hz,1H),7.52(m,4H);
13C NMR(100MHz,CDCl) δ11.4(CH),18.8(CH),25.7(CH),65.8(CH),75.4(CH),80.9(CH),84.4,90.4(CH),102.3,124.0(CH),124.3(CH),124.8(CH),124.7(CH),126.1(CH),128.1(CH),132.0,133.1(CH),133.9,137.3,137.4,142.1;
HRMS calcd for C3037SiNa [M + Na] 618.1715, found 618.1725。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−5)で表される化合物(3−アジド−1−[4−[4,2’−(5’,2’’−ビチエニル)]ベンゼン]スルフェニル−1,3,5−トリデオキシ−5−(トリイソプロピルシリル)エチニル−β−D−リボフラノース:3-azido-1-[4-[4,2’-(5’,2”-bithienyl)]benzene]sulfenyl-1,3,5-trideoxy-5-(triisopropylsilyl)ethynyl-β-D-ribofuranose)であることが確認された。
(実施例3)
下記反応式(E):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−3)で表される化合物(合成例2で得られた化合物)から、一般式(A−6)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、テトラヒドロフラン(THF)と水との容量比[THF:水]が4:1の混合溶媒(0.53mL)中に、合成例2で得られた一般式(A−3)で表される化合物(27.1mg、53.1μmol)を含有する溶液を準備し、該溶液に対して、5,2’:5,2’’−テルチオフェン−2−ボロン酸ピナコールエステル(29.8mg、79.6μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(6.14mg、5.31μmol)及びリン酸カリウム(33.8mg、159μmol)を添加して混合液を得た。次に、前記混合液を80℃で1時間加熱して反応を進行せしめた。その後、前記混合液を室温(外気温:25℃)まで冷却して重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(0.53mL)を添加した。次いで、前記混合液から生成物をジクロロメタン(15mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:ジクロロメタン層)を取り出すことにより有機層を得る工程を3回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(1g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):クロロホルム(50容量%)/ヘキサン(50容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−6)で表される化合物(黄色固体、16.5mg、27.6μmol、収率:52%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果(IR、H NMR、13CNMR、HRMS)を以下に示す。
IR(neat) 2942(m),2865(m),2110(s),1489(w),1261(m),793(s)cm−1
H NMR(400MHz,CDCl) δ1.07(m,21H),2,39(d,J=6.0Hz,1H),2.56(dd,J=3.8,17.2Hz,1H),2.76(dd,J=4.6,17.2Hz,1H),4.15(m,2H),4.26(ddd,J=5.2,5.2,5.2Hz,1H),5.17(d,J=5.2Hz,1H),7.03(dd,J=3.6,4.8Hz,1H),7.10(d,J=3.6Hz,1H),7.11(d,J=3.6Hz,1H),7.15(d,J=3.6Hz,1H),7.19(dd,J=1.2,3.6Hz,1H),7.23(dd,J=1.2,4.8Hz,1H),7.24(d,J=3.6Hz,1H),7.53(m,4H);
13C NMR(100MHz.CDCl) δ11.4(CH),18.8(CH),25.8(CH),65.8(CH),75.4(CH),81.0(CH),84.4,90.4(CH),102.3,124.0(CH),124.4(CH),124.5(CH),124.6(CH),124.8(CH),124.8(CH),126.1(CH),127.4,128.1(CH),132.1,133.1(CH),133.8,136.1,136.6,137.0,142.3;
HRMS calcd for C3439SiCl[M+Cl] 712.1383,found 712.1381。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−6)で表される化合物(3−アジド−1−[4−[4,2’−(5’,2’’:5’’,2’’’−テルチエニル)]ベンゼン]スルフェニル−1,3,5−トリデオキシ−5−(トリイソプロピルシリル)エチニル−β−D−リボフラノース:3-azido-1-[4-[4,2'-(5',2'':5'',2'''-terthienyl)]benzene]sulfenyl-1,3,5-trideoxy-5-(triisopropylsilyl)ethynyl-β-D-ribofuranose)であることが確認された。
(実施例4)
下記反応式(F):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−4)で表される化合物(実施例1で得られた化合物)から一般式(A−7)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、t−ブタノールとジメチルホルムアミド(N,N−ジメチルホルムアミド:DMF)との容量比[t−ブタノール:DMF]が1:2の混合溶媒(0.37mL)中に、実施例1で得られた一般式(A−4)で表される化合物(17.2mg、33.5μmol)、硫酸銅(II)5水和物(0.84mg、3.35μmol)、アスコルビン酸ナトリウム(6.64mg、33.5μmol)及びトリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]アミン(TBTA(tris[(1-benzyl-1H-1,2,3-triazol-4-yl)methyl]amine)、1.77mg、3.35μmol)を含有する溶液を準備し、該溶液に対して1−オクチン(7.41μL、33.5μmol)を添加して混合液を得た。次に、前記混合液を80℃で3時間加熱して反応を進行せしめた。その後、前記混合液を室温(外気温:25℃)まで冷却してアンモニウムクロリドの飽和水溶液(0.34mL)を添加した。次いで、前記混合液から生成物をクロロホルム(10mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:クロロホルム層)を取り出すことにより有機層を得る工程を3回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(1g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):酢酸エチル(10容量%)/ヘキサン(90容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−7)で表される化合物(無色油状、19.1mg、30.6μmol、収率:92%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果(IR、H NMR、13CNMR、HRMS)を以下に示す。
IR(neat) 2927(m),2863(m),2175(w),1727(w),1489(m),1059(m);
H NMR(400MHz,CDCl) δ0.87(t,J=6.6Hz,3H),1.02(m,21H),1.26(m,6H),1.63(m,2H),2.65(t,J=8.0Hz,2H),2.71(d,J=5.6Hz,2H),4.55(dd,J=5.2,5.2Hz,1H),4.60(ddd,J=5.2,5.6,6.0Hz,1H),5.10(dd,J=4.8,6.0Hz,1H),5.57(d,J=4.8Hz,1H),7.08(dd,J=3.6,5.2Hz,1H),7.29(dd,J=1.2,5.2Hz,1H),7.32(dd,J=1.2,3.6Hz,1H),7.40(s,1H),7.56(s,4H);
13C NMR(100Mz,CDCl) δ11.3(CH),14.2(CH),18.8(CH),22.7(CH),25.5(CH),26.0(CH),29.1(CH),29.1(CH),31.6(CH),65.2(CH),75.6(CH),77.4(CH),80.0(CH),84.3,90.3(CH),102.4,122.2,123.5(CH),125.2(CH),126.4(CH),128.2(CH),132.3(CH),132.8,133.7,143.7;
HRMS calcd for C3449SiNa [M + Na] 646.2933, found 646.2934。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−7)で表される化合物(1−[4−(2’−チエニル)ベンゼン]スルフェニル−3−(4−n−ヘキシル−1H−1,2,3−)トリアゾール−1,3,5−トリデオキシ−5−(トリイソプロピルシリル)エチニル−β−D−リボフラノース:1-[4-(2'-thienyl)benzene]sulfenyl-3-(4-n-hexyl-1H-1,2,3-)triazoyl-1,3,5-trideoxy-5-(triisopropylsilyl)ethynyl-β-D-ribofuranose)であることが確認された。
(実施例5)
下記反応式(G):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−7)で表される化合物(実施例4で得られた化合物)から一般式(A−8)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、テトラヒドロフラン(THF:1.17mL)中に、実施例4で得られた一般式(A−7)で表される化合物(73.3mg、117μmol)を含有する溶液を準備し、該溶液に対してテトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液(THF:129μL、TBAF:129μmol)を添加して混合液を得た。次に、前記混合液を室温(外気温:25℃)で2時間撹拌して反応を進行せしめた。その後、前記混合液にアンモニウムクロリドの飽和水溶液(1.17mL)を添加した。次いで、前記混合液から生成物をジエチルエーテル(15mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:ジエチルエーテル層)を取り出すことにより有機層を得る工程を3回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(1g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):酢酸エチル(5容量%)/ジクロロメタン(90容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−8)で表される化合物(白色固体、47.2mg、101μmol、収率:87%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果(IR、H NMR、13CNMR、HRMS)を以下に示す。
IR(neat) 2927(m),2858(m),2108(w),1593(w),1059(m);
H NMR(400MHz,CDCl) δ0.88(t,J=6.8Hz,3H),1.30(m,6H),1.65(m,2H),2.04(t,J=2.8Hz,1H),2.62(m,2H),2.71(t,J=8.0Hz,2H),3.49(d,J=5.6Hz,1H),4.55(ddd,J=3.6,5.6,5.6Hz,1H),4.62(ddd,J=4.8,6.0,7.2Hz,1H),5.07(dd,J=5.6,7.2Hz,1H),5.50(d,J=3.6Hz,1H),7.08(dd,J=3.6,5.2Hz,1H),7.30(dd,J=1.2,5.2Hz,1H),7.32(dd,J=1.2,3.6Hz,1H),7.42(s,1H),7.58(s,4H);
13C NMR(100MHz,CDCl) δ14.2(CH),22.7(CH),24.0(CH),25.6(CH),29.0(CH),29.2(CH),31.6(CH),65.0(CH),71.8,75.8(CH),78.5(CH),79.5(CH),91.2(CH),122.0(CH),123.6(CH),125.4(CH),126.5(CH),128.3(CH),131.8,133.1(CH),134.2,143.6,148.0;
HRMS calcd for C2529Na[M+Na] 490.1599,found 490.1589。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−8)で表される化合物(5−エチニル−1−[4−(2’−チエニル)ベンゼン]スルフェニル−3−(4−n−ヘキシル−1H−1,2,3−)トリアゾール−1,3,5−トリデオキシ−D−リボフラノース:5-ethynyl-1-[4-(2'-thienyl)benzene]sulfenyl-3-(4-n-hexyl-1H-1,2,3-)triazoyl-1,3,5-trideoxy-D-ribofuranose)であることが確認された。
(実施例6)
下記反応式(H):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−4)で表される化合物(実施例1で得られた化合物)と一般式(A−8)で表される化合物(実施例5で得られた化合物)とを反応させて、一般式(A−9)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、t−ブタノールとジメチルホルムアミド(N,N−ジメチルホルムアミド:DMF)との容量比[t−ブタノール:DMF]が1:2の混合溶媒(0.68mL)中に、実施例1で得られた一般式(A−4)で表される化合物(32.7mg、63.7μmol)、実施例5で得られた一般式(A−8)で表される化合物(29.8mg、63.7μmol)、硫酸銅(II)5水和物(1.69mg、6.37μmol)、アスコルビン酸ナトリウム(13.5mg、63.7μmol)及びトリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]アミン(TBTA(tris[(1-benzyl-1H-1,2,3-triazol-4-yl)methyl]amine)、3.60mg、6.37μmol)を含有する混合液を準備した。次に、前記混合液を80℃で90分間加熱して反応を進行せしめた。その後、前記混合液を室温(外気温:25℃)まで冷却してアンモニウムクロリドの飽和水溶液(0.68mL)を添加した。次いで、前記混合液から生成物をクロロホルム(15mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:クロロホルム層)を取り出すことにより有機層を得る工程を3回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(1g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):酢酸エチル(5容量%)/ジクロロメタン(95容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−9)で表される化合物(薄茶色固体、61.3mg、62.4μmol、収率:98%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果(IR、H NMR、HRMS)を以下に示す。
IR(neat) 2940(m),2863(m),2175(w),1849(m),1462(m)cm−1
H NMR(400MHz,CDCl) δ0.88(t,J=6.8Hz,3H),1.00(m,21H),1.30(m,6H),1.61(m,2H),2.62(t,J=7.8Hz,2H),2.71(d,J=6.0Hz,2H),3.08(dd,J=7.4,15.8Hz,1H),3.25(dd,J=4.4,15.8,2H),3.33(d,J=4.4Hz,1H),3.96(m,1H),4.48(m,1H),4.52(m,2H),4.83(m,1H),5.00(dd,J=5.6,9.2Hz,1H),5.20(dd,J=5.6,8.0Hz,1H),5.51(d,J=3.6Hz,1H),5.52(d,J=4.8Hz,1H),7.08(dd,J=3.6,5.2Hz,1H),7.09(dd,J=3.2,5.2Hz,1H),7.31(m,2H),7.47(s,1H),7.49(s,1H),7.56(m,8H);
HRMS calcd for C5164SiNa[M+Na] 1003.3539,found 1003.3527。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−9)で表される化合物(フェニルチオフェン基が2つ配列された誘導体)であることが確認された。なお、このような生成物においては、フェニルチオフェン基が結合するテトラヒドロフラン骨格がトリアゾール環を介して架橋(チオフェン基間を共有結合により架橋)されているため、チオフェン部位の配列構造が安定した構造体となるばかりか、フェニルチオフェン基どうしがπスタックにより安定して配列され、しかもそのようなπスタックによりチオフェン部位の正孔移動度を十分に向上させることも可能となることが分かる。従って、このような化合物(誘導体)の合成方法は、得られる化合物に十分に高度な導電性を付与することができ、導電性化合物の合成方法等に好適に利用できることが分かる。
(実施例7)
下記反応式(I):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−9)で表される化合物(実施例6で得られた化合物)中の保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離して、一般式(A−10)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、テトラヒドロフラン(THF:0.44mL)中に、実施例6で得られた一般式(A−9)で表される化合物(43.4mg、44.2μmol)を含有する溶液を準備し、該溶液に対してテトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液(THF:88.4μL、TBAF:88.4μmol)を添加して混合液を得た。次に、前記混合液を室温(外気温:25℃)で24時間撹拌して反応を進行せしめた。その後、前記混合液にアンモニウムクロリドの飽和水溶液(0.44mL)を添加した。次いで、前記混合液から生成物をジエチルエーテル(5mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:ジエチルエーテル層)を取り出すことにより有機層を得る工程を5回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(1g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):酢酸エチル(30容量%)/ジクロロメタン(70容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−10)で表される化合物(白色固体、30.3mg、36.7μmol、収率:83%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果(IR、H NMR)を以下に示す。
IR(neat) 2925(s),2854(s),2109(m),1711(m),1462(w);
H NMR(400MHz,CDCl)δ0.87(t,J=6.6Hz,3H),1.29(m,6H),1.58(m,2H),1.96(t,J=6.6Hz,1H),2,58(m,4H),3.09(dd,J=7.2,16.8Hz,1H),3.24(dd,J=4.6,16.8Hz,1H),4.47(dd,J=2.4,5.2Hz,1H),4.52(m,2H),4.78(m,1H),4.98(dd,J=6.0,8.0Hz,1H),5.11(dd,J=5.2,8.0Hz,1H),5.51(d,J=6.0Hz,1H),5.52(d,J=5.2Hz,1H),7.08(dd,J=3.6,4.8Hz,1H),7.09(dd,J=3.6,5.2Hz,1H),7.30(m,4H),7.47(s,1H),7.49(s,1H),7.56(m,8H)。
HRMS calcd for C4244Na[M+Na] 847.2205,found 847.2196。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−10)で表される化合物(フェニルチオフェン基が2つ配列された誘導体)であることが確認された。このようにして得られた化合物(上記一般式(A−9)で表される化合物中の保護基(トリイソプロピルシリル基)で保護されたエチニル基から、保護基が脱離して得られる化合物(上記一般式(A−10)で表される化合物))の構造から、その化合物中のエチニル基と、一般式(A−4)で表される化合物(実施例1で得られた化合物)中のアジド基と反応させることで、容易にフェニルチオフェン基の配列数を逐次的に増やすことが可能であることが分かる。また、このような保護基の脱離操作と、一般式(A−4)で表される化合物のようなモノマー化合物との反応操作を適宜繰り返すことで、モノマーに由来する構造単位を逐次伸長することが可能となり、得られる誘導体(多量体)の構造を、所望の構造に十分に制御することが可能となることが分かる。
(実施例8)
下記反応式(J):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−4)で表される化合物(実施例1で得られた化合物)と一般式(A−10)で表される化合物(実施例7で得られた化合物)とを反応させて、一般式(A−11)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、t−ブタノールとジメチルホルムアミド(N,N−ジメチルホルムアミド:DMF)との容量比[t−ブタノール:DMF]が1:2の混合溶媒(0.31mL)中に、実施例1で得られた一般式(A−4)で表される化合物(16.1mg、31.4μmol)、実施例7で得られた一般式(A−10)で表される化合物(25.9mg、31.4μmol)、硫酸銅(II)5水和物(1.56mg、6.28μmol)、アスコルビン酸ナトリウム(6.22mg、31.4μmol)及びトリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]アミン(TBTA(tris[(1-benzyl-1H-1,2,3-triazol-4-yl)methyl]amine)、3.34mg、6.28μmol)を含有する混合液を準備した。次に、前記混合液を80℃で24時間加熱して反応を進行せしめた。その後、前記混合液を室温(外気温:25℃)まで冷却し、アンモニウムクロリドの飽和水溶液(0.31mL)を添加した。次いで、前記混合液から生成物をクロロホルム(10mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:クロロホルム層)を取り出すことにより有機層を得る工程を5回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(1g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):酢酸エチル(20容量%)/ジクロロメタン(80容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−11)で表される化合物(淡黄色油状、18.5mg、13.8μmol、収率:44%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果のうち、HRMSの結果を以下に示す。
MS calcd for C6879SiNa [M+Na] 1361.9, found 1360.2。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−11)で表される化合物(フェニルチオフェン基が3つ配列された誘導体)であることが確認された。なお、このようにして得られた化合物の構造と実施例6〜8とを併せ勘案すれば、一般式(A−9)で表される化合物のエチニル基の保護基を脱離した後(保護基の脱離により一般式(A−10)で表される化合物となる。)、一般式(A−4)で表される化合物(実施例1で得られた化合物)を反応させることで、フェニルチオフェン基の配列数を増やすことが可能となることが分かった。また、実施例6〜8を併せ勘案すれば、生成物の構造を保護基に保護されたエチニル基を有する構造とすることで、保護基の脱離操作と、モノマーとの反応操作を適宜繰り返すこことで、構造単位の一単位ずつの伸長が可能となり、逐次、フェニルチオフェン基を配列させることが可能となるばかりか、モノマーの種類を適宜変更して、導入位置などを制御することも可能であり、得られる多量体の構造を所望の構造とすることが可能となることも分かる。なお、このような生成物においては、フェニルチオフェン基が結合するテトラヒドロフラン骨格がトリアゾール環を介して架橋(チオフェン基間を共有結合により架橋)されているため、チオフェン部位の配列構造が安定した構造体となるばかりか、フェニルチオフェン基どうしがπスタックにより安定して配列され、しかもそのようなπスタックによりチオフェン部位の正孔移動度を十分に向上させることも可能となることが分かる。従って、このような化合物(誘導体)の合成方法は、得られる化合物に十分に高度な導電性を付与することができ、導電性化合物の合成方法等に好適に利用できることが分かる。
(実施例9)
下記反応式(K):
Figure 2015172015
で表される反応により、一般式(A−11)で表される化合物(実施例8で得られた化合物)中の保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離して、一般式(A−12)で表される化合物を合成した。すなわち、先ず、テトラヒドロフラン(THF:0.13mL)中に、実施例8で得られた一般式(A−11)で表される化合物(17.5mg、13.1μmol)を含有する溶液を準備し、該溶液に対して、テトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液(TBAF:52.4μmol、THF52.4μL、THF中の濃度:1.0mol/L)を添加して混合液を得た。次に、前記混合液を室温(外気温:25℃)で48時間撹拌して反応を進行せしめた。その後、前記混合液にアンモニウムクロリドの飽和水溶液(0.13mL)を添加した。次いで、前記混合液から生成物をクロロホルム(5mL)で抽出し、形成された有機層(抽出液:クロロホルム層)を取り出すことにより有機層を得る工程を5回施した。次いで、このように取り出して得られた各有機層を混合し、得られた有機層(混合後の有機層)を硫酸ナトリウム(0.5g)で乾燥させ、その後、真空中で濃縮して粗生成物を得た。次に、このようにして得られた粗生成物から生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液(eluent):酢酸エチル(40容量%)/ジクロロメタン(60容量%)]により精製することにより、上記一般式(A−12)で表される化合物(白色固体、15.1mg、12.8μmol、収率:97%)を得た。
得られた化合物に対して上記(B)〜(D)に記載の測定方法で特性の評価を行なった。このような測定により得られた結果のうち、HRMSの結果を以下に示す。
HRMS calcd for C5959Cl [M+Cl] 1216.2601, found 1216.2630。
このような結果から、得られた化合物は上記一般式(A−12)で表される化合物(フェニルチオフェン基が3つ配列された誘導体)であることが確認された。このようにして得られた化合物(上記一般式(A−11)で表される化合物中の保護基(トリイソプロピルシリル基)で保護されたエチニル基から、保護基が脱離して得られる化合物(上記一般式(A−12)で表される化合物))の構造から、その化合物中のエチニル基と、一般式(A−4)で表される化合物(実施例1で得られた化合物)中のアジド基と反応させることで、容易にフェニルチオフェン基の配列数を逐次的に増やすことが可能であることが分かる。また、このような保護基の脱離操作と、一般式(A−4)で表される化合物のようなモノマー化合物との反応操作を適宜繰り返すことで、モノマーに由来する構造単位を逐次伸長することが可能となり、得られる誘導体(多量体)の構造を、所望の構造に十分に制御することが可能となることが分かる。
このような結果から、本発明(実施例1〜9)によれば、チオフェン部及び/又はオリゴチオフェン部位を有する構造単位を逐次伸長させることが可能となるばかりか、チオフェン部及び/又はオリゴチオフェン部位を有する基を共有結合で架橋して、得られる誘導体(多量体)の構造を十分に安定なものとすることができるばかりか、チオフェン部位をπ−πスタッキングを利用して安定的に配列させることも可能となり、オリゴチオフェン部位又はチオフェン部位の配向性や三次元的な配列(空間的な配列)を十分に制御することも可能であることが分かる。
以上説明したように、本発明によれば、チオフェン部位及び/又はオリゴチオフェン部位を有しながら安定した構造を有することを可能とするチオフェン系化合物の誘導体を提供すること;その誘導体の原料化合物として好適に利用可能なチオフェン系化合物を提供すること;前記チオフェン系化合物の誘導体を効率よく製造することが可能なチオフェン系化合物の誘導体の製造方法を提供すること;及び、前記チオフェン系化合物を効率よくかつ確実に製造することが可能なチオフェン系化合物の製造方法を提供すること;が可能となる。
したがって、本発明のチオフェン系化合物の誘導体は、例えば、有機半導体材料、有機EL、太陽電池等の導電性が必要とされる用途に用いる有機化合物等として特に有用である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2015172015
    [式(1)中、Rは水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかを示し、
    及びRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかを示し、
    Yは下記一般式(2−i)〜(2−iv):
    Figure 2015172015
    (式中、Rは単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、Rは式(1)中のテトラヒドロフラン骨格の5位の炭素に結合しておりかつ単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示す。)
    で表される基のうちのいずれかを示し、
    Zは下記一般式(3):
    −S−R− (3)
    (式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
    で表される基のうちのいずれかを示し、
    nは0〜500のうちのいずれかの整数を示す。]
    で表される構造単位を含有することを特徴とするチオフェン系化合物の誘導体。
  2. 下記一般式(4):
    Figure 2015172015
    [式(4)中のR、R、R、R、R、Y、Z及びnは、前記式(1)中のR、R、R、R、R、Y、Z及びnと同義であり、
    は保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
    は、Rが保護基で保護されていてもよいエチニル基である場合には保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、Rがアジド基及び置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかを示し、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
    mは1〜500のうちのいずれかの整数を示す。]
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のチオフェン系化合物の誘導体。
  3. 下記一般式(5):
    Figure 2015172015
    [式(5)中、Rは水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかを示し、
    及びRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかを示し、
    は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
    は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
    は保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
    は、Rが保護基で保護されていてもよいエチニル基である場合には保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、Rがアジド基及び置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかを示し、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
    Zは下記一般式(3):
    −S−R− (3)
    (式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
    で表される基のうちのいずれかを示し、
    nは0〜500のうちのいずれかの整数を示す。]
    で表される化合物であることを特徴とするチオフェン系化合物。
  4. 下記一般式(5):
    Figure 2015172015
    で表され、該式中のRが水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかであり、R及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Zが下記一般式(3):
    −S−R− (3)
    (式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
    で表される基のうちのいずれかであり、nが0〜500のうちのいずれかの整数であり、Rがエチニル基であり、かつRが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかである化合物(A)と、
    前記一般式(5)で表され、該式中のR、R、R、R、R、Z、nが前記化合物(A)中のR、R、R、R、R、Z、nと同義であり、Rがアジド基であり、かつ、Rが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである化合物(B)と、
    を反応せしめ、前記一般式(1)中のYが前記式(2−i)及び(2−iii)で表される基のうちのいずれかである構造単位を含有する請求項1に記載のチオフェン系化合物の誘導体を得ることを特徴とするチオフェン系化合物の誘導体の製造方法。
  5. 前記化合物(B)として前記一般式(5)中のRが保護基で保護されたエチニル基である化合物を用い、
    反応後に得られた生成物中に存在する保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離し、該保護基を脱離した生成物と前記化合物(B)とを反応せしめる工程を1回以上施すことを特徴とする請求項4に記載のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法。
  6. 下記一般式(5):
    Figure 2015172015
    で表され、該式中のRが水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかであり、R及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Rが単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかであり、Zが下記一般式(3):
    −S−R− (3)
    (式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
    で表される基のうちのいずれかであり、nが0〜500のうちのいずれかの整数であり、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかであり、かつRがエチニル基である化合物(C)と、
    前記一般式(5)で表され、該式中のR、R、R、R、R、Z、nが前記化合物(C)中のR、R、R、R、R、Z、nと同義であり、Rがアジド基であり、かつRが保護基で保護されたエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである化合物(D)と、
    を反応せしめ、前記一般式(1)中のYが上記式(2−ii)及び(2−iv)で表される基のうちのいずれかである構造単位を含有する請求項1に記載のチオフェン系化合物の誘導体を得ることを特徴とするチオフェン系化合物の誘導体の製造方法。
  7. 前記化合物(D)として前記一般式(5)中のRが保護基で保護されたエチニル基である化合物を用い、
    反応後に得られた生成物中に存在する保護基で保護されたエチニル基から保護基を脱離し、該保護基を脱離した生成物と前記化合物(D)とを反応せしめる工程を1回以上施すことを特徴とする請求項6に記載のチオフェン系化合物の誘導体の製造方法。
  8. 下記一般式(6):
    Figure 2015172015
    [式(6)中、Rは水素原子及び保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基のうちのいずれかを示し、
    は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
    は単結合、酸素原子、硫黄原子、式:NHで表される基及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のうちのいずれかを示し、
    は保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
    は、Rが保護基で保護されていてもよいエチニル基である場合には保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、Rがアジド基及び置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかを示し、Rが保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基及び基材のうちのいずれかである場合には保護基で保護されていてもよいエチニル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、アジド基、置換基を有していていもよい1,2,3−トリアゾール基及び基材のうちのいずれかを示し、
    Xはハロゲン原子、水素原子、一価の金属、グリニャール試薬、グリニャール試薬の塩、有機クプラート、グリニャール試薬以外のハロゲン化金属、トリアルキルスズ、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリアルキルケイ素のうちのいずれかを示し、
    Zは下記一般式(3):
    −S−R− (3)
    (式中、Rは単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいチオフェンジイル基のうちのいずれかを示す。)
    で表される基のうちのいずれかを示す。]
    で表される化合物と、下記一般式(7):
    Figure 2015172015
    [式(7)中、R及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び一価の有機基のうちのいずれかを示し、
    Qはハロゲン原子、水素原子、一価の金属、グリニャール試薬、グリニャール試薬の塩、有機クプラート、グリニャール試薬以外のハロゲン化金属、トリアルキルスズ、ボロン酸エステル基、ボロン酸、ボレート基及びトリアルキルケイ素のうちのいずれかを示し、
    nは0〜500のうちのいずれかの整数を示す。]
    で表される化合物とを反応せしめて、請求項3に記載のチオフェン系化合物を得ることを特徴とするチオフェン系化合物の製造方法。
  9. 前記一般式(6)中のXがハロゲン原子であり、かつ、前記一般式(7)中のQが下記一般式(8):
    Figure 2015172015
    (式中、*は式(7)中のチオフェンジイル基とQとの間の結合手を示す。)
    で表される基であることを特徴とする請求項8に記載のチオフェン系化合物の製造方法。
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