JP2017154988A - π共役化合物およびその製造方法 - Google Patents

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孝典 福島
良晃 庄子
Yoshiaki Shoji
良晃 庄子
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Abstract

【課題】多様な骨格を有するπ共役化合物およびその簡便な合成法を提供すること、並びに新規π共役化合物を提供する。
【解決手段】本発明のπ共役化合物の製造方法は、非プロトン性溶媒の存在下、化合物Aと化合物Bを混合して反応させ、得られたボレピン誘導体に対して、酸化反応させる工程を含むものである。化合物Aは、少なくとも一方が炭素原子に直結したアルキニル基を含む化合物であり、化合物Bは、ハロゲン原子(但しフッ素原子を除く)またはトリフルオロメタンスルホニル基と、互いに結合して環を形成していてもよい2つのアリール基とがホウ素に直結したユニットを含む化合物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ジアリールハロボランを含む化合物を利用したπ共役化合物およびその製造方法に関する。
π共役化合物は、光吸収・発光特性、導電特性等の物性に富むため、有機半導体、太陽電池、有機EL等のエレクトロニクス分野において期待を集め、精力的な研究開発が進められている。有機材料をデバイスに利用する優位点として、無機材料に比してフレキシブル性を付与できること、軽量化を達成できる点が挙げられる。
エレクトロニクス分野に応用される有機材料としては、芳香環を持つ低分子のπ共役化合物や、π電子系を有する高分子化合物がある。具体例としては、ペンタセン、ベリレンジイミド(PTCDI)、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、ポリチオフェン、ポリジアセチレン、オリゴチオフェンキノイド系材料、ベンゾジチオフェンキノイド系材料等が知られている。
有機デバイスの開発に当たっては、デバイスに求められる要求特性を満足する化合物が求められる。多環式化合物は、π共役リッチな化合物であるため、光吸収・発光特性・導電特性等の物性が期待される材料であり、これまで様々な化合物およびその合成法が提案されている(例えば、非特許文献1〜4)。非特許文献1には、以下の式(a)に示すように、カップリング反応により多環式化合物を合成する方法が提案されている。
Figure 2017154988
なお、π共役化合物を合成したものではなく、更に合成手段も異なるが、非特許文献5には、後述する課題を解決するための手段で用いるジアリールハロボランおよびアルキニル基を含む化合物を用いてカップリングする合成法が提案されている。
Yoshinori Yamamoto et al. J.Am.Chem.Soc.2003, 125, 10921-10925 Eiichi Nakamura et al. J.Am.Chem.Soc.2011, 133, 6557-6559 Masahiro Miura et al. J.Am.Chem.Soc.2014, 79, 8960-8967 Klaus Mullen et al. Chem. Rev. 2007, 107, 718-747 M.F. Lappert, B. Prokai, J. Organomet. Chem. 1964. 384-400
π共役化合物の創製に当たっては、様々な物性を引き出す分子をデザインすることが重要である。加えて、各種用途に実用化していくためには合成法が簡便であることが求められている。多用な骨格を有するπ共役化合物の分子群の簡便な合成法を提供できれば、有機エレクトロニクス分野をはじめとする様々な分野において、次世代の機能材料開発に大きく貢献にできる。換言すると、簡便なる合成法を基軸としてπ共役化合物群を提供できれば、立体構造、電子構造、元素・官能基導入などを戦略的にデザインすることも容易となる。また、新規なπ共役化合物を提供できれば、新たな機能を有する材料や、従来より優れた特性を有する材料の開発が期待できる。
本発明は、上記背景に鑑みて成されたものであり、多様な骨格を有するπ共役化合物の合成法および新規π共役化合物を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]: 非プロトン性溶媒の存在下、化合物Aと化合物Bを混合して反応させ、
得られたボレピン誘導体に対して、酸化剤を用いて酸化反応させる工程を含むものであり、
前記化合物Aは、少なくとも一方が炭素原子に直結したアルキニル基を含む化合物であり、
前記化合物Bは、下記式(I)で表される化合物であるπ共役化合物の製造方法。
Figure 2017154988
[但し、Xは、ハロゲン原子(但しフッ素原子を除く)またはトリフルオロメタンスルホニル基であり、RおよびRは、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
本願発明によれば、化合物Aと化合物Bを混合して反応させ、得られたボレピン誘導体に対して酸化反応を行うことにより、驚くべきことに、化合物B由来のホウ素に直結した2つのアリール基と、化合物Aのアルキニル基由来のアルケニル基とが結合せしめられたπ共役化合物が得られる。化合物A,Bの選択により容易に多環式化合物を合成できる。本発明によれば、多様な骨格を有するπ共役化合物を提供できる。
[2]: 前記π共役化合物が多環式化合物であることを特徴とする[1]に記載のπ共役化合物の製造方法。
例えば、有機エレクトロニクス分野(EL材料、太陽電池の有機薄膜層等)に有用な多環式化合物を簡便に提供できる。また、本発明の合成法により、新規化合物を提供できる。
[3]: 前記ボレピン誘導体を得る反応と前記酸化反応をワンポットで行うことを特徴とする[1]又は[2]に記載のπ共役化合物の製造方法。
酸化剤の選択により、本願発明をワンポット合成できるという優れたメリットがある。
[4]: 前記π共役化合物が高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のπ共役化合物の製造方法。
[5]:
式(1)
Figure 2017154988
[式中、環A〜Cは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
で表されるπ共役化合物。
[6]: 式(2)
Figure 2017154988
[式中、環D〜Fは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
で表されるπ共役化合物。
[7]: 式(3)
Figure 2017154988
[式中、環G〜Iは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
[8]: 式(4)
Figure 2017154988
[式中、環J,Kは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
で表されるπ共役化合物。
[9]: 式(5)
Figure 2017154988
[式中、環L,環M、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
で表されるπ共役化合物。
[10]: 上記R,Rおよび前記置換基は、其々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−COOR(但し、Rは、炭素数1〜24のアルキル基である)、−CF、−SR(但し、Rは、炭素数1〜24のアルキル基である)、−OR(但し、Rは、炭素数1〜24のアルキル基である)、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントリル基、ベニレリル基、フラニル基およびチエニル基からなる群から選択される置換基である[5]〜[9]のいずれかに記載のπ共役化合物。
本発明によれば、多様な骨格を有するπ共役化合物の合成法および新規π共役化合物を提供できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本願明細書でいう「アリール基」は、単環または多環式化合物からなるものの他、ヘテロアリール基も含むものとする。
本発明に係るπ共役化合物の製造方法は、非プロトン性溶媒の存在下で化合物Aと化合物Bを混合して反応させ、得られたボレピン誘導体に対して酸化剤を用いて酸化反応する工程を含むものである。
化合物Aは、少なくとも一方が炭素原子に直結したアルキニル基を含む化合物である。すなわち、アルキニル基と連結する基の少なくとも一方が、アルキニル基を構成する炭素と直結する原子を炭素原子とする炭素骨格をベースとする基である。アルキニル基と連結する他方は、アルキニル基を構成する炭素と直結する原子を炭素原子とする炭素骨格をベースとする基または水素原子である。ここで、「炭素骨格をベースとする基」とは、名称の如く、炭素を骨格とする基であればよく、有機基の他、フェロセン等の金属を含む化合物やフラーレン等の炭素化合物からなる基あるいは有機・無機のハイブリッド化合物からなる基も含む。
化合物A中のアルキニル基の数は、1つでも複数でもよい。化合物Aとしてブタジイン誘導体を用い、2当量の化合物Bを反応させることにより、1,2,3,4−テトラアリールブタジエン誘導体を形成することもできる。また、化合物Aは、低分子の基に限定されず、高分子からなる基でもよい。本発明の製造方法によれば、化合物A中に例えばアルケニル基、ハロゲン、エステル、アルコキシ基等の官能基が含まれていてもよい。
化合物Aの一例として、以下の式(II)を例示できる。式中の芳香環、ヘテロ環には、任意の位置に置換基(高分子を含む)を有していてもよい。
Figure 2017154988
化合物Bは、下記式(I)で表される化合物、すなわち、ボラフルオレンまたはボラフルオレン誘導体である。本明細書においてボラフルオレン誘導体とは、R,Rの位置に任意の置換基を有する化合物をいう。
Figure 2017154988
但し、Xは、ハロゲン原子(但しフッ素原子を除く)またはトリフルオロメタンスルホニル基であり、RおよびRは、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。なお、「RおよびRは、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基」とは、式(I)中の2つのRは、同一の基であっても、異なる基であってもよいことを意味する。Rについても同様である。
ボラフルオレン誘導体のアリール基の置換基R,Rは、例えば、官能基、脂肪族基、脂環族基、芳香族基等の有機基や、これらを組み合わせたものが挙げられる。また、置換基としてフェロセン等の金属を含む化合物や、フラーレン等の炭素化合物からなる基あるいは有機・無機のハイブリッド化合物からなる基も好適である。これらの置換基は、一の置換基内において組み合わせて用いてもよい。また、置換基の分子量は特に限定されず、低分子でも高分子でもよい。化合物Bのボラフルオレン誘導体は、ボラフルオレンユニットが1つである他、複数含まれていてもよい。
化合物Bは、上記条件を満たすものであれば特に限定されず、ターゲット化合物に応じて自在に構造を選定すればよい。一例として、以下の式(III)を例示できる。化合物Bは、高分子化合物または低分子化合物中に、上述した条件を満たすユニットが含まれているものであればよい。また、式(III)に含まれる化合物等において、同一または異なる化合物を直接または脂肪族基等を介して任意に結合させた化合物も好適である。
Figure 2017154988
本発明のπ共役化合物を高収率で得るためには、化合物Bのホウ素の空軌道に化合物Aのアルキニル基が高効率で配位するように、化合物Aおよび/または化合物Bに官能基をはじめとする各種置換基を用いる場合には、非プロトン性であって、且つルイス酸と結合しない基を用いることが好ましい。好ましい官能基としては、例えば、アミド基、エステル基、シリル基、F,Br,Cl,Iなどのハロゲン置換基、アルキル基、アルコキシル基、ビニル基、アリール基を含む芳香族置換基、チエニル基などの複素芳香族置換基等が例示できる。
本発明のπ共役化合物の製造の反応要部のみを化学式で示すと、以下の式(IV)により表すことができる。化合物Bのホウ素の空軌道に化合物Aのアルキニル基が相互作用して結合が形成され、中間体が得られる。そして、酸化剤を用いてこの中間体を酸化することにより、π共役化合物が得られる。なお、本願明細書において「π共役系化合物」とは、少なくとも化合物中にボラフルオレン由来のアリール基とアルキニル基由来のエテン基がπ共役している化合物をいう。
Figure 2017154988
化合物Aと化合物Bを混合して反応させる際に用いる溶媒は、化合物Bのホウ素の空軌道に配位されないように、非プロトン性溶媒とする。非プロトン性溶媒としては、例えば、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、2−メチルブタン、2,2'−ジメチルプロパン、n−メチルペンタン、3−メチルペンタン、ジメチルブタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、n−へプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、i−デカン、n−トリデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、n−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、n−オクチルベンゼン、ドデシルベンゼン(直鎖、分岐)、シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリン、テトラリン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、若しくは脂環式の炭化水素系溶媒;クロロホルム、ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、p−クロロトルエン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、3,4−ジクロロトルエン、1,2,3−トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらのうちでも、ハロゲン系溶剤が好ましく、ジクロロメタン、トリクロロメタン等が好適に使用される。溶媒は単独、または2種以上を混合して用いてもよい。
中間体から酸化剤を用いてπ共役化合物を得るときには、酸素ガスにより大気中で行ってもよいし、溶媒中で行ってもよい。溶媒を用いる場合には、酸化剤との相性がよければ特に限定されない。目的化合物によっても異なるが、ボレピン誘導体を得るための反応に用いた溶媒に、酸化剤を加えてワンポット反応によりπ共役化合物を得ることが工程の短縮化の観点や、廃棄物を抑制する観点から好ましい。
酸化剤としては、中間体から酸化反応を行い、ホウ素を脱離できるものであればよく特に限定されない。目的化合物によるが、通常、酸素程度の酸化力があれば充分である。一例としては、FeCl、酸素、I、NOBF 、N(CBr)・SbCl 、CuCl、二酸化マンガン、クロラニル、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)などのキノン型酸化剤、Scholl反応に使用される酸化剤重縮合化剤などを挙げることができるが、これらに限定するもではない。特に、好ましくは、FeClなどのハロゲン化金属系ルイス酸触媒が挙げられる。また、酸化剤は、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸化剤の選択によっては、上記一連の反応をワンポットで行うことができる。
次に、本発明のπ共役化合物の合成方法の一例について説明する。ここでは、化合物Aとしてジフェニルアセチレン、化合物Bとしてボラフルオレンを用いた例について説明する。まず、ジフェニルアセチレンとボラフルオレンをジクロロメタン等の非プロトン性溶媒の存在下で混合し、反応させる。これにより、式(V)に示すように、ボレピン誘導体が得られる。ボレピン誘導体に酸化剤を用いて酸化反応をせしめると、酸化剤の選択によりフェナントレン誘導体であるπ共役化合物1、2が得られる。
Figure 2017154988
π共役化合物1は、中間体であるボレピン誘導体に対し、例えば1当量の塩化鉄を酸化剤として用いることにより得られる。一方、π共役化合物2は、中間体であるボレピン誘導体に対し、例えば過剰量の塩化鉄を酸化剤として用いることにより得られる。π共役化合物2の酸化反応は、Schooll反応を用いたものである。本発明の合成方法によれば、酸化剤の種類、添加量、および酸化条件等を変更することにより種々のπ共役化合物が得られる。また、上記式(I)に示す反応において遷移金属触媒が不要であるという優れたメリットを有する。
本発明に係るπ共役化合物の合成法によれば、高温・高圧条件を排除するものではないが、常温・常圧のマイルドな条件でも合成することが可能である。従って、熱に弱い化合物の合成にも好適である。更に、本発明に係るπ共役化合物の合成法によれば、酸化剤を適切に選定することにより、ボレピン誘導体形成反応と酸化反応をワンポットで合成することが可能である。
また、化合物Bのホウ素が、化合物Aのアルキニル基に特異的に反応するので化合物A中にアルケニル基、ハロゲン、エステル、ケトン、ホルミル基等の官能基が含まれていてもよく、多種多様な骨格を有する化合物Aおよび化合物Bに対して広く本発明の合成法を適用できる。また、酸化剤として安価な鉄や酸素ガスを用いた場合には、低コスト化も達成できる。更に、酸化剤の添加量や、酸化剤の種類を変更することにより、後述する実施例に例示するように、化学式(I)の中間体から得られる最終化合物の構造を容易に代えることができる。
次に、本発明に係る新規化合物について説明する。以下の新規化合物の合成法は限定されないが、上述した合成法により容易に製造できる。
(新規化合物1)
本発明の合成法により以下の式(1)で表される化合物が得られる。
Figure 2017154988
式中、環A〜Cは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。環A〜Cのいずれかがチオフェン環の場合の結合位置は、2位と5位、3位と4位、2位と4位および3位と5位の組み合わせが考えられる。以下同様である。
式(1)のπ共役化合物のR、Rおよび置換基の好適な例として、以下の置換基が例示できる。すなわち、上記R,Rおよび前記置換基は、其々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−COOR(但し、Rは、炭素数1〜24のアルキル基である)、−CF、−SR(但し、Rは、炭素数1〜24のアルキル基である)、−OR(但し、Rは、炭素数1〜24のアルキル基である)、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントリル基、ベニレリル基、フラニル基およびチエニル基からなる群から選択される置換基(以下、これらの群の置換基を「置換基α」という)が好適な例として挙げられる。
環A〜Cがベンゼン環であり、且つR,Rおよび置換基が全て水素原子である式(1)の一例であるπ共役化合物は、下記式(1A)に示すスキームにより得られる。すなわち、1,4−ビス(フェニルエチニル)ベンゼンに対して2当量のボラフルオレンをジクロロメタン等の非プロトン性溶媒の存在下で混合し、反応を行うことによりワンポット生成物を得、次いで、一電子酸化剤(例えば、酸素、ヨウ素、アルミニウム塩、FeCl等)を2当量用いて、酸化反応を行うことにより得られる。上記式(1)の環A〜Cが1,4−ビス(フェニルエチニル)ベンゼン由来である。
Figure 2017154988
環A〜Cがベンゼン環であり、且つR,Rおよび置換基が全て水素原子である式(1)の別の一例であるπ共役化合物は、下記式(1B)に示すように、1,3−ビス(フェニルエチニル)ベンゼンに対して2当量のボラフルオレンをジクロロメタン等の非プロトン性溶媒の存在下で混合してカップリング反応を行い、更に、一電子酸化剤を2当量用いて酸化反応を行うことにより得られる。酸化剤の例としては、上記式(1A)で説明した酸化剤が例示できる。
Figure 2017154988
置換基を有しない式(1)のπ共役化合物の別の一例は、下記式(1C)に示すように、1,2−ビス(フェニルエチニル)ベンゼンに対して2当量のボラフルオレンをジクロロメタン等の非プロトン性溶媒の存在下で混合してカップリング反応を行い、更に、一電子酸化剤を2当量用いて酸化反応を行うことにより得られる。酸化剤の例としては、上記式(1A)で説明した酸化剤が例示できる。
Figure 2017154988
上記式(1)のπ共役化合物は、化合物Aおよび化合物Bの材料由来により置換基を導入することができる。また、π共役化合物を合成した後に、更に置換基を導入したり、原料由来の置換基を別の置換基に変換したりすることができる。置換基の位置選択性の観点からは、所望の置換基を有する原料を用いる方法、或いは所望の置換基を有する原料を用いて、その置換基を他の置換基に変換する方法が好ましい。
(新規化合物2)
本発明の合成法により以下の式(2)で表される化合物が得られる。
Figure 2017154988
式中、環D〜Fは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、上記式(1)で説明したとおりであり、好適な例も上記式(1)と同様に置換基αが例示できる。
環D〜Fがベンゼン環であり、且つR,Rおよび置換基が全て水素原子である式(2)の一例であるπ共役化合物は、上記式(1B)に示した化合物を得た後、下記式(2A)に示すように、Schooll反応を行うことにより得られる。
Figure 2017154988
環D〜Fがベンゼン環であり、且つR,Rおよび置換基が全て水素原子である式(2)の別の一例であるπ共役化合物は、上記式(1A)で示した化合物を得た後、下記式(2B)に示すように、過剰量の塩化鉄等の酸化剤を用いてScholl反応により酸化反応を行うことにより得られる。
Figure 2017154988
上記式(2)のπ共役化合物は、上記式(1)で説明した通り、原料由来またはπ共役化合物を合成後に更に置換基を導入することにより、種々の置換基を導入できる。
式(2B)で得られる生成物であるπ共役化合物は、例えば、式(2C)に示すように、高分子の側鎖にアルキル基等を介して導入されていてもよい。主鎖骨格は、一例であって任意に設計できる。
Figure 2017154988
式中nは、任意の整数である。また、主鎖骨格および式(2)のユニットと主鎖の間に構成されるユニットは任意である。
また、下記式(2D)のように高分子の主鎖骨格に上記式(2)が含まれる化合物でもよい。
Figure 2017154988
式中のα、βは、任意の官能基を含む有機基である。これらは、任意の位置に置換基で環を形成していてもよい。なお、式(2C)、(2D)については式(2B)の生成物について説明したが、その他の化合物においても同様である。
(新規化合物3)
本発明の合成法により以下の式(3)で表される化合物が得られる。
Figure 2017154988
式中、環G〜Iは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、上記式(1)で説明したとおりであり、好適な例も上記式(1)と同様に置換基αが例示できる。
環G〜Iがベンゼン環であり、RおよびRが水素原子である置換基を有しない式(3)のπ共役化合物の一例であるπ共役化合物は、下記式(3A)に示すように、1,2−ビス(フェニルエチニル)ベンゼンに対して1当量のボラフルオレンをジクロロメタン等の非プロトン性溶媒の存在下で混合して反応を行い、更に、一電子酸化剤を1当量用いて酸化反応を行うことにより得られる。酸化剤の例としては、新規化合物1で説明した酸化剤が例示できる。
Figure 2017154988
上記式(3)のπ共役化合物は、上記式(1)で説明した通り、原料由来またはπ共役化合物を合成後に更に置換基を導入することにより、種々の置換基を導入できる。
(新規化合物4)
本発明の合成法により以下の式(4)で表される化合物が得られる。
Figure 2017154988
式中、環J,Kは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、上記式(1)で説明したとおりであり、好適な例も上記式(1)と同様に置換基αが例示できる。
環J,Kがベンゼン環であり、且つR,Rおよび置換基が全て水素原子である式(4)のπ共役化合物は、下記式(4A)に示すように、1,2−ビス(4−ヨードフェニル)エチンに対して1当量のボラフルオレンをジクロロメタン等の非プロトン性溶媒の存在下で混合して反応を行い、更に、一電子酸化剤を1当量用いて酸化反応を行うことにより得られる。酸化剤の例としては、新規化合物1で説明した酸化剤が例示できる。
Figure 2017154988
上記式(4)のπ共役化合物は、上記式(1)で説明した通り、原料由来またはπ共役化合物を合成後に更に置換基を導入することにより、種々の置換基を導入できる。
ヨウ素を導入したアリールヨウ素は、グリニヤール反応等の遷移金属触媒を用いる反応において、有用な活性部位となる。このため、遷移金属触媒を用いた反応においては、ヨウ素を用いた合成が多用されているが、最終生成物においてヨウ素を組み込むことは難しいという問題があった。このため、上記式(4)においてヨウ素が導入されていない化合物は報告されているが、上記式(4)の位置にヨウ素が導入された化合物の合成例は報告されていなかった。
本発明に係る合成法によれば、化合物Aのアルキニル基と化合物Bのホウ素を特異的に反応させることにより反応を進行させるため、上記式(4)のようなヨウ素を含むπ共役化合物を容易に合成することができる。
(新規化合物5)
本発明の合成法により以下の式(5)で表される化合物が得られる。
Figure 2017154988
式中、環L,Mは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、上記式(1)で説明したとおりであり、好適な例も上記式(1)と同様に置換基αが例示できる。
環L、Mがベンゼン環であり、且つR,Rおよび置換基が全て水素原子である式(5)の一例であるπ共役化合物は、下記式(5A)に示すように、ジフェニルブタジインに対して2当量のボラフルオレンをジクロロメタン等の非プロトン性溶媒の存在下で混合して反応を行い、次いで、一電子酸化剤(例えば、酸素、ヨウ素、アルミニウム塩、FeCl等)を2当量用いて、酸化反応を行うことにより得られる。
Figure 2017154988
上記式(5)のπ共役化合物は、上記式(1)で説明した通り、原料由来またはπ共役化合物を合成後に更に置換基を導入することにより、種々の置換基を導入できる。
従来、環L、M、R,Rのいずれにも置換基がついていない化合物(水素が結合された化合物)は報告例がある。しかしながら、環V、W、R,Rのいずれかに置換基がついている例は報告されていない。また、光学分割例についても報告されていなかった。本発明の合成法によれば、化合物Aまたは/および化合物Bの原料に、反応ユニット以外の置換基を有する化合物を用いることにより、特定の位置に置換基を有する式(5)の化合物に容易に導入できる。このため、容易に光学分割することが可能である。
本発明の合成法によれば、以下のような式(VI)に示す化合物も容易に合成することができる。
Figure 2017154988
また、以下の式(VII)や(VIII)に示すようなπ共役化合物を得ることができる。
Figure 2017154988
Figure 2017154988
アセチレン基を6ユニット有する上記式(VIII)によれば、平面視上、環状の化合物が得られる。更に、7以上のアセチレン基を有するフェニレン−エチレニン化合物を化合物Aとして用いれば、紙面に対して垂直方向に螺旋軸を有する化合物を得ることができる。
≪実施例≫
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下に記載する試薬等は、特に断らない限りは一般に市販されているものである。得られた化合物は特性評価の為、核磁気共鳴吸収スペクトル測定(H−NMR,11B−NMR、13C−NMR)および質量分析測定を行った各特性の測定条件は以下の通りとした。
・核磁気共鳴スペクトル分析(H−NMR、11B−NMR、13C−NMR):ブルカー社製AVANCE-400スペクトロメーターを用いて、H核、11B核、13C核について共鳴周波数をそれぞれ400MHz、128MHz、100MHzで測定した。また、ブルカー社製AVANCE III HD-500スペクトロメーターを用いてH核、11B核、13C核について共鳴周波数をそれぞれ500MHz、160MHz、125MHzで測定した。測定溶媒は、重水素化クロロホルム(CDCl3)、重水素化1,2−ジクロロベンゼン(ODCB-d4)を用いた。
・質量分析(MS):ブルカー社製micrOTOF IIスペクトロメーターを用いて大気圧化学イオン化法(APCI法)で測定した。ブルカー社製solariX XR 7.0Tスペクトロメーターを用いてフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴法(FT-ICR法)で測定した。
(実施例1)
[5-Chloro-6,7-diphenyl-5H-dibenzo[b,d]borepin(化合物2)の合成]
下記式(E1)に基づき、例示化合物2を合成した。
Figure 2017154988
9−クロロ−9−ボラフルオレン(9-Chloro-9-borafluorene)(化合物1)109mg(0.55mmol)と、ジフェニルアセチレン89mg(0.50mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)とを、アルゴン雰囲気中、80℃で24時間加熱攪拌した。その後、反応溶媒を減圧留去し、乾燥ヘキサンを用いて残渣を再結晶させ、目的の例示化合物2を164mg(0.44mmol)得た(収率87%、薄黄色結晶)。
得られた例示化合物2の測定結果は以下のとおりであり、上記例示化合物2と一致することを確認した。以降、同様にして目的とする例示化合物の特性評価の結果を示す。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 7.93 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.84 (dd, J = 7.5, 1.1 Hz, 1H), 7.75−7.65 (m, 2H), 7.49 (td, J = 14.9, 1.1 Hz, 1H), 7.37 (m, 1H), 7.25−7.17 (m, 2H), 7.16−6.96 (m, 8H), 6.96−6.88 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 152.2, 147.9, 144.5, 143.8, 143.2, 140.1, 139,3, 138.3, 132.4, 132.1, 132.0, 131.6, 130.5, 130.3, 129.3, 127.5 (two peaks), 127.2, 126.7, 126.6, 125.9. アロマティックカーボンのうちのボロンのイプソ位のカーボンの一つは観測されなかった。
11B NMR (128 MHz, CDCl3): δ (ppm) 61.6.
APCI-TOF MS: calcd. for C26H18BCl [M]+: m/z = 376.12; found: 376.12.
[9,10-Diphenylphenanthrene(3)の合成]
下記式(E2)に基づき、例示化合物3を合成した。
Figure 2017154988
アルゴン雰囲気下、25℃で、例示化合物2(188mg(0.50mmol))のジクロロエタン溶液(2.0mL)に、FeCl(81mg(0.5mmol))の乾燥ニトロメタン溶液(2.0mL)を加え、30分攪拌した。反応溶液を150mLのメタノールに注ぎ込み、さらに水を加えた後ジクロロエタンで抽出した。次いで、有機層を回収し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧留去した。残渣をジクロロエタンに溶解させ、フロリジール(登録商標)で濾過し、濾液を減圧留去し、目的の例示化合物3を155mg(0.47mmol)得た(収率94%、無色透明結晶)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.81 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.67 (ddd, J = 8.3, 7.7, 1.3 Hz, 2H), 7.56 (dd, J = 8.3, 1.2 Hz, 2H), 7.48 (ddd, J = 8.3, 7.7, 1.1 Hz, 2H), 7.12−7.28 (m, 10H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 139.7, 137.3, 132.0, 131.1, 130.1, 128.0, 127.7, 126.8, 126.6, 126.5, 122.6.
APCI-TOF MS: calcd. for C26H18 [M]+: m/z = 330.14; found: 330.14.
(実施例2)
[9,10-Bis(4-methylphenyl)phenanthrene(4)の合成]
下記式(E3)に基づき、例示化合物4を合成した。
Figure 2017154988
9−クロロ−9−ボラフルオレン(化合物1)109mg(0.55mmol)と、ビス(4−メチルフェニル)アセチレン103mg(0.50mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)とを、アルゴン雰囲気中、80℃で24時間加熱攪拌した。その後、反応溶液を室温に冷却し、そこにFeCl(81mg(0.5mmol))の乾燥ニトロメタン溶液(2.0mL)を加え30分攪拌した。次いで、反応溶液を150mLのメタノールに注ぎ込み、さらに水を加えた後ジクロロエタンで抽出した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧留去した。残渣をジクロロエタンに溶解させ、フロリジールで濾過し、減圧留去した。クロロホルムを溶媒とするサイズ排除クロマトグラフィーに残渣を供することで、目的とする例示化合物4を153mg(0.44mmol)得た(収率85%、無色透明結晶)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.80 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.65 (dd, J = 8.7, 1.4 Hz, 2H), 7.56 (dd, J = 8.4, 1.1 Hz, 2H), 7.47 (dd, J = 8.6, 1.1 Hz, 2H), 7.05 (m, 8H), 2.33 (s, 6H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 137.2, 136.6, 135.8, 132.2, 130.9, 130.0, 128.4, 127.9, 126.5, 126.3, 122.5, 21.3.
APCI-TOF MS: calcd. for C28H22 [M]+: m/z = 358.17; found: 358.17.
(実施例4)
[9,10-Bis(4-methoxyphenyl)phenanthrene(5)の合成]
下記式(E4)に基づき、例示化合物5を合成した。
Figure 2017154988
実施例3と同様の反応スケールおよび操作により、ビス(4−メトキシフェニル)アセチレン(103mg(0.50mmol)を原料として、化合物5を160mg(0.41mmol)得た(収率82%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.80 (d, J = 8.3 Hz, 2H,), 7.65 (dd, J = 8.5, 1.4 Hz, 2H), 7.59 (dd, J = 8.3, 1.1 Hz, 2H), 7.48 (dd, J = 8.4, 1.3 Hz, 2H), 7.06 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 6.80 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 3.81 (s, 6H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 158.0, 137.2, 132.3, 132.1, 132.0, 130.0, 127.9, 126.5, 126.2, 122.1, 113.1, 55.1.
APCI-TOF MS: calcd. for C28H22O2 [M]+: m/z = 390.16; found: 390.16.
(実施例5)
[9,10-Bis(4-bromophenyl)phenanthrene(6)の合成]
下記式(E5)に基づき、例示化合物6を合成した。
Figure 2017154988
実施例3と同様の反応スケールおよび操作により、ビス(4−ブロモフェニル)アセチレン168mg(0.50mmol)を原料として、例示化合物6を200.1mg(0.41mmol)得た(収率82%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.81 (d, , J = 8.3 Hz, 2H), 7.69 (dd, , J = 8.32 and 2.18 Hz, 2H), 7.47−7.53 (m, 4H), 7.42 (dd, J = 8.32, 2.44 Hz, 4H), 7.02 (dd, J = 8.38, 2.46 Hz, 4H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 138.2, 136.0, 132.6, 131.4, 131.1, 130.1, 127.6, 126.8 (two peaks), 122.6, 121.0.
APCI-TOF MS: calcd. for C26H16Br2 [M]+: m/z = 485.96; found: 485.96.
(実施例6)
[9,10-Bis(4-iodophenyl)phenanthrene(7)の合成]
下記式(E6)に基づき、例示化合物8を合成した。
Figure 2017154988
実施例3と同様の反応スケールおよび操作により、ビス(4−ヨードフェニル)アセチレン215mg(0.50mmol)を原料として、化合物7を232mg(0.40mmol)得た(収率80%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.80 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.67−7.70 (m, 2H), 7.61 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.47−7.52 (m, 4H), 6.89 (d, J = 8.0 Hz, 4H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 138.8, 137.0, 136.0, 132.9, 131.4, 130.1, 127.6, 126.9, 126.8, 122.6, 92.7.
APCI-TOF MS: calcd. for C26H16I2 [M]+: m/z = 581.93; found: 581.93.
(実施例7)
[9,10-Bis(4-trifluoromethylphenyl)phenanthrene(8)の合成]
下記式(E7)に基づき、例示化合物8を合成した。
Figure 2017154988
実施例3と同様の反応スケールおよび操作により、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)アセチレン(233mg(0.50mmol))を原料として、目的とする例示化合物8を157mg(0.34mmol)得た(収率80%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.84 (d, J = 8.4, 2H), 7.72 (dd, J = 8.4, 1.3, 2H), 7.51−7.55 (m, 6H), 7.44 (d, J = 8.54, 2H), 7.28 (d, J = 7.86, 4H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 143.0, 136.0, 131.3, 131.1, 130.2, 129.2 (q, J = 32.8), 127.5, 127.1, 125.2, 124.9 (q, J = 3.42), 123.0, 122.7, 120.9 (two peaks).
APCI-TOF MS: calcd. for C28H16F6 [M]+: m/z = 466.11; found: 466.12.
(実施例8)
[9,10-Bis(4-methoxycarbonylphenyl)phenanthrene(9)の合成]
下記式(E8)に基づき、例示化合物9を合成した。
Figure 2017154988
実施例3と同様の反応スケールおよび操作により、ビス(4−メトキシカルボニルフェニル)アセチレン107mg(0.50mmol)を原料として、目的とする例示化合物9を107mg(0.24mmol)得た(収率47%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.82 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.92 (d, J = 8.1 Hz, 4H), 7.70 (dd, J = 8.5, 1.4 Hz, 2H), 7.45−7.52 (m, 4H), 7.24 (d, J = 8.2 Hz, 4H), 3.91 (s, 6H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 167.0, 144.3, 136.2, 131.1, 130.1, 129.1, 128.7, 127.5, 126.9 (two peaks), 122.7, 52.1.
APCI-TOF MS: calcd. for C30H22O4 [M]+: m/z = 446.15; found: 446.15.
(実施例9)
[9,10-Bis(2-thienyl)phenanthrene(10)の合成]
下記式(E9)に基づき、例示化合物10を合成した。
Figure 2017154988
実施例3と同様の反応スケールおよび操作により、ビス(2−チエニル)アセチレン95mg(0.50mmol)を原料として、目的とする化合物10を125mg(0.36mmol)得た(収率73%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.78 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.81 (dd, J = 8.4, 1.1 Hz, 2H), 7.70 (dd, J = 8.4, 1.4 Hz, 2H), 7.55 (dd, J = 8.2, 1.2 Hz, 2H), 7.34 (dd, J = 5.1, 1.2 Hz, 2H), 7.02 (dd, J = 5.1, 3.5 Hz, 2H), 6.95 (dd, J = 3.5, 1.2 Hz, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 139.8, 132.3, 132.2, 130.3, 129.4, 127.9, 127.2, 126.9, 126.4, 126.2, 122.5.
APCI-TOF MS: calcd. for C22H14S2 [M]+: m/z = 342.05; found: 342.05.
(実施例10)
[1,4-Bis(10’-phenylphenanthren-9’-yl)benzene(11)の合成]
下記式(E10)に基づき、例示化合物11を合成した。
Figure 2017154988
化合物1(157mg,0.79mmol)および1,4−ビス(フェニルエチニル)ベンゼン(100mg,0.36mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(1.5mL)をアルゴン雰囲気中、80℃で24時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却し、そこにFeCl(116mg,0.72mmol)の乾燥ニトロメタン溶液(1.0mL)を加え1時間攪拌した。反応溶液を80mLのメタノールに注ぎ込み、析出した白色沈殿を濾過により回収した。濾物をジクロロメタンに溶解させ、フロリジール(登録商標)で濾過し減圧留去することで、化合物11を184mg(0.32mmol)得た(収率88%、無色透明結晶)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.83−8.80 (m, 4H), 7.70−7.57 (m, 7H), 7.53−7.46 (m, 4H), 7.35−7.29 (m, 4H), 7.24−7.20 (m, 5H), 7.09−7.07 (m, 3H), 7.02−7.00 (m, 3H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ (ppm) 139.7, 137.7, 137.2, 131.3, 130.8, 130.4, 130.3, 130.0 (two peaks), 127.9, 127.8, 126.8, 127.6, 126.7, 126.6 (two peaks), 126.3 (two peaks), 122.5, 122.4.
APCI-TOF MS: calcd. for C46H30 [M]+: m/z = 582.23; found: 582.23.
(実施例11)
[1,4-Bis(10’-phenylphenanthren-9’-yl)benzene(12)の合成]
下記式(E11)に基づき、例示化合物12を合成した。
Figure 2017154988
実施例10と同様の反応スケールおよび操作により、1,3−ビス(フェニルエチニル)ベンゼン(100mg(0.36mmol))を原料として、化合物12を186mg(0.36mmol)得た(収率89%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.83−8.80 (m, 4H), 7.70−7.57 (m, 7H), 7.53−7.46 (m, 4H), 7.35−7.29 (m, 4H), 7.24−7.20 (m, 5H), 7.09−7.07 (m, 3H), 7.02−7.00 (m, 3H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ (ppm) 139.7, 137.7, 137.2, 131.3, 130.8, 130.4, 130.3, 130.0 (two peaks), 127.9, 127.8, 126.8, 127.6, 126.7, 126.6 (two peaks), 126.3 (two peaks), 122.5, 122.4.
APCI-TOF MS: calcd. for C46H30 [M]+: m/z = 582.23; found: 582.23.
(実施例12)
[Hexabenzo[a,c,f,j,m,o]picene(13)の合成]
下記式(E12)に基づき、例示化合物13を合成した。
Figure 2017154988
化合物1(157mg(0.79mmol))と、1,3−ビス(フェニルエチニル)ベンゼン(100mg(0.36mmol))の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(1.5mL)とをアルゴン雰囲気中、80℃で24時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却し、ジクロロエタン100mLで希釈した。反応溶液にガラス管を通してアルゴンガスを吹き込みながら、FeCl(1.75g,10.8mmol)の乾燥ニトロメタン溶液(1.0mL)を加え1時間攪拌した。反応溶液を150mLのメタノールに注ぎ込み、析出した黄色沈殿を濾過により回収した。濾物をクロロホルムに溶解させ、フロリジール(登録商標)で濾過し減圧留去した。残渣をクロロホルム−メタノール混合溶媒から再結晶することで、化合物13を185mg(0.32mmol)得た(収率89%、橙色結晶)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 9.02 (s, 2H), 8.96−8.94 (m, 2H), 8.84 (dd, J = 8.0, 1.3 Hz, 2H), 8.78−8.76 (m, 4H), 8.67 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 8.40 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.78−7.68 (m, 8H), 7.53 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.30 (t, J = 8.0 Hz, 2H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ (ppm) 131.3 (two peaks), 131.2, 130.1, 129.5, 129.2, 129.0 (two peaks), 128.9 (two peaks), 128.5 (two peaks), 127.3, 126.9, 126.8, 126.6, 126.5, 126.4, 126.2, 126.1, 124.7, 123.7, 123.5.
APCI-TOF MS: calcd. for C46H26 [M]+: m/z = 578.20; found: 578.20.
(実施例13)
[Tetrabenzo[a,c,f,k]phenanthro[9,10-m]tetraphene(14)の合成]
下記式(E13)に基づき、例示化合物14を合成した。
Figure 2017154988
実施例12と同様の反応スケールおよび操作により、1,3−ビス(フェニルエチニル)ベンゼン100mg(0.36mmol)を原料として、化合物14を186mg(0.36mmol)得た(収率89%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 9.89 (s, 1H), 9.65 (s, 1H), 9.02 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 8.90 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 8.63−8.74 (m, 8H), 7.74−7.84 (m, 4H), 7.67−7.74 (m, 4H), 7.65 (dd, J = 14.9, 7.8 Hz, 2H), 7.60 (dd, J = 14.9, 7.8 Hz, 2H).
13C NMR (100 MHz, ODCB-d4): δ (ppm) 131.5, 130.9, 130.8, 129.1 (two peaks), 129.0 (two peaks), 128.7, 128.6, 128.3, 128.0, 127.6, 126.7, 126.6 (two peaks), 124.4, 123.6, 123.5 (other peaks overlapped with those of the residual solvent).
APCI-TOF mass: calcd. for C46H26 [M]+: m/z = 578.23; found: 578.23.
(実施例14)
[1,3,5-tris(10’-phenylphenanthren-9’-yl)benzene(15)の合成]
下記式(E14)に基づき、例示化合物15を合成した。
Figure 2017154988
化合物1(218mg,1.10mmol)および1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン(126mg,0.33mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(1.5mL)をアルゴン雰囲気中、80℃で24時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却し、そこにFeCl(162mg,1.0mmol)の乾燥ニトロメタン溶液(1.0mL)を加え1時間攪拌した。反応溶液を150mLのメタノールに注ぎ込み、さらに水を加えた後ジクロロエタンで抽出した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧留去した。残渣をヘキサンとクロロホルムの1:2混合溶媒を溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供することで、目的とする例示化合物15を102mg(122μmol)得た(収率36%、無色透明結晶)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.76−8.73 (m, 6H), 7.70−7.66 (m, 3H), 7.63−7.59 (m, 3H), 7.56−7.52 (m, 3H), 7.48−7.30 (m, 13H), 7.22−7.20 (m, 2H), 7.16−7.10 (m, 6H), 6.93 (t, J = 1.6 Hz, 1H), 6.90−6.88 (m, 2H), 6.78 (d, J = 1.6 Hz, 2H), 6.47 (dd, J = 8.0, 1.1 Hz, 1H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ (ppm) 139.8, 139.3, 139.2, 138.5, 137.3, 137.1, 136.7, 136.3, 132.1, 131.8 (two peaks), 131.7 (two peaks), 131.6, 131.4, 131.3, 130.6, 130.0, 129.9 (two peaks), 128.6, 128.2, 128.0, 127.9, 127.7 (two peaks), 127.6, 126.7, 126.6 (two peaks), 126.5 (two peaks), 126.3 (two peaks), 126.2 (two peaks), 122.4 (two peaks), 122.3, 121.9
APCI-TOF MS: calcd. for C66H42 [M]+: m/z = 834.33; found: 834.33.
(実施例15)
[10,10'-Diphenyl-9,9'-biphenanthrene(16)の合成]
下記式(E15)に基づき、例示化合物16を合成した。
Figure 2017154988
化合物1(109mg(0.55mmol))および1,4−ブタジイン(51mg,0.25mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(1.0mL)をアルゴン雰囲気中、80℃で72時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却し、そこにFeCl(82mg(0.51mmol))の乾燥ニトロメタン溶液(1.0mL)を加え1時間攪拌した。反応溶液を150mLのメタノールに注ぎ込み、さらに水を加えた後ジクロロメタンで抽出した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧留去した。残渣をヘキサンとクロロホルムの1:2混合溶媒を溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供することで、目的とする例示化合物15を100mg(0.20mmol)得た(収率80%、白色粉末)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.78 (d, J = 8.3 Hz, 4H), 7.64 (dd, J = 8.5, 7.6 Hz, 4H), 7.35−7.49 (m, 8H), 7.20 (dd, J = 8.2, 7.6 Hz, 2H), 7.07 (dd, J = 7.8, 7.3 Hz, 2H), 6.86−6.77 (m, 4H), 6.63 (d, J = 7.6 Hz, 2H)
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 138.6, 137.7, 134.1, 133.5, 132.4, 132.2, 130.7, 129.8, 129.0, 128.7, 127.9, 127.6, 127.0 (two peaks), 126.7, 126.5 (two peaks), 126.4, 122.7 (two peaks).
APCI-TOF MS: calcd. for C40H26 [M]+: m/z = 506.20; found: 506.20.
(実施例16)
[5-Chloro-2,8-dimethoxy-5H-dibenzo[b,d]borole (17)の合成]
下記式(E16)に基づき、例示化合物17を合成した。
Figure 2017154988
アルゴン雰囲気下、2,2'-ジブロモ-5,5'-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル (2,2'-dibromo-5,5'-dimethoxy-1,1'-biphenyl)(9.12g(24.5mmol))の乾燥ベンゼン溶液(50mL)にn-ブチルリチウム(n-butyl lithium)のヘキサン溶液(2.65mol/L,19mL)を室温で滴下した後、反応混合物を80度に昇温し、20時間加熱撹拌した。反応混合物を10度に冷却し、ボロントリクロリド(boron trichloride)のペンタン溶液(1.0mol/L,25.7mL)を滴下して加えた。反応混合物を25度に昇温し12時間撹拌した後、セライト濾過し、ろ液を減圧留去した。残渣をヘキサンから再結晶することで、化合物17を4.84g(18.7mmol)得た(収率77%、褐色固体)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 7.46 (d, J = 8 Hz, 2H), 6.87 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.61 (dd, J = 8 Hz, 2.4 Hz, 2H), 3.87 (s, 6H).
11B NMR (125 MHz, CDCl3): δ (ppm) 60.3
[2,8-Di-tert-butyl-5-chloro-5H-dibenzo[b,d]borole(18)の合成]
下記式(E17)に基づき、例示化合物18を合成した。
Figure 2017154988
アルゴン雰囲気下、2,2'-ジブロモ-4,4'-ジ-ターシャリーブチル-1,1'-ビフェニル (2,2'-dibromo-4,4'-di-tert-butyl-1,1'-biphenyl)(4.24g,10mmol)の乾燥ヘキサン溶液(50mL)にn−ブチルリチウム(n-butyl lithium)のヘキサン溶液(2.65mol/L,7.9mL)を室温で滴下した後、反応混合物を60度に昇温し、96時間加熱撹拌した。反応混合物を0度に冷却し、ボロントリクロリド(boron trichloride)のペンタン溶液(1.0mol/L,10.5mL)を滴下して加えた。反応混合物を25度に昇温し12時間撹拌した後、セライト濾過し、ろ液を減圧留去した。残さをヘキサンから再結晶することで、化合物18を1.13g(3.6mmol)得た(収率36%、黄色結晶)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ (ppm) 7.56 (d, J = 2Hz, 2H), 7.36 (dd, J = 7.6Hz, 2Hz, 2H), 7.22 (d, J = 7.6Hz, 2H), 1.318 (s, 18H).
11B NMR (125 MHz, CDCl3): δ (ppm) 64.0
[3,6-Dimethoxy-9,10-di-p-tolylphenanthrene (19)の合成]
下記式(E18)に基づき、例示化合物19を合成した。
Figure 2017154988
化合物17(141mg,0.55mmol)およびビス(4−メチルフェニル)アセチレン(103mg,0.50mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)をアルゴン雰囲気中、80°Cで24時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却し、そこにFeCl(81mg,0.50mmol)の乾燥ニトロメタン溶液(2.0mL)を加え30分攪拌した。反応溶液を150mLのメタノールに注ぎ込み、さらに水を加えた後ジクロロエタンで抽出した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧留去した。残渣をジクロロエタンに溶解させ、フロリジール(登録商標)で濾過し、減圧留去した。残渣を、クロロホルムを溶媒とするサイズ排除クロマトグラフィーに供することで、化合物19を94.6mg(0.44mmol)得た(収率45%、無色透明結晶)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.06 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.11 (dd, J = 9.2, 2.4 Hz, 2H), 7.03 (m, 8H), 4.02 (s, 6H), 2.32 (s, 6H).
APCI-TOF MS: calcd. for C30H26O2 [M]+: m/z = 418.19; found: 418.19.
(実施例17)
[1,3,5-tris(10-(4-bromophenyl)-2,7-di-tert-butylphenanthren-9-yl)benzene(20)の合成]
下記式(E19)に基づき、例示化合物20を合成した。
Figure 2017154988
化合物17(364mg,1.2mmol)および1.3.5−トリス((4−ブロモフェニル)エチニル)ベンゼン(1,3,5-tris((4-bromophenyl)ethynyl)benzene)(200mg,0.33mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(2.5mL)をアルゴン雰囲気中、80°Cで20時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却し、そこにFeCl(190mg,1.2mmol)の乾燥ニトロメタン溶液(2.5mL)を加え1時間攪拌した。反応溶液を400mLのメタノールに注ぎ込み、析出した白色沈殿を濾過により回収した。濾物をジクロロメタンに溶解させ、フロリジール(登録商標)で濾過し減圧留去することで、化合物20を238mg(0.17mmol)得た(収率52%、白色粉末)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.67 (d, J = 8.7 Hz, 6H), 7.88 (d, J = 2.0 Hz, 3H), 7.73-7.69 (m, 6H), 7.46 (dd, J = 8.3, 2.1 Hz, 3H), 7.31 (d, J = 2.0 Hz, 3H), 7.22 (dd, J = 8.3, 2.1 Hz, 3H), 7.07 (s, 3H), 6,12 (dd, J = 8.3, 2.1 Hz, 3H), 1.63 (s, 27H), 1.06 (s, 27H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ (ppm) 149.2, 148.9, 139.3, 137.9, 136.1, 135.8, 134.7, 133.8, 132.8, 132.4, 131.4, 130.6, 130.3, 128.2, 127.9, 125.2, 124.9, 123.5, 122.8, 122.4, 122.2, 120.7, 35.0, 34.9, 31.4, 31.3.
APCI-TOF mass : calcd. for C90H87Br3 [M]+ : m/z = 1404.43 ; found : 1404.43
(実施例18)
[化合物21の合成]
下記式(E20)に基づき、例示化合物20を合成した。
Figure 2017154988
化合物1(97mg,0.49mmol)および1.3-ビス((3-(フェニルエチニル)フェニル)エチニル)ベンゼン (1,3-bis((3-(phenylethynyl)phenyl)ethynyl)benzene)(53mg,1.1x10−1mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)をアルゴン雰囲気中、80°Cで72時間加熱攪拌した。反応混合物を25度に冷却し、乾燥ジクロロメタン(100mL)を加えた。反応混合物にガラス管を通してアルゴンガスをバブリングし、そこにFeCl(717mg,4.4mmol)の乾燥ニトロメタン溶液(1.0mL)を加え2時間攪拌した。反応溶液を200mLのメタノールに注ぎ込み、析出した橙色沈殿を濾過により回収した。濾物をジクロロメタンに溶解させ、フロリジール(登録商標)で濾過し減圧留去した。残渣を、クロロホルムを溶媒とするサイズ排除クロマトグラフィーに供することで、化合物21を51mg(5.1x10−2mmol)得た(収率46%、橙色粉末)。
1H NMR (500 MHz, ODCB-d4): δ (ppm) 10.51 (s, 1H), 10.42 (s, 2H), 9.58 (s, 3H), 9.44 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 8.84−9.00 (m, 6H), 8.76 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 8.63−8.70 (m, 2H), 8.60 (m, 8H), 8.11 (m, 2H), 7.75−7.83 (m, 7H), 7.52−7.71 (m, 10H), 5.05 (s, 1H).
CP/MAS 13C NMR (201 MHz): δ (ppm) 133−114.
FT-ICR MS: calcd. for C86H46 [M]+: m/z = 1078.3594; found: 1078.3594.
(実施例19)
[化合物22の合成]
下記式(E21)に基づき、例示化合物22を合成した。
Figure 2017154988
化合物1(97mg,0.49mmol)および1.3-ビス((3-((3-(フェニルエチニル)フェニル)エチニル)フェニル)エチニル)ベンゼン(1,3-bis((3-((3-(phenylethynyl)phenyl)ethynyl)phenyl)ethynyl)benzene)(50mg,7.4x10−2mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)をアルゴン雰囲気中、80°Cで72時間加熱攪拌した。反応混合物を25度に冷却し、乾燥ジクロロメタン(100mL)を加えた。反応混合物にガラス管を通してアルゴンガスをバブリングし、そこにFeCl(717mg,4.4mmol)の乾燥ニトロメタン溶液(1.0mL)を加え2時間攪拌した。反応溶液を200mLのメタノールに注ぎ込み、析出した茶色沈殿を濾過により回収した。濾物をジクロロメタンに溶解させ、フロリジール(登録商標)で濾過し減圧留去した。残渣を、クロロホルムを溶媒とするサイズ排除クロマトグラフィーに供することで、化合物22を35mg(2.2x10−2mmol)得た(収率30%、茶色粉末)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.80 (br), 7.65 (br).
CP/MAS 13C NMR (201 MHz): δ (ppm) 133−114.
FT-ICR MS: calcd. for C126H66 [M]+: m/z = 1578.5159; found: 1578.5147.
(実施例20)
[9,10-di(anthracen-9-yl)phenanthrene(23)の合成]
下記式(E22)に基づき、例示化合物23を合成した。
Figure 2017154988
化合物1(892mg,4.5mmol)およびジ(アントラセン-9-イル)アセチレン(di(anthracen-9-yl)acetylene)(300mg,0.79mmol)の乾燥1,2−ジクロロベンゼン溶液(8.0mL)をアルゴン雰囲気中、175°Cで96時間加熱攪拌した。反応混合物を25度に冷却し、そこに2−アダマンタン−N−オキシル(2-azaadamantane-N-oxyl,AZADO)(137mg,0.90mmol)を加え、30分撹拌した。反応混合物を飽和重層水に注ぎ込み、ジクロロエタンで抽出した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧留去した。残渣をヘキサンで洗浄した後、1,2−ジクロロエタンから再結晶することで、化合物23を172mg(0.32mmol)得た(収率41%、黄色結晶)。
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2): δ (ppm) 9.08 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.00 (s, 2H), 7.79 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 7.64 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 7.58 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 7.36 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.17 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.13 (J = 7.7 Hz, 4H), 6.90 (t, J = 7.8 Hz, 4H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ (ppm) 137.0, 133.6, 133.5, 131.1, 130.8, 130.4, 128.4, 128.2, 128.0, 127.6, 127.5, 126.6, 125.0, 124.9, 123.3.
APCI-TOF mass: calcd. for C42H26 [M]+: m/z = 530.20; found: 530.20

Claims (10)

  1. 非プロトン性溶媒の存在下、化合物Aと化合物Bを混合して反応させ、
    得られたボレピン誘導体に対して、酸化剤を用いて酸化反応させる工程を含むものであり、
    前記化合物Aは、少なくとも一方が炭素原子に直結したアルキニル基を含む化合物であり、
    前記化合物Bは、下記式(I)で表される化合物であるπ共役化合物の製造方法。
    Figure 2017154988
    [但し、Xは、ハロゲン原子(但しフッ素原子を除く)またはトリフルオロメタンスルホニル基であり、RおよびRは、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
  2. 前記π共役化合物が多環式化合物であることを特徴とする請求項1に記載のπ共役化合物の製造方法。
  3. 前記ボレピン誘導体を得る反応と前記酸化反応をワンポットで行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のπ共役化合物の製造方法。
  4. 前記π共役化合物が高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のπ共役化合物の製造方法。
  5. 式(1)
    Figure 2017154988
    [式中、環A〜Cは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
    で表されるπ共役化合物。
  6. 式(2)
    Figure 2017154988
    [式中、環D〜Fは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
    で表されるπ共役化合物。
  7. 式(3)
    Figure 2017154988
    [式中、環G〜Iは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
    で表されるπ共役化合物。
  8. 式(4)
    Figure 2017154988
    [式中、環J,Kは、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
    で表されるπ共役化合物。
  9. 式(5)
    Figure 2017154988
    [式中、環L,環M、其々独立に置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素またはチオフェン環であり、R、Rおよび前記置換基は、其々独立に非プロトン性置換基であって、且つルイス酸と結合しない基であり、R,Rは、任意の組み合わせで結合して互いに環を形成していてもよい。]
    で表されるπ共役化合物。
  10. 上記R,Rおよび前記置換基は、其々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−COOR(但し、Rは、炭素数1〜24のアルキル基である)、−CF、−SR(但し、Rは、炭素数1〜24のアルキル基である)、−OR(但し、Rは、炭素数1〜24のアルキル基である)、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントリル基、ベニレリル基、フラニル基およびチエニル基からなる群から選択される置換基である請求項5〜9のいずれか1項に記載のπ共役化合物。
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