以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての画像読取装置および複写機を含む複合機のブロック図である。
この複合機1は、画像読取装置10と画像形成装置20を備えている。
画像読取装置10では、原稿上の画像が読み取られて画像信号が生成され、その画像信号が後述する信号処理部30に入力されて様々な信号処理が施される。この画像読取装置10では、読取り対象の画像が記録されている原稿が読取位置を通過する搬送路上を搬送され、その原稿が読取位置を通過する際にその原稿上の画像が読み取られる。この画像読取装置10は、本発明にいう画像形成装置の一例に相当する。詳細は後述する。
また、画像形成装置20では、画像信号に基づく画像が用紙上に形成され、画像が形成された用紙Pがこの画像形成装置20から排出される。ここでは、いわゆる電子写真方式の画像形成装置を念頭に置いているが、この画像形成装置20は、電子写真方式である必要はなく、インクジェット方式やその他の方式の画像形成装置であってもよい。
尚、この画像形成装置20で用紙P上に形成される画像は、以下に説明するように、必ずしも画像読取装置10での原稿上の画像の読取りにより得られた画像信号である必要はなく、外部から入力されてきた画像信号であってもよい。
この複合機1には、信号処理部30が備えられている。この信号処理部30では、画像読取装置10で得られた画像信号や外部から入力されてきた画像信号に、そのモードに応じた様々な信号処理が施される。
さらに、この複合機1には、I/Oインタフェース40およびFAXインタフェース50が備えられている。
I/Oインタフェース40は、この複合機1と、典型的にはコンピュータで構成される画像編集装置(図示せず)との間の通信を担っている。I/Oインタフェース40は、画像読取装置10で得られた画像信号を信号処理部30を経由して受け取り、画像編集装置に送信する。この場合、この複合機1はスキャナとしての機能を担っていることになる。また、I/Oインタフェース40では画像編集装置から送信されてきた画像信号が受信される。このI/Oインタフェース40で受信された画像信号は、信号処理部30を経由して画像形成装置20に送られる。画像形成装置20では、その送られてきた画像信号に基づいて用紙上に画像を形成する。この場合、この複合機1は、プリンタとしての機能を担っている。
また、FAXインタフェース50は、電話回線に接続されてファクシミリ機能を担うモジュールである。すなわち、FAX送信モードでは、画像読取装置10でファクシミリ送信用の画像が記録されている原稿が読み取られて画像信号が生成され、その生成された画像信号が信号処理部30およびFAXインタフェース50を経由して受信先に向けて電話回線に送り出される。また、FAX受信モードでは、電話回線を通じて送信されてきた画像信号がFAXインタフェース50で受信され、信号処理部30を経由して画像形成装置20に入力される。画像形成装置20では、その入力されてきた画像信号に基づく画像が用紙上にプリント出力される。
さらに、この複合機1はコピー機能を有する。コピーモードでは、画像読取装置10で原稿を読み取って得た画像信号が信号処理部30を経由して画像形成装置20に入力され、この画像形成装置20において、入力されてきた画像信号に基づく画像が用紙上にプリント出力される。このコピー機能が、本発明にいう複写機の一例に相当する。
さらに、この複合機1は制御部60を備えている。この制御部60には、ユーザインタフェース61が含まれている。この制御部60は、例えばユーザインタフェース61からのユーザの指示等に応じて上述の各種の機能やモードの切り替えの制御、その他、この複合機1に必要な全ての制御を担っている。
ここで、信号処理部30、I/Oインタフェース40、FAXインタフェース50、および制御部60は、画像読取装置10の筐体内に備えられていてもよく、画像形成装置20の筐体内に備えられていてもよく、それら画像読取装置10の筐体内と画像形成装置20の筐体内とに分かれて備えられていてもよい。ここで説明している複合機1には、図2に示すように、画像形成装置20の筐体内に備えられている。ただし、ユーザインタフェース61は、図3に示すように、画像形成装置20の筐体の上面に備えられている。
図2は、図1に示すブロック図で示した複合機の、主に機械的な構成を示した模式図である。
この図2には、図1にも示す複合機1のうちの画像読取装置10と画像形成装置20の構造が示されている。図1に示す他の要素(信号処理部30、I/Oインタフェース40、FAXインタフェース50、および制御部60)は、回路部70とし、まとめて1つのブロックで示されている。ただし、ユーザインタフェース61については、図3を参照して別途説明する。画像読取装置10は、原稿上の画像を読み取る読取モードとして、搬送読取モードと静止読取モードを有する。
搬送読取モードでは、原稿トレイ11上に置かれた原稿Mがユーザ操作(図3に示すスタートボタン611の押下)を契機として1枚ずつ、破線で示す搬送路上を搬送され、読取位置SPを通過する。原稿上に記録されている画像は、この読取位置SPを通過するときに、ランプ131により照明され、その反射光が読取光学系を構成する反射ミラー132,133,134やレンズ135を経由して読取センサ136に導かれ、その読取センサ136により読み取られて画像信号が生成される。本実施形態では、反射ミラー132,133,134やレンズ135からなる読取光学系と読取センサ136とにより受光装置13が構成されている。読取位置SPを通過した原稿Mは、原稿排出トレイ12上に排出される。この原稿Mの搬送を担う搬送部の詳細については後述する。
また、この画像読取装置10には、原稿が1枚載置される透明ガラス板14が備えられている。また、この画像読取装置10は、図2の紙面に垂直な方向の奥側において左右に延びるヒンジが設けられており、透明ガラス板14の上部が開くように手前側が持ち上がる構造となっている。
静止読取モードでは、これを持ち上げて透明ガラス板14の上に原稿Mを1枚下向きにおいて、その透明ガラス板14と原稿排出トレイ12の下面との間に原稿を挟む。こうしておいてユーザ操作により読取りが開始されると、ランプ131やミラー132〜134が透明ガラス板14の下面に沿って矢印D方向に移動し、読取センサ136によりその原稿上の画像が読み取られて画像信号が生成される。
次に画像形成装置20の概要を説明する。
この画像形成装置20は、いわゆる電子写真方式により、用紙P上に画像を形成するタイプの装置である。
この画像形成装置20には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色のトナーを使ってそれぞれトナー像を形成する画像形成ユニット21K,21C,21M,21Yが備えられている。
以下、各色を区別する必要がないときは、色を表わすK,C,M,Yの添字を省き、数字のみの符号を引用して説明する。
各画像形成ユニット21には、矢印B方向にそれぞれ回転する、電子写真方式の各感光体22が備えられている。各感光体22は、不図示の帯電器により帯電され、露光器23からの露光光の照射を受けて各感光体22に静電潜像が形成される。この静電潜像が不図示の現像器によりトナーで現像されて各感光体22上に各色のトナー像が形成される。
また、各画像形成ユニット21の下には、感光体22の配列に沿うように配置されロール241に張架されて矢印A方向に循環移動する中間転写ベルト24が設けられている。また、この中間転写ベルト24を挟んで各感光体22に対向する位置には各1次転写ロール25が配置されている。
各感光体22上に形成された各色のトナー像は、各1次転写ロール25の作用により、中間転写ベルト24上に順次に重なるように転写される。
各画像形成ユニット21には、感光体22の転写後の領域をクリーニングする不図示のクリーナが備えられており、各感光体22はクリーナによりその表面が清掃される。
また、この画像形成装置20には、2次転写ロール26が備えられており、この位置に搬送されてきた用紙P上に、中間転写ベルト24上に順次重なるように転写されたトナー像が転写される。
この画像形成装置20の下部には、用紙を収容する2台の用紙トレイ27A,27Bが備えられている。用紙P上へのトナー像の転写にあたっては、それらの用紙トレイ27A,27Bのいずれかから用紙Pが1枚取り出され、搬送ロール271によって矢印C方向に搬送され、2次転写ロール26の位置を通過する際に中間転写ベルト24上のトナー像の転写を受ける。トナー像の転写を受けた用紙Pは、搬送ベルト272よりさらに搬送されて定着器28を通過する。この定着器28は加熱ロール281と加圧ロール282を備えており、搬送されてきた未定着のトナー像を載せた用紙Pを加熱ロール281と加圧ロール282との間に挟んで加熱および加圧し、これにより用紙P上の未定着トナー像がその用紙P上に定着される。定着トナー像からなる画像がプリントされた用紙Pは、排出ロール273により排紙トレイ29上に排出される。
中間転写ベルト24は、2次転写ロール26の作用によりその中間転写ベルト24上のトナー像が用紙P上に転写された後、クリーナ242によりその表面が清掃される。
図3は、図2に示す複合機の外観上部を示した斜視図である。
ここには、画像読取装置10と、画像形成装置20の上部の外観が示されている。
この図3に示す画像読取装置10には、図2にも示した原稿トレイ11と原稿排出トレイ12が示されている。また、ここには、原稿トレイ11上に置かれた原稿の幅方向の位置を規制して搬送される原稿を案内する案内部材117も示されている。原稿トレイ11の上に載置された原稿は、案内部材117により幅方向の位置が規制され、そして後述するスタートボタン611が押されると、その案内部材117に案内されながら、原稿搬入口118から1枚ずつ順次に搬入される。
前述の通り、この画像読取装置10は、この図3に示すラインnよりも上部が、奥側をヒンジにして上に持ち上げられる構造となっており、持ち上げた状態で、その下の透明ガラス板14(図2参照)の上に原稿を下向きに載せ、持ち上げた上部を再び図3のように閉じてスタートボタン611を押す。すると、この画像読取装置10では、前述した静止読取モードによる、原稿上の画像の読取りが行なわれる。
また、この図3に示す画像形成装置20の上部には、ユーザインタフェース61(図1を合わせて参照)が示されている。
この図3に示すユーザインタフェース61は、上記のスタートボタン611、テンキーを含む複数の設定ボタン612、および表示を兼ねたタッチパネル613を有する。
スタートボタン611を押すと、画像読取装置10における原稿の読取りが開始される。また、設定ボタン612では、コピー枚数や、FAX送信時の受信先のFAX番号等が設定される。
さらに、タッチパネル613では、そこに表示されている画面に応じて様々な設定が行なわれる。この原稿搬入口118の上部は、原稿が詰まったときに開かれる開閉カバー119で覆われている。
図4は、原稿トレイの上部の内部構造の概要を示した斜視図である。ここでは、原稿搬入口118(図3を合わせて参照)の上部の開閉カバー119が開かれ、かつ原稿トレイ11の上カバーが取り外されてその部分の内部構造の概要が示されている。
一対の案内部材117のうちの、用紙搬送方向(矢印Z方向)を前方に見たときの原稿の右サイドを案内する案内部材117aからは、原稿の左サイドを案内する案内部材117bに向かって、スライドアーム701aとラックギアアーム702aが延びている。スライドアーム701aは案内部材117aのスライドを補助する部材である。ラックギアアーム702aは、ラックギアを有し、ピニオンギア710に噛み合っている。これらスライドアーム701aおよびラックギアアーム702aは互いに固定されるとともに案内部材117aに固定され、案内部材117aと一体になって原稿幅方向(矢印y−y方向)へスライドする。
また、これと同様に、原稿の左サイドを案内する案内部材117bからは、原稿の右サイドを案内する案内部材117aに向かって、スライドアーム701bとラックギアアーム702bが延びている。スライドアーム701bは、案内部材117bのスライドを補助する部材である。また、ラックギアアーム702bは、ラックギアを有し、ピニオンギア710に噛み合っている。これらスライドアーム701bおよびラックギアアーム702bは、互いに固定されるとともに案内部材117bに固定され、案内部材117bと一体になって原稿幅方向(矢印y−y方向)へスライドする。
ここで、ピニオンギア110は、2本のラックギアアーム702a,702bに挟まれた位置にあり、それら2本のラックギアアーム702a,702bの双方に噛み合っている。したがって、2つの案内部材117a,117bのうちのいずれか一方の案内部材(例えば案内部材117a)をスライドさせると、もう一方の案内部材(例えば案内部材117b)も逆向きに移動する。これら2つの案内部材117a,117bは、原稿トレイ11の幅方向(矢印y−y方向)の中心位置から互いに常に等距離離れた位置にスライドするように調整されている。したがって、原稿トレイ11の上に原稿を置いて2つの案内部材117a,117bでその原稿の左右を押えるように案内部材117a,117bをスライドさせると、原稿は幅方向に関し、原稿トレイ11の中央に置かれるように位置規制がなされる。
また、原稿の右サイドを案内する案内部材701aから延びるスライドアーム701aに沿って複数個の投受光センサ721が備えられている。それらの投受光センサ721は、投光部721aと受光部721bとからなり、それらの間で光が投受光される。そして投光部721aと受光部721bとの間が遮られると、遮られたことが検出される。
ここで、スライドアーム701aは、下向きに開いた断面コ字状に形成されている。そして案内部材117aのスライドに伴ってスライドすると、投受光センサ721の投後部721aがその案内部材117aの内側に入り込む。そして、そのスライドアーム701aの、内側に入った投光部721aと外側の受光部721bとの間に位置する壁には、案内部材117a(スライドアーム701a)のスライド位置に応じて、それら複数の投受光センサ721のオン、オフのパターンが異なるように投光部721aと受光部721bとの間にパターン化された開口が形成されている。こうして、これらの投受光センサ721のオン、オフのパターンにより、案内部材117aのスライド位置が検出される。この案内部材117aのスライド位置に応じてもう一方の案内部材117bのスライド位置も定まり、これにより、それらの案内部材117a,117bどうしの間隔が定まる。この間隔は、原稿トレイ11上に載置された原稿の幅と一致する。したがって投受光センサ721のオン、オフの組合せにより、原稿トレイ11上に載置された原稿の幅が検出される。
また、原稿搬入口118(図3を合わせて参照)の直ぐ奥には、第1ロール111と第1センサ121が備えられている。第1ロール111は、原稿トレイ11上に載置された原稿を1枚ずつ最初に送り込むロールである。また、第1センサ121は第1ロール111により送り込まれてきた原稿の先端に押されて下に倒れ、その倒れを検出するセンサである。この第1センサ121では、第1ロール111により原稿が送り込まれてきたことが検出される。
第1ロール111および第1センサ121よりも奥側には、第2ロール112が備えられており、さらにその奥側には、第2センサ122が備えられている。第2ロール112は、第1ロール111により送り込まれてきた原稿の傾きの矯正と、その原稿をさらに先に送り込む役割のロールであり、第2センサ122は、第1センサ121と同様に原稿の先端に押されて下に倒れ、その倒れたことを検出するセンサであって、原稿の幅方向に複数個配列されている。これらの第2センサ122は、原稿が第2ロール112を通過して搬送されてきたことを検出することのほか、それら複数の第2センサ122のうちのどの第2センサで検出されたかによって、どの幅の原稿が搬送されてきたかを検出するセンサである。
本実施形態の複写機1(図1,図2参照)の画像読取装置10では、原稿トレイ11上に複数サイズの原稿が混ざった状態の複数枚の原稿を積み重ねて、それらの原稿から画像を読み取る混載読取モードを有する。この混載読取モードでは、案内部材117a,117bの間隔で検出することができるのは、積み重ねられた複数枚の原稿のうちの最大幅の原稿の幅である。その最大幅の原稿よりも幅の狭い原稿の幅は、案内部材117a,117bの間隔では検出できない。そこで、本実施形態では、送り込まれてきた1枚ずつの原稿の幅を第2センサ122で検出する構成となっている。
図5は、図1,図2に示す画像読取装置の動作説明図である。
原稿トレイ11上に乗せられた原稿Mは、一枚ずつ読取位置SPを通過する搬送路上を搬送されて原稿排出トレイ12上に排出される。
この原稿Mの搬送を担う搬送部材として、図5には、第1ロール111、第2ロール112、第3ロール113、第4ロール114、第5ロール115、および第6ロール116が示されている。また、この搬送路を搬送されている原稿の有無を検出するセンサとして、第1センサ121、第2センサ122、第3センサ123、第4センサ124、第5センサ125、および第6センサ126が示されている。
この搬送路には、原稿Mの傾きを矯正する機能が備えられている。ただし、この原稿傾き矯正機能を使うと、使わない場合と比べ大きな音が発生するため、この画像読取装置10では、この原稿傾き矯正機能を使うか使わないかが使い分けられる。ここでは、この原稿傾き補正状態を使うモードを第1の補正モードと称し、この原稿傾き補正機能を使わないモードを第2の補正モードと称する。ここでは、原稿傾き補正機能を使う第1の補正モードにあるものとして、その原稿傾き補正機能について説明する。
第1ロール111は、原稿トレイ11上に置かれた複数枚の原稿Mのうちの1枚をこの搬送路上に送り込む役割のロールである。第1ロール111により送り込まれた原稿Mは、その先端が第2ロール112に達した時点では、その第2ロール112は未だ回転せずに停止しており、このためこの送り込まれた原稿Mは、その先端が第2ロール112に突き当てられてわん曲し、これにより、原稿が左右に傾いた状態で送り込まれてきていたときはその傾きが矯正される。その後第2ロール112も回転し、原稿Mがさらに搬送されるが、この原稿Mはさらに第3ロール113に突き当てられて再度わん曲し、これにより原稿の傾きが再度矯正される。その後、その原稿Mが第3ロール113によりさらに送り込まれるが、第2ロール112と第3ロール113の速度差により原稿Mが引っ張られないように、それら第2ロール112と第3ロール113との間に多少のわん曲が残った状態のまま搬送される。第3ロール113で搬送されてきた原稿はさらに第4ロール114で搬送されて読取位置SPを通過する。この読取位置SPでは、原稿Mは、その透明ガラス板141の上面に接した状態で搬送される。読取位置SPを通過した原稿Mは、第5ロール115によりさらに搬送され、第6ロール116により原稿排出トレイ12上に排出される。
第1センサ121〜第6センサ126では、送り込まれてきた原稿Mの、それらのセンサが配置された各位置の通過が検出され、これにより、ロールの回転開始や読取センサ136による読取り開始のタイミング等が調整される。読取センサ136による読取開始のタイミングに関しては、画像信号上での画像の傾き補正処理(図6を参照して後述する)を行なう場合は読取開始のタイミング調整が特に厳しく、この図5を参照しながら説明した原稿の傾き補正処理を実行して画像信号上で画像の傾き処理を行なわない場合と比べ、精密なタイミング調整が行なわれる。
ここで、読取位置SPを通過する原稿Mの背面側、すなわち、読取位置SPにある原稿Mをランプ131との間に挟む位置に、反射部材137が備えられている。
原稿Mが読取位置SPを通過する際には、ランプ131から発せられた光が原稿Mを照射し、その反射光が受光装置13に入射し読取センサ136により読み取られて画像信号が生成される。本実施形態における受光装置13は、ミラー132〜134、レンズ135、および読取センサ136を備えている。
ランプ131と第1ミラー132は、第1キャリッジ13Aに組み込まれており、第2ミラー133と第3ミラー134は、第2キャリッジ13Bに組み込まれている。
ここで、搬送読取モード、すなわち、原稿トレイ11上に原稿Mを載せ、その原稿Mを第1ロール111で送り込んで搬送して読取位置SPで読み取るモードにおいては、第1キャリッジ13Aおよび第2キャリッジ13Bは、図5に示した静止位置に静止した状態で、読取位置SPに搬送されてきた原稿Mをランプ131で照射しその反射光が読取センサ136で読み取られる。一方、静止読取モードのときは、透明ガラス板14上に原稿が下向きに置かれ、第1キャリッジ13Aおよび第2キャリッジ13Bが、副走査方向、すなわち矢印Dの方向に、その透明ガラス板14の下面に沿って移動する。このとき、第2キャリッジ13Bは、第1キャリッジ13Aの移動速度の1/2の速度で移動する。これにより透明ガラス板14に置かれた原稿で反射した反射光の、レンズ135に至るまでの光路長が一定に保たれ、原稿上の画像が読取センサ136上に正しく結像される。
次に本実施形態における第2の補正モードについて説明する。
本実施形態では、第2の補正モードにおいて画像傾き補正処理が行なわれる。この画像傾き処理は、原稿の読取りにより得られた画像信号に基づいて、その画像信号により表わされる画像の傾き量を算出し、その算出された傾き量に基づいて傾きが補正された画像を表わす新たな画像信号を生成する処理である。
画像読取装置10で原稿を読み取って得た画像信号には、原稿に記録されている画像に加え、原稿自体と原稿から外れた背景(反射部材137)との境界線、すなわち原稿の端縁の情報が含まれている。ここでは先ず、入力されてきた画像信号に含まれている原稿の端縁の情報に基づいて、原稿の、搬送方向先端の縁が検出される。原稿の先端の縁が検出されると、次に原稿の傾き量が算出される。さらに、原稿の傾き量が算出されると、次に画像信号により表わされる画像の傾きが補正されて、傾きが補正された画像を表わす新たな画像信号が生成される。
図6は、画像傾き補正処理の処理内容の説明図である。
ここでは先ず、ハフ変換により原稿の先端の縁を表わす直線と、その直線の傾き角度が算出される。次に、アフィン変換に含まれる回転処理により、画像信号上で、原稿上の画像が、その傾き量に応じた量だけ回転され、傾きのない画像を表わす新たな画像信号が生成される。
ハフ変換およびアフィン変換は、広く知られた演算手法であり、ここではその概要の説明にとどめる。
図6のうちの図6(A)〜(C)は、ハフ変換の説明図である。
前述の通り原稿は読取位置を通過する搬送路上を搬送され、読取位置通過中にその原稿上の画像が読み取られて画像信号が生成される。この画像信号には、原稿自体の端縁の情報が含まれている。
図6(A)の横軸xは、原稿の幅方向の位置を表わしており、縦軸yは原稿の搬送方向を表わしている。
図6(A)に示す直線Lは、画像信号として得られた、原稿の先端の縁を表わす直線である。ただし、この直線は未だ不明であって、ここでは、得られた画像信号から、原稿の先端の縁の上にあると思われる点a〜fが抽出されたものとする。これらの点a〜fの中には、原稿の先端の縁を表わす直線L上の点(ここでは点a〜e)も多数存在するが、エラーの点(ここでは点fで代表させている)も存在する。
直線は、原点Oからその直線におろした垂線の長さをr,傾きをθとしたとき、
r=xcosθ+ysinθ ・・・・(1)
で表わされ、図9(A)に示すように、
r=r0,θ=θ0 ・・・・(2)
が定まると、図6(A)に示す直線Lが一義的に定まることになる。
ハフ変換は、(r,θ)=(r0,θ0)を求める演算手法である。
図6(B)は、図9(A)の点bの一点のみを取り上げて、その点bを通る様々な直線(ここでは直線L1〜L5の5本で代表させている)を示した図である。
原点Oから各直線L1〜L5への各垂線をおろし、その垂線の長さをri、角度をθi(i=1,・・・,5)とする。図6(B)には、2本の直線L3,L4について、長さr3,r4と角度θ3,θ4が示されている。
図6(C)は、垂線の長さr(横軸)と角度θ(縦軸)とからなるハフ空間を表わした図である。
図6(B)に示す、点bを通る多数の直線についての垂線の長さrと角度θをプロットすると、図9(C)にグラフbで示した正弦波状の曲線となる。このグラフbの曲線は、点bを通る直線群を表わしている。
図6(A)に示す点bだけでなく、点a〜fの全ての点について同様にして垂線の長さrと角度θからなるグラフを求めると、図6(C)に示すグラフa〜fとなる。
ここで、原稿の先端の縁に正しく乗っている点(ここでは点a〜e)については、図6(C)に示すハフ空間上のある一点(r0,θ0)を通り、これに対し、エラーの点(ここでは点f)を通る直線群をあらわすグラフfはその点(r0,θ0)を通らない曲線となっている。
このように、画像信号上、原稿の先端の縁の上の点と思われる点を多数抽出して図6(C)のようなグラフを多数算出し、多数のグラフが一点に集中する点を見つけることにより、図6(A)に示す直線Lを特定する(r0,θ0)を求めることができる。
ここでは、画像信号に基づく上記のハフ変換により、原稿の先端の縁を表わす直線Lが認識される。
図6(D)にも原稿の先端の縁を表わす直線Lが示されている。
この段階では、この直線Lは、図6(A)〜(C)を参照して説明したハフ変換により、既に一意に定まっている。すなわち、角度θ0が確定している。
ここでは、この角度θ0を使って、
τ0=90°―θ0 ・・・・(3)
の演算により直線Lの傾き角度τ0、すなわち原稿の傾き量が算出される。
さらに、直線Lを回転させて傾きのない直線L’を算出する処理を行なう。
すなわち、直線L上の点(ここでは点bで代表させる)の座標を(x,y)としたとき、その点bを角度τ0だけ回転させた新たな座標(x’,y’)は、
x’=xcosτ0―ysinτ0
y’=xsinτ0+ycosτ0 ・・・・(4)
となる。
ここでは、画像信号により表わされる画像を構成している全ての画素の座標を上記(4)式に従って変換する。こうすることにより、原稿が傾いた状態のまま読み取られることにより得られた、傾いた画像を表わす画像信号が、原稿の傾きが無い状態で読み取られたときの画像を表わす新たな画像信号に変換される。
本実施形態では、上記の画像傾き補正処理と、図5を参照して説明した原稿傾き矯正動作が動作モードに応じて択一的に実行される。
次に本実施形態における画像読取動作について説明する。
図7は、補正切替設定画面を示した図である。この補正切替設定画面80は、ユーザによる初期設定操作時にタッチパネル613(図3参照)上に表示される画面である。
この補正切替設定画面80には、「オート」、「原稿補正」、および「画像補正」の押ボタンが並んでいる。ここにはさらに、「設定」ボタンおよび「キャンセル」ボタンも表示されている。ここでは、「オート」は後回しにし、「原稿補正」および「画像補正」について先に説明する。「原稿補正」は図5を参照して説明した、搬送される原稿の傾きを補正する第1の補正モードに設定する押ボタンである。また、「画像補正」は、図6を参照して説明した、原稿の読取りに得られた画像信号に基づいて画像の傾きを補正する第2の補正モードに設定する押ボタンである。「オート」は、第1の補正モードと第2の補正モードを、後述する条件に従って自動的に切り替えることを設定する押ボタンである。
この図7に示す補正切替設定画面80上で「オート」、「原稿補正」あるいは「画像補正」のうちの押ボタンを押して、さらに「設定」ボタンを押すと、その押された押ボタンに応じて、「オート」、「原稿補正」、あるいは「画像補正」のいずれかが設定されて、この補正切替設定画面80がタッチパネル613から消える。「キャンセル」ボタンを押すと、新たな設定は行なわれずに、この補正切替設定画面80がタッチパネル613から消える。ただし、ここでの設定は、図2に示す回路部70に備えられている記憶部(不図示)への「記憶」を意味している。その記憶内容に基づく実際の動作の準備は別途行なわれる。詳細は後述する。
ここで、図7に示す補正切替設定画面80上での設定は初期設定であり、一度設定するとジョブが何度繰り返されても、次に設定し直すまで有効である。
図8は、長尺原稿設定ボタンを示した図である。
本実施形態では、原稿トレイ11上に、搬送方向の長さがあらかじめ定められた長さ(一例として440mm)以上の原稿を載せてその原稿を読み取らせようとしたときは、長尺モード設定が行なわれる。この長尺モード設定は、タッチパネル613上に表示される、図8に示す長尺原稿設定ボタン91を押すことにより行なわれる。この長尺モードの設定は、図7に示す補正切替の設定とは異なり、読取りの1回のジョブごとに、その読取りに先立って行なわれる。そのジョブの原稿の読取りが終了すると、長尺モードであることの設定は解除され、長尺原稿よりも短い通常のサイズの原稿を読み取るモードに戻る。
尚、ここでは、長尺モードの設定を、タッチパネル613上に表示される、図8に示す長尺原稿設定ボタン91を押す旨、説明したが、図3に示すユーザインタフェース61上の設定ボタン612の1つとして長尺原稿設定ボタンを設けてもよい。あるいは、原稿トレイ11上に長尺原稿が載置されたことを検出するセンサを備えて、ユーザによる設定の手間を省いてもよい。
図9は、混載原稿設定ボタンを示した図である。
前述の通り、本実施形態では、複数サイズの原稿で積み重ねた混載原稿を原稿トレイ11(図3参照)上に載置して読み取らせることができる。このような混載原稿を読み取らせるようとするときは、タッチパネル613上に表示される図9に示す混載原稿設定ボタン91が押されて、混載読取モードが設定される。この混載読取モードの設定は、図8に示す長尺モードの設定と同様、読取りの1回のジョブごとに、その読取りに先立って設定される。そのジョブの原稿の読取りが終了すると、混載原稿であることの設定は解除され、同じサイズの原稿が積み重ねられたときの原稿を読み取るモードに戻る。
尚、ここでは、混載原稿であることの設定を、タッチパネル613上に表示される図9に示す混載原稿設定ボタン92を押す旨説明したが、長尺原稿設定ボタンの場合と同様、図3に示すユーザインタフェース61上に物理的な混載原稿設定ボタンを設けてもよい。
図10は、図3に示すスタートボタンが押されたときの、本実施形態の複合機を構成する画像読取装置の動作シーケンスの第1例を示すフローチャートである。
ここでは、先ず原稿トレイ11上に1枚又は複数枚の原稿が載置される。そして、その載置された原稿が長尺原稿のときは、図8に示す長尺原稿設定ボタン91が押され、混載原稿のときは、図9に示す混載原稿設定ボタン92が押される。そしてその後、図3に示すスタートボタン611が押されると、この図10に示す動作シーケンスに従う動作が実行される。
また、ここでは初期設定として既に、図7に示す補正切替画面80上で「オート」、「原稿補正」、あるいは「画像補正」のいずれかが設定されている。
この図10に示す動作シーケンスに従う動作の実行が開始されると、先ず、補正切替(図7参照)が「オート」、「原稿補正」、「画像補正」のいずれに設定されているかが判定される(ステップS01)。ここで、補正切替設定画面80上での「設定」は、上述したとおり、ユーザ操作による設定を内部に記憶しておくことをいう。そして「原稿補正」が設定(記憶)されているときは、図5を参照して説明した原稿の傾きを補正する第1の補正モードに従う原稿補正の動作の設定が行なわれる(ステップS02)、一方、ステップS01において「画像補正」が設定されているときは、図6を参照して説明した、読み取って得た画像信号に基づく画像の傾きを補正する第2の補正モードに従う画像補正の動作の設定が行なわれる(ステップS03)。尚、これらのステップS02における「原稿補正」の設定あるいはステップS03における「画像補正」の設定は、実際の補正動作の具体的な準備を意味する。以下も同様である。
ステップS02における原稿補正の設定あるいはステップS03における画像補正の設定が行なわれるとステップS16に進み、今回のジョブの終了まで(ステップS17)、その設定されている原稿補正あるいは画像補正を実行しながら、原稿の搬送と読取りが1枚ずつ繰り返される。
ステップS01において「オート」が設定されている旨、判定されると、次に、今回の原稿が長尺原稿であるか否か(ステップS11)、および混載原稿であるか否か(ステップS12)が判定される。そのどちらでもなく、通常のサイズであって、かつサイズの揃った原稿を読み取る場合は、一対の案内部材117(図3,図4参照)の間隔に基づいて、その原稿の幅が第1閾値以上(本実施形態では一例としてA3SEF以上)であるか否かが判定される(ステップS13)。ここで、Aサイズの原稿のSEF(short edge feed)は、297mmであり、したがって本実施形態の場合、A3の縦送り(A4の横送り)の場合は第1閾値以上であり、A4の縦送りの場合は第1閾値未満となる。
ステップS13において、第1閾値以上であると判定されると「原稿補正」が設定される(ステップS14)。一方、ステップS13において第1閾値未満であると判定されると「画像補正」が設定される(ステップS15)。その後は、上述と同様、ステップS16に進み、今回のジョブの終了まで(ステップS17)、その設定されている「原稿補正」あるいは「画像補正」を実行しながら、原稿の搬送と読取りが1枚ずつ繰り返される。
「原稿補正」を実行すると、図5を参照して説明した通り、ロールを回転、停止させながら原稿の先端をロールに突き当てる動作を繰り返すため、「原稿補正」を行なわない場合と比べ、原稿読取り時の騒音が大きい。一方、「画像補正」の場合は、原稿読取り時の音は小さく抑えられるが、読取りセンサ136(図5参照)による原稿の読取り幅やメモリの容量に限度があるため、原稿が傾いていると読み取って得た画像の一部が読取り不能となったりメモリに入りきれなくなり、画像の傾きを補正できなくなったり画像の一部が欠けるおそれがある。この問題は、読取センサ136による読取り幅やメモリの容量等の関係で、原稿の幅が広い場合に発生し易い。そこで、本実施形態では、案内部材117の間隔に基づいて原稿の幅を検出し、原稿の幅が第1閾値未満の場合は、静かな原稿搬送を行なって「画像補正」を実行することとしている。原稿の幅が第1閾値以上のときは、騒音の発生を止むを得ないこととして、傾き補正を確実に行ない、かつ画像の欠けを防止するために、「原稿補正」を実行することとしている。
ステップS11で今回のジョブの原稿が長尺原稿であると判定されると、ステップS21に進み、ここでは案内部材117どうしの間隔に基づいて第2閾値以上であるか否かが判定される。この第2閾値は、ステップS13で採用されている第1閾値よりも小さな値(例えばB5SEFとA4SEFとの中間の値)が採用されている。長尺原稿の場合、傾き角度は同じであってもその長尺原稿の搬送方向の先端と終端との間での横ずれが大きくなり、画像の欠けが発生し易い。このため、このステップS21では、第1閾値より小さい第2閾値に基づいて判定することとしている。ステップS21で原稿の幅が第2閾値以上であると判定されると「原稿補正」が設定される(ステップS22)。一方、原稿の幅が第2閾値未満であると判定されると「画像補正」が設定される(ステップS23)。その後は、上記と同様、S16に進み、今回のジョブの終了まで(ステップS17)、その設定されている「原稿補正」あるいは「画像補正」を実行しながら、原稿の搬送と読取りが1枚ずつ繰り返される。
ステップS12において、今回のジョブの原稿が混載原稿であると判定されると、ステップS31に進む。ステップS31では、ステップS13と同様、案内部材117どうしの間隔に基づいて第1閾値以上であるか否かが判定される。案内部材117どうしの間隔から判定される原稿幅が第1閾値未満であるということは、今回のジョブが混載原稿ではあっても、最大幅の原稿を含む全ての原稿の幅が第1閾値未満であることを意味する。したがってこの場合は、画像補正が設定される(ステップS32)。その後は、S16に進み、今回のジョブの終了まで(ステップS17)、その設定されている「画像補正」を実行しながら、原稿の搬送と読取りが1枚ずつ繰り返される。
今回のジョブが混載原稿であって(ステップS12)、かつ案内部材117どうしの間隔に基づいて判定された原稿幅が第1閾値以上であると判定されると、1枚の原稿の搬送が開始され(ステップS33)、そして再度、ただし今度は、第2センサ122により、今回搬送されてきた1枚の原稿の幅が検出される(ステップS34)。ここでは混載原稿モードであることから、案内部材117どうしの間隔が第1閾値以上であっても(ステップS31)、実際に搬送されてきた1枚の原稿の幅が第1閾値以上とは限らないからである。ステップS35で、今回搬送されてきた1枚の原稿が第1閾値以上であると判定されると、「原稿補正」が設定される(ステップS36)。一方、今回搬送されてきた1枚の原稿が第1閾値未満であると判定されると、「画像補正」が設定される(ステップS37)。その後、その1枚の原稿について読取りが行なわれる(ステップS38)。今回読み取った1枚の原稿が今回のジョブの最後の1枚の原稿であったときは(ステップS39)、今回のジョブに関する読取り動作を終了する。今回のジョブの原稿が未だ残っているときは、ステップS33に戻り、次の1枚の原稿の搬送が開始される。
このように、混載原稿モードであって、第1閾値以上の幅の原稿が含まれているときは、原稿1枚1枚についてその原稿の幅に応じて「原稿補正」と「画像補正」が切り替えられる。
図11は、図3に示すスタートボタンが押されたときの画像読取装置の動作シーケンスの第2例を示すフローチャートである。
ここでも初期設定により補正切替設定(図8参照)が行なわれており、かつ今回のジョブが長尺原稿であるか否か(図9参照)、混載原稿であるか否か(図10参照)の設定が行なわれる。ここで、前述の図10の動作シーケンスの実行に先立っては、長尺原稿であることと混載原稿であることはそれぞれ独立に設定される。また、図10の動作シーケンスの場合は、長尺原稿を含む混載原稿の存在は想定されていない。これに対し、この図11の動作シーケンスの実行に先立っては、長尺原稿を含む混載原稿の存在が想定されており、かつ、混載原稿であることは長尺原稿であることの設定を行なった場合にのみ設定される。その後スタートボタン611が押されると、図10の動作シーケンスに代えて、ここでは図11に示す動作シーケンスが実行される。
この図11は、図10に示す動作シーケンスを実行する画像読取装置10と比べると、原稿の主走査方向(幅方向)の読取り幅や原稿を読み取って得た画像が記憶されるメモリの容量に余裕がある画像読取装置を念頭に置いた動作シーケンスである。あるいは、図10に示す動作シーケンスを実行する画像読取装置10と比べ、読取り幅やメモリの容量自体は同一であって、原稿補正と画像補正とを切り替える判定に用いられる閾値(図11に示す第3閾値)として、図10に示す第1閾値よりも小さい値(例えばB5SEFとA4SEFとの中間の値)を採用し、読取り幅やメモリの容量の余裕度を相対的に上げる場合にも、この図11に示す動作シーケンスを採用し得る。ここでは、読取り幅やメモリ容量に余裕を持たせたものとして説明する。したがってここでは、この図11に示す第3閾値として図10の動作シーケンスで採用した第1閾値と同一の値を採用している。
スタートボタン611が押されると先ずステップS01が実行される。このステップS01およびそれに続くステップS02,S03は、図10に示す動作シーケンスにおけるステップS01〜S03とそれぞれ同一のステップであり、ここでの重複説明は省略する。
ステップS51では、今回のジョブの原稿が長尺原稿であるか否かが判定される。長尺原稿ではないときは、混載原稿であるか否かとは無関係にステップS55に進み、「画像補正」が設定される。すなわち、ここでは長尺原稿ではないときは、この画像読取装置10で読取り対象としている最大幅の原稿が、想定される範囲内の最大の傾きを持っていても正しく読み取ることのできる読取り幅の読取センサと、読み取られた画像に基づいて画像補正を正しく実行できるメモリ容量のメモリが搭載されている。
ステップS51で今回のジョブの原稿が長尺原稿であることが判定されると、さらに混載原稿であるか否かが判定される(ステップS52)。長尺原稿であり(ステップS51)、混載原稿ではない(ステップS52)と判定されると、ステップS53に進む。このステップS53からステップS57までの各ステップは、ステップS53にける判定基準が第3閾値であることを除き、図10の各ステップS13〜S17とそれぞれ同一であり、重複説明は省略する。また、第3閾値の意味についても説明済であり、重複説明は省略する。
長尺原稿であって(ステップS51)、かつ混載原稿である(ステップS52)と判定されると、ステップS61に進む。このステップS61からステップS69までの各ステップも、ステップS61,S65における判定基準が第3閾値であることを除き、図10の各ステップS31〜S39とそれぞれ同一であり、重複説明は省略する。
すなわち、この図11の動作シーケンスは、原稿読取り幅やメモリ容量等を適合させ、長尺原稿ではないときは「画像補正」に固定し、長尺原稿のときのみ、原稿幅に応じて「原稿補正」と「画像補正」とを切り替えることとしたものである。
ここでは、画像読取装置10の動作シーケンスについて説明したが、この動作シーケンスは、画像読取装置10で読み取って得た画像信号の送り先を問うものではなく、その画像信号を画像形成装置20に送ってコピー画像の形成に用いてもよい。あるいはその画像信号をFAXインタフェース50(図1参照)を介してファクシミリ送信し、あるいはI/Oインタフェース40を介してパーソナルコンピュータ等に送信してもよい。
また、ここでは長尺原稿の読取りのモードが存在する例について説明したが、本発明は、長尺原稿の読取りの行なわれない、あるいは長尺原稿であることに設定が行なわれない画像読取装置にも適用される。このときは図10のステップS21〜S23は省かれる。また図11の動作シーケンスは採用されない。
さらに、ここでは混載原稿の読取りのモードが存在する例について説明したが、本発明は、混載原稿の読取りが行なわれない画像読取装置にも適用される。このときは、図10のステップS12、S31〜S39、および図11のステップS52、S61〜S69は省かれる。
さらに、ここでは、本発明の画像読取装置の一例および本発明の複写機の一例を含む複合機について説明したが、本発明は、単機能の画像読取装置あるいは複写機にも適用可能である。