JP2015170561A - 導電粒子、異方導電性接着剤、接続構造体及び導電粒子の製造方法 - Google Patents

導電粒子、異方導電性接着剤、接続構造体及び導電粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに低い導通抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができ、且つ高圧縮された場合でも低い電気抵抗値を保つことができる導電粒子、該導電粒子を用いた異方導電性接着剤及び接続構造体、並びに導電粒子の製造方法を提供する。【解決手段】この導電粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に設けられた金属層と、を備え、金属層は、樹脂粒子に近い順に、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層と、ニッケルを含む第2の層と、を有し、金属層の厚さ方向における長さが4nm以上であるパラジウムを含む粒を含有し、金属層の外表面には突起が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、導電粒子、異方導電性接着剤、接続構造体及び導電粒子の製造方法に関する。
液晶表示用ガラスパネルに液晶駆動用ICを実装する方式は、COG(Chip−on−Glass)実装とCOF(Chip−on−Flex)実装の2種類に大別することができる。COG実装では、導電粒子を含む異方導電性接着剤を用いて液晶駆動用ICを直接ガラスパネル上に接合する。一方、COF実装では、金属配線を有するフレキシブルテープに液晶駆動用ICを接合し、導電粒子を含む異方導電性接着剤を用いてそれらをガラスパネルに接合する。ここでいう異方性とは、加圧方向には導通し、非加圧方向では絶縁性を保つという意味である。
従来、導電粒子としては、表面に金層が形成された導電粒子を用いられてきた。表面に金層が形成された導電粒子は、電気抵抗値が低い点で有利である。また、金は酸化されにくいため、表面に金層が形成された導電粒子を長期間保存した場合でも電気抵抗値が高くなることを抑制できる。
ところで、近年の省エネルギー化に対応して液晶駆動時の消費電力を抑える目的で、ICを流れる電流量を小さくすることが検討されている。このため、従来よりも更に電気抵抗値の低い導電粒子が求められている。また、近年、貴金属の価格が高騰しているため、貴金属を使用せずに導電粒子の電気抵抗値を低くすることが求められている。
例えば特許文献1,2には、貴金属を使用することなく、ニッケルのみを使用して低い電気抵抗値を得ることが可能な導電粒子が開示されている。具体的には、特許文献1には、無電解ニッケルめっき法におけるニッケルめっき液の自己分解を利用して、非導電粒子にニッケルの微小突起とニッケル被膜とを同時に形成させ、表面に導電性の突起を有する導電粒子を製造する方法が記載されている。また、特許文献2には、基材微粒子の表面に芯物質となる導電性物質を付着させ、更に無電解ニッケルめっきを行うことで、表面に導電性の突起を有する導電粒子を製造する方法が記載されている。
特許第5184612号公報 特許第4674096号公報
本発明者らが検討したところ、特許文献1,2に記載の導電粒子を配合した異方導電性接着剤により得られる接続構造体は、接続初期においては十分な絶縁抵抗値を示すものの、高温高湿下で長期間導通を行うマイグレーション試験後に絶縁抵抗値が低下することがあり、絶縁信頼性の点で問題を有していることが判明した。また、特許文献1,2に記載のニッケル及びリンからなる合金めっき被膜を有する導電粒子では、導電粒子を高圧縮(例えば圧縮率80%)したときに導電粒子の電気抵抗値が上昇することが判明した。
本発明は、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに低い導通抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができ、且つ高圧縮された場合でも低い電気抵抗値を保つことができる導電粒子、該導電粒子を用いた異方導電性接着剤及び接続構造体、並びに導電粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討したところ、特許文献1,2に記載の導電粒子では、導電性を高めようとすると異常な大きさの突起が形成されやすく、このような異常突起を有する導電粒子の存在が絶縁信頼性の低下につながるとの知見を得た。また、本発明者らは、当該導電粒子では、圧縮時にニッケルめっき被膜が破断することにより電気抵抗値が上昇するとの知見を得た。
本発明者らがこのような知見に基づき更に鋭意検討した結果、樹脂粒子の表面に銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層を設けた後に、パラジウムを含む粒を形成し、更にパラジウムを含む粒によって形成された突起を有する第2の層を設けることによって、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに低い電気抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができ、且つ高圧縮された場合でも低い電気抵抗値を保つことができる導電粒子を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に設けられた金属層と、を備え、上記金属層は、上記樹脂粒子に近い順に、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層と、ニッケルを含む第2の層と、を有し、上記金属層の厚さ方向における長さが4nm以上であるパラジウムを含む粒を含有し、上記金属層の外表面には突起が形成されている、第1の導電粒子を提供する。
上記金属層は、該金属層の平均厚さをdとしたときに、上記金属層と上記樹脂粒子との界面までの最短距離が0.1×d以上であるパラジウムを含む粒を含有することができる。
また、本発明は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に設けられた金属層と、を備え、上記金属層は、上記樹脂粒子に近い順に、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層と、ニッケルを含む第2の層と、を有し、上記金属層の平均厚さをdとしたときに、上記金属層と上記樹脂粒子との界面までの最短距離が0.1×d以上であるパラジウムを含む粒を含有し、上記金属層の外表面には突起が形成されている、第2の導電粒子を提供する。
上記の第1の導電粒子及び第2の導電粒子では、導電粒子の外表面に突起が形成されるため、突起の形状、大きさ等を十分に制御できる。したがって、第1の導電粒子及び第2の導電粒子は、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに、低い電気抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができる。また、上記の第1の導電粒子及び第2の導電粒子では、金属層が延性の高い銅を含む第1の層を有しているため、導電粒子を高圧縮した場合でも金属層の破断が生じることを抑制できる。したがって、第1の導電粒子及び第2の導電粒子は、高圧縮された場合でも低い電気抵抗値を維持することが可能となる。
ところで、基材上に無電解銅めっき又は無電解ニッケルめっきを施すときの前処理として、基材の表面にパラジウムイオンを捕捉させるパラジウム触媒化処理が一般に知られている。このパラジウム触媒化処理によって基材表面にパラジウムの析出核が形成されるが、この析出核の大きさは原子レベルである。一方、本発明に係るパラジウムを含む粒は後述するEDXによる成分分析が可能な大きさである。また、一般のパラジウム触媒化処理によって形成されるパラジウムの析出核からは本発明に係る突起を形成することはできない。
本発明の第1の導電粒子及び第2の導電粒子において、上記金属層は、上記第1の層と上記第2の層との間に、又は上記第2の層内に上記パラジウムを含む粒を含有することができる。
本発明の第1の導電粒子及び第2の導電粒子において、上記金属層は、該金属層と上記樹脂粒子との界面までの最短距離が10nm以上であるパラジウムを含む粒を含有することができる。
上記金属層は、該金属層の厚さ方向に直交する方向に点在する上記パラジウムを含む粒を含有することができる。
突起の数を増加させて低い電気抵抗値を得る観点から、上記パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量が94質量%以上であることが好ましい。
上記パラジウムを含む粒はリンを更に含むことが好ましい。これにより、パラジウムを含む粒の硬度を高めることができ、導電粒子が圧縮されたときの電気抵抗値を低く保つことができる。
上記第1の層は、ニッケル及び銅を含むNi−Cu層を有し、上記Ni−Cu層は、上記樹脂粒子の表面から遠ざかるにしたがってニッケルに対する銅の元素比率が高くなる部分を有することが好ましい。金属層がこのような部分を有することで、導電粒子は、圧縮された場合でも低い電気抵抗値を維持できる。
上記Ni−Cu層は、上記樹脂粒子に近い順に、ニッケルの含有量が97質量%以上である第1の部分と、上記部分をなす第2の部分と、銅を含む第3の部分とを有することができる。
上記第2の部分におけるニッケルの含有量と銅の含有量との合計が、97質量%以上であってもよい。また、上記第3の部分における銅の含有量が97質量%以上であってもよい。これらの構成を備えることにより、導電粒子を高圧縮して圧着接続する場合に、圧縮後の金属層の破断をより十分に抑制できる。
突起の数、大きさ及び形状を高度に制御できる観点から、上記第2の層は、上記第1の層に近い順に、ニッケルの含有量が83〜98質量%である第1のニッケル含有層と、ニッケルの含有量が93質量%以上である第2のニッケル含有層とを有することが好ましい。これにより、低い電気抵抗と高い絶縁信頼性とを更に高水準で両立することが可能となる。
突起の数を増加させて低い電気抵抗値を得る観点から、上記第1のニッケル含有層におけるニッケルの含有量が85〜93質量%であることが好ましい。
低い電気抵抗値を得る観点から、上記第2のニッケル含有層におけるニッケルの含有量が96質量%以上であることが好ましい。
上記第1のニッケル含有層はリンを更に含むことができる。これにより、第1のニッケル含有層の硬度を高めることができ、導電粒子が圧縮されたときの電気抵抗値を低く保つことができる。
上記第2のニッケル含有層はリン又はホウ素を更に含むことができる。これにより、第2の層の硬度を高めることができ、導電粒子が圧縮されたときの電気抵抗値を低く保つことができる。
上記金属層は、上記第2の層の上記第1の層とは反対側に、パラジウムを含む第3の層と金を含む第4の層とを更に有することができる。パラジウムはニッケルよりも酸化されにくい性質を有していること、及び、パラジウムがニッケルの拡散を抑制する効果が高く、ニッケルのパラジウム表面への拡散を防止することが可能であることから、ニッケルを含む第2の層がパラジウムを含む第3の層で被覆されることにより、導電粒子表面の酸化を抑制することが可能となり、その結果、導電粒子が圧縮されたときの電気抵抗値を低く保つことができる。また、金がニッケルよりも酸化されにくい性質を有していること、及び、金そのものの抵抗値がニッケルよりも低いことから、金属層が第2の層の外側に金を含む第4の層を含有することにより、導電粒子が圧縮されたときの電気抵抗値を低く保つことができる。
また、本発明は、樹脂粒子の表面に、無電解めっきにより、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層を形成する工程と、第1の層上に、パラジウムイオン及び還元剤を含む無電解パラジウムめっき液の還元析出により、パラジウムを含む粒を形成する工程と、第1の層上及びパラジウムを含む粒上に、無電解ニッケルめっきにより、ニッケルを含む第2の層を形成する工程とを備える導電粒子の製造方法を提供する。
また、本発明は、樹脂粒子の表面に、無電解めっきにより、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層を形成する工程と、第1の層上に、無電解ニッケルめっきにより、ニッケルを含む第1のニッケル含有層を形成する工程と、第1のニッケル含有層上に、パラジウムイオン及び還元剤を含む無電解パラジウムめっき液の還元析出により、パラジウムを含む粒を形成する工程と、第1のニッケル含有層上及びパラジウムを含む粒上に、無電解ニッケルめっきにより、ニッケルを含む第2のニッケル含有層を形成する工程とを備える導電粒子の製造方法を提供する。
上記の導電粒子の製造方法では、導電粒子の外表面に突起が形成されるため、突起の形状、大きさ等を十分に制御できる。したがって、上記の製造方法によって得られる導電粒子は、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに、低い電気抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができる。また、上記の導電粒子の製造方法では、金属層として延性の高い銅を含む第1の層を形成するため、得られる導電粒子を高圧縮した場合でも金属層の破断が生じることを抑制できる。したがって、上記の製造方法により得られる導電粒子は、高圧縮された場合でも低い電気抵抗値を維持することが可能となる。
また、本発明は、上記の導電粒子又は上記の製造方法により得られる導電粒子と、接着剤とを含有する異方導電性接着剤を提供する。この異方導電性接着剤によれば、上記の導電粒子を含有することにより、回路電極同士を接続したときに導通信頼性及び絶縁信頼性の両方に優れた接続構造体を得ることができる。
また、本発明は、第1の回路電極を有する第1の回路部材と第2の回路電極を有する第2の回路部材とを、第1の回路電極と第2の回路電極とが相対向するように配置し、第1の回路部材と第2の回路部材との間に上記の導電粒子又は上記の異方導電性接着剤を介在させ、これらを加熱及び加圧して第1の回路電極と第2の回路電極とを電気的に接続させてなる接続構造体を提供する。
また、本発明は、第1の回路電極を有する第1の回路部材と、第2の回路電極を有する第2の回路部材と、上記の導電粒子を含み、第1の回路部材と第2の回路部材とを互いに接続する接続部と、を備え、第1の回路部材と第2の回路部材とは、第1の回路電極と第2の回路電極とが相対向するように配置され、接続部において、第1の回路電極と第2の回路電極とが、変形した導電粒子を介して電気的に接続されている、接続構造体を提供する。
本発明によれば、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに低い導通抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができ、且つ高圧縮された場合でも低い電気抵抗値を保つことができる導電粒子、該導電粒子を用いた異方導電性接着剤及び接続構造体、並びに導電粒子の製造方法を提供することができる。
(a)は本発明に係る導電粒子の一実施形態を示す模式断面図であり、(b)は本発明に係る絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明に係る導電粒子の他の実施形態を示す模式断面図である。 (a)は本発明の一実施形態に係る導電粒子が有するNi−Cu層(第1の層)を説明するための模式断面図であり、(b)はNi−Cu層(第1の層)におけるニッケル及び銅の含有量の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る導電粒子について説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る導電粒子について説明するための模式図である。 本発明に係る接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。 図6に示す接続構造体の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。 実施例1の導電粒子の作製における工程cで得られた粒子を観察したSEM画像である。 実施例1の導電粒子の作製における工程cで得られた粒子の表面を観察したSEM画像である。 実施例1で得られた導電粒子を観察したSEM画像である。 実施例1で得られた導電粒子の断面を観察したSTEM像並びにEDXによる銅、ニッケル及びパラジウムのマッピング図である。 図11のEDXによるパラジウムのマッピング図からパラジウムを含む粒の高さを求める方法について説明するための図である。 トリミング加工を説明するための模式図である。 TEM測定用の薄膜切片を作製する方法を説明するための模式図である。 図11のSTEM像から突起の高さを求める方法について説明するための図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図1(a)及び図2は、本発明に係る導電粒子の一実施形態を示す模式断面図であり、図1(b)は、本発明に係る絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す模式断面図である。
<導電粒子>
まず、本実施形態の導電粒子について説明する。
図1の(a)に示す導電粒子2は、導電粒子のコアを構成する樹脂粒子203と、樹脂粒子203の表面に設けられた銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層200、並びにニッケルを含む第2の層202からなる金属層204と、を備えている。金属層204は、金属層204の厚さ方向における長さが4nm以上であるパラジウムを含む粒201を含有している。第2の層202の外表面には、パラジウムを含む粒201によって突起205が形成されている。
図2に示す導電粒子12は、導電粒子のコアを構成する樹脂粒子203と、樹脂粒子203の表面に設けられた銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層200、並びにニッケルを含む第2の層202からなる金属層204と、を備えている。第2の層202は、第1のニッケル含有層206と第2のニッケル含有層207とからなっており、金属層の厚さ方向における長さが4nm以上であるパラジウムを含む粒201を含有している。また、第2のニッケル含有層207の外表面には、パラジウムを含む粒201によって突起205が形成されている。
金属層204は、樹脂粒子203に近い順に、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層200と、ニッケルを含む第2の層202の2層から構成されているが、3層以上の構造を有していてもよい。
樹脂粒子203の材質としては、特に限定されないが、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂などが挙げられる。また、樹脂粒子として、例えば、架橋アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子等も使用可能である。
樹脂粒子203は球状であることが好ましく、その平均粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。本実施形態における樹脂粒子203の平均粒径は、任意の樹脂粒子300個について、走査電子顕微鏡(以下、SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、それらの平均値をとることにより得られる。
第1の層200は、銅、又はニッケル及び銅を含む。第1の層200における銅の含有量は、例えば97質量%以上とすることができる。また、導電粒子同士の凝集を抑えてピンホールの発生を抑制できる点からは、第1の層200はニッケル及び銅を含み、第1の層200におけるニッケルの含有量と銅の含有量との合計を97質量%以上とすることが好ましい。
第1の層200は、ニッケル及び銅を含むNi−Cu層を有することが好ましい。図3(a)には、第1の層200がNi−Cu層208を有する場合の好適な態様を説明するために、樹脂粒子203の表面に第1の層200が形成されている状態の導電粒子22を便宜的に示す。導電粒子22においては、第1の層200は、ニッケル及び銅を含むNi−Cu層208からなっている。
Ni−Cu層208におけるニッケルの含有量と銅の含有量との合計は、97質量%以上であることが好ましく、98.5質量%以上であることがより好ましく、99.5質量%以上であることが更に好ましい。Ni−Cu層208におけるニッケルの含有量と銅の含有量との合計の上限は、100質量%である。また、Ni−Cu層208におけるニッケルに対する銅の元素比率は、樹脂粒子203の表面から遠ざかるしたがって高くなる濃度勾配を有している。この濃度勾配は、連続的であることが好ましい。なお、本発明における元素比率は、例えば、導電粒子の断面を収束イオンビームで切り出し、40万倍の透過型電子顕微鏡で観察し、透過型電子顕微鏡に付属するEDX(エネルギー分散型X線分光機、日本電子データム株式会社製)による成分分析により、Ni−Cu層208(例えば後述の第1の部分、第2の部分及び第3の部分)における元素比率を測定することができる。
Ni−Cu層208は、樹脂粒子203に近い順に、97質量%以上のニッケルを含有する第1の部分208aと、ニッケル及び銅を主成分とする合金を含有する第2の部分208bと、銅を主成分とする第3の部分208cとが積層された構造からなることが好ましい。これらの部分208a,208b,208cは、第1の層200の厚さ方向の一部であって、粒子のほぼ全体もしくは全体を被覆するように設けられた層であってもよい。
図3(b)は、ニッケル及び銅を含むNi−Cu層208(第1の層200)の厚さ方向のニッケル含有量及び銅含有量を示すグラフである。該グラフにおいて、第1の部分208aと第2の部分208bとの境界線は、Ni含有量(実線)が97質量%にまで低下した点を通過するように引いたものである。一方、第2の部分208bと第3の部分208cとの境界線は、Cu含有量(破線)が97質量%にまで上昇した点を通過するように引いたものである。図3(b)に示すように、Ni−Cu層208は、樹脂粒子203の表面から遠ざかるにしたがってニッケルに対する銅の元素比率が高くなる第2の部分208bを有する。
第1の部分208aは、97質量%以上のニッケルを含有する。第1の部分208aのニッケルの含有量は、98.5質量%以上であることがより好ましく、99.5質量%以上であることが更に好ましい。ニッケル含有量が97質量%以上であることで、樹脂粒子203とニッケル及び銅を含む第1の層200との接着性を良好に保つことができる。これにより、導電粒子2,12を高圧縮して圧着接続する場合に、圧縮後の樹脂粒子203とニッケル及び銅を含む第1の層200とが互いに剥がれることを抑制できる。第1の部分208aにおけるニッケル含有量の上限は、100質量%である。
第1の部分208aの厚みは、20〜200Å(2〜20nm)の範囲が好ましく、30〜150Å(3〜15nm)の範囲がより好ましく、40〜100Å(4〜10nm)の範囲が更に好ましい。第1の部分208aの厚みが20Å(2nm)以上であることで、めっき時の凝集を抑制することができ、200Å(20nm)以下であることで、導電粒子を高圧縮して圧着接続する場合に、ニッケルの部分で金属の割れを抑制することができる。
第2の部分208bは、ニッケル及び銅を主成分とする合金を含有する。第2の部分208bにおけるニッケルの含有量と銅の含有量との合計は、97質量%以上であることが好ましく、98.5質量%以上であることがより好ましく、99.5質量%以上であることが更に好ましい。ニッケルの含有量と銅の含有量との合計が97質量%以上であると、導電粒子2,12を高圧縮して圧着接続する場合に、圧縮後の金属層の割れをより抑制できる。ニッケルの含有量と銅の含有量との合計の上限は、100質量%である。
第2の部分208bの厚みは、20〜500Å(2〜50nm)の範囲が好ましく、20〜400Å(2〜40nm)の範囲がより好ましく、20〜200Å(2〜20nm)の範囲が更に好ましい。第2の部分208bの厚みが20Å(2nm)未満であると、めっき時に凝集しやすい傾向があり、500Å(50nm)を超えると、導電粒子2,12を高圧縮して圧着接続する場合に、ニッケルを含有する部分で金属割れが発生しやすくなる傾向がある。
第3の部分208cは、銅を主成分とする。第3の部分208cにおける銅の含有量は、97質量%以上であることが好ましく、98.5質量%以上であることが好ましく、99.5質量%以上であることが更に好ましい。銅の含有量が97質量%以上であると、導電粒子2,12を高圧縮して圧着接続する場合に、圧縮後の金属層の割れをより抑制できる。銅の含有量の上限は、100質量%である。
第3の部分208cの厚みは、100〜2000Å(10〜200nm)の範囲が好ましく、200〜1500Å(20〜150nm)の範囲がより好ましく、300〜1000Å(30〜100nm)の範囲が更に好ましい。第3の部分208cの厚みが100Å(10nm)以上であることで、導電性を良好に保つことができ、2000Å(200nm)以下であることで、めっき時における導電粒子の凝集を抑制することができる。
第1の部分208a、第2の部分208b及び第3の部分208cは、いずれもニッケル、銅及びホルムアルデヒドを含む無電解めっきにより形成されたものであることが好ましく、一つの建浴槽における無電解めっき液の中で順次形成されたものであることがより好ましい。一つの建浴槽において複数の層を順次形成することで、それぞれの層間の密着性を良好に保つことができる。
第1の部分208a、第2の部分208b及び第3の部分208cを同一の無電解めっき液により連続的に作製するための無電解めっき液の組成としては、例えば、(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えたものが好ましい。
無電解めっきにより樹脂粒子203の表面にニッケル及び銅を含む第1の層200を形成するためには、例えば、樹脂粒子203の表面にパラジウム触媒を付与し、その後、無電解めっきを行うことによりめっき被膜を形成するのがよい。第1の部分208a、第2の部分208b及び第3の部分208cを無電解めっきにより形成する具体的な方法としては、例えば、(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えた建浴液に、パラジウム触媒を付与した樹脂粒子を加えることで、第1の部分208a及び第2の部分208bを形成し、その後に(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えた補充液を補充することで、第3の部分208cを形成することが可能となる。
(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えた建浴液における、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩の濃度としては、0.0005〜0.05mol/Lが好ましく、0.001〜0.03mol/Lがより好ましく、0.005〜0.02mol/Lが更に好ましい。(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩の濃度が0.0005mol/Lよりも低い場合、樹脂粒子203の表面のパラジウム触媒上をニッケルめっき被膜により覆うことができずに、パラジウム触媒上に銅が析出する箇所が部分的に出てきやすくなり、粒子同士が凝集しやすくなるとともに、樹脂粒子203の表面の一部に金属が未析出の箇所が発生しやすくなる。(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩の濃度が0.05mol/Lよりも高い場合、ニッケルの濃度が高くなることで液の活性が高まり粒子同士の凝集が発生しやすくなる。
(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えた建浴液における、(a)硫酸銅等の水溶性銅塩の濃度としては、0.0005〜0.05mol/Lが好ましく、0.001〜0.03mol/Lがより好ましく、0.005〜0.02mol/Lが更に好ましい。(a)硫酸銅等の水溶性銅塩の濃度が0.0005mol/Lよりも低い場合、第2の部分208b又は第3の部分208cの形成が不均一になる傾向がある。(a)硫酸銅等の水溶性銅塩の濃度が0.05mol/Lよりも高い場合、銅の濃度が高くなることで液の活性が高まり粒子同士の凝集が発生しやすくなる。
無電解めっき液に(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、及び、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩を同時に含ませることで第1の部分208a及び第2の部分208bを同一の無電解めっき液により連続的に作製することができる。この理由としては、次のように考えられる。すなわち、ホルムアルデヒドを還元剤として用いることで、樹脂表面のパラジウム触媒上ではニッケルの方が銅よりも優先的に析出するために第1の部分208aが形成され、その後、第1の部分208aの外側に第2の部分208bが形成される。第2の部分208bのニッケルに対する銅の濃度の割合は、第2の部分208bの厚みの成長とともに高くなる傾向がある。パラジウム触媒上ではニッケルが優先的に析出し、パラジウム触媒がニッケルにより被覆されると、ただちに銅の析出も起こるようになるためにニッケル及び銅を主成分とする合金を含有する層(第2の部分208b)が形成され始めると考えられる。そして、めっき被膜(第3の部分208c)の厚みが厚くなるにしたがってパラジウム触媒の影響が薄れていくために、銅の析出がニッケルの析出よりも支配的になり、結果として、樹脂粒子203側からめっき被膜中の厚さ方向において、銅の割合が高くなると考えられる。
樹脂粒子203の表面に第1の部分208aを形成した場合、樹脂粒子203の表面に直接銅めっき層を形成した場合と比較して、樹脂粒子203同士の凝集を抑制することができる。この理由としては、以下のように考えられる。無電解銅めっきの銅イオンから銅への析出過程は、銅の価数がCu(2価)→Cu(1価)→Cu(0価)へと変化する反応であり、反応中間体として不安定な1価の銅イオンが生成する。この一価の銅イオンが不均化反応を起こすことで、例えばめっき液中にCu(0価)が発生する等し、液の安定性が非常に低くなると考えられる。一方、無電解ニッケルめっきのニッケルイオンからニッケルへの析出過程は、ニッケルの価数がNi(2価)→Ni(0価)へと変化する反応であり、反応中間体として不安定な1価のニッケルイオンの過程を経ない。したがって、パラジウム触媒表面上での無電解銅めっきと無電解ニッケルめっきとを比較すると、無電解銅めっき液の方が安定性に乏しく反応が激しいために、反応開始と同時に粒子同士の凝集が発生しやすくなる。一方、無電解ニッケルめっきは前述したように、安定性が高く、粒子同士の凝集を抑制してめっき被膜を形成することが可能になると考えられる。
導電粒子2において、第1の層200として、ニッケルの含有量と銅の含有量との合計が97質量%以上のニッケル及び銅を含む層を用いた場合に、97質量%以上の銅からなる層を用いた場合に対してピンホールが生じにくい傾向がある。その原因としては、97質量%以上の銅からなる層を用いた場合にはめっき被膜形成の際に粒子同士が凝集するためであると本発明者らは推測する。すなわち、めっきの初期段階で粒子が凝集し、その後に粒子同士が離れた場合、凝集していたところは初期段階でめっきがされなかったため、その後にめっき被膜を成長させてもめっきされることはなく、ピンホールが形成されてしまう。
次に、樹脂粒子203の表面のパラジウム触媒表面上での無電解銅めっきの反応と、第1の部分208a上における第2の部分208bの反応と、第2の部分208b上における第3の部分208cの反応と、第3の部分208cの成長と、の四者を比較して考察する。
樹脂粒子203の表面のパラジウム触媒表面上での無電解銅めっきの反応では、パラジウム触媒表面上でホルムアルデヒド等の還元剤の酸化反応が進行しやすいために、無電解銅めっきの反応が進みやすく不安定化し、粒子同士が凝集しやすくなる。一方、第1の部分208a上における第2の部分208bの反応では、第1の部分208aが自己触媒の表面となり、還元剤が酸化される。また、第2の部分208bの表面における第3の部分208cの反応では、第2の部分208bが自己触媒の表面となり、還元剤が酸化される。また、第3の部分208cの成長では、銅そのものが自己触媒の表面となり、銅の成長が起こる。第1の部分208a、第2の部分208b及び第3の部分208cの表面におけるホルムアルデヒド等の還元剤の酸化反応と、パラジウム触媒表面上でのホルムアルデヒド等の還元剤の酸化反応を比較すると、第1の部分208a、第2の部分208b及び第3の部分208cの表面におけるホルムアルデヒド等の還元剤の酸化反応の方が、パラジウム触媒表面上と比較して進みにくい。そのため、パラジウム触媒表面上での無電解銅めっきでは粒子同士が凝集しやすいが、ニッケルと銅の合金又は銅被膜の成長が起こっても粒子同士の凝集が起こりにくい。
本実施形態で用いる無電解めっき液の還元剤として、例えば、次亜リン酸ナトリウム、水素化ほう素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン等の還元剤を用いてもよいが、ホルムアルデヒドを単独で使用することが最も好ましい。次亜リン酸ナトリウム、水素化ほう素ナトリウム、ジメチルアミンボラン等を加える場合は、リン又はホウ素が共析しやすいため、第1の部分208aにおけるニッケルの含有量を97質量%以上とするためには、濃度を調整することが好ましい。還元剤としてホルムアルデヒドを用いることで、第1の部分208aにおけるニッケルの含有量が99質量%以上のめっき被膜を形成しやすい。この場合、導電粒子2,12を高圧縮して圧着接続する場合に、圧縮後の金属の割れを抑制することが可能である。一方、第1の部分208aにおけるニッケルの含有量が97質量%よりも低い場合、圧縮後の金属の割れが発生しやすくなる。なお、次亜リン酸ナトリウム、水素化ほう素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン等の還元剤を用いる場合は、これらの少なくとも1種をホルムアルデヒドと併用することが好ましい。
本実施形態で用いる無電解めっき液の錯化剤として、例えば、グリシン等のアミノ酸、エチレンジアミン、アルキルアミン等のアミン類、EDTA、ピロリン酸等の銅錯化剤、クエン酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸などを用いてもよい。
無電解銅めっき終了後の水洗は、短時間に効率よく行うことが望ましい。水洗時間が短いほど、銅表面に酸化被膜ができにくいため、後のめっきが有利になる傾向がある。
第2の層202は、第1の層200に近い順に、ニッケルを含む第1のニッケル含有層206と、ニッケルを含む第2のニッケル含有層207とを有することが好ましい。
第1のニッケル含有層206は、ニッケルの含有量が83〜98質量%であることが好ましく、85〜93質量%であることがより好ましく、86〜91質量%であることが更に好ましい。含有量を上記範囲とすることで、第1のニッケル含有層206上にパラジウムを含む粒を形成する場合に、パラジウムを含む粒の形状ばらつきを抑えることができ、更にはパラジウムを含む粒を高密度に分布させやすくなる。これにより、金属層204の外表面の突起形状のばらつきを抑え、突起を高密度に形成することが可能になる。
第1のニッケル含有層206は、例えば、無電解ニッケルめっきにより形成することができる。この場合、第1の層200の表面をパラジウム触媒化処理することが好ましい。パラジウム触媒化処理は、公知の方法で行うことができ、その方法は特に限定されないが、例えば、アルカリシーダ、酸性シーダと呼ばれる触媒化処理液を用いた触媒化処理方法がある。また、置換パラジウムめっきと呼ばれる触媒化処理方法もあり、第1の層200の表面の銅を溶解させるとともに、パラジウムを置換析出させる触媒化処理方法が挙げられる。
アルカリシーダを用いた触媒化処理方法としては、例えば以下の方法がある。2−アミノピリジンが配位したパラジウムイオン溶液に樹脂粒子を浸漬させることで樹脂粒子表面にパラジウムイオンを吸着させ、水洗後、更に、パラジウムイオンが吸着した樹脂粒子を、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン等の還元剤を含んだ溶液中に分散させて還元処理を行い、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層200の表面に吸着したパラジウムイオンを金属のパラジウムに還元する。
また、酸性シーダを用いた触媒化処理方法としては、例えば以下の方法がある。樹脂粒子を塩化第一錫溶液に分散させ、錫イオンを樹脂粒子表面に吸着させる感受性化処理を行なった後、水洗する。次に、塩化パラジウムを含んだ溶液に分散させ、パラジウムイオンを樹脂粒子表面に捕捉させる活性化処理を行った後、水洗する。更に、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン等の還元剤を含んだ溶液中に分散させて還元処理を行い、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層200の表面に吸着したパラジウムイオンを金属のパラジウムに還元する。
これらのパラジウム触媒化処理方法では、パラジウムイオンを表面に吸着させた後に、水洗し、更に還元剤を含んだ溶液に分散させることで、表面に吸着したパラジウムイオンを還元することで、原子レベルの大きさのパラジウム析出核を形成する。
第1のニッケル含有層206は、リン又はホウ素を含むことが好ましく、リンを含むことがより好ましい。これにより、第1のニッケル含有層206の硬度を高めることができ、導電粒子が圧縮されたときの電気抵抗値を低く保つことが容易となる。
第1のニッケル含有層206を無電解ニッケルめっきにより形成する場合、還元剤として次亜リン酸ナトリウム等のリン含有化合物を用いることで、リンを共析させることができ、ニッケル−リン合金が含まれる第1のニッケル含有層206を形成することができる。また、還元剤として、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等のホウ素含有化合物を用いることで、ホウ素を共析させることができ、ニッケル−ホウ素合金が含まれる第1のニッケル含有層206を形成することができる。ニッケル−リン合金はニッケル−ホウ素合金よりも硬度が低いので、導電粒子を高圧縮して圧着接続する場合に第1のニッケル含有層206の割れを抑える観点から、第1のニッケル含有層206はニッケル−リン合金を含むことが好ましい。
なお、第1のニッケル含有層206における元素の含有量は、例えば、ウルトラミクロトーム法で導電粒子の断面を切り出し、透過型電子顕微鏡(以下、TEM)を用いて25万倍の倍率で観察し、TEMに付属するエネルギー分散型X線検出器(以下、EDX)による成分分析により算出することができる。
第1のニッケル含有層206の厚みは、2〜100nmであることが好ましく、3〜50nmであることがより好ましく、5〜30nmであることが更に好ましい。第1のニッケル含有層206の厚みが100nm以下にすることで、導電粒子を高圧縮した際の第1のニッケル含有層206を起点としためっき被膜の破壊(破断)を抑制することができる。一方、厚みを2nm以上とすることで、第1の層200の表面が、第1のニッケル含有層206により充分に被覆され、パラジウムを含む粒201を均一に形成することができる。このような理由から、第1のニッケル含有層206の厚みが上記範囲であると、第2のニッケル含有層207における突起形状が均一に形成されて低い接続抵抗値を得られやすくなり、また、導電粒子を高圧縮して圧着接続する場合においても、第1のニッケル含有層206の割れを抑制しやすくなるために、低い導通抵抗を維持することができるようになると考えられる。
金属層204は、パラジウムを含む粒201を含有している。金属層204は、第1の層200と第2の層202との間に、又は第2の層202内にパラジウムを含む粒201を含有していることが好ましい。なお、金属層204が第1の層200と第2の層202との間にパラジウムを含む粒201を含有するとは、パラジウムを含む粒201の樹脂粒子203側に第1の層200が存在し、且つパラジウムを含む粒201の樹脂粒子203と反対側に第2の層202が存在することを意味する(ただし、パラジウムを含む粒201が第2の層202内に含有される場合を除く)。このとき、第1の層200及び第2の層202とパラジウムを含む粒201とは、それぞれ互いに接触していても接触してなくてもよい。
パラジウムを含む粒201は、金属層の内部に点在していることが好ましい。
図4及び図5は、本実施形態の導電粒子を、導電粒子の中心付近を通る面で切断したときの断面の一部を示す模式図である。図4及び図5では、パラジウムを含む粒の大きさ及び存在する位置を説明しやすくするために、切断面が隣り合う2つの突起の頂点を通り、更に切断面がパラジウムを含む粒の中心付近を通る場合の断面が示されている。
パラジウムを含む粒201は、金属層204の厚さ方向における長さD1が4nm以上であることが好ましく、6nm以上であることがより好ましく、8nm以上であることが更に好ましい。上記範囲の長さを有するパラジウムを含む粒が金属層に含まれることで、金属層の外表面に十分な高さの突起が形成されやすくなる。また、パラジウムを含む粒が点在して金属層の外表面に十分な高さの突起が形成されやすくなる観点から、D1は35nm以下であることが好ましく、25nm以下であることがより好ましい。
パラジウムを含む粒の長さD1を求めるためには、まず、ウルトラミクロトーム法、収束イオンビーム加工法、クライオウルトラミクロトーム加工法等により、薄膜切片状のサンプルを作製して導電粒子断面を切り出す。続いて、薄膜切片上のサンプルを、TEMを用いて25万倍の倍率で観察し、TEMに付属するEDXにより得られるパラジウムのマッピング図からD1を求める。
本実施形態においては、導電粒子を、この粒子の中心付近を通る面で切断したときに、上記の方法で確認されるパラジウムを含む粒の長さの平均が、4〜35nmであることが好ましく、6〜25nmであることがより好ましく、12〜20nmであることが更に好ましい。平均をとる粒の数は10個とすることができる。
本実施形態においては、金属層204が、金属層204の平均厚さをdとしたときに、金属層と樹脂粒子との界面までの最短距離が0.1×d以上であるパラジウムを含む粒を含有することが好ましい。すなわち、図4に示されるパラジウムを含む粒201の樹脂粒子203側の表面S1と、金属層204及び樹脂粒子203の界面S2との最短距離D2が、0.1×d以上であることが好ましい。なお、図4の破線H1が金属層204の平均厚みを示す。
パラジウムを含む粒201と樹脂粒子203との間に、0.1×d以上の第1の層200、又は、第1の層200と第1のニッケル含有層206とを含む金属層が存在していることにより、金属層の厚さ方向における長さが4nm以上のパラジウムを含む粒201を容易に形成することが可能となる。すなわち、0.1×d以上の金属層が存在していることにより、還元剤が第1の層200又は第1のニッケル含有層206を含む金属層上に吸着し、還元剤の酸化反応、つまり、パラジウムイオンの還元反応が連続的に進行するため、パラジウムを含む粒を成長させることが可能である。結果として、金属層の厚さ方向における長さが4nm以上のパラジウムを含む粒201を成長させることができ、その上に設ける第2のニッケル含有層207の外表面に突起205が形成される。したがって、低い導通抵抗を得ることが可能な導電粒子が得られる。
なお、樹脂粒子203表面には、長さが4nm以上のパラジウムを含む粒201を形成することは困難である。長さが4nm以上のパラジウムを含む粒201は、パラジウムイオン及び還元剤を含む無電解パラジウムめっき液により還元析出させて形成するが、例えば樹脂粒子203表面に、一定以上(長さが4nm以上)のパラジウムを含む粒を形成しようとしても、還元剤は樹脂粒子203表面に吸着しづらく、還元剤の酸化反応が進まないため、パラジウムを含む粒を大きくさせることが難しい。このときのパラジウムの析出核の大きさは原子レベルであると考えられ、その上に例えば第2のニッケル含有層207を形成しても平滑な被膜となり、突起を有する形状を形成できないため、低い導通抵抗を得ることができない。
これに対して、本実施形態では、第1の層200上、又は、第1のニッケル含有層206を含む金属層上に長さが4nm以上のパラジウムを含む粒201を形成することが可能である。樹脂粒子203表面と比較して、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層200、第1のニッケル含有層206は金属表面であるため、還元剤が表面に吸着しやすく、還元剤の酸化反応が進行するために、パラジウムを含む粒を大きくさせることが可能になると考えられる。
第1の層200上へのパラジウムを含む粒201の形成性と、第1のニッケル含有層206を含む金属層上へのパラジウムを含む粒201の形成性を比較すると、パラジウムの析出核の析出性の均一性の点から、第1のニッケル含有層206を含む金属層上の方が、均一性が高く、第2のニッケル含有層207を形成した後の突起形状の均一性が高い。そのため、安定して低い導通抵抗を得やすいため、パラジウムを含む粒201は、第1のニッケル含有層206を含む金属層上へ形成することが好ましい。
また、導電粒子1つの表面全体に、ある程度の大きさに突起の大きさを制御し、更に導電粒子間における突起形状のばらつきを低減し、導電粒子間においても安定して低い導通抵抗を得るために、上記D2が0.2×d以上であることがより好ましく、0.4×d以上であることが更に好ましい。また、低い導通抵抗値と高い絶縁信頼性を得るために、上記D2が0.7×d以下であることが好ましく、0.4×d以下であることがより好ましい。
なお、金属層204の平均厚さdは、粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で粒子の断面を切り出し、TEMを用いて25万倍の倍率で観察し、得られた画像から、金属層204の断面積を見積り、その断面積から算出される。
また、上記D2は、例えば、導電粒子の中心付近を通る断面のEDXにより得られるパラジウムのマッピング図に基づき求めることができる。なお、金属層204及び樹脂粒子203の界面S2については、EDXにより得られるニッケルのマッピング図から確認できる。
また、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層200、又は銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層200と第1のニッケル含有層206を含む金属層がピンホール等のない連続膜となり、樹脂粒子が上記金属層により完全に被覆された状態であれば、4nm以上のパラジウムを含む粒201が導電粒子全体に形成されて、ニッケルを含む第2のニッケル含有層における突起が1つの導電粒子において全体的に形成されるので、より低い導通抵抗値を得ることが可能となる。このような理由から、上記D2が10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、40nm以上であることが更に好ましい。
本実施形態においては、金属層204が、金属層の厚さ方向に直交する方向における直径D3が5〜100nmであるパラジウムを含む粒を含有することが好ましい。パラジウムを含む粒の大きさが上記範囲であると、金属層の外表面に十分な大きさの突起が十分な密度で形成されやすくなる。このような観点から、D3は7〜80nmであるとより好ましく、20〜60nmであると更に好ましい。
また、直径20〜60nmのパラジウムを含む粒の個数は、長さ4nm以上のパラジウムを含む粒の総数に対し50%以上であることが好ましく、60%以上であるとより好ましく、70%以上であると更に好ましい。
また、パラジウムを含む粒の金属層の厚さ方向における長さD1と金属層の厚さ方向に直交する方向における直径D3との比[D1/D3]は、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.3以上であることが更に好ましい。係る比が上記範囲である粒を金属層に含有させることで、金属層の外表面に形成される突起形状の制御を容易にすることができる。
パラジウムを含む粒は、金属層の平均厚みの中央から係る平均厚みの±45%以内の範囲に含まれていることが好ましい。図5に示される導電粒子の断面においては、破線C1が金属層204の平均厚さの中央を示し、破線C1から金属層の厚み方向にそれぞれd/2の距離に金属層204の平均厚さの面及び樹脂粒子の表面が位置する。この場合、パラジウムを含む粒201が、C1から±0.45×dの範囲内に存在することが好ましい。ニッケルを含む第2のニッケル含有層形成後において、突起の形状ばらつきを抑え、低い導通抵抗値と高い絶縁信頼性を得るために、パラジウムを含む粒201が、C1から±0.3×dの範囲内に存在することがより好ましく、±0.2×dの範囲内に存在することが更に好ましい。
導電粒子が有するパラジウムを含む粒の個数は、導電粒子のSEMの正投影面において、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に20個以上であると好ましく、60個以上であるとより好ましく、100個以上であると更に好ましい。パラジウムを含む粒の個数が上記範囲であると、金属層の外表面に十分な数の突起が形成され得る。これにより、対向する電極間に導電粒子を介在させて電極同士を圧着接続したときに、より低い電気抵抗値を得ることができる。
本実施形態の導電粒子において、金属層の外表面に十分な数の突起を形成し、接続時の電気抵抗値をより下げる観点から、パラジウムを含む粒が金属層の厚さ方向に直交する方向に点在することが好ましい。パラジウムを含む粒は、互いに接触することなく、金属層の厚さ方向に直交する方向に点在することが好ましい。互いに接触する、パラジウムを含む粒の個数は、一つの導電粒子中に15個以下であることが好ましく、7個以下であることがより好ましく、0個、すなわちパラジウムを含む粒同士が接触しないですべて点在していることが更に好ましい。
また、本実施形態の導電粒子において、金属層は、金属層の外表面に形成される突起の頂点と、金属層及び樹脂粒子の界面とを最短で結ぶ直線が通るパラジウムを含む粒を含むことが好ましい。図5に示される導電粒子の断面においては、L1が、突起の頂点T1と樹脂粒子203及び金属層204の界面S2とを最短で結ぶ直線である。図5に示される金属層204は、L1が通るパラジウムを含む粒201を含んでいる。このように、パラジウムを含む粒に対応する位置に金属層の突起が形成されていることが好ましいが、L1がパラジウムを含む粒を通らない位置に突起が形成されていてもよいし、それらが混在していてもよい。
なお、金属層に上記の直線L1が通るパラジウムを含む粒が含まれているか否かについては、例えば、導電粒子の中心付近と突起の頂点とが通る切断面で導電粒子を切断し、その断面のEDXにより得られるパラジウムのマッピング図で確認することができる。
本実施形態に係る導電粒子において、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層200、又は、第1のニッケル含有層206の層上を被覆するパラジウムを含む粒の面積の割合(被覆率)は、1〜70%であることが好ましく、3〜50%であることがより好ましく、5〜30%であることが更に好ましい。被覆率が上記範囲であると、金属層の外表面に良好な突起形状を得られやすくなる。これにより、対向する電極間に導電粒子を介在させて電極同士を圧着接続したときに、より低い電気抵抗値を得ることができる。
パラジウムを含む粒の形状は、特に制限されないが、楕円体、球体、半球体、略楕円体、略球体、略半球体等であることが好ましい。これらの中でも半球体又は略半球体であることが好ましい。
パラジウムを含む粒は、例えば、パラジウムイオン及び還元剤を含む無電解パラジウムめっき液により還元析出させて形成することができる。
無電解パラジウムめっき液に用いるパラジウムの供給源としては、特に限定されないが、塩化パラジウム、塩化パラジウムナトリウム、塩化パラジウムアンモニウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、酸化パラジウム等のパラジウム化合物などが挙げられる。具体的には、酸性塩化パラジウム「PdCl/HCl」、硝酸テトラアンミンパラジウム「Pd(NH(NO」、ジニトロジアンミンパラジウム「Pd(NH(NO」、ジシアノジアンミンパラジウム「Pd(CN)(NH」、ジクロロテトラアンミンパラジウム「Pd(NHCl」、スルファミン酸パラジウム「Pd(NHSO」、硫酸ジアンミンパラジウム「Pd(NHSO」、シュウ酸テトラアンミンパラジウム「Pd(NH」、硫酸パラジウム「PdSO」等を用いることができる。
無電解パラジウムめっき液に用いる還元剤としては、特に制限はないが、得られるパラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量を十分高めるとともに粒の形状ばらつきを抑えることができる観点から、ギ酸化合物を用いることが好ましい。また、還元剤として、次亜リン酸、亜リン酸等のリン含有化合物又はホウ素含有化合物を用いることができる。その場合は、得られるパラジウムを含む粒がパラジウム−リン合金又はパラジウム−ホウ素合金を含むため、パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量が所望のものとなるように、還元剤の濃度、pH、めっき液の温度などを調節することが好ましい。
また、無電解パラジウムめっき液には、必要に応じて、緩衝剤等を添加することができるが、その種類については、特に限定されない。
パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量は、94質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であるとより好ましく、99質量%以上であると更に好ましい。パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量が上記範囲であると、金属層の外表面に形成される突起の大きさ及び数をより良好な範囲とすることができる。これにより、対向する電極間に導電粒子を介在させて電極同士を圧着接続したときに、より低い電気抵抗値を得ることができる。
なお、パラジウムを含む粒における元素の含有量は、例えば、ウルトラミクロトーム法で導電粒子の断面を切り出し、TEMを用いて25万倍の倍率で観察し、TEMに付属するEDXによる成分分析により算出することができる。
また、パラジウムを含む粒を上述の還元析出により形成する場合、後述する銅張り積層板を用いる方法で得られる無電解パラジウムめっき被膜におけるEDXによる成分分析で、パラジウム含有量が上記範囲となるように、還元析出の条件を設定することが好ましい。
本実施形態に係る導電粒子12においては、第2のニッケル含有層207の外表面(樹脂粒子側とは反対側の面)に突起205が形成される。このような第2のニッケル含有層207は、無電解ニッケルめっきにより形成することができる。本実施形態においては、第1の層200及びパラジウムを含む粒201上、又は、第1のニッケル含有層206及びパラジウムを含む粒201上に、無電解ニッケルめっきを施すことにより、突起205を外表面に有する第2のニッケル含有層207を形成することができる。
第2のニッケル含有層207は、ニッケルの含有量が93質量%以上であることが好ましく、95〜99質量%であることがより好ましく、96〜98.5質量%であることが更に好ましい。ニッケルの含有量が上記範囲であると、第2のニッケル含有層207を無電解ニッケルめっきにより形成する場合にニッケル粒子の凝集を抑制しやすくなり、異常突起の形成を防止することができる。これにより、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに低い導通抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができる導電粒子が得られやすくなる。
なお、第2のニッケル含有層207における元素の含有量は、例えば、ウルトラミクロトーム法で導電粒子の断面を切り出し、TEMを用いて25万倍の倍率で観察し、TEMに付属するEDXによる成分分析により算出することができる。
第2のニッケル含有層207の厚みは、平均厚みが10〜200nmであることが好ましく、20〜160nmであることがより好ましく、40〜130nmであることが更に好ましい。第2のニッケル含有層207の厚みが上記範囲であると、良好な形状の突起を形成できるとともに、圧着接続の際に導電粒子が高圧縮された場合でも金属層の割れが発生しにくくなる。
第1のニッケル含有層206及び第2のニッケル含有層207の平均厚みの合計は、第1の層200の平均厚みの2倍以下であることが好ましく、1.6倍以下であることがより好ましく、1.2倍以下であることが更に好ましい。第1のニッケル含有層206及び第2のニッケル含有層207の平均厚みの合計が、第1の層200の平均厚みの2倍以下にすることで、導電粒子が高圧縮された場合、銅による延性の効果を保つことができる。
第2のニッケル含有層207の平均の厚みは、得られた導電粒子について、粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で粒子の断面を切り出し、TEMを用いて25万倍の倍率で観察し、得られた画像から、第2のニッケル含有層207の断面積を見積り、その断面積から算出できる。第1の層200、パラジウムを含む粒201、第1のニッケル含有層206、第2のニッケル含有層207を区別しづらい場合には、EDXによる成分分析により、それぞれの部分の区別を明確にすることで、第2のニッケル含有層207のみの平均厚みを算出できる。
第2のニッケル含有層207によって形成された突起の平均高さは、20〜130nmであることが好ましく、30〜120nmであることがより好ましく、40〜110nmであることが更に好ましい。突起の平均高さが上記範囲であると、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに低い導通抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができる導電粒子が得られやすくなる。
なお、突起の高さとは、図5に示されるD4を指し、突起の両側の谷と谷とを結んだ直線から突起の頂点までの距離のことである。また、突起の平均高さD4は、導電粒子10個におけるD4の平均値として算出できる。
本実施形態において、突起205は、高さが30nm未満の突起の割合が全突起数に対し80%未満であり、高さが30nm以上120nm未満の突起の割合が全突起数に対し20〜80%であり、高さが120nm以上の突起の個数割合が全突起数に対し5%以下であることが好ましく、高さが30nm未満の突起の割合が全突起数に対し60%未満であり、高さが30nm以上120nm未満の突起の割合が全突起数に対し40〜70%であり、高さが120nm以上の突起の割合が全突起数に対し2%以下であることがより好ましい。突起の高さの分布が上記範囲である導電粒子は、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに、低い導通抵抗と高い絶縁信頼性とを更に高水準で両立することができる。
また、突起205は、外径が100nm未満の突起の割合が全突起数に対し80%未満であり、外径が100nm以上200nm未満の突起の割合が全突起数に対し20〜80%であり、外径が200nm以上の突起の割合が全突起数に対し10%以下であることが好ましく、外径が100nm未満の突起の割合が全突起数に対し60%未満であり、外径が100nm以上200nm未満の突起の割合が全突起数に対し40〜70%であり、外径が200nm以上の突起の割合が全突起数に対し5%以下であることがより好ましい。突起の外径の分布が上記範囲である導電粒子は、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに、低い導通抵抗と高い絶縁信頼性とを更に高水準で両立することができる。
なお、突起の外径とは、図5に示されるD5を指し、導電粒子の正投影面において、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する突起について、突起の谷の輪郭の面積を測定し、その面積を円の面積とみなしたときに算出される直径の平均値を意味する。具体的には、SEMにより、3万倍で導電粒子を観察し、得られるSEM画像をもとに、画像解析により突起の輪郭を割り出し、各突起の面積を算出して、その平均値から突起の外径を求めることができる。
また、突起の個数は、導電粒子の正投影面において、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に50〜200個の範囲内であると好ましく、70〜170個の範囲内であることがより好ましく、90〜150個の範囲内であることが更に好ましい。この場合、すべての突起の高さが50nm未満であっても、対向する電極間に導電粒子を介在させて電極同士を圧着接続したときに、十分低い電気抵抗値を得ることができる。
本実施形態に係る導電粒子において、導電粒子の外表面を被覆する突起の面積の割合(被覆率)は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。被覆率が上記範囲であると、導電粒子が高湿下に置かれた場合であっても、電気抵抗値が増加しにくくなる。
第2のニッケル含有層207は、リン又はホウ素を含むことが好ましい。これにより、第2のニッケル含有層207の硬度を高めることができ、導電粒子が圧縮されたときの電気抵抗値を低く保つことが容易となる。また、第2のニッケル含有層は、リン又はホウ素と共に、共析する他の金属を含んでいてもよい。他の金属としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、マンガン、クロム、バナジウム、モリブデン、パラジウム、錫、タングステン、レニウム、ルテニウム、ロジウム等の金属が挙げられる。これらの金属を第2のニッケル含有層に含有させることで第2のニッケル含有層の硬度を高めることができ、導電粒子を高圧縮して圧着接続する場合に突起が押しつぶされるのを抑制し、より低い電気抵抗値を得ることが可能となる。リン又はホウ素と共に、共析する他の金属の中でも、硬度そのものが高いタングステンが好ましい。なお、この場合、第2のニッケル含有層におけるニッケルの含有量は、85質量%以上であることが好ましい。
第2のニッケル含有層を無電解ニッケルめっきにより形成する場合、例えば、還元剤として次亜リン酸ナトリウム等のリン含有化合物を用いることで、リンを共析させることができ、ニッケル−リン合金が含まれる第2のニッケル含有層を形成することができる。また、還元剤として、例えば、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等のホウ素含有化合物を用いることで、ホウ素を共析させることができ、ニッケル−ホウ素合金が含まれる第2のニッケル含有層を形成することができる。ニッケル−ホウ素合金はニッケル−リン合金よりも硬度が高いので、導電粒子を高圧縮して圧着接続する場合に突起が押しつぶされるのを抑制し、より低い電気抵抗値を得る観点から、第2のニッケル含有層はニッケル−ホウ素合金を含むことが好ましい。
本実施形態においては、第1のニッケル含有層206がニッケル−リン合金を含み、第2のニッケル含有層207がニッケル−ホウ素合金を含むことが好ましい。この組み合わせによると、導電粒子を高圧縮して圧着接続する場合に、突起が押しつぶされるのを抑制しつつ、金属層の割れを抑えることができ、低い電気抵抗値をより安定して得ることができる。
本実施形態において、第1のニッケル含有層206及び第2のニッケル含有層207は、無電解ニッケルめっきにより形成することが好ましい。無電解ニッケルめっき液は、水溶性ニッケル化合物を含むことができ、錯化剤、還元剤、pH調整剤及び界面活性剤から選択される1種以上の化合物を更に含むことが好ましい。
水溶性ニッケル化合物としては、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル等の水溶性ニッケル無機塩、酢酸ニッケル、リンゴ酸ニッケル等の水溶性ニッケル有機塩を用いることができる。これらの水溶性ニッケル化合物は、一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
水溶性ニッケル化合物の濃度は、0.001〜1mol/Lとすることが好ましく、0.01〜0.3mol/Lとすることがより好ましい。水溶性ニッケル化合物の濃度を上記範囲とすることで、めっき被膜の析出速度を十分に得ながら、めっき液の粘度が高くなりすぎることを抑制してニッケル析出の均一性を高めることができる。
錯化剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸のナトリウム(1−,2−,3−及び4−ナトリウム)塩、エチレンジアミントリ酢酸、ニトロテトラ酢酸及びそのアルカリ塩、グリコン酸、酒石酸、グルコネート、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ピロリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、トリエタノールアミングルコノ(γ)−ラクトンが挙げられるが、錯化剤として機能するものであればよく、これらに限定されない。また、これらの錯化剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
錯化剤の濃度については、その種類によっても異なり、特に制限されないが、通常、0.001〜2mol/Lとすることが好ましく、0.002〜1mol/Lとすることがより好ましい。錯化剤の濃度を上記範囲とすることで、めっき液中の水酸化ニッケルの沈殿及びめっき液の分解を抑制しつつめっき被膜の析出速度が十分に得られ、なおかつ、めっき液の粘度が高くなりすぎることを抑制してニッケル析出の均一性を高めることができる。
還元剤としては、無電解ニッケルめっき液に用いられる公知の還元剤を用いることができ、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の次亜リン酸化合物、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン等の水素化ホウ素化合物、ヒドラジン類が挙げられる。
還元剤の濃度については、その種類によっても異なり、特に制限されないが、通常、0.001〜1mol/Lとすることが好ましく、0.002〜0.5mol/Lとすることがより好ましい。還元剤の濃度を上記範囲とすることで、めっき液中でのニッケルイオンの還元速度を十分に得つつ、めっき液の分解を抑制することができる。
pH調整剤のうち、酸性のpH調製剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄等の鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウム、若しくはこれらを一種以上含む水溶液、又は、クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸等の酸性の6価クロムを含む水溶液が挙げられる。また、アルカリ性のpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有する化合物を一種以上含む溶液が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、又はこれらの混合物を用いることが可能である。
本実施形態の導電粒子において、金属層は、第2の層202の第1の層200とは反対側に、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、白金、銀、金等の貴金属を含む第3の層を更に含有していてもよい。これらの中で、無電解めっきが容易なパラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金、金がよく、めっき液の安定性が高く、めっきがしやすいパラジウムと金が特に好ましい。
パラジウムを含む層は、ニッケルの酸化防止層として機能することができる。したがって、第3の層は、第2の層の上に設けることが好ましい。また、第3の層の厚みは5〜100nmであることが好ましく、10〜30nmであることがより好ましい。第3の層の厚みが上記範囲であると、第3の層をめっき等により形成する場合に層の均一性を高めることができ、第2の層に含まれるニッケルがパラジウムを含む第3の層の第2の層とは反対側の表面へ拡散することを防止する層として有効に機能させることができる。
第3の層は、例えば、パラジウムめっきによって形成することができ、無電解パラジウムめっきによって形成されたパラジウム層であることが好ましい。無電解パラジウムめっきは、還元剤を用いない置換型、還元剤を用いる還元型のいずれを用いてもよい。このような無電解パラジウムめっき液としては、置換型ではMCA(株式会社ワールドメタル製、商品名)等があり、還元型ではAPP(石原薬品工業株式会社製、商品名)等がある。置換型と還元型とを比較した場合、ボイドが少なく、被覆面積を確保しやすい点で還元型が好ましい。
本実施形態の導電粒子において、金属層は、第2の層の第1の層とは反対側に、金を含む第4の層を更に含有していてもよい。また、金を含む第4の層は、第3の層として形成したパラジウムを含む層上に形成してもよい。
金を含む層は、導電粒子の表面における電気抵抗値を下げ、導電粒子の特性をより向上させることができる。このような観点から、第4の層が金属層の最外層であることが好ましい。この場合の第4の層の厚みは、導電粒子の表面における電気抵抗値の低減効果と製造コストとのバランスの観点から、30nm以下であることが好ましいが、30nm以上であっても特性上は問題ない。また、ニッケルの酸化防止層としての機能を期待する場合は、第4の層は、第2の層の上に設けることが好ましい。この場合の第4の層の厚みは10nm〜100nmであることが好ましい。
第4の層は、例えば、金めっきによって形成することができる。金めっき液は、例えば、HGS−100(日立化成株式会社製、商品名)等の置換型金めっき液、HGS−2000(日立化成株式会社製、商品名)等の還元型金めっき液などを用いることができる。置換型と還元型とを比較した場合、ボイドが少なく、被覆面積を確保しやすい点で還元型が好ましい。
本実施形態に係る導電粒子は、平均粒径が1〜10μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。導電粒子の平均粒径を上記範囲にすることにより、導電粒子を含む異方導電性接着剤を用いて接続構造体を作製した場合に、電極の高さばらつきの影響を受けにくくなる。本実施形態における導電粒子の平均粒径は、任意の導電粒子300個について、SEMを用いた観察により粒径の測定を行い、それらの平均値をとることにより得られる。なお、本実施形態に係る導電粒子は突起を有するため、導電粒子の粒径は、SEMの画像における導電粒子に外接する円の直径とする。
<導電粒子の製造方法>
本実施形態の導電粒子の製造方法は、(1)樹脂粒子表面に、無電解めっきにより、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層を形成する工程と、(2)第1の層上に、パラジウムイオン及び還元剤を含む無電解パラジウムめっき液の還元析出により、パラジウムを含む粒を形成する工程と、(3)第1の層上及びパラジウムを含む粒上に、無電解ニッケルめっきにより、ニッケルを含む第2の層を形成する工程と、を備える。
また、本実施形態の導電粒子の製造方法は、(1)樹脂粒子表面に、無電解めっきにより、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層を形成する工程と、(2)第1の層上に、無電解ニッケルめっきにより、ニッケルを含む第1のニッケル含有層を形成する工程と、(2)第1のニッケル含有層上に、パラジウムイオン及び還元剤を含む無電解パラジウムめっき液の還元析出により、パラジウムを含む粒を形成する工程と、(3)第1のニッケル含有層上及びパラジウムを含む粒上に、無電解ニッケルめっきにより、ニッケルを含む第2のニッケル含有層を形成する工程と、を備える製造方法であってもよい。
本実施形態に係る方法によって、高圧縮された場合でも低い電気抵抗値を維持できる導電粒子が得られる理由について本発明者らは以下のとおり推察する。延性の高い銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層を形成することで、高圧縮された場合でもめっき被膜における破壊(破断)を抑制することが可能で、なおかつ、最表層に突起形状を有する第2の層を形成し、この部分を電極と電気的に接続させることで、高圧縮された場合でも低い電気抵抗値を保つことが可能となると考える。また、ニッケルを含む第2の層(あるいは、第1のニッケル含有層及び第2のニッケル含有層)に部分的に破壊(破断)が生じても、樹脂粒子に近い側に、延性の高い銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層があることで破壊(破断)が生じないと考えられる。これにより、電極とニッケルを含む第2の層とが接続したときに、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層の内部において電気が流れることが可能となるため、高圧縮(圧縮率80%)された場合でも低い電気抵抗値を維持できると考える。
更に、上記製造方法によれば、ニッケルを含む第2の層、特に第2のニッケル含有層に形成される突起の数、大きさ及び形状を高度に制御することができ、低い導通抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができる導電粒子を得ることができる。
また、本実施形態に係る方法によって、低い電気抵抗と高い絶縁信頼性とを両立することができる導電粒子が得られる理由について本発明者らは以下のとおり推察する。第1の層200又は第1のニッケル含有層206上にパラジウムを含む粒が形成された粒子を、第2のニッケル含有層を形成するための無電解ニッケルめっき液に浸漬すると、めっき液に含まれる還元剤が第1の層200又は第1のニッケル含有層206上よりもパラジウムを含む粒上で優先的に酸化されて電子を放出すると考えられる。これにより、ニッケルが第1の層200又は第1のニッケル含有層206上よりもパラジウムを含む粒上に優先的に析出し、パラジウムを含む粒上でニッケルが突起形状に析出した後に、第1の層200又は第1のニッケル含有層206上のパラジウムを含む粒が存在していない部分でニッケルの析出が起こると考えられる。このように、第1の層200又は第1のニッケル含有層206上においてニッケルの析出開始の時間差を設けることができることにより、形状ばらつきが小さい突起を有する第2のニッケル含有層を形成することが可能になったものと本発明者らは推察する。
なお、上述した従来のパラジウム触媒化処理では、第1の層200又は第1のニッケル含有層206上に突起を形成することができない。その理由としては、パラジウム触媒核が小さいことが考えられる。すなわち、パラジウム触媒化処理は、(1)錫イオンによる感受性化処理、(2)塩化パラジウム水溶液を含んだ溶液中でパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理、(3)還元剤により表面に吸着したパラジウムイオンを還元析出させる還元処理からなるが、これらの処理は単に表面に吸着したパラジウムイオンを還元させているだけであるので、パラジウム触媒核は原子レベルの大きさであると考えられる。本実施形態に係る方法では、無電解パラジウムめっき液中のパラジウムイオンを還元剤により連続析出させることにより十分な大きさを有するパラジウムを含む粒を得ることが可能であり、これにより上述した作用によって形状ばらつきが小さい突起を有する第2のニッケル含有層を形成することが可能となる。
本実施形態に係る方法に用いられる樹脂粒子、無電解銅めっき液、無電解ニッケル・銅めっき液、無電解パラジウムめっき液、及び無電解ニッケルめっきについては、本実施形態の導電粒子の説明において挙げたものを使用することができる。また、本実施形態に係る方法において、樹脂粒子は、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層の均一性を高める観点から、パラジウム触媒化処理されていることが好ましい。このときのパラジウム触媒化処理は、本実施形態の導電粒子の説明において挙げた処理を用いることができる。
本実施形態に係る方法において、パラジウムを含む粒は、第1の層200又は第1のニッケル含有層206の厚さ方向における長さが4nm以上となるように析出させることが好ましい。係る長さは、第1のニッケル含有層206におけるニッケルの純度を変化させることによって調整することができる。例えば、第1のニッケル含有層206はリンを含有するが、リンの含有量を増加させてニッケルの純度を低くした方が、パラジウムを含む粒は厚さ方向に成長しやすくなる。したがって、パラジウムを含む粒の長さを十分大きくできる点で、第1のニッケル含有層206におけるニッケルの含有量が83〜98質量%であることが好ましく、85〜93質量%であることがより好ましく、86〜91質量%であることが更に好ましい。また、パラジウムの純度を高純度化させるほど、パラジウムを含む粒の長さを大きくすることができる点で、パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量は、94質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であるとより好ましく、99質量%以上であると更に好ましい。
本実施形態に係る方法において、パラジウムを含む粒は、第1の層200又は第1のニッケル含有層206の厚さ方向に直交する方向に点在するように析出させることが好ましい。パラジウムを含む粒の分布は、特に、第1のニッケル含有層206におけるニッケルの純度を変化させることによって調整することができる。第1のニッケル含有層206はリンを含有するが、パラジウムを含む粒の厚さ方向への成長と同様に、リンの含有量を増加させてニッケルの純度を低くした方が、パラジウムを含む粒が分布しやすくなる。したがって、パラジウムを含む粒の形状ばらつきを抑える観点から、第1のニッケル含有層206におけるニッケルの含有量が83〜98質量%であることが好ましく、85〜93質量%であることがより好ましく、86〜91質量%であることが更に好ましい。また、パラジウムの純度を高純度化させるほど、パラジウムを含む粒の形状ばらつきを抑えることが可能になることから、パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量は、94質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であるとより好ましく、99質量%以上であると特に好ましい。また上述したようにパラジウムの純度を高純度化させるほど、パラジウムを含む粒の直径を大きくすることができるので、例えば、パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量が上記範囲内であれば、直径20nm未満のパラジウムを含む粒を少なくすることができ、直径20nm以上60nm未満のパラジウムを含む粒の形状ばらつきを抑えることが可能となる。
本実施形態の導電粒子の製造方法によれば、本実施形態の導電粒子を得ることができる。本実施形態の導電粒子の製造方法においては、上述した本実施形態の導電粒子における条件の一以上を満たすように、上記工程を行うことが好ましい。
次に、本実施形態の絶縁被覆導電粒子について説明する。図1の(b)に示される絶縁被覆導電粒子10は、本実施形態の導電粒子2と、導電粒子2の金属層204の表面の少なくとも一部を被覆する絶縁性子粒子1と、を備える。
近年、COG実装用の異方導電性接着剤には、10μmレベルの狭ピッチでの絶縁信頼性が求められている。絶縁信頼性を更に向上させるためには、導電粒子を絶縁被覆することが好ましい。本実施形態の絶縁被覆導電粒子によればかかる要求特性を有効に実現することができる。
導電粒子を被覆する絶縁性子粒子としては、有機高分子化合物微粒子、無機酸化物微粒子等が挙げられる。中でも、絶縁信頼性の点で、無機酸化物微粒子が好ましい。なお、有機高分子化合物微粒子の場合には、電気抵抗値を下げやすい。
有機高分子化合物としては、熱軟化性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、フェノキシ樹脂、固形エポキシ樹脂が好適に用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物が好ましく、これらは一種類を単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。無機酸化物微粒子の中でも、水分散コロイダルシリカ(SiO)は、表面に水酸基を有するため導電粒子との結合性に優れ、粒子径を揃えやすく、安価であるので特に好適である。このような無機酸化物微粒子の市販品としては、例えば、スノーテックス、スノーテックスUP(日産化学工業株式会社製、商品名)、クオートロンPLシリーズ(扶桑化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
無機酸化物微粒子が表面に水酸基を有する場合には、水酸基をシランカップリング剤等でアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等に変性することが可能であるが、無機酸化物微粒子の平均粒径が500nm以下の場合、変性が困難な場合がある。その場合には、変性を行わずに導電粒子を被覆することが望ましい。
一般的に、水酸基を有することにより、水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基等と結合することが可能である。結合形態としては、例えば、脱水縮合による共有結合、水素結合、配位結合等が挙げられる。
導電粒子の最表面が金又はパラジウムからなる場合、これらに対して配位結合を形成するメルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基等を分子内に有する化合物を用いて表面に水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基等の官能基を形成するとよい。上記化合物としては、例えば、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸メチル、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、システインが挙げられる。
金、パラジウム、銅等の貴金属はチオールと反応しやすく、ニッケル等の卑金属はチオールと反応し難い。従って、導電粒子の最外層が貴金属からなる場合は、導電粒子の最外層が卑金属からなる場合と比べてチオールと反応しやすい。
例えば、金表面に上記化合物を処理する方法としては、特に限定されないが、メタノールやエタノール等の有機溶媒中にメルカプト酢酸等の上記化合物を10〜100mmol/L程度分散し、その中に最外層が金である導電粒子を分散させることができる。
絶縁性子粒子の平均粒径は、20〜500nmであることが好ましい。なお、絶縁性子粒子の平均粒径は、例えば、BET法による比表面積換算法、X線小角散乱法で測定される。平均粒径が上記範囲であると、例えば、絶縁性子粒子として無機酸化物微粒子を用いた場合に導電粒子に吸着された無機酸化物微粒子が絶縁膜として有効に作用しやすく、また、接続の加圧方向の導電性が良好になりやすい。
電気抵抗を下げやすく、電気抵抗の経時的な上昇を抑制しやすい観点から、絶縁性子粒子の平均粒径は、導電粒子の平均粒径に対して、1/10以下であることが好ましく、1/15以下であることがより好ましい。また、より良好な絶縁信頼性を得る観点から、絶縁性子粒子の平均粒径は、導電粒子の平均粒径に対して、1/20以上であることが好ましい。
絶縁性子粒子は、被覆率が20〜70%となるように導電粒子の表面を被覆することが好ましい。絶縁と導電の効果を一層確実に得る観点から、被覆率は、20〜60%であることがより好ましく、25〜60%であることが更に好ましく、28〜55%であることが特に好ましい。なお、ここでいう被覆率は、導電粒子の正投影面において、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内における絶縁性子粒子の表面積の割合を意味し、具体的には、SEMにより、3万倍で導電粒子を観察し、得られるSEM画像をもとに、画像解析により導電粒子表面において絶縁性子粒子が占める割合を算出する。
次に、導電粒子表面を無機酸化物微粒子で被覆する方法としては、例えば、高分子電解質と無機酸化物微粒子とを交互に積層する方法が好ましい。より具体的には、(1)導電粒子を高分子電解質溶液に分散し、導電粒子の表面に高分子電解質を吸着させた後、リンスする工程、(2)導電粒子を無機酸化物微粒子の分散溶液に分散し、導電粒子の表面に無機微粒子を吸着させた後、リンスする工程、を備える製造方法によって、高分子電解質と無機酸化物微粒子とが積層された絶縁性子粒子によって表面が被覆された絶縁被覆導電粒子を製造できる。このような方法は、交互積層法(Layer−by−Layer assembly)と呼ばれる。交互積層法は、G.Decherらによって1992年に発表された有機薄膜を形成する方法である(Thin Solid Films,210/211,p831(1992))。この方法によれば、正電荷を有するポリマー電解質(ポリカチオン)と負電荷を有するポリマー電解質(ポリアニオン)の水溶液に、基材を交互に浸漬し、静電的引力によって基板上に吸着したポリカチオンとポリアニオンの組が積層することで、複合膜(交互積層膜)が得られる。上記(1)の工程及び(2)の工程は、(1)、(2)の順でも、(2)、(1)の順でもよく、複数繰り返して交互積層することが好ましい。
交互積層法では、静電的な引力によって、基材上に形成された材料の電荷と、溶液中の反対電荷を有する材料が引き合うことにより膜成長するので、吸着が進行して電荷の中和が起こるとそれ以上の吸着が起こらなくなる。従って、ある飽和点までに至れば、それ以上膜厚が増加することはない。Lvovらは交互積層法を、微粒子に応用し、シリカ、チタニア、セリア等の各微粒子分散液を用いて、微粒子の表面電荷と反対電荷を有する高分子電解質を交互積層法で積層する方法を報告している(Langmuir,Vol.13,(1997)p6195−6203)。この方法を用いると、負の表面電荷を有するシリカの微粒子とその反対電荷を持つポリカチオンであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA)又はポリエチレンイミン(PEI)等とを交互に積層することで、シリカ微粒子と高分子電解質が交互に積層された微粒子積層薄膜を形成することが可能である。
高分子電解質としては、例えば、水溶液中で電離し、荷電を有する官能基を主鎖又は側鎖に持つ高分子を用いることができる。具体的には、ポリカチオンを用いるのが好ましい。ポリカチオンとしては、ポリアミン類等のように正荷電を帯びることのできる官能基を有するもの、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリアクリルアミド、又は、これらを1種以上含む共重合体を用いることができる。中でもポリエチレンイミンは電荷密度が高く、結合力が強いため好ましい。
<異方導電性接着剤>
本実施形態の異方導電性接着剤は、上述した、本実施形態の導電粒子若しくは本実施形態の製造方法により得られる導電粒子又は本実施形態の絶縁被覆導電粒子と、接着剤とを含有する。この異方導電性接着剤を、フィルム状に形成してなる異方導電性接着剤フィルムとして用いることが好ましい。
接着剤としては、例えば、熱反応性樹脂と硬化剤との混合物が用いられる。好ましく用いられる接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合物、ラジカル重合性化合物と有機過酸化物との混合物が挙げられる。
また、接着剤としてはペースト状又はフィルム状のものが用いられる。フィルム状にするためには、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を接着剤に配合することが効果的である。
<接続構造体>
次に、本実施形態の異方導電性接着剤を用いた接続構造体について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の係る接続構造体を示す模式断面図である。図6に示す接続構造体100は、相互に対向する第1の回路部材30及び第2の回路部材40を備えており、第1の回路部材30と第2の回路部材40との間には、これらを接続する接続部50aが設けられている。
第1の回路部材30は、回路基板(第1の回路基板)31と、回路基板31の主面31a上に形成される回路電極(第1の回路電極)32とを備える。第2の回路部材40は、回路基板(第2の回路基板)41と、回路基板41の主面41a上に形成される回路電極(第2の回路電極)42とを備える。
回路部材の具体例としては、ICチップ(半導体チップ)、抵抗体チップ、コンデンサチップ、ドライバーIC等のチップ部品、リジット型のパッケージ基板が挙げられる。これらの回路部材は、回路電極を備えており、多数の回路電極を備えているものが一般的である。上記回路部材が接続される、もう一方の回路部材の具体例としては、金属配線を有するフレキシブルテープ基板、フレキシブルプリント配線板、インジウム錫酸化物(ITO)が蒸着されたガラス基板等の配線基板が挙げられる。フィルム状の異方導電性接着剤50によれば、これらの回路部材同士を効率的且つ高い接続信頼性をもって接続することができる。本実施形態の異方導電性接着剤は、微細な回路電極を多数備えるチップ部品の配線基板上へのCOG実装もしくはCOF実装に好適である。
接続部50aは、接着剤の硬化物20aと、これに分散している絶縁被覆導電粒子10(又は導電粒子2、以下同様)とを備える。そして、接続構造体100においては、対向する回路電極32と回路電極42とが、絶縁被覆導電粒子10を介して電気的に接続されている。より具体的には、図6に示すとおり、絶縁被覆導電粒子10にあっては、導電粒子2が圧縮により変形(扁平)し、回路電極32、42の双方に電気的に接続している。他方、図示横方向は導電粒子2間に絶縁性子粒子1が介在することで絶縁性が維持される。従って、本実施形態の異方導電性接着剤を用いれば、10μmレベルの狭ピッチでの絶縁信頼性を向上させることが可能となる。また、用途によっては絶縁被覆導電粒子の代わりに絶縁被覆されていない導電粒子を用いることも可能である。
本実施形態の接続構造体100は、第1の回路電極32を有する第1の回路部材30と第2の回路電極42を有する第2の回路部材40とを、第1の回路電極32と第2の回路電極42とが相対向するように配置し、第1の回路部材30と第2の回路部材40との間に本実施形態の異方導電性接着剤を介在させ、加熱及び加圧して第1の回路電極32と第2の回路電極42とを電気的に接続させることにより得られる。第1の回路部材30及び第2の回路部材40は、本実施形態の異方導電性接着剤の硬化物20aによって接着される。
<接続構造体の製造方法>
上記接続構造体の製造方法について、図7を参照しながら説明する。図7は、図6に示す接続構造体の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。本実施形態では、異方導電性接着剤を熱硬化させて接続構造体を製造する。
先ず、上述した第1の回路部材30と、フィルム状に成形した異方導電性接着剤50(異方導電性接着剤フィルム)を用意する。フィルム状の異方導電性接着剤50は、上記のように絶縁被覆導電粒子10(又は導電粒子2、以下同様)を絶縁性の接着剤20に含有してなるものである。
次に、フィルム状の異方導電性接着剤50を第1の回路部材30の回路電極32が形成されている面上に載せる。そして、フィルム状の異方導電性接着剤50を、図7(a)の矢印A及びB方向に加圧し、フィルム状の異方導電性接着剤50を第1の回路部材30に積層する(図7(b))。
次いで、図7(c)に示すように、第1の回路電極32と第2の回路電極42とが相対向するようにして、第2の回路部材40をフィルム状の異方導電性接着剤50上に載せる。そして、フィルム状の異方導電性接着剤50を加熱しながら、図7(c)の矢印A及びB方向に全体を加圧する。
フィルム状の異方導電性接着剤50の硬化により接続部50aが形成されて、図6に示すような接続構造体100が得られる。なお、本実施形態では、異方導電性接着剤50はフィルム状であったが、ペースト状であってもよい。
上記の接続構造を有する接続構造体としては、例えば、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯製品が挙げられる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[導電粒子の作製]
(工程a)前処理工程
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子(株式会社日本触媒製、商品名「ソリオスター」)2gを、パラジウム触媒であるアトテックネオガント834(アトテックジャパン株式会社製、商品名)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加し、30℃で30分間攪拌した後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア株式会社製)で濾過し、水洗を行うことで樹脂粒子を得た。その後、樹脂粒子をpH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に添加し、表面が活性化された樹脂粒子を得た。その後、20mLの蒸留水に、表面が活性化された樹脂粒子を浸漬し、超音波分散することで、樹脂粒子分散液を得た。
(工程b)第1の層(第1の部分、第2の部分及び第3の部分)の形成
得られた樹脂粒子を、40℃に加温した下記の組成を有する1Lの建浴液に加えて、97質量%以上のニッケルを含有する第1の部分、並びに、ニッケル及び銅を主成分とする合金を含有する第2の部分を形成した。更に、添加法により下記組成のニッケルを含有しない補充液A及び補充液Bをそれぞれ930mL準備し、20mL/minの速度で連続的に滴下し、銅を主成分とする第3の部分を形成した。第1の層(第1の部分、第2の部分及び第3の部分の層)における厚みを表1に示す。なお、第1の層を形成することにより得た粒子は4gであった。
(建浴液)
硫酸銅・5水和物・・・・・・・・・・・・・・7.5g/L
硫酸ニッケル・6水和物・・・・・・・・・・・1.3g/L
ホルムアルデヒド・・・・・・・・・・・・・・6g/L
シアン化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・5ppm
エチレンジアミン4酢酸・4ナトリウム塩・・・76g/L
水酸化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・12g/L
pH・・・・・・・・・・・・12.7
(補充液A)
硫酸銅・5水和物・・・・・・・・・・・・・・200g/L
ホルムアルデヒド・・・・・・・・・・・・・・30g/L
シアン化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・50ppm
(補充液B)
エチレンジアミン4酢酸・4ナトリウム塩・・・380g/L
水酸化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・40g/L
(工程c)パラジウムを含む粒の形成
次に、下記組成の無電解パラジウムめっき液1Lに上記第1の層を形成した粒子全量(4g)を浸漬し、該粒子の表面上にパラジウムを含む粒を形成した。なお、反応時間は10分間、温度は60℃にて処理を行なった。なお、パラジウムを含む粒を形成することにより得た粒子は4.05gであった。
(無電解パラジウムめっき液)
塩化パラジウム・・・・・・・・・・・・・・・0.07g/L
エチレンジアミン・・・・・・・・・・・・・・0.05g/L
ギ酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・0.2g/L
酒石酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.11g/L
pH・・・・・・・・・・・・7
(工程d)第2の層(第2のニッケル含有層)の形成
工程cで得た粒子全量(4.05g)を、水洗及び濾過した後、70℃に加温した水1000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加し、次いで、下記組成の第2の層(第2のニッケル含有層)形成用無電解ニッケルめっき液50mLを、5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表1に示す80nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜からなる第2の層(第2のニッケル含有層)を形成した。なお、第2の層(第2のニッケル含有層)を形成することにより得た粒子は6gであった。
(第2の層(第2のニッケル含有層)形成用無電解ニッケルめっき液)
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・150g/L
酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・・・・120g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・・・・・1mL/L
以上の工程a〜dによって導電粒子を得た。
[導電粒子の評価]
(パラジウムを含む粒の評価)
上記工程cでパラジウムを含む粒を形成した後の粒子について、当該粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に存在するパラジウムを含む粒の個数と所定の直径を有する粒の割合を算出した。
具体的には、パラジウムを含む粒の個数は、粒子を走査電子顕微鏡(以下、SEM装置、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により3万倍で観察したSEM画像をもとに評価した。図8に、工程cで得られたパラジウムを含む粒を形成した後の粒子の表面を観察したSEM画像を示す。
所定の直径を有するパラジウムを含む粒の割合として、粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に存在するパラジウムを含む粒の総数に対する、直径が20nm未満、20nm以上60nm未満及び60nm以上のパラジウムを含む粒の個数の割合を求めた。なお、パラジウムを含む粒の直径については、図9に示すように、15万倍で観察したSEM画像により判別した。
パラジウムを含む粒の金属層の厚さ方向における平均長さを以下の手順で求めた。まず、ウルトラミクロトーム法を用いて粒子の断面を切り出し、切り出したサンプルのうち、粒子径が最大となるサンプルを粒子の中心付近を通る断面で切り出されたサンプルとした。このサンプルについて、TEM装置を用い、TEM装置の測定モードの1つである走査透過型電子顕微鏡モード(STEMモード)を利用して、加速電圧200kVにて観察した。次に、STEMモードで観察しながら測定視野を探し、TEM装置に付属するEDX検出器により、ニッケル、リン及びパラジウムのマッピング図を得た(このようにSTEMモードで観察し、EDX検出器により分析する手法を、以下「STEM/EDX分析」と略称する)。図11は、粒子の断面のSTEM像、それに対応する、銅、ニッケル及びパラジウムのマッピング図を示す。続いて、得られたパラジウムのマッピング図から、パラジウムを含む粒の金属層の厚さ方向における長さを求めた。図12は、図11のパラジウムのマッピング図からパラジウムを含む粒の金属層の厚さ方向における長さを求める方法について説明するための図である。また、パラジウムを含む粒10個について金属層の厚さ方向における長さを求め、それらの平均値を、パラジウムを含む粒の平均長さとした。以下、導電粒子の断面試料の作製方法、EDX検出器によるマッピングの方法の詳細について説明する。
(導電粒子の断面試料の作製方法)
導電粒子を断面方向からSTEM/EDX分析するための60nm±20nmの厚みを有する断面試料(以下、「TEM測定用の薄膜切片」という)を、ウルトラミクロトーム法を用いて作製した。その作製方法を以下に示す。
安定して薄膜化加工するため、導電粒子を注型樹脂に分散させた。具体的には、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂とブチルグリシジルエーテルとその他エポキシ樹脂との混合物(リファインテック株式会社製、商品名「エポマウント主剤27−771」)10gにジエチレントリアミン(リファインテック株式会社製、商品名「エポマウント硬化剤27−772」)1.0gを混合し、スパチュラを用いて攪拌し、目視にて均一に混合されたことを確認した。この混合物3gに乾燥済みの導電粒子0.5gを加え、スパチュラを用いて均一になるまで攪拌してから、これを樹脂注型用の型(D.S.K 堂阪イーエム株式会社製、商品名「シリコーン包埋板II型」)に流し込み、室温下で24時間静置してから、注型樹脂が固まったことを確認し、導電粒子の樹脂注型物を得た。
ウルトラミクロトーム(ライカ・マイクロシステムズ株式会社製、商品名「EM−UC6」)を用いて、導電粒子の樹脂注型物から、TEM測定用の薄膜切片を作製した。TEM測定用の薄膜切片を作製する際には、まず、ウルトラミクロトームの装置本体に固定したガラス製のナイフ(日新EM株式会社製のガラスナイフメーカーにて作製)を用いて、図13(a)に示すように、TEM測定用の薄膜切片を切り出せる形状になるまで、樹脂注型物の先端をトリミング加工した。
より詳細には、図13(b)に示すように、樹脂注型物の先端の断面形状が、縦200〜400μm、横100〜200μmであるような略直方体状となるようにトリミング加工した。断面の横の長さを100〜200μmとするのは、樹脂注型物からTEM測定用の薄膜切片を切り出す際に、ダイアモンドナイフと試料の間で発生する摩擦を低減するためであり、これによってTEM測定用の薄膜切片の皺及び折れ曲がりを防ぎ易くなり、TEM測定用の薄膜切片の作製が容易となる。
続いて、ウルトラミクロトーム装置本体の所定の箇所に、ボート付きのダイアモンドナイフ(DIATONE社製、商品名「Cryo Wet」、刃幅2.0mm、刃角度35°)を固定し、ボートをイオン交換水で満たし、ナイフの設置角度を調整して刃先をイオン交換水で濡らした。
ここで、ナイフの設置角度の調整について図14を用いて説明する。ナイフの設置角度の調整においては、上下方向の角度、左右方向の角度及びクリアランス角を調整することができる。上下方向の角度の調整とは、図14に示すように、試料表面とナイフの進む方向とが平行になるように試料ホルダーの上下方向の角度を調整することを意味する。また、左右方向の角度の調整とは、図14に示すように、ナイフの刃先と試料表面とが平行になるようにナイフの左右方向の角度を調整することを意味する。また、クリアランス角の調整とは、図14に示すように、ナイフの刃先の試料側の面とナイフの進む方向とがなす最小の角度を調整することを意味する。クリアランス角は、5〜10°であることが好ましい。クリアランス角が上記の範囲であると、ナイフの刃先と試料表面との摩擦を低減できるとともに、試料から薄膜切片を切り出した後にナイフが試料表面を擦ることを防げる。
ウルトラミクロトーム装置本体に付している光学顕微鏡を確認しながら、試料とダイアモンドナイフとの距離を近づけて、刃速度0.3mm/秒、薄膜の切り出し厚みが60nm±20nmとなるようにミクロトーム装置の設定値を設定し、樹脂注型物から薄膜切片を切り出してから、イオン交換水の水面にTEM測定用の薄膜切片を浮かべた。水面に浮かべたTEM測定用の薄膜切片の上面から、TEM測定用の銅メッシュ(日新EM株式会社製、商品名「マイクログリッド付き銅メッシュ」)を押し付け、TEM測定用の薄膜切片を銅メッシュに吸着させ、TEM試料とした。なお、ミクロトームで得られるTEM測定用の薄膜切片は、ミクロトームの切り出し厚みの設定値と正確には一致しないため、所望の厚みが得られる設定値を予め求めておく。
(EDX検出器によるマッピングの方法)
「TEM測定用の薄膜切片」を、銅メッシュごと試料ホルダー(日本電子株式会社製、商品名「ベリリウム試料2軸傾斜ホルダー、EM−31640」)に固定し、TEM装置内部へ挿入した。加速電圧200kVにて、試料への電子線照射を開始した後に、電子線の照射系をSTEMモードに切り替えた。
走査像観察装置をSTEM観察時の位置に挿入し、STEM観察用のソフトウェア「JEOL Simple Image Viewer(Version 1.3.5)」(日本電子株式会社製)を起動してから、「TEM測定用の薄膜切片」を観察し、その中に観察された導電粒子の断面のうち、EDX測定に適した箇所を探し、撮影した。ここでいう測定に適した箇所とは、導電粒子の中心付近で切断され、金属層の断面が観察できる箇所を意味し、断面が傾斜している箇所、及び導電粒子の中心付近からずれた位置で切断されている箇所は、測定対象から外した。なお、撮影時には、観察倍率25万倍、STEM観察像の画素数を縦512点、横512点とした。この条件で観察すると、視野角600nmの観察像が得られるが、装置が変わると同じ倍率でも視野角が変わることがあるので、注意が必要である。
STEM/EDX分析の際には、導電粒子の「TEM測定用の薄膜切片」に電子線を当てると、導電粒子のプラスチック核体及び注型樹脂の収縮又は熱膨張が起こり、測定中に試料が変形、又は移動してしまう。EDX測定中の試料変形及び試料移動を抑制するため、事前に30分間から1時間程度、測定箇所に電子線を照射し、変形及び移動が収まったことを確認してから分析した。
STEM/EDX分析を行うため、EDX検出器を測定位置まで移動させ、EDX測定用のソフトウェア「Analysis Station」(日本電子株式会社製)を起動させた。EDX検出器によるマッピングの際には、マッピング時に十分な分解能を得る必要があるため、電子線を目的箇所に集束させるための集束絞り装置を用いた。
STEM/EDX分析の際には、検出される特性X線のカウント数(CPS:Counts Per Second)が10,000CPS以上になるように、電子線のスポット径を0.5nmから1.0nmの範囲で調整した。また、測定後に、マッピング測定と同時に得られるEDXスペクトルにおいて、ニッケルのKα線に由来するピークの高さが、少なくとも5,000Counts以上となることを確認した。また、データ取得時には、上記のSTEM観察時と同じ視野角で、画素数を縦256点、横256点とした。また、一点ごとの積算時間を20ミリ秒間とし、積算回数1回で測定を行った。
パラジウムを含む粒の長さD1を算出するため、得られたSTEM/EDX分析データをもとに、パラジウムのマッピング像を作成した。このパラジウムのマッピング像において、図12に示すように、得られたマッピング像を白黒に2値化することによってパラジウムの存在する部分と存在しない部分の境界線を決定し、金属層の厚さ方向における当該境界線間の距離をD1とした。ただし、測定データにはノイズが含まれており、S/N比を向上させるためにフィルター処理を実施した。フィルター処理は、EDX測定用のソフトウェア「Analysis Station」に付属した機能であり、各測定点において、各測定点のデータに加えて測定点に隣接する複数点のデータを積算して表示することができる。これにより、マッピング画像のS/Nが向上するため、パラジウムのマッピング像からパラジウムを含む粒の長さD1を算出することができる。本実施例では、このフィルター処理を利用して、各測定点のデータに加えて測定点に隣接する8点(上、下、左、右、左上、左下、右上、右下)のデータを積算し、マッピング像のノイズを低減させてから、パラジウムを含む粒の長さD1を算出した。
得られたEDXマッピングデータから、必要に応じて、第1の部分、第2の部分、第3の部分、第1のニッケル含有層及び第2のニッケル含有層におけるEDXスペクトルを抽出し、各層における元素存在比を算出した。ただし、定量値を算出する際には、銅、パラジウム、ニッケル、リンの割合の合計を100%として、それぞれの元素の質量%濃度を算出した。
なお、上記以外の元素については、下記の理由で割合が変動し易いため、定量値を算出する際には除外した。炭素は、TEM測定用のメッシュに使用されるカーボン支持膜又は電子線照射時に試料表面に吸着するコンタミの影響によって割合が増減する。酸素は、TEM試料を作製してから測定までの間に空気酸化する事で増加する可能性がある。また、銅は、TEM測定用に用いた銅メッシュから検出されてしまう。
(パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量)
まず、下記銅張り積層板を用いる方法により評価用サンプルを作製した。
<銅張り積層板を用いる方法>
銅張り積層板である「MCL−E−679F」(日立化成株式会社製、商品名)を1cm×1cmの大きさで切断し基板を得た。この基板を、脱脂液「Z−200」(株式会社ワールドメタル製、商品名)に50℃で1分間浸漬し、1分間水洗した。次に、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、1分間水洗した。続いて、10%の硫酸に1分間浸漬し、1分間水洗した。次に、めっき活性化処理液である「SA−100」(日立化成株式会社製、商品名)に25℃で5分間浸漬処理し、1分間水洗した。続いて、無電解ニッケルめっき液であるトップニコロンNAC〔奥野製薬工業(株)製、商品名〕に85℃で4分間浸漬することにより、銅箔上に11.5質量%のリンを含有した無電解ニッケルめっき被膜を0.7μmの厚さで形成した。続いて、これを1分間水洗した。次に、(工程c)の組成及び液量の無電解パラジウムめっき液に、60℃にて10分間浸漬することで、無電解ニッケルめっき被膜上に約0.1μmの厚さの無電解パラジウムめっき被膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、乾燥した後、評価用サンプルを得た。
次に、得られた評価用サンプルを注型樹脂(エポキシ樹脂815(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)90質量%とトリエチレンテトラミン(和光純薬工業株式会社製、商品名)10質量%を混合したもの)に埋没させ、無電解パラジウムめっき被膜の断面を観察できるようにウルトラミクロトーム法で当該断面を切り出し、TEM装置を用いて25万倍の倍率で観察した。続いて、無電解パラジウムめっき被膜について、EDX検出器による成分分析によりパラジウムの含有量を算出し、この含有量を、パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量とした。このようにして得られたパラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量は100%であった。なお、パラジウムを含む粒がパラジウム以外の成分を含有する場合、その含有量も、パラジウムと同様に評価用サンプルについてのEDX検出器による成分分析によって算出した。
(膜厚及び成分の評価)
得られた導電粒子について、粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で断面を切り出し、透過型電子顕微鏡装置(以下、TEM装置、日本電子株式会社製、商品名「JEM−2100F」)を用いて25万倍の倍率で観察し、得られた画像から、300nmの幅における、第1の部分、第2の部分、第3の部分、第1のニッケル含有層及び第2のニッケル含有層の断面積を見積り、300nmの幅における断面積を、一辺が300nmの長方形に近似し、もう一辺の長さを第1の部分、第2の部分、第3の部分、第1のニッケル含有層及び第2のニッケル含有層の膜厚として算出した。なお、表1には、10個の導電粒子について算出した膜厚の平均値を示した。また、このとき、第1の部分、第2の部分、第3の部分、第1のニッケル含有層及び第2のニッケル含有層を区別しづらい場合には、エネルギー分散型X線検出器(以下、EDX検出器、日本電子株式会社製、商品名「JED−2300」)による成分分析により、第1の層及び第2の層の区別を明確にすることで、それぞれの層の断面積を見積もり、膜厚を計測した。結果を表1に示した。
(導電粒子の表面に形成された突起の評価)
得られた導電粒子について、SEM装置により、3万倍で観察し、SEM画像をもとに、導電粒子表面の突起による被覆率を算出した。また、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内における突起の個数と割合を、SEM装置により3万倍で観察し、SEM画像をもとに算出した。図10に、導電粒子の表面を、SEM装置により観察した結果を示した。
また、突起の高さについては、粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で導電粒子の断面を切り出し、TEM装置を用いて25万倍の倍率で観察し、得られた画像に基づき求めた。10個の突起の高さを求め、それらの平均値を平均高さとした。図15は、図11のSTEM像から突起の高さを求める方法について説明するための図である。図15に示すように、突起の高さは、突起の両側の谷と谷を結んだ直線から垂直方向における突起の頂点までの距離として計測した。
突起の被覆率は、SEM装置により3万倍で観察し、SEM画像をもとに、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内において突起形成部と平坦部を画像解析により区別し、同心円内における突起形成部の割合を算出することで、突起の被覆率とした。
突起高さの分布は、導電粒子10個における図5に示されるD4の計測結果から、所定の高さの突起の個数割合(%)として求めた。
突起の外径は、導電粒子の正投影面において、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する突起について、突起の谷の輪郭の面積を測定し、その面積を円の面積とみなしたときに算出される直径の平均値を算出した。具体的には、SEM装置により、3万倍で導電粒子を観察し、得られるSEM画像をもとに、画像解析により突起の輪郭を割り出し、各突起の面積を算出して、その平均値から突起の外径を求めた。
(導電粒子の抵抗値測定方法)
微小圧縮試験機MCTW−200(株式会社島津製作所製、商品名)を用いて、負荷速度0.5mN/secの条件で、導電粒子を圧縮し、元の粒径の70%になるまで圧縮した場合(圧縮率30%)、元の粒径の50%になるまで圧縮した場合(圧縮率50%)、元の粒径の40%になるまで圧縮した場合(圧縮率60%)、元の粒径の30%になるまで圧縮した場合(圧縮率70%)、元の粒径の20%になるまで圧縮した場合(圧縮率80%)、及び、元の粒径の10%になるまで圧縮した場合(圧縮率90%)の電気抵抗値(Ω)の測定を行った。10個の導電粒子について同様の測定を行い、その平均値を求めた。結果を表1に示す。
[絶縁被覆導電粒子の作製]
分子量70000のポリエチレンイミンの30質量%水溶液(和光純薬株式会社製)を、超純水で0.3質量%まで希釈した。この0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液300mLに上記と同様の方法で得た導電粒子200gを加え、室温で15分間攪拌した。φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、取り出された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分間攪拌した。更に、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、メンブレンフィルタ上の導電粒子を200gの超純水で2回洗浄して、吸着していないポリエチレンイミンを除去した。
次いで、φ130nmのコロイダルシリカ分散液を超純水で希釈して、0.1質量%シリカ粒子分散液を得た。そこに、上記のポリエチレンイミンによる処理済の導電粒子200gを入れて室温で15分間攪拌した。φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、取り出された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分間攪拌した。更に、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、メンブレンフィルタ上の導電粒子を200gの超純水で2回洗浄して、吸着していないシリカ粒子を除去し、シリカ粒子が表面に吸着した絶縁被覆導電粒子を得た。
得られた絶縁被覆導電粒子の表面に、分子量3000のシリコーンオリゴマーであるSC6000(日立化成株式会社製、商品名)を付着させて、絶縁被覆導電粒子の表面を疎水化した。疎水化後の絶縁被覆導電粒子を80℃で30分間、120℃で1時間の順に、加熱により乾燥して、疎水化された絶縁被覆導電粒子を得た。SEM画像を画像解析することでシリカ粒子による導電粒子の平均被覆率を測定したところ、約28%であった。
[異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製]
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名「PKHC」)100gと、アクリルゴム(ブチルアクリレート40質量部、エチルアクリレート30質量部、アクリロニトリル30質量部、グリシジルメタクリレート3質量部の共重合体、分子量:85万)75gとを、酢酸エチル400gに溶解し、溶液を得た。この溶液に、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(エポキシ当量185、旭化成エポキシ株式会社製、商品名「ノバキュアHX−3941」)300gを加え、撹拌して接着剤溶液を得た。
この接着剤溶液に、上記で得た絶縁被覆粒子を、接着剤溶液の全量を基準として9体積%となるように分散させ、分散液を得た。得られた分散液を、セパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータを用いて塗布し、90℃で10分間の加熱することにより乾燥して、厚み25μmの異方導電性接着フィルムをセパレータ上に作製した。
次に、作製した異方導電性接着フィルムを用いて、金バンプ(面積:30×90μm、スペース10μm、高さ:15μm、バンブ数362)付きチップ(1.7×1.7mm、厚み:0.5μm)と、IZO回路付きガラス基板(厚み:0.7mm)との接続を、以下に示すi)〜iii)の手順に従って行い、接続構造体を得た。i)異方導電性接着フィルム(2×19mm)をIZO回路付きガラス基板に、80℃、0.98MPa(10kgf/cm)で貼り付けた。ii)セパレータを剥離し、チップのバンプとIZO回路付きガラス基板の位置合わせを行った。iii)190℃、40gf/バンプ、10秒の条件でチップ上方から加熱及び加圧を行い、本接続を行った。
[接続構造体の評価]
得られた接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を以下のように行った。
(導通抵抗試験)
チップ電極(バンプ)/ガラス電極(IZO)間の導通抵抗に関しては、導通抵抗の初期値と吸湿耐熱試験(温度85℃、湿度85%の条件で100、300、500、1000、2000時間放置)後の値を、20サンプルについて測定し、それらの平均値を算出した。得られた平均値から下記基準に従って導通抵抗を評価した。結果を表1に示す。なお、吸湿耐熱試験500時間後に、下記A又はBの基準を満たす場合は導通抵抗が良好といえる。
A:導通抵抗の平均値が2Ω未満
B:導通抵抗の平均値が2Ω以上5Ω未満
C:導通抵抗の平均値が5Ω以上10Ω未満
(絶縁抵抗試験)
チップ電極間の絶縁抵抗に関しては、絶縁抵抗の初期値とマイグレーション試験(温度60℃、湿度90%、20V印加の条件で100、300、500、1000時間放置)後の値を、20サンプルについて測定し、全20サンプル中、絶縁抵抗値が10Ω以上となるサンプルの割合を算出した。得られた割合から下記基準に従って絶縁抵抗を評価した。結果を表1に示す。なお、吸湿耐熱試験500時間後に、下記A又はBの基準を満たした場合は絶縁抵抗が良好といえる。
A:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が100%
B:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が90%以上100%未満
C:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が80%以上90%未満
D:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が50%以上80%未満
<実施例2>
実施例1の(工程b)において、40℃に加温した1Lの純水に、実施例1の(工程a)と同様に処理した樹脂粒子を加え、実施例1の(工程b)と同様に、滴下法により補充液A及び補充液Bを滴下し、銅からなる第1の層(第3の部分)を樹脂粒子表面に直接形成した。それ以外は全て実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1の(工程a〜b)を同様に行い、第1の層形成済み粒子4gを、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)を10質量%含有する、置換パラジウムめっき処理液100mLに添加し、30℃で5分間攪拌した後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)で濾過し、水洗を行うことで、第1の層上に原子レベルのサイズのパラジウムを銅上に置換析出させた。また、このとき最表層の銅が溶解し、その代わりにパラジウムが置換析出しているため、粒子の重量変化はなかった。パラジウムを置換析出させることにより得られた粒子4gを、80℃で加温した水1000mLで希釈して分散し、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加し、下記組成の第1のニッケル含有層形成用無電解ニッケルめっき液10mLを、5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表1に示す10nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜からなる第1のニッケル含有層の層を形成した。なお、第1のニッケル含有層を形成することにより得た粒子は4.25gであった。
(第1のニッケル含有層形成用無電解ニッケルめっき液)
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・150g/L
クエン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・120g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・・・・・1mL/L
これ以降、実施例1の(工程c)以降と同様にして、導電粒子、絶縁被覆粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4〜7>
実施例1の(工程b)において、銅からなる第3の部分を表1に示した厚みで変更し、実施例1の(工程b)と(工程c)の間に、<実施例3>と同様に、10nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜からなる第1のニッケル含有層の層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1に示す。なお、銅からなる第3の部分の形成は、実施例1の(工程b)と同一の組成の補充液A及び補充液Bを使用し、めっき液の量のみを変化させて行った。具体的には、実施例4においては233mL、実施例5においては465mL、実施例6においては698mL、実施例7においては1395mLの補充液A及び補充液Bを用いた。
<実施例8〜13>
実施例1の(工程b)と(工程c)の間に、<実施例3>と同様に、10nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜からなる第1のニッケル含有層の層を形成し、実施例1の(工程d)において、第2のニッケル含有層を表2に示した厚みで変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2に示す。なお、第2のニッケル含有層の形成は、実施例1の(工程d)と同一の組成の無電解ニッケルめっき液を使用し、めっき液の量のみを変化させて行った。具体的には、実施例8においては12.5mL、実施例9においては25mL、実施例10においては37.5mL、実施例11においては62.5mL、実施例12においては75mL、実施例13においては100mLのめっき液を用いた。
<実施例14〜15>
実施例1の(工程b)において、銅からなる第3の部分を表3に示した厚みで変更し、実施例1の(工程b)と(工程c)の間に、<実施例3>と同様に、10nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜からなる第1のニッケル含有層の層を形成し、実施例1の(工程d)において、第2のニッケル含有層を表3に示した厚みで変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表3に示す。なお、銅からなる第3の部分の形成は、実施例1の(工程b)と同一の組成の補充液A及び補充液Bを使用し、めっき液の量のみを変化させて行った。具体的には、実施例14においては465mL、実施例15においては698mLの補充液A及び補充液Bを用いた。また、第2のニッケル含有層の形成は、実施例1の(工程d)と同一の組成の無電解ニッケルめっき液を使用し、めっき液の量のみを変化させて行った。具体的には、実施例14においては25mL、実施例15においては37.5mLのめっき液を用いた。
<実施例16〜18>
実施例3と同様の、ニッケル−リン合金被膜からなる第1のニッケル含有層の層を、表3に示した厚みで変更したこと以外は、実施例3と同様にして、導電粒子、絶縁被覆粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表3に示す。なお、ニッケル−リン合金被膜からなる第1のニッケル含有層の形成は、実施例3の、第1のニッケル含有層形成用無電解ニッケルめっき液と同一の組成のめっき液を使用し、めっき液の量のみを変化させて行った。具体的には、実施例16においては20mL、実施例17においては50mL、実施例18においては80mLのめっき液を用いた。
<比較例1>
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子(株式会社日本触媒社製、商品名「ソリオスター」を樹脂粒子として用いた。400mLのクリーナーコンディショナー231水溶液(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製、濃度40mL/L)を攪拌しながら、そこに樹脂粒子30gを投入した。引き続き、水溶液を60℃に加温し、超音波を与えながら30分間攪拌して、樹脂粒子の表面改質及び分散処理を行った。
上記水溶液を濾過し、得られた粒子を一回水洗した後に、粒子30gを水に分散させて200mLのスラリーにした。このスラリーに塩化第一錫水溶液200mL(濃度1.5g/L)を加え、常温で5分間攪拌し、錫イオンを粒子の表面に吸着させる感受性化処理を行った。引き続き水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した。次いで、粒子30gを水に分散させて400mLのスラリーにし、60℃まで加温した。超音波を併用してスラリーを攪拌しながら、10g/Lの塩化パラジウム水溶液2mLを添加した。そのまま5分間攪拌することで、粒子の表面にパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理を行った。引き続き水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した。
次いで、20g/Lの酒石酸ナトリウム、10g/Lの硫酸ニッケル、0.5g/Lの次亜リン酸ナトリウムを溶解した水溶液からなる無電解めっき液3リットルを60℃に昇温し、この無電解めっき液に、上記粒子10gを投入した。これを5分間攪拌し、水素の発泡が停止することを確認した。
その後、200g/Lの硫酸ニッケル水溶液600mLと、200g/Lの次亜リン酸ナトリウム及び90g/Lの水酸化ナトリウム混合水溶液600mLとを、それぞれ同時に定量ポンプによって連続的に、粒子を含むめっき液に添加した。添加速度はいずれも3mL/分とした。次いで、この溶液を60℃に保持しながら5分間攪拌した後、溶液を濾過し、濾過物を3回洗浄した後、100℃の真空乾燥機で乾燥して、ニッケル−リン合金被膜を有する導電粒子を得た。得られた導電粒子について、粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で断面を切り出し、TEM装置を用いて25万倍の倍率で観察し、得られた断面の画像に基づき、断面積の平均値より膜厚を算出した結果、平均膜厚は156nmであった。
上記の導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表4に示す。
<比較例2>
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子(株式会社日本触媒社製、商品名「ソリオスター」を樹脂粒子として用いた。400mLのクリーナーコンディショナー231水溶液(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製、濃度40mL/L)を攪拌しながら、そこに樹脂粒子7gを投入した。引き続き、水溶液を60℃に加温し、超音波を与えながら30分間攪拌して、樹脂粒子の表面改質及び分散処理を行った。
上記水溶液を濾過し、得られた粒子を一回水洗した後に、粒子7gを純水に分散させて200mLのスラリーにした。このスラリーに塩化第一錫水溶液200mL(濃度1.5g/L)を加え、常温で5分間攪拌し、錫イオンを粒子の表面に吸着させる感受性化処理を行った。引き続き水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した。次いで、粒子7gを水に分散させて400mLのスラリーにし、60℃まで加温した。超音波を併用してスラリーを攪拌しながら、10g/Lの塩化パラジウム水溶液2mLを添加した。そのまま5分間攪拌することで、粒子の表面にパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理を行った。引き続き水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した。
得られた樹脂粒子7gを純水300mLに加え、3分間攪拌して分散させた後、その分散液に芯物質としてニッケル粒子(三井金属社製、商品名「2007SUS」、平均粒子径50nm)2.25gを添加し、芯物質を付着させた粒子を得た。
上記分散液を更に水1200mlで希釈し、めっき安定剤として硝酸ビスマス水溶液(濃度1g/L)4mLを添加後、この分散液に硫酸ニッケル450g/L、次亜リン酸ナトリウム150g/L、クエン酸ナトリウム116g/L及びめっき安定剤[硝酸ビスマス水溶液(濃度1g/L)]6mLの混合溶液120mLを81mL/分の添加速度で定量ポンプを通して添加した。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
次いで、更に硫酸ニッケル450g/L、次亜リン酸ナトリウム150g/L、クエン酸ナトリウム116g/L、めっき安定剤[硝酸ビスマス水溶液(濃度1g/L)]35mLの混合溶液1000mLを27mL/分の添加速度で定量ポンプを通して添加した。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
次いで、めっき液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥してニッケル−リン合金被膜を有する導電粒子を得た。得られた導電粒子について、粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で断面を切り出し、TEM装置を用いて25万倍の倍率で観察し、得られた断面の画像に基づき、断面積の平均値より膜厚を算出した結果、平均膜厚は151nmであった。
上記の導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表4に示す。
比較例1は特許文献1に対応し、比較例2は特許文献2に対応するものである。
表1〜表3の結果から、実施例1〜18で作製した導電粒子は、元の粒径の20%になるまで圧縮した場合(圧縮率80%)、5Ω以下の抵抗値を維持できることが明らかとなった。また、接続構造体とした場合であっても、吸湿耐熱試験後においても優れた導通信頼性と絶縁信頼性を得られることが明らかとなった。一方、比較例1〜2で作製した導電粒子は、圧縮を行うことで電気抵抗値が上昇し、圧縮率が80%の場合、10Ωを超えることが分かった。また、接続構造体とした場合、吸湿耐熱試験後において導通信頼性と絶縁信頼性の特性が低下した。
1…絶縁性子粒子、2…導電粒子、10…絶縁被覆導電粒子、20…絶縁性の接着剤、20a…絶縁性の接着剤の硬化物、30…第1の回路部材、31…回路基板(第1の回路基板)、31a…第1の回路基板の主面、32…回路電極(第1の回路電極)、40…第2の回路部材、41…回路基板(第2の回路基板)、41a…第2の回路基板の主面、42…回路電極(第2の回路電極)、50…フィルム状の異方導電性接着剤、50a…接続部、100…接続構造体、200…第1の層、201…パラジウムを含む粒、202…第2の層、203…樹脂粒子、204…金属層、205…突起、206…第1のニッケル含有層、207…第2のニッケル含有層、208…Ni−Cu層、208a…第1の部分、208b…第2の部分、208c…第3の部分。

Claims (23)

  1. 樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に設けられた金属層と、を備え、
    前記金属層は、前記樹脂粒子に近い順に、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層と、ニッケルを含む第2の層と、を有し、前記金属層の厚さ方向における長さが4nm以上であるパラジウムを含む粒を含有し、
    前記金属層の外表面には突起が形成されている、導電粒子。
  2. 前記金属層は、該金属層の平均厚さをdとしたときに、前記金属層と前記樹脂粒子との界面までの最短距離が0.1×d以上である前記パラジウムを含む粒を含有する、請求項1に記載の導電粒子。
  3. 樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に設けられた金属層と、を備え、
    前記金属層は、前記樹脂粒子に近い順に、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層と、ニッケルを含む第2の層と、を有し、前記金属層の平均厚さをdとしたときに、前記金属層と前記樹脂粒子との界面までの最短距離が0.1×d以上であるパラジウムを含む粒を含有し、
    前記金属層の外表面には突起が形成されている、導電粒子。
  4. 前記金属層は、前記第1の層と前記第2の層との間に、又は前記第2の層内に前記パラジウムを含む粒を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電粒子。
  5. 前記金属層は、該金属層と前記樹脂粒子との界面までの最短距離が10nm以上である前記パラジウムを含む粒を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電粒子。
  6. 前記金属層は、該金属層の厚さ方向に直交する方向に点在する前記パラジウムを含む粒を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電粒子。
  7. 前記パラジウムを含む粒におけるパラジウムの含有量が94質量%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電粒子。
  8. 前記パラジウムを含む粒がリンを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電粒子。
  9. 前記第1の層は、ニッケル及び銅を含むNi−Cu層を有し、
    前記Ni−Cu層は、前記樹脂粒子の表面から遠ざかるにしたがってニッケルに対する銅の元素比率が高くなる部分を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電粒子。
  10. 前記Ni−Cu層は、前記樹脂粒子に近い順に、ニッケルの含有量が97質量%以上である第1の部分と、前記部分をなす第2の部分と、銅を含む第3の部分とを有する、請求項9に記載の導電粒子。
  11. 前記第2の部分におけるニッケルの含有量と銅の含有量との合計が、97質量%以上である、請求項10に記載の導電粒子。
  12. 前記第3の部分における銅の含有量が97質量%以上である、請求項10又は11に記載の導電粒子。
  13. 前記第2の層は、前記第1の層に近い順に、ニッケルの含有量が83〜98質量%である第1のニッケル含有層と、ニッケルの含有量が93質量%以上である第2のニッケル含有層とを有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の導電粒子。
  14. 前記第1のニッケル含有層におけるニッケルの含有量が85〜93質量%である、請求項13に記載の導電粒子。
  15. 前記第2のニッケル含有層におけるニッケルの含有量が96質量%以上である、請求項13又は14に記載の導電粒子。
  16. 前記第1のニッケル含有層はリンを更に含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の導電粒子。
  17. 前記第2のニッケル含有層はリン又はホウ素を更に含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の導電粒子。
  18. 前記金属層は、前記第2の層の前記第1の層と反対側に、パラジウムを含む第3の層と金を含む第4の層とを更に有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の導電粒子。
  19. 樹脂粒子の表面に、無電解めっきにより、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層を形成する工程と、
    前記第1の層上に、パラジウムイオン及び還元剤を含む無電解パラジウムめっき液の還元析出により、パラジウムを含む粒を形成する工程と、
    前記第1の層上及び前記パラジウムを含む粒上に、無電解ニッケルめっきにより、ニッケルを含む第2の層を形成する工程と、を備える、導電粒子の製造方法。
  20. 樹脂粒子の表面に、無電解めっきにより、銅、又はニッケル及び銅を含む第1の層を形成する工程と、
    前記第1の層上に、無電解ニッケルめっきにより、ニッケルを含む第1のニッケル含有層を形成する工程と、
    前記第1のニッケル含有層上に、パラジウムイオン及び還元剤を含む無電解パラジウムめっき液の還元析出により、パラジウムを含む粒を形成する工程と、
    前記第1のニッケル含有層上及び前記パラジウムを含む粒上に、無電解ニッケルめっきにより、ニッケルを含む第2のニッケル含有層を形成する工程と、を備える、導電粒子の製造方法。
  21. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の導電粒子又は請求項19若しくは20に記載の方法により得られる導電粒子と、接着剤と、を含有する、異方導電性接着剤。
  22. 第1の回路電極を有する第1の回路部材と第2の回路電極を有する第2の回路部材とを、前記第1の回路電極と前記第2の回路電極とが相対向するように配置し、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材との間に請求項21に記載の異方導電性接着剤を介在させ、これらを加熱及び加圧して前記第1の回路電極と前記第2の回路電極とを電気的に接続させてなる、接続構造体。
  23. 第1の回路電極を有する第1の回路部材と、
    第2の回路電極を有する第2の回路部材と、
    請求項1〜18のいずれか一項に記載の導電粒子又は請求項19若しくは20に記載の方法により得られる導電粒子を含み、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材とを互いに接続する接続部と、を備え、
    前記第1の回路部材と前記第2の回路部材とは、前記第1の回路電極と前記第2の回路電極とが相対向するように配置され、
    前記接続部において、前記第1の回路電極と前記第2の回路電極とが、変形した前記導電粒子を介して電気的に接続されている、接続構造体。
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