JP6340876B2 - 導電粒子 - Google Patents

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本発明は、異方性導電接着剤に好適に用いられる導電粒子に関する。
液晶やOLED(Organic Light-Emitting Diode)表示用ガラスパネルに駆動用ICを実装する方式は、COG(Chip−on−Glass)実装とCOF(Chip−on−Flex)実装の2種類に大別することができる。COG実装では、導電粒子を含む異方性導電接着剤を用いて駆動用ICを直接ガラスパネル上に接合する。一方、COF実装では、金属配線を有するフレキシブルテープに駆動用ICを接合し、導電粒子を含む異方性導電接着剤を用いてそれらをガラスパネルに接合する。ここでいう異方性とは、加圧方向には導通し、非加圧方向では絶縁性を保つという意味である。
これまでは、ガラスパネル上の配線はITO(Indium Tin Oxide)配線が主流であったが、生産性や平滑性を改善する目的でIZO(Indium Zinc Oxide)に置き換わりつつある。さらに近年、ガラスパネル上にCu、Al、Tiなどを複数積層して形成された電極や、さらに最表面にITOやIZOを形成した複合多層電極などが開発されている。このような平坦性が高く、Tiなどの高硬度な材料を用いた電極に対して、安定した接続抵抗を得る必要があった。
加えて近年は、スマートフォンやタブレット端末などに搭載されるディスプレイの高精細化にともない、駆動ICの電極間隔の狭ピッチ化が進んでおり、隣接電極間の絶縁性をさらに高めた異方導電性接着剤が求められている。このような要求に対し、隣接電極間のショートを防止する導電粒子が開示されている。
特許文献2は有機系防錆剤処理を施して溶出を抑える方法、特許文献3は最表面に貴金属層を設けて下地導電層の溶出を抑える方法、特許文献4は溶出が少ない貴金属のみで導電層を形成する方法を開示している。
特許第4387175号公報 特開2013−175453号公報 特許第4398665号公報 特許第04715969号公報 特開平9−1434411号公報 特開2007-103222号公報 特開2012-164454号公報
しかし、特許文献2は未だ絶縁性と接続抵抗の両立には改善が必要である。また、特許文献3の場合は、最表面に貴金属層と下地導電層との密着性を確保するために、置換めっきを用いる。置換めっきは、下地金属層の溶解により得た電子を使って、貴金属イオンを還元・析出させるため、どうしても貴金属層にピンホールが発生し、下地の溶出を抑えるには課題があった。置換めっきを用いた貴金属層の表面にさらに自己触媒性の還元めっきを行い、ピンホールの無い貴金属層を設ける方法もあるが、貴金属使用量が増えて、コストが高くなる弊害があった。さらに、特許文献4は、貴金属の自己触媒性の還元めっきは、安定性に乏しく、均一なめっき膜を得られない場合も多い。さらに、溶出の少ない金属、たとえば貴金属類のみを用いた導電層は、樹脂粒子への密着性を確保するのが難しく、また十分な導電性を得るための連続層を得るには導電層の厚さが必要になり、コストが高くなる弊害があった。
そこで、下地金属の溶出を抑える十分なバリア性を有する連続膜を形成させる方法として、スパッタ法を用いることが考えられる。スパッタ法を用いた導電粒子の例として特許文献5、6、7が開示されている。
しかしながら、特許文献5、特許文献6では絶縁性についてはなんら開示されていない。また、開示されている導電粒子は、粒子表面にスパッタによる導電層が形成しているのみであり、圧着時に電極表面に十分にめり込まないため、接続抵抗は良好とはいえない。特許文献7には、プラスチック粒子の表面に設けた無電解めっき層の表面にスパッタによる金属層を設けた導電粒子が開示されており、ビッカーズ硬度の高い金属をスパッタによって製膜することで、導電層の電極への食い込みを改善し、接続抵抗の低抵抗化が可能としている。しかし、発明者が鋭意検討した結果、特許文献7記載の導電粒子は絶縁性の改善が必要であることが分かった。すなわち、特許文献7記載のスパッタ法では、隣接電極間のショート不良を発生させる懸念があった。また、導電層が平滑であるため、満足する接続抵抗も得られない不具合があった。
一つの側面において、本発明は、異方導電性接着剤に用いられたときに、安定した接続抵抗を得るとともに、絶縁信頼性の更なる改善を図ることのできる導電粒子を提供するものである。
本発明の一つの側面は、コア粒子と、該コア粒子を囲む導電性の最外層とを備える導電粒子に関する。一態様において、前記最外層は、スパッタ法により形成された層である。一態様において、前記最外層は、その外側表面に形成された複数の凸部を有している。
導電性の最外層が凸部を有していることにより、安定した接続抵抗が得られる。導電性の最外層は、スパッタ法によって形成されているため、導電粒子の内側部分との密着が良く、不純物の非常に少ない緻密な層として形成されている。そのため、内側部分からのマイグレーションが起こり難い。
上記導電粒子は、コア粒子と最外層との間に設けられた1層又は2層以上の内側導電層をさらに備えていてもよい。
耐マイグレーションの高い、スパッタ法により形成された最外層が設けられているため、その内側の導電層の形状の自由度が高く、例えば、コア粒子と最外層との間に内側導電層が設けられているとき、その内側導電層の外側の表面は平滑であってもよいし、凸部を有していてもよい。したがって、所望の特性に合わせた導電層を形成できる。平滑な導電層は屈曲点が少ないため、溶解が少なく、耐マイグレーション性をより高めた導電粒子を提供できる。一方で、コア粒子の表面、又は内側導電層が2層以上ある場合はコア粒子側の内側導電層の表面に凸形状の核をあらかじめ形成したのち、所望の内側導電層を形成し、さらに最外層にスパッタ層を形成すると、耐マイグレーション性を実質的に犠牲にすることなく、凸部の形状(高さ等)を選択する自由度が高い。
例えば、凸部の高さが、コア粒子の直径の0.005倍以上0.1倍以下であってもよい。これにより、導電層が電極に接触した際に、導電粒子が電極に十分にめり込むことができ、より安定した接続信頼性を確保できる。
上記内側導電層は、ニッケル、銅又はこれらの合金を含有していてもよい。これら金属を含有する導電層の電気比抵抗は低いことから、圧着の際に対向する電極間に接続抵抗が低く、より一層良好な接続信頼性を得やすい。
当該導電粒子の中心点を通る断面において中心点から内角45度で放射状に伸ばした8本の線を引き、これらの8本の線が最外層と交わる部分の長さを最外層の厚みとして測定して、8個の当該厚みの値を得たときに、それらの平均値が5nm以上であり、標準偏差が5.0以下であってもよい。これにより、最外層がその下地の層の表面上にバラツキの少ない均一な厚みで形成された導電粒子を提供できる。
当該導電粒子表面の元素組成をX線光電子分光分析により分析したときに、最外層を構成する元素に対する、最外層の内側で最外層に隣接する層を構成する元素の比率が、0.4以下であってもよい。この場合、最外層の内側の層の露出が少ない。そのため、耐マイグレーション性により一層優れた導電粒子を提供できる。
別の側面において、本発明は、上記導電粒子と、該導電粒子の最外層の外側表面上に配置された複数の絶縁性粒子とを備える絶縁被覆導電粒子に関する。
上記絶縁性粒子は、コア粒子の直径よりも小さく、最外層の凸部の高さよりも大きい直径を有していてもよい。
これにより、導電粒子同士が凝集してショートする不良をより確実に防ぐことができる。緻密でバリア性に優れた、スパッタ法による最外層と、その表面に配置された絶縁性粒子とを有する絶縁被覆導電粒子は、耐マイグレーション性に優れ、安定した絶縁性を有し、また、凸部による安定した接続信頼性も併せ持っている。
本発明はまた、上記導電粒子、又は上記絶縁被覆導電粒子と、接着剤とを含有する異方導電性接着剤に関する。
本発明によれば、非常に狭ピッチな電極を接続するための異方性導電接着剤に用いられたときであっても安定した絶縁信頼性を得ることができる導電粒子を提供できる。また、本発明によれば、硬質で平滑な電極を接続するための異方性導電接着剤に用いられたときであっても、十分な導電性を得ることが可能な導電粒子が提供される。
絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す断面図である。 絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す断面図である。 絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す断面図である。 絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す断面図である。 絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す断面図である。 絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す断面図である。 絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す拡大断面図である。 接続構造体の一実施形態を示す断面図である。 導電粒子のSEM画像である。 最外層の厚みの決定方法を示す断面図である。 凸部の高さの決定方法を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施
形態に限定されるものではない。
図1は、絶縁被覆導電粒子の一実施形態を示す断面図である。図1に示される絶縁被覆導電粒子1は、コア粒子2、コア粒子2の表面上に点在する粒状の核3、及びこれらを覆う導電性の最外層5を有する導電粒子10と、最外層5の外側表面上に点在する絶縁性粒子7とを備える。最外層5は、その外表面に形成された複数の凸部5aを有している。
導電粒子10の粒径は、一般に、接続される回路部材の電極の間隔の最小値よりも小さい。接続される電極の高さにばらつきがある場合、導電粒子の粒径は、高さのばらつきよりも大きいことが好ましい。係る観点から、導電粒子10の粒径は1〜10μmであることが好ましく、2.5〜5μmであることがより好ましい。
コア粒子2を形成する材料は特に限定されず、有機材料、無機材料、金属材料などが使用できる。隣接する電極間の絶縁性を保つためには、粒度分布がシャープであるほうが好ましい。粒度分布が揃っていると、隣接する電極間の絶縁信頼性が安定する。また、対向する電極に挟まれたときに導電粒子に均一に力が加わるため、安定した接続抵抗を得られるため好ましい。粒度分布が揃ったコア粒子としては、合成で得られる有機樹脂粒子やシリカ粒子などが好適に利用できる。
有機樹脂粒子は、例えば、ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレートのようなアクリル樹脂、並びに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン及びポリブタジエンのようなポリオレフィン樹脂から選ばれる樹脂を含む。このような有機樹脂粒子は公知の方法で合成可能であり、例えば懸濁重合、シード重合、沈殿重合、分散重合によって合成される。
コア粒子2は真球状であることが好ましい。特に、シード重合で作られた粒子は、粒度分布がシャープで、粒径バラツキが小さいため好ましい。具体的には、C.V.が20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。特に、隣接電極間が10μmレベルの電極をショート不良なく安定して接続するには、コア粒子2のC.V.が5%以下であれば特に好ましく、3%以下であることが最も好ましい。たとえば、平均粒径3.0μmの粒子のC.V.が20%を超えると、10μmレベルの狭ピッチ電極の駆動用ICを接続する場合、ショート不良が発生し得る。
比較的やわらかいポリイミドフィルム上に形成された電極や、脆いガラス基板上に電極が形成されている場合は、コア粒子2が硬すぎると導電粒子10が電極を傷つける可能性がある。係る観点から、COG実装のようなガラス基板上に形成された電極に駆動用ICを直接接続する場合、コア粒子2が柔らかい方が好ましい。たとえば、200℃において20%圧縮変位させたときのコア粒子2の圧縮弾性率(20%K値)は、300kgf/mm以下であることが好ましく、200kgf/mm以下であることがさらに好ましい。コア粒子2が柔らかすぎると、圧痕により粒子捕捉率を測定することが難しくなることから、コア粒子2の200℃における20%K値は80kgf/mm以上であることが好ましい。
コア粒子2の20%K値は、フィッシャースコープH100C(フィッシャーインスツールメント製)を使用して、以下の方法で測定される。
1)粒子試料を乗せたスライドガラスを200℃のホットプレート上に置き、粒子の中心方向に対して、加重をかける。
2)粒子試料が20%変形したときの圧縮変形弾性率(K20、20%K値)を、50秒間で50mNの加重をかけつつ測定を行った後、下記式に従って算出する。
K20(圧縮変形弾性率)=(3/√2)・F20・S20−3/2・R−1/2
F20:粒子を20%変形させるのに必要な荷重(N)
S20:20%変形時の粒子の変形量(m)
R:粒子の半径(m)
電極が非常に硬質な場合、コア粒子2が圧着時に変形しすぎてしまい、導電層を十分に電極にめり込ませることができないことがある。この場合は、コア粒子2は硬い方が好ましい。具体的には、シリカ粒子が好適に用いられる。シリカはストーバー法に代表される合成方法で、非常に粒度分布が鋭く、粒径ばらつきの少ない粒子を得ることができるため好ましい。コア粒子2からの不純物の溶出は、耐マイグレーション性を低下させるため、コア粒子2は純度が高い方が好ましい。具体的には、SiO2の含有量が95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましく、99.9質量%以上であることが最も好ましい。
コア粒子2の表面には、スパッタ法によって核3が形成される。スパッタ法としては、二極スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、反応性スパッタリング法、レーザースパッタリング法、RF(高周波)スパッタリング法などが適用できる。
スパッタ法は連続膜だけでなく、例えば特開2012−119351号公報に開示される方法のように、島状の堆積物(核)を対象物表面に形成することができる。
通常、スパッタ法では、真空容器内にスパッタターゲットが設けられ、スパッタターゲットに対峙した位置に対象物が置かれた状態で、スパッタターゲットから飛来するターゲット材質が対象物に衝突し、スパッタ層が堆積していく。したがって、通常の方法では粒子表面に均一なスパッタ層を得るのは困難であるが、粒子のような粉体にスパッタ処理を行う方法がいくつか開示されており、これらを利用することができる。具体的には、ターゲットの対面に配置された被覆対象物を載せるステージが回転する特開昭56−41375の方法、対象物を載せるステージが揺動することで、対象物に均一にスパッタ層を設ける工夫がなされた特開2009−79251の方法、被覆対象物を落下させながらスパッタする特開昭62−250172の方法、粒子を入れたバレルを回転させることで、粒子を転動・回転させながらスパッタを行う特許第2909744又は特開2012−172240の方法、さらにバレル内にスクリュー攪拌機構を備え、粒子の攪拌効率を高めた特許第3420857号の方法、粒子の転動・攪拌をより効率的にするためにバレル断面を多角形にした特許第3620842号の方法が使用できる。特に、バレルを用いたバレルスパッタ法は、粒子の全面にムラ無くスパッタ金属層を形成できるため、好ましい。バレルスパッタ装置としては、粉体スパッタリング装置(株式会社 共立製)が使用できる。
後述の実施例では、自作したバレルスパッタ装置を使用した。このバレルスパッタ装置は、水平方向に設置された円筒形を有したバレルと、バレル内を真空に出来る真空機構と、バレルを水平軸周りに回転・反転させる機構と、バレル内部にバレルの回転とは独立し、一定方向にターゲット面を向け続けられるスパッタターゲットと、バレル内にアルゴンガスを送る機構と、前述バレルを回転させながらバレルの回転軸を最大±40度まで連続的に傾けることが出来る機構と、バレル内の粒子に直接振動を加える機構と、バレルを加熱する機構とを備えている。バレルが回転することでバレル内の粒子が転動・攪拌され、さらに回転軸が連続的に傾くため、粒子がバレル内で回転軸方向に移動し、粒子の分散性が高まり、粒子表面に均一なスパッタ層を形成できる。また、バレル内に粒子の分散を促進する邪魔板や攪拌機構を備えるとさらに好ましい。
コア粒子2の表面にスパッタ法により核3を形成する場合は、アルゴン量、スパッタの強さ(印加電圧、周波数)、粒子への加熱温度や加熱時間を適宜調整する。核3を形成する材料は特に限定されないが、核3が硬いと、凸部5aが電極と接触した際に電極に十分にめり込むことが出来るため好ましい。具体的には、金属材料や無機物、酸化物などが利用できる。具体的には、セシウム、銀、銅、金、アルミニウム、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、ロジウム、イリジウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、コバルト、カリウム、ニッケル、黄銅、ルテニウム、インジウム、鉄、白金、パラジウム、ルビジウム、スズ、タンタル、クロム、銅、タリウム、ロジウム、鉛、ジルコニウム、銀、マンガニン、ステンレス、インコロイやこれらの合金、および酸化物が利用できる。特に、ニッケル、パラジウム、金、タングステンなどが導電層の導電性を高められるため好ましい。特にSiO2、Ti0、ZrO2、Al23、ダイアモンド、BNなどは硬度が高いため好ましい。
核3及びコア粒子2の表面全体を導電層で覆う方法としては電気めっきや無電解めっき、スパッタ法を用いることができる。
スパッタ法は、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素がターゲットに衝突することで、ターゲット原子が飛び出して、粒子表面に高速で衝突する現象を繰り返すので、金属皮膜形成時の核発生密度が極めて密になり、少量の金属で粒子表面を均一に被覆できる。一方、無電解めっき法では、予め粒子表面がパラジウム等で活性化処理される。パラジウムの付着部分が無電解めっき時の金属皮膜形成用核の発生点になる。物理吸着現象であるパラジウムの付着密度は、スパッタ法における励起されたターゲット原子の衝突密度と比較すると格段に小さいものと推察される。この違いからも、スパッタ法では、粒子表面全体を均一に被覆するのに必要な金属薄膜を薄くすることができる。
無電解めっきは、非導電体の表面にも均一な金属被覆が可能であり、数十ナノメートルから数ミクロンまで厚みを調整しやすく、スパッタ法と比べると比較的厚めに金属層を形成できるメリットがある。また、電気めっきと比較しても電源が必要でないため、簡便な設備で実施できるため好ましい。また、無電解めっき法は溶液中で処理できること、大面積を処理できることなど、実用性が高い方法である。また、金属イオンを還元する還元剤や添加剤などが共析することで、合金化することもできる。具体的には、無電解ニッケルめっきでは、ニッケルイオンの還元剤として、リン酸塩やヒドラジン、水素化ホウ素塩などが利用でき、それぞれ、ニッケル-リン合金、純ニッケル、ニッケル−ホウ素合金などが得られる。また、金属イオンを液中で安定化させるための錯化剤が各種用いられており、その種類により結晶構造の違うニッケル膜が得られる。それぞれ、合金比率や結晶構造の違いにより高耐食性、低抵抗、展延性、硬さなど様々な特性を調整できるため、所望に特性を選択できる利点がある。
図1の導電粒子では、バレルスパッタ法を用いて最外層5を形成している。コア粒子2を覆う緻密な金属膜が最外層として形成できる利点がある。ターゲットを変更すれば、様々な合金や酸化物、金属の膜を作ることができ、めっき法よりも材料の選択が広いことも利点である。不純物の共析がきわめて少ないため、耐マイグレーション性の高い材料をターゲットに選定すれば、数十nmの厚みで高いバリア性を有する膜を形成できる利点がある。最外層のスパッタ層としては、前述の核の材料と同様の材料が利用できる。特に、金、ニッケル、パラジウム、タングステン、白金、コバルト、モリブデン、マグネシウムなどが下地導電層を露出させないバリア性が高く、比抵抗が低いため、導電粒子の低抵抗化が図られ好ましい。特にタングステンは、硬度も高く導電層を電極にめり込み、低抵抗化するため特に好ましい。
導電粒子10は、導電性の最外層に凸部5aを備えている。凸部5aの高さは、導電粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で導電粒子の断面を切り出し、TEM装置を用いて25万倍の倍率で観察し、得られた画像に基づいて求めることができる。例えば、10個の凸部の高さを求め、それらの平均値を平均高さとすることができる。図11は、凸部5aの高さを求める方法について説明するための図である。図11に示すように、凸部5aの高さhは、凸部5aの両側の裾と裾を結んだ直線から垂直方向における凸部5aの頂点までの距離として計測できる。
凸部5aの(平均)高さhは、コア粒子2の直径aの0.003倍以上0.3倍以下であると好ましく、0.004倍以上0.2倍以下であることがより好ましく、0.005倍以上0.1倍以下であることがさらに好ましい。凸部5aの高さが上記範囲であると、異方導電性接着剤に配合される導電粒子として用いられたときに、低い導通抵抗と高い絶縁信頼性とをより一層高いレベルで両立することができる。
近年、COG実装用の異方導電性接着剤には、10μmレベルの狭ピッチでの絶縁信頼性が求められている。絶縁信頼性をさらに向上させるためには、導電粒子を絶縁被覆することが好ましい。本実施形態の絶縁被覆導電粒子によればかかる要求特性を有効に実現することができる。
導電粒子を被覆する絶縁性粒子7としては、有機高分子化合物微粒子、無機酸化物微粒子等が挙げられる。中でも、絶縁信頼性の点では、無機酸化物微粒子が好ましい。また、有機高分子化合物微粒子は、硬さ、粒子直径の調整が容易であり、高い絶縁性と、安定した接続抵抗を両立しやすい。
有機高分子化合物としては、熱軟化性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、フェノキシ樹脂、固形エポキシ樹脂が好適に用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物が好ましく、これらは一種類を単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。無機酸化物微粒子の中でも、水分散コロイダルシリカ(SiO2)は、表面に水酸基を有するたに導電粒子との結合性に優れ、粒子径を揃えやすく、安価であるので特に好適である。このような無機酸化物微粒子の市販品としては、例えば、スノーテックス、スノーテックスUP(日産化学工業株式会社製、商品名)、クオートロンPLシリーズ(扶桑化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
絶縁性粒子の平均粒径は、20〜500nmであることが好ましい。絶縁性子粒子の平均粒径は、例えば、BET法による比表面積換算法、X線小角散乱法で測定される。平均粒径が上記範囲であると、例えば、絶縁性粒子として有機物微粒子を用いた場合に導電粒子に吸着された有機物微粒子が絶縁膜として有効に作用しやすく、また、加圧した際に変形するため、圧着方向の導電性が良好になりやすい。
電気抵抗を下げやすく、電気抵抗の経時的な上昇を抑制しやすい観点から、絶縁性粒子7は、コア粒子2の直径よりも小さく、凸部5aの高さhより大きい直径を有すると好ましい。絶縁性粒子7の直径は、導電粒子10の平均粒径に対して、1/10以下であることが好ましく、1/15以下であることがより好ましい。より良好な絶縁信頼性を得る観点から、絶縁性粒子7の平均粒径は、導電粒子10の平均粒径に対して、1/20以上であることが好ましい。
絶縁性粒子7は、被覆率が20〜70%となるように導電粒子10の表面を被覆することが好ましい。絶縁性と導電性の効果を一層確実に得る観点から、被覆率は、20〜60%であることがより好ましく、25〜60%であることがさらに好ましく、28〜55%であることが特に好ましい。ここでいう被覆率は、導電粒子の正投影面において、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内における絶縁性粒子の表面積の割合を意味する。具体的には、SEMにより、3万倍で導電粒子を観察し、得られるSEM画像をもとに、画像解析により導電粒子表面において絶縁性粒子が占める割合を算出する。
導電粒子の表面を絶縁性粒子で被覆する方法としては、例えば、高分子電解質と絶縁性粒子とを交互に積層する方法が好ましい。より具体的には、(1)導電粒子を高分子電解質溶液に分散し、導電粒子の表面に高分子電解質を吸着させた後、リンスする工程、(2)導電粒子を絶縁性粒子の分散溶液に分散し、導電粒子の表面に絶縁性子粒子を吸着させた後、リンスする工程、を備える製造方法によって、高分子電解質と絶縁性子粒子とが積層された絶縁性子粒子によって表面が被覆された絶縁被覆導電粒子を製造できる。このような方法は、交互積層法(Layer−by−Layer assembly)と呼ばれる。交互積層法は、G.Decherらによって1992年に発表された有機薄膜を形成する方法である(Thin Solid Films,210/211,p831(1992))。
図2は、絶縁導電粒子の別の実施形態を示す断面図である。図2に示される絶縁被覆導電粒子1は、コア粒子2、コア粒子2の表面に点在する微粒子である核3、及びこれらを覆う最外層5を有する導電粒子10と、最外層5の外側表面上に配置された絶縁性粒子7とを備える。
コア粒子2の表面上に配置される微粒子(核)3は、凸部5aの核として機能するため、硬い方が電極に導電層をめり込ませることができて好ましい。微粒子(核)3としては先に絶縁性粒子としてあげた粒子が使用できる。具体的には、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む無機酸化物微粒子が好ましく、これらは一種類を単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。無機酸化物微粒子の中でも、水分散コロイダルシリカ(SiO)は、表面に水酸基を有するたに導電粒子との結合性に優れ、粒子径を揃えやすく、安価であるので特に好適である。このような無機酸化物微粒子の市販品としては、例えば、スノーテックス、スノーテックスUP(日産化学工業株式会社製、商品名)、クオートロンPLシリーズ(扶桑化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
微粒子(核)3の平均粒径が凸部の高さを決定するため、平均粒径のばらつきが少なく、シャープな粒度分布を有するものが好ましい。微粒子(核)3の平均粒径は、コア粒子2の平均直径aの0.001倍以上0.3倍以下であることが好ましく、0.002倍以上0.2倍以下であることがより好ましく、0.003倍以上0.1倍以下であることがさらに好ましい。微粒子(核)3の平均粒径がコア粒子2の平均直径aの0.001倍以下だと、凸部が小さすぎて、導電層を十分に電極にめり込ませることができない可能性がある。一方、核3の平均粒径がコア粒子2の平均直径の0.3倍以上であると、微粒子(核)3をコア粒子2の表面に吸着させることが困難な傾向がある。また、凸部が大きくなりすぎてショート不良が生じ得る。微粒子(核)3の粒径ばらつきはできるだけ小さいことが好ましい。ばらつきが大きいと、凸部の高さのばらつきが大きくなり、ショート不良を起こしやすくなる。具体的には、粒径のばらつきC.V.は30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましく、3%以下が最も好ましい。このC.V.が30%を超えると、ばらつきが大きすぎて、凸部の高さが揃わず、ショート不良を引き起こすリスクが高まる可能性がある。
図3は、絶縁導電粒子の別の実施形態を示す断面図である。図3に示される絶縁被覆導電粒子1は、コア粒子2、コア粒子2の表面上に配置された微粒子(核)3、これらを覆う内側導電層(第一の層)11、及び導電性の最外層5を有する導電粒子10と、最外層5の表面上に配置された絶縁性粒子7とを備える。
内側導電層として第一の層11を設けることで、圧着した際に、導電層の破壊が抑制され、安定した接続抵抗を得られやすく好ましい。第一の層11としては、無電解めっきで形成される金属層が好適に利用される。第一の層11の材質は特に限定されないが、無電解めっきで使用される金属または合金が適用できる。具体的には、ニッケル、銅、パラジウム、金、銀、白金、錫、またこれらの合金などが利用できる。特にニッケルは、実用性が高く好ましい。ニッケルめっき層は、リン又はホウ素を含むことが好ましい。これにより第一の層11の耐腐食性が高まり、高い絶縁性を維持しやすく、さらに第一の層11の硬度を高めることができ、導電粒子が圧縮されたときの電気抵抗値を低く保つことが容易となる。また、第一の層11としてのニッケルめっき層は、リン又はホウ素と共に、共析する他の金属を含んでいてもよい。他の金属としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、マンガン、クロム、バナジウム、モリブデン、パラジウム、錫、タングステン、レニウム、ルテニウム、ロジウム等の金属が挙げられる。これらの金属を第一の層11に含有させることで第一の層11の硬度を高めることができ、導電粒子10を高圧縮して圧着接続する場合に突起が押しつぶされるのを抑制し、より低い電気抵抗値を得ることが可能となる。リン又はホウ素と共に、共析する他の金属の中でも、硬度そのものが高いタングステンが好ましい。この場合、第一の層11におけるニッケルの含有量は、85質量%以上であることが好ましい。
第一の層11を無電解ニッケルめっきにより形成する場合、例えば、還元剤として次亜リン酸ナトリウム等のリン含有化合物を用いることで、リンを共析させることができ、ニッケル−リン合金が含まれる第一の層11を形成することができる。また、還元剤として、例えば、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等のホウ素含有化合物を用いることで、ホウ素を共析させることができ、ニッケル−ホウ素合金が含まれる第一の層11を形成することができる。ニッケル−ホウ素合金はニッケル−リン合金よりも硬度が高いので、導電粒子を高圧縮して圧着接続する場合に突起が押しつぶされるのを抑制し、より低い電気抵抗値を得る観点から、第一の層11はニッケル−ホウ素合金を含むことが好ましい。
本実施形態において、ニッケルを含む第一の層11は、無電解ニッケルめっきにより形成することが好ましい。無電解ニッケルめっき液は、水溶性ニッケル化合物を含むことができ、錯化剤、還元剤、pH調整剤及び界面活性剤から選択される1種以上の化合物をさらに含むことが好ましい。
水溶性ニッケル化合物としては、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル等の水溶性ニッケル無機塩、酢酸ニッケル、リンゴ酸ニッケル等の水溶性ニッケル有機塩を用いることができる。これらの水溶性ニッケル化合物は、一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
水溶性ニッケル化合物の濃度は、0.001〜1mol/Lとすることが好ましく、0.01〜0.3mol/Lとすることがより好ましい。水溶性ニッケル化合物の濃度を上記範囲とすることで、めっき被膜の析出速度を十分に得ながら、めっき液の粘度が高くなりすぎることを抑制してニッケル析出の均一性を高めることができる。
錯化剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸のナトリウム(1−,2−,3−及び4−ナトリウム)塩、エチレンジアミントリ酢酸、ニトロテトラ酢酸及びそのアルカリ塩、グリコン酸、酒石酸、グルコネート、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ピロリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、トリエタノールアミングルコノ(γ)−ラクトンが挙げられるが、錯化剤として機能するものであればよく、これらに限定されない。また、これらの錯化剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
錯化剤の濃度については、その種類によっても異なり、特に制限されないが、通常、0.001〜2mol/Lとすることが好ましく、0.002〜1mol/Lとすることがより好ましい。錯化剤の濃度を上記範囲とすることで、めっき液中の水酸化ニッケルの沈殿及びめっき液の分解を抑制しつつめっき被膜の析出速度が十分に得られ、なおかつ、めっき液の粘度が高くなりすぎることを抑制してニッケル析出の均一性を高めることができる。
還元剤としては、無電解ニッケルめっき液に用いられる公知の還元剤を用いることができ、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の次亜リン酸化合物、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン等の水素化ホウ素化合物、ヒドラジン類が挙げられる。
還元剤の濃度については、その種類によっても異なり、特に制限されないが、通常、0.001〜1mol/Lとすることが好ましく、0.002〜0.5mol/Lとすることがより好ましい。還元剤の濃度を上記範囲とすることで、めっき液中でのニッケルイオンの還元速度を十分に得つつ、めっき液の分解を抑制することができる。
pH調整剤のうち、酸性のpH調製剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄等の鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウム、若しくはこれらを一種以上含む水溶液、又は、クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸等の酸性の6価クロムを含む水溶液が挙げられる。また、アルカリ性のpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有する化合物を一種以上含む溶液が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、又はこれらの混合物を用いることが可能である。
図4は、絶縁導電粒子の別の一実施形態を示す断面図である。図4に示される絶縁被覆導電粒子1は、コア粒子2、コア粒子2の表面を覆う内側導電層(第一の層)11、第一の層11の外側表面上に点在するスパッタ法により形成された核3、及びこれらを覆う導電性の最外層5を有する導電粒子10と、最外層5の外側表面上に配置された絶縁性粒子7とを備える。
導電粒子10が第一の層11を備えることにより、導電層全体の電気抵抗を下げることが可能で、安定した接続抵抗を得ることができる。
第一の層11が金属膜であると、コア粒子2の表面に比べて硬く、スパッタ法による膜が安定して形成されやすい。また、第一の層11が設けられることで、コア粒子2よりも粒子の重さ(体積比重)が大きくなり、バレル内での転動・攪拌の効率が上がり、単粒子になりやすいため、スパッタ法による核の形成、最外層の形成が粒子に対して均一に行われ易い利点がある。
スパッタ層(最外層)は、下地の内側導電層の露出が無いよう連続した膜であることが好ましい。下地の導電層が露出していると耐マイグレーション性が低下する傾向がある。具体的には5nm以上の厚みがあることが好ましく、10nm以上の厚みがより好ましく、15nm以上の厚みがさらに好ましく、20nm以上が最も好ましい。20nm以上 の厚みがあってもその効果は大きく改善しない。スパッタの処理時間が長くなるため、実用的でない。
スパッタ層の厚みや連続性を確認するには、断面を観察する方法がある。断面加工には、エポキシ樹脂で導電粒子を硬化させ、研磨する方法、収束イオンビームで加工する方法を利用することができる。断面は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することができる。スパッタ層の厚みや厚みのばらつきは断面観察から算出する方法がよい。また、スパッタ層の緻密性や下地層の露出具合を評価する方法としては、前述走査型電子顕微鏡で観察する方法のほかに、X線光電子分光装置(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて、最外層の元素比率を算出する方法がある。XPS分析は、金属表面下の数ナノメートルの領域の情報が得られ、また導電粒子を敷き詰めたサンプルを測定することで、多くの粒子の総和として情報が得られるため、断面観察よりも最外層の表面の情報を多く得ることができて好ましい。上記分析で検出された最外層(スパッタ層)表面の元素の存在比(原子%)を算出し、炭素(C)と酸素(O)以外の元素について、最外層を構成する元素の和をX、最外層の直下の層(最外層の内側で最外層に隣接する層)を構成する元素の和をYとして、YをXで除して元素比率(Y/X)を求める。最外層(スパッタ層)を構成する元素は、スパッタターゲットを構成する元素である。また、バレルスパッタ装置に粒子を投入せず、シリコンウエハ基板や銅箔などの評価基材を投入し、スパッタを行い、形成されたスパッタ層を分析することで、元素を特定することもできる。最外層の直下の層を構成する元素を特定する場合は、スパッタ層(最外層)を設ける前の粒子を分析することで、元素を特定できる。分析方法は、エネルギー分散型X線分析(EDX)装置、X線光電子分光装置などで分析できる。これらの分析では、対象表面に吸着した酸素、炭素が検出されるため、各層の構成元素から除外する。特に、導電層の酸化を防ぐために、導電粒子の表面に有機物による防錆処理を施した場合、炭素や酸素が多く検出されるため、本件の構成元素として除外することが好ましい。また、製造上混入が考えられない材料は除いて評価する必要がある。具体的には、還元剤に次亜リン酸塩や水素化ホウ素塩などを用いた無電解ニッケルで作製した層は、ニッケルとリンとホウ素がその構成元素となる。また、還元剤にホルマリンや次亜リン酸塩、水素化ホウ素塩などを用いた無電解銅めっきで作製した層は、銅とリンとホウ素がその構成元素となる。タングステンやモリブデンなどと合金化した際は、これらも構成元素となることはいうまでもない。スパッタターゲットに酸化物を用いた場合であっても、酸素は構成元素から除外する。
元素比率(Y/X)は、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下が特に好ましく、0.1以下が最も好ましい。元素比率が0.4以下であると、最外層の元素比率が高く耐マイグレーション性が高い導電粒子を提供できる。
図5は、絶縁被覆導電粒子の別の実施形態を示す断面図である。図5に示される絶縁被覆導電粒子1は、コア粒子2、コア粒子2の表面上に順に形成された第一の内側導電層(第一の層)11、第一の層11の外側表面上に点在し、無電解めっきによって形成された粒状の核3と、これらを覆う第二の内側導電層(第二の層)12、及び第二の層12を覆う最外層5を有する導電粒子10と、最外層5の表面上に配置された絶縁性粒子7とを備える。
図9は、第一の層11の外側に無電解めっきによって核3が形成され、第二の層12が形成される前の導電粒子のSEM写真である。無電解めっきによって核3を形成することにより、非常に緻密に多くの核を形成できることから、第二の層および最外層を設けても非常に密度が高い凸部が形成でき、安定した接続抵抗を達成できる。内側導電層が、第一の層11及び第二の層11の二層を有する。
図6は、絶縁被覆導電粒子の別の実施形態を示す断面図である。図6に示される絶縁被覆導電粒子1は、コア粒子2、コア粒子2の表面上に形成された第一の内側導電層(第一の層)11、第一の層11の外側表面上に点在し、無電解めっき又はスパッタ法によって形成された核3、これらを覆う第二の内側導電層(第二の層)12、及び第二の層12を覆う最外層5を有する導電粒子10と、最外層4の外側表面上に配置された絶縁性粒子7とを備える。内側導電層が、第一の層11と第二の層11とから構成されることを特徴としている。
図7は、図6の絶縁被覆粒子の拡大断面図である。第一の層11は、ニッケルの比率が高い第一の部分11a、ニッケル−銅合金の割合が高い第二の部分11b、及び銅の割合が高い第三の部分11cから構成されており、これらが内側からこの順で設けられている。銅又はニッケルと銅を含む第一の層11は、97質量%以上の銅を含む層でもよいが、粒子同士の凝集を抑えてピンホールの発生を抑制できる点から、ニッケルと銅を合計で97質量%以上を含む層であることが好ましい。
第一の層11は、ニッケル及び銅を含み、かつ、コア粒子2から遠ざかるにしたがってニッケルに対する銅の元素比率が高くなる部分を有する。この部分は第一の層11の厚さ方向の一部であってコア粒子2のほぼ全体もしくは全体をカバーするように設けられた層であってもよい。言い換えると、ニッケルと銅を含む第一の層11は、上記部分として、ニッケル及び銅を主成分とする層(以下、「Ni−Cu層」ともいう)を少なくとも有し、Ni−Cu層はニッケルに対する銅の元素比率がコア粒子2の表面から遠ざかる方向に高くなる濃度勾配を有してもよい。
Ni−Cu層におけるニッケルの含有率と銅の含有率との合計は97質量%以上であることが好ましく、98.5質量%以上であることがより好ましく、99.5質量%以上であることがさらに好ましい。Ni−Cu層におけるニッケルの含有率と銅の含有率との合計の上限は100質量%である。また、Ni−Cu層におけるニッケルに対する銅の元素比率はコア粒子2の表面から遠ざかる方向に高くなる濃度勾配を有し、この濃度勾配は連続的であることが好ましい。なお、本実施形態における元素比率は、例えば、導電粒子の断面を収束イオンビームで切り出し、40万倍の透過型電子顕微鏡で観察し、透過型電子顕微鏡に付属するEDX(エネルギー分散型X線分光機、日本電子データム株式会社製)による成分分析により、Ni−Cu層(例えば後述の第1の部分、第2の部分及び第3の部分)における元素比率を測定することができる。
ニッケルと銅を含む第一の層4は、Ni−Cu層42を少なくとも有する。Ni−Cu層42は、コア粒子2に近い順に、97重量%以上のニッケルを含有する第1の部分41と、ニッケル及び銅を主成分とする合金を含有する第2の部分42と、銅を主成分とする第3の部分43とが積層された構造からなることが好ましい(図7参照)。
(第1の部分、第2の部分、第3の部分)
第1の部分11aは、97質量%以上のニッケルを含有する。第1の部分11aのニッケルの含有率は、98.5質量%以上であることがより好ましく、99.5質量%以上であることがさらに好ましい。ニッケルが97質量%以上であることで、コア粒子2とニッケルと銅を含む第一の層11との接着性を良好に保つことができる。その結果、導電粒子10を高圧縮して圧着接続する場合に、圧縮後のコア粒子2とニッケルと銅を含む第一の層11との剥がれを抑制することができる。このニッケルの含有率の上限は100質量%である。
第1の部分11aの厚みは、20〜200Å(2〜20nm)の範囲が好ましく、30〜150Å(3〜15nm)の範囲がより好ましく、40〜100Å(4〜10nm)の範囲がさらに好ましい。第1の部分11aの厚みが20Å(2nm)未満であるとめっき時に凝集しやすい傾向があり、200Å(20nm)を超えると、導電粒子を高圧縮して圧着接続する場合に、ニッケルの部分で金属の割れが発生しやすくなる傾向がある。
第2の部分11bは、ニッケル及び銅を主成分とする合金を含有する。第2の部分11bにおける、ニッケルの含有率と銅の含有率との合計は、97質量%以上であることが好ましく、98.5質量%以上であることがより好ましく、99.5質量%以上であることがさらに好ましい。この含有率が97質量%以上であると、導電粒子10を高圧縮して圧着接続する場合に、圧縮後の金属の割れをより抑制することができる。このニッケルの含有率と銅の含有率との合計の上限は100質量%である。
第2の部分11bの厚みは、20〜500Å(2〜50nm)の範囲が好ましく、20〜400Å(2〜40nm)の範囲がより好ましく、20〜200Å(2〜20nm)の範囲がさらに好ましい。第2の部分11bの厚みが20Å(2nm)未満であるとめっき時に凝集しやすい傾向があり、500Å(50nm)を超えると、導電粒子10を高圧縮して圧着接続する場合に、ニッケルの部分で金属割れが発生しやすくなる傾向がある。
第3の部分11cは、銅を主成分とする。第3の部分11cにおける銅の含有率は、97質量%以上であることが好ましく、98.5質量%以上であることが好ましく、99.5質量%以上であることがさらに好ましい。この含有率が97質量%以上であると、導電粒子10を高圧縮して圧着接続する場合に、圧縮後の金属の割れをより抑制することができる。この銅の含有率の上限は100質量%である。
第3の部分11cの厚みは、100〜2000Å(10〜200nm)の範囲が好ましく、200〜1500Å(20〜150nm)の範囲がより好ましく、300〜1000Å(30〜100nm)の範囲がさらに好ましい。第3の部分11cの厚みが100Å(10nm)未満であると、導電性が低下する傾向があり、2000Å(200nm)を超えると、めっき時に導電粒子が凝集しやすくなる傾向がある。
第1の部分11a、第2の部分11b及び第3の部分11cは、いずれもニッケル、銅及びホルムアルデヒドを含む無電解めっきにより形成されたものであることが好ましく、一つの建浴槽における無電解めっき液の中で順次形成されたものであることがより好ましい。一つの建浴槽において複数の層を順次形成することで、それぞれの層間の密着性を良好に保つことができる。
第1の部分11a、第2の部分11b及び第3の部分11cを同一の無電解めっき液により連続的に作製するための無電解めっき液の組成としては、例えば、(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えたものが好ましい。
無電解めっきによりコア粒子2の表面にニッケルと銅を含む第一の層11を形成するためには、例えば、コア粒子2の表面にパラジウム触媒を付与し、その後、無電解めっきを行うことによりめっき被膜を形成するのがよい。第1の部分11a、第2の部分11b及び第3の部分11cを無電解めっきにより形成する具体的な方法としては、例えば、(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えた建浴液に、パラジウム触媒を付与した樹脂粒子を加えることで、第1の部分11a及び第2の部分11bを形成し、その後に(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えた補充液を補充することで、第3の部分11cを形成することが可能である。
(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えた建浴液における、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩の濃度としては、0.0005〜0.05mol/Lが好ましく、0.001〜0.03mol/Lがより好ましく、0.005〜0.02mol/Lがさらに好ましい。(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩の濃度が0.0005mol/Lよりも低い場合、粒子表面のパラジウム触媒上をニッケルめっき膜により覆うことができずに、パラジウム触媒上に銅が析出する箇所が部分的に出てきやすくなり、粒子同士が凝集しやすくなるとともに、粒子の表面の一部に金属が未析出の箇所が発生しやすくなる。(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩の濃度が0.05mol/Lよりも高い場合、ニッケルの濃度が高くなることで液の活性が高まり粒子同士の凝集が発生しやすくなる。
(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、(c)ホルムアルデヒド等の還元剤、(d)ロッシェル塩、EDTA等の錯化剤、及び、(e)水酸化アルカリ等のpH調整剤を加えた建浴液における、(a)硫酸銅等の水溶性銅塩の濃度としては、0.0005〜0.05mol/Lが好ましく、0.001〜0.03mol/Lがより好ましく、0.005〜0.02mol/Lがさらに好ましい。(a)硫酸銅等の水溶性銅塩の濃度が0.0005mol/Lよりも低い場合、第2の部分11b又は第3の部分11cの形成が不均一になる傾向がある。(a)硫酸銅等の水溶性銅塩の濃度が0.05mol/Lよりも高い場合、銅の濃度が高くなることで液の活性が高まり粒子同士の凝集が発生しやすくなる。
無電解めっき液に(a)硫酸銅等の水溶性銅塩、及び、(b)硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩を同時に含ませることで第1の部分11a及び第2の部分11bを同一の無電解めっき液により連続的に作製することができる。この理由としては、次のように考えられる。すなわち、ホルムアルデヒドを還元剤として用いることで、樹脂表面のパラジウム触媒上ではニッケルの方が銅よりも優先的に析出するために第1の部分11aが形成され、その後、第1の部分11aの外側に第2の部分11bが形成される。第2の部分11bの、ニッケルに対する銅の濃度の割合は、第2の部分11bの厚みの成長とともに高くなる傾向がある。パラジウム触媒上ではニッケルが優先的に析出し、パラジウム触媒がニッケルにより被覆されると、ただちに銅の析出も起こるようになるためにニッケル及び銅を主成分とする合金を含有する層(第2の部分11b)が形成され始めると考えられる。そして、めっき被膜(第3の部分11c)の厚みが厚くなるにしたがってパラジウム触媒の影響が薄れていくために、銅の析出がニッケルの析出よりも支配的になり、結果として、コア粒子2側からめっき被膜中の厚さ方向において、銅の割合が高くなると考えられる。
粒子の表面に第1の部分11aを形成した場合、コア粒子2の表面に直接銅めっき層を形成した場合と比較して、コア粒子2同士の凝集を抑制することができる。この理由としては、以下のように考えられる。無電解銅めっきの銅イオンから銅への析出過程は、銅の価数がCu(2価)→Cu(1価)→Cu(0価)へと変化する反応であり、反応中間体として不安定な1価の銅イオンが生成する。この一価の銅イオンが不均化反応を起こすことで、例えばめっき液中にCu(0価)が発生する等し、液の安定性が非常に低くなると考えられる。一方、無電解ニッケルめっきのニッケルイオンからニッケルへの析出過程は、ニッケルの価数がNi(2価)→Ni(0価)へと変化する反応であり、反応中間体として不安定な1価のニッケルイオンの過程を通過しない。したがって、パラジウム触媒表面上での無電解銅めっきと無電解ニッケルめっきとを比較すると、無電解銅めっき液の方が安定性に乏しく反応が激しいために、反応開始と同時に粒子同士の凝集が発生しやすくなる。一方、無電解ニッケルめっきは前述したように、安定性が高く、粒子同士の凝集を抑制してめっき被膜を形成することが可能になると考えられる。
導電粒子10の銅又はニッケルと銅を含む第一の層11に、ニッケルと銅の合計の含有率が97質量%以上のニッケルと銅を含む層よりも、97質量%以上の銅からなる層を用いると、ピンホールが生じやすい原因としては、めっき被膜形成の際に粒子同士が凝集するためであると考えられる。これについて本発明者等は次のように推測する。すなわち、めっきの初期段階で粒子が凝集し、その後に粒子同士が離れた場合、凝集していたところは初期段階でめっきがされなかったため、その後にめっき被膜を成長させてもめっきされることはなく、ピンホールが形成されてしまう。
本実施形態で用いる無電解めっき液の還元剤として、例えば、次亜リン酸ナトリウム、水素化ほう素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン等の還元剤を用いてもよいが、ホルムアルデヒドを単独で使用することが最も好ましい。次亜リン酸ナトリウム、水素化ほう素ナトリウム、ジメチルアミンボラン等を加える場合は、リンやホウ素が共析しやすいため、第1の部分11aにおけるニッケルの含有率を97質量%以上とするためには、濃度を調整することが好ましい。還元剤としてホルムアルデヒドを用いることで、第1の部分11aにおけるニッケルの含有率が99質量%以上のめっき被膜を形成しやすい。この場合、導電粒子10を高圧縮して圧着接続する場合に、圧縮後の金属の割れを抑制することが可能である。一方、第1の部分11aにおけるニッケルの含有率が97質量%よりも低い場合、圧縮後の金属の割れが発生しやすくなる。なお、次亜リン酸ナトリウム、水素化ほう素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン等の還元剤を用いる場合は、これらの少なくとも1種をホルムアルデヒドと併用することが好ましい。
本実施形態で用いる無電解めっき液の錯化剤として、例えば、グリシン等のアミノ酸、エチレンジアミン、アルキルアミン等のアミン類、EDTA、ピロリン酸等の銅錯化剤、クエン酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸などを用いてもよい。
無電解銅めっき終了後の水洗は、短時間に効率よく行うことが望ましい。水洗時間が短いほど、銅表面に酸化被膜ができにくいため、後のめっきが有利になる傾向がある。
<異方導電性接着剤>
本実施形態の異方導電性接着剤は、上述した、本実施形態の導電粒子又は絶縁被覆導電粒子と、接着剤とを含有する。この異方導電性接着剤を、フィルム状に形成してなる異方導電性接着剤フィルムとして用いることが好ましい。
接着剤としては、例えば、熱反応性樹脂と硬化剤との混合物が用いられる。好ましく用いられる接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合物、ラジカル重合性化合物と有機過酸化物との混合物が挙げられる。
また、接着剤としてはペースト状又はフィルム状のものが用いられる。フィルム状にするためには、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を接着剤に配合することが効果的である。
<接続構造体>
図8は、本実施形態の係る接続構造体を示す模式断面図である。図8に示す接続構造体800は、相互に対向する第1の回路部材91及び第2の回路部材92を備えており、第1の回路部材91と第2の回路部材92との間には、これらを接続する接続部100が設けられている。
第1の回路部材91は、回路基板(第1の回路基板)911と、回路基板911上に形成される回路電極(第1の回路電極)912とを備える。第2の回路部材92は、回路基板(第2の回路基板)921と、回路基板921の上に形成される回路電極(第2の回路電極)922とを備える。
回路部材の具体例としては、ICチップ(半導体チップ)、抵抗体チップ、コンデンサチップ、ドライバーIC等のチップ部品、リジット型のパッケージ基板が挙げられる。これらの回路部材は、回路電極を備えており、多数の回路電極を備えているものが一般的である。上記回路部材が接続される、もう一方の回路部材の具体例としては、金属配線を有するフレキシブルテープ基板、フレキシブルプリント配線板、インジウム錫酸化物(ITO)が蒸着されたガラス基板等の配線基板が挙げられる。フィルム状の異方導電性接着剤50によれば、これらの回路部材同士を効率的且つ高い接続信頼性をもって接続することができる。本実施形態の異方導電性接着剤は、微細な回路電極を多数備えるチップ部品の配線基板上へのCOG実装もしくはCOF実装に好適である。
接続部100は、接着剤の硬化物80と、これに分散している絶縁被覆導電粒子1とを備える。なお、図8において、絶縁被覆導電粒子1は絶縁性粒子7の図示を省略している。接続構造体800においては、対向する回路電極912と回路電極922とが、絶縁被覆導電粒子1を介して電気的に接続されている。より具体的には、絶縁被覆導電粒子1にあっては、導電粒子が図8のAの方向に、圧縮により変形し、回路電極912、922の双方に電気的に接続している。他方、図8のB横方向では導電粒子間に絶縁性粒子が介在することで絶縁性が維持される。従って、本実施形態の異方導電性接着剤を用いれば、10μmレベルの狭ピッチでの絶縁信頼性を向上させることが可能となる。また、用途によっては絶縁被覆導電粒子の代わりに絶縁被覆されていない導電粒子を用いることも可能である。
本実施形態の接続構造体800は、第1の回路電極912を有する第1の回路部材91と第2の回路電極922を有する第2の回路部材92とを、第1の回路電極912と第2の回路電極922とが相対向するように配置し、第1の回路部材91と第2の回路部材92との間に本実施形態の異方導電性接着剤を介在させ、加熱及び加圧して第1の回路電極912と第2の回路電極922とを電気的に接続させることにより得られる。第1の回路部材91及び第2の回路部材92は、本実施形態の異方導電性接着剤の硬化物100によって接着される。異方導電性接着剤の硬化物100は接着剤の硬化物80と絶縁被覆導電粒子1を含有する。
<接続構造体の製造方法>
上記接続構造体の製造方法について、図8を参照しながら説明する。本実施形態では、異方導電性接着剤を熱硬化させて接続構造体を製造する。
先ず、上述した第1の回路部材91と、フィルム状の異方導電性接着剤(異方導電性接着剤フィルム)を用意する。異方導電性接着剤フィルムは、上記のように絶縁被覆導電粒子を絶縁性の接着剤に含有してなるものである。
異方導電性接着剤フィルムを第1の回路部材91の回路電極912が形成されている面上に載せる。
次いで、第1の回路電極912と第2の回路電極922とが相対向するようにして、第2の回路部材92を異方導電性接着剤フィルム上に載せる。そして、異方導電性接着剤フィルムを加熱しながら、矢印A方向に全体を加圧する。
異方導電性接着剤フィルムの硬化により図8に示すような接続構造体800が得られる。本実施形態では、異方導電性接着剤はフィルム状であったが、ペースト状であってもよい。
上記の接続構造を有する接続構造体としては、例えば、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯製品が挙げられる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)導電粒子の作製
平均粒径3.0μmの架橋アクリル粒子を4g準備した。内部にTiOターゲットを備えたドラム(バレル)にアクリル粒子(架橋アクリル粒子)を投入し、バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、バレルを回転・反転させてアクリル粒子を転動、攪拌した。さらに、アクリル粒子に直接振動を加えてアクリル粒子の凝集を抑制しながら、スパッタを行った。ヒータによるバレルの加熱と、アクリル粒子へのスパッタの照射を間欠的に行い、アクリル粒子表面に高さ50nmのTiOの核を点在させた。続けて、ターゲットをAuに変更し、バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、前述同様にバレルを回転・反転して、表面にTiOの核が点在したアクリル粒子の凝集を抑制させながら、今度は連続的にスパッタを行い、厚さ20nmの連続したスパッタ層を形成した。バレル内を大気圧に戻し、TiOの核に由来する複数の凸部を表面に有するスパッタ層を最外層として有する導電粒子を取り出した。
(2)絶縁被覆導電粒子の作製
分子量70000のポリエチレンイミンの30質量%水溶液(和光純薬工業株式会社製)を、超純水で0.3質量%まで希釈した。この0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液300mLに上記で得た導電粒子200gを加え、室温で15分間攪拌した。φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により、表面にポリエチレンが付着した導電粒子を取出した。取り出された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分間攪拌した。さらに、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、メンブレンフィルタ上の導電粒子を200gの超純水で2回洗浄して、吸着していないポリエチレンイミンを除去した。
次いで、絶縁性粒子としてφ300nmのアクリル粒子分散液を超純水で希釈して、0.1質量%アクリル粒子分散液を得た。そこに、ポリエチレンイミンによって処理された導電粒子を200g入れて、室温で15分間攪拌した。φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により、アクリル粒子がさらに付着した導電粒子を取出した。取り出された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分間攪拌した。さらに、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、メンブレンフィルタ上の導電粒子を200gの超純水で2回洗浄して、吸着していないアクリル粒子を除去し、アクリル粒子が表面に吸着した絶縁被覆導電粒子を得た。
得られた絶縁被覆導電粒子の表面に、分子量3000のシリコーンオリゴマーであるSC6000(日立化成株式会社製、商品名)を付着させて、絶縁被覆導電粒子の表面を疎水化した。疎水化後の絶縁被覆導電粒子を80℃で30分間、120℃で1時間の順に、加熱により乾燥して、疎水化された絶縁被覆導電粒子を得た。SEM画像を画像解析することで絶縁被覆微粒子であるアクリル粒子による導電粒子表面の平均被覆率を測定したところ、約35%であった。
(3)異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名「PKHC」)100gと、アクリルゴム(ブチルアクリレート40質量部、エチルアクリレート30質量部、アクリロニトリル30質量部、グリシジルメタクリレート3質量部の共重合体、分子量:85万)75gとを、酢酸エチル400gに溶解し、溶液を得た。この溶液に、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂組成物(エポキシ当量185、旭化成エポキシ株式会社製、商品名「ノバキュアHX−3941」)300gを加え、撹拌して接着剤溶液を得た。
この接着剤溶液に、上記で得た絶縁被覆粒子を分散させて、接着剤溶液の全量を基準として9体積%の絶縁被覆粒子を含む分散液を得た。得られた分散液を、セパレータ(シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータを用いて塗布し、塗膜を90℃で10分間の加熱により乾燥して、厚み25μmの異方導電性接着フィルムをセパレータ上に形成させた。
次に、作製した異方導電性接着フィルムを用いて、金バンプ(面積:30×90μm、スペース10μm、高さ:15μm、バンブ数362)付きチップ(1.7×1.7mm、厚み:0.5μm)と、IZO回路付きガラス基板(厚み:0.7mm)との接続を、以下に示すi)〜iii)の手順に従って行い、接続構造体を得た。
i)異方導電性接着フィルム(2×19mm)をIZO回路付きガラス基板に、80℃、0.98MPa(10kgf/cm)で貼り付けた。
ii)セパレータを剥離し、チップのバンプとIZO回路付きガラス基板の位置合わせを行った。
iii)190℃、40gf/バンプ、10秒の条件でチップ上方から加熱及び加圧を行い、本接続を行った。
(4)接続構造体の評価
得られた接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を以下のように行った。評価の手順は他の実施例、比較例でも同様である。
(導通抵抗試験)
チップ電極(バンプ)/ガラス電極(IZO)間の導通抵抗に関しては、導通抵抗の初期値と吸湿耐熱試験(温度85℃、湿度85%の条件で100、300、500、1000、2000時間放置)後の値を、20サンプルについて測定し、それらの平均値を算出した。得られた平均値から下記基準に従って導通抵抗を評価した。結果を表1に示す。なお、吸湿耐熱試験500時間後に、下記A又はBの基準を満たす場合は導通抵抗が良好といえる。
A:導通抵抗の平均値が2Ω未満
B:導通抵抗の平均値が2Ω以上5Ω未満
C:導通抵抗の平均値が5Ω以上10Ω未満
D:導通抵抗の平均値が10Ω以上20Ω未満
E:導通抵抗の平均値が20Ω以上
(絶縁抵抗試験)
チップ電極間の絶縁抵抗に関しては、絶縁抵抗の初期値とマイグレーション試験(温度60℃、湿度90%、20V印加の条件で100、300、500、1000時間放置)後の値を、20サンプルについて測定し、全20サンプル中、絶縁抵抗値が10Ω以上となるサンプルの割合を算出した。得られた割合から下記基準に従って絶縁抵抗を評価した。結果を表1に示す。なお、吸湿耐熱試験500時間後に、下記A又はBの基準を満たした場合は絶縁抵抗が良好といえる。
A:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が100%
B:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が90%以上100%未満
C:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が80%以上90%未満
D:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が50%以上80%未満
E:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が50%未満
(実施例2〜12)
アクリル粒子表面にスパッタによってTiOの核を点在させた後、表1に示す最外層の金属種にターゲットを変更したこと以外は、実施例1と同様にして、表1に示す材料のスパッタ層を有する実施例2〜12の導電粒子を作製した。作製した導電粒子は、表面に形成された凸部を有していた。続いて、実施例1と同様にして、導電粒子表面にアクリル絶縁粒子を配置した絶縁性導電粒子を作製し、これを用いて接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例16)
(1)導電粒子の作製
平均粒径3.0μmの架橋アクリル粒子を4g準備した。分子量70000の30質量%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬工業株式会社製)を、超純水で0.3質量%まで希釈した。この0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液300mLに上記アクリル粒子4gを加え、室温で15分攪拌した。φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取り出し、取り出されたアクリル粒子を超純水300gに入れて室温で5分攪拌した。次いでφ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取り出し、メンブレンフィルタ上のアクリル粒子を200gの超純水で2回洗浄し、吸着していないポリエチレンイミンを除去して、ポリエチレンイミンが吸着したアクリル粒子を得た。
芯材(凸部の核)として、平均粒子径100nmのコロイダルシリカ分散液を超純水で希釈して、0.33質量%のシリカ粒子分散液(シリカ総量:1g)を得た。そこに、ポリエチレンイミンが吸着した上記アクリル粒子を入れ、室温で15分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取り出した。シリカ粒子が吸着したアクリル粒子を、超純水200gに入れて室温で5分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取り出し、メンブレンフィルタ上のアクリル粒子を200gの超純水で2回洗浄した。洗浄後のアクリル粒子を80℃で30分、120℃で1時間の順に加熱することにより乾燥して、表面に核としてシリカ粒子が吸着した複合粒子を得た。
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記複合粒子を投入し、Auのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、バレルを回転・反転させて複合粒子を転動、攪拌した。さらに、複合粒子に直接振動を加えて、複合粒子の凝集を抑制した。スパッタを行い、厚さ50nmの連続したスパッタ層を形成した。バレル内を大気圧に戻し、最外層としてスパッタ層を有する導電粒子を取り出した。スパッタ層は、シリカ粒子の核に由来する複数の凸部を有していた。
(2)絶縁被覆導電粒子の作製
得られた導電粒子を用いたこと以外は実施例1同様にして、導電粒子の表面に平均粒径300nmのアクリル粒子を配置した絶縁被覆導電粒子を得た。
(3)接続構造体の作製と評価
得られた絶縁被覆導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例17〜27)
スパッタのターゲットをそれぞれ表1に示す最外層の金属種に変更したこと意外は、実施例16と同様にして、スパッタ層を最外層として有する実施例17〜27の導電粒子を作製した。作製した導電粒子は、表面に核に由来する形状の凸部を有していた。続いて、実施例1と同様にして、導電粒子表面に、アクリル絶縁粒子を配置した絶縁性導電粒子を作成した。さらに、得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例31)
(1)導電粒子の作製
平均粒径3.0μmの架橋アクリル粒子を4g準備した。分子量70000の30質量%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬工業株式会社製)を、超純水で0.3質量%まで希釈した。この0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液300mLに上記アクリル粒子4gを加え、室温で15分攪拌した。φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取り出し、取り出されたアクリル粒子を超純水300gに入れて室温で5分攪拌した。次いでφ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取り出し、メンブレンフィルタ上のアクリル粒子を200gの超純水で2回洗浄し、吸着していないポリエチレンイミンを除去して、ポリエチレンイミンが吸着したアクリル粒子を得た。
芯材(凸部の核)として、平均粒子径100nmのコロイダルシリカ分散液を超純水で希釈して、0.33質量%のシリカ粒子分散液(シリカ総量:1g)を得た。そこにポリエチレンイミンが吸着した上記アクリル粒子を入れ、室温で15分攪拌した。その後φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取り出した。シリカ粒子が吸着したアクリル粒子を超純水200gに入れて室温で5分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取り出し、メンブレンフィルタ上のアクリル粒子を200gの超純水で2回洗浄した。洗浄後のアクリル粒子を80℃で30分、120℃で1時間の順に加熱することにより乾燥して、表面に核としてシリカ粒子が吸着した複合粒子を得た。
得られた複合粒子4gを、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を15分間照射した後、パラジウム触媒であるアトテックネオガント834(アトテックジャパン株式会社製:商品名)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加して、超音波を照射しながら30℃で30分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により複合粒子を取出し、取り出された複合粒子を水洗した。水洗後の複合粒子を、pH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に添加して、複合粒子の表面を活性化させた。
表面が活性化された複合粒子4.0gを、70℃に加温した水1000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加し、次いで、下記組成の第一の層形成用無電解ニッケルめっき液100mLを、5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、分散液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表2に示す80nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜である第一の層を有する粒子(母粒子)を形成した。得られた母粒子は6gであった。得られた母粒子は、表面に凸部を有していた。
第一の層形成用無電解ニッケルめっき液:
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・150g/L
酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・・・・120g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・・・・・1mL/L
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記母粒子を投入し、Auのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、アルゴンを1%になるように一定流速でバレル内に流した。その後、母粒子が転動、攪拌されるようにバレルを回転させ、ターゲットに電圧を印加し、母粒子の表面にスパッタ層を形成した。スパッタ層が20nmになるまでスパッタを行った後、真空容器内を大気圧に戻し、スパッタ層を有する導電粒子を取り出した。作製した導電粒子は、表面に凸部を有していた。続いて、実施例1と同様にして絶縁性導電粒子を作製した。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例32〜42)
ターゲットを表2に示す金属種に変更したこと以外は実施例31と同様にして、実施例32〜42のスパッタ層を有する導電粒子、及び絶縁性導電粒子を作製した。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例43)
(1)導電粒子の作製
実施例1と同様の方法により、表面に高さ50nmのTiOの核が点在したアクリル粒子を4g得た。得られたアクリル粒子4gを、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を15分間照射した後、パラジウム触媒であるアトテックネオガント834(アトテックジャパン株式会社製:商品名)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加して、超音波を照射しながら30℃で30分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取出し、取り出されたアクリル粒子を水洗した。水洗後のアクリル粒子を、pH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に添加し、アクリル粒子の表面を活性化させた。
表面が活性化されたアクリル粒子4.0gを、70℃に加温した水1000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加し、次いで、下記組成の第一の層形成用無電解ニッケルめっき液100mLを、5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表2に示す80nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜を第1の層として有する母粒子を得た。得られた母粒子は6gであった。得られた母粒子は、表面に凸部を有していた。
第一の層形成用無電解ニッケルめっき液:
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・150g/L
酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・・・・120g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・・・・・1mL/L
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記母粒子を投入し、Auのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、バレルを回転・反転させて母粒子46を転動、攪拌した。さらに、母粒子に直接振動を加えて、母粒子の凝集を抑制した。その後、ターゲットに電圧を印加し、母粒子の表面にスパッタ層を形成した。スパッタ層が20nmになるまでスパッタを行った後、バレル内を大気圧に戻し、スパッタ層を有する導電粒子を取り出した。
得られた導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例44〜54)
スパッタのターゲットをそれぞれ表2に示す最外層の金属種に変更したこと以外は実施例43と同様にして、ニッケル−リン合金被膜(第一の層)と、その表面上に形成されたスパッタ層とを有する導電粒子を作製した。作製した導電粒子は、表面に凸部を有していた。続いて、得られた導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性導電粒子を作製した。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例1)
実施例31と同様の方法により、第一の層(ニッケル膜)を最外層として有する導電粒子を得た。この導電粒子の表面に、実施例1と同様の手順で平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例2)
実施例31と同様の方法により、第一の層(ニッケル膜)を最外層として有する導電粒子を得た。0.03mol/Lのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、0.04mol/Lのクエン酸三ナトリウム及び0.01mol/Lのシアン化金カリウムを含み、水酸化ナトリウムでpH6に調整されためっき液を準備した。このめっき液を用いて、得られた導電粒子に対して、液温60℃の条件で厚さが平均20nmとなるまで置換金めっき処理を行った。濾過後、100mLの純水を用いて60秒洗浄し、ニッケル膜の外側に形成された厚さ20nmの金膜を有する導電粒子を得た。さらに、得られた導電粒子を用いて、実施例1と同様の手順で、平均粒径300nmのアクリル粒子を表面に配置した絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例3)
実施例43と同様の方法により、第一の層(ニッケル膜)を最外層として有する導電粒子を得た。得られた導電粒子の表面に、実施例1と同様の手順で平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例4)
実施例43と同様の方法により、第一の層(ニッケル膜)を最外層として有する導電粒子を得た。0.03mol/Lのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、0.04mol/Lのクエン酸三ナトリウム及び0.01mol/Lのシアン化金カリウムを含み、水酸化ナトリウムでpH6に調整されためっき液を準備した。このめっき液を用いて、得られた導電粒子に対して、液温60℃の条件で厚さが平均20nmとなるまで置換金めっき処理を行った。濾過後、100mLの純水を用いて60秒洗浄し、ニッケル膜の外側に形成された厚さ20nmの金膜を有する導電粒子を得た。得られた導電粒子の表面に、実施例1と同様の手順で平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例5)
TiOの核が点在したアクリル粒子に代えて、核が設けられていないアクリル粒子を用いたこと以外は比較例4と同様にして、導電粒子及び絶縁被覆粒子を作製した。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例6)
(1)導電粒子の作製
平均粒径3.0μmの架橋アクリル粒子を4g準備した。このアクリル粒子4gを、40℃の5質量%水酸化ナトリウム水溶液に入れ、共振周波数28kHzの超音波を照射することで分散し、アクリル粒子表面を調整した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取出し、取り出されたアクリル粒子を2回水洗した。次に、アクリル粒子を20mlの水に入れ、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を15分間照射した後、パラジウム触媒であるアトテックネオガント834(アトテックジャパン株式会社製:商品名)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加して、超音波を照射しながら30℃で30分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過によりアクリル粒子を取出し、取り出されたアクリル粒子を水洗した。水洗後のアクリル粒子を、pH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に添加し、アクリル粒子の表面を活性化させた。
表面が活性化されたアクリル粒子4.0gを、70℃に加温した水1000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加し、次いで、下記組成の第一の層形成用無電解ニッケルめっき液100mLを、5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表3に示す80nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜を第一の層として形成して、母粒子を得た。得られた母粒子は6gであった。得られた母粒子の表面は平滑であった。
第一の層形成用無電解ニッケルめっき液:
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・150g/L
酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・・・・120g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・・・・・1mL/L
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記母粒子を投入し、Auのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、バレルを回転・反転させて母粒子を転動、攪拌した。さらに、母粒子に直接振動を加えて、母粒子の凝集を抑制した。スパッタを行い、厚さ20nmの連続したスパッタ層を形成した。バレル内を大気圧に戻し、凸部を有するスパッタ層を有する導電粒子を取り出した。
得られた導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子の表面に平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例7〜17)
スパッタのターゲットをそれぞれ表3に示す最外層の金属種に変更したこと以外は、比較例7と同様にして、比較例7〜17のスパッタ層を有する導電粒子を作製した。作製した導電粒子は、表面に凸部を有していた。続いて、実施例1と同様にして、導電粒子表面にアクリル絶縁粒子を配置して、絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
実施例1〜54と比較例1〜17の結果を表1、2及び3に示す。実施例1〜54はいずれも、吸湿耐熱試験後においても優れた導通信頼性と絶縁信頼性を示した。特に、導電粒子が凸部を有するスパッタ層を有している実施例1〜54は、表面に凸部を有しない比較例6〜17よりも、吸湿耐熱試験後の導通信頼性がより安定していることが確認された。表面の凸部により、導電粒子の導電性部分が電極に十分にめり込み、また電極と導電性部分との間から樹脂がより確実に排除されて、安定した接続抵抗が得られたと推定される。また、実施例31、43と比較例2、4とを比較すると、最外層が置換めっきでなくスパッタにより形成されていることで、特に絶縁信頼性が改善されることも確認できる。置換めっきが施された導電粒子の比較例2、4及び5は、置換めっきを施さなかった場合と比較して、吸湿耐熱試験後の絶縁信頼性がやや低下する傾向が見られた。これは、置換めっきによる無電解ニッケルめっき層のダメージがあったためと推定される。
(実施例55)
(1)導電粒子の作製
比較例6と同様の方法により、ニッケル−リン合金皮膜を有する母粒子を準備した。
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記母粒子を投入し、TiOのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、バレルを回転・反転させて母粒子を転動、攪拌した。さらに、母粒子に直接振動を加えて、母粒子の凝集を抑制した。その後、バレルの加熱とスパッタを間欠的に行い、母粒子表面に高さ50nmのTiOの核を点在させた。続いて、ターゲットをAuに変更し、バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、前述同様にバレルを回転・反転して、表面にTiO2の核が点在した母粒子の凝集を抑制させながら、今度は連続的にスパッタを行い、厚さ20nmの連続したスパッタ層(最外層)を形成した。バレル内を大気圧に戻し、凸部を有するスパッタ層(最外層)を有する導電粒子を取り出した。
その後は、実施例1と同様にして、平均粒径300nmのアクリル粒子を表面に配置した絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例56〜66)
母粒子の表面にTiOの核を点在させた後、最外層を形成する際に、スパッタのターゲットを表4に示す最外層の金属種に変更したこと以外は、実施例55と同様にして、実施例56〜66のスパッタ層(最外層)を有する導電粒子を作製した。作製した導電粒子は、表面に凸部を有していた。続いて、実施例1と同様にして、導電粒子表面に、アクリル絶縁粒子を配置して、絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例67)
導電粒子の作製
工程A(前処理工程)
平均粒径3.0μmの架橋アクリル粒子4gを、パラジウム触媒であるアトテックネオガント834(アトテックジャパン株式会社製、商品名)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加し、30℃で30分間攪拌した。その後、パラジウム触媒化液をφ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア株式会社製)で濾過し、水洗を行うことで、コア粒子としてのアクリル粒子を得た。その後、アクリル粒子をpH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に添加し、表面が活性化されたアクリル粒子を得た。その後、20mLの蒸留水に、表面が活性化されたアクリル粒子を浸漬し、超音波分散することで、アクリル粒子分散液を得た。
工程B(第一の層の形成)
上記で得たアクリル粒子分散液を80℃に加温した水1000mLで希釈し、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加した。次いで、アクリル粒子を4g含んだ分散液に、下記組成の第一の層形成用無電解ニッケルめっき液160mLを、5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表4に示す80nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜を第一の層として形成した。得られた第一の層を最外層として有する粒子は8gであった。
第一の層形成用無電解ニッケルめっき液:
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・150g/L
クエン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・120g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・・・・・1mL/L
工程C(パラジウムを含む粒の形成)
次に、下記組成の無電解パラジウムめっき液1Lに、上記第一の層を最外層として有する粒子8gを浸漬し、該粒子の表面上にパラジウムを含む粒を凸部を形成するための核として形成した。反応時間は10分間、温度は60℃にて処理を行なった。
無電解パラジウムめっき液:
塩化パラジウム・・・・・・・・・・・・・・・0.07g/L
エチレンジアミン・・・・・・・・・・・・・・0.05g/L
ギ酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・0.2g/L
酒石酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.11g/L
pH・・・・・・・・・・・・7
工程D(第二の層の形成)
工程Cで得た粒子8.1gを、水洗及び濾過した後、70℃に加温した水1000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加し、次いで、下記組成の第二の層形成用無電解ニッケルめっき液100mLを、5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、分散液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表4に示す80nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜を第二の層として有する母粒子12gを得た。
第二の層形成用無電解ニッケルめっき液:
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・150g/L
酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・・・・120g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・・・・・1mL/L
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記母粒子を投入し、Auのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、バレルを回転・反転させて母粒子を転動、攪拌した。さらに、母粒子に直接振動を加えて、母粒子の凝集を抑制した。スパッタを行い、厚さ20nmの連続したスパッタ層を形成した。バレル内を大気圧に戻し、表面に凸部を有するスパッタ層を有する導電粒子を取り出した。
得られた導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子の表面に平均粒径300nmのアクリル粒子を配置した絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例68〜78)
スパッタのターゲットをそれぞれ表4に示す最外層の金属種に変更したこと以外は、実施例67と同様にして、実施例68〜78のスパッタ層(最外層)を有する導電粒子を作製した。作製した導電粒子は、表面に凸部を有していた。続いて、実施例1と同様にして、導電粒子表面に、アクリル絶縁粒子を配置した絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例18)
実施例55と同様の方法により、ニッケル−リン合金皮膜(第一の層)の上に高さ50nmのTiOの核を点在させた母粒子(導電粒子)を得た。この母粒子の表面に、実施例1と同様の手順で平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例19)
TiOターゲットの代わりにAuターゲットを用いたこと以外は実施例55と同様にして、ニッケル−リン合金皮膜の上に高さ50nmのAuの核を点在させた母粒子を得た。こ母粒子の表面に、実施例1と同様の手順で平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例20)
実施例67と同様の方法により、ニッケル−リン合金被膜を第二の層として有する母粒子を得た。0.03mol/Lのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、0.04mol/Lのクエン酸三ナトリウム及び0.01mol/Lのシアン化金カリウムを含み、水酸化ナトリウムでpH6に調整されためっき液を準備した。このめっき液を用いて、得られた母粒子に対して、液温60℃の条件で厚さが平均20nmとなるまで置換金めっき処理を行った。濾過後、100mLの純水を用いて60秒洗浄し、ニッケル膜の外側に形成された厚さ20nmの金膜(第二の層)を有する導電粒子を得た。さらに、得られた導電粒子の表面に、実施例1と同様の手順で平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
実施例55〜78、比較例18〜20の結果を表4に示す。最外層に凸部を有するスパッタ層を設けた実施例55〜78はいずれも吸湿耐熱試験後においても優れた導通信頼性と絶縁信頼性を示した。実施例55〜78は、比較例20よりも特に絶縁信頼性が優れることが分かった。比較例19は、接続信頼性が充分でなかった。これは、粒子の表面に点在するAuがやわらかいために、十分に電極にめり込まなかったことが原因と推定される。
(実施例79)
工程A(前処理工程)
平均粒径3.0μmの架橋アクリル粒子4gを、パラジウム触媒であるアトテックネオガント834(アトテックジャパン株式会社製、商品名)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加し、30℃で30分間攪拌した後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア株式会社製)で濾過し、取り出したアクリル粒子を水洗した。その後、アクリル粒子をpH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に添加し、アクリル粒子の表面を活性化させた。その後、20mLの蒸留水に、表面が活性化されたアクリル粒子を浸漬し、超音波分散することで、アクリル粒子分散液を得た。
工程B(第一の層(第1の部分、第2の部分及び第3の部分)の形成)
40℃に加温した下記の組成を有する2Lの建浴液に、工程Aで前処理されたアクリル粒子を加えて、97重量%以上のニッケルを含有する第1の部分のめっき膜、及び、ニッケル及び銅を主成分とする合金を含有する第2の部分のめっき膜を形成した。さらに、添加法により下記組成のニッケルを含有しない補充液A及び補充液Bをそれぞれ1860mL準備し、20mL/minの速度で連続的に滴下し、銅を主成分とする第3の部分のめっき層を形成した。これにより、第1の部分、第2の部分および第3の部分から構成される第1の層を有する粒子を得た。各部分の厚みを表5に示す。得られた粒子は8gであった。
建浴液:
CuSO・5HO:0.03mol/L
NiSO・6HO:0.005mol/L
HCHO(ホルムアルデヒド):0.2mol/L
NaCN:0.0001mol/L
EDTA・4Na:0.2mol/L
NaOH:0.3mol/L
pH:12.7
補充液A:
CuSO4・5H2O:0.8mol/L
HCHO:1mol/L
NaCN:0.001mol/L
補充液B:
EDTA・4Na:1mol/L
NaOH:1mol/L
工程C(パラジウムを含む粒の形成)
工程Bで得られた粒子(4g)を、下記組成の無電解パラジウムめっき液1Lに浸漬し、該粒子の表面上にパラジウムを含む粒を形成した。反応時間は10分間、温度は60℃にて処理を行なった。パラジウムを含む粒を有する粒子は4.05gであった。
無電解パラジウムめっき液:
塩化パラジウム・・・・・・・・・・・・・・・0.07g/L
エチレンジアミン・・・・・・・・・・・・・・0.05g/L
ギ酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・0.2g/L
酒石酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.11g/L
pH・・・・・・・・・・・・7
工程D(第二の層(第五の部分)の形成)
工程Cで得た粒子全量(4.05g)を、水洗及び濾過した後、70℃に加温した水1000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加し、次いで、下記組成の第二の層(第五の部分)形成用無電解ニッケルめっき液50mLを、5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表5に示す40nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜を第二の層(第五の部分)として有する母粒子を形成した。得られた母粒子は6gであった。
第二の層(第五の部分)形成用無電解ニッケルめっき液
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・・・・150g/L
酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・・・・120g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・・・・・1mL/L
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記母粒子を投入し、Auのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、バレルを回転・反転させて母粒子を転動、攪拌した。さらに、母粒子に直接振動を加えて、母粒子の凝集を抑制した。スパッタを行い、厚さ20nmの連続したスパッタ層を形成した。バレル内を大気圧に戻し、表面に凸部を有するスパッタ層を有する導電粒子を取り出した。
得られた導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子の表面に平均粒径300nmのアクリル粒子を配置した絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例80〜90)
スパッタのターゲットをそれぞれ表5に示す最外層の金属種に変更したこと以外は、実施例79と同様にして、実施例80〜90のスパッタ層を有する導電粒子を作製した。作製した導電粒子は、表面に凸部を有していた。続いて、実施例1と同様にして、導電粒子表面にアクリル絶縁粒子を配置した絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例91)
アクリル粒子を平均粒径3.0μmのシリカ粒子に変更したこと以外は、実施例79と同様にして、凸部を有するAuスパッタ層を有する導電粒子を作製した。得られた導電粒子表面に、実施例1と同様にして、アクリル絶縁粒子を配置して、絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例92)
アクリル粒子を平均粒径3.0μmのシリカ粒子に変更し、ターゲットをPdターゲットに変更したこと以外は実施例79と同様にして、凸部を有するPdスパッタ層を有する導電粒子を作製した。得られた導電粒子表面に、実施例1と同様にして、アクリル絶縁粒子を配置して、絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例93)
アクリル粒子を平均粒径3.0μmのシリカ粒子に変更し、ターゲットをWターゲットに変更したこと以外は実施例79と同様にして、凸部を有するWスパッタ層を有する導電粒子を作製した。得られた導電粒子表面に、実施例1と同様にして、アクリル絶縁粒子を配置して、絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例94)
実施例79の工程Aと工程Bを行い、Ni及びCuを含む第一の層を最外層として有する粒子を得た。
工程E(TiOの核の形成)
バレルスパッタ装置のバレル内に、第一の層を有する上記粒子を投入し、TiOのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、バレルを回転・反転させて粒子を転動、攪拌した。さらに、粒子に直接振動を加えて、粒子の凝集を抑制した。その後、バレルの加熱とスパッタを間欠的に行い、第一の層の表面に高さ50nmのTiOの核を点在させた。
続いて、TiOの核を有する粒子を、パラジウム触媒であるアトテックネオガント834(アトテックジャパン株式会社製、商品名)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加し、30℃で30分間攪拌した後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア株式会社製)で濾過し、水洗を行った。その後、粒子をpH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に添加し、粒子の表面を活性化させた。その後、20mLの蒸留水に、表面が活性化された粒子を浸漬し、超音波分散することで、粒子分散液を得た。
続いて、実施例79の工程Dを行い、凸部を有する第二の層を有する母粒子を6g得た。
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記母粒子を投入し、Auのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、バレル内が1Paになるようアルゴンを一定流速で流した。その後、バレルを回転・反転させて母粒子を転動、攪拌した。さらに、母粒子に直接振動を加えて、母粒子の凝集を抑制した。スパッタを行い、厚さ20nmの連続したスパッタ層を形成した。バレル内を大気圧に戻し、凸部を有するスパッタ層を有する導電粒子を取り出した。
得られた導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子の表面に平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例95〜105)
スパッタのターゲットをそれぞれ表6に示す最外層の金属種に変更したこと以外は、実施例94と同様にして、実施例95〜105のスパッタ層を有する導電粒子を作製した。作製した導電粒子は、表面に凸部を有していた。続いて、実施例1と同様にして、導電粒子表面に、アクリル絶縁粒子を配置して、絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例21)
実施例79と同様の方法により、第一の層及び第二の層を有する母粒子(導電粒子)を得た。この導電粒子の表面に平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例22)
実施例79と同様の方法により、第一の層及び第二の層を有する母粒子(導電粒子)を得た。0.03mol/Lのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、0.04mol/Lのクエン酸三ナトリウム及び0.01mol/Lのシアン化金カリウムを含み、水酸化ナトリウムでpH6に調整されためっき液を準備した。このめっき液を用いて、上記母粒子に対して、液温60℃の条件で厚さが平均20nmとなるまで置換金めっき処理を行った。濾過後、100mLの純水を用いて60秒洗浄し、ニッケル膜の外側に形成された厚さ20nmの金膜を有する導電粒子を得た。さらに、得られた導電粒子の表面に、実施例1と同様の手順で平均粒径300nmのアクリル粒子を配置して、絶縁被覆導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
実施例79〜102、比較例21、22の結果を表5、6に示す。最外層にスパッタ層を有する導電粒子の実施例79〜105は、いずれも吸湿耐熱試験後においても優れた導通信頼性と絶縁信頼性を示した。特に、Auスパッタ層を有する実施例79は、無電解めっきによるAu膜を有する比較例22と比較して、吸湿耐熱試験後の絶縁信頼性がより安定していた。置換めっきが施された比較例22は、置換めっきを施さなかった比較例21と比較して吸湿耐熱試験後の絶縁信頼性がやや低下する傾向が見られた。これは、置換めっきによる無電解ニッケルめっき層のダメージがあったためと推定される。
(実施例103〜110)
実施例31と同様の方法で、アクリル粒子表面を覆うSiO2微粒子、及び第一の層としての80nmの無電解Niめっき層を有する母粒子を得た。
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記母粒子を投入し、Auのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、アルゴンを1%になるように一定流速でバレル内に流した。その後、母粒子が転動、攪拌されるようにバレルを回転させ、ターゲットに電圧を印加し、母粒子の表面にスパッタ層を形成した。スパッタの処理時間を調整して、表8に示す厚みのAuスパッタ層が形成されるまでスパッタを行い、実施例106〜113の導電粒子を得た。作製した導電粒子は、表面に凸部を有していた。得られた導電粒子の表面に、実施例1と同様にして、アクリル絶縁粒子を配置し、絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(実施例111、112)
実施例31と同様の方法で、アクリル粒子表面を覆うSiO2微粒子、及び第一の層としての80nmの無電解Niめっき層を有する母粒子を得た。
スパッタ層の形成
バレルスパッタ装置のバレル内に、上記母粒子を投入し、Auのターゲットを設置した。バレル内を1×10−4Pa以下に減圧した後、アルゴンを1%になるように一定流速でバレル内に流した。その後、母粒子が転動、攪拌されるようにバレルを回転させ、ターゲットに電圧を印加し、母粒子の表面に均一なスパッタ層を形成した。その後、一旦バレルの回転をとめたままスパッタを実施した後、再びバレルを回転させ、粒子を転動・攪拌し実施例114と115の導電粒子を得た。作製した導電粒子は、表面に凸部を有していた。得られた導電粒子の表面に、実施例1同様にしてアクリル絶縁粒子を配置し、絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
(比較例23〜26)
実施例31と同様の方法で、アクリル粒子表面を覆うSiO2微粒子、及び第一の層としての80nmの無電解Niめっき層を有する母粒子を得た。
0.03mol/Lのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、0.04mol/Lのクエン酸三ナトリウム及び0.01mol/Lのシアン化金カリウムを含み、水酸化ナトリウムでpH6に調整されためっき液を準備した。このめっき液を用いて、上記母粒子に対して、液温60℃の条件で置換金めっき処理を行った。濾過後、100mLの純水を用いて60秒洗浄し、ニッケル膜の外側に表8に示す厚さの金膜を有する導電粒子を得た。得られた導電粒子の表面に、実施例1同様にしてアクリル絶縁粒子を配置し、絶縁性導電粒子を得た。得られた絶縁被覆導電粒子を用いて、異方導電性接着フィルムを作成し、接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。
断面の観察
絶縁被覆導電粒子をカーボンテープ上に撒いた。これを収束イオンビーム加工装置(FIB2000:日立製作所製)の試料室に入れ、試料室内部を真空圧とした。その後、導電粒子の中心点を通るよう加工位置を決めてタングステンをコートした。ガリウムイオンビームにより、導電粒子の断面を出した。この試料をすばやくSEM(S-4800:日立製作所製)に入れ、断面を撮像した。図10に示すように、導電粒子の中心点を通る内角45度の8本の線を引き、各線の最外層のコア粒子側との交点と最外層の外側との交点の長さを測定した。導電粒子10個について、下記式により最外層の厚みの平均値と標準偏差を算出した。

最外層の厚み測定数:n
最外層の厚み:m1、m2、m3・・・m80
最外層の厚みの平均値:M
表面の分析(元素比率)
直径5.0mmの円形の開口を有する厚さ0.1mmのSUS板を用いた。SUS板の開口の部分にアクリル系粘着テープを貼り、生じたくぼみ部分に導電粒子を敷き詰めた。X線光電子分光装置(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy、アルバック・ファイ社製、ESCA5400型)を用いて、導電粒子表面を分析した。分析条件を以下に示す。
実施例106〜115、比較例23〜26の導電粒子について、最外層を形成する元素Au(金)をXとし、最外層直下の層(第一の層)を形成するNi(ニッケル)及びP(リン)の元素の和をYとして、導電粒子表面の元素比率(Y/X)を、表面元素比として求めた。
実施例106〜115、比較例23〜24の結果を表8に示す。実施例106はスパッタ層が3nmと薄く、表面の元素比率が0.51((Ni+P)/Au)と高かった。実施例106と比較して、実施例107〜112のほうがより優れた絶縁性を示す傾向が見られた。平均膜厚が15nmを超えると、絶縁性が特に顕著に安定することが分かった。
最外層の形成を置換金めっきで実施した比較例23〜26は、標準偏差が小さかったことから均一な厚みで最外層が形成できていたことがわかった。しかし、スパッタで最外層を形成した場合と比較して、同じ厚みでも表面元素比率が大きくなることが分かった。これは、置換めっき層のピンホールから下地のニッケル層が拡散しているためであると考えられる。また、置換めっき層によって、下地の無電解ニッケル層が溶解し、置換めっき層に混合して析出したことも影響し得る。同じ程度の最外層厚みで比較した場合、スパッタは置換めっきよりも安定した絶縁信頼性をもたらすことが確認された。
実施例114と115は、均一な最外層(スパッタ層)で下地導電層を覆った後、バレルの回転を止めたため、スパッタ層が粒子の一部に厚く積層した。最外層の平均厚み40nmであるが、標準偏差が5を超えた。しかし、最外層の元素比が0.4を下回っているため、下地導電層の露出が少なく耐マイグレーションに優れ、同じ平均厚みのスパッタ層を備える実施例113と同等の接続信頼性と絶縁性を示した。最外層(スパッタ層)の厚みにばらつき(標準偏差5以上)があっても、下地層の露出が少ない場合は耐マイグレーション性に優れる。
以上の結果から、最外層の表面の元素比率が低いと絶縁信頼性が高まることが分かった。このような金属層を得る方法として、スパッタ法が有効であることも分かった。
1…絶縁被覆導電粒子、2…コア粒子、3…核、5…最外層、5a…凸部、7…絶縁性粒子、10…導電粒子、11…第一の層、11a…第一の部分、11b…第二の部分、11c…第三の部分、12…第二の層、80…接着剤の硬化物、91…第一の回路部材、92…第二の回路部材、911…第一の基板、912…第一の回路電極、921…第二の基板、922…第二の回路電極、100…異方導電性接着剤の硬化物、800…接続構造体。

Claims (10)

  1. コア粒子と、該コア粒子の表面上に点在している核と、前記コア粒子及び前記核を囲む導電性の最外層と、を備え、
    前記最外層が、スパッタ法により形成された層であり、その外側表面に形成された複数の凸部を有しており、
    前記コア粒子が有機樹脂粒子であり、
    前記核が、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む絶縁性の無機酸化物微粒子である、
    導電粒子。
  2. 前記コア粒子と前記最外層との間に設けられた1層又は2層以上の内側導電層をさらに備える、請求項1に記載の導電粒子。
  3. 前記内側導電層のうち最も外側の層が、その外側表面に形成された複数の凸部を有している、請求項2に記載の導電粒子。
  4. 前記内側導電層が、ニッケル、銅又はこれらの合金を含有する、請求項2又は3に記載の導電粒子。
  5. 前記最外層の前記凸部の高さが、前記コア粒子の直径の0.0005倍以上0.1倍以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電粒子。
  6. 当該導電粒子の中心点を通る断面において前記中心点から内角45度で放射状に伸ばした8本の線を引き、これらの8本の線が前記最外層と交わる部分の長さを前記最外層の厚みとして測定して、8個の当該厚みの値を得たときに、それらの平均値が5nm以上であり、標準偏差が5.0以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電粒子。
  7. 当該導電粒子表面の元素組成をX線光電子分光分析により分析したときに、前記最外層を構成する元素に対する、前記最外層の内側で前記最外層に隣接する層を構成する元素の比率が、0.4以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電粒子。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電粒子と、
    前記導電粒子の最外層の外側表面上に配置された複数の絶縁性粒子と、
    を備える絶縁被覆導電粒子。
  9. 前記絶縁性粒子が、前記コア粒子の直径よりも小さく、前記最外層の前記凸部の高さよりも大きい直径を有する、請求項8に記載の絶縁被覆導電粒子。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電粒子、又は請求項8若しくは9に記載の絶縁被覆導電粒子と、
    接着剤と、
    を含有する異方導電性接着剤。
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