JP2015167094A - 有機硫黄化合物、その製造方法、二次電池用正極活物質、二次電池 - Google Patents

有機硫黄化合物、その製造方法、二次電池用正極活物質、二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】エネルギー密度が大きくサイクル特性の良好な二次電池の製造に有用な硫黄系炭素材料の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされるハロゲン化芳香族化合物と硫黄とを反応させることにより得られる有機硫黄化合物であり、有機硫黄化合物中の全硫黄量(wt%)に対する有機硫黄化合物中にインターカレートされた硫黄量(wt%)の比が0.75未満であることを特徴とする有機硫黄化合物。
Figure 2015167094

[Arは芳香族炭化水素;Xはハロゲン元素、Br、Iのいずれか;nは2以上の自然数を表わす]
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の正極として有用な有機硫黄化合物と、その製法、ならびに該有機硫黄化合物を含む正極活物質ならびに二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、充放電容量の大きな電池であるが、ノート型パソコン、スマートフォン市場の急速な拡大と航続距離の長い電気自動車、電力貯蔵用二次電池への期待により、より高容量のリチウムイオン二次電池が求められている。
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、コバルト等のレアメタルを含むものが一般的である。しかし、これらの金属は採掘国が限られ資源的リスクが高いこと、ならびに流通量が少なく高価であるため、近年では、これらのレアメタルを使用しない正極活物質が求められている。たとえば導電性高分子を正極活物質として用いた技術が公開されている(特許文献1参照)。しかし、導電性高分子は生成した電荷がポリマー中に広がって電荷間の強いクーロン反発が起こり、一定量以下の電荷しか注入放出ができないといった問題があり、二次電池の大容量化には不向きである。
一方、リチウムイオン二次電池の正極活物質として、硫黄を用いる技術が知られている。硫黄は資源の乏しい日本においても採掘可能な元素であり、前述の資源的リスクを回避できる元素である。また、硫黄を正極活物質として用いることで、リチウムイオン二次電池の容量を大きくできる。具体的にはコバルト酸リチウムの可逆的放電容量150〜170mAh/gに対して1672mAh/gという大きな放電容量を得ることができる。
しかし、正極活物質として硫黄を用いたリチウムイオン二次電池においては、放電時に生成するポリスルフィドが二次電池の電解液等に可溶であるため、充放電を繰り返すと電解液への硫黄の溶出により正極が次第に劣化し、電池容量が低下する問題がある。
そこで硫黄の電解液への溶出を抑えるために、炭素材料等の材料を配合する技術が提案されている(特許文献2参照)。これによると、正極活物質として、炭素と硫黄を主な構成要素とするポリ硫化カーボンを用いる技術が紹介されている。
このポリ硫化カーボンは、不飽和ポリマーに硫黄が付加した部分と不飽和ポリマー同士がスルフィド結合につながった構造を有しており、硫黄の溶出に一定の効果を挙げているが、十分ではない。
他に硫黄の電解液への溶出を抑制するために、チオレート基を有したジスルフィド化合物が検討されている(特許文献3、4参照)。この電池は、放電時にジスルフィド結合が2電子還元を受けてスルフィド結合が解裂し、電解質中の金属イオンと反応して2つの金属チオレートに変化する。そして充電時には、2電子酸化を受けて2つのチオレートがスルフィドに戻ることにより二次電池として機能するものであり、リチウム負極と組み合わせると3V以上の高い電圧を得ることができる。しかし、これらの化合物は解離したジスルフィド結合の再結合効率が小さく、充電状態又は放電状態における安定性が不充分であるという問題があった。また、ポリアセチレン等に硫黄を付加させたポリマーも検討されているが、同様に安定性に問題があった(非特許文献1、2参照)。
本発明は、上記従来技術の問題点を克服できる、エネルギー密度が大きくサイクル特性の良好な二次電池の製造に有用な硫黄系炭素材料の提供を目的とする。
上記課題は次の1)の発明により解決される。
1)下記一般式(1)で表わされるハロゲン化芳香族化合物と硫黄とを反応させることにより得られる有機硫黄化合物であり、有機硫黄化合物中の全硫黄量(wt%)に対する有機硫黄化合物中にインターカレートされた硫黄量(wt%)の比が0.75未満であることを特徴とする有機硫黄化合物。
Figure 2015167094
[上記一般式においてArは芳香族炭化水素を表わす。Xはハロゲン元素を表わし、Br、Iのいずれかである。nは2以上の自然数を表わす]
本発明によれば、エネルギー密度が大きくサイクル特性の良好な二次電池の製造に有用な有機硫黄化合物を提供できる。
本発明に係る二次電池の一例の断面図。 本発明の実施例に用いる化合物(C−1)の合成時の反応の工程を示す図。 本発明の実施例に用いる化合物(C−1)のラマンスペクトルを示す図。 本発明の実施例1の電池の電圧−放電容量プロット(50サイクル後)。 硫黄のTGAを示す図。 本発明の実施例に用いる化合物(C−1)のTGAを示す図。
以下、上記本発明1)について詳しく説明するが、本発明1)の実施の形態には、次の2)〜6)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
2)前記Arが縮合環炭化水素であることを特徴とする1)に記載の有機硫黄化合物。
3)前記Arが9,9’−ビアントラセンであることを特徴とする1)に記載の有機硫黄化合物。
4)一般式(1)で表わされるハロゲン化芳香族化合物と硫黄とを200℃から800℃の間で、減圧雰囲気下において反応させることを特徴とする有機硫黄化合物の製造方法。
5)1)乃至3)のいずれかに記載の有機硫黄化合物を用いたことを特徴とする二次電池用正極活物質。
6)5)に記載の二次電池用正極活物質を用いたことを特徴とする二次電池。
本発明の前記一般式(1)で表わされる有機硫黄化合物は、ハロゲン化芳香族化合物と硫黄とを高温で反応させることにより得られる物質であり、充電反応及び/又は放電反応の過程で酸化還元反応を伴う二次電池の電極活物質として有用である。特に正極活物質として用いることが好ましい。これにより、エネルギー密度が大きくサイクル特性の良好な二次電池を得ることができる。この二次電池は、酸化還元化合物が安定化されているため充放電サイクルが安定化し、寿命が長くなる。
図1に、本発明に係る二次電池の一例の断面図を示す。この二次電池は、負極集電体3、負極層1、電解質を含んだセパレーター5、正極層2、正極集電体4が順に積層された構造を有する。なお、正極層及び負極層の積層方法は特に限定されず、多層積層したものや集電体の両面に積層したものを組み合わせたもの、巻回したもの等が利用できる。
<電極活物質>
〔有機硫黄化合物〕
前記一般式(1)において、Arは芳香族炭化水素を表わす。芳香族炭化水素の例としては、ビフェニル、ビフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、トリフェニルベンゼン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ビアントラセン、フェナントレン、フェナレン、トリフェニレン、フルオランテン、ペリレン、ペンタフェン、ピセン、コロネン、トルクセン、トリナフチレン、ヘキサヘリセン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘプタセン、ヘプタフェンなどが挙げられる。また、これらの環に置換するハロゲン元素としては臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。nは2以上の自然数であるが、好ましくは2〜6である。
ここで、ハロゲン化芳香族化合物と硫黄の反応について10,10’−ジブロモ−9,9’−ビアントラセンを例に説明する。10,10’−ジブロモ−9,9’−ビアントラセンなどのハロゲン化芳香族化合物は加熱することにより下記反応式(1)で表わされる反応をすることが知られている(非特許文献3のNature Vol.466 470−473)。
Figure 2015167094
10,10’−ジブロモ−9,9’−ビアントラセンを加熱するとまず200℃付近で脱ハロゲンによる炭素炭素結合が形成され1軸方向に連なった重合体が形成される。
これをさらに加熱すると400℃付近において脱水素化反応が起こり隣接するアントラセン同士が縮合し、リボン状の炭化水素化合物が形成される。
一方、硫黄は室温付近において硫黄原子が8つ連なった環状構造をとっているが下記反応式(2)に示すように、高温下においてその結合が切れビラジカル状態となる。ビラジカルは化学的に活性な状態であるため、速やかに付加反応、付加脱離反応が進行する。
Figure 2015167094
10,10’−ジブロモ−9,9’−ビアントラセンと硫黄が混在した場合、200℃付近においてハロゲン化芳香族化合物の脱ハロゲン反応と硫黄のビラジカル発生がおこり、脱ハロゲン反応により生成する1軸方向に連なった重合体への付加、付加脱離反応が進行する。さらに加熱することにより、隣接する芳香族化合物同士の脱水素反応、直鎖状の硫黄分子結合の解裂、再結合等が起こり複雑な組成の有機硫黄化合物が生成する。生成した有機硫黄化合物は、硫黄が芳香族炭素骨格と複雑に結合していると考えられるため、従来の硫黄を用いた物質とは異なり電解液への溶出が抑えられる。
従来より、ジスルフィド化合物はS−S間の結合が示す可逆的な開裂−再結合挙動が電池の正極材料として有望であることが報告されている(Liu,M.;Visco,S.J.;De Jonghe,L.C.,J.Electro Chem.Soc.,138,1896−1901(1991)参照)が、他の有機系活物質と同様にジスルフィド結合の電気化学的反応性の高さによる分子の安定性の低さが原因となっていた。充放電サイクルの繰り返しによる容量の低下が起こる性質を軽減するには、有効な充放電は、可逆的な開裂−再結合を生じるためのS−S間結合に主に依存するものとすると、S−S間結合は、高密度であることが無論好ましい。
本発明において、反応原料としての「ハロゲン化芳香族化合物中のハロゲン元素」:「硫黄」のモル量比は、どのような割合であっても可能である。S−S間結合は、ジスルフィドに限らず、ジスルフィドやトリスルフィドを含むポリスルフィド結合であってよい。しかし、ハロゲン化芳香族化合物中のハロゲン元素:硫黄のモル量比が、100部:500〜3000部であることが好ましく、100部:800〜2500部であることがより好ましく、100部:1000〜2000部であることが更に好ましい。硫黄添加量が上記下限より少ないと、充放電が達成できない。硫黄添加量が上記上限より多いと、PAH(多環炭化水素)のグラフィン構造層間に入り込んだインターカレートS原子は増えるが、芳香族炭素骨格との結合が形成されていないため充放電過程で電解液への溶け出しが起こり、急速に二次電池特性の劣化が進行する。
なお、(有機硫黄化合物中のインターカレートされた硫黄量)/(有機硫黄化合物中の全硫黄量)=0.75未満であることが好ましい。有機硫黄化合物中のインターカレートされた硫黄量と、有機硫黄化合物中の全硫黄量はそれぞれTGAおよび元素分析から求めることができる。硫黄は大気圧下、300℃付近で蒸発してしまう為、インターカレートされた硫黄量をTGAから求めることができる。この比率が0.75を上回ると充放電過程で電解液へ溶け出す硫黄量が多くなり、二次電池の劣化が急速に進行してしまう。
有機硫黄化合物はエネルギー密度の観点からすると、正極の活物質として使用することが好ましい。有機硫黄化合物を正極活物質として用いる場合には、負極層の活物質として、グラファイト、非晶質カーボン、リチウム金属、リチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、及び導電性高分子等の一種単独又は二種以上の組み合わせが用いられる。これらの形状は特に限定されず、例えば、リチウム金属では薄膜状のもの以外に、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等を使用することができる。
また、有機硫黄化合物を用いて正極電極を作製する場合、有機硫黄化合物以外の物質、例えば金属酸化物や酸化還元化合物を併用することも可能である。金属酸化物としては、LiMnO、LiNi0.5Mn1.5、LixMn(0<x<2)等のマンガン酸リチウムもしくはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、LiCoO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の層状化合物、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO等のリン酸塩系化合物が挙げられ、酸化還元化合物としては、オキシ酸化還元化合物、ニトロキシル酸化還元化合物、窒素酸化還元化合物、炭素酸化還元化合物、ホウ素酸化還元化合物等の有機化合物が挙げられる。
上記酸化還元化合物の具体例としては、例えば、下記一般式(R−1)〜(R−12)のような化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。なお、式中のnは、繰り返し単位数を表わす自然数である。
Figure 2015167094
<結着剤>
有機硫黄化合物を正極活物質として用いる場合には、各構成材料間の結びつきを強めるため結着剤を用いることもできる。結着剤の例としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。
<集電体>
本発明における集電体とは、導電体で形成され電池の電極から発生する電荷を集めることができるものである。図1の例では、負極集電体3、正極集電体4として、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス等の金属箔、金属平板、メッシュ状電極、パンチング電極、炭素電極等を用いることができる。また、活物質と集電体とを化学結合させてもよい。
<セパレーター及び封止剤>
図1におけるセパレーター5は、正極層と負極層が接触して短絡しないようにするものであり、高分子多孔質フィルム、不織布などの材料を用いることができる。更にこのようなセパレーターは、電解質を含ませて構成することも好ましい。ただし、上記電解質として、イオン伝導性高分子等の固体電解質を用いる場合には、セパレーターそのものを省略することもできる。また、図1におけるステンレス外装(封止材)6についても特に制限はなく、電池の外装に用いられる従来公知の材料が用いられる。
<電解質>
本発明で用いる電解質は、負極層1と正極層2の両極間の荷電担体輸送を行なうものであり、一般に室温で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有している。電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。電解質塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOC、Li(CSOC等の従来公知の材料を用いることができる。
また、電解質塩の溶剤としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。なお、これらの溶剤は一種を単独で用いても二種以上を併用してもよい。
更に、本発明では、電解質として固体電解質を用いることもできる。
固体電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体;アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体;ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。なお、固体電解質は、これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、高分子化合物のみでそのまま用いてもよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<合成例1>
化合物(C−1)の合成
よく乾燥させた重合管(外径25mm、高さ80mm)に10,10’−ジブロモ−9,9’−ビアントラセン0.25g(0.49mmol)と硫黄0.50g(2×16×0.49mmol=15.68mmol、ハロゲン元素1つに対して16倍モル使用)を(あらかじめ乳鉢でよく混合しておく)入れ、凍結乾燥を3回繰り返した後、封管した。
封管された重合管を電気炉に入れ、図2に示す温度ステップで反応を行なった。
放冷後、封管を破り、内容物をイオン交換水100mlが入ったビーカーに空け30分攪拌洗浄した。不溶物をろ別し、トルエン100mlが入ったビーカー中でさらに30分攪拌洗浄した。不溶物をろ過し、80℃で減圧乾燥することにより、光沢のある黒色物質を得た(0.32g)。続いて未反応の硫黄を取り除くためガラスチューブオーブン(SHIBATA製、GTO−200)を用いて200℃で減圧乾燥を1時間行ない、有機硫黄化合物0.30gを光沢のある黒色物質として得た。この物質のラマンスペクトルを測定したところ、1545cm−1にsp炭素構造由来のGバンドが、1365cm−1付近にグラファイト構造の欠陥由来のDバンドが観測されたことからグラファイト状の物質が形成されていると思われる。なお、ラマンスペクトルは東京インスツルメンツ社製 レーザーラマン顕微鏡 Nanofinder30を用いておこなった(Laser波長:532nm、対物レンズ:N.A.0.6、ND:2、露光時間10秒、積算回数:4回)。また、元素分析及びTGA結果を表1に記す。元素分析はC、H、N元素に関して、試料を0.0001mgまで秤量し、CHN同時分析を行なった(システム:Elementar社製、vario MICRO cube装置、燃焼炉:950℃、還元炉:550℃、ヘリウム流量:200ml/min、酸素流量:25〜30ml/min)。S元素に関しては試料を0.001mgまで秤量し、フラスコ燃焼〜イオンクロマトグラフィーにより分析を行なった(システム:DIONEX社製、DX320、カラム:IonPac AS12A、移動層:2.7mmol/L NaCO+0.3mmol/L NaHCO、流速1.5mL/min、検出器:電気伝導度検出器、注入量:25μL)。TGAはセイコーインスツルメント社製、熱分析装置EXSTAR6000を用い、アルミニウム製パンに試料を2〜10mg程度量りとり、窒素気流下(200ml/min)、30℃から550℃まで10℃/minの昇温速度にて昇温し、550℃にて10分間温度維持することで測定を行った。
<合成例2>
化合物(C−2)の合成
550℃での処理時間を2時間とした以外は化合物(C−1)の合成と同様に行ない化合物(C−2)を得た(0.31g)。元素分析及びTGA結果を表1に記す。
<合成例3>
化合物(C−3)の合成
550℃での処理時間を5時間とした以外は化合物(C−1)の合成と同様に行ない化合物(C−3)を得た(0.29g)。元素分析及びTGA結果を表1に記す。
<合成例4>
化合物(C−4)の合成
ハロゲン化芳香族化合物を1,6−ジブロモピレン0.25gとした以外は化合物(C−1)の合成と同様に行ない化合物(C−4)を得た(0.30g)。元素分析及びTGA結果を表1に記す。
<合成例5>
化合物(C−5)の合成
ハロゲン化芳香族化合物を1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼン0.25gとした以外は化合物(C−1)の合成と同様に行ない化合物(C−5)を得た(0.25g)。元素分析及びTGA結果を表1に記す。
<合成例6>
化合物(C−6)の合成
ハロゲン化芳香族化合物を1,3,6,8−テトラブロモピレン0.25gとした以外は化合物(C−1)の合成と同様に行ない化合物(C−6)を得た(0.22g)。
元素分析及びTGA結果を表1に記す。
<合成例7>
化合物(C−7)の合成
ハロゲン化芳香族化合物を2,3,6,7,10,11−ヘキサブロモトリフェニレン0.25gとした以外は化合物(C−1)の合成と同様に行ない化合物(C−7)を得た(0.56g)。元素分析及びTGA結果を表1に記す。
<合成例8>
比較化合物1の合成
よく乾燥させた重合管(外径25mm、高さ80mm)に10,10’−ジブロモ−9,9’−ビアントラセン0.25g(0.49mmol)を入れ、凍結乾燥を3回繰り返した後、封管した。封管された重合管を電気炉に入れ、図2に示す温度ステップで反応を行なった。放冷後、封管を破り、内容物をイオン交換水100mlが入ったビーカーに空け30分攪拌洗浄した。不溶物をろ別し、トルエン100mlが入ったビーカー中でさらに30分攪拌洗浄した。不溶物をろ過し、80℃で減圧乾燥することにより、光沢のある黒色物質を得た(0.18g)。続いて黒色物質0.18gと0.27gの硫黄を乳鉢でよく混合し、ガラスチューブオーブン(SHIBATA製、GTO−200)を用いて155℃、アルゴン雰囲気下で熱処理を12時間行った。その結果、比較化合物1として黒色物質0.45gを得た。
Figure 2015167094
<実施例1>
−電池の作成−
化合物(C−1)と導電補助材のグラファイト、結着材のポリ(フッ化ビニリデン)を混合し、そこにN−メチルピロリドンを加え、全体が均一になるまで混練して黒色のペーストを得た。混合比は、化合物(C−1):グラファイト:結着材=2:6:2とした。続いて、このペーストを、ブレードコート治具を用いてアルミニウム箔上に均一に塗工した。得られた塗工膜を、予め120℃に設定しておいた温風乾燥器内に入れて、20分間乾燥させ、電極層を作製した。電極層をφ16mmの円形状に打ち抜き円形状正極電極とした。露点温度−70℃以下のグローブボックス中において、ステンレス外装内に、前記円形状正極、φ25mmのポリプロピレン多孔質フィルムセパレータ、φ16mmの円形状のLi金属箔陰極の順に積層し、電解質として1.0mol/LのLiPF電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合体積比1:2)を加えた。最後にステンレス外装としての蓋をかぶせ、密閉して実施例1の電池を作製した。
<実施例2>
化合物(C−1)を、表2に示されるように、化合物(C−2)の有機硫黄化合物に変えた点以外は、実施例1と同様にして実施例2の電池を作製した。
<実施例3>
化合物(C−1)を、表2に示されるように、化合物(C−3)の有機硫黄化合物に変えた点以外は、実施例1と同様にして実施例3の電池を作製した。
<実施例4>
化合物(C−1)を、表2に示されるように、化合物(C−4)の有機硫黄化合物に変えた点以外は、実施例1と同様にして実施例4の電池を作製した。
<実施例5>
化合物(C−1)を、表2に示されるように、化合物(C−5)の有機硫黄化合物に変えた点以外は、実施例1と同様にして実施例5の電池を作製した。
<実施例6>
化合物(C−1)を、表2に示されるように、化合物(C−6)の有機硫黄化合物に変えた点以外は、実施例1と同様にして実施例6の電池を作製した。
<実施例7>
化合物(C−1)を、表2に示されるように、化合物(C−7)の有機硫黄化合物に変えた点以外は、実施例1と同様にして実施例7の電池を作製した。
<比較例1>
化合物(C−1)を、単体硫黄に変えた点以外は、実施例1と同様にして比較例1の電池を作製した。
<比較例2>
化合物(C−1)を、比較化合物1に変えた点以外は、実施例1と同様にして比較例2の電池を作製した。
−電池の評価−
実施例1〜7及び比較例1、2の電池について、定電流(0.05mA)下で、カットオフ電圧を充電3.0V、放電1.5Vとして充放電を行なった。放電−充電を1回行なうと1サイクルとし、50サイクル後の放電容量を表2に記した。表2から、本発明の有機硫黄化合物を活物質として使用した実施例の電池は、比較例の電池に比べて、サイクル特性が良好であることがわかる。
Figure 2015167094
1 負極層
2 正極層
3 負極集電体
4 正極集電体
5 セパレーター
6 ステンレス外装
特公平7−85420号公報 特開2002−154815号公報 米国特許第4833048号明細書 特許第2715778号公報
Russ.Chem.Bull.,48、463(1999) Sulfer Reports、24、283(2003) Nature Vol.466 470−473

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表わされるハロゲン化芳香族化合物と硫黄とを反応させることにより得られる有機硫黄化合物であり、有機硫黄化合物中の全硫黄量(wt%)に対する有機硫黄化合物中にインターカレートされた硫黄量(wt%)の比が0.75未満であることを特徴とする有機硫黄化合物。
    Figure 2015167094
    [上記一般式においてArは芳香族炭化水素を表わす。Xはハロゲン元素を表わし、Br、Iのいずれかである。nは2以上の自然数を表わす]
  2. 前記Arが縮合環炭化水素であることを特徴とする請求項1に記載の有機硫黄化合物。
  3. 前記Arが9,9’−ビアントラセンであることを特徴とする請求項1に記載の有機硫黄化合物。
  4. 一般式(1)で表わされるハロゲン化芳香族化合物と硫黄とを200℃から800℃の間で、減圧雰囲気下において反応させることを特徴とする有機硫黄化合物の製造方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の有機硫黄化合物を用いたことを特徴とする二次電池用正極活物質。
  6. 請求項5に記載の二次電池用正極活物質を用いたことを特徴とする二次電池。
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