JP2015164992A - 水性塗料組成物及び塗膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に調色をすることができる水性塗料組成物、及びこれを用いた塗膜形成方法を提供する。【解決手段】リン酸基不含有の水性アクリル樹脂(A−1)30〜70質量%、及び水性ウレタン樹脂(A−2)30〜70質量%からなる第1樹脂成分(A)100質量部と、リン酸基含有アクリル樹脂からなる第2樹脂成分(B)1〜10質量部と、アルミニウム顔料(C)5〜20質量部とを含む水性塗料組成物、及びこれを用いた塗膜形成方法である。好ましくは、水性アクリル樹脂はアクリル樹脂エマルションであり、水性ウレタン樹脂はウレタン樹脂エマルションである。【選択図】なし
Description
本発明は、自動車補修用塗料などとして好適に用いることができる水性塗料組成物、及びこれを用いた塗膜形成方法に関する。
揮発性有機溶剤の使用に伴う環境汚染の問題から塗料の水性化が進められており、自動車用の塗料においても各種の水性塗料が提案されている(例えば特許文献1)。
補修塗装される自動車の塗膜色は、元々(自動車生産時)は同じ色であってもその使用期間に応じて微妙に色が異なる。従って、自動車補修用塗料は、補修時の塗膜色と同じ色になるように緻密に調色されなければならない。
自動車補修用塗料は従来、補修部分に塗料を塗装し、乾燥させたときの色相が所望する塗膜色相と一致するように、調製した塗料を試験板に塗装し、乾燥させて得られる塗膜の色相を、色見本板と見比べ、これらの色相が一致しない場合には塗料配合(顔料配合)を修正して同様の作業を繰り返すといった方法で調色されていた。しかし、この方法は作業が煩雑であり、労力と時間を要する。
本発明の目的は、試験板に塗装し、乾燥させて得られる塗膜の色相を色見本板と見比べるという煩雑な作業を伴わず、容易に調色をすることができる水性塗料組成物、及びこれを用いた塗膜形成方法を提供することにある。
本発明は、以下に示す水性塗料組成物及び塗膜形成方法を提供する。
[1]リン酸基不含有の水性アクリル樹脂(A−1)30〜70質量%、及び水性ウレタン樹脂(A−2)30〜70質量%からなる第1樹脂成分(A)100質量部と、
リン酸基含有アクリル樹脂からなる第2樹脂成分(B)1〜10質量部と、
アルミニウム顔料(C)5〜20質量部と、
を含む水性塗料組成物。
[1]リン酸基不含有の水性アクリル樹脂(A−1)30〜70質量%、及び水性ウレタン樹脂(A−2)30〜70質量%からなる第1樹脂成分(A)100質量部と、
リン酸基含有アクリル樹脂からなる第2樹脂成分(B)1〜10質量部と、
アルミニウム顔料(C)5〜20質量部と、
を含む水性塗料組成物。
[2]パール顔料及び/又は着色顔料をさらに含む、[1]に記載の水性塗料組成物。
[3]前記水性アクリル樹脂がアクリル樹脂エマルションであり、前記水性ウレタン樹脂がウレタン樹脂エマルションである、[1]又は[2]に記載の水性塗料組成物。
[3]前記水性アクリル樹脂がアクリル樹脂エマルションであり、前記水性ウレタン樹脂がウレタン樹脂エマルションである、[1]又は[2]に記載の水性塗料組成物。
[4]前記リン酸基含有アクリル樹脂は、下記一般式(1):
(式中、Xは水素原子又はメチル基であり、Yは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは3〜30の整数である。)
で表されるリン酸基含有重合性不飽和モノマー由来の構成単位を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の水性塗料組成物。
で表されるリン酸基含有重合性不飽和モノマー由来の構成単位を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の水性塗料組成物。
[5][1]に記載の水性塗料組成物を調製し、その水性塗料組成物自体の色相に基づいて調色する工程と、
調色された水性塗料組成物を被塗物に塗装した後、乾燥させて塗膜を形成する工程と、
を含む、塗膜形成方法。
調色された水性塗料組成物を被塗物に塗装した後、乾燥させて塗膜を形成する工程と、
を含む、塗膜形成方法。
本発明に係る水性塗料組成物は、それ自体の色相(塗料状態での色相)と、塗装し、乾燥させて塗膜としたときの色相とがほぼ同じである。従って、本発明に係る水性塗料組成物によれば、自動車補修にあたって、試験板に塗膜を形成する煩雑な作業を省略して、塗料自体の色相に基づいて容易に調色作業を行うことができる。すなわち、調色作業においては、塗料自体の色相が所望する塗膜色相となるように塗料自体の色相を調整すればよい。
<水性塗料組成物>
(A)第1樹脂成分
第1樹脂成分(A)は、水に溶解又は分散し得る水性樹脂からなるビヒクル成分であり、リン酸基不含有の水性アクリル樹脂(A−1)30〜70質量%、及び水性ウレタン樹脂(A−2)30〜70質量%からなる。ここでいう各樹脂の含有率は樹脂固形分を基準とする。
(A)第1樹脂成分
第1樹脂成分(A)は、水に溶解又は分散し得る水性樹脂からなるビヒクル成分であり、リン酸基不含有の水性アクリル樹脂(A−1)30〜70質量%、及び水性ウレタン樹脂(A−2)30〜70質量%からなる。ここでいう各樹脂の含有率は樹脂固形分を基準とする。
水性アクリル樹脂(A−1)の好適な例は、水分散性アクリル樹脂、具体的には、アクリル樹脂粒子が水性媒体中に分散してなるアクリル樹脂エマルションである。アクリル樹脂エマルションは、ビニル系不飽和モノマー(典型的には、(メタ)アクリル系モノマー)を、乳化剤の存在下、1段又は多段で乳化重合することにより得ることができる。ビニル系不飽和モノマーとしては、次のものを挙げることができる。
a)カルボキシル基を有する重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等〔好ましくは、(メタ)アクリル酸〕、
b)スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー:t−ブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸、アリルスルホン酸等、
c)水酸基を有する(メタ)アクリレート:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等、
d)(メタ)アクリル酸アルキルエステル:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等〔好ましくは、アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が2〜16のもの〕、
e)シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート:シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等、
f)芳香族ビニル系モノマー:スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−又はp−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル等、
g)エポキシ基を有する重合性不飽和モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等、
h)その他のビニル系不飽和モノマー:(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等。
b)スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー:t−ブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸、アリルスルホン酸等、
c)水酸基を有する(メタ)アクリレート:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等、
d)(メタ)アクリル酸アルキルエステル:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等〔好ましくは、アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が2〜16のもの〕、
e)シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート:シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等、
f)芳香族ビニル系モノマー:スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−又はp−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル等、
g)エポキシ基を有する重合性不飽和モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等、
h)その他のビニル系不飽和モノマー:(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等。
上記ビニル系不飽和モノマーは、2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、中でも、得られる共重合体が酸基(とりわけカルボキシル基)及び水酸基を有するように2種以上のビニル系不飽和モノマーを選択することが好ましい。同一分子内に酸基及び水酸基の双方を有するビニル系不飽和モノマーを共重合させて共重合体に酸基及び水酸基を導入してもよい。
また、エマルション粒子の機械的安定性及び水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、上記の単官能のビニル系不飽和モノマーと併用して、
h)多官能のビニル系不飽和モノマー:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど、
を用い、エマルション粒子内で架橋させることが好ましい。多官能のビニル系不飽和モノマーは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
h)多官能のビニル系不飽和モノマー:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど、
を用い、エマルション粒子内で架橋させることが好ましい。多官能のビニル系不飽和モノマーは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂エマルションは、公知の乳化剤の存在下、水(親水性有機溶剤を含んでいてもよい。)中で上記ビニル系不飽和モノマーをラジカル重合させることによって得ることができる。ラジカル重合開始剤には、有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩のような公知の重合開始剤を用いることができる。
アクリル樹脂エマルションを形成する上記ビニル系不飽和モノマーからなる共重合体がカルボキシル基のような酸基を有する場合において、エマルション粒子の分散性及び安定性の観点から、当該酸基は、ラジカル重合後、中和剤によって中和されることが好ましい。中和剤の具体例は、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルプロパノールアミン等を含む。中和剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂エマルション粒子は、温度20℃においてコールターカウンター法によって測定される平均粒子径が、通常0.01〜1μm程度であり、好ましくは0.05〜0.2μmである。
また水性塗料組成物は、上記の水性アクリル樹脂(A−1)とともに、水性ウレタン樹脂(A−2)を含む。これにより、水性塗料組成物の塗装作業性、塗膜の平滑性、耐水性及び/又は被塗物との密着性を改善し得る。水性ウレタン樹脂(A−2)の好適な例は、水分散性ウレタン樹脂、具体的には、ウレタン樹脂粒子が水性媒体中に分散してなるウレタン樹脂エマルションである。ウレタン樹脂エマルションとしては当技術分野で通常用いられているものを特に制限なく採用することができ、例えば、ポリイソシアネート、ポリオール及びジメチロールアルカン酸を反応させてなるウレタンプレポリマーを、必要に応じて鎖延長剤の存在下、水中に分散することにより得られるものであることができる。
より具体的には、ウレタン樹脂エマルションは、脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネート、高分子量ポリオール、ジメチロールアルカン酸、さらに必要に応じて鎖伸長剤を1段又は多段法により重合して過剰イソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーを得た後、次いで、アミン及び水を任意の順に加え、水中に乳化分散したカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂エマルションであることができる。ウレタンプレポリマーを生成する重合反応は、分子内にイソシアネート基と反応し得る活性水素を持たない親水性有機溶剤中で行ってもよく、無溶剤で行ってもよい。
上記脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートの具体例は、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネ−トのような炭素数2〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートのような炭素数4〜18の脂環族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物を含む。ポリイソシアネートは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記高分子量ポリオ−ルは、好ましくは数平均分子量500〜5000のポリエーテルジオール、ポリエステルジオール又はポリカーボネートジオールである。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコールのようなポリエーテルジオール;ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートのようなポリエステルジオール等である。高分子量ポリオ−ルは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ジメチロールアルカン酸としては、例えばジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等が挙げられる。上記鎖伸長剤としては、低分子量(数平均分子量500未満)ポリオール、ポリアミン等が挙げられる。
脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネート、高分子量ポリオール、ジメチロールアルカン酸、及び必要に応じて使用される鎖伸長剤の使用量比は、ウレタンプレポリマーがイソシアネート基を有するように選択され、通常、イソシアネ−ト基/水酸基の当量比は1.1〜1.9である。ウレタンプレポリマーに加えるアミンとしては、アクリル樹脂エマルションについて記述した中和剤と同様のものを用いることができる。
また、上記ウレタンプレポリマーに、鎖伸長剤、必要に応じて乳化剤及び水を任意の順で加えることにより、水中に乳化分散したカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂エマルションを得ることもできる。
ウレタン樹脂エマルション粒子は、温度20℃においてコールターカウンター法によって測定される平均粒子径が、通常0.01〜1μm程度であり、好ましくは0.05〜0.2μmである。
(B)第2樹脂成分
水性塗料組成物は、リン酸基含有アクリル樹脂である第2樹脂成分(B)を、第1樹脂成分(A)100質量部(樹脂固形分)に対して1〜10質量部(樹脂固形分)含む。リン酸基含有アクリル樹脂を所定量含有させることにより、塗料それ自体の色相(塗料状態での色相)と、これを塗装し、乾燥させて塗膜としたときの色相(塗膜状態での色相)とがほぼ同じである水性塗料組成物を得ることができる。このような効果が得られるのは、リン酸基含有アクリル樹脂の添加により樹脂成分のアルミニウム顔料(C)への濡れ性、ひいては該顔料の分散安定性が向上して、塗料状態においても塗膜状態と同様の安定した色相を呈するようになることが一因であると推定される。
水性塗料組成物は、リン酸基含有アクリル樹脂である第2樹脂成分(B)を、第1樹脂成分(A)100質量部(樹脂固形分)に対して1〜10質量部(樹脂固形分)含む。リン酸基含有アクリル樹脂を所定量含有させることにより、塗料それ自体の色相(塗料状態での色相)と、これを塗装し、乾燥させて塗膜としたときの色相(塗膜状態での色相)とがほぼ同じである水性塗料組成物を得ることができる。このような効果が得られるのは、リン酸基含有アクリル樹脂の添加により樹脂成分のアルミニウム顔料(C)への濡れ性、ひいては該顔料の分散安定性が向上して、塗料状態においても塗膜状態と同様の安定した色相を呈するようになることが一因であると推定される。
従って、本発明に係る水性塗料組成物によれば、塗料の一部をスパチュラに採取するなどして、塗料自体の色相を色見本板と見比べる簡便な作業によって容易に塗料の調色を行うことができる。
リン酸基含有アクリル樹脂の含有量が第1樹脂成分(A)100質量部に対して1質量部未満であると、リン酸基含有アクリル樹脂を添加することによる上記効果を得ることができない。また第1樹脂成分(A)100質量部に対して10質量部を超えると、第1樹脂成分(A)の量が相対的に低下し、付着性、耐水性、耐湿性の点で不利である。リン酸基含有アクリル樹脂の含有量は、第1樹脂成分(A)100質量部に対して、好ましくは2〜8質量部であり、より好ましくは4〜6質量部である。
リン酸基含有アクリル樹脂は、下記一般式(1):
で表されるリン酸基含有重合性不飽和モノマー由来の構成単位を含む重合体であることが好ましく、当該リン酸基含有重合性不飽和モノマーと他のビニル系不飽和モノマーとの共重合体であることがより好ましい。一般式(1)中、Xは水素原子又はメチル基であり、Yは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは3〜30(好ましくは3〜12)の整数である。一般式(1)で表されるリン酸基含有重合性不飽和モノマーは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般式(1)で表されるリン酸基含有重合性不飽和モノマーは、(メタ)アクリル酸にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)を触媒(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)の存在下に付加させてポリアルキレングリコールモノエステルとし、次いでオキシ塩化リンと反応させることでリン酸をモノエステル化し、その後、生成物を加水分解することにより得ることができる。オキシ塩化リンの代わりに、正リン酸、メタリン酸、無水リン酸、三塩化リン又は五塩化リン等を用いてもよい。アルキレンオキサイドは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般式(1)で表されるリン酸基含有重合性不飽和モノマーの例を挙げれば、アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシドデカ(オキシプロピレン)モノ(メタ)アクリレート等である。
リン酸基含有重合性不飽和モノマーに共重合される他のビニル系不飽和モノマーとしては、アクリル樹脂エマルションについて記述した上述のa)〜h)のビニル系不飽和モノマーと同様のものを用いることができる。ビニル系不飽和モノマーは1種のみを単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、中でも、得られる共重合体が酸基(とりわけカルボキシル基)及び水酸基を有するように2種以上のビニル系不飽和モノマーを選択することが好ましい。
リン酸基含有重合性不飽和モノマーと他のビニル系不飽和モノマーとの共重合体であるリン酸基含有アクリル樹脂は、これらのモノマーを溶剤中、ラジカル重合開始剤の存在下にラジカル重合させる常法に従って得ることができる。ラジカル重合開始剤には、有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩のような公知の重合開始剤を用いることができる。
他のビニル系不飽和モノマーの使用量は、リン酸基含有重合性不飽和モノマー100質量部に対して200〜5000質量部であることが好ましい。他のビニル系不飽和モノマーの使用量が過度に少ないことは、塗膜の耐水性に悪影響を与え得る。また、他のビニル系不飽和モノマーの使用量が過度に多いと、リン酸基含有アクリル樹脂中のリン酸基量が過度に低くなって、リン酸基含有アクリル樹脂の添加による上述の効果が得られにくい。他のビニル系不飽和モノマーの使用量は、リン酸基含有重合性不飽和モノマー100質量部に対して、より好ましくは1000質量部以下であり、さらに好ましくは800質量部以下である。
リン酸基含有アクリル樹脂は、その数平均分子量が1000〜50000であることが好ましい。数平均分子量が過度に小さいことは、被塗物に対する塗膜の密着性に不利となり得る。また数平均分子量が過度に高いと、粘度が高くなり取扱性に劣る。数平均分子量は、GPCにより測定される標準ポリスチレン換算の値である(測定温度40℃)。
リン酸基含有アクリル樹脂の酸価は15〜200mgKOH/gであることが好ましく、そのうちリン酸基由来の酸価が10〜150mgKOH/g(望ましくは15〜100mgKOH/g)であることがより好ましい。リン酸基含有アクリル樹脂の酸価が過度に低いことは、被塗物に対する塗膜の密着性に不利となり得る。リン酸基含有アクリル樹脂の酸価又はリン酸基由来の酸価が過度に高いことは、塗膜の耐水性に悪影響を与え得る。また、リン酸基由来の酸価が過度に低いと、リン酸基含有アクリル樹脂中のリン酸基量が過度に低くなって、リン酸基含有アクリル樹脂の添加による上述の効果が得られにくい。
リン酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、好ましくは20〜200mgKOH/gである。水酸基価が過度に低い場合や過度に高いことは、塗膜の耐水性に悪影響を与え得る。
(C)アルミニウム顔料
水性塗料組成物は、アルミニウム顔料(C)を、第1樹脂成分(A)100質量部(樹脂固形分)に対して5〜20質量部含む。好ましくは6〜15質量部である。アルミニウム顔料(C)の含有量が5質量部未満であると、所望のメタリック性が得られにくく、または十分な塗膜隠蔽性が得られにくい傾向にある。また第1樹脂成分(A)100質量部に対して20質量部を超えると、塗膜物性が低下しやすい。アルミニウム顔料(C)は、溶剤を含むアルミニウム顔料ペーストの形態で塗料に配合することもできる。アルミニウム顔料(C)は鱗片状であることが好ましい。
水性塗料組成物は、アルミニウム顔料(C)を、第1樹脂成分(A)100質量部(樹脂固形分)に対して5〜20質量部含む。好ましくは6〜15質量部である。アルミニウム顔料(C)の含有量が5質量部未満であると、所望のメタリック性が得られにくく、または十分な塗膜隠蔽性が得られにくい傾向にある。また第1樹脂成分(A)100質量部に対して20質量部を超えると、塗膜物性が低下しやすい。アルミニウム顔料(C)は、溶剤を含むアルミニウム顔料ペーストの形態で塗料に配合することもできる。アルミニウム顔料(C)は鱗片状であることが好ましい。
(D)その他の顔料
水性塗料組成物は、アルミニウム顔料(C)以外の他の顔料(D)を含有することができる。他の顔料(D)としては、アルミニウム顔料(C)以外のメタリック顔料;パール顔料;着色顔料;体質顔料を挙げることができる。他の顔料(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルミニウム顔料(C)以外のメタリック顔料の具体例は、ブロンズ粉、銅粉、錫粉、鉛粉、亜鉛末、リン化鉄(いずれも、好ましくは鱗片状)を含む。ただし好ましくは、本発明に係る水性塗料組成物は、メタリック顔料としてアルミニウム顔料のみを含む。
水性塗料組成物は、アルミニウム顔料(C)以外の他の顔料(D)を含有することができる。他の顔料(D)としては、アルミニウム顔料(C)以外のメタリック顔料;パール顔料;着色顔料;体質顔料を挙げることができる。他の顔料(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルミニウム顔料(C)以外のメタリック顔料の具体例は、ブロンズ粉、銅粉、錫粉、鉛粉、亜鉛末、リン化鉄(いずれも、好ましくは鱗片状)を含む。ただし好ましくは、本発明に係る水性塗料組成物は、メタリック顔料としてアルミニウム顔料のみを含む。
パール顔料の具体例は、雲母粒子を金属酸化物(例えば酸化鉄や酸化チタン)でコーティングしたものを含む。着色顔料の具体例は、カーボンブラック、アセチレンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ネーブルスイエロー、ベンジジンイエロー、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ベンガラ、カドミウムレッドリゾールレッド、パーマネントレッド4R、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、金属フタロシアニンンブルー、ファーストスカイブルー、クロムグリーン、酸化クロム、酸化チタンを含む。体質顔料の具体例は、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、シリカ、タルク、マイカ粉を含む。
(E)硬化剤
第1及び第2樹脂成分(A),(B)を架橋硬化させる場合には、水性塗料組成物は、ポリイソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤、メラミン硬化剤、オキサゾリン硬化剤、カルボジイミド硬化剤のような硬化剤(架橋剤)(E)をさらに含むことができる。硬化剤(E)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、水分散性ポリイソシアネート化合物(ポリイソシアネート化合物水分散体)を含むことが好ましい。水分散性ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を1分子中に2個以上有し、かつ、親水性基を有する化合物であることができる。
第1及び第2樹脂成分(A),(B)を架橋硬化させる場合には、水性塗料組成物は、ポリイソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤、メラミン硬化剤、オキサゾリン硬化剤、カルボジイミド硬化剤のような硬化剤(架橋剤)(E)をさらに含むことができる。硬化剤(E)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、水分散性ポリイソシアネート化合物(ポリイソシアネート化合物水分散体)を含むことが好ましい。水分散性ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を1分子中に2個以上有し、かつ、親水性基を有する化合物であることができる。
水分散性ポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物と親水性基を有する界面活性剤とを反応させることによって得ることができる。例えばポリイソシアネート化合物とノニオン性界面活性剤とを反応させる場合、その使用割合は、ポリイソシアネート化合物の有するイソシアネート基1当量に対して、ノニオン界面活性剤の有する活性水素が0.01〜0.03当量となるような割合であることができる。
上記ポリイソシアネート化合物の具体例は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;及びこれらのイソシアヌレート体、ビウレット体を含む。ポリイソシアネート化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記界面活性剤としては、親水性基、及びイソシアネート基と反応可能な基を有するものが挙げられる。水分散性の観点から、親水性基は、例えば、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル基;ポリオキシエチレンモノオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノフェニルエーテル等のポリオキシエチレンモノアルキルアリールエーテル基;ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル基;ポリオキシエチレンモノ高級脂肪酸エステル基などであることが好ましい。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(F)その他の添加剤
水性塗料組成物は、必要に応じて、上記以外の他の添加剤、例えば増粘剤、消泡剤、溶剤(有機溶剤のような水以外の溶剤)、表面調整剤、紫外線吸収剤、防腐剤等を含むことができる。
水性塗料組成物は、必要に応じて、上記以外の他の添加剤、例えば増粘剤、消泡剤、溶剤(有機溶剤のような水以外の溶剤)、表面調整剤、紫外線吸収剤、防腐剤等を含むことができる。
<水性塗料組成物の調製・調色及び塗膜形成>
水性塗料組成物は、第1及び第2樹脂成分(A),(B)並びにアルミニウム顔料(C)、さらに必要に応じて配合される添加剤〔他の顔料(D)や硬化剤(E)、他の添加剤(F)〕を均一に混合することにより得ることができる。これらの配合成分の混合は、ディスパー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル等を用いて行うことができる。
水性塗料組成物は、第1及び第2樹脂成分(A),(B)並びにアルミニウム顔料(C)、さらに必要に応じて配合される添加剤〔他の顔料(D)や硬化剤(E)、他の添加剤(F)〕を均一に混合することにより得ることができる。これらの配合成分の混合は、ディスパー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル等を用いて行うことができる。
配合成分の混合は1段で行ってもよいし、多段で行ってもよい。例えば、アルミニウム顔料(C)又はこれを含むアルミニウム顔料ペーストとリン酸基含有アクリル樹脂とを混合して顔料ペーストを作製した後、この顔料ペーストと他の配合成分とを混合して水性塗料組成物を調製してもよい。
水性塗料組成物は1液型であってもよいし、例えば硬化剤を含む場合には2液型としてもよい。
水性塗料組成物の調製において該塗料は、乾燥塗膜が所望の色相を呈するように調色される。この際、本発明によれば、水性塗料組成物それ自体の色相に基づいて調色を行うことができる。例えば、配合成分を撹拌混合(ディスパー等の装置を用いてもよい。)して得られた塗料組成物の一部をスパチュラ等に採取し、採取した塗料の色相が、色見本板の色相(所望する塗膜色相と同じ色相)と同じなっているかどうかを判断することによって調色を行うことができる。スパチュラ等による塗料の採取の代わりに、調製した塗料からアプリケーターを使用して塗膜を形成し、この乾燥されていない塗膜の色相に基づいて調色を行ってもよい。塗料の色相調整は、アルミニウム顔料(C)の含有量(あるいは種類)を調整したり、パール顔料及び/又は着色顔料の種類及び/又は添加量を調整したりすることによって行うことができる。
被塗物は特に限定されないが、その代表例は自動車である。水性塗料組成物が塗装される面は、被塗物の素材表面であってよいし、中塗り塗料や上塗り塗料が塗装された塗膜面であってもよい。
被塗物への水性塗料組成物の塗装手段には、スプレー塗装(例えばエアスプレー塗装)、静電塗装、刷毛塗装、ローラー塗装等を用いることができる。好ましくはエアスプレー塗装である。塗膜の乾燥条件は特に制限されないが、自動車補修用塗料である場合、好ましくは室温〜60℃程度である。水性塗料組成物からなる乾燥塗膜の上に、必要に応じてクリヤー塗装を施すこともできる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
(1)アクリル樹脂エマルションの調製
反応容器に脱イオン水126.5質量部を加え、窒素気流中で撹拌しながら80℃に昇温した。次いで、スチレン4質量部、メチルメタクリレート10質量部、エチルアクリレート53質量部、メタクリル酸3質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部、エチレングリコールジメタクリレート20質量部、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル0.7質量部(第一工業製薬社製「アクアロンHS−10」)、α−[1−[(アリルオキシチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシオキシエチレンの80質量%水溶液(旭電化社製「アデカリアソープNE−20」)0.5質量部、及び脱イオン水80質量部からなるモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム0.3質量部、及び脱イオン水10質量部からなる開始剤溶液とを2時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。次いで、40℃まで冷却し、400メッシュフィルターで濾過した後、脱イオン水167質量部及びジメチルエタノールアミン0.32質量部を加えて、平均粒子径120nm、不揮発分25質量%のアクリル樹脂エマルションを得た。
(1)アクリル樹脂エマルションの調製
反応容器に脱イオン水126.5質量部を加え、窒素気流中で撹拌しながら80℃に昇温した。次いで、スチレン4質量部、メチルメタクリレート10質量部、エチルアクリレート53質量部、メタクリル酸3質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部、エチレングリコールジメタクリレート20質量部、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル0.7質量部(第一工業製薬社製「アクアロンHS−10」)、α−[1−[(アリルオキシチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシオキシエチレンの80質量%水溶液(旭電化社製「アデカリアソープNE−20」)0.5質量部、及び脱イオン水80質量部からなるモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム0.3質量部、及び脱イオン水10質量部からなる開始剤溶液とを2時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。次いで、40℃まで冷却し、400メッシュフィルターで濾過した後、脱イオン水167質量部及びジメチルエタノールアミン0.32質量部を加えて、平均粒子径120nm、不揮発分25質量%のアクリル樹脂エマルションを得た。
(2)ウレタン樹脂エマルション(ウレタン樹脂水分散体)の準備
ウレタン樹脂エマルションとして、DSM社製の「NeoRez R−9603」(不揮発分:34質量%、酸価:32mgKOH/g)を用意した。
ウレタン樹脂エマルションとして、DSM社製の「NeoRez R−9603」(不揮発分:34質量%、酸価:32mgKOH/g)を用意した。
(3)リン酸基含有アクリル樹脂の製造
反応容器にエトキシプロパノール40質量部を仕込み、これに、スチレン4質量部、n−ブチルアクリレート35.96質量部、エチルヘキシルメタクリレート18.45質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.92質量部、メタクリル酸7.67質量部、アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート(ユニケミカル社製「ホスマーPP」)20質量部、エトキシプロパノール20質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル1.7質量部からなるモノマー溶液(121.7質量部)を120℃で3時間かけて滴下した後、同温度で1時間攪拌を継続して、リン酸基含有アクリル樹脂を含む液を得た(不揮発分:63質量%)。得られたリン酸基含有アクリル樹脂は、数平均分子量が6000であり、酸価が105mgKOH/gであり、水酸基価が60mgKOH/gであった。
反応容器にエトキシプロパノール40質量部を仕込み、これに、スチレン4質量部、n−ブチルアクリレート35.96質量部、エチルヘキシルメタクリレート18.45質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.92質量部、メタクリル酸7.67質量部、アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート(ユニケミカル社製「ホスマーPP」)20質量部、エトキシプロパノール20質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル1.7質量部からなるモノマー溶液(121.7質量部)を120℃で3時間かけて滴下した後、同温度で1時間攪拌を継続して、リン酸基含有アクリル樹脂を含む液を得た(不揮発分:63質量%)。得られたリン酸基含有アクリル樹脂は、数平均分子量が6000であり、酸価が105mgKOH/gであり、水酸基価が60mgKOH/gであった。
(4)水性塗料組成物の調製
アルミニウム顔料ペースト(旭化成社製のアルミペースト「MH−8801」、アルミニウム顔料の含有率:65質量%)15質量部(アルミニウム顔料として9.75質量部)に対して、上記(3)で得られたリン酸基含有アクリル樹脂を含む液を4質量部(樹脂固形分基準)加え、均一に混合して、樹脂含有顔料ペーストを調製した。次いで、この樹脂含有顔料ペーストに、上記(1)で得られたアクリル樹脂エマルション及び上記(2)のウレタン樹脂エマルションをそれぞれ70質量部、30質量部(ともに樹脂固形分基準)を加え、均一に混合して、水性塗料組成物を得た。
アルミニウム顔料ペースト(旭化成社製のアルミペースト「MH−8801」、アルミニウム顔料の含有率:65質量%)15質量部(アルミニウム顔料として9.75質量部)に対して、上記(3)で得られたリン酸基含有アクリル樹脂を含む液を4質量部(樹脂固形分基準)加え、均一に混合して、樹脂含有顔料ペーストを調製した。次いで、この樹脂含有顔料ペーストに、上記(1)で得られたアクリル樹脂エマルション及び上記(2)のウレタン樹脂エマルションをそれぞれ70質量部、30質量部(ともに樹脂固形分基準)を加え、均一に混合して、水性塗料組成物を得た。
<実施例2>
リン酸基含有アクリル樹脂を含む液の添加量を6質量部(樹脂固形分基準)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
リン酸基含有アクリル樹脂を含む液の添加量を6質量部(樹脂固形分基準)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
<比較例1>
リン酸基含有アクリル樹脂を含む液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
リン酸基含有アクリル樹脂を含む液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
各実施例・比較例で調製した水性塗料組成物の配合組成を表1にまとめた。
〔調色容易性の評価〕
各実施例・比較例で調製した水性塗料組成物を鋼板上にスプレー塗装した後、エアブローにより乾燥させて厚み15μmの乾燥塗膜を得た。次いで、その上にウレタンクリヤー塗膜を形成して、試験塗膜1を得た。一方、各実施例・比較例で調製した水性塗料組成物を白黒隠蔽紙上にドクターブレード(10MIL)を用いて塗装して、未乾燥の試験塗膜2(厚み250μm)を得た。
〔調色容易性の評価〕
各実施例・比較例で調製した水性塗料組成物を鋼板上にスプレー塗装した後、エアブローにより乾燥させて厚み15μmの乾燥塗膜を得た。次いで、その上にウレタンクリヤー塗膜を形成して、試験塗膜1を得た。一方、各実施例・比較例で調製した水性塗料組成物を白黒隠蔽紙上にドクターブレード(10MIL)を用いて塗装して、未乾燥の試験塗膜2(厚み250μm)を得た。
X−Rite社製「MA−61B」を用いて試験塗膜1及び2のJIS Z 8729に従うL*a*b*値を測定し、これらの値から試験塗膜1と試験塗膜2との間のJIS Z 8730に従う色差ΔEを算出した。結果を表1に示す。実施例1及び2の水性塗料組成物は、それ自体の色相(試験塗膜2の色相)と、塗装し、乾燥させて塗膜としたときの色相(試験塗膜1の色相)とがほぼ同じであった。
Claims (5)
- リン酸基不含有の水性アクリル樹脂(A−1)30〜70質量%、及び水性ウレタン樹脂(A−2)30〜70質量%からなる第1樹脂成分(A)100質量部と、
リン酸基含有アクリル樹脂からなる第2樹脂成分(B)1〜10質量部と、
アルミニウム顔料(C)5〜20質量部と、
を含む水性塗料組成物。 - パール顔料及び/又は着色顔料をさらに含む、請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記水性アクリル樹脂がアクリル樹脂エマルションであり、前記水性ウレタン樹脂がウレタン樹脂エマルションである、請求項1又は2に記載の水性塗料組成物。
- 請求項1に記載の水性塗料組成物を調製し、その水性塗料組成物自体の色相に基づいて調色する工程と、
調色された水性塗料組成物を被塗物に塗装した後、乾燥させて塗膜を形成する工程と、
を含む、塗膜形成方法。
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JP2014040423A JP2015164992A (ja) | 2014-03-03 | 2014-03-03 | 水性塗料組成物及び塗膜形成方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018002900A (ja) * | 2016-07-04 | 2018-01-11 | 関西ペイント株式会社 | 水性2液型クリヤ塗料組成物及びこれを用いた塗装体の補修塗装方法。 |
JP2021519375A (ja) * | 2018-03-28 | 2021-08-10 | ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングBASF Coatings GmbH | 水性ベースコート材料およびそのベースコート材料を使用したマルチコート系の製造方法 |
-
2014
- 2014-03-03 JP JP2014040423A patent/JP2015164992A/ja active Pending
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JP7314165B2 (ja) | 2018-03-28 | 2023-07-25 | ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 水性ベースコート材料およびそのベースコート材料を使用したマルチコート系の製造方法 |
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