JP2015163680A - 変性ポリマーおよびゴム組成物並びに空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1の請求項1には、「変性ブタジエンゴムを5〜100重量%含むジエン系ゴム100重量部にシリカを10〜120重量部配合したゴム組成物であって、前記変性ブタジエンゴムが、シス含量が90%以上のブタジエンゴムを、窒素含有複素環を分子中に有するニトロン化合物で変性したものであることを特徴とするゴム組成物。」が開示されている。特許文献1には、ニトロン化合物により変性することで発熱性が低減することが示されている。
このようななか、本発明者らが特許文献1をもとにニトロン化合物により変性したポリマーを使用してゴム組成物を調製したところ、変性による発熱性の低減が小さい場合があり、必ずしも昨今要求されるレベルを満たすものではないことが明らかとなった。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
上記スチレン−共役ジエン共重合体(A)中のスチレン単位の含有量が、10質量%以上であり、
上記スチレン−共役ジエン共重合体(A)に含まれる全ての二重結合のうちビニル結合が占める割合が、5mol%以上である、変性ポリマー。
(2) 上記ニトロン化合物(B)が、カルボキシ基を有する、上記(1)に記載の変性ポリマー。
(3) 上記ニトロン化合物(B)が、N−フェニル−α−(4−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(3−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(2−カルボキシフェニル)ニトロン、N−(4−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン、N−(3−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロンまたはN−(2−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロンである、上記(1)または(2)に記載の変性ポリマー。
(4) 上記スチレン−共役ジエン共重合体(A)が、スチレンブタジエンゴムである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の変性ポリマー。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の変性ポリマーを含有するゴム組成物。
(6) 上記(5)に記載のゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の変性ポリマーは、スチレン−共役ジエン共重合体(A)を、ニトロン化合物(B)によって変性することで得られる変性ポリマーである。ここで、上記スチレン−共役ジエン共重合体(A)中のスチレン単位の含有量は、10質量%以上であり、上記スチレン−共役ジエン共重合体(A)に含まれる全ての二重結合のうちビニル結合が占める割合は、5mol%以上である。
本発明の変性ポリマーはこのような構成をとるため、ゴム組成物としたときの発熱性が変性により大幅に低減されたものになると考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
このことは後述する比較例が示すように、特定の構造を有さないスチレン−共役ジエン共重合体を使用した場合(比較例1および2)には、変性による発熱性の低減が小さいことからも推測される。
本発明の変性ポリマーに使用されるスチレン−共役ジエン共重合体(A)は、スチレン−共役ジエン共重合体(A)中のスチレン単位の含有量が10質量%以上であり、スチレン−共役ジエン共重合体(A)に含まれる全ての二重結合のうちビニル結合が占める割合が5mol%以上である、スチレン−共役ジエン共重合体であれば特に制限されない。
ここで、「スチレン−共役ジエン共重合体(A)に含まれる全ての二重結合のうちビニル結合が占める割合」とは、スチレン−共役ジエン共重合体(A)に含まれる共役ジエンに由来する全ての二重結合のうちビニル結合が占める割合(mol%)を表し、より具体的には、共役ジエンの結合様式であるシス−1,4−結合、トランス−1,4−結合および1,2−ビニル結合のうち1,2−ビニル結合が占める割合(mol%)を表す。
本発明の変性ポリマーに使用されるニトロン化合物(B)は、下記式(1)で表されるニトロン基を有する化合物であれば特に制限されない。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基などが挙げられ、なかでも、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基などが挙げられ、なかでも、炭素数7〜13のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜11のアラルキル基がより好ましく、ベンジル基がさらに好ましい。
なお、このような置換基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、トリル基、キシリル基などの置換基を有するアリール基;メチルベンジル基、エチルベンジル基、メチルフェネチル基などの置換基を有するアラルキル基;等が挙げられる。
mが示す整数としては、ニトロン化合物を合成する際の溶媒への溶解度が良好になり合成が容易になるという理由から、0〜2の整数が好ましく、0〜1の整数がより好ましい。
nが示す整数としては、ニトロン化合物を合成する際の溶媒への溶解度が良好になり合成が容易になるという理由から、0〜2の整数が好ましく、0〜1の整数がより好ましい。
また、mとnとの合計(m+n)は、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。
本発明の変性ポリマーの製造方法としては特に制限されないが、上述したスチレン−共役ジエン共重合体(A)とニトロン化合物(B)とを、例えば100〜200℃で1〜30分間混合する方法が挙げられる。
このとき、下記式(4)または下記式(5)に示すように、上記スチレン−共役ジエン共重合体(A)が有する共役ジエンに由来する二重結合とニトロン化合物(B)が有するニトロン基との間で、環化付加反応が起こり、五員環を与える。なお、下記式(4)は1,4−結合とニトロン化合物との反応を表し、下記式(5)は1,2−ビニル結合とニトロン化合物との反応を表す。
ここで、変性率とは、上記スチレン−共役ジエン共重合体(A)が有する共役ジエンに由来する全ての二重結合のうち、ニトロン化合物(B)によって変性された割合(mol%)を表し、より具体的には、ニトロン化合物(B)による変性によって上記式(4)または上記式(5)の構造が形成された割合(mol%)を表す。変性率は、例えば、上記スチレン−共役ジエン共重合体(A)および変性ポリマー(すなわち、変性前後のポリマー)のNMR測定を行うことで求めることができる。
本発明のゴム組成物(以下、本発明の組成物とも言う)は、本発明の変性ポリマーを含有するゴム組成物である。
本発明の組成物が変性ポリマー以外のジエン系ゴムを含有する場合、変性ポリマー以外のジエン系ゴムと本発明の変性ポリマーとの合計に対する変性ポリマーの含有量は特に制限されないが、10〜100質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物は、上述した変性ポリマー以外のジエン系ゴムを含有するのが好ましい。
上記ジエン系ゴムは特に限定されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。上記ジエン系ゴム(A)は、1種のジエン系ゴムを単独で用いても、2種以上のジエン系ゴムを併用してもよい。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴムなどが挙げられる。なかでも、得られるタイヤの耐摩耗性の観点から、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)であることが好ましい。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体に含まれる全ての二重結合のうちビニル結合が占める割合は、20〜80mol%であることが好ましく、25〜65mol%であることがより好ましい。ここで、ビニル結合の割合とは、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体に含まれる共役ジエンに由来する全ての二重結合のうちビニル結合が占める割合(mol%)を表し、より具体的には、共役ジエンの結合様式であるシス−1,4−結合、トランス−1,4−結合および1,2−ビニル結合のうち1,2−ビニル結合が占める割合を表す。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を製造する際に使用される単量体としての、芳香族ビニルおよび共役ジエンは特に限定されない。
共役ジエン単量体の具体例は、上述したスチレン−共役ジエン共重合体(A)と同じである。
また、芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体とともに上記ブタジエンゴム(BR)を併用する場合、上記ブタジエンゴム(BR)の含有量は特に制限されないが、ジエン系ゴムと上述した変性ポリマーとの合計に対して、10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物はシリカを含有するのが好ましい。
上記シリカは特に制限されないが、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
シリカの具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
本発明において、上記シリカは、ゴムの補強性の観点から、湿式シリカであることが好ましい。
本発明の組成物はカーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは、特に限定されず、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、FEF等の各種グレードのものを使用することができる。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄または加硫促進剤を含有する場合は、硫黄および加硫促進剤以外の成分を先に混合し(例えば、60〜160℃で混合し)、冷却してから、硫黄または加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を使用した空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッドに使用した空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
2Lナスフラスコに、40℃に温めたメタノール(900mL)を入れ、ここに、下記式(b−1)で表されるテレフタルアルデヒド酸(30.0g)を加えて溶かした。この溶液に、下記式(a−1)で表されるフェニルヒドロキシアミン(21.8g)をメタノール(100mL)に溶かしたものを加え、室温で19時間撹拌した。撹拌終了後、メタノールからの再結晶により、下記式(c−1)で表されるニトロン化合物(カルボキシニトロン)を得た(41.7g)。収率は86%であった。得られたニトロン化合物を化合物1とする。
2Lナスフラスコに、40℃に温めたメタノール(900mL)を入れ、ここに、下記式(b−2)で表される2−ピリジンカルボキシアルデヒド(21.4g)を加えて溶かした。この溶液に、下記式(a−2)で表されるフェニルヒドロキシアミン(21.8g)をメタノール(100mL)に溶かしたものを加え、室温で19時間撹拌した。撹拌終了後、メタノールからの再結晶により、下記式(c−2)で表されるニトロン化合物(ピリジルニトロン)を得た(39.0g)。収率は90%であった。得られたニトロン化合物を化合物2とする。
300mLナスフラスコに、下記式(b−3)で表されるイミダゾール−4−カルボキシアルデヒド(35g)およびエタノール(10mL)を入れ、ここに、下記式(a−3)で表されるフェニルヒドロキシアミン(43.65g)をエタノール(70mL)に溶かしたものを加え、室温で22時間撹拌した。撹拌終了後、エタノールからの再結晶により、下記式(c−3)で表されるニトロン化合物(イミダゾールニトロン)を得た。得られたニトロン化合物を化合物3とする。
下記表1に示される「変性前のSBRのスチレン単位含有量」および「変性前のSBRのビニル結合量」を有するSBR(100質量部(油展品の場合は、SBRの正味の量として100質量部))と下記表1に示されるニトロン化合物(上述のとおり合成した化合物1〜3)(1質量部、実施例8のみ:7質量部、実施例9のみ:0.5質量部)とをミキサー(160℃)で5分間混合することで、SBRをニトロン化合物で変性した変性ポリマー(実施例および比較例の変性ポリマー)を得た。ここで、スチレン単位含有量とは、上述した「スチレン−共役ジエン共重合体中のスチレン単位の含有量」を表す。また、ビニル結合量とは、上述した「スチレン−共役ジエン共重合体に含まれる全ての二重結合のうちビニル結合が占める割合」を表す。
また、得られた変性ポリマーについてNMR測定を行い、変性率を求めた。具体的には、ニトロン化合物として化合物1を使用した例については、変性前後のポリマーについて、CDCl3を溶媒とした1H−NMR測定(CDCl3、400MHz、TMS)により、8.08ppm付近(カルボキシ基に隣接する2つのプロトンに帰属する)のピーク面積を測定し、変性率を算出した。また、ニトロン化合物として化合物2または3を使用した例についても、それぞれピリジル基またはイミダゾリル基に由来するピーク面積を測定した以外は同様に変性率を算出した。なお、変性後のポリマー(変性ブタジエンゴム)の1H−NMR測定は、変性後の生成物をトルエンに溶解して、メタノールに沈殿させる精製を2回繰り返した後に、減圧下で乾燥したサンプルを用いて測定した。結果を表1に示す。
・実施例1:タフデン 1000(旭化成ケミカルズ社製)
・実施例2:タフデン 2000R(旭化成ケミカルズ社製)
・実施例3:NIPOL 1502(日本ゼオン社製)
・実施例4:NIPOL NS460(日本ゼオン社製、油展品(油展量:37.5質量%))
・実施例5:NIPOL 9548(日本ゼオン社製、油展品(油展量:37.5質量%))
・実施例6:タフデン3835(旭化成ケミカルズ社製、油展品(油展量:37.5質量%))
・実施例7:NIPOL NS522(日本ゼオン社製)
・実施例8:NIPOL NS460(日本ゼオン社製、油展品(油展量:37.5質量%))
・実施例9:タフデン 1000(旭化成ケミカルズ社製)
・実施例10:タフデン3835(旭化成ケミカルズ社製、油展品(油展量:37.5質量%))
・実施例11:タフデン3835(旭化成ケミカルズ社製、油展品(油展量:37.5質量%))
下記表1のゴム組成物の欄に示される成分を同表に示される割合(質量部)で配合した。具体的には、まず、下記表1に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、80℃のバンバリーミキサーで5分間混合した。次に、ロールを用いて、硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
調製したゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。
上述のとおり作製した加硫ゴムシートについて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で、温度0℃の損失正接tanδ(0℃)を測定した。
結果を表1に示す。なお、結果は、各変性ポリマー(30質量部)の代わりに変性前の各SBR(30質量部)を使用した場合の値を100%とするパーセンテージで表した。なお、tanδ(0℃)の値が大きいほど、ウェットグリップ性能が優れる。
上述のとおり作製した加硫ゴムシートについて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で、温度60℃の損失正接tanδ(60℃)を測定した。結果は、各変性ポリマー(30質量部)の代わりに変性前の各SBR(30質量部)を使用した場合の値を100%とするパーセンテージで表した。なお、tanδ(60℃)が小さいほど、発熱性が低く、好ましい。
・BR:ブタジエンゴム(NIPOL BR 1220、日本ゼオン社製)
・SBR:スチレンブタジエンゴム(E580(旭化成ケミカルズ社製、油展品(油展量:37.5質量%))
・変性ポリマー:上述のとおり合成した各変性ポリマー(各実施例および比較例の変性ポリマー)
・シリカ:ZEOSIL 165GR(ロディアシリカコリア社製)
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・亜鉛華:亜鉛華3号(正同化学社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(日油社製)
・老化防止剤:SANTOFLEX 6PPD(Soltia Europe社製)
・シランカップリング剤:Si69(エボニック・デグサ社製)
・プロセスオイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・硫黄:油処理硫黄(軽井沢精錬所社製)
・加硫促進剤(CZ):ノクセラー CZ−G(大内振興化学工業社製)
・加硫促進剤(DPG):ソクシノール D−G:(住友化学社製)
実施例1〜9の対比から、変性ポリマーの変性率が0.20mol%以上である実施例1〜8は、変性による発熱性の低減がより大きかった。
実施例1〜8の対比から、スチレン単位含有量が26質量%以上である実施例4〜8は、変性によるウェットグリップ性能の向上が大きかった。なかでも、ビニル結合の割合が50mol%以上である実施例4および8は、変性による発熱性の低減がより大きかった。
実施例6と10と11との対比から、ニトロン化合物として上述した式(3)で表される化合物(カルボキシニトロン)を使用した実施例6は、変性による発熱性の低減がより大きかった。
一方、変性するポリマーとして特定の構造を有するスチレン−共役ジエン共重合体以外のスチレン−共役ジエン共重合体を使用した比較例1および2は、いずれも変性による発熱性の低減が小さかった。
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
Claims (6)
- スチレン−共役ジエン共重合体(A)を、ニトロン化合物(B)によって変性することで得られる変性ポリマーであって、
前記スチレン−共役ジエン共重合体(A)中のスチレン単位の含有量が、10質量%以上であり、
前記スチレン−共役ジエン共重合体(A)に含まれる全ての二重結合のうちビニル結合が占める割合が、5mol%以上である、変性ポリマー。 - 前記ニトロン化合物(B)が、カルボキシ基を有する、請求項1に記載の変性ポリマー。
- 前記ニトロン化合物(B)が、N−フェニル−α−(4−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(3−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(2−カルボキシフェニル)ニトロン、N−(4−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン、N−(3−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロンおよびN−(2−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロンからなる群より選択される化合物である、請求項1または2に記載の変性ポリマー。
- 前記スチレン−共役ジエン共重合体(A)が、スチレンブタジエンゴムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性ポリマー。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の変性ポリマーを含有するゴム組成物。
- 請求項5に記載のゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
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