JP2015163560A - 多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物および多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物 - Google Patents

多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物および多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物 Download PDF

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浩司 豊田
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孝一郎 稲葉
静夫 富安
Shizuo Tomiyasu
静夫 富安
健一 羽賀
Kenichi Haga
健一 羽賀
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Abstract

【課題】多孔質状の酸化亜鉛薄膜製造用組成物及び多孔質状の3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜製造用組成物を提供する。【解決手段】一般式(1) で表される有機亜鉛化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.05以上、0.9未満の範囲で水を添加して前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物、及びハロゲン含有有機化合物を含有することを特徴とする、多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物。R1−Zn−R1(1)(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)上記組成物にさらに、3B族元素化合物又はその(部分)加水分解物を含有する多孔質状の3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜製造用組成物。【選択図】なし

Description

加熱することにより、多孔質状の酸化亜鉛薄膜を形成することができる有機亜鉛化合物を原料として調製した、発火性がなく取扱いが容易な多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物および3B族元素をドープした多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物に関する。
可視光線に対して高い透過性を有する透明な酸化亜鉛薄膜や3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜は、光触媒膜、紫外線カット膜、赤外線反射膜、CIGS太陽電池のバッファ層、色素増感太陽電池の電極膜、帯電防止膜等に使用され、幅広い用途を持つ。
透明な酸化亜鉛薄膜や3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜の製造方法としては種々の方法が知られている(非特許文献1)。有機亜鉛化合物を原料として用いる代表的な方法としては、化学気相成長(CVD)法(非特許文献2)と、スプレー熱分解法(非特許文献3)、スピンコート法(特許文献1)、ディップコート法(非特許文献4)等の塗布法とがある。
しかしながら、化学気相成長(CVD)法では、大型の真空容器を用いる必要があり、かつ製膜速度が非常に遅いために製造コストが高くなる。また、真空容器の大きさにより形成することのできる酸化亜鉛薄膜の大きさが制限される為に大型のものを形成することができない、等の問題があった。
上記塗布法は、上記化学気相成長(CVD)法に比べて装置が簡便で膜形成速度が速いため生産性が高く製造コストも低い。また、真空容器を用いる必要がなく真空容器による制約がない為、大きな3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜の作成も可能であるという利点がある。
上記スプレー熱分解法では、スプレー塗布と同時に溶媒乾燥し、次いで基板温度を3 60℃以上に加熱することで酸化亜鉛薄膜や3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜塗膜を得ている。
上記スピンコート法およびディップコート法は、スピンコートまたはディップコート後に溶媒を乾燥し、次いで基板温度を400℃以上に加熱することで酸化亜鉛薄膜や3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜塗膜を得ている。
近年、300℃以下の加熱で透明な酸化亜鉛薄膜や3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜を形成することができる酸化亜鉛薄膜製造用組成物として、例えば、ジエチル亜鉛のような有機亜鉛化合物を電子供与性有機溶媒に溶解した溶液に、水を添加して、前記有機亜鉛化合物を少なくとも部分的に加水分解することにより得られる生成物および前記生成物に3B族元素を含む化合物を共存させて種々の処理により得られた化合物が知られている(特許文献3、特許文献4および特許文献5)
特開平7−182939号公報 特開2010−126402号公報 特開2011−46566号公報 特開2011−168407号公報 特開2012−87014号公報
日本学術振興会透明酸化物光電子材料第1 6 6 委員会編、透明導電膜の技術 改訂2版(2006)、p165〜173 K. Sorab, et al. Appl. Phys. Lett., 37(5), 1 September 1980 F. Paraguay D, et al. Thin Solid films., 16(366), 2000 Y. Ohya, et al. J. Mater. Sci., 4099(29), 1994
色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池、無機薄膜太陽電池、酸化物センサ、触媒担体、吸着膜、分離膜等の用途に使用される酸化亜鉛薄膜や3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜は、その形状として多孔質状のものが好ましく用いられる場合がある。
本発明者らは、特許文献3、特許文献4および特許文献5に記載の、300℃以下の加熱で透明な酸化亜鉛薄膜や3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜を形成することができる酸化亜鉛薄膜製造用組成物である、ジエチル亜鉛のような有機亜鉛化合物を電子供与性有機溶媒等の有機溶媒に溶解した溶液に、水を添加して、前記有機亜鉛化合物を少なくとも部分的に加水分解することにより得られる生成物および前記生成物に3B族元素を含む化合物を共存させて種々の処理により得られた化合物を用いて酸化亜鉛薄膜や3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜の形成をを行ったところ、得られた酸化亜鉛薄膜や3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜は、緻密な薄膜が得られるものの、多孔質状の薄膜は得ることができなかった。
そこで本発明の目的は、ジエチル亜鉛のような有機亜鉛化合物を電子供与性有機溶媒等の有機溶媒に溶解した溶液に、水を添加して、前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解することにより得られる生成物および前記生成物に3B族元素を含む化合物を共存させて種々の処理により得られた化合物を改良して、多孔質状の酸化亜鉛薄膜や多孔質状の3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜を形成することができる、多孔質状の酸化亜鉛薄膜製造用組成物や多孔質状の3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜製造用組成物を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、以下のとおりである。
[1]
一般式(1)で表される有機亜鉛化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.05以上、0.9未満の範囲で水を添加して前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物、及びハロゲン含有有機化合物を含有することを特徴とする、多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物。
1−Zn−R1 (1)
(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
[2]
下記一般式(1)で表される有機亜鉛化合物と、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される3B族元素化合物の少なくとも1種とを有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物および3B族元素化合物の合計量に対するモル比が0.05以上〜0.9未満の範囲で水を添加して、少なくとも前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物(但し、前記3B族元素化合物は、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.005〜0.3の割合である)及びハロゲン含有有機化合物が含有することを特徴とする、多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物。
1−Zn−R1 (1)
(式中、R1 は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
cd・aH2O (2)
(式中、M は3B族元素であり、X は、ハロゲン原子、硝酸根(NO )または硫酸根(SO 2+)であり、X がハロゲン原子または硝酸根の場合、c は1 、d は3 、X が硫酸根の場合、c は2 、d は3 、a は0〜 9 の整数である。)
(式中、M は3B族元素であり、R2、R3、R4 は独立に、水素、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、カルボン酸基、またはアセチルアセトナート基であり、さらにL は窒素、酸素またはリンを含有した配位性有機化合物であり、nは0〜9の整数である。)
[3]
前記部分加水分解物は、前記3B族元素化合物の部分加水分解物を含む[2]に記載の組成物。
[4]
一般式(1)で表される有機亜鉛化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.05以上、0.9未満の範囲で水を添加して、前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.005〜0.3の割合の一般式(2)または一般式(3)で表される3B族元素化合物の少なくとも1 種、及びハロゲン含有有機化合物を含有することを特徴とする、多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物。
1−Zn−R1 (1)
( 式中、R 1 は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
cd・aH2O (2)
( 式中、Mは3B族元素であり、Xは、ハロゲン原子、硝酸根(NO )または硫酸根(SO 2+)であり、Xがハロゲン原子または硝酸根の場合、cは1、dは3 、X が硫酸根の場合、cは2、dは3、a は0〜9の整数である。)
( 式中、Mは3B族元素であり、R2、R3、R4は独立に、水素、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、カルボン酸基、またはアセチルアセトナート基であり、さらにLは窒素、酸素またはリンを含有した配位性有機化合物であり、nは0〜9の整数である。)
[5]
前記組成物は、前記3B族元素化合物の加水分解物を実質的に含まない[4]に記載の組成物。
[6]
前記部分加水分解物調製に用いる有機溶媒が、ハロゲン含有有機化合物であるか、またはハロゲン含有有機化合物を含有する有機溶媒である[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
前記部分加水分解物調製に用いる有機溶媒が、30質量%以上のハロゲン含有有機化合物を含有する有機溶媒である[6]に記載の組成物。
[8]
前記有機亜鉛化合物の部分加水分解物の濃度が1〜30質量%の範囲である[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]
前記有機亜鉛化合物は、R1 が炭素数1、2、3、4、5、または6のアルキル基である化合物である[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]
前記有機亜鉛化合物がジエチル亜鉛である[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
本発明の多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物および多孔質状3B族元素をドープした酸化亜鉛薄膜製造用組成物を用いれば、塗布および加熱を行うだけで多孔質状の酸化亜鉛薄膜および多孔質状の3B族元素がドープされた酸化亜鉛薄膜を製造することができる。
実施例1で得られた組成物の真空乾燥後のNMRスペクトル 参考例1で得られた多孔質状酸化亜鉛薄膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜表面) 参考例1で得られた多孔質状酸化亜鉛薄膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜断面) 参考例1で得られた多孔質状酸化亜鉛薄膜のXRD チャート 参考例2で得られた多孔質状酸化亜鉛薄膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜表面) 参考例3で得られた多孔質状酸化亜鉛薄膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜表面) 参考例4で得られたガリウムがドープされた多孔質状酸化亜鉛薄膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜表面) 比較例1で得られた酸化亜鉛薄膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜表面) 比較例1で得られた酸化亜鉛薄膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜断面) 比較例2で得られた酸化亜鉛薄膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜表面) 比較例2で得られた酸化亜鉛薄膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜断面)
[多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物]
本発明の多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物は、
一般式(1) で表される有機亜鉛化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.05以上、0.9未満の範囲で水を添加して前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物(以下、部分加水分解物1ということがある)、及びハロゲン含有有機化合物を含有することを特徴とする、多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物である。
1−Zn−R1 (1)
(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
[多孔質状3B族元素をドープした酸化亜鉛薄膜製造用組成物]
本発明の多孔質状3B族元素をドープした酸化亜鉛薄膜製造用組成物は、
(i)下記一般式(1)で表される有機亜鉛化合物と、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される3B族元素化合物の少なくとも1種とを有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物および3B族元素化合物の合計量に対するモル比が0.05以上〜0.9未満の範囲で水を添加して、少なくとも前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物(但し、前記3B族元素化合物は、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.005〜0.3の割合である) (以下、部分加水分解物2と言うことがある)及びハロゲン含有有機化合物が含有することを特徴とする、多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物、並びに
(ii)一般式(1)で表される有機亜鉛化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.05以上、0.9未満の範囲で水を添加して、前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物(部分加水分解物1)、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.005〜0.3の割合の一般式(2)または一般式(3)で表される3B族元素化合物の少なくとも1種、及びハロゲン含有有機化合物が含有することを特徴とする、多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物である。尚、前記部分加水分解物1と前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.005〜0.3の割合の一般式(2)または一般式(3)で表される3B族元素化合物の少なくとも1 種を含有する組成物を部分加水分解物3と呼ぶことがある。
1−Zn−R1 (1)
(式中、R 1 は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
cd・aH2O (2)
(式中、Mは3B族元素であり、Xは、ハロゲン原子、硝酸根(NO )または硫酸根(SO 2+)であり、Xがハロゲン原子または硝酸根の場合、cは1、dは3、Xが硫酸根の場合、cは2、dは3、a は0〜9の整数である。)
(式中、Mは3B族元素であり、R2 、R3 、R4 は独立に、水素、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、カルボン酸基、またはアセチルアセトナート基であり、さらにL は窒素、酸素またはリンを含有した配位性有機化合物であり、nは0〜9の整数である。)
部分加水分解物2においては、有機亜鉛化合物と3B族元素化合物の混合溶液に水を添加するので、前記生成物は、通常、前記3B族元素化合物の加水分解物を含む。3B族元素化合物の加水分解物は、水の添加量等によるが、部分加水分解物であることができる。また、部分加水分解物3においては、有機亜鉛化合物に水を添加して部分加水分解物1を調製した後に、3B族元素化合物と混合すること、及び部分加水分解物1調製における有機亜鉛化合物に対する水添加のモル比が0.05以上、0.9未満の範囲であることから、添加した水が有機亜鉛化合物の加水分解に消費された後に3B族元素化合物へ添加されており、部分加水分解物3は、通常、前記3B族元素化合物の加水分解物は含まない。3B族元素化合物は、加水分解されず、原料のままで含有されるか、あるいは、有機亜鉛化合物の部分加水分解物が有する有機基と3B族元素化合物の有機基(配位子)が交換(配位子交換)したものになる可能性もある。
前記水の添加量は、部分加水分解物1においては、前記水の添加量は、前記有機亜鉛化合物に対するモル比を0.05以上、0.9未満の範囲とする。また、部分加水分解物2においては、前記有機亜鉛化合物と3B族元素化合物の合計量に対するモル比を0.05以上、0.9未満の範囲とする。
以下、部分加水分解物1〜3について合わせて説明する。
有機溶媒は、部分加水分解物1においては、一般式(1)で表される有機亜鉛化合物に対して溶解性を有するものであればよく、部分加水分解物2および3においては、一般式(1)で表される有機亜鉛化合物、一般式(2)または(3)で表される3B族元素化合物および水に対して溶解性を有するものであればよいが、特に、電子供与性溶媒や炭化水素溶媒の使用が好ましい。また、有機溶媒は、水に対して溶解性を有するものを用いることもでき、水に対して溶解性を有する有機溶媒と水に対する溶解性が低いものを併用することもできる。
前記部分加水分解物調製に用いる有機溶媒は、ハロゲン含有有機化合物であるか、またはハロゲン含有有機化合物を含有する有機溶媒であることができる。前記部分加水分解物調製に用いる有機溶媒が、ハロゲン含有有機化合物を含有する有機溶媒である場合、ハロゲン含有有機化合物の含有量は全有機溶媒に対して30質量%以上であることが多孔質状の薄膜を得るためには好ましく、ハロゲン含有有機化合物の含有量は、全有機溶媒に対して50質量%以上、70質量%以上、90質量%以上であることがさらに好ましい。ハロゲン含有有機化合物以外の有機溶媒は、電子供与性溶媒や炭化水素溶媒であることができる。
な電子供与性有機溶媒の例としては、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキエタンやジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、ジグライム、トリグライム、アニソール、メトキシトルエン等のエーテル系溶媒、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等のアミン系溶媒等を挙げることができる。電子供与性を有する溶媒としては、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンが好ましい。
また、本発明では、溶媒として炭化水素化合物を用いることが出来る。前記炭化水素化合物としては、炭素数5〜20のより好ましくは炭素数6〜12の直鎖、分岐炭化水素化合物または環状炭化水素化合物、炭素数6〜20の、より好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素化合物およびそれらの混合物を例示することが出来る。
これら炭化水素化合物の具体的な例として、ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、イソヘキサン、メチルペンタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、n−デカン、n−ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2−メチルオクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン、石油エーテル等の炭化水素系溶媒を挙げることが出来る。
本発明の多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物および多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物は、ハロゲン含有有機化合物を含有することを特徴とする。ハロゲン含有有機化合物は、化合物の構造中にハロゲンを有するものであれば特に制限はなく、例えば、炭化水素化合物の塩化物、臭化物、ヨウ化等のハロゲン化物が挙げられ、特に、本発明で使用する有機亜鉛化合物の使用の観点から、特に塩素を含む炭化水素化合物が望ましく、さらに好ましくは塩素を含む芳香族または脂肪族炭化水素が好ましい。これらの例として、クロロベンゼン、o−、p-またはm−クロロトルエン、o−またはm−ジクロロベンゼン等の塩素を含む芳香族炭化水素化合物、クロロヘキサン、クロロシクロヘキサン等の塩素を含む脂肪族炭化水素等を挙げることが出来る。これらのハロゲンを構造に含む有機化合物は、単独でも2種類以上の混合物のどちらでの使用でもよい。
本発明において、ハロゲン含有有機化合物は多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物の構成物として組成物に含有させることが出来、また、組成物を製造する際において、有機溶媒の一部又は全部として使用し、そのまま本発明の組成物に含有させることもできる。これら、ハロゲン含有有機化合物は前述の電子供与性溶媒や炭化水素溶媒と共存して使用しても良い。
前記一般式(1)で表される有機亜鉛化合物におけるR1として表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−ヘキシル基、およびヘプチル基を挙げることができる。一般式(1)で表される化合物は、R1 が炭素数1、2、3、4、5、または6 の化合物であることが好ましい。一般式(1)で表される化合物は、特にR1 が炭素数2である、ジエチル亜鉛であることが好ましい。
前記一般式(2)で表される3B族元素化合物におけるMとして表される金属の具体例としては、B、Al、Ga、Inを挙げことができる。また、Xとして表される塩の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、硝酸、硫酸、リン酸を挙げることができる。
一般式(2)で表される3B族元素化合物は、特に、塩化ホウ素、塩化アルミニウム6水和物、硝酸アルミニウム9水和物、塩化ガリウム、硝酸ガリウム水和物、塩化インジウム4水和物、硝酸インジウム5水和物を挙げることができる。
前記一般式(3)で表される3B族元素化合物におけるMとして表される金属の具体例としては、B、Al、Ga、Inを挙げことができる。また、R2、R3、及びR4は水素であることが好ましい。あるいは、R2、R3、及びR4はアルキル基であることも好ましく、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−ヘキシル基、およびヘプチル基を挙げることができる。R2、R3、及びR4 は、少なくとも1つが水素であり、残りがアルキル基であることも好ましい。Lとして表される配位子は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、ピリジン、モノフォリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トリフェニルフォスフィン、ジメチル硫黄、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランを挙げることができる。一般式(3)で表される3B族元素化合物は、特に、ジボラン、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−トリメチルアミン錯体、ボラン−トリエチルアミン錯体、トリエチルボラン、トリブチルボラン、アラン− トリメチルアミン錯体、アラン−トリエチルアミン錯体、トリメチルアルミニウム、ジメチルアミルニウムヒドリド、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウムを挙げることができる。価格が安く入手が容易であるという点から、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリメチルインジウムが特に好ましい。
本発明の組成物(部分加水分解物2および3)においては、前記一般式(1)で表される有機亜鉛化合物と有機亜鉛化合物に対する前記一般式(2)または(3)で表される3B族元素化合物のモル比が0.005〜0.3の割合で添加する。3B族元素化合物の添加量が多くなり過ぎると、不純物として膜特性を劣化させる傾向がある為、0.005〜0.1の割合とすることが好ましい。但し、部分加水分解物2 においては、上記モル比で有機亜鉛化合物と3B族元素化合物を含有する溶液に水を添加して部分加水分解物を得る。また、部分加水分解物3 においては、有機亜鉛化合物を含有する溶液に水を添加して部分加水分解物を得、その上で、上記モル比で3B族元素化合物を添加する。
前記一般式(1)で表される化合物を前記有機溶媒に溶解した溶液における、前記一般式(1)で表される化合物の濃度は、溶媒への溶解性等を考慮して適宜決定されるが、例えば、0.1〜50質量% の範囲とすることが適当であり、1〜30質量%の範囲が好ましい。前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)または(3)で表される3B族元素化合物を前記電子供与性有機溶媒に溶解した溶液における、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)または(3)で表される3B族元素化合物の合計量の濃度は、溶媒への溶解性等を考慮して適宜決定されるが、例えば、0.1〜50質量%の範囲とすることが適当である。
前記一般式(1)の有機亜鉛化合物を部分加水分解した後、前記一般式(2)または(3)の3B 元素化合物を添加する場合(部分加水分解物3の場合)、前記一般式(1)で表される化合物を前記電子供与性有機溶媒に溶解した溶液における、前記一般式(1)で表される化合物の濃度は、溶媒への溶解性等を考慮して適宜決定されるが、例えば、0.1〜50質量%の範囲とすることが適当である。
水の添加は、水を他の溶媒と混合することなく行うことも、水を他の溶媒と混合した後に行うこともできる。水の添加は、反応の規模にもよるが、例えば、60秒〜10時間の間の時間をかけて行うことができる。生成物の収率が良好であるという観点から、原料である前記一般式(1)の有機亜鉛化合物に水を滴下することにより添加することが好ましい。水の添加は、一般式(1)で表される化合物と電子供与性有機溶媒との溶液を攪拌せずに( 静置した状態で)または攪拌しながら実施することができる。添加時の温度は、−90〜150℃の間の任意の温度を選択できる。−15〜30℃であることが水と有機亜鉛化合物の反応性という観点から好ましい。
水の添加後に、水と一般式(1)で表される化合物と一般式(2)または(3)で表される化合物、もしくは、水と一般式(1)で表される化合物との反応を進行させるために、例えば、1分から48時間、攪拌せずに( 静置した状態で)置くか、または攪拌する。反応温度については、−90〜150℃の間の任意の温度で反応させることができる。5〜80℃であることが部分加水分解物を高収率で得るという観点から好ましい。反応圧力は制限されない。通常は、常圧(大気圧)で実施できる。水と一般式(1)で表される化合物との反応の進行は、必要により、反応混合物をサンプリングし、サンプルをNMRあるいはIR等で分析、もしくは、発生するガスをサンプリングすることによりモニタリングすることができる。
前記の有機溶媒、原料である前記一般式(1)の有機亜鉛化合物、そして水はあらゆる慣用の方法に従って反応容器に導入することができ、溶媒との混合物としても導入することができる。これらの反応工程は回分操作式、半回分操作式、連続操作式のいずれでもよく、特に制限はないが、回分操作式が望ましい。
上記反応により、前記一般式(1)の有機亜鉛化合物と前記一般式(2)または(3)の3B族元素化合物、もしくは、前記一般式(1)の有機亜鉛化合物は、水により部分的に加水分解されて、部分加水分解物を含む生成物が得られる。一般式(1)の有機亜鉛化合物がジエチル亜鉛である場合、水との反応により得られる生成物についての解析は古くから行われているが、報告により結果が異なり、生成物の組成が明確に特定されている訳ではない。また、水の添加モル比や反応時間等によっても、生成物の組成は変化し得る。本発明においては、生成物の主成分は、部分加水分解物2 については、下記一般式(4)および(5)で表される構造単位と下記一般式(6)で表される構造単位を組み合わせた化合物であるか、あるいはm が異なる複数種類の化合物の混合物である。
(R1−Zn)− (4)
−[O−Zn]m− (5)
( 式中、R1 は一般式(1)におけるR1 と同じであり、mは2〜 20の整数である。)
(式中、Mは一般式(2)または(3)におけるMと同じであり、Qは一般式(2)または(3)におけるX、R2、R3、R4 のいずれかと同じであり、mは2〜20の整数である。)
本発明の多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物における部分加水分解物1 や部分加水分解物3については、下記一般式(8)で表される化合物であるか、あるいは、mが異なる複数種類化合物の混合物であると推定される。
1 −Zn−[O−Zn]p−R1 (8)
(式中、R1 は一般式(1)におけるR1 と同じであり、pは2〜20の整数である。)
本発明の多孔質状3B族元素をドープした酸化亜鉛薄膜製造用組成物においては、前記有機亜鉛化合物の加水分解の際に、前記3B族元素化合物を共存させていない場合、反応終了後、前記一般式(2)または(3)の3B族化合物を添加することにより組成物を製造する。前記3B族元素化合物の添加量は、前記有機亜鉛化合物の仕込み量に対して0.005〜0.3である。3B族元素化合物の添加効果を確実にえるいという観点、および添加量が多くなると不純物として膜特性を劣化させる傾向がある為、0.005〜0.1が特に好ましい。
加水分解反応終了後、例えば、ろ過、濃縮、抽出、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、上記生成物の一部または全部を回収及び精製することができる。また、加水分解反応終了後に3B族元素化合物を添加する場合には、ろ過によって、上記生成物の一部または全部を回収及び精製することができる。反応生成物中に、原料である一般式(1) の有機亜鉛化合物が残存する場合には、上記方法で回収することもでき、回収することもできる。
上記方法で有機溶媒から分離して回収した組成物は、反応に使用した有機溶媒と異なる、ハロゲン含有有機化合物からなる、またはハロゲン含有有機化合物を含有する薄膜形成用有機溶媒に溶解して塗布用の溶液とすることもできる。薄膜形成用有機溶媒をハロゲン含有有機化合物からなるものにするか、あるいはハロゲン含有有機化合物を含有するものとすることで、多孔質酸化亜鉛薄膜を形成することができる。ここで用いるハロゲン含有有機化合物は前述と同様のものである。
薄膜形成用有機溶媒として用いることが出来るハロゲン含有有機化合物以外の溶媒の例としては、炭素数5〜20のより好ましくは炭素数6〜12の直鎖、分岐炭化水素化合物または環状炭化水素化合物、炭素数6〜20の、より好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素化合物およびそれらの混合物を例示することが出来る。
これら炭化水素化合物の具体的な例として、ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、イソヘキサン、メチルペンタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、n−デカン、n−ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2−メチルオクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン、石油エーテル等の炭化水素系溶媒を上げることが出来る。
また薄膜形成用有機溶媒として用いることが出来るハロゲン含有有機化合物以外の溶媒のその他の例としては、1,2 − ジエトキシエタン、1,2−ジブトキエタンやジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、ジグライム、トリグライム、アニソール、メトキシトルエン等のエーテル系溶媒、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等のアミン系溶媒等を挙げることができる。
また、これらは単独で使用するのみならず、2 種類以上を混合して用いることも可能である。
また、有機溶媒を分離することなく反応生成混合物をそのまま、あるいは適宜濃度を調整して塗布用の溶液とすることもできる。
多孔質状酸化亜鉛薄膜形成用組成物や多孔質状3B族元素をドープした酸化亜鉛薄膜製造用組成物の固形分濃度は1〜30質量%の範囲を任意に選択できる。濃度が高ければ高いほど少ない塗布回数で薄膜を製造できるが、有機亜鉛化合物の部分加水分解物を含む反応生成物の溶解度、例えば、酸化亜鉛薄膜の形成の容易さを考慮すると1〜12質量%が好ましい。
[酸化亜鉛薄膜の製造方法]
本発明の多孔質状酸化亜鉛薄膜形成用組成物を用いることで、多孔質状酸化亜鉛薄膜の製造することができる。この製造方法は、具体的には、前記本発明の多孔質状酸化亜鉛薄膜形成用組成物を基板表面に塗布し、次いで、得られた塗布膜を加熱して酸化亜鉛薄膜を形成することを含む。
基板表面への塗布は、ディップコート法、スピンコート法、スプレー熱分解法、インクジェット法、スクリーン印刷法等の慣用手段により実施できる。スプレー熱分解法は、基板を加熱しながらできる方法であり、そのため、塗布と並行して溶媒を乾燥させることができ、条件によっては、の溶媒乾燥のための加熱が不要である場合もある。さらに、条件によっては、乾燥に加えて、有機亜鉛化合物の部分加水分解物の酸化亜鉛への反応も少なくとも一部、進行する場合もある。そのため、後工程である、所定の温度での加熱による酸化亜鉛薄膜形成をより容易に行える場合もある。スプレー熱分解法における基板の加熱温度は、例えば、50〜250℃の範囲であることができる。
組成物の基板表面への塗布は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、空気雰囲気下、水蒸気を多く含有した相対湿度が高い空気雰囲気下、酸素等の酸化ガス雰囲気下、水素等の還元ガス雰囲気下、もしくは、それらの混合ガス雰囲気下等のいずれかの雰囲気下、かつ、大気圧または加圧下で実施することができる。本発明の組成物に含まれる生成物は、雰囲気中の水分と反応し徐々に分解することから、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。尚、本発明の方法における塗布は、減圧下でも実施できるが、大気圧で実施するのが装置上も簡便であり好ましい。
基板表面へ塗布液を塗布した後、必要により基板を所定の温度とし、溶媒を乾燥した後、所定の温度で加熱することにより酸化亜鉛薄膜を形成させる。
溶媒を乾燥する温度は、例えば、20〜200℃の範囲であることができ、共存する有機溶媒の種類に応じて適時設定することができる。溶媒乾燥後の酸化亜鉛形成の為の加熱温度は、例えば、20〜500℃の範囲であり、好ましくは25〜300℃の範囲であり、さらに好ましくは30〜250℃の範囲である。溶媒乾燥温度とその後の酸化亜鉛形成の為の加熱温度を同一にし、溶媒乾燥と酸化亜鉛形成を同時に行うことも可能である。
必要に応じて、さらに、酸素等の酸化ガス雰囲気下、水素等の還元ガス雰囲気下、水素、アルゴン、酸素等のプラズマ雰囲気下で、上記加熱を行うことにより酸化亜鉛の形成を促進、または、結晶性を向上させることも可能である。酸化亜鉛薄膜の膜厚には特に制限はないが、実用的には0.01〜5μmの範囲であることが好ましい。本発明の製造方法によれば、上記塗布(乾燥)加熱を1回以上繰り返すことで、上記範囲の膜厚の薄膜を適宜製造することができる。
さらにこの製造方法により形成される多孔質状ドープされた酸化亜鉛薄膜は、3B族元素をドープしたものであることから、さらに成膜方法を工夫することにより、低抵抗な膜を得られる可能性が高くなる。
上記製造方法において基板として用いられるのは、例えば、透明基材フィルムであることができ、透明基材フィルムは、プラスチックフィルムであることができる。プラスチックフィルムを形成するポリマーには、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン(COP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、トリアセテート、セロファンを例示することができる。これら中、PET、PEN、PC、PMMAが好ましい。透明基材フィルムはポリマーの種類によって無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。例えば、ポリエステルフィルム例えばPETフィルムは、通常、二軸延伸フィルムであり、またPCフィルム、トリアセテートフィルム、セロファンフィルム等は、通常、無延伸フィルムである。
以下に本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。全ての有機亜鉛化合物からの部分加水分解物を含む生成物の調製およびそれを用いた成膜は窒素ガス雰囲気下で行い、溶媒は全て脱水および脱気して使用した。
[実施例1]
クロロベンゼン360.0g に、ジエチル亜鉛40.0g を加えた。十分攪拌した後、−11℃まで冷却した。11.5重量% 水を含有したテトラヒドロフラン溶液30.5gを、水のジエチル亜鉛に対するモル比が0.6 になるように滴下した。その後、室温(20℃)まで昇温し、室温で18時間反応させた。反応後の生成物は僅かに不溶物で懸濁した黄色透明溶液であった。この生成物をフィルターでろ過を行い、黄色透明溶液397.4gを得た。反応で得た溶液の一部を真空乾燥により溶媒等を除去した後の1H-NMR(THF−d,ppm)測定により図1のスペクトルを得た。
[参考例1]
実施例1で得たクロロベンゼンを含んだジエチル亜鉛の部分加水分解物を含む生成物含有の溶液をスピンコート法により25mm角のガラス基板(コーニング社製、EagleXG)表面上に塗布した。窒素雰囲気下、前記溶液100μlを前記ガラス基板に滴下し、回転数1000rpmで20秒間基板を回転させて溶液をガラス基板全体に塗布し、乾燥10秒の後、基板を150℃ 、5分加熱することで溶媒を乾燥させると同時に酸化亜鉛を形成させた。形成された薄膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図2および図3のように多孔質状であり、酸化亜鉛粒子の結着により形成された空隙が確認された。本薄膜のXRD分析を行ったところ、図4のピークが得られ、本発明の多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物を用いて成膜して得られた多孔質状の酸化亜鉛が結晶性であることを確認した。このように本発明の組成物を用いることで塗布および加熱により多孔質状の酸化亜鉛薄膜を得た。
[参考例2]
参考例1において、溶液塗布後の加熱温度を120℃とした以外は同様の操作、分析を行った。得られた酸化亜鉛薄膜は図5のように多孔質状であり、XRD分析のピークより、結晶性であることを確認した。
[参考例3]
参考例1において、溶液塗布後の加熱温度を180℃とした以外は同様の操作、分析を行った。得られた酸化亜鉛薄膜は図6のように多孔質状であり、XRD分析のピークより、結晶性であることを確認した。
[実施例2]
実施例1で得られたクロロベンゼンを含んだジエチル亜鉛の部分加水分解物を含む生成物含有の溶液20gに、10重量%のトリエチルガリウムを溶解したキシレン溶液(0.47g)を仕込んだジエチル亜鉛に対してモル比でGa/Zn=0.02になるように室温で添加して十分に混合した。このようにしてクロロベンゼンを含んだガリウムを含有するジエチル亜鉛の部分加水分解物溶液を得た。
[参考例4]
実施例2で得られたクロロベンゼンを含んだガリウムを含有するジエチル亜鉛の部分加水分解物溶液を用いて、参考例1記載の方法と同様にしてスピンコート法による塗布および乾燥・加熱の繰り返しによりガリウムをドープした酸化亜鉛薄膜を成膜した。形成された薄膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図7のように多孔質状であり、空隙の形成により膜厚も厚くなった。このように本発明の組成物を用いることで塗布および加熱により多孔質状のガリウムドープを酸化亜鉛薄膜を得た。
[比較例1]
実施例1において、クロロベンゼンのかわりに1,2−ジエトキシエタンを用いて塗布液を調製した。参考例2と同様にスピンコート法により酸化亜鉛薄膜を成膜した。形成された薄膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図8および図9のように緻密で膜厚も薄いものとなり、多孔質状酸化亜鉛薄膜は得られなかった。
[比較例2]
実施例1において、クロロベンゼンのかわりにトルエンを用いて塗布液を調製した。参考例1と同様にスピンコート法により酸化亜鉛薄膜を成膜した。形成された薄膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図10および図11のように緻密で膜厚も薄いものとなり、多孔質状酸化亜鉛薄膜は得られなかった。
[比較例3]
実施例2において、クロロベンゼンのかわりに1,2−ジエトキシエタンを用いて塗布液を調製した。参考例4記載の方法と同様にしてスピンコート法による塗布および乾燥・加熱の繰り返しによりガリウムをドープした酸化亜鉛薄膜を成膜した。形成された薄膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、比較例1と同様に緻密で膜厚も薄いものとなり、多孔質状のガリウムをドープした酸化亜鉛薄膜は得られなかった。
本発明は、多孔質状酸化亜鉛薄膜および多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜の製造分野に有用である。

Claims (10)

  1. 一般式(1)で表される有機亜鉛化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.05以上、0.9未満の範囲で水を添加して前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物、及びハロゲン含有有機化合物を含有することを特徴とする、多孔質状酸化亜鉛薄膜製造用組成物。
    1−Zn−R1 (1)
    (式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
  2. 下記一般式(1)で表される有機亜鉛化合物と、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される3B族元素化合物の少なくとも1種とを有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物および3B族元素化合物の合計量に対するモル比が0.05以上、0.9未満の範囲で水を添加して、少なくとも前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物(但し、前記3B族元素化合物は、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.005〜0.3の割合である)及びハロゲン含有有機化合物が含有することを特徴とする、多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物。
    1−Zn−R1 (1)
    ( 式中、R1 は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
    cd・aH2O (2)
    ( 式中、M は3B族元素であり、Xは、ハロゲン原子、硝酸根(NO )または硫酸根(SO 2+)であり、Xがハロゲン原子または硝酸根の場合、cは1 、dは3、Xが硫酸根の場合、cは2、dは3、aは0〜9の整数である。)
    (式中、M は3B族元素であり、R2、R3、R4は独立に、水素、炭素数1〜 7の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、カルボン酸基、またはアセチルアセトナート基であり、さらにLは窒素、酸素またはリンを含有した配位性有機化合物であり、n は0〜9の整数である。)
  3. 前記部分加水分解物は、前記3B族元素化合物の部分加水分解物を含む請求項2に記載の組成物。
  4. 一般式(1)で表される有機亜鉛化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.05以上、 0.9未満の範囲で水を添加して、前記有機亜鉛化合物を部分的に加水分解して得られる部分加水分解物、前記有機亜鉛化合物に対するモル比が0.005〜0.3の割合の一般式(2)または一般式(3)で表される3B族元素化合物の少なくとも1種、及びハロゲン含有有機化合物を含有することを特徴とする、多孔質状ドープ酸化亜鉛薄膜製造用組成物。
    1−Zn−R1 (1)
    (式中、R 1 は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
    cd・aH2O (2)
    (式中、Mは3B族元素であり、Xは、ハロゲン原子、硝酸根(NO )または硫酸根(SO 2+)であり、Xがハロゲン原子または硝酸根の場合、cは1、dは3、Xが硫酸根の場合、cは2、dは3、aは0〜9の整数である。)
    (式中、Mは3B族元素であり、R2、R3、R4は独立に、水素、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、カルボン酸基、またはアセチルアセトナート基であり、さらにLは窒素、酸素またはリンを含有した配位性有機化合物であり、nは0〜9の整数である。)
  5. 前記組成物は、前記3B族元素化合物の加水分解物を実質的に含まない請求項4に記載の組成物。
  6. 前記部分加水分解物調製に用いる有機溶媒が、ハロゲン含有有機化合物であるか、またはハロゲン含有有機化合物を含有する有機溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 前記部分加水分解物調製に用いる有機溶媒が、30質量%以上のハロゲン含有有機化合物を含有する有機溶媒である請求項6に記載の組成物。
  8. 前記有機亜鉛化合物の部分加水分解物の濃度が1〜30質量%の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
  9. 前記有機亜鉛化合物は、R1が炭素数1、2、3、4、5、または6のアルキル基である化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
  10. 前記有機亜鉛化合物がジエチル亜鉛である請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
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