JP2015162418A - 透過電子顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】漏洩磁場の影響を低減することができる透過電子顕微鏡を提供する。
【解決手段】透過電子顕微鏡100は、電子線を発生させる電子線源2と、電子線源2からの電子線を試料に照射する照射レンズ系4と、試料Sを保持する試料ステージ6と、試料Sを挟んで配置された上極および下極を有し、前記上極および前記下極から磁場を発生させる第1対物レンズ8と、第1対物レンズ8の後段に配置された第2対物レンズ10と、第2対物レンズ10の後段に配置された結像レンズ系16と、第1対物レンズ8および第2対物レンズ10を制御する制御部22と、を含み、制御部22は、第2対物レンズ10を制御して、試料Sを透過した電子線で試料Sの透過電子顕微鏡像を結像する処理と、観察条件に基づいて第1対物レンズ8を制御して、試料Sが配置される試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理と、を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、透過電子顕微鏡に関する。
透過電子顕微鏡において、対物レンズは、電子線を集束、結像するためのレンズとして用いられている。このような対物レンズとして、例えば、特許文献1には、磁界型対物レンズが開示されている。
しかしながら、磁場の影響を受けやすい試料(磁性体試料)を透過電子顕微鏡で観察する場合、対物レンズの磁場によって試料の磁気的物性が変化するという問題があった。すなわち、対物レンズの磁場の影響によって、磁場の影響を受けやすい試料は、試料本来の状態を観察できない場合がある。
そのため、例えば、特許文献1に記載された対物レンズは、光軸に沿う試料配置領域の近傍に磁場を発生させる第1磁界型レンズおよび第2磁界型レンズを有し、試料配置領域において、第1磁界型レンズおよび第2磁界型レンズによる磁場が互いに打ち消されてゼロになるように構成されている。
特開2005−32588号公報
電子顕微鏡では、鉄などの強磁性体で形成した電子レンズが用いられており、それらを積み重ねることで電子顕微鏡の光学系を構成している。したがって、電子顕微鏡全体において、磁気回路が形成されており、それ故に、試料周囲にも対物レンズ以外からの磁場の影響が及ぶことになる。そのため、例えば、特許文献1の対物レンズにおいて、第1磁界型レンズおよび第2磁界型レンズによる磁場が互いに打ち消されてゼロになったとしても、試料周囲には対物レンズ以外からの磁場の影響が及んでしまう。
例えば、電子顕微鏡観察時には、倍率の変更等の結像レンズ系の励磁変更を伴う。この結像レンズ系の励磁変更に伴う磁場の変動の影響は、磁気回路を介して、試料周囲にも及ぶ場合がある。
対物レンズ以外からの磁場の影響、すなわち試料位置における漏洩磁場の影響は、数百μT程度であると推定される。このように、数百μT程度の小さな磁場であっても、高透磁率(χ〜10)の材料においては無視できない問題となる。数百μT程度の小さな磁場であっても、高透磁率磁性体では、磁区の移動・形状変化が発生しうる。磁性体解析の主眼は、磁性体内部の磁区分布の形態観察であり、そのスタートラインとしては、周囲磁場が極力無い必要があり、磁区の移動・形状変化は避けたい事象である。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、漏洩磁場の影響を低減することができる透過電子顕微鏡を提供することにある。
(1)本発明に係る透過電子顕微鏡は、
電子線を発生させる電子線源と、
前記電子線源からの電子線を試料に照射する照射レンズ系と、
前記試料を保持する試料ステージと、
前記試料を挟んで配置された上極および下極を有し、前記上極および前記下極から磁場を発生させる第1対物レンズと、
前記第1対物レンズの後段に配置された第2対物レンズと、
前記第2対物レンズの後段に配置された結像レンズ系と、
前記第1対物レンズおよび前記第2対物レンズを制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記第2対物レンズを制御して、前記試料を透過した電子線で前記試料の透過電子顕微鏡像を結像する処理と、
観察条件に基づいて前記第1対物レンズを制御して、前記試料が配置される試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理と、
を行う。
このような透過電子顕微鏡では、第2対物レンズが透過電子顕微鏡像を結像し、第1対物レンズが漏洩磁場を低減する磁場を発生させるため、漏洩磁場の影響を低減することができる。したがって、このような透過電子顕微鏡では、例えば、磁性体等の磁場の影響を受けやすい試料を、当該試料の状態を変化させることなく観察することができる。
(2)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理では、前記結像レンズ系の励磁量と前記漏洩磁場を打ち消すための前記第1対物レンズの励磁量との関係を表す関数を用いて、前記第1対物レンズの励磁量を求めてもよい。
このような透過電子顕微鏡では、例えば、結像レンズ系の励磁量(例えば観察倍率)を変更することにより試料位置での漏洩磁場量が変化しても、漏洩磁場量の変化に応じて、第1対物レンズに漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させることができる。
(3)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理では、前記第2対物レンズの励磁量と前記漏洩磁場を打ち消すための前記第1対物レンズの励磁量との関係を表す関数を用いて、前記第1対物レンズの励磁量を求めてもよい。
このような透過電子顕微鏡では、例えば、第2対物レンズの励磁量(例えばフォーカス量)を変更することにより試料位置での漏洩磁場量が変化しても、漏洩磁場量の変化に応じて、第1対物レンズに漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させることができる。
(4)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理では、前記照射レンズ系の励磁量と前記漏洩磁場を打ち消すための前記第1対物レンズの励磁量との関係を表す関数を用いて、前記第1対物レンズの励磁量を求めてもよい。
このような透過電子顕微鏡では、例えば、照射レンズ系の励磁量を変更することにより試料位置での漏洩磁場量が変化しても、漏洩磁場量の変化に応じて、第1対物レンズに漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させることができる。
(5)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
外部磁場を検出する磁場センサーを含み、
前記制御部は、前記磁場センサーの検出結果に基づいて前記第1対物レンズを制御して、前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行ってもよい。
このような透過電子顕微鏡では、試料位置での漏洩磁場(外部磁場)の影響を低減することができる。
(6)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
前記制御部は、前記外部磁場の磁場量と前記漏洩磁場を打ち消すための前記第1対物レンズの励磁量との関係を表す関数を用いて、前記第1対物レンズの励磁量を求めてもよい。
このような透過電子顕微鏡では、外部磁場の磁場量が変化して試料位置での漏洩磁場量が変化しても、漏洩磁場量の変化に応じて、第1対物レンズに漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させることができる。
(7)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
前記第1対物レンズの極性を制御する極性反転部を含んでいてもよい。
このような透過電子顕微鏡では、第1対物レンズの極性を反転させることができる。したがって、このような透過電子顕微鏡では、第1対物レンズが発生させる磁場の方向を制御することができる。
(8)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
前記制御部は、前記第1対物レンズを制御して、前記試料位置に所与の磁場を印加する処理を行ってもよい。
このような透過電子顕微鏡では、試料に所望の磁場を印加することができる。したがって、このような透過電子顕微鏡では、例えば、磁性体試料に所望の磁場を印加した状態で、観察を行うことができる。
(9)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
前記試料位置に所与の磁場を印加する処理は、前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理の後に行われてもよい。
このような透過電子顕微鏡では、漏洩磁場の影響を低減しつつ、試料に所望の磁場を印加することができる。
(10)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
前記第1対物レンズに所定の電流を供給して、前記第1対物レンズの残留磁場を消去する消磁部を含んでいてもよい。
このような透過電子顕微鏡では、第1対物レンズの残留磁場の影響を低減することができる。
(11)本発明に係る透過電子顕微鏡において、
走査信号を生成する走査信号生成部と、
前記走査信号に基づいて、前記電子線で前記試料上を走査する走査コイルと、
を含んでいてもよい。
このような透過電子顕微鏡では、走査透過電子顕微鏡像を取得することができる。
第1実施形態に係る透過電子顕微鏡の構成を模式的に示す図。 第1実施形態に係る透過電子顕微鏡の第1対物レンズおよび第2対物レンズを模式的に示す断面図。 第1観察モードから第2観察モードに切り替える際の第1実施形態に係る透過電子顕微鏡100の動作の一例を示すフローチャート。 第2観察モードにおいて、観察倍率を変更する際の第1実施形態に係る透過電子顕微鏡の動作の一例を示すフローチャート。 第2観察モードにおいて、フォーカスを変更する際の第1実施形態に係る透過電子顕微鏡の動作の一例を示すフローチャート。 第2観察モードにおいて、外部磁場を検出した際の透過電子顕微鏡の動作の一例を示すフローチャート。 第2実施形態に係る透過電子顕微鏡の構成を模式的に示す図。 第1観察モードから第2観察モードに切り替える際の第2実施形態に係る透過電子顕微鏡の動作の一例を示すフローチャート。 第2観察モードにおいて、電子線プローブの径を変更する際の第2実施形態に係る透過電子顕微鏡の動作の一例を示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 透過電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る透過電子顕微鏡の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る透過電子顕微鏡100の構成を模式的に示す図である。
透過電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子線源2と、照射レンズ系4と、試料ステージ6と、第1対物レンズ8と、第2対物レンズ10と、消磁部12と、極性反転部14と、結像レンズ系16と、検出器18と、磁場センサー20と、制御部22と、記憶部24と、操作部26と、を含む。
透過電子顕微鏡100は、透過電子顕微鏡法により、透過電子顕微鏡像を取得するための装置である。ここで、透過電子顕微鏡像とは、回折パターン(回折像)や実空間像などの透過電子顕微鏡法や走査透過電子顕微鏡法にて得られる像をいう。なお、実空間像は、明視野像および暗視野像を含む。明視野像とは、試料Sを透過した電子(電子線)のうち、試料Sで散乱されずに透過した電子、および小さい角度で散乱した電子を検出して作られた像をいう。また、暗視野像とは、試料Sを透過した電子(電子線)のうち、試料Sで散乱・回折した電子線を検出して作った像をいう。
電子線源2は、電子線を発生させる。電子線源2は、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する。電子線源2としては、例えば、電子銃を用いることができる。電子線源2として用いられる電子銃は特に限定されず、例えば熱電子放出型や、熱電界放出型、冷陰極電界放出型などの電子銃を用いることができる。
照射レンズ系4は、電子線源2の後段(電子線の下流側)に配置されている。照射レンズ系4は、電子線源2で発生した電子線を集束して、試料Sに照射する。照射レンズ系4
は、第1コンデンサーレンズ4aと、第2コンデンサーレンズ(コンデンサーミニレンズ)4bと、を含む。照射レンズ系4では、例えば、電子線源2から放出された電子線のクロスオーバーを第1コンデンサーレンズ4aで縮小し、縮小したビーム像を第2コンデンサーレンズ4bで第1対物レンズ8の物面に移送する。
試料ステージ6は、試料Sを保持する。図示の例では、試料ステージ6は、試料ホルダー7を介して、試料Sを保持している。すなわち、試料ステージ6は、先端部に試料Sを保持する試料ホルダー7を保持している。試料ステージ6は、試料ホルダー7を移動および静止させることにより、試料Sの位置決めを行うことができる。また、試料ステージ6は、試料Sを水平方向(電子線に対して直交する方向)や垂直方向(電子線に沿う方向)に移動させることができる。試料ステージ6は、さらに、試料Sを傾斜させることができる。
試料ステージ6は、図示の例では、第1対物レンズ8のポールピースの横から試料Sを挿入するサイドエントリーステージである。なお、図示はしないが、試料ステージ6は、第1対物レンズ8のポールピースの上方から試料Sを挿入するトップエントリーステージであってもよい。
第1対物レンズ8は、照射レンズ系4の後段に配置されている。第2対物レンズ10は、第1対物レンズ8の後段に配置されている。
図2は、透過電子顕微鏡100の第1対物レンズ8および第2対物レンズ10を模式的に示す断面図である。なお、図2では、便宜上、試料ホルダー7の図示を省略している。
第1対物レンズ8は、図2に示すように、コイル8aと、ヨーク8bと、ポールピース8cと、を含んで構成されている。第1対物レンズ8は、コイル8aを励磁することによって発生した磁束を、ヨーク8bを通じてポールピース8cから空間に漏洩させる。ポールピース8cの上極8c−1と下極8c−2との間には回転対称の強い磁場が発生し、電子線を集束させることができる。なお、ヨーク8bと、ポールピース8cとが、一体的に形成されていてもよい。
試料Sは、図2に示すように、ポールピース8cの上極8c−1と下極8c−2との間に配置される。そのため、第1対物レンズ8を動作させると、試料Sには、強い磁場が印加される。試料Sは、試料ステージ6(試料ホルダー7)によってポールピース8cの上極8c−1と下極8c−2との間に保持される。
第2対物レンズ10は、図2に示すように、コイル10aと、ヨーク10bと、を含んで構成されている。すなわち、第2対物レンズ10は、磁場を強めるためのポールピースを有していない。第2対物レンズ10は、第1対物レンズ8のヨーク8bと切り離されており、第1対物レンズ8とは独立して動作するレンズである。第2対物レンズ10は、磁場を強めるためのポールピースを有さない。また、第1対物レンズ8と独立して試料Sから離れた位置に配置されている。第2対物レンズ10は、例えば、第1対物レンズ8に対して、数十mm離れた位置に配置されている。そのため、第2対物レンズ10を動作させたときに試料Sが受ける磁場の影響は、第1対物レンズ8を動作させたときに試料Sが受ける磁場の影響よりも、極めて小さい。
消磁部12は、第1対物レンズ8(コイル8a)に所定の電流を供給して、第1対物レンズ8の残留磁場を消去する。ここで、第1対物レンズ8の残留磁場とは、第1対物レンズ8の励磁を零にしても残る磁場のことをいう。消磁部12は、例えば、所定の周波数の交流電流の振幅が時間と共に減衰して最終的には0Aに収束する減衰交流電流を、第1対
物レンズ8のコイル8aに供給することによって、消磁を行う。消磁部12は、例えば、専用回路によって実現することができる。
極性反転部14は、第1対物レンズ8の極性を制御する。極性反転部14は、例えば、第1対物レンズ8のコイル8aに供給される電流極性(電流の向き)を反転(逆転)させることにより、第1対物レンズ8の極性を反転(逆転)させることができる。極性反転部14は、例えば、専用回路によって実現することができる。
結像レンズ系16は、第2対物レンズ10の後段に配置されている。結像レンズ系16は、中間レンズ16aと、投影レンズ16bと、を含む。結像レンズ系16は、第1対物レンズ8や第2対物レンズ10によって結像された像をさらに拡大し、検出器18に結像させる。
検出器18は、結像レンズ系16によって結像された透過電子顕微鏡像を検出(撮像)する。検出器18は、例えば、デジタルカメラである。検出器18は、撮影した透過電子顕微鏡像の情報を出力する。検出器18が出力した透過電子顕微鏡像の情報は、画像処理部(図示せず)で処理されて表示部(図示せず)に表示される。表示部は、例えば、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイなどである。
磁場センサー20は、外部磁場を検出するためのセンサーである。透過電子顕微鏡100の周囲には、地磁気や、他の装置から発生する磁場等の外部磁場が存在する。この外部磁場を、磁場センサー20によって検出する。磁場センサー20は、検出した磁場量の情報を、制御部22に出力する。
制御部22は、第1対物レンズ8および第2対物レンズ10を制御する。制御部22は、さらに、電子線源2、照射レンズ系4、結像レンズ系16を制御する。
ここで、透過電子顕微鏡100では、第1対物レンズ8によって試料Sを透過した像を結像する観察モード(以下、「第1観察モード」ともいう)と、第2対物レンズ10によって試料Sを透過した像を結像する観察モード(以下、「第2観察モード」ともいう)と、を有している。
制御部22は、第1観察モードでは、試料Sに電子線が照射されるように照射レンズ系4を制御し、試料Sの透過電子顕微鏡像が結像されるように第1対物レンズ8を制御し、第1対物レンズ8で結像された試料Sの透過電子顕微鏡像が検出器18に結像されるように結像レンズ系16を制御する処理を行う。第1観察モードでは、第1対物レンズ8を用いた観察が可能である。したがって、第1観察モードでは、例えば、磁場の影響を受けにくい試料の観察を行うことができる。
制御部22は、第2観察モードでは、試料Sに電子線が照射されるように照射レンズ系4を制御し、試料Sを透過した電子線で試料Sの透過電子顕微鏡像が結像されるように第2対物レンズ10を制御し、第2対物レンズ10で結像された試料Sの透過電子顕微鏡像が検出器18に結像されるように結像レンズ系16を制御する処理を行う。
制御部22は、さらに、第2観察モードにおいて、観察条件に応じて第1対物レンズ8を制御して、試料Sが配置される試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う。
ここで、試料位置での漏洩磁場とは、第2対物レンズ10、結像レンズ系16、照射レンズ系4、外部磁場等から透過電子顕微鏡100の全体において形成された磁気回路を介
して、試料位置に回り込む磁場である。また、観察条件は、例えば、観察倍率、フォーカス量等である。なお、第2観察モードにおいて、観察倍率は、結像レンズ系16の励磁量によって決まる。また、フォーカスは、第2対物レンズ10の励磁量によって決まる。このように、観察条件は、第2対物レンズ10の励磁量、結像レンズ系16の励磁量、照射レンズ系4の励磁量などによって決まる。
以下、観察条件に応じて第1対物レンズ8を制御して、試料Sが配置される試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理について説明する。
まず、結像レンズ系16の励磁量が変更された場合について説明する。
制御部22は、結像レンズ系16の励磁量が変更された場合(例えば観察倍率が変更された場合)に、結像レンズ系16の励磁量(例えば観察倍率)と、試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量と、の関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を決定する。
観察倍率(結像レンズ系16の励磁量)と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数は、例えば、各観察倍率M(i)ごとの試料位置での漏洩磁場量B(i)と、各観察倍率M(i)ごとの試料位置での漏洩磁場量B(i)を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量O(i)および第1対物レンズ8の極性P(i)と、を測定することで求めることができる。
制御部22は、例えば、観察倍率(結像レンズ系16の励磁量)と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、観察倍率から第1対物レンズ8の励磁量を求める。そして、制御部22は、得られた第1対物レンズ8の励磁量に基づいて、第1対物レンズ8に算出された第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を、第1対物レンズ8のコイル8aに供給する。また、制御部22は、得られた第1対物レンズ8の極性に基づいて、算出された極性に応じた極性となるように、極性反転部14を制御する。
なお、当該測定によって、試料位置での漏洩磁場量と、漏洩磁場量Bを打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量および極性との関係を表す関数を求めることができる。この関数を用いて、下記で説明する第2対物レンズ10の励磁量(フォーカス量)と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数、照射レンズ系4の励磁量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数、および外部磁場の磁場量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を求めることができる。
次に、第2対物レンズの励磁量が変更された場合について説明する。
制御部22は、第2対物レンズ10の励磁量が変更された場合(例えばフォーカス量が変更された場合)、第2対物レンズ10の励磁量(フォーカス量)と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を決定する。
第2対物レンズ10の励磁量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数は、第2対物レンズ10の励磁量と試料位置での漏洩磁場との関係を表す式と、上記の試料位置での漏洩磁場量と漏洩磁場量を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量および極性との関係を表す関数と、から得ることができる。
第2対物レンズ10の励磁量と試料位置での漏洩磁場量との関係は、例えば、測定によって求めることができる。具体的には、第2対物レンズ10の励磁量SOを所定の値として、そのときの漏洩磁場量B(SO)を測定する。この測定を第2対物レンズ10の励磁量SOを変えて複数回行う。当該測定の結果から、第2対物レンズ10の励磁量SOと試料位置での漏洩磁場量B(SO)との関係を表す式の係数a、bを求める。
B(SO)=a×SO+b・・・(1)
これにより、第2対物レンズ10の励磁量と試料位置での漏洩磁場との関係を表す式(1)を求めることができる。
制御部22は、例えば、式(1)を用いて、第2対物レンズ10の励磁量から漏洩磁場量を算出し、試料位置での漏洩磁場量と漏洩磁場量を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量および極性との関係を表す関数を用いて、算出された漏洩磁場量から第1対物レンズ8の励磁量および極性を求める。そして、制御部22は、得られた第1対物レンズ8の励磁量に基づいて、第1対物レンズ8に算出された第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を、第1対物レンズ8のコイル8aに供給する。また、制御部22は、得られた第1対物レンズ8の極性に基づいて、算出された極性に応じた極性となるように、極性反転部14を制御する。
次に、照射レンズ系4の励磁量が変更された場合について説明する。
また、照射レンズ系4の励磁量が変更された場合、制御部22は、照射レンズ系4の励磁量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を決定する。
照射レンズ系4の励磁量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数は、照射レンズ系4の励磁量と試料位置での漏洩磁場との関係を表す式と、上記の試料位置での漏洩磁場量と漏洩磁場量を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量および極性との関係を表す関数と、から得ることができる。
照射レンズ系4の励磁量と試料位置での漏洩磁場量との関係は、例えば、測定によって求めることができる。具体的には、照射レンズ系4の励磁量ILを所定の値として、そのときの漏洩磁場量B(IL)を測定する。この測定を照射レンズ系4の励磁量ILを変えて複数回行う。当該測定の結果から、照射レンズ系4の励磁量ILと試料位置での漏洩磁場量B(IL)との関係を表す式の係数c、dを求める。
B(IL)=c×IL+d・・・(2)
これにより、照射レンズ系4の励磁量と試料位置での漏洩磁場との関係を表す式(2)を求めることができる。
制御部22は、例えば、式(2)を用いて、照射レンズ系4の励磁量から漏洩磁場量を算出し、試料位置での漏洩磁場量と漏洩磁場量を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量および極性との関係を表す関数を用いて、算出された漏洩磁場量から第1対物レンズ8の励磁量および極性を求める。そして、制御部22は、得られた第1対物レンズ8の励磁量に基づいて、第1対物レンズ8に算出された第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を、第1対物レンズ8のコイル8aに供給する。また、制御部22は、得られた第1対物レンズ8の極性に基づいて、得られた極性に応じた極性となるように、極性反転部14を制御する。
制御部22は、さらに、第2観察モードにおいて、磁場センサー20の検出結果に基づいて第1対物レンズ8を制御して、漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う。
具体的には、制御部22は、外部磁場の磁場量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を決定する。
外部磁場の磁場量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数は、外部磁場の磁場量と試料位置での漏洩磁場との関係を表す式と、上記の試料位置での漏洩磁場量と漏洩磁場量を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量および極性との関係を表す関数と、から得ることができる。
外部磁場の磁場量と試料位置での漏洩磁場との関係は、例えば、測定によって求めることができる。具体的には、外部磁場量Bex(磁場センサー20の測定値)を所定の値として、そのときの漏洩磁場量B(Bex)を測定する。この測定を外部磁場量Bexを変えて複数回行う。当該測定の結果から、外部磁場量Bexと試料位置での漏洩磁場量B(Bex)との関係を表す式の係数e,fを求める。
B(Bex)=e×Bex+f・・・(3)
これにより、外部磁場の磁場量と試料位置での漏洩磁場との関係を表す式(3)を求めることができる。
制御部22は、例えば、式(3)を用いて、外部磁場の励磁量から漏洩磁場量を算出し、試料位置での漏洩磁場量と漏洩磁場量を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量および極性との関係を表す関数を用いて、算出された漏洩磁場量から第1対物レンズ8の励磁量および極性を求める。そして、制御部22は、得られた第1対物レンズ8の励磁量に基づいて、第1対物レンズ8に算出された第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を、第1対物レンズ8のコイル8aに供給する。また、制御部22は、得られた第1対物レンズ8の極性に基づいて、算出された極性に応じた極性となるように、極性反転部14を制御する。
制御部22は、さらに、第2観察モードにおいて、試料位置に所与の磁場を印加する処理を行う。これにより、試料Sに所望の磁場を印加することができる。
制御部22は、専用回路により実現して上記の処理や制御を行うようにしてもよい。また、制御部22は、CPU(Central Processing Unit)が記憶部24等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、上記処理や各種制御を行うようにしてもよい。
記憶部24は、制御部22のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。記憶部24には、照射レンズ系4、第1対物レンズ8、第2対物レンズ10、結像レンズ系16の観察条件に応じた設定データが記憶されている。記憶部24には、さらに、観察倍率と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数、第2対物レンズ10の励磁量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数、および外部磁場の磁場量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数が記憶されている。
操作部26は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、制御部22に送る処理を行う。操作部26は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。
1.2. 透過電子顕微鏡の動作
次に、第1実施形態に係る透過電子顕微鏡100の動作について説明する。
1.2.1. 第1観察モードから第2観察モードへ切り替える処理
まず、第1観察モードから第2観察モードに切り替える処理について説明する。図3は、第1観察モードから第2観察モードに切り替える際の第1実施形態に係る透過電子顕微鏡100の動作の一例を示すフローチャートである。
ユーザーが操作部26に対して第2観察モードに切り替える操作を行うと、操作部26は、第2観察モードに切り替えるための信号を制御部22に送る。
制御部22は、当該信号を受けて、第1対物レンズ8をオフ(励磁量を零)にする(ステップS100)。このとき、観察倍率は規定倍率に設定され、第2対物レンズ10の励磁量は、規定量に設定される。なお、当該規定倍率および当該規定量は、任意の値に設定されている。
次に、消磁部12が、第1対物レンズ8(コイル8a)に所定の電流を供給して、第1対物レンズ8の残留磁場を消去する(ステップS102)。これにより、第1対物レンズ8の残留磁場を消去することができる。本工程において、消磁部12は、例えば、観察倍率を規定倍率とし、および第2対物レンズ10の励磁量を規定量とした状態において、試料位置での磁場量を0mTとする。
次に、ユーザーは、試料ホルダー7に試料Sを固定し、当該試料ホルダー7を試料ステージ6に搭載して、試料Sを第1対物レンズ8の上極8c−1と下極8c−2との間に導入する(ステップS104)。
次に、制御部22は、照射レンズ系4を制御して、電子線源2で発生した電子線を試料Sに照射する(ステップS106)。具体的には、制御部22は、記憶部24に記憶されている照射レンズ系4の設定データを取得して、照射レンズ系4に所定の励磁電流を供給する。
次に、制御部22は、試料Sからの像が結像レンズ系16の物面に結像するように第2対物レンズ10を制御する(ステップS108)。制御部22は、記憶部24に記憶されている第2対物レンズ10の設定データを取得して、第2対物レンズ10に所定の励磁電流を供給する。このとき、第2対物レンズ10の励磁量が変わるため、試料位置での漏洩磁場量も変化する。
そのため、制御部22は、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う(ステップS110、ステップS112)。
具体的には、制御部22は、第2対物レンズ10の励磁量の情報から、記憶部24に記憶されている第2対物レンズ10の励磁量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を求める(ステップS110)。次に、制御部22は、求めた第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を第1対物レンズ8のコイル8aに供給する(ステップS112)。これにより
、第1対物レンズ8は、漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる。そして、制御部22は、処理を終了する。
1.2.2. 観察倍率を変更する際の処理
次に、第2観察モードにおいて、観察倍率を変更する際の透過電子顕微鏡100の動作について説明する。図4は、第2観察モードにおいて、観察倍率を変更する際の透過電子顕微鏡100の動作の一例を示すフローチャートである。
図3に示すステップS100〜S112の処理を行い第2観察モードに切り替わった後、ユーザーが操作部26に対して、観察倍率を入力する操作を行うと、操作部26は観察倍率の情報を制御部22に送る。これにより、制御部22は、処理を開始する。
まず、制御部22は、観察倍率の情報を受けて、観察倍率を変更する処理を行う(ステップS200)。
具体的には、制御部22は、観察倍率の情報を受けて、記憶部24に記憶されている結像レンズ系16(中間レンズ16aおよび投影レンズ16b)の設定データを取得し、結像レンズ系16の励磁量を観察倍率に応じた量に変更する。この観察倍率の変更する処理により、結像レンズ系16の励磁量が変わるため、試料位置での漏洩磁場量も変化する。
そのため、制御部22は、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う(ステップS202、ステップS204)。
具体的には、制御部22は、操作部26からの観察倍率の情報を受けて、当該観察倍率の情報から、記憶部24に記憶されている観察倍率と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を決定する(ステップS202)。
次に、制御部22は、算出された第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を第1対物レンズ8のコイル8aに供給する(ステップS204)。これにより、第1対物レンズ8は、漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる。そして、制御部22は、処理を終了する。
1.2.3. フォーカスを変更する際の処理
次に、第2観察モードにおいて、フォーカスを変更する際の透過電子顕微鏡100の動作について説明する。図5は、第2観察モードにおいて、フォーカスを変更する際の透過電子顕微鏡100の動作の一例を示すフローチャートである。
図3に示すステップS100〜S112の処理を行い第2観察モードに切り替わった後、ユーザーが操作部26に対して、フォーカス量を変更する操作を行うと、操作部26はこのフォーカス量の情報を制御部22に送る。これにより、制御部22は、処理を開始する。
まず、制御部22は、フォーカス量の情報を受けて、フォーカス量を変更する処理を行う(ステップS300)。具体的には、制御部22は、フォーカス量の情報を受けて、記憶部24に記憶されている第2対物レンズ10の設定データを取得し、第2対物レンズ10の励磁量をフォーカス量に応じた量に変更する。このフォーカス量を変更する処理により、第2対物レンズ10の励磁量が変わるため、試料位置での漏洩磁場量も変化する。
そのため、制御部22は、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち
消されるような磁場を発生させる処理を行う(ステップS302、ステップS304)。
具体的には、制御部22は、操作部26からのフォーカス量の情報、すなわち第2対物レンズ10の励磁量の情報を受けて、当該第2対物レンズ10の励磁量の情報から、記憶部24に記憶されている第2対物レンズ10の励磁量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を求める(ステップS302)。
次に、制御部22は、算出された第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を第1対物レンズ8のコイル8aに供給する(ステップS304)。これにより、第1対物レンズ8は、漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる。そして、制御部22は、処理を終了する。
なお、上記の「1.2.2. 観察倍率を変更する際の処理」を行った後に、「1.2.3. フォーカスを変更する際の処理」を行った場合、第1対物レンズ8の励磁電流は、例えば、「1.2.2. 観察倍率を変更する際の処理」で求められた第1対物レンズ8の励磁電流と、「1.2.3. フォーカスを変更する際の処理」で求められた第1対物レンズ8の励磁電流との和となる。
1.2.4. 外部磁場を検出した際の処理
次に、第2観察モードにおいて、磁場センサー20が外部磁場を検出した際の透過電子顕微鏡100の動作について説明する。図6は、第2観察モードにおいて、外部磁場を検出した際の透過電子顕微鏡100の動作の一例を示すフローチャートである。
図3に示すステップS100〜S112の処理を行い第2観察モードに切り替わった後、磁場センサー20が外部磁場を検出する(ステップS400)と、磁場センサー20は、この外部磁場の磁場量の情報を制御部22に送る。
制御部22は、磁場センサー20からの磁場量の情報を受けて、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う(ステップS402、ステップS404)。
具体的には、制御部22は、磁場センサー20からの外部磁場の磁場量の情報を受けて、当該外部磁場の磁場量の情報から、記憶部24に記憶されている外部磁場の磁場量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を求める(ステップS402)。
次に、制御部22は、算出された第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を第1対物レンズ8のコイル8aに供給する(ステップS404)。これにより、第1対物レンズ8は、漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる。そして、制御部22は、処理を終了する。
1.2.5. 試料に所望の磁場を印加する処理
次に、第2観察モードにおいて、試料Sに所望の磁場を印加する際の透過電子顕微鏡100の動作について説明する。図3に示すステップS100〜S112の処理を行い第2観察モードに切り替わった後、ユーザーが操作部26に対して、試料Sに所望の磁場量および極性を入力する操作を行うと、制御部22は、第1対物レンズ8を制御して、試料位置に所与の磁場を印加する処理を行う。
具体的には、制御部22は、操作部26からの磁場量の情報および極性の情報を受けて
、第1対物レンズ8の励磁電流および極性が、入力された磁場量および極性となるように第1対物レンズ8のコイル8aに流れる励磁電流および極性反転部14を制御する。
これにより、試料Sに所望の磁場を印加することができる。
なお、本処理を、第1対物レンズ8を制御して漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理の後に行うことで、漏洩磁場の影響を低減しつつ、試料Sに所望の磁場を印加することができる。
透過電子顕微鏡100では、例えば、以下の特徴を有する。
透過電子顕微鏡100では、制御部22は、第2対物レンズ10を制御して、試料Sを透過した電子線で試料Sの透過電子顕微鏡像を結像する処理を行う。すなわち、制御部22は、第1対物レンズ8で結像を行わずに、第2対物レンズ10によって結像を行う(第2観察モード)。そのため、例えば第1対物レンズ8で結像を行った場合(第1観察モード)と比べて、試料Sが受ける磁場の影響を低減することができる。したがって、透過電子顕微鏡100では、例えば、磁場の影響を受けやすい試料を、当該試料の状態を変化させることなく、観察することができる。
また、透過電子顕微鏡100では、第1対物レンズ8で結像を行う第1観察モードと、第2対物レンズ10で結像を行う第2観察モードと、を有している。そのため、例えば、磁場の影響を受けにくい試料Sを観察する場合には第1観察モードとし、磁場の影響を受けやすい試料Sを観察する場合には第2観察モードとすることができる。すなわち、透過電子顕微鏡100によれば、試料が磁場の影響を受けやすいか否かなど、観察対象となる試料Sに応じて、動作モードを選択して動作させることができる。
透過電子顕微鏡100では、観察条件に応じて第1対物レンズ8を制御して、試料Sが配置される試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う。そのため、透過電子顕微鏡100では、例えば、第2対物レンズ10、結像レンズ系16、外部磁場等から透過電子顕微鏡100の全体において形成された磁気回路を介して、試料位置に回り込む磁場の影響、すなわち、漏洩磁場の影響を低減することができる。したがって、透過電子顕微鏡100では、例えば、試料Sに与える磁場の影響をより低減させることができる。
透過電子顕微鏡100では、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理では、結像レンズ系16の励磁量と漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を決定する。そのため、透過電子顕微鏡100では、結像レンズ系16の励磁量が変化することにより試料位置での漏洩磁場量が変化しても、漏洩磁場量の変化に応じて、第1対物レンズ8に漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させることができる。
透過電子顕微鏡100では、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理では、第2対物レンズ10の励磁量と漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を決定する。そのため、透過電子顕微鏡100では、第2対物レンズ10の励磁量を変更することにより試料位置での漏洩磁場量が変化しても、漏洩磁場量の変化に応じて、第1対物レンズ8に漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させることができる。
透過電子顕微鏡100では、外部磁場を検出する磁場センサー20を含み、制御部22
は、磁場センサー20の検出結果に基づいて第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う。そのため、透過電子顕微鏡100では、試料位置での外部磁場(漏洩磁場)の影響を低減することができる。
透過電子顕微鏡100では、制御部22は、外部磁場の磁場量と漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を求める。そのため、透過電子顕微鏡100では、外部磁場の磁場量が変化して試料位置での漏洩磁場量が変化しても、漏洩磁場量の変化に応じて、第1対物レンズ8に漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させることができる。
透過電子顕微鏡100では、第1対物レンズ8の極性を制御する極性反転部14を含む。そのため、透過電子顕微鏡100では、第1対物レンズ8の極性を反転させることができる。したがって、透過電子顕微鏡100では、第1対物レンズ8が発生させる磁場の方向を制御することができる。
透過電子顕微鏡100では、制御部22は、第1対物レンズ8を制御して、試料位置に所与の磁場を印加する処理を行う。そのため、透過電子顕微鏡100では、試料Sに所望の磁場を印加することができる。したがって、透過電子顕微鏡100では、磁性体試料に所望の磁場を印加した状態で、観察を行うことができる。
透過電子顕微鏡100では、試料位置に所与の磁場を印加する処理は、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理の後に行われる。そのため、透過電子顕微鏡100では、漏洩磁場の影響を低減しつつ、試料Sに所望の磁場を印加することができる。
透過電子顕微鏡100では、消磁部12は、第1対物レンズ8に所定の電流を供給して、第1対物レンズ8の残留磁場を消去する。そのため、透過電子顕微鏡100では、第1対物レンズ8の残留磁場の影響を低減することができる。
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡200の構成を模式的に示す図である。以下、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡200において、上述した第1実施形態に係る透過電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
上述した透過電子顕微鏡100では、図1に示すように、透過電子顕微鏡法により、透過電子顕微鏡像を得ていた。
これに対して、透過電子顕微鏡200では、図7に示すように、走査透過電子顕微鏡法により、透過電子顕微鏡像を得ている。すなわち、透過電子顕微鏡200は、走査透過電子顕微鏡である。ここで、走査透過電子顕微鏡法とは、電子線で試料上を走査し、試料の各領域から出てくる透過波や回折波の強度を検出し、その強度を電子線の走査と同期させて画像を取得する手法である。
透過電子顕微鏡200は、図7に示すように、走査コイル210と、走査信号生成部220と、走査像生成部230と、を含む。
透過電子顕微鏡200では、照射レンズ系4は、第2観察モードにおいて、電子線源2から放出された電子線を細く絞って電子線プローブを形成する。
走査コイル210は、照射レンズ系4(第2コンデンサーレンズ4b)の後段に配置されている。走査コイル210は、照射レンズ系4と第1対物レンズ8との間に配置されている。走査コイル210は、照射レンズ系4から射出された電子線(電子線プローブ)で試料S上を走査する。走査コイル210は、走査信号生成部220で生成された走査信号に基づいて、電子線を走査する。
結像レンズ系16は、第1観察モードでは、第1対物レンズ8が生成する回折パターンを検出器18に結像する。また、結像レンズ系16は、第2観察モードでは、第2対物レンズ10が生成する回折パターンを検出器18に結像する。
走査信号生成部220は、走査信号を生成する処理を行う。走査信号生成部220は、走査信号を走査コイル210に入力する処理を行う。
走査像生成部230は、検出器18からの検出信号(電子線の強度信号)を、走査信号に同期させて画像化する処理を行う。これにより、走査透過電子顕微鏡像(STEM像)が生成される。ここで、走査透過電子顕微鏡像とは、検出信号と、走査信号とを同期させて得られた、試料位置に対応した信号量(電子線の強度)の分布を示す像である。なお、走査透過電子顕微鏡像は、透過電子顕微鏡で得られる像であり、透過電子顕微鏡像に含まれる。走査像生成部230は、表示部(図示せず)に走査透過電子顕微鏡像を表示させる処理を行う。
走査信号生成部220および走査像生成部230は、CPU(Central Processing Unit)が記憶部24等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、上記処理を行うようにしてもよい。また、走査信号生成部220および走査像生成部230の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)により実現して上記の処理を行うようにしてもよい。
2.2. 透過電子顕微鏡の動作
次に、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡200の動作について説明する。
2.2.1. 第1観察モードから第2観察モードへ切り替える処理
まず、第1観察モードから第2観察モードに切り替える処理について説明する。図8は、第1観察モードから第2観察モードに切り替える際の透過電子顕微鏡200の動作の一例を示すフローチャートである。
第1観察モードでは、第1対物レンズ8をオンにした状態として、試料Sより上部の第1対物レンズ8の磁場を用いて、電子線プローブを試料S上に生成して使用する。
ユーザーが操作部26に対して第2観察モードに切り替える操作を行うと、操作部26は、第2観察モードに切り替えるための信号を制御部22に送る。
制御部22は、当該信号を受けて、第1対物レンズ8をオフ(励磁量を零)にする(ステップS500)。このとき、観察倍率は規定倍率に設定され、第2対物レンズ10の励磁量は、規定量に設定される。
次に、消磁部12が、第1対物レンズ8(コイル8a)に所定の電流を供給して、第1対物レンズ8の残留磁場を消去する(ステップS502)。これにより、第1対物レンズ8の残留磁場を消去することができる。本工程において、消磁部12は、観察倍率を規定倍率とし、および第2対物レンズ10の励磁量を規定量とした状態において、試料位置で
の磁場量を0mTとする。
次に、ユーザーは、試料ホルダー7に試料Sを固定し、当該試料ホルダー7を試料ステージ6に搭載して、試料Sを第1対物レンズ8の上極8c−1と下極8c−2との間に導入する(ステップS504)。
次に、制御部22は、照射レンズ系4を制御して、電子線源2で発生した電子線で試料S上に電子線プローブを形成する(ステップS506)。このとき、照射レンズ系4のみを用いて、電子線プローブを形成する。
次に、制御部22は、試料Sからの回折パターン(回折像)が結像レンズ系16の物面に結像するように第2対物レンズ10を制御する(ステップS508)。制御部22は、記憶部24に記憶されている第2対物レンズ10の設定データを取得して、第2対物レンズ10に所定の励磁電流を供給する。このとき、第2対物レンズ10の励磁量が変わるため、試料位置での漏洩磁場量も変化する。
そのため、制御部22は、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う(ステップS510、ステップS512)。
具体的には、制御部22は、第2対物レンズ10の励磁量の情報から、記憶部24に記憶されている第2対物レンズ10の励磁量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を求める(ステップS510)。次に、制御部22は、求めた第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を第1対物レンズ8のコイル8aに供給する(ステップS512)。これにより、第1対物レンズ8は、漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる。
次に、制御部22は、カメラ長を変更する(ステップS514)。制御部22は、記憶部24に記憶されている結像レンズ系16の設定データを取得して、結像レンズ系16に所定の励磁電流を供給する。これにより、結像レンズ系16は、検出器18上に設定したカメラ長で回折パターンを結像させている状態となる。このとき、結像レンズ系16の励磁量が変わるため、試料位置での漏洩磁場量も変化する。
そのため、制御部22は、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う(ステップS516、ステップS518)。
具体的には、制御部22は、結像レンズ系16の励磁量の情報から、記憶部24に記憶されている結像レンズ系16の励磁量と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を求める(ステップS516)。次に、制御部22は、求めた第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を第1対物レンズ8のコイル8aに供給する(ステップS518)。これにより、第1対物レンズ8は、漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる。そして、制御部22は、処理を終了する。
2.2.2. 電子線プローブの径を変更する際の処理
次に、第2観察モードにおいて、観察倍率を変更する際の透過電子顕微鏡100の動作について説明する。図9は、第2観察モードにおいて、電子線プローブの径を変更する際の透過電子顕微鏡200の動作の一例を示すフローチャートである。
図8に示すステップS500〜S518の処理を行い第2観察モードに切り替わった後、ユーザーが操作部26に対して、所望の電子線プローブの径を入力する操作を行うと、
操作部26は電子線プローブの径の情報を制御部22に送る。これにより、制御部22は、処理を開始する。
まず、制御部22は、電子線プローブの径の情報を受けて、電子線プローブの径を変更する処理を行う(ステップS600)。
具体的には、制御部22は、電子線プローブの径の情報を受けて、記憶部24に記憶されている照射レンズ系4(第1コンデンサーレンズ4aおよび第2コンデンサーレンズ4b)の設定データを取得し、照射レンズ系4の励磁量を電子線プローブの径に応じた量に変更する。この電子線プローブの径を変更する処理により、照射レンズ系4の励磁量が変わるため、試料位置での漏洩磁場量も変化する。
そのため、制御部22は、第1対物レンズ8を制御して、試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う(ステップS602、ステップS604)。
具体的には、制御部22は、操作部26からの電子線プローブの径の情報、すなわち、照射レンズ系4の励磁量の情報を受けて、当該照射レンズ系4の励磁量の情報から、記憶部24に記憶されている照射レンズ系4の励磁量の情報と試料位置での漏洩磁場を打ち消すための第1対物レンズ8の励磁量との関係を表す関数を用いて、第1対物レンズ8の励磁量を決定する(ステップS602)。
次に、制御部22は、算出された第1対物レンズ8の励磁量に応じた励磁電流を第1対物レンズ8のコイル8aに供給する(ステップS604)。これにより、第1対物レンズ8は、漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる。そして、制御部22は、処理を終了する。
なお、ここでは、電子線プローブの径を変更する際の処理について説明したが、電子線の電流量を変更する処理も、電子線プローブの径を変更する処理と同様に、照射レンズ系4の励磁量を変更して行われる。そのため、透過電子顕微鏡200において、電子線の電流量を変更する処理は、上述した電子線プローブの径を変更する際の処理と同様に行われる。
2.2.3. その他の処理
透過電子顕微鏡200において、外部磁場を検出した際の処理は、上述した「1.2.1. 外部磁場を検出した際の処理」と同様であり、その説明を省略する。また、透過電子顕微鏡200において、試料に所望の磁場を印加する処理は、上述した「 1.2.5. 試料に所望の磁場を印加する処理」と同様でありその説明を省略する。
透過電子顕微鏡200では、例えば、以下の特徴を有する。
透過電子顕微鏡200では、走査信号を生成する走査信号生成部220と、走査信号に基づいて、電子線で試料S上を走査する走査コイル210と、を含む。そのため、透過電子顕微鏡200では、走査透過電子顕微鏡像を得ることができる。
さらに、透過電子顕微鏡200では、上述した透過電子顕微鏡100と同様に、制御部22は、観察条件に応じて第1対物レンズ8を制御して、試料Sが配置される試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う。そのため、透過電子顕微鏡200では、漏洩磁場の影響を低減することができる。
したがって、透過電子顕微鏡200では、漏洩磁場の影響を低減しつつ、走査透過電子
顕微鏡像を取得することができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…電子線源、4…照射レンズ系、4a…第1コンデンサーレンズ、4b…第2コンデンサーレンズ、6…試料ステージ、7…試料ホルダー、8…第1対物レンズ、8a…コイル、8b…ヨーク、8c…ポールピース、8c−1…上極、8c−2…下極、10…第2対物レンズ、10a…コイル、10b…ヨーク、12…消磁部、14…極性反転部、16…結像レンズ系、16a…中間レンズ、16b…投影レンズ、18…検出器、20…磁場センサー、22…制御部、24…記憶部、26…操作部、100,200…透過電子顕微鏡、210…走査コイル、220…走査信号生成部、230…走査像生成部

Claims (11)

  1. 電子線を発生させる電子線源と、
    前記電子線源からの電子線を試料に照射する照射レンズ系と、
    前記試料を保持する試料ステージと、
    前記試料を挟んで配置された上極および下極を有し、前記上極および前記下極から磁場を発生させる第1対物レンズと、
    前記第1対物レンズの後段に配置された第2対物レンズと、
    前記第2対物レンズの後段に配置された結像レンズ系と、
    前記第1対物レンズおよび前記第2対物レンズを制御する制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、
    前記第2対物レンズを制御して、前記試料を透過した電子線で前記試料の透過電子顕微鏡像を結像する処理と、
    観察条件に基づいて前記第1対物レンズを制御して、前記試料が配置される試料位置での漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理と、
    を行う、透過電子顕微鏡。
  2. 請求項1において、
    前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理では、前記結像レンズ系の励磁量と前記漏洩磁場を打ち消すための前記第1対物レンズの励磁量との関係を表す関数を用いて、前記第1対物レンズの励磁量を求める、透過電子顕微鏡。
  3. 請求項1または2において、
    前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理では、前記第2対物レンズの励磁量と前記漏洩磁場を打ち消すための前記第1対物レンズの励磁量との関係を表す関数を用いて、前記第1対物レンズの励磁量を求める、透過電子顕微鏡。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理では、前記照射レンズ系の励磁量と前記漏洩磁場を打ち消すための前記第1対物レンズの励磁量との関係を表す関数を用いて、前記第1対物レンズの励磁量を求める、透過電子顕微鏡。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    外部磁場を検出する磁場センサーを含み、
    前記制御部は、前記磁場センサーの検出結果に基づいて前記第1対物レンズを制御して、前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理を行う、透過電子顕微鏡。
  6. 請求項5において、
    前記制御部は、前記外部磁場の磁場量と前記漏洩磁場を打ち消すための前記第1対物レンズの励磁量との関係を表す関数を用いて、前記第1対物レンズの励磁量を求める、透過電子顕微鏡。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、
    前記第1対物レンズの極性を制御する極性反転部を含む、透過電子顕微鏡。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、
    前記制御部は、前記第1対物レンズを制御して、前記試料位置に所与の磁場を印加する処理を行う、透過電子顕微鏡。
  9. 請求項8において、
    前記試料位置に所与の磁場を印加する処理は、前記漏洩磁場が打ち消されるような磁場を発生させる処理の後に行われる、透過電子顕微鏡。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項において、
    前記第1対物レンズに所定の電流を供給して、前記第1対物レンズの残留磁場を消去する消磁部を含む、透過電子顕微鏡。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項において、
    走査信号を生成する走査信号生成部と、
    前記走査信号に基づいて、前記電子線で前記試料上を走査する走査コイルと、
    を含む、透過電子顕微鏡。
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