JP2014032835A - 走査透過電子顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
電子ビームを、試料上で走査した場合、試料厚さや、構成元素、電子ビームを加速する加速電圧によって、電子の散乱角度が変化する。そのため、試料や観察条件を変えるたびにレンズの調整を行わなければ、試料内部で散乱した散乱電子を検出する暗視野走査像検出器で散乱電子を検出することができないという課題がある。本発明は、上記問題の解決することを目的とする。
【解決手段】
電子銃と、電子銃から放出される電子線を試料に照射するレンズと、試料を透過した電子を検出する検出器を走査透過電子顕微鏡において、試料と試料より下に配置されたレンズとの間にさらに補助レンズを設け、試料内で散乱された散乱電子が前記検出器に入射するように調整することを特徴とする走査透過電子顕微鏡。
【選択図】 図1
Description
〔走査透過電子顕微鏡〕
電子ビーム制御方式の一例を示す。電子銃1から照射される電子ビームは、高電圧制御部2によりON/OFFや強度などの制御が行われる。電子銃1から照射された電子ビームは、レンズ3によって集束され、偏向コイル4によって電子ビームの試料面上での位置を調整することにより、試料5表面の任意の位置に照射される。レンズ3および偏向コイル4はそれぞれレンズ制御部7および偏向コイル制御部8によって制御されている。試料5を透過した電子は、レンズ3により集束されTEM像として蛍光板10上に結像される。この蛍光板10を電子ビームが完全にあたらない位置に移動することにより、その下のカメラ12内のフィルム13上に結像され、TEM像が撮影される。このカメラ12はカメラ制御部14によって制御されている。
〔補助レンズの形態〕
図2は、本発明の対物レンズの構成を示した断面図である。本発明では、図2に示す様に、対物レンズのポールピース下側のヨークにギャップを設けて、ギャップ下側のヨーク内部に補助レンズ励磁コイル25が設置された補助レンズからなる。補助レンズ6の励磁コイル25には対物レンズの励磁コイル24とは別に電流を流すことがきる。そのため、補助レンズを+に励起、−に励起、OFF、にしたときで対物レンズの特性が異なり、低倍率広視野観察から高倍率観察までを一つレンズで行うことができる。
試料5に電子ビームを照射し、発生した散乱電子は、電子ビームを加速する加速電圧、試料厚さ、構成元素によって散乱角が決まる。図3は、試料厚さや構成元素が同じ試料に加速電圧を変えて電子ビームを照射した場合のモンテカルロシュミレーションの結果である。加速電圧が低いと散乱電子の拡がりは大きく、また加速電圧が高いと散乱電子の拡がりが小さいという結果になっている。図4は、加速電圧や構成元素は同じで、試料厚さを変えた場合のモンテカルロシュミレーションの結果である。試料が薄いと電子の拡がりは小さく、また試料が厚いと散乱電子の拡がりは大きいという結果になっている。図5は、加速電圧や試料厚さは同じで、構成元素を変えた場合のモンテカルロシュミレーションの結果である。原子番号が小さいと電子の広がりは小さく、また、原子番号が大きいと電子の広がりが大きいという結果になっている。このように、電子ビームを加速する加速電圧、試料厚さ、構成元素の3つの要素が決まると散乱電子の散乱角が求まる。
図6に操作画面の一例を示す。操作画面には、観察する加速電圧を入力する加速電圧入力場所26、試料厚さを入力する試料厚さ入力場所27、試料を構成する元素を入力する元素入力場所28がある。これら3つの条件を入力すると補助レンズに流す最適な電流値を補助レンズ電流値表示場所29に表示する。このとき、試料厚さは、微粒子の場合、粒子径を入力し、ウルトラミクロトーム等で切削して作製した試料の場合は、干渉色から大まかな厚さがわかるため、その値を入力する。試料を構成する元素は、観察対象の原子番号等を入力する。それらの値を入力すると、散乱電子の散乱角が求まるので、円環状の暗視野走査像検出器に散乱電子が入るように補助レンズに流す電流値が決まる。走査画像表示部には、暗視野や明視野等の走査像を表示する。このとき、ある散乱角の散乱電子のみで暗視野走査像を得たい場合は、観察目的の散乱角入力部30に散乱角を入力する。また、操作画面で二画面同時表示ボタン31を押すことで暗視野像と明視野像等を同時に表示することができ、画像切り替えボタン32を押すことで、暗視野像と明視野像等を切り替えて表示することができる。
14・・・カメラ制御部、15・・・パーソナルコンピュータ、16・・・制御盤、17・・・インターフェース部、18・・・鏡体冷却用水流、
19・・・鏡体冷却装置制御部、20・・・記憶装置、21・・・電子線量測定器、22・・・ON/OFFスイッチ、23・・・二次電子検出器、24…励磁コイル、25・・・補助レンズ励磁コイル、26・・・加速電圧入力場所、27・・・試料厚さ入力場所、28・・・構成原子入力場所、29・・・補助レンズの電流値表示場所、30・・・走査画像表示部、31・・・散乱電子の散乱角表示部、32・・・観察目的の散乱角入力部、
33・・・二画面同時表示ボタン、34・・・画像切り替えボタン
Claims (6)
- 電子銃と、電子銃から放出される電子線を試料に照射するレンズと、試料を透過した電子を検出する検出器を走査透過電子顕微鏡において、試料と試料より下に配置されたレンズとの間にさらに補助レンズを設け、試料内で散乱された散乱電子が前記検出器に入射するように調整することを特徴とする走査透過電子顕微鏡。
- 請求項1において、散乱電子の広がりと加速電圧又は試料厚さ又は試料を構成する元素との関係を記憶し、測定を行うときの加速条件及び/又は試料厚さ及び/又は試料を構成する元素の条件に基づいて、補助レンズのレンズ条件を制御することを特徴とする走査透過電子顕微鏡。
- 請求項2において、測定を行うときの加速条件及び/又は試料厚さ及び/又は試料を構成する元素を入力する入力画面があることを特徴とする走査透過電子顕微鏡。
- 請求項1において、前記検出器の位置が固定されていることを特徴とする走査透過電子顕微鏡。
- 請求項1において、対物レンズのポールピース下側のヨークのギャップに補助レンズ励磁コイルが設置された走査透過電子顕微鏡。
- 走査透過電子顕微鏡の対物レンズであって、ポールピース下側のヨークにギャップを設けて、ギャップ下側のヨーク内部に補助レンズ励磁コイルが設置されたことを特徴とする対物レンズ。
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2012
- 2012-08-03 JP JP2012172476A patent/JP2014032835A/ja active Pending
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