JP2015161689A - マーカーボードおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、基板上に少なくとも表面琺瑯層を形成してなるマーカーボードであって、短焦点型プロジェクターを用いても優れた反射スクリーン機能(映写性)を有し、さらに優れたマーカー文字認識性および優れたマーカー文字消去性を兼ね備えたマーカーボードおよびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)金属基板上に、少なくとも1層の琺瑯層を有するマーカーボードであって、前記琺瑯層のうち最外層の表面琺瑯層が、白系でJIS Z 8721−2001に規定される明度Vが8.3超、彩度Cが0〜1.0である色調と、JIS B 0601−2001に規定される表面粗さRa:0.25〜0.8μmである表面特性と、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度:Gs(45°)が35〜85%である表面光沢と、を有することを特徴とする反射スクリーン機能とマーカー文字認識性およびマーカー文字消去性に優れたマーカーボード。
(2)(1)において、前記表面琺瑯層が、白色系チタングロス釉薬に、少なくとも酸化チタン被覆粒子と粒径0.3μm以下の硫酸法・アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子とを配合した琺瑯上釉薬を用いて形成された琺瑯層であることを特徴とするマーカーボード。
(3)金属基板の表面に、琺瑯下釉薬を塗布し、焼成して下琺瑯層を形成したのち、あるいは下琺瑯層を形成することなく、琺瑯上釉薬を塗布し、焼成して表面琺瑯層を形成するマーカーボードの製造方法において、前記琺瑯上釉薬を、白色系チタングロス釉薬にさらに少なくとも酸化チタン被覆粒子と粒径0.3μm以下の硫酸法・アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子とを配合した琺瑯上釉薬とし、前記表面琺瑯層の焼成温度を700〜850℃とすることを特徴とする反射スクリーン機能とマーカー文字認識性およびマーカー文字消去性に優れたマーカーボードの製造方法。
(4)(3)において、前記酸化チタン被覆粒子を燐片状の粒子とし、該酸化チタン被覆粒子を白色系チタングロス釉薬100質量部に対し5〜15質量部配合し、かつ前記硫酸法・アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子を白色系チタングロス釉薬100質量部に対し2〜8質量部配合することを特徴とするマーカーボードの製造方法。
上記した金属基板上に形成される琺瑯層のうち、最外層の表面琺瑯層は、白系でJIS Z 8721−2001に規定される明度Vが8.3超、彩度Cが0〜1.0である色調と、JIS B 0601−2001に規定される表面粗さRa:0.25〜0.8μmである表面特性と、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度:Gs(45°)が35〜85%である表面光沢と、を有する。
本発明マーカーボードでは、表面琺瑯層を、JIS Z 8721−2001に規定される明度Vで、8.3超、彩度Cが0〜1.0である、白色系色調の琺瑯層とする。これにより、マーカーで描書された文字、画像等が見えやすくなり、優れたマーカー文字認識性を確保できる。
また、本発明マーカーボードでは、表面琺瑯層を、JIS B 0601−2001に規定される表面粗さRa:0.25〜0.8μmである表面特性を有する琺瑯層とする。これにより、マーカーで描書された文字、画像等を書きやすくかつ消去しやすくする、優れたマーカー文字認識性、優れたマーカー文字消去性を確保することができる。表面粗さRaが0.25μm未満では、平坦に近づきすぎ、ハレーションが大きくなって、投射した映像の映像認識性(映写性)が低下する。一方、表面粗さRaが0.8μmを超えて大きくなると、表面の凹凸が大きくなりすぎて、マーカー文字消去性が低下する。このため、表面琺瑯層の表面粗さRa:0.25〜0.8μmに限定した。なお、好ましくは表面粗さRa:0.3〜0.7μmである。
光沢度:Gs(45°)が35%未満では、ハレーションが少なく、映写性は良くなるが、マーカー文字消去性が低下する。一方、Gs(45°)が85%を超えると、ハレーションが激しくなり、短焦点型プロジェクターによる映写に際し映像認識性が低下し、景色や照明の写り込みにより文字認識性が低下する。このようなことから、表面琺瑯層の光沢度を、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度Gs(45°)で35〜85%に限定した。
本発明マーカーボードは、金属基板の表面に、琺瑯下釉薬を塗布し、焼成して下地琺瑯層を形成したのち、あるいは下地琺瑯層を形成することなく、ついで琺瑯上釉薬を塗布し、焼成して表面琺瑯層を形成する。使用する金属基板の種類は、とくに限定する必要はないが、冷延鋼板、あるいはアルミめっき鋼板またはZn−Al合金めっき鋼板とすることが好ましい。金属基板として冷延鋼板を用いる場合には、好ましくは冷延鋼板にNiめっきを施したのち、冷延鋼板(金属基板)表面に琺瑯下釉薬を塗布し、焼成して下地琺瑯層を形成する。琺瑯下釉薬としては、とくに限定されるものではなく、従来の琺瑯製マーカーボードに使用されている琺瑯下釉薬がいずれも好適である。
得られた下地琺瑯層の表面に、あるいは下地琺瑯層を形成することなく金属基板表面に、琺瑯上釉薬を塗布し、その後、700〜850℃で焼成し、表面琺瑯層を形成する。琺瑯下釉薬の塗布は、スプレー、ロールコータ等の公知の塗布方法がいずれも適用できる。
顔料として、配合する硫酸法・アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子(TiO2粒子)は、平均粒径:0.3μm以下の微細粒子とすることが好ましい。より好ましくは平均粒径:0.1〜0.2μmである。粒径は、電子顕微鏡写真をもとに画像解析装置を用いて算出した値を用いるものとする。硫酸法・アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子(TiO2粒子)は、白色系チタングロス釉薬(白色系チタンフリット)100質量部に対し、2〜8質量部配合する。なお、より好ましくは4〜6質量部である。
これにより、所望の優れた反射スクリーン性能を維持したまま、表面粗さが滑らかになり、マーカー文字消去性が改善される。
酸化チタン被覆粒子の配合量が5質量部未満では、酸化チタン被覆粒子が少なすぎて、反射効果が薄れるため、映像認識性が低下する。一方、15質量部を超えると、表面粗さが大きくなり、マーカー文字消去性が低下する。このため、酸化チタン被覆粒子の配合量は、白色系チタングロス釉薬100質量部に対し5〜15質量部に限定した。より好ましくは8〜12質量部である。
また、白色系チタンマット釉薬(白色系チタンマットフリット)としては、固形分全量に対する質量%で、SiO2:40〜50%、TiO2:18〜24%、K2O+Na2O+Li2O:18〜24%含有し、さらに、Al2O3:0〜2%、B2O3:0〜2%、ZrO2:0〜5%、CaO:0〜1%、MgO:0〜2%、F2:0〜5%などを含む釉薬とすることが好ましい。
焼成温度が700℃未満では、表面粗さが粗くなりすぎる。一方、850℃を超えて高温となると、表面が平滑になりすぎて、ハレーションを生じやすく、映写性(映像認識性)が低下する。
また、金属基板としてアルミニウムめっき鋼板またはZn−Al合金めっき鋼板を用いる場合には、金属基板表面に、琺瑯上釉薬を塗布し、400〜600℃の低温の焼成温度で焼成し表面琺瑯層を形成することが好ましい。なお、この場合には、めっき層の溶融防止の観点から、低融点の琺瑯上釉薬を用いる必要がある。この場合でも、琺瑯上釉薬には、微細な硫酸法・アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子、酸化チタン被覆粒子を添加することは言うまでもない。
なお、琺瑯下釉薬は、グランドコートフリットに、粘土、珪石粉、炭酸マグネシウム、硼砂等と、さらに水を添加し、ボールミルで混合、粉砕してスリップとしたものを使用した。
琺瑯上釉薬としては、表1に示す白色系チタングロス釉薬(白色系チタンフリット)100質量部(乾燥質量)に、添加物として粘土、塩化カリ、アルミン酸ソーダを合計で10質量部以下配合し、さらに、表3に示す色となるように、顔料として、黒色系顔料、灰色系顔料、青色系顔料、茶色系顔料、黄色系顔料のうちから選ばれた1種以上を合計で、10質量部以下配合したのち、水を配合して、ボールミルで、混合、粉碎してスリップとしたものを使用した。なお、本発明例である、表面琺瑯層では、顔料として上記した顔料以外に酸化チタン被覆粒子を0〜20質量部配合し、さらに添加物として上記した添加物以外に硫酸法・アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子(平均粒径:0.15μm)を0〜5質量部配合した。
(1)表面粗さ
表面粗さの測定は、接触式表面粗度計を用い、JIS B 0601−2001の規定に準拠して、算術平均高さRaを求めた。なお、一部の表面琺瑯層について、非接触式レーザマイクロスコープを用いて、表面琺瑯層の表面性状を三次元で測定し、設定した基準面(平滑面)からの凸部(山部)の最大高さ(μm)を測定した。
(2)色調
色調は、JIS Z 8722−2000の規定に準拠して測定し、JIS Z 8721−2001の規定に準拠して、各サンプル板の色調(H、V、C)を表示した。
(3)光沢度
光沢度は、JIS Z 8741−1997に準拠して45度鏡面光沢度Gs(45°)を求めた。
(4)マーカーの着きやすさ及び落ちやすさ
(4−a)マーカーの着きやすさ(マーカー文字認識性)
試験用マーカー(黒)で普通に書いた線をボード面から1m離れた位置で見て、線にむらがあるかどうかを判定する。また、8m離れた位置で見て、線が鮮明かどうかを判定し、4段階(◎、○、△、×)で評価した。
(4−b)マーカーの落ちやすさ(マーカー文字消去性)
(4−a)で書いた線を24時間放置したのち、ウレタンフォーム製イレイザーで普通に消したとき、ボード面から1m離れた位置で見て、ボード面に筆跡後及び消しむらがあるかどうかを判定し、4段階(◎、○、△、×)で評価した。
(5)映写性
マーカーボード(製品)を明るい場所に置き、マーカーボード(製品)に向かって、短焦点型プロジェクターを用いて画像を投影し、映写された画像をマーカーボードから5m離れた位置で、目視し、画像の鮮明度、およびハレーション抑制度を4段階(◎、○、△、×)で評価した。
得られた結果を表3に示す。
Claims (4)
- 金属基板上に、少なくとも1層の琺瑯層を有するマーカーボードであって、
前記琺瑯層のうち最外層の表面琺瑯層が、白系でJIS Z 8721−2001に規定される明度Vが8.3超、彩度Cが0〜1.0である色調と、JIS B 0601−2001に規定される表面粗さRa:0.25〜0.8μmである表面特性と、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度:Gs(45°)が35〜85である表面光沢と、を有することを特徴とする反射スクリーン機能とマーカー文字認識性およびマーカー文字消去性に優れたマーカーボード。 - 前記表面琺瑯層が、白色系チタングロス釉薬に、さらに少なくとも酸化チタン被覆粒子と粒径0.3μm以下の硫酸法アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子とを配合した琺瑯上釉薬を用いて形成された琺瑯層であることを特徴とする請求項1に記載のマーカーボード。
- 金属基板の表面に、琺瑯下釉薬を塗布し、焼成して下琺瑯層を形成したのち、あるいは下琺瑯層を形成することなく、琺瑯上釉薬を塗布し、焼成して表面琺瑯層を形成するマーカーボードの製造方法において、
前記琺瑯上釉薬を、白色系チタングロス釉薬にさらに少なくとも酸化チタン被覆粒子と粒径0.3μm以下の硫酸法・アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子とを配合した琺瑯上釉薬とし、前記表面琺瑯層の焼成温度を700〜850℃とする
ことを特徴とする反射スクリーン機能とマーカー文字認識性およびマーカー文字消去性に優れたマーカーボードの製造方法。 - 前記酸化チタン被覆粒子を燐片状の粒子とし、該酸化チタン被覆粒子を白色系チタングロス釉薬100質量部に対し5〜15質量部配合し、かつ前記硫酸法・アナターゼ型未表面処理酸化チタン粒子を白色系チタングロス釉薬100質量部に対し2〜8質量部配合することを特徴とする請求項3に記載のマーカーボードの製造方法。
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