JP2015160890A - インク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物 - Google Patents

インク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)が少なく、インクジェット吐出性及び得られる画像の柔軟性に優れ、臭気の少ない印刷物を得ることができるインク組成物を提供すること。
【解決手段】(成分A)ラジカル重合性化合物、及び、(成分B)光重合開始剤を含有し、成分Aとして、(成分A−1)3−メチルペンタンジオールジアクリレートをインク組成物全体の50〜90質量%含有し、かつ、(成分A−2)ビニルエーテル基を少なくとも1つ有する多官能ラジカル重合性化合物をインク組成物全体の1〜30質量%含むことを特徴とするインク組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、インク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。
インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率よく使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
中でも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット記録用インク組成物(放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物)は、紫外線などの放射線の照射によりインク組成物の成分の大部分が硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、また、画像がにじみにくいことから、種々の記録媒体に印字できる点で優れた方式である。
従来のインク組成物として、特許文献1及び2が挙げられる。
特表2010−521330号公報 特開2013−209518号公報
本発明の目的は、膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)が少なく、インクジェット吐出性及び得られる画像の柔軟性に優れ、臭気の少ない印刷物を得ることができるインク組成物、並びに、上記インクジェットインク組成物を使用したインクジェット記録方法及び印刷物を提供することである。
本発明の上記課題は下記の<1>、<9>、及び、<13>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<8>、及び、<10>〜<12>と共に以下に記載する。
<1> (成分A)ラジカル重合性化合物、及び、(成分B)光重合開始剤を含有し、成分Aとして、(成分A−1)3−メチルペンタンジオールジアクリレートをインク組成物全体の50〜90質量%含有し、かつ、(成分A−2)ビニルエーテル基を少なくとも1つ有する多官能ラジカル重合性化合物をインク組成物全体の1〜30質量%含むことを特徴とするインク組成物、
<2> (成分C)アミンアクリレート化合物をインク組成物全体の3〜30質量%含有する、<1>に記載のインク組成物、
<3> 多官能ラジカル重合性化合物の含有量が、ラジカル重合性化合物全体の90〜100質量%である、<1>又は<2>に記載のインク組成物、
<4> 成分Bとして、チオキサントン化合物及び/又はベンゾフェノン化合物を含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<5> 成分Bとして、分子量340以上のビスアシルホスフィン化合物を含有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<6> 分子量が340以上の光重合開始剤の含有量が、成分B全体の90質量%〜100質量%である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<7> インクジェット記録用である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<8> パッケージ印刷用である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<9> (工程a)<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインク組成物を支持体上に吐出する工程、及び、(工程b)吐出されたインク組成物に活性線を照射して上記インク組成物を硬化する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法、
<10> 上記支持体が、膜厚が10μm以上90μm以下であり、かつ、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びナイロンよりなる群から選択される成分を少なくとも1つ含有する樹脂フィルムである、<9>に記載のインクジェット記録方法、
<11> 上記活性線の光源がLEDである、<9>又は<10>に記載のインクジェット記録方法、
<12> 上記活性線の照射が、酸素分圧0.15atm以下で行われる、<9>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<13> <9>〜<12>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物。
本発明によれば、膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)が少なく、インクジェット吐出性及び得られる画像の柔軟性に優れ、臭気の少ない印刷物を得ることができるインク組成物、並びに、上記インクジェットインク組成物を使用したインクジェット記録方法及び印刷物を提供することができた。
本発明に好適に用いられるインクジェット記録装置の一例を示すである。
なお、明細書中、数値範囲を表す「A〜B」の記載は「A以上B以下」(A<Bの場合)又は「A以下B以上」(A>Bの場合)と同義である。すなわち、端点であるA及びBを含む数値範囲を表す。また、「(成分A)ラジカル重合性化合物」等を単に「成分A」等ともいう。また、「質量%」及び「質量部」は、それぞれ「重量%」及び「重量部」と同義である。
更に、本発明においては、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。「アクリロイル」、「メタクリロイル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリロイル」と、記載することがある。
また、本発明においては、化学構造式の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式とする場合がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
(インクジェットインク組成物)
本発明のインク組成物は、(成分A)ラジカル重合性化合物、及び、(成分B)光重合開始剤を含有し、成分Aとして、(成分A−1)3−メチルペンタンジオールジアクリレートをインク組成物全体の50〜90質量%含有し、かつ、(成分A−2)ビニルエーテル基を少なくとも1つ有する多官能ラジカル重合性化合物をインク組成物全体の1〜30質量%含むことを特徴とする。
本発明のインク組成物は、活性線により硬化可能な油性のインク組成物である。「活性線」とは、その照射によりインク組成物中に開始種を発生させるエネルギーを付与できる放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
また、本発明のインク組成物は、活性線硬化型のインク組成物であり、水性インク組成物や溶剤インク組成物とは異なる。本発明のインク組成物は、水及び揮発性溶剤をできるだけ含有しないことが好ましく、含有していたとしても、インク組成物の全質量に対し、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
また、本発明のインクジェットインク組成物は、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インク組成物として好適であり、特に、パッケージ印刷用インクジェットインク組成物として好適に用いることができる。
従来の水性インク組成物は、インクジェットヘッドによる吐出時にインク組成物の飛び散りが生じる場合が多いという問題があった。
また、従来の紫外線硬化型インク組成物は、インクジェット吐出時にインク組成物の飛び散りは生じないが、得られる画像の柔軟性に問題がある場合が多く、従来の添加剤により柔軟性を改善した場合、インクジェット吐出性が悪化することを、本発明者等は見いだした。
また、従来の活性線硬化型インク組成物のインクジェット印刷により得た印刷物は、硬化膜の臭気が強く、内包物や周囲の食品に臭いが移る場合があるという問題もあった。
本発明者が詳細な検討を行った結果、本発明のインクジェットインク組成物は、上記の構成を採用することにより、マイグレーションが少なく、インクジェット吐出性及び得られる画像の柔軟性に優れ、臭気の少ない印刷物を得ることができることを見いだした。
以下、本発明のインク組成物について、詳細に説明する。
(成分A)ラジカル重合性化合物
本発明のインク組成物は、(成分A)ラジカル重合性化合物を含有する。なお、本発明において、成分Aは低分子量の化合物であり、分子量が500以下の化合物である。従って、分子量(分子量分布を有する場合には重量平均分子量)が500を超える、ラジカル重合性オリゴマーやポリマーは、成分Aには該当しない。また、成分Aは、後述する(成分C)アミンアクリレート化合物を除くラジカル重合性化合物である。
本発明のインク組成物は、成分Aとして(成分A−1)3−メチルペンタンジオールジアクリレートをインク組成物全体の50〜90質量%含有し、かつ、(成分A−2)ビニルエーテル基を少なくとも1つ有する多官能ラジカル重合性化合物をインク組成物全体の1〜30質量%含む。
(成分A−1)3−メチルペンタンジオールジアクリレート
本発明のインク組成物は、(成分A−1)3−メチルペンタンジオールジアクリレートをインク組成物全体の50〜90質量%含有する。55〜87質量%含有することが好ましく、60〜85質量%含有することがより好ましく、65〜80質量%含有することが更に好ましい。3−メチルペンタンジオールジアクリレートの含有量が50質量%未満であると、マイグレーションが十分に抑制されず、また、臭気の発生が問題となる場合がある。3−メチルペンタンジオールジアクリレートの含有量がインク組成物全体の90質量%を超えると、他成分の含有量が十分ではなく、その結果、硬化性や柔軟性が十分ではなくなる可能性がある。
3−メチルペンタンジオールジアクリレートは、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレートであり、以下の化学式で表される。
Figure 2015160890
(成分A−2)ビニルエーテル基を少なくとも1つ有する多官能ラジカル重合性化合物
本発明のインク組成物は、(成分A−2)ビニルエーテル基を少なくとも1つ有する多官能ラジカル重合性化合物をインク組成物全体の1〜30質量%含有する。2〜25質量%含有することが好ましく、3〜20質量%含有することがより好ましく、3〜15質量%含有することが更に好ましい。
成分A−2の含有量が1質量%未満であると、十分な柔軟性が得られない。一方、成分A−2の含有量が30質量%を超えると、マイグレーションが多くなったり、臭気が発生したりする恐れがある。
成分A−2は、ビニルエーテル基を少なくとも1つ有する多官能ラジカル重合性化合物であり、ビニルエーテル基の他に、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等の官能基を有する化合物であってもよい。これらの中でも、柔軟性の観点からは、ビニルエーテル基と、アクリロイル基又はメタクリロイル基とを有する化合物、又は、官能基が全てビニルエーテル基である化合物、すなわち、2つ以上のビニルエーテル基を有し、かつ、ラジカル重合性基としてビニルエーテル基のみを有する化合物であることが好ましく、官能基が全てビニルエーテル基である化合物が特に好ましい。
成分A−2は多官能ラジカル重合性化合物であり、2官能以上であれば特に限定されないが、反応性及び柔軟性の観点から、2〜6官能であることが好ましく、2〜4官能であることがより好ましく、2官能又は3官能であることが更に好ましく、2官能であることが特に好ましい。
成分A−2として具体的には、2官能以上のビニルエーテル化合物(多官能ビニルエーテル化合物)としては、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]アジペート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]スクシネート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]イソフタレート、ビス[4−(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル]グルタレート、トリス[4−(ビニルオキシ)ブチル]トリメリテート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]ヘキサンジイルビスカルバメート、ビス[4−(ビニルオキシ)メチル]シクロヘキシルメチルテレフタレート、ビス[4−(ビニルオキシ)メチル]シクロヘキシルメチルイソフタレート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル](4−メチル−1,3−フェニレン)−ビスカルバメート、及び、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル](メチレンジ−4,1−フェニレン)−ビスカルバメートが例示される。
また、ビニルエーテル基と、(メタ)アクリロイルオキシ基とを有するラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
これらの中でも、インクをより低粘度化でき、かつ、インクの硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、すなわち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。特にアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、いずれも単純な構造であって分子量が小さいため、インクを顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
成分A−2としては、上述の通り、ラジカル重合性基としてビニルエーテル基のみを有する、2官能又は3官能ビニルエーテル化合物が好ましく、具体的には、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、トリス[4−(ビニルオキシ)ブチル]トリメリテートが好ましく例示される。
これらの中でも、トリエチレングリコールジビニルエーテルが特に好ましい。
(成分A−3)その他のラジカル重合性化合物
本発明のインク組成物は、成分Aとして、成分A−1及び成分A−2に加え、(成分A−3)その他のラジカル重合性化合物を含有していてもよい。なお、成分A−3は、成分A−1及び成分A−2以外のラジカル重合性化合物であることはいうまでもない。
成分A−3としては、エチレン性不飽和化合物が好ましい。
成分A−3としては、公知の重合性化合物を用いることができ、成分A−1及び成分A−2以外の(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、N−ビニル化合物、不飽和カルボン酸類等が例示できる。例えば、特開2009−221414号公報に記載のラジカル重合性モノマー、特開2009−209289号公報に記載の重合性化合物、特開2009−191183号公報に記載のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
成分A−3としては、多官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、多官能アクリレート化合物であることがより好ましい。
2官能(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(EO)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(PO)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
また、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレートが例示できる。
本発明のインク組成物は、成分A−3として、単官能重合性化合物を含有してもよい。単官能重合性化合物としては、単官能(メタ)アクリレート化合物、単官能(メタ)アクリルアミド化合物、単官能芳香族ビニル化合物、単官能ビニルエーテル化合物、単官能N−ビニル化合物などが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニルメチル)(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
更に、本発明に用いられる重合性化合物としては、例えば、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど)、アリルエステル類(酢酸アリルなど)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン、塩化ビニルなど)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテルなど)、シアン化ビニル((メタ)アクリロニトリルなど)、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)、N−ビニルラクタム類(N−ビニルカプロラクタムなど)などが挙げられる。
また、重合性化合物としては、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物等も挙げられる。
更に具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、(株)シーエムシー出版);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品又は業界で公知のラジカル重合性又は架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
本発明のインク組成物は、多官能ラジカル重合性化合物を成分A全体の90〜100質量%含有することが好ましい。多官能ラジカル重合性化合物の含有量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、マイグレーションが抑制されると共に、臭気が抑制されるので好ましい。
多官能ラジカル重合性化合物の含有量は、成分A全体の95〜100質量%であることがより好ましく、98〜100質量%であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
換言すれば、本発明のインク組成物は、ラジカル重合性化合物として、単官能ラジカル重合性化合物を含有しないか、含有する場合には成分A全体の10質量%以下であることが好ましく、単官能ラジカル重合性化合物を含有しないか、含有する場合には5質量%以下であることがより好ましく、含有しないか、含有する場合には3質量%以下であることが更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
なお、多官能ラジカル重合性化合物には、成分A−1及び成分A−2が含まれ、他の多官能(メタ)アクリレート化合物等を含有してもよい。
本発明において、成分Aの含有量は、硬化性の観点から、インク組成物の全質量に対し、55〜95質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、65〜90質量%が更に好ましい。
(成分B)重合開始剤
本発明のインク組成物は、(成分B)重合開始剤を含有する。成分Bを含有することにより、活性線の照射により開始種が発生し、ラジカル重合が生起されてインク組成物が硬化する。
なお、本発明における重合開始剤は、活性放射線等の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物だけでなく、特定の活性エネルギー線を吸収して重合開始剤の分解を促進させる化合物(いわゆる、増感剤)も含まれる。また、重合開始剤のラジカル発生効率を高める機能を有する化合物(いわゆる、共開始剤)も含まれる。
本発明において、成分Bとして、(成分B−1)チオキサントン化合物、及び/又は、(成分B−2)ベンゾフェノン化合物を含有することが好ましい。成分Bとしてチオキサントン化合物及び/又はベンゾフェノン化合物を含有することにより、硬化性に優れるので好ましい。特に、後述する(成分C)アミンアクリレート化合物と併用した場合には、優れた硬化性が得られる。
本発明において、インク組成物は(成分B−1)チオキサントン化合物及び/又は(成分B−2)ベンゾフェノン化合物を含有することが好ましく、(成分B−1)チオキサントン化合物を含有することが特に好ましい。成分B−1を含有することにより、特に反応性に優れ、結果としてマイグレーションが抑制されるので好ましい。なお、成分B−1及び成分B−2は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、特に限定されない。
(成分B−1)チオキサントン化合物
本発明のインク組成物は、(成分B)重合開始剤として、(成分B−1)チオキサントン化合物及び/又は(成分B−2)ベンゾフェノン化合物を含有することが好ましい。チオキサントン化合物を含有することにより、硬化性に優れる。
チオキサントン化合物としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、下記式(B−1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015160890
上記式(B−1)において、R1F、R2F、R3F、R4F、R5F、R6F、R7F及びR8Fはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基(一置換及び二置換の場合を含む。なお、以下においても同様である。)、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基又はスルホ基を表す。上記アルキル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、及び、アシル基におけるアルキル部分の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましい。
1F、R2F、R3F、R4F、R5F、R6F、R7F及びR8Fは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。これらが環を形成する場合の環構造としては、5又は6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。これらの環構造は置換基を更に有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基及びスルホ基が挙げられる。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
チオキサントン化合物としては、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,3−ジエチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−シクロヘキシルチオキサントン、4−シクロヘキシルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリドが例示できる。これらの中でも、入手容易性や硬化性の観点から、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,3−ジエチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−シクロヘキシルチオキサントン、及び、4−シクロヘキシルチオキサントンが好ましく、2−イソプロピルチオキサントン、及び、4−イソプロピルチオキサントンがより好ましい。
成分B−1として、下記式(1)で表される化合物が好ましく例示される。
Figure 2015160890
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、xは2〜4の整数を表し、jは0〜4の整数を表し、kは0〜3の整数を表し、j及びkが2以上の整数のとき、複数存在するR1及びR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、X1は炭化水素鎖、エーテル結合、エステル結合のいずれかを少なくとも含むx価の連結基を表す。)
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、上記炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、また、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、炭素数2又は3のアルキル基であることがより好ましく、エチル基又はイソプロピル基であることが更に好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が例示され、塩素原子であることが好ましい。
これらの中でも、R1及びR2はそれぞれ独立にエチル基、イソプロピル基又は塩素原子であることが特に好ましい。
式(1)中、jは0〜4の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。jが2以上の整数の場合、複数存在するR1は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(1)中、kは0〜3の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。kが2以上の整数の場合、複数存在するR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(1)中、xは2〜4の整数を表し、3又は4であることが好ましく、4であることがより好ましい。
式(1)中、X1はエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−(C=O)−O−)を含んでいてもよい炭素数2〜300のx価の炭化水素鎖からなる、x価の連結基を表す。
なお、式(1)において、連結基であるX1を除いたチオキサントン構造(式(1)中、[ ]内に表された構造)を複数(x個)有するが、それらは互いに同一でも異なっていてもよく特に限定されない。合成上の観点からは、同一であることが好ましい。
上記式(1)で表される化合物において、チオキサントンへの置換位置を以下のように表すこととする。
Figure 2015160890
1の置換位置が1〜4位であるとした場合、X1の置換位置は、2位、3位又は4位であることが好ましく、2位又は4位であることがより好ましく、4位であることが更に好ましい。
1の置換位置は、特に限定されないが、6位又は7位であることが好ましく、6位であることがより好ましい。
また、R2の置換位置は、特に限定されないが、1位、2位又は3位であることが好ましく、1位であることがより好ましい。
式(1)で表される化合物の分子量は、500〜3,000であることが好ましく、800〜2,500であることがより好ましく、1,000〜2,000であることが更に好ましい。
分子量が500以上であると、硬化膜からの化合物の溶出が抑制され、マイグレーション、臭気及びブロッキングが抑制されたインク組成物が得られる。一方、3,000以下であると、分子の立体障害が少なく、また、分子の液/膜中での自由度が維持され、高い感度が得られる。
なお、式(1)で表される化合物が、炭素数等が異なる複数の化合物の混合物である場合、重量平均分子量が上記の範囲であることが好ましい。
式(1)で表される化合物として、上市されている化合物を使用することもできる。具体的には、SPEEDCURE 7010(1,3-di({α-[1-chloro-9-oxo-9H-thioxanthen-4-yl]oxy}acetylpoly[oxy(1-methylethylene)])oxy)-2,2-bis({α-[1-chloro-9-oxo-9H-thioxanthen-4-yl]oxy}acetylpoly[oxy(1-methylethylene)])oxymethyl)propane、CAS No. 1003567-83-6)、OMNIPOL TX(Polybutyleneglycol bis(9-oxo-9H-thioxanthenyloxy)acetate、CAS No. 813452-37-8)が例示される。
(成分B−2)ベンゾフェノン化合物
本発明のインク組成物は、成分Bとして成分B−1及び/又は(成分B−2)ベンゾフェノン化合物を含有することが好ましい。
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタロフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルフェニルスルフィド等が例示できる。ベンゾフェノン化合物としては、ジアミノベンゾフェノン化合物を用いることも好ましい。ジアミノベンゾフェノン化合物としては、p,p'−テトラメチルジアミノベンゾフェノンが例示できる。
ベンゾフェノン化合物として、下記式(2)で表される化合物が好ましく例示される。
Figure 2015160890
(式(2)中、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、mは0〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し、yは2〜4の整数を表し、m及びnが2以上の整数のとき、複数存在するR3及びR4はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、X2は炭化水素鎖、エーテル結合、エステル結合のいずれかを少なくとも含むy価の連結基を表す。)
式(2)中、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、上記炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、また、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、炭素数2又は3のアルキル基であることがより好ましく、エチル基又はイソプロピル基であることが更に好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が例示され、塩素原子であることが好ましい。R3及びR4は、エチル基、イソプロピル基又は塩素原子であることが特に好ましい。
式(2)中、mは0〜4の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。mが2以上の整数の場合、複数存在するR3は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(2)中、nは0〜3の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。nが2以上の整数の場合、複数存在するR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(2)中、yは2〜4の整数を表し、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(2)中、X2は炭化水素鎖、エーテル結合(−O−)及びエステル結合(−(C=O)−O−)よりなる群から選択された少なくとも1つを含むy価の連結基を表す。
なお、式(2)において、連結基であるX2を除いたベンゾフェノン構造(式(2)中、[ ]内に表された構造)を複数(y個)有するが、それらは互いに同一でも異なっていてもよく特に限定されない。合成上の観点からは、同一であることが好ましい。
上記式(2)で表される化合物において、ベンゾフェノンへの置換位置を以下のように表すこととする。
Figure 2015160890
2の置換位置が1〜5位であるとした場合、X2の置換位置は、2位又は3位であることが好ましく、3位であることがより好ましい。
3の置換位置は、特に限定されないが、2’位又は3’位であることが好ましく、3’位であることがより好ましい。
また、R4の置換位置は、特に限定されないが、2位、3位又は4位であることが好ましい。
式(2)で表される化合物の分子量は、500〜3,000であることが好ましく、800〜2,500であることがより好ましい。
分子量が500以上であると、硬化膜からの化合物の溶出が抑制され、マイグレーション、臭気及びブロッキングが抑制されたインク組成物が得られる。一方、3,000以下であると、分子の立体障害が少なく、また、分子の液/膜中での自由度が維持され、高い感度が得られる。
なお、式(2)で表される化合物が、炭素数等が異なる複数の化合物の混合物である場合、重量平均分子量が上記の範囲であることが好ましい。
式(2)で表される化合物として、上市されている化合物を使用することもできる。具体的には、OMNIPOL BP(Polybutyleneglycol bis(4-benzoylphenoxy)acetate、CAS No. 515136-48-8)が例示される。
成分B−1及び/又は成分B−2の含有量は、合計して、インク組成物全体の0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜8.0質量%であることがより好ましく、0.1〜5.0質量%であることが更に好ましく、0.3〜3質量%であることが特に好ましい。上記範囲内であると、硬化性に優れる。
また、本発明のインク組成物は、上記成分B−1又は成分B−2以外の他の重合開始剤を含有していてもよい。
(成分B−3)成分B−1又は成分B−2以外の他の重合開始剤
本発明のインク組成物は、成分Bとして、(成分B−3)成分B−1又は成分B−2以外の他の重合開始剤を含有することが好ましい。
成分B−1又は成分B−2以外の他の重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。上記重合開始剤の詳細については、例えば、特開2009−185186号公報の段落0090〜0116に記載されているものが例示できる。
本発明における重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
成分B−1又は成分B−2以外の他の重合開始剤としては、硬化性の観点から、アシルホスフィン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物及び/又はα−アミノケトン化合物が好ましく挙げられる。
中でも、アシルホスフィン化合物及び/又はα−アミノケトン化合物が好ましく、アシルホスフィン化合物がより好ましく、ビスアシルホスフィン化合物が硬化性に優れるので、特に好ましい。
アシルホスフィン化合物の好適な例としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2−メトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2−メトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペンチルオキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4−ジペンチルオキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル(4−ペンチルオキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイル(4−ペンチルオキシフェニル)フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。
これらの中でも、アシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE 819、BASFジャパン社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルホスフィンオキサイドが好ましく、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドが特に好ましい。
また、本発明において、マイグレーションを抑制する観点から、重合開始剤として分子量が340以上の重合開始剤が好ましく、成分Bとして、分子量340以上のアシルホスフィンオキサイド化合物を含有することが好ましく、分子量340以上のビスアシルホスフィン化合物を含有することがより好ましい。
また、成分B−1又は成分B−2以外の他の重合開始剤としては、硬化性の観点から、芳香族ケトン類が好ましい。
芳香族ケトン類としては、α−ヒドロキシケトン化合物及び/又はα−アミノケトン化合物が好ましい。
α−ヒドロキシケトン化合物としては、公知のものを用いることができるが、例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられ、中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物が好ましい。なお、本発明において、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが任意の置換基で置換された化合物も含まれる。置換基としては、ラジカル重合開始剤としての能力を発揮しうる範囲で任意に選択することができ、具体的には炭素数1〜4のアルキル基が例示できる。
また、α−アミノケトン化合物としては、公知のものを用いることができ、具体的には例えば、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−ヘキシルフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)ブタン−1−オン、及び、2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォルニル)フェニル]ブタン−1−オン等が挙げられる。また、市販品としては、BASFジャパン社製IRGACURE907、IRGACURE369、IRGACURE379等が好ましく例示できる。
また、重合開始剤としては、例えば、LAMBSON社製のSPEEDCURE 7040が挙げられる。
本発明のインク組成物は、重合開始剤として、特定の活性エネルギー線を吸収して重合開始剤の分解を促進させるため、増感剤として機能する化合物(以下、単に「増感剤」ともいう。)を含有することが好ましい。
増感剤としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン等)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン等)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン等)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム等)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等)、チオクロマノン類(例えば、チオクロマノン等)等が挙げられる。
また、増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の総含有量は、インク組成物全体の1.0〜15.0質量%であることが好ましく、1.5〜10.0質量%であることがより好ましく、1.5〜7.0質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、硬化性に優れる。
本発明のインク組成物における分子量が340未満の重合開始剤の含有量は、マイグレーション、臭気及びブロッキングを抑制する観点から、含有しないか、又は、インク組成物全体の0質量%を超え1.0質量%以下であり、含有しないか、又は、0質量%を超え0.5質量%以下であることが好ましく、含有しないか、又は、0質量%を超え0.3質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
(成分C)アミンアクリレート化合物
本発明のインク組成物は、(成分C)アミンアクリレート化合物を含有することが好ましい。成分Cを含有することにより、特に硬化性に優れ、マイグレーションや臭気がより抑制される。
成分Cは、少なくとも1つのアミノ基、及び、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、少なくとも1つのアミノ基、及び、少なくとも1つのアクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。なお、成分Cは、(メタ)アクリロイル基を有しているが、上述の通り、成分Aには含まれない。
成分Cは、1分子当たり少なくとも1つのアミノ基を有し、1〜6のアミノ基を有することが好ましく、1〜3のアミノ基を有することがより好ましく、1又は2のアミノ基を有することが更に好ましい。成分C1分子当たりのアミノ基の数が上記範囲内であると、粘度及びマイグレーション抑制の観点から好ましい。
成分Cは、1分子当たり少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有し、1〜6の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましく、1〜4の(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましく、1又は2の(メタ)アクリロイル基を有することが更に好ましい。成分C1分子当たりの(メタ)アクリロイル基の数が上記範囲内であると、反応性及び粘度の観点から好ましい。
成分Cの25℃における粘度は、1mPa・s以上であることが好ましく、3mPa・s以上であることがより好ましく、5mPa・s以上であることが更に好ましい。また、500mPa・s以下であることが好ましく、250mPa・s以下であることがより好ましく、100mPa・s以下であることが更に好ましく、50mPa・s以下であることが特に好ましく、25mPa・s以下であることが最も好ましい。粘度が上記範囲内であると、吐出性に優れるので好ましい。
成分Cとしては、上市されている以下の商品が例示される。
RAHN社:GENOMER5161、GENOMER5275
サートマー社:CN371、CN373、CN383、CN384、CN386、CN501、CN550、CN551
ダイセルサイテック社:EBECRYL7100、EBECRYL80、EBECRYL81、EBECRYL83、EBECRYL84、EBECRYLP115
BASF社:Laromer PO77F(LR8946)、Laromer LR8956、Laromer LR8996、Laromer PO94F(LR8894)
コグニス社:Photomer4771、Photomer4775、Photomer4967、Photomer5096、Photomer5662、Photomer5930
DoubleBondChemicals社:DoublecureEPD、DoublecureOPD、Doublecure115、Doublecure225、Doublecure645、PolyQ222、PolyQ226、PolyQ224、PolyQ101
成分Cとしては、これらを1種単独で使用してもよく、また、2種以上を併用してもよい。
成分Cのインク組成物中の含有量は、インク組成物全体の3〜30質量%であることが好ましく、4〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。成分Cの含有量が上記範囲内であると、反応性が向上し、マイグレーションや臭気が抑制される。
(成分D)多官能(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明のインク組成物は、上記の成分A〜成分Cに加え、(成分D)多官能(メタ)アクリレートオリゴマーを含有してもよい。なお、後述するように成分Dは重量平均分子量が500を超え、成分Aには該当しない。また、成分Cに該当するものは除くものとする。
なお、本発明において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定され、標準ポリスチレン換算にて求められる。
オリゴマーは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーが結合した重合体であり、(メタ)アクリロイルオキシ基を2つ以上有する公知のオリゴマーを任意に選択可能であるが、本発明においては、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は500を超え、1,000〜5,000であることが好ましく、1,500〜4,500であることがより好ましく、2,000〜4,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、硬化膜のマイグレーション、臭気及びブロッキングを抑制しつつ、インクの粘度をインクジェットに適した粘度範囲にすることができる。
また、重量平均分子量は1,000以上であるが、オリゴマーが分子量分布を有する場合、分子量が1,000以下の成分が多官能(メタ)アクリレートオリゴマー全体に対して5質量%以下であることが、マイグレーション抑制の観点から好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリロイルオキシ基を2つ以上有し、2〜6官能であることが好ましく、2〜4官能であることがより好ましく、2又は3官能であることが更に好ましく、2官能であることが特に好ましい。また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、多官能アクリレートオリゴマーであることが好ましい。
本発明における多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、オリゴエステル(メタ)アクリレートが好ましく、その中では、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートがより好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートが更に好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく挙げられるが、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましく挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、4官能以下のウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましく、2官能のウレタン(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートを含有することにより、基材の密着性に優れ、硬化性に優れるインク組成物が得られる。
成分Dについて、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)も参照することができる。
また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品としては、以下に示すものが例示できる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、第一工業製薬(株)製のR1204、R1211、R1213、R1217、R1218、R1301、R1302、R1303、R1304、R1306、R1308、R1901、R1150等や、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL230、270、4858、8402、8804、8807、8803、9260、1290、1290K、5129、4842、8210、210、4827、6700、4450、220)、新中村化学工業(株)製のNKオリゴU−4HA、U−6HA、U−15HA、U−108A、U200AX等、東亞合成(株)製のアロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL770、IRR467、81、84、83、80、675、800、810、812、1657、1810、IRR302、450、670、830、870、1830、1870、2870、IRR267、813、IRR483、811等)、東亞合成(株)製のアロニックスM−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050等が挙げられる。
また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL600、860、2958、3411、3600、3605、3700、3701、3703、3702、3708、RDX63182、6040等)等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物における多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量としては、インク組成物の全質量に対し、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
(成分E)着色剤
本発明のインク組成物は、形成された画像部の視認性を向上させるため、着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用できる。着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点から、重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、白色顔料としては、Pigment White 6,18,21などが目的に応じて使用できる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
着色剤は、インク組成物に添加された後、適度に当該インク組成物内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
着色剤は、インク組成物の調製に際して、各成分と共に直接添加してもよい。また、分散性向上のため、予め溶剤又は本発明に使用する重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散あるいは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化、及び、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
なお、インク組成物中において固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
インク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.01〜30質量%であることが好ましい。
(成分F)分散剤
本発明のインク組成物は、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤としては、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−111、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−182(BYKケミー社製);EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブ社製);ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製);ソルスパース(SOLSPERSE)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、22000、24000、26000、28000、32000、36000、39000、41000、71000などの各種ソルスパース分散剤(Lubrizol社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製)、イオネットS−20(三洋化成工業(株)製);ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)(楠本化成(株)製)が挙げられる。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.05〜15質量%であることが好ましい。
(成分G)界面活性剤
本発明のインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。また、上記界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(例えば、有機フルオロ化合物等)やシリコーン系界面活性剤(例えば、ポリシロキサン化合物等)を用いてもよい。上記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。上記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
上記ポリシロキサン化合物としては、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に有機基を導入した変性ポリシロキサン化合物であることが好ましい。変性の例として、ポリエーテル変性、メチルスチレン変性、アルコール変性、アルキル変性、アラルキル変性、脂肪酸エステル変性、エポキシ変性、アミン変性、アミノ変性、メルカプト変性などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの変性の方法は組み合わせて用いられてもかまわない。また、中でもポリエーテル変性ポリシロキサン化合物がインクジェットにおける吐出安定性改良の観点で好ましい。
ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物の例としては、例えば、SILWET L−7604、SILWET L−7607N、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2161(日本ユニカー(株)製)、BYK306、BYK307、BYK331、BYK333、BYK347、BYK348等(BYK Chemie社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
これらの中でも、界面活性剤としてはシリコーン系界面活性剤が好ましく挙げられる。
本発明のインク組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.0001〜1質量%であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明のインク組成物には、必要に応じて、上記各成分以外に、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等を含む。これらその他の成分としては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2009−221416号公報に記載されているものが挙げられる。
また、本発明のインク組成物は、保存性、及び、ヘッド詰まりの抑制という観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
重合禁止剤の含有量は、本発明のインク組成物の全質量に対し、200〜20,000ppmであることが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤や、ヒンダードアミン系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
<インク物性>
本発明においては、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であるインク組成物を使用することが好ましい。より好ましくは5〜40mPa・s、更に好ましくは7〜30mPa・sである。また、吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温(25℃)での粘度を高く設定することにより、多孔質な記録媒体(支持体)を用いた場合でも、記録媒体中へのインク組成物の浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。更にインク組成物の液滴着弾時のインク滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物の25℃における表面張力は、20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましく、20.5mN/m以上35.0mN/m以下であることがより好ましく、21mN/m以上30.0mN/m以下であることが更に好ましく、21.5mN/m以上28.0mN/m以下であることが特に好ましい。上記範囲であると、耐ブロッキング性に優れる印刷物が得られる。
なお、インク組成物の25℃における表面張力の測定方法としては、公知の方法を用いることができるが、吊輪法、又は、ウィルヘルミー法で測定することが好ましい。例えば、協和界面科学(株)製自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定する方法、又は、KSV INSTRUMENTS LTD社製 SIGMA702を用いて測定する方法が好ましく挙げられる。
(インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び印刷物)
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェットインク組成物をインクジェット記録用として記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、記録媒体上に吐出されたインクジェットインク組成物に活性線を照射し、インクジェットインク組成物を硬化して画像を形成する方法であり、本発明のインクジェットインク組成物をインクジェット記録用として記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、記録媒体上に吐出されたインクジェットインク組成物に低酸素分圧下で活性線を照射し、インクジェットインク組成物を硬化して画像を形成する方法であることが好ましい。
より具体的には、本発明のインクジェット記録方法は、(工程a)インク組成物を支持体(以下、基材、記録媒体等ともいう。)上に吐出する工程、及び、(工程b)上記インク組成物に活性線を照射して上記インク組成物を硬化する工程、を含むことが好ましく、工程bが上記インク組成物に酸素分圧0.15atm以下にて活性線を照射して上記インク組成物を硬化する工程であることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記工程a及び工程bを含むことにより、記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体上の同一部分において、上記工程a及び工程bを2回以上行うこと、すなわち、同一部分を重ね打ちにより印刷するマルチパスモードで行ってもよい。本発明のインク組成物を用いることにより、マルチパスモードで印刷を行った場合、光沢性により優れた画像が得られる。
また、本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物である。
上記支持体は、膜厚が10μm以上90μm以下であることが好ましく、膜厚が20μm以上80μm以下であることがより好ましい。また、上記支持体は、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び、ナイロンよりなる群から選択される成分を少なくとも1つ含有する樹脂フィルムであることが好ましい。
また、本発明のインク組成物は、パッケージ印刷用に好適であり、特に、食品包装用のパッケージ印刷に好適である。
本発明のインクジェット記録方法における(工程a)には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の工程aにおける支持体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
本発明で用いることができるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性エネルギー線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズの液滴を、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは720×720dpiの解像度のドットとなるように吐出駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、本発明のインク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが好ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
本発明のインク組成物のような活性線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インク組成物で使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、工程bについて説明する。
記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用されうる。活性線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、320〜420nmであることが更に好ましく、活性線が、ピーク波長が340〜400nmの範囲の紫外線であることが特に好ましい。
また、本発明のインク組成物の、重合開始系は、低出力の活性線であっても十分な感度を有するものである。従って、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm2、より好ましくは20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。
活性線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性線を放出しうるLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性線源はUV−LEDであり、特に好ましくは340〜400nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの記録媒体上での最高照度は、10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、このような活性エネルギー線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性エネルギー線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性エネルギー線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
また、本発明においては、活性線を照射する際に、被記録媒体の表面周辺の雰囲気を貧酸素雰囲気とする。硬化雰囲気の酸素濃度を抑えることで、硬化に必要な活性線のエネルギーを小さくすることができることは公知であるが、本発明では、パッケージ印刷物特性として重要な、マイグレーション、臭気、シュリンクの改良に効果的であることが見出された。
一般的にラジカル重合系のインク組成物は特に空気と接する表面が酸素重合阻害を受けやすく、特に表面の硬化不良が起きやすい。この表面の硬化性劣化により、モノマーが膜中に残留したり、多官能モノマーによる膜の架橋構造形成により、低分子成分を膜中にとどめる性能が不十分となり、マイグレーション、臭気を著しく劣化させる。しかし、酸素濃度の低い環境下で露光することで、上記の酸素重合阻害の程度を低減させ、マイグレーション、臭気が改良されると推定される。
また、選択的に硬化膜表面のみが、酸素重合阻害をうけることで、良好な硬化性が得られる膜内部との硬化性の差が生じ、体積収縮率に分布ができてしまう結果、パッケージ用の薄い支持体がシュリンクを起しやすくなってしまう。これに関しても、酸素濃度の低い環境下で露光することで、膜表面と内部の体積収縮率を均一化させ、シュリンクを改良することができると推定される。
本発明において、酸素分圧が0.15atm以下の貧酸素雰囲気下にて、活性線の照射を行うことが好ましい。
通常、大気(1気圧)下では酸素の分圧は0.21atm(気圧)であるので、酸素の分圧を0.15atm以下に下げるためには、(a)露光時の大気を減圧して0.71気圧以下にするか、(b)空気と酸素以外の気体(例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス)を空気に対して29vol%以上混合することにより達成できる。
本発明における貧酸素雰囲気については、特に限定されず上記いずれの方法も用いることができる。
上記酸素分圧は、0.10atm以下がより好ましく、0.08atm以下が更に好ましく、0.05atm以下が特に好ましい。
酸素分圧の下限には特に制限はない。真空又は雰囲気を空気以外の気体(例えば窒素)で置換することにより酸素分圧を事実上0にすることができるが、これも好ましい方法である。
不活性ガス置換による酸素濃度は、0.01〜15体積%に制御することが好ましく(なお、このとき、酸素分圧は0.0001〜0.15atmに制御される。)、0.03〜10体積%に制御することがより好ましく、0.05〜8体積%に制御することが更に好ましく、0.1〜5体積%に制御することが特に好ましい。
硬化雰囲気の酸素濃度を0.01%〜15体積%に制御する手段としては、例えば、画像形成装置を閉じた系にして、窒素雰囲気や二酸化炭素雰囲気にする方法などがある。窒素の供給手段としては、例えば、窒素ボンベを用いたり、酸素と窒素の中空糸膜に対する透過性の違いを利用し空気中から窒素ガスのみを分離する装置を用いる方法がある。二酸化炭素の供給手段としてもボンベによる供給方法がある。
上記不活性ガスとは、N2、H2、CO2、などの一般的な気体や、He、Ne、Arなどの希ガス類をいう。この中でも、安全性や入手の容易さ、コストの問題から、N2が好適に利用される。
上記減圧下とは、500hPa(0.05MPa)以下、好ましくは100hPa(0.01MPa)以下の状態を指す。
本発明で特に好適に使用されるインクジェット記録装置について、更に詳述する。上記の本発明のインクジェット記録方法は、以下に説明する本発明のインクジェット記録装置により好適に実施される。
本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体を搬送する搬送手段と、上記被記録媒体上に付与された液体に活性エネルギーを付与するエネルギー付与手段と、上記エネルギー付与手段によるエネルギー付与時の雰囲気を貧酸素雰囲気とする手段と、上記液体付与部から液体を吐出させつつ、上記搬送手段と上記エネルギー付与手段とを制御する制御手段と、を有し、上記被記録媒体の記録可能領域の全幅に対応した長さのライン型の打滴ヘッドが複数配備されており、上記記録液を吐出する打滴ヘッドと、上記エネルギー付与手段とが、被記録媒体の搬送方向上流側から順に配置されていることが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置は、所謂シングルパス方式のインクジェット記録装置であって、被記録媒体の搬送方向上流側から順に、処理液を吐出する打滴ヘッドと、記録液を吐出する打滴ヘッドと、エネルギー付与手段とが、配置されていることが好ましく、このような配置とすることで、処理液を付与してから記録液を打滴するまでの間において、打滴された処理液の表面を液体状に維持することができる。また、露光硬化の際に、貧酸素雰囲気とすることで、重合性化合物などの重合阻害を抑えて硬化反応を促進することができ、ひいては、細線など微細部の描画性を向上させることができる。
図1は、本発明で好ましく使用されるインクジェット記録装置の模式図である。支持体の搬送手段である、支持体巻き取りロール5、5’に張架された支持体6は、矢印方向に搬送され、各色のインク組成物を吐出する打滴ヘッドが配備されたインクジェットヘッドユニット7にて、各色のインク組成物(K:ブラック、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、W:ホワイト)が吐出される。
図1に示すように、LED光源ユニット1は、不活性ガスブランケット2に囲まれており、不活性ガス配管3を介して不活性ガス発生装置4に接続している。ブランケット2内の雰囲気を貧酸素雰囲気とする手段である不活性ガス発生装置4は、配管3を介してブランケット2の内部に不活性ガスを供給するもので、初期状態では、ブランケット2内雰囲気は空気であるが不活性ガス発生装置4を稼働させると、ブランケット2内の空気は不活性ガスに置換される。不活性ガスは、既述の通り、N2などを利用することができる。
本発明において、支持体としては、膜厚が10μm以上90μm以下であり、かつ、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びナイロンよりなる群から選択される成分を少なくとも1つ含有する樹脂フィルムを使用することが好ましい。
なお、上記の「成分を少なくとも1つ含有する樹脂フィルム」とは、樹脂フィルムが多層構造を有する積層フィルムである場合に、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びナイロンよりなる群から選択される成分からなる層を少なくとも1つ有することを意味する。なお、ポリプロピレンとポリエチレンとの積層フィルムのように、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びナイロンよりなる群から選択される成分からなる層を2つ以上有していてもよい。
ポリエチレンとしては、LDPE(低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、ポリプロピレンとしては、CPP(無延伸ポリプロピレン)、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、KOP(ポリ塩化ビニリデンコートOPP)、AOP(PVAコートOPP)、PETとしては、2軸延伸ポリエステル、ナイロンとしては、ON(延伸ナイロン)、KON(延伸ナイロン)、CN(無延伸ナイロン)が好ましく用いられる。
その他、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合フィルム)、PVA(ビニロン),EVOH(ポリビニルアルコール)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン、サラン)、セロハン(PT、MST、Kセロ)、ZX(ゼクロン(ポリアクリロニトリル、PAN))、PS(ポリスチレン、スチロール)との組み合わせを用いることも好ましい。
パッケージの用途により、最適な素材が選択され、また、多層構造のフィルムとすることで、各素材の特徴が組み合わされたフィルムを作製することができる。
また、パッケージの強度向上、酸素遮断等の目的で、AL(アルミニウム箔)、VMフィルム(アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム)等を多層構造に組み込むことも可能である。
また、本発明の印刷方法では、上記支持体上に本発明のインク組成物を用いてインクジェット印刷を行った後、印刷物上部をラミネート加工することが好ましい。
ラミネート加工により、印刷物からのインク成分の溶出、ブロッキング、臭気を抑制でき、特に食品パッケージ用として、好ましく使用できる。
また、近年、樹脂を、平行した2つ以上のスリットから共に押出し、成膜すると同時にラミネートまで行う、共押出しフィルムも好ましく使用される。フィルム状にできないような数μmという薄いものでも最大5〜7層まで積層可能なので、いろいろな性能・用途のフィルムがつくられている。
本発明の印刷方法には、膜厚10〜90μmの支持体が好ましく用いられ、膜厚20〜80μmの支持体がより好ましく用いられる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインク組成物のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインク組成物から順に重ねることにより、下部のインク組成物まで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性エネルギー線の照射により高感度で硬化することで、記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明のインク組成物は、複数のインクジェット記録用インクからなるインクセットとして使用することが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の高い着色インク組成物から記録媒体に付与することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトのインク組成物との計7色が少なくとも含まれる本発明のインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、特に断りのない限り、以下の記載における「部」とは「質量部」を示し、「%」とは「質量%」を示すものとする。
本発明で使用した素材は下記に示す通りである。
<着色剤>
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、BASFジャパン社製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−355−D(マゼンタ顔料、BASFジャパン社製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、BASFジャパン社製)
・タイペークCR60−2(ホワイト顔料、石原産業(株)製)
<分散剤>
・SOLSPERSE32000(Lubrizol社製分散剤)
<(成分A)重合性化合物>
・3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート(SR341、Sartomer社製)
・EOTMPTA(トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、SR9035、Sartomer社製)
・DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル、BASF社製)
・トリス[4−(ビニルオキシ)ブチル]トリメリテート(Vectomer VE 5015、Vertellus社製)
・SR9003(PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、Sartomer社製)
<(成分B)重合開始剤>
・IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、BASF社製、分子量419)
・Speedcure7010(1,3-di({α-[1-chloro-9-oxo-9H-thioxanthen-4-yl]oxy}acetylpoly[oxy(1-methylethylene)])oxy)-2,2-bis({α-[1-chloro-9-oxo-9H-thioxanthen-4-yl]oxy}acetylpoly[oxy(1-methylethylene)])oxymethyl)propane、Lambson社製、分子量1,899)
・Omnipol BP(Polybutyleneglycol bis(4-benzoylphenoxy)acetate、Rahn AG社製、分子量960)
<(成分C)アミンアクリレート化合物>
・CN383(CN383、Sartomer社製、アミノ基数:1/分子、アクリレート基数:1/分子、粘度:10mPa・s(25℃)、アミン価:140−160mgKOH/g)
・CN374(CN374、Sartomer社製、アミノ基数:2/分子、アクリレート基数:1/分子、粘度:100mPa・s(25℃)、アミン価:105−120mgKOH/g)
・CN386(CN386、Sartomer社製、アミノ基数:2/分子、アクリレート基数:1/分子、粘度:25mPa・s(25℃)、アミン価:195−205mgKOH/g)
<重合禁止剤>
・UV−22(IRGASTAB UV22、メチル化キノン10〜24%、グリセロール、プロポキシレートとアクリル酸のエステル76〜90%、BASF製)
<界面活性剤>
・BYK307(シリコーン系界面活性剤、BYK Chemie社製)
(各ミルベースの調製)
<シアンミルベースAの調製>
IRGALITE BLUE GLVOを300質量部と、SR9003を620質量部と、SOLSPERSE32000を80質量部とを撹拌混合し、シアンミルベースAを得た。なお、シアンミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
<マゼンタビルベースB、イエローミルベースC、ブラックミルベースD及びホワイトミルベースEの調製>
シアンミルベースAと同様にして、表1に示す組成、分散条件でマゼンタミルベースB、イエローミルベースC、ブラックミルベースD及びホワイトミルベースEを調製した。
Figure 2015160890
(実施例1〜18、及び、比較例1〜4)
<インク組成物の作製方法>
表2に記載の素材を記載した量(質量部)で混合、撹拌することで、各インク組成物を得た。なお、表中「−」は、該当する成分を添加していないことを意味する。
<インクジェット記録方法>
図1に示すインクジェット装置において、インクジェットヘッドとして、東芝テック(株)製CA3ヘッドを各色4つずつ並列に配置し、ヘッドを45℃に加温して、42pLの打滴サイズで、描画できるよう、周波数をコントロールした。光源として、ピーク波長385nmのLED光源ユニット(LEDZero Solidcure、Integration Technology社製)を不活性ガスブランケット内に配置し、不活性ガス源として、コンプレッサー付きN2ガス発生装置Maxi−Flow30(Inhouse Gas社製)を0.2MPa・sの圧力で接続し、ブランケット内のN2濃度を90〜99%の範囲になるよう、2〜10L/分の流量でN2をフローさせ、N2濃度及びO2濃度を表1に記載の濃度に設定した。支持体として、パイレンフィルム−OTP3162(A4サイズ、ポリプロピレンシート、膜厚40μm、東洋紡績(株)製)を30m/minの速度で操作させ、フィルム全面に100%ベタ画像の描画を行い、以下に示す諸性能のテストを行った。
<柔軟性評価>
上記インクジェット記録方法に従い、画像部の平均膜厚が12μmのベタ画像を描画した。
その後、印刷物を両手の親指を1cm離した状態でつかみ、1秒あたり1回もむことで画像が割れはじめる回数で柔軟性評価を行った。評価が3以上であれば実用上問題がない。
1:1回で画像が剥がれた。
2:2〜4回で画像が剥がれた。
3:5〜7回で画像が剥がれた。
4:8〜9回で画像が剥がれた。
5:10回もんでも画像は剥がれなかった。
<マイグレーション評価方法>
印刷物表面に水:エタノール=70:30混合液10mLを滴下し、混合溶媒が揮発しないように、印刷物全体をガラス密閉容器に入れて、40℃で10日間放置した。その後、水、エタノール混合溶液中に含有する、フィルムからの全溶出量(オーバーオールマイグレーション量:OML)を算出し、1〜5段階で評価を行った。なお、全溶出量の測定は、10日間放置後に、水エタノール混合液を揮発させ、残存成分の質量を測定することにより行った。評価が3以上であれば実用上問題がない。
1:溶出量が2,000ppbを超える
2:溶出量が1,000ppbを超え、2,000ppb以下
3:溶出量が200ppbを超え、1,000ppb以下
4:溶出量が50ppbを超え、200ppb以下
5:溶出量が50ppb以下
<臭気評価>
上記インクジェット記録方法によって得られた画像を、30cm×30cmのジップ付きビニール袋に内包し、24時間放置した。
その後、ジップを解放し、臭気の評価を行った。評価は10人の平均を採用した。なお、平均値の小数点以下は四捨五入するものとする。評価が3以上であれば実用上問題がない。
1:非常に強い臭気がある。
2:強い臭気がある。
3:ある程度の臭気があるが、不快なレベルでない。
4:わずかな臭気があるが殆ど気にならない。
5:ほぼ無臭である。
<吐出性(インクジェット吐出性)評価>
得られたインク組成物を、インクジェット記録装置(富士フイルム(株)製、Luxel Jet UV350GTW)に充填後、常温(25℃)で1時間連続印字したときの、ドット抜け及びインクの飛び散りの有無を目視にて観察し、これを3回実施した結果の平均値を下記基準により評価した。評価が3以上であれば実用上問題がない。
1:ドット抜け又はインクの飛び散りが平均6箇所以上発生
2:ドット抜け又はインクの飛び散りが平均2箇所以上6箇所未満発生
3:ドット抜け又はインクの飛び散りが平均1箇所以上2箇所未満発生
4:ドット抜け又はインクの飛び散りが発生しないか、発生が平均1箇所未満
Figure 2015160890
表2に示すように、実施例1〜18のインク組成物はいずれも、得られる画像の柔軟性に優れ、マイグレーション及び臭気が抑制された印刷物を得ることができ、インクジェット吐出性に優れるインク組成物であった。
一方、成分A−2を含有しない比較例1のインク組成物や、成分A−2の含有量が1質量%未満である比較例3のインク組成物は、得られる画像の柔軟性に劣るものであった。また、成分A−1の含有量が50質量%未満である比較例4のインク組成物は、柔軟性に劣るものであった。更に、成分A−1の含有量が50質量%未満であり、かつ、成分A−2の含有量が30質量%を超える比較例2のインク組成物は、マイグレーション及び臭気に劣るものであった。
1:LED光源ユニット、2:不活性ガスブランケット、3:不活性ガス配管、4:不活性ガス発生装置、5,5’:支持体巻き取りロール、6:支持体、7:インクジェットヘッドユニット

Claims (13)

  1. (成分A)ラジカル重合性化合物、及び、(成分B)光重合開始剤を含有し、
    成分Aとして、(成分A−1)3−メチルペンタンジオールジアクリレートをインク組成物全体の50〜90質量%含有し、かつ、(成分A−2)ビニルエーテル基を少なくとも1つ有する多官能ラジカル重合性化合物をインク組成物全体の1〜30質量%含むことを特徴とする
    インク組成物。
  2. (成分C)アミンアクリレート化合物をインク組成物全体の3〜30質量%含有する、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 多官能ラジカル重合性化合物の含有量が、ラジカル重合性化合物全体の90〜100質量%である、請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 成分Bとして、チオキサントン化合物及び/又はベンゾフェノン化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 成分Bとして、分子量340以上のビスアシルホスフィン化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 分子量が340以上の光重合開始剤の含有量が、成分B全体の90質量%〜100質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. インクジェット記録用である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. パッケージ印刷用である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
  9. (工程a)請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物を支持体上に吐出する工程、及び、
    (工程b)吐出されたインク組成物に活性線を照射して前記インク組成物を硬化する工程を含むことを特徴とする
    インクジェット記録方法。
  10. 前記支持体が、膜厚が10μm以上90μm以下であり、かつ、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びナイロンよりなる群から選択される成分を少なくとも1つ含有する樹脂フィルムである、請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記活性線の光源がLEDである、請求項9又は10に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記活性線の照射が、酸素分圧0.15atm以下で行われる、請求項9〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 請求項9〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物。
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