以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態によるクレーンの上部旋回体の構成について説明する。
この第1実施形態による上部旋回体16は、図1に示すようなクレーン10に用いられる。クレーン10は、複数の構成部品に分解可能となっている。クレーン10は、吊り作業を行うときには図1に示す組立状態をとり、輸送時には複数の構成部品に分解されて輸送車両(トラックやトレーラー等)に積載される分解輸送状態をとる。輸送車両が公道を通行するときには、法令で定められた寸法の制限を遵守する必要がある。このため、クレーン10の輸送時には、輸送車両に積載された状態で寸法の制限値内に収まるような大きさ及び単位の構成部品にクレーン10が分解される必要がある。なお、公道通行時の寸法の制限値には、輸送車両の前後方向における長さの制限値と、輸送車両の左右方向における幅の制限値とがあるが、前後方向における長さの制限値に比べて左右方向における幅の制限値の方が小さい。クレーン10は、上述したように組立状態と分解輸送状態とをとり得るが、以下、特に断らない限り、クレーン10は組立状態をとっているものとする。
クレーン10は、移動式クレーンであり、下部走行体12と、下部走行体12に取り付けられる旋回支持体14と、旋回支持体14を介して下部走行体12上に旋回自在となるように搭載される上部旋回体16とを備える。
下部走行体12は、クローラ式で自走可能な走行体であり、本発明の下部本体の一例である。なお、下部走行体として、ホイール式の走行体が用いられてもよい。
旋回支持体14は、下部走行体12に対して上部旋回体16が旋回自在となるように当該上部旋回体16を支持するものである。旋回支持体14としては、例えば旋回ベアリングが用いられる。
上部旋回体16は、旋回支持体14上に取り付けられ、上部旋回体16のベースとなる旋回フレーム20と、オペレータが内部でクレーン10の操作を行うキャブ30と、旋回フレーム20に起伏自在となるように取り付けられたブーム40と、を備える。なお、図示を省略しているが、上部旋回体16は、カウンタウェイト、エンジン及びウィンチ等も備えている。
旋回フレーム20は、下部走行体12に対して旋回自在となるように旋回支持体14を介して下部走行体12上に搭載される。旋回フレーム20の旋回中心O(図2参照)は、旋回支持体14の中心と一致している。キャブ30、図略のカウンタウェイト、図略のエンジン及び図略のウィンチ等は、旋回フレーム20に取り付けられる。以下の説明において、「前後方向」とは、クレーン10の組立状態においてブーム40の軸方向が水平面と平行になるようにブーム40が倒伏された状態(図1中に実線で示されたブーム40を参照)でブーム40の軸方向に一致する方向のことである。また、「左右方向」とは、前記前後方向に直交し且つ水平面と平行な方向のことである。
旋回フレーム20は、前後方向において複数の部材に分解可能に構成されている。旋回フレーム20は、図2に示すように、前側フレーム21と、後側フレーム22と、旋回支持体取付部27と、一対の取付ブラケット39R,39Lとを備える。
前側フレーム21は、旋回フレーム20の前部を構成している。前側フレーム21は、本発明のメインフレームの一例である。前側フレーム21には、旋回支持体取付部27と一対の取付ブラケット39R,39Lとが設けられている。後側フレーム22は、旋回フレーム20の後部を構成している。後側フレーム22は、本発明のサブフレームの一例である。後側フレーム22は、前側フレーム21の後方に配置されて前側フレーム21に分離可能な状態で結合されている。従って、旋回フレーム20は、前後方向において、旋回支持体取付部27及び取付ブラケット39R,39Lが設けられた前側フレーム21と、後側フレーム22とに分解可能となっている。
前側フレーム21の左右方向の寸法WFFは、前側フレーム21の前後方向の寸法LFFよりも大きく、また、後側フレーム22の左右方向の寸法WRFよりも大きい。前側フレーム21と後側フレーム22とは、両フレーム21,22の左右方向の中心位置が同一直線上に位置する状態で互いに結合され、その状態において、両フレーム21,22は、上から見てT字状をなすように配置される。
クレーン10の輸送時には、前側フレーム21と後側フレーム22とは、互いに分離されてそれぞれ輸送車両に積載される。この際、前側フレーム21は、クレーン10の組立状態における当該前側フレーム21の左右方向が輸送車両の前後方向(車長方向)に一致し、且つ、クレーン10の組立状態における当該前側フレーム21の前後方向が輸送車両の左右方向(車幅方向)に一致する状態で輸送車両に積載される。クレーン10の組立状態における前側フレーム21の左右方向の寸法WFFは、輸送車両が公道を通行する時の輸送制限幅よりも大きい。また、クレーン10の組立状態における前側フレーム21の前後方向の寸法LFF、すなわちクレーン10の分解輸送状態における前側フレーム21の左右方向の寸法は、前記輸送制限幅以下である。なお、前側フレーム21の前後方向の寸法LFFは、前記輸送制限幅と等しい又はほぼ等しいことが好ましい。
また、後側フレーム22は、輸送時には、クレーン10の組立状態における当該後側フレーム22の左右方向が輸送車両の左右方向に一致し、且つ、クレーン10の組立状態における当該後側フレーム22の前後方向が輸送車両の前後方向に一致する状態で輸送車両に積載される。クレーン10の組立状態における後側フレーム22の左右方向の寸法WRFは、前記輸送制限幅以下である。なお、この後側フレーム22の左右方向の寸法WRFも、前記輸送制限幅と等しいか又はほぼ等しいことが好ましい。
前側フレーム21は、前側フレーム本体21aと、一対の前側結合ブラケット31aとを有する。
前側フレーム本体21aは、前側フレーム21の略矩形状のフレーム構造を構成する部分であり、前側フレーム21の大半を占めている。一対の前側結合ブラケット31aは、前側フレーム本体21aのうち前後方向から見て後述の後側フレーム本体22aの前面22fと重なる領域に設けられており、その領域の左右両端部に分かれて配置されている。前側結合ブラケット31aは、前側フレーム本体21aの後面21rよりも前側に配置されている。具体的には、前側結合ブラケット31aは、前側フレーム本体21aの後面21rから前側へ延びて前側フレーム本体21aの内側に入り込むように配置されている。前側フレーム本体21aの後面21rは、クレーン10の分解輸送状態では、輸送車両の左方又は右方を向く側面となるため、前側結合ブラケット31aがこのように配置されていることによって、前側フレーム21が輸送車両に積載された状態で前側結合ブラケット31aが前側フレーム本体21aの左方又は右方に突出しない。
旋回支持体取付部27は、旋回支持体14(図1参照)が取り付けられる部分である。旋回支持体取付部27は、前側フレーム本体21aの底面(下面)の中央に設けられている。旋回支持体取付部27は、旋回支持体14に沿うように円状に並んで設けられた複数のボルト孔(図示なし)等を備えている。
後側フレーム22は、後側フレーム本体22aと、一対の後側結合ブラケット31bとを有する。
後側フレーム本体22aは、後側フレーム22の略矩形状のフレーム構造を構成する部分であり、後側フレーム22の大半を占めている。後側フレーム本体22aには、図略のカウンタウェイトやウィンチ等が搭載される。
一対の後側結合ブラケット31bは、前側フレーム21の一対の前側結合ブラケット31aと結合する部分であり、当該後側結合ブラケット31bが前側結合ブラケット31aと結合することによって後側フレーム22と前側フレーム21とが一体的に組み付けられる(結合される)。一対の後側結合ブラケット31bは、後側フレーム本体22aの前端に設けられている。具体的には、一対の後側結合ブラケット31bは、後側フレーム本体22aの前面22fに取り付けられており、左右方向において互いに間隔をあけて配設されている。また、後側結合ブラケット31bは、後側フレーム本体22aの前面22fの左右両端から少し内側に入った箇所にそれぞれ設けられている。このため、後側フレーム22が輸送車両に積載された状態で後側結合ブラケット31bが後側フレーム本体22aから左右両側に突出しない。
以下、前側結合ブラケット31a及び後側結合ブラケット31bの構造と、それら両ブラケット31a,31b同士の結合構造について詳述する。
各前側結合ブラケット31aは、図3に示すように、前側フレーム本体21aに固定された2枚の前側結合板32fをそれぞれ有する。各前側結合板32fには、ピンP(図4及び図5参照)が挿嵌される孔33aが形成されている。なお、図3では、煩雑を避けるため、複数の孔33aのうち一部にのみ符号を付している。また、各後側結合ブラケット31bは、図3に示すように、後側フレーム本体22aに固定された1枚の後側結合板32rからなる。各後側結合板32rには、ピンPが挿嵌される孔33bが形成されている。一対の前側結合ブラケット31aのうち右側の前側結合ブラケット31aは、右側の後側結合ブラケット31bと結合される。一対の前側結合ブラケット31aのうち左側の前側結合ブラケット31aは、左側の後側結合ブラケット31bと結合される。
各前側結合ブラケット31aと対応する後側結合ブラケット31bとは、以下のようにして結合されている。なお、左側のブラケット31a,31b同士の結合形態と右側のブラケット31a,31b同士の結合形態とは同様であるので、以下、一方の前側結合ブラケット31aと対応する一方の後側結合ブラケット31bとの結合形態について代表して説明する。
後側結合ブラケット31bの後側結合板32rは、前側結合ブラケット31aを構成する2枚の前側結合板32f間に差し込まれ、その状態で、前側結合板32fの孔33a及び後側結合板32rの孔33bにピンPが挿入されている。これにより、前側結合ブラケット31aと後側結合ブラケット31bとが互いに結合されている。
図2及び図3では、図示を省略しているが、前側フレーム本体21aには、結合板32f,32rの孔33a,33bに対してピンPを挿脱するための伸縮シリンダS(図4及び図5参照)が取り付けられている。なお、伸縮シリンダSは、後側フレーム本体22aに取り付けられていてもよい。伸縮シリンダSは、伸長することによってピンPを結合板32f,32rの孔33a,33bに挿入し(図5参照)、収縮することによってピンPを結合板32f,32rの孔33a,33bから離脱させる(図4参照)。なお、図4〜図6における中心線Cは、旋回フレーム20の左右方向の中心に位置し、前後方向に延びる中心線である。また、前側結合板32f及び後側結合板32rの枚数は変更してもよい。
伸縮シリンダSは、図4及び図5に示すように、1箇所の前側結合ブラケット31a及び後側結合ブラケット31bに対して1つ設けられている。すなわち、旋回フレーム20には、前側結合ブラケット31a及び後側結合ブラケット31bが2箇所に設けられているため、それに対応して2つの伸縮シリンダSが設けられている。具体的には、伸縮シリンダSは、前側フレーム本体21aのうち左側の前側結合ブラケット31aよりも左側で且つ前側フレーム本体21aの左側面よりも右側の位置(図3中のS1の位置)と、前側フレーム本体21aのうち右側の前側結合ブラケット31aよりも右側で且つ前側フレーム本体21aの右側面よりも左側の位置(図3中のS2の位置)とにそれぞれ配置されている。伸縮シリンダSは、孔33a,33bの側方に位置し、孔33a,33bと同軸となるように配置されている。
なお、図6に示すように、2箇所の前側結合ブラケット31a及び後側結合ブラケット31bに対して共通の1つの伸縮シリンダSが設けられていてもよい。この場合には、伸縮シリンダSは、前側フレーム本体21aにおいて左右2箇所の前側結合ブラケット31aの間の位置(図3中のS3の位置)に配置され、旋回フレーム20の左右方向における中心線Cを跨いで左右に延びる状態で配置される。この伸縮シリンダSは、左右両側に伸縮可能となるように構成されており、当該伸縮シリンダSの両端にそれぞれピンPが取り付けられる。伸縮シリンダSが左右両側に伸長することによって、両側のピンPがそれぞれ対応する結合板32f,32rの孔33a,33bに挿入され(図6の状態)、伸縮シリンダSが左右両側から内側へ収縮することによって、両側のピンPがそれぞれ対応する結合板32f,32rの孔33a,33bから離脱される。この構成によれば、1つの伸縮シリンダSで、左右両側のブラケットに対してピンPを脱着させることができる。
後側フレーム22には、ブーム40(図1参照)が倒伏しようとする力がワイヤロープR等を介して伝えられる。このため、ピンPを軸として後側フレーム22を前側フレーム21に対して上方へ持ち上げるように回転させる回転力が当該後側フレーム22に作用する。この際、後側フレーム本体22aの前面22fの上端部が前側フレーム本体21aの後面21rの上端部によって押さえられることにより、後側フレーム22のピンPを軸とした回動が阻止される。
一対の取付ブラケット39R,39L(図2及び図3参照)は、ブーム40が起伏自在となるようにブーム40の基端部の一対のブームフット40fが取り付けられるものである。一対の取付ブラケット39R,39Lは、前側フレーム21(前側フレーム本体21a)の前端部に設けられており、前側フレーム21(前側フレーム本体21a)と一体的に形成されている。一対の取付ブラケット39R,39Lは、前側フレーム21の前端部において左右に間隔をあけて配置されている。具体的には、一方の取付ブラケット39Lは、前側フレーム21(前側フレーム本体21a)の前端部の左端部に設けられている。他方の取付ブラケット39Rは、前側フレーム21(前側フレーム本体21a)の前端部において旋回中心Oよりも右側の位置に設けられている。また、他方の取付ブラケット39Rは、前側フレーム21の前端部においてキャブ30の近傍で且つキャブ30よりも旋回中心O側の位置に設けられている。
左右の各取付ブラケット39R,39Lは、それぞれ、2枚の取付板39aからなる。各取付板39aは、上部旋回体16(旋回フレーム20)の前後方向で且つ上下方向に沿う姿勢で配置されている。各取付板39aには、図略のピンが挿嵌される孔39bが形成されている。孔39bは、取付板39aを左右方向(厚み方向)に貫通している。各取付ブラケット39R,39Lの2枚の取付板39aは、それらの間にブームフット40fを構成する図略の板部を挟み込む。この状態で、取付板39aの孔39bとブームフット40fの板部に形成された図略の孔とにピンが挿嵌されることによって、ブーム40が起伏自在となるように前側フレーム21に取り付けられる。
キャブ30は、図2に示すように、旋回フレーム20の旋回中心Oから右側に偏った位置に配置されて前側フレーム21に取り付けられている。具体的には、この第1実施形態では、キャブ30は、前側フレーム21の右端に取り付けられている。キャブ30の前端は、前側フレーム21の前端近傍の位置に配置されている。キャブ30の前壁には、キャブ30内から前方外側の視界を確保するための透明な窓(図略)が設けられている。
ブーム40(図1参照)は、図略の吊荷等を吊り下げるための部材であり、所定の方向に直線的に延びている。ブーム40は、格子状構造を備えたラチスブームである。ブーム40は、その軸方向(ブーム40の延びる方向)において複数の部材に分解可能となっている。具体的には、ブーム40は、その先端側から基端側へ順番に配置された上部ブーム42、中間ブーム44及び下部ブーム50を備えており、上部ブーム42と中間ブーム44とが互いに分離可能に結合され、中間ブーム44と下部ブーム50とが互いに分離可能に結合されている。なお、中間ブーム44は省略することも可能である。
下部ブーム50は、ブーム40の基端部から先端側の特定の長さの範囲を構成する部材である。下部ブーム50は、左右方向から見て、当該下部ブーム50の基端部から先端側へ向かうにつれて背面50bと腹面50vとの間の距離が徐々に大きくなるテーパー状をなす(図1参照)。背面50bは、図1のようにブーム40が水平に倒伏した状態において下部ブーム50の上側を向く面であり、腹面50vは、同状態において、下部ブーム50の下側を向く面である。また、下部ブーム50は、その先端側から基端部側へ向かうにつれて徐々に大きくなる左右方向の幅を有するテーパー状をなす(図2参照)。なお、下部ブーム50のテーパー状は、必ずしも当該下部ブーム50の基端部から先端部まで一様に形成されていなくてもよく、途中まで形成されていてもよい。下部ブーム50の先端部の左右方向の幅は、中間ブーム44の左右方向の幅WMBと等しい。中間ブーム44の左右方向の幅WMBは、前記輸送制限幅以下であり、好ましくは前記輸送制限幅と等しい。なお、中間ブーム44等にも、下部ブーム50のテーパー状と連続するようなテーパー状の部分が形成されていてもよい。
下部ブーム50は、左右方向(クレーン組立状態のときの左右方向)において2つの部材に分解可能となっている。具体的には、下部ブーム50は、図2に示すように、左右方向に並ぶように配置された右側分割ブーム52と左側分割ブーム54からなる。右側分割ブーム52は、本発明の第1部位の一例であり、左側分割ブーム54は、本発明の第2部位の一例である。右側分割ブーム52と左側分割ブーム54は、左右方向において旋回フレーム20の旋回中心Oと一致する位置で互いに分離可能な状態で結合されている。また、右側分割ブーム52と左側分割ブーム54は、中間ブーム44及び上部ブーム42の左右方向の中心と一致する位置で互いに分離可能な状態で結合されている。右側分割ブーム52は、下部ブーム50のうち旋回中心Oから右側に位置する部位を形成している。すなわち、右側分割ブーム52は、下部ブーム50のうち左右方向において旋回フレーム20の旋回中心Oからキャブ30側に位置する部位を形成している。左側分割ブーム54は、下部ブーム50のうち旋回中心Oから左側に位置する部位を形成している。すなわち、左側分割ブーム54は、下部ブーム50のうち左右方向において旋回フレーム20の旋回中心Oからキャブ30と反対側に位置する部位を形成している。
右側分割ブーム52は、右側分割ブーム本体52aと、右側ブーム結合ブラケット56aとを有し、左側分割ブーム54は、左側分割ブーム本体54aと、左側ブーム結合ブラケット56bとを有する。
右側分割ブーム本体52aは、ラチス構造に形成され、右側分割ブーム52の大半を占める。右側分割ブーム本体52aは、ブーム40が倒伏した状態で上から見て台形状の外形をなす。右側分割ブーム本体52aの右側面は、下部ブーム50の右側面を構成し、下部ブーム50の基端部側へ向かうにつれて当該右側分割ブーム本体52aの左側面から遠ざかるように傾斜している。この右側分割ブーム本体52aの構造により、右側分割ブーム52は、先端部から基端部へ向かうにつれて徐々に大きくなる左右方向の幅を有し、その基端部において最大の左右方向の幅WRLBを有する。右側ブーム結合ブラケット56aは、右側分割ブーム52の先端部の左側面の上部及び下部と右側分割ブーム52の基端部の左側面とにそれぞれ設けられている。
左側分割ブーム本体54aは、ラチス構造に形成され、左側分割ブーム54の大半を占める。左側分割ブーム本体54aは、ブーム40が倒伏した状態で上側見て台形状の外形をなす。左側分割ブーム本体54aの左側面は、下部ブーム50の左側面を構成し、下部ブーム50の基端部側へ向かうにつれて当該左側分割ブーム本体52aの右側面から遠ざかるように傾斜している。この左側分割ブーム本体54aの構造により、左側分割ブーム54は、先端部から基端部へ向かうにつれて徐々に大きくなる左右方向の幅を有し、その基端部において最大の左右方向の幅WLLBを有する。左側ブーム結合ブラケット56bは、左側分割ブーム54の先端部の右側面の上部及び下部と左側分割ブーム54の基端部の右側面とにそれぞれ設けられている。
右側分割ブーム52の左右方向の幅は、左側分割ブーム54の左右方向の幅よりも小さい。具体的には、右側分割ブーム52の中で最大の左右方向の幅となる基端部の左右方向の幅WRLBは、左側分割ブーム54の中で最大の左右方向の幅となる基端部の左右方向の幅WLLBよりも小さい。
また、左右方向における下部ブーム50のキャブ30側の端縁、すなわち右側分割ブーム52のキャブ30側の端縁は、キャブ30よりも旋回中心O側に配置されている。具体的には、右側分割ブーム52の基端部の右端が下部ブーム50の中で最もキャブ30寄りに位置しているが、この右端がキャブ30よりも旋回中心O側に配置されている。
右側分割ブーム本体52aの前端部に配置された右側ブーム結合ブラケット56aと左側分割ブーム本体54aの前端部に配置された左側ブーム結合ブラケット56bとが互いにピン結合され、右側分割ブーム本体52aの後端部に配置された右側ブーム結合ブラケット56aと左側分割ブーム本体54aの後端部に配置された左側ブーム結合ブラケット56bとが互いにピン結合されることによって、右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とが互いに結合されている。各右側ブーム結合ブラケット56aとそれに結合する左側ブーム結合ブラケット56bの具体的な構成は、上述した前側結合ブラケット31aとそれに結合する後側結合ブラケット31bの構成と同様である。
また、下部ブーム50の先端部には、中間ブーム44の基端部の連結ブラケット45と分離可能に結合する連結ブラケット57が設けられている。この連結ブラケット57は、下部ブーム50の先端部の左右両端、すなわち左側分割ブーム本体54aの先端部の左端と右側分割ブーム本体52aの先端部の右端とに設けられている。下部ブーム50の各連結ブラケット57とそれに結合する中間ブーム44の連結ブラケット45の構成は、上述した前側結合ブラケット31aとそれに結合する後側結合ブラケット31bの構成と同様である。また、下部ブーム50の基端部には一対のブームフット40fが設けられている。一対のブームフット40fは、下部ブーム50の基端部の左右両端、すなわち左側分割ブーム本体54aの基端部の左端と右側分割ブーム本体52aの基端部の右端とに分かれて設けられている。
下部ブーム50は、クレーン10の輸送時に、前側フレーム21及び中間ブーム44と分離された後、右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とに分解される。右側分割ブーム52の中で最大の左右方向の幅となる基端部の左右方向の幅WRLB、及び、左側分割ブーム54の中で最大の左右方向の幅となる基端部の左右方向の幅WLLBは、輸送制限幅以下である。クレーン10の輸送時には、右側分割ブーム52と左側分割ブーム54は、互いに分離された後、それらの左右方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載される。
この第1実施形態では、下部ブーム50が基端部側へ向かうにつれて大きくなる左右方向の幅を有するため、下部ブーム50の左右方向の剛性を高めることができ、その結果、ブーム40の左右方向のたわみを抑制することができる。
また、第1実施形態では、下部ブーム50が基端部側へ向かうにつれて大きくなる左右方向の幅を有することに対応して、下部ブーム50を取り付ける一対の取付ブラケット39R,39Lの間隔及びその一対の取付ブラケットが設けられる前側フレーム21の左右方向の寸法WFFが大きくなっているが、前側フレーム21の前後方向の寸法LFFは、当該前側フレーム21の左右方向の寸法WFFよりも小さく、輸送制限幅以下の寸法である。このため、クレーン10の輸送時には、前側フレーム21の前後方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で前側フレーム21を輸送車両に積載することにより、前側フレーム21の輸送幅を公道の輸送制限幅以下に低減することができる。従って、クレーン10の輸送時に上部旋回体16の前側フレーム21の輸送を実施できる。
また、第1実施形態では、下部ブーム50のうちキャブ30側に配置された右側分割ブーム52が下部ブーム50のうちキャブ30と反対側に配置された左側分割ブーム54の左右方向の幅よりも小さい左右方向の幅を有するとともに、左右方向における右側分割ブーム52のキャブ30側の端縁はキャブ30よりも旋回中心O側に配置されている。このため、キャブ30から前方の視界が下部ブーム50によって遮られず、キャブ30から前方の良好な視界を確保できる。また、ブーム40を起立させるときに下部ブーム50がキャブ30に干渉することもないため、ブーム40の起立角度がキャブ30によって制限されない。
また、この第1実施形態では、左右方向における右側分割ブーム52のキャブ30側の端縁がキャブ30よりも旋回中心O側に配置されていることにより、キャブ30側(右側)の取付ブラケット39Rの設置位置も、キャブ30よりも旋回中心O側に配置される。このため、取付ブラケット39Rの設置位置がキャブ30と干渉せず、旋回フレーム20の前側フレーム21に対する取付ブラケット39Rの取付作業を容易に行うことができる。
また、この第1実施形態では、キャブ30側の取付ブラケット39Rがキャブ30よりも旋回中心O側に配置されることにより、そのキャブ30側の取付ブラケット39Rに対して下部ブーム50の基端部(ブームフット40f)を取り付ける際にキャブ30が妨げになることはない。このため、ブーム40の取付作業が煩雑になるのを防ぐことができる。
また、第1実施形態では、クレーン10の組立状態において前側フレーム21の後ろに後側フレーム22が繋がるため、上部旋回体16の前後方向の寸法を大きくすることができ、上部旋回体16の安定性を向上できる。また、後側フレーム22が設けられていることにより、上部旋回体16に搭載される各種機器や部材の設置スペースを大きく確保できる。このため、上部旋回体16に搭載する各種機器や部材のレイアウトを容易に行うことができる。また、後側フレーム22は、前側フレーム21から分離可能であるので、クレーン10の輸送時には、前側フレーム21から後側フレーム22を分離すれば、前側フレーム21をその前後方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載して前側フレーム21の輸送幅を輸送制限幅以下に抑えた状態で輸送できる。また、後側フレーム22の左右方向の寸法WRFは、輸送制限幅以下の寸法であるので、後側フレーム22をその左右方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載すれば、後側フレーム22の輸送幅も輸送制限幅以下に低減することができる。
また、第1実施形態では、下部ブーム50の左右方向の幅が先端側へ向かうにつれて小さくなっていることにより、下部ブーム50がその基端部の大きな左右方向の幅のままで先端部まで一定に形成されている場合に比べて、下部ブーム50の重量を低減できる。従って、この第1実施形態では、ブーム40の左右方向へのたわみを抑制しつつ、ブーム40の重量の増大を抑制できる。
また、第1実施形態では、下部ブーム50が左右方向に並んで配置された右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とによって構成され、その右側分割ブーム52と左側分割ブーム54は互いに分離可能な状態で結合されるため、下部ブーム50の左右方向の幅が輸送制限幅を超えていても、クレーン10の輸送時には、下部ブーム50を右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とに分離することにより下部ブーム50の輸送幅を低減することができ、下部ブーム50の輸送幅が輸送制限幅を超えるのを防ぐことができる。
(第2実施形態)
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態による上部旋回体16の構造について説明する。
第2実施形態の上部旋回体16では、下部ブーム50が左右方向において3つの部材に分解可能となっている。
具体的に、この第2実施形態の下部ブーム50は、左右方向に並ぶように配置された右側分割ブーム152、中央分割ブーム153及び左側分割ブーム154を有する。
中央分割ブーム153は、左右方向における当該中央分割ブーム153の中心の位置が左右方向における旋回中心Oの位置と一致するように配置されている。すなわち、中央分割ブーム153は、左右方向において旋回中心Oの両側に亘って均等な幅を有するように設けられている。また、中央分割ブーム153は、その左右方向の中心が中間ブーム44及び上部ブーム42の左右方向の中心と一直線上に揃うように配置されている。
右側分割ブーム152は、本発明の第1側分割ブームの一例である。右側分割ブーム152は、中央分割ブーム153の右側、すなわち中央分割ブーム153のキャブ30側に配置されている。右側分割ブーム152は、中央分割ブーム153に対して分離可能な状態で結合されている。左側分割ブーム154は、本発明の第2側分割ブームの一例である。左側分割ブーム154は、中央分割ブーム153の左側、すなわち中央分割ブーム153に対してキャブ30と反対側に配置されている。左側分割ブーム154は、中央分割ブーム153に対して分離可能な状態で結合されている。
右側分割ブーム152は、ラチス構造をなすように形成されて右側分割ブーム152の大半を占める右側分割ブーム本体152aと、その右側分割ブーム本体152aに設けられた右側ブーム結合ブラケット56aとを有する。左側分割ブーム154は、ラチス構造をなすように形成されて左側分割ブーム154の大半を占める左側分割ブーム本体154aと、左側ブーム結合ブラケット56bとを有する。
ブーム40が倒伏した状態において、右側分割ブーム本体152a及び左側分割ブーム本体154aは、それぞれ、上から見て三角形をなすように形成されている。右側分割ブーム本体152aの右側面は、下部ブーム50の基端部側へ向かうにつれて右側分割ブーム本体152aの左側面から徐々に遠ざかるように傾斜している。左側分割ブーム本体154aの左側面は、下部ブーム50の基端部側へ向かうにつれて左側分割ブーム本体154aの右側面から徐々に遠ざかるように傾斜している。なお、右側分割ブーム本体152a及び左側分割ブーム本体154aは、ブーム40が倒伏した状態で上から見て台形状の外形をなすように形成されてもよい。
右側ブーム結合ブラケット56aは、右側分割ブーム本体152aの先端部の左側面と基端部の左側面とにそれぞれ設けられている。左側ブーム結合ブラケット56bは、左側分割ブーム本体154aの先端部の右側面と基端部の右側面部とにそれぞれ設けられている。
中央分割ブーム153は、ラチス構造をなすように形成されて中央分割ブーム153の大半を占める中央分割ブーム本体153aと、その中央分割ブーム本体153aに設けられた中央ブーム結合ブラケット153bとを有する。中央分割ブーム本体153aは、ブーム40が倒伏した状態において上から見て長方形状の外形をなすように形成されている。中央ブーム結合ブラケット153bは、中央分割ブーム本体153aの右側面の前端部及び後端部と、中央分割ブーム本体153aの左側面の前端部及び後端部とにそれぞれ設けられている。
中央分割ブーム本体153aの右側面に設けられた中央ブーム結合ブラケット153bと右側分割ブーム本体152aの左側面に設けられた右側ブーム結合ブラケット56aとは、互いに分離可能な状態でピン結合されており、それによって中央分割ブーム153と右側分割ブーム152とが一体化されている。また、中央分割ブーム本体153aの左側面に設けられた中央ブーム結合ブラケット153bと左側分割ブーム本体154aの右側面に設けられた左側ブーム結合ブラケット56bとは、互いに分離可能な状態でピン結合されており、それによって中央分割ブーム153と左側分割ブーム154とが一体化されている。
中央分割ブーム153の左右方向の幅WCLBは、中間ブーム44の左右方向の幅WMBと等しく、輸送制限幅以下の寸法である。なお、この幅WCLBは、輸送制限幅に等しい寸法であることが好ましい。クレーン10の輸送時には、中央分割ブーム153は、その左右方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載される。
右側分割ブーム152の左右方向の幅WRLBは、左側分割ブーム154の左右方向の幅WLLBよりも小さい。具体的に、右側分割ブーム152は、その先端部から基端部へ向かうにつれて徐々に大きくなる左右方向の幅を有し、その基端部において最大の左右方向の幅WRLBを有する。左側分割ブーム154は、その先端部から基端部へ向かうにつれて徐々に大きくなる左右方向の幅を有し、その基端部において最大の左右方向の幅WLLBを有する。右側分割ブーム152の基端部の左右方向の幅WRLBは、左側分割ブーム154の基端部の左右方向の幅WLLBよりも小さくなっている。この構成により、下部ブーム50のうち左右方向において旋回中心Oからキャブ30側(右側)に配置された右側部位155の左右方向の幅が、下部ブーム50のうち左右方向において旋回中心Oからキャブ30と反対側(左側)に配置された左側部位156の左右方向の幅よりも小さくなっている。右側部位155は、本発明による第1部位の一例であり、左側部位156は、本発明による第2部位の一例である。右側部位155は、右側分割ブーム152と中央分割ブーム153のうち旋回中心Oからキャブ30側(右側)に配置された部分とによって構成されている。左側部位156は、左側分割ブーム154と中央分割ブーム153のうち旋回中心Oからキャブ30と反対側(左側)に配置された部分とによって構成されている。
一対のブームフット40fは、下部ブーム50の基端部の左右両端、すなわち左側分割ブーム本体154aの基端部の左端と右側分割ブーム本体152aの基端部の右端とに分かれて設けられている。この第2実施形態でも、右側のブームフット40fが設けられた下部ブーム50の基端部のキャブ30側の端縁、すなわち右側分割ブーム152のキャブ30側の端縁は、キャブ30よりも旋回中心O側に配置されている。
この第2実施形態による上部旋回体16の上記以外の構成は、上記第1実施形態による上部旋回体16の構成と同様である。
この第2実施形態では、下部ブーム50が基端部側へ向かうにつれて大きくなる左右方向の幅を有していても、クレーン10の輸送時に下部ブーム50を中央分割ブーム153と右側分割ブーム152と左側分割ブーム154とに分解して下部ブーム50の輸送幅を低減することができる。
また、この第2実施形態では、中央分割ブーム153として基端部から先端側へかけて旋回中心Oに対して左右均等な幅を有する既存の下部ブームと同じものを用い、中央分割ブーム153のキャブ30と反対側に左側分割ブーム154を取り付けるとともに中央分割ブーム153のキャブ30側に左側分割ブーム154よりも左右方向の幅が小さい右側分割ブーム152を取り付けるだけで、右側部位155が左側部位156の左右方向の幅よりも小さい左右方向の幅を有する下部ブーム50を形成できる。このように既存の下部ブームを中央分割ブーム153として流用できるので、下部ブーム50の構造の変更量を抑制しつつ、右側部位155が左側部位156の左右方向の幅よりも小さい左右方向の幅を有する下部ブーム50を形成できる。
この第2実施形態による上記以外の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
(第3実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態による上部旋回体16の構成について説明する。
この第3実施形態では、下部ブーム50のうち旋回中心Oからキャブ30側に配置された右側部位155が、中央分割ブーム153のうち旋回中心Oからキャブ30側(右側)に配置された部分のみによって構成されている。すなわち、中央分割ブーム153のキャブ30側(右側)に上記第2実施形態の右側分割ブーム152が取り付けられていない。一方、下部ブーム50のうち旋回中心Oからキャブ30と反対側に配置された左側部位156は、上記第2実施形態と同様、左側分割ブーム154と中央分割ブーム153のうち旋回中心Oからキャブ30と反対側(左側)に配置された部分とによって構成されている。
以上の構成により、右側部位155の左右方向の幅は、左側部位156の左右方向の幅よりも小さくなっている。
また、この第3実施形態では、左右方向における下部ブーム50のキャブ30側の端縁は、中央分割ブーム153のキャブ30側の端縁、すなわち右側部位155のキャブ30側の端縁である。この右側部位155のキャブ30側の端縁は、キャブ30よりも旋回中心O側に配置されている。また、キャブ30側(右側)のブームフット40fは、中央分割ブーム153の基端部のキャブ30側の端縁(右端)に設けられているとともに、キャブ30よりも旋回中心O側に配置されている。そして、このキャブ30側のブームフット40fに対応する位置に、キャブ30側の取付ブラケット39Rが設けられている。
この第3実施形態による上部旋回体16の上記以外の構成は、上記第2実施形態による上部旋回体16の構成と同様である。
この第3実施形態では、下部ブーム50が基端部側へ向かうにつれて大きくなる左右方向の幅を有していても、クレーン10の輸送時に下部ブーム50を中央分割ブーム153と左側分割ブーム154とに分解して下部ブーム50の輸送幅を低減することができる。
また、この第3実施形態では、中央分割ブーム153として基端部から先端側へかけて旋回中心Oに対して左右均等な幅を有する既存の下部ブームと同じものを用い、中央分割ブーム153のキャブ30と反対側に左側分割ブーム154を取り付けるだけで、右側部位155が左側部位156の左右方向の幅よりも小さい左右方向の幅を有する下部ブーム50を形成できる。このように既存の下部ブームを中央分割ブーム153として流用できるので、下部ブーム50の構造の変更量を抑制しつつ、右側部位155が左側部位156の左右方向の幅よりも小さい左右方向の幅を有する下部ブーム50を形成できる。また、中央分割ブーム153のキャブ30と反対側に左側分割ブーム154を取り付けるだけであるため、下部ブーム50の部品点数及び重量の大幅な増大を抑制できる。
この第3実施形態による上記以外の効果は、上記第1及び第2実施形態による効果と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
例えば、図9に示す上記第2実施形態の第1変形例のように、上部旋回体16は、左右方向において3つの部材に分解可能に構成された旋回フレーム20を備えていてもよい。
具体的には、旋回フレーム20は、中央フレーム426と右側フレーム223と左側フレーム224とからなるフレーム本体20aを備えており、左右方向においてこれら3つのフレームに分解可能となっている。中央フレーム426、右側フレーム223及び左側フレーム224は、本発明の分割フレームの一例である。
中央フレーム426は、旋回フレーム20の左右方向の中央に配置されている。中央フレーム426は、当該中央フレーム426の略矩形状のフレーム構造を構成する中央フレーム本体426aと、その中央フレーム本体426aに設けられた中央結合ブラケット426bとを有する。
中央フレーム本体426aは、上から見て長方形状の外形をなすように形成されている。中央フレーム本体426aの底面には、旋回支持体取付部27が設けられている。旋回支持体取付部27は、中央フレーム本体426aのみに設けられ、右側フレーム223及び左側フレーム224に分割されて設けられない。中央フレーム426は、下部走行体12(図1参照)上に旋回支持体14を介して旋回自在となるように搭載される。中央結合ブラケット426bは、中央フレーム本体426aの右側面の前端部及び後端部と、中央フレーム本体426aの左側面の前端部及び後端部とにそれぞれ設けられている。
右側フレーム223は、中央フレーム426の右側に配置されて中央フレーム426の右端部に分離可能な状態で結合されている。右側フレーム223は、上から見て細長い長方形状の外形をなし、当該右側フレーム223のフレーム構造を構成する右側フレーム本体223aと、その右側フレーム本体223aに設けられた右側結合ブラケット223bとを有する。右側結合ブラケット223bは、右側フレーム本体223aの左側面の前端部及び後端部にそれぞれ設けられている。各右側結合ブラケット223bは、対応する中央結合ブラケット426bに対して分離可能な状態でピン結合されており、それによって右側フレーム223と中央フレーム426とが一体化されている。
左側フレーム224は、中央フレーム426の左側に配置されて中央フレーム426の左端部に分離可能な状態で結合されている。左側フレーム224は、右側フレーム223と左右対称形に形成されており、左側フレーム本体224aと、左側結合ブラケット224bとを有する。左側結合ブラケット224bは、左側フレーム本体224aの右側面の前端部及び後端部にそれぞれ設けられている。各左側結合ブラケット224bは、対応する中央結合ブラケット426bに対して分離可能な状態でピン結合されており、それによって左側フレーム224と中央フレーム426とが一体化されている。
フレーム本体20aの左右方向の寸法WF、すなわち旋回フレーム20の左右方向の寸法WFは、輸送制限幅よりも大きい寸法である。右側の取付ブラケット39Rは、フレーム本体20aの前端部の右端近傍、すなわち右側フレーム223の前端部に設けられている。左側の取付ブラケット39Lは、フレーム本体20aの前端部の左端、すなわち左側フレーム224の前端部の左端に設けられている。取付ブラケット39R,39L間の間隔は、輸送制限幅よりも大きくなっている。また、キャブ30は、右側フレーム223の前部の右端部上に設けられている。
中央フレーム426の左右方向の寸法WCFは、輸送制限幅以下の寸法であり、好ましくは輸送制限幅と等しい又はほぼ等しい寸法である。また、右側フレーム223の左右方向の寸法及び左側フレーム224の左右方向の寸法は、輸送制限幅以下の寸法である。クレーンの輸送時には、旋回フレーム20は、中央フレーム426と右側フレーム223と左側フレーム224とに分解され、その後、中央フレーム426、右側フレーム223及び左側フレーム224は、それらの左右方向が輸送車両の左右方向と一致する状態で輸送車両に積載される。
この第1変形例による上部旋回体16の上記以外の構成は、上記第2実施形態による上部旋回体16と同様である。
この第1変形例では、左右方向の寸法が輸送制限幅よりも大きい旋回フレーム20を、輸送制限幅以下の左右方向の寸法を有する中央フレーム426と右側フレーム223と左側フレーム224とに分解できるので、旋回フレーム20を輸送車両により公道を通って輸送することができる。
また、この第1変形例では、旋回フレーム20のフレーム本体20aを中央フレーム426とその左右に配置された左側フレーム224と右側フレーム223とによって構成することができるので、左右方向における旋回フレーム20の構造上及び強度上のバランスを向上することができる。
第1変形例による上記以外の効果は、上記第2実施形態による効果と同様である。
なお、第1変形例の旋回フレーム20の構成を上記第1実施形態及び上記第3実施形態による上部旋回体16に適用してもよい。
また、図10に示す上記第2実施形態の第2変形例のように、旋回フレーム20のうち右側フレーム223(右側フレーム本体223a)が左側フレーム224(左側フレーム本体224a)の左右方向の幅よりも小さい左右方向の幅を有していてもよい。この場合、キャブ30は、右側フレーム本体223aの前部の右端に取り付ければよい。
また、図11に示す上記第3実施形態の第1変形例の上部旋回体16のように、上記第3実施形態の上部旋回体16の旋回フレーム20(図8参照)を上記第2実施形態の第1変形例の旋回フレーム20(図9参照)に置き換えた構成を採用してもよい。この変形例では、キャブ30は、例えば、右側フレーム本体223aの前部上に設けてもよい。
また、図12に示す上記第3実施形態の第2変形例のように、上記第3実施形態の第1変形例の旋回フレーム20(図11参照)から右側フレーム223を省略してもよい。この場合、キャブ30は、中央フレーム426の右端に取り付ければよく、また、旋回フレーム20の前端よりも前側へ突出していてもよい。また、右側の取付ブラケット39Rは、中央フレーム426の前端部の右端に取り付ければよい。
また、図13に示す上記第3実施形態の第3変形例のように、図12に示した第2変形例の旋回フレーム20の左側フレーム224(左側フレーム本体224a)をその左側面が後方へ向かうにつれて当該左側フレーム224(左側フレーム本体224a)の右側面に徐々に近づくように傾斜した斜面としてもよい。この第3変形例によれば、左側分割ブーム154により拡大された下部ブーム50の左右方向の幅に対応できるようにフレーム本体20aの前端部の左右方向の大きな幅を確保しつつ、フレーム本体20aの後部の左右方向の幅を小さくして旋回フレーム20の重量の増大を抑えることができる。
また、上記各実施形態及び上記各変形例において、キャブ30の配置及び旋回フレーム20に対するキャブ30の取付形態は、変更可能である。
また、本発明の下部本体は、必ずしも自走可能な下部走行体に限定されるものではない。例えば、本発明の下部本体は、作業現場等の設置箇所において固定的に設置されるものであってもよい。
上記各実施形態及び上記各変形例の上部旋回体を左右反対に構成してもよい。
また、上記第1実施形態において、右側分割ブーム52と左側分割ブーム54は、それらの先端部及び基端部と異なる箇所で結合されていてもよい。また、上記第2実施形態及びその変形例において、中央分割ブーム153と右側分割ブーム152はそれらの先端部及び基端部と異なる箇所で結合されていてもよく、中央分割ブーム153と左側分割ブーム154はそれらの先端部及び基端部と異なる箇所で結合されていてもよい。また、上記第3実施形態及びその変形例において、中央分割ブーム153と左側分割ブーム154は、それらの先端部及び基端部と異なる箇所で結合されていてもよい。
また、上記各変形例において、中央フレーム426と右側フレーム223はそれらの前端部及び後端部と異なる箇所で結合されていてもよく、中央フレーム426と左側フレーム224はそれらの前端部及び後端部と異なる箇所で結合されていてもよい。