JP2015158232A - スプロケット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チェーンが噛み合う複数の歯の間に、所定の半径及び所定の角度範囲の歯底部円弧を有するスプロケットであって、歯底部円弧の半径が、噛み合うチェーンのローラまたはブシュの直径に対して、Rb>0.505*Φr+0.069*Φr1/3(Rb:歯底部円弧半径、Φr:噛み合うチェーンのローラまたはブシュの直径)の関係を有すること。
【選択図】図1
Description
ISO歯形は、図6に示すように、チェーンピッチをp、ピッチ円直径をDpΦ、ローラ(ブシュチェーンの場合は、ブシュ:以下同様)直径をΦr、歯底部円弧半径をRb、歯面半径をRs、歯底円直径をDbΦ、スプロケットの歯数をzとすると、これらの関係は、次の式で規定されている。
DbΦ=DpΦ−Φr
Rb(min)=0.505Φr
Rb(max)=0.505Φr+0.069(Φr)1/3
Rs(min)=0.008Φr(z2+180)
Rs(max)=0.12Φr(z+2)
また、歯底円直径DbΦはピッチ円直径DpΦとローラ直径Φrとの差に等しく形成されており、歯底円直径DbΦはピッチ円直径DpΦと歯底部円弧半径Rbの2倍との差にほぼ等しく形成されている。
ローラ521はスプロケット500の歯底部511に順次噛み合うため、ローラチェーン520は多角形運動を生じて上下動(脈動)して振動し、騒音の発生要因となり、また、この多角形運動はローラチェーン520の進行方向の速度変動も発生させる。
このような、振動や騒音、速度変動等を低減するために、前述した標準的なスプロケット520の規格と異なる諸元のスプロケットを用いたものが公知である(例えば、特許文献1乃至6等参照。)。
実際にチェーンは、張力による伸び、経時変化による伸びや摺動部の摩耗等によってピッチが大きくなり、その際、図7(b)で示すように、ローラ521がスプロケット500に当接する位置513が変化して、歯底部511以外の歯側面512の高い位置と当接して、大きな衝撃を発生するという問題があった。
この問題は、標準的なスプロケット500のみならず、標準以外の前述の公知のスプロケットによっても同様に発生するものであり、このことで、噛合音が大きくなるという問題があった。
また、このような衝撃は、チェーンやスプロケットの噛合部の摩耗の原因となるとともに、チェーンの他の摺動部にも大きな力を及ぼし、摩耗の原因となり、それぞれの寿命を低減させる要因となっていた。
このような状態となると、チェーンとスプロケットとの噛合の強度が低下したり、噛合音が増大したり、歯やローラの摩耗が増大し、さらには、歯飛び等の要因となるという問題があった。
本請求項3に記載の構成によれば、スプロケットの歯底円直径が、標準スプロケットの歯底円直径以上であることにより、チェーンに伸びがない状態での着座位置をあらかじめ逆方向にずらすことができ、チェーンのピッチがさらに大きくなった場合でも着座位置の変化を抑制することが可能となる。
本請求項4に記載の構成によれば、歯底部円弧半径Rbと標準スプロケットの歯底部円弧半径Riとの差が、歯底円直径と標準スプロケットの歯底円直径との差の半分よりも大きいことにより、チェーンに伸びがない状態での着座位置をあらかじめ逆方向にずらしつつ、チェーンが伸びてピッチがさらに大きくなった場合の着座位置の対応余裕を大きく取ることができ、より大きなチェーンの伸びに対応することが可能となる
本請求項5に記載の構成によれば、歯底部円弧の角度範囲が、標準スプロケットの歯底部円弧の角度範囲と等しいことにより、歯側面の形状を標準スプロケットと同等とすることができ、ローラまたはブシュが噛み合う際に歯側面と当接した場合でも、標準スプロケットと同等の動作とすることができる。
ピッチ円直径:DpΦ1=48.60mm
歯底部円弧半径:Rb1=2.72mm
歯底部円弧角度:θ1=125.3°
歯底円直径:DbΦ1=44.11mm
スプロケットの歯数:z1=19枚
なお、「ローラ」、「ローラチェーン」は「ブシュ」、「ブシュチェーン」であってもよい(以下、同様。)。
張力による伸び、経時変化による伸びや摺動部の摩耗等によってローラチェーン120のピッチが大きくなった場合、図2(b)に示すように、ローラ121とスプロケット100とが当接する位置113が変化するが、歯底部円弧半径Rb1が大きく設定されていることによりローラ121が歯底部111から外れて歯側面112と当接することがなく、チェーンの伸びに伴う騒音や振動、各部の摩耗を低減するとともに、チェーンとスプロケットとの噛合の強度の低下を抑制し、チェーンの寿命が向上する。
本実施形態のスプロケットを用いた場合、明らかにピーク応力の発生が抑制されており、このことで、騒音や振動を低減される。
なお、比較に用いた標準スプロケット500は、図4に示すように、
ピッチ円直径:DpΦ=48.60mm
歯底部円弧半径:Ri=2.32mm
歯底部円弧角度:θ=125.3°
歯底円直径:DbΦ=44.11mm
スプロケットの歯数:z=19枚
の諸元を持つものである。
ピッチ円直径:DpΦ2=48.60mm
歯底部円弧半径:Rb2=2.72mm
歯底部円弧角度:θ2=125.3°
歯底円直径:DbΦ2=44.26mm
スプロケットの歯数:z2=19枚
DbΦ2=44.26>DbΦ=44.11 ・・・式1
Rb2−Ri=0.4>(DbΦ2−DbΦ)/2=0.075 ・・・式2
の関係を有している。
このことで、全くローラチェーンに伸びのない状態では、式1の関係があるため、ローラとスプロケットとが当接する位置が第1実施形態の場合と逆方向にずれるが、歯底部円弧半径Rb2が式2の関係で大きく設定されていることによりローラが歯底部211から外れ歯側面212と当接することはない。
このとき、式1の関係を有することで、伸びのない状態でローラとスプロケットとの当接する位置が逆方向にずれているため、第1実施形態よりもさらにローラチェーンが伸びても、ローラとスプロケットとが当接する位置を歯底部211に保つことができる。
110、210、520 ・・・ 歯
111、211、511 ・・・ 歯底部
112、212、512 ・・・ 歯側面
113、 513 ・・・ 当接する位置
120、 520 ・・・ ローラチェーン
121、 521 ・・・ ローラ
Claims (5)
- チェーンが噛み合う複数の歯を備え、前記複数の歯の間に、所定の半径及び所定の角度範囲の歯底部円弧を有するスプロケットであって、
前記歯底部円弧の半径が、噛み合うチェーンのローラまたはブシュの直径に対して、
Rb>0.505*Φr+0.069*Φr1/3
Rb:歯底部円弧半径
Φr:噛み合うチェーンのローラまたはブシュの直径
の関係を有することを特徴とする記載のスプロケット。 - 前記歯底部円弧半径の中心が、
Ri=0.505*Φr+0.069*Φr1/3
Ri:標準スプロケットの歯底部円弧半径
Φr:噛み合うチェーンのローラまたはブシュの直径
で表される歯底部円弧半径を持つ標準スプロケットの歯底部円弧半径の中心よりも外周側に位置することを特徴とする請求項1に記載のスプロケット。 - 前記スプロケットの歯底円直径が、
前記標準スプロケットの歯底円直径以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスプロケット。 - 前記歯底部円弧半径Rbと標準スプロケットの歯底部円弧半径Riとの差が、前記歯底円直径と標準スプロケットの歯底円直径との差の半分よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のスプロケット。
- 前記歯底部円弧の角度範囲が、標準スプロケットの歯底部円弧の角度範囲と等しいことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスプロケット。
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