JP2015155587A - 脂肪族ポリエステル樹脂繊維及び脂肪族ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な製造方法により、製造時には十分な分子量を有するとともに、機械強度に優れ、特に、土中、水中等の多湿条件下において、制御された分解特性を有する脂肪族ポリエステル樹脂繊維を提供する。【解決手段】脂肪族ポリエステル樹脂(A)と下記式(8)で示されるリン化合物(B)とを含む脂肪族ポリエステル樹脂繊維であって、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対してリン化合物(B)を0.3〜100質量部含む脂肪族ポリエステル樹脂繊維。[式(8)中、Xは水素原子又はOHを示し、nは1〜20の整数を示し、mは1又は2を示す。]【選択図】なし
Description
本発明は脂肪族ポリエステル樹脂繊維及び脂肪族ポリエステル樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、多湿条件下における分解特性が制御された脂肪族ポリエステル樹脂繊維及び脂肪族ポリエステル樹脂組成物に関する。
脂肪族ポリエステルなどの生分解性樹脂は、環境への負荷を軽減することを目的として、フィルム、シート、繊維、成形品などへ使用されている。しかしながら、農業用途、土壌改質用途および石油やガスなどの地下資源採掘用途など、使用後に速やかに分解することを求められる用途においては、使用初期に求められる機械強度と使用後に求められる分解速度を両立することが難しく、課題となっている。
例えば、シェールガス採掘時に水圧破砕によって頁岩に生じた裂け目の目止め材(支持材)として、ポリマーを含むプロパント溶液が用いられることがある(非特許文献1)。
このようなポリマーはプロパント溶液の摩擦を減少させ、シェールガス採掘の効率を向上させることができる。しかし、近年このように地中に投入されたポリマーが帯水層や地表の水源を汚染することが問題視されており、地中に投入後速やかに分解する生分解性樹脂が期待されている。
例えば、シェールガス採掘時に水圧破砕によって頁岩に生じた裂け目の目止め材(支持材)として、ポリマーを含むプロパント溶液が用いられることがある(非特許文献1)。
このようなポリマーはプロパント溶液の摩擦を減少させ、シェールガス採掘の効率を向上させることができる。しかし、近年このように地中に投入されたポリマーが帯水層や地表の水源を汚染することが問題視されており、地中に投入後速やかに分解する生分解性樹脂が期待されている。
従来、樹脂の色調、熱安定性、耐湿熱性、成形性を向上させる目的で有機リン化合物を重合時、あるいは溶融混練にて配合することが提案されている(例えば、特許文献1〜6)。
一方、脂肪族ポリエステル樹脂に難燃剤としてスルホン酸を溶融混練することが提案されている(特許文献7)。
また、特許文献8には、脂肪族ポリエステル樹脂繊維に、耐加水分解性と難燃性を付与するための芳香族リン系難燃加工剤が記載されており、難燃加工剤が含まれる処理液中に脂肪族ポリエステル樹脂繊維を投入したことが記載されている。
一方、脂肪族ポリエステル樹脂に難燃剤としてスルホン酸を溶融混練することが提案されている(特許文献7)。
また、特許文献8には、脂肪族ポリエステル樹脂繊維に、耐加水分解性と難燃性を付与するための芳香族リン系難燃加工剤が記載されており、難燃加工剤が含まれる処理液中に脂肪族ポリエステル樹脂繊維を投入したことが記載されている。
伊原賢、「シェールガスのインパクト」、石油・天然ガスレビュー、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、2010.5 Vol.44 No.3、P15-38
上記特許文献6には、有機リン化合物の配合量が多いと耐加水分解性が低下することが示唆されている。しかしながら、耐加水分解性が低下するとされている配合量においても
、本発明者らが必要とする分解特性は得られていないのが実状である。また、樹脂の色調改善や分子量維持を目的として脂肪族ポリエステルの重合時にリン系安定剤を多量に配合すると、十分な重合度の脂肪族ポリエステルが得られない場合があったり、色調が安定しないなどの問題があった。また、特許文献7に、ポリエステルの分解性についての記載はない。
、本発明者らが必要とする分解特性は得られていないのが実状である。また、樹脂の色調改善や分子量維持を目的として脂肪族ポリエステルの重合時にリン系安定剤を多量に配合すると、十分な重合度の脂肪族ポリエステルが得られない場合があったり、色調が安定しないなどの問題があった。また、特許文献7に、ポリエステルの分解性についての記載はない。
また、特許文献9には脂肪族ポリエステルに本発明が規定する有機リン化合物を0.2重量部加えた旨の記載があるものの、該文献で有機リン化合物を加えた理由はポリマーの分子切断抑制に関するものであり、本発明が目的とする加水分解性の向上とは正反対の目的で用いている。
さらに本発明者等の検討によれば、加水分解促進作用を有する化合物を含む樹脂組成物であっても、紡糸工程を経て繊維にすると、ペレット形態時に有していた加水分解性のほとんどを喪失してしまうという問題が判明した。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、簡便な製造方法により、製造時には十分な分子量を有するとともに、機械強度に優れ、特に、土中、水中等の多湿条件下において、制御された分解特性を有する脂肪族ポリエステル樹脂繊維を提供することを課題とする。
さらに本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、簡便な製造方法により、紡糸後も土中、水中等の多湿条件下において、制御された分解特性を保持することのできる脂肪族ポリエステル樹脂組成物を提供することを課題とする。
さらに本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、簡便な製造方法により、紡糸後も土中、水中等の多湿条件下において、制御された分解特性を保持することのできる脂肪族ポリエステル樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、脂肪族ポリエステル樹脂に、特定の有機リン化合物を一定量含有することにより、製造時に十分な分子量を有し、土中・水中などの多湿条件下において制御された分解特性をもつ脂肪族ポリエステル樹脂繊維及び脂肪族ポリエステル樹脂組成物が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明の要旨は、下記に存する。
〔1〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)と下記式(8)で示されるリン化合物(B)とを含む脂肪族ポリエステル樹脂繊維であって、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対してリン化合物(B)を0.3〜100質量部含む脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
[式(8)中、Xは水素原子又はOHを示し、nは1〜20の整数を示し、mは1又は2を示す。]
〔2〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)が脂肪族ジオール成分及び脂肪族ジカルボン酸成分を含む上記〔1〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔3〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)が、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルである上記〔1〕又は〔2〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔4〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)がオキシカルボン酸成分を含む上記〔1〕〜〔3〕の何れか1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔5〕 脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維の表面がリン化合物(B)で被覆されていることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕の何れか1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔6〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維100質量部に対してリン化合物(B)の被覆量が0.3〜100質量部である上記〔5〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔7〕
脂肪族ポリエステル樹脂繊維が地下資源採掘のための空隙の目止め材用である上記〔1〕〜〔6〕の何れか1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。〔8〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)と下記式(8)で表されるリン化合物(B)とを含有する樹脂組成物であって、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対するリン化合物(B)の含有量が0.3〜4.8質量部であることを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
[式(8)中、Xは水素原子又はOHを示し、nは1〜20の整数を示し、mは1又は2を示す。]
〔9〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)が脂肪族ジオール成分及び脂肪族ジカルボン酸成分を含む上記〔8〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
〔10〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)が、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルである上記〔8〕又は〔9〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
〔11〕
脂肪族ポリエステル樹脂組成物が地下資源採掘のための空隙の目止め材用である上記〔8〕〜〔10〕の何れか1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
〔1〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)と下記式(8)で示されるリン化合物(B)とを含む脂肪族ポリエステル樹脂繊維であって、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対してリン化合物(B)を0.3〜100質量部含む脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔2〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)が脂肪族ジオール成分及び脂肪族ジカルボン酸成分を含む上記〔1〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔3〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)が、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルである上記〔1〕又は〔2〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔4〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)がオキシカルボン酸成分を含む上記〔1〕〜〔3〕の何れか1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔5〕 脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維の表面がリン化合物(B)で被覆されていることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕の何れか1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔6〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維100質量部に対してリン化合物(B)の被覆量が0.3〜100質量部である上記〔5〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
〔7〕
脂肪族ポリエステル樹脂繊維が地下資源採掘のための空隙の目止め材用である上記〔1〕〜〔6〕の何れか1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。〔8〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)と下記式(8)で表されるリン化合物(B)とを含有する樹脂組成物であって、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対するリン化合物(B)の含有量が0.3〜4.8質量部であることを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
〔9〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)が脂肪族ジオール成分及び脂肪族ジカルボン酸成分を含む上記〔8〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
〔10〕
脂肪族ポリエステル樹脂(A)が、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルである上記〔8〕又は〔9〕に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
〔11〕
脂肪族ポリエステル樹脂組成物が地下資源採掘のための空隙の目止め材用である上記〔8〕〜〔10〕の何れか1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維は、製造時に十分な分子量を有するため、機械物性に優れている。また、土中、水中などの多湿条件下において制御された分解特性、すなわちマイルドな温度条件でも速やかに分子量が低下する特徴をもつため、土壌改質、原油やガスなどの地下資源採掘用途など使用後に速やかに分解が求められる用途に特に有用である。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、製造時に十分な分子量を有するため、機械物性に優れている。また、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を原料にした繊維は、土中、水中などの多湿条件下において制御された分解特性、すなわちマイルドな温度条件でも速やかに分子量が低下する特徴をもつ。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、製造時に十分な分子量を有するため、機械物性に優れている。また、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を原料にした繊維は、土中、水中などの多湿条件下において制御された分解特性、すなわちマイルドな温度条件でも速やかに分子量が低下する特徴をもつ。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、本明細書において、「〜」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で
用いることとする。
本明細書において“質量%”と“重量%”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。
用いることとする。
本明細書において“質量%”と“重量%”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維(以下、「樹脂繊維」と略称することがある。)及び脂肪族ポリエステル樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と略称することがある。)は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)を含有することに特徴を有するものである。
本発明において、リン化合物(B)は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)の加水分解促進剤としての機能をもつものである。また、樹脂組成物又は樹脂繊維は、制酸剤を含有していてもよい。
<脂肪族ポリエステル樹脂繊維>
1.脂肪族ポリエステル樹脂(A)
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、脂肪族構造のモル比率が全体構造に対して最大比率となる樹脂であれば特に限定されず、例えば、脂肪族構造以外に、部分的に芳香族構造を有する脂肪族芳香族ポリエステルであってもよい。より具体的には、例えば、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステル(全脂肪族ポリエステル)、オキシカルボン酸(ヒドロキシカルボン酸)を主成分としてなる脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族芳香族ポリエステル、およびそれらの混合物が挙げられる。これらの中で、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルが好ましい。
1.脂肪族ポリエステル樹脂(A)
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、脂肪族構造のモル比率が全体構造に対して最大比率となる樹脂であれば特に限定されず、例えば、脂肪族構造以外に、部分的に芳香族構造を有する脂肪族芳香族ポリエステルであってもよい。より具体的には、例えば、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステル(全脂肪族ポリエステル)、オキシカルボン酸(ヒドロキシカルボン酸)を主成分としてなる脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族芳香族ポリエステル、およびそれらの混合物が挙げられる。これらの中で、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルが好ましい。
また、本発明において使用する脂肪族ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が低いほど、得られる繊維の結晶性が低くなり加水分解性は高くなる傾向があるが、紡糸性は逆に低くなる傾向がある。
ここで、「主成分としてなる」とは、対象とする単量体成分を50モル%以上用いて重合反応をさせて得られるものであることを意味する。対象とする単量体成分の使用量は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。
1.1.ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステル
ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルは、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位および下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を含んでなる脂肪族ポリエステル樹脂である。
ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルは、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位および下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を含んでなる脂肪族ポリエステル樹脂である。
−O−R11−O− (1)
[式(1)中、R11は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(1)中、R11は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R21−CO− (2)
[式(2)中、R21は、直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(2)中、R21は、直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(1)のジオール単位を与える脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、成形性や機械強度の観点から、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数4〜6の脂肪族ジオールが特に好ましい。具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プ
ロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。上記脂肪族ジオールは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
ロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。上記脂肪族ジオールは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
式(2)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、炭素数2〜40の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。具体的には、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等が挙げられる。中でもコハク酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、コハク酸とアジピン酸がより好ましく、コハク酸が特に好ましい。上記脂肪族ジカルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸がコハク酸である場合、コハク酸由来の構造単位量を所定範囲内とすることで、前記した使用後に速やかな分解が求められる用途に用いた場合に、適度な生分解性を発揮することが可能となる。全脂肪族ジカルボン酸単位中のコハク酸由来の構造単位の割合は、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%である。
また、脂肪族ジカルボン酸がコハク酸とアジピン酸である場合、コハク酸由来とアジピン酸由来の構造単位量を所定範囲内とすることで、通常の条件における適度な生分解性が可能で、耐衝撃性の付与がより容易となる。全脂肪族ジカルボン酸単位中のコハク酸由来の構造単位の割合は、好ましくは50〜95モル%、より好ましくは60〜93モル%、さらに好ましくは70〜90モル%であり、全脂肪族ジカルボン酸単位中のアジピン酸由来の構造単位の割合は、好ましくは5〜50モル%、より好ましくは7〜40モル%、さらに好ましくは10〜30モル%である。
さらに、本発明におけるジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステル樹脂は、脂肪族オキシカルボン酸に由来する繰返し単位(脂肪族オキシカルボン酸単位)を有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸、リンゴ酸、クエン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。また、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物も本発明において脂肪族オキシカルボン酸に包含される。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液であってもよい。これらの中で、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸が特に好ましい。これら脂肪族オキシカルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
上記脂肪族オキシカルボン酸単位の量は、成形性(紡糸性)の観点からジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステル樹脂の全構成モノマー中、好ましくは2
0モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下である。
0モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下である。
また、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルは、カップリング剤等により鎖長延長されたものであってもよい。
カップリング剤としては、ジイソシアネート、オキサゾリン、ジエポキシ化合物、酸無水物等が挙げられる。具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等が挙げられる。これらの添加量は、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部である。
ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルは、公知の方法(特開2012−144744号公報、特開2010−195989号公報、特開2009−173884号公報等に記載の方法)で製造することができる。
例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができる。経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができる。経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルとして使用可能な製品(市販品)としては、三菱化学製ポリブチレンサクシネート系樹脂「GS Pla」(登録商標)(ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等)、昭和電工社製ポリブチレンサクシネート樹脂「ビオノーレ」(登録商標)等が挙げられる。
本発明において、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルは、以下の物性をもつものが好ましい。
重量平均分子量は、下限が好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、さらに好ましくは50,000以上であり、上限が好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは400,000以下である。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、成形性と機械強度の点において有利である。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
重量平均分子量は、下限が好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、さらに好ましくは50,000以上であり、上限が好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは400,000以下である。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、成形性と機械強度の点において有利である。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
メルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が好ましくは0.1g/10分以上であり、上限が好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。メルトフローレートを上記範囲とすることにより、成形性と機械強度が良好となる。
融点は、下限が好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上であり、上限が好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、特に好ましくは150℃以下である。融点が複数存在する場合には、少なくとも1つの融点が上記範囲内にあることが好ましい。
固有粘度(IV)は、通常0.6以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上であり、上限が通常1.8以下、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.4以下である。固有粘度が小さすぎると、成形品の機械物性が低下する可能性があり、また固有粘度が大きすぎると、成形加工時に溶融粘度が高くなりすぎ、押出機負荷が上がるため、生産性が落ちる可能性がある。なお、本明細書において、固有粘度(IV)は、フェノー
ル/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において測定した値に基づくものである。
ル/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において測定した値に基づくものである。
また、本発明において、原料としての脂肪族ポリエステル樹脂(A)の物性は、「1.1. ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステル」以外の場合においても、上記とほぼ同様である。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)中の、ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルの含有割合は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)全体を100質量部としたときに、下限が好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上であり、特に好ましくは50質量部以上、最も好ましくは80質量部以上、上限が100質量部以下である。含有割合を上記範囲とすることにより、特に、前記した使用後に速やかな分解が求められる用途に用いた場合に、適度な生分解性が可能となる。
1.2.オキシカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステル
オキシカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルは、少なくとも一つ以上の脂肪族オキシカルボン酸単位を含んでなる脂肪族ポリエステルである。
オキシカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルは、少なくとも一つ以上の脂肪族オキシカルボン酸単位を含んでなる脂肪族ポリエステルである。
脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸、リンゴ酸、クエン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。また、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物も本発明において脂肪族オキシカルボン酸に包含される。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液であってもよい。これらの中で、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸が好ましい。これら脂肪族オキシカルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
オキシカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート、ポリ4−ヒドロキシブチレート、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレエート)、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。これらの中でポリ乳酸が特に好ましい。
ポリ乳酸樹脂に含まれるポリ乳酸の構成としてはモル比として、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15、または0:100〜15:85であることが好ましい。また、D−乳酸とL−乳酸との構成割合が異なった他のポリ乳酸をブレンドすることも可能である。D−乳酸のみ、または、L−乳酸のみを構造単位とするポリ乳酸樹脂は結晶性樹脂となり、融点が高く、耐熱性、機械的物性に優れる傾向にある。
さらには、ポリ乳酸樹脂は、前述のポリ乳酸と、他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であってもよく、また少量の鎖延長剤残基を含んでいてもよい。他のヒドロキシカルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸類、およびカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げら
れる。このような他のヒドロキシカルボン酸単位は、ポリ乳酸樹脂中15モル%未満で使用するのがよい。
れる。このような他のヒドロキシカルボン酸単位は、ポリ乳酸樹脂中15モル%未満で使用するのがよい。
上記樹脂に含んでいてもよい鎖延長剤残基としては、例えば、前記したカップリング剤に由来する残基が挙げられる。
オキシカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステル、例えばポリ乳酸樹脂は、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法(特開平9−151244号公報、特開平8−12750号公報、国際公開第00/078839号等に記載の方法)で製造することができる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸またはD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸樹脂を得ることができる。また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を用いながら、適当な触媒を使用してポリ乳酸樹脂を得ることができる。なお、ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、D−乳酸およびL−乳酸の2量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合し、重合することによって任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸樹脂を得ることができる。
オキシカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルとして使用可能な製品(市販品)としては、ネイチャーワークス社製ポリ乳酸樹脂「Ingeo」(登録商標)などが挙げられる。
本発明において使用され得るポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、下限が好ましくは60,000以上、より好ましくは80,000以上、特に好ましくは100,000以上であり、上限が好ましくは700,000以下、より好ましくは400,000以下、特に好ましくは300,000以下である。重量平均分子量が60,000より小さいと機械物性や耐熱性等の実用物性が劣る傾向があり、また700,000より大きいと溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る傾向がある。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)中の、オキシカルボン酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルの含有割合は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)全体を100質量部としたときに、上限が好ましくは90質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下である。下限は特に限定されず特に含有させなくともよいが、含有させる場合は通常0.1質量部以上である。含有割合を上記範囲とすることにより、加水分解性が向上する場合がある。
1.3.ジオールとジカルボン酸を主成分としてなる脂肪族芳香族ポリエステル
ジオールとジカルボン酸を主成分とする脂肪族芳香族ポリエステル(以下、「脂肪族芳香族ポリエステル」と称することがある。)は、下記式(3)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(4)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(5)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。更に、オキシカルボン酸単位を有していてもよい。
ジオールとジカルボン酸を主成分とする脂肪族芳香族ポリエステル(以下、「脂肪族芳香族ポリエステル」と称することがある。)は、下記式(3)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(4)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(5)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。更に、オキシカルボン酸単位を有していてもよい。
−O−R31−O− (3)
[式(3)中、R31は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(3)中、R31は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R41−CO− (4)
[式(4)中、R41は、直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2
価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(4)中、R41は、直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2
価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R51−CO− (5)
[式(5)中、R51は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(5)中、R51は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(3)のジオール単位を与える脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、成形性や機械強度の観点から、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数4〜6の脂肪族ジオールが特に好ましい。具体的には、前記の式(1)として例示した脂肪族ジオール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。上記脂肪族ジオールは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
式(4)の脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、炭素数2〜40の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。具体的には、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等が挙げられる。中でもコハク酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、コハク酸とアジピン酸がより好ましく、コハク酸が特に好ましい。上記脂肪族ジカルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
式(5)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。これらは酸無水物であってもよい。また、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、これらの芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。これらの中で、テレフタル酸、イソフタル酸、又はそれらの低級アルキル(例えば炭素数1〜4のアルキル)エステル誘導体が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
特にテレフタル酸及び/又はテレフタル酸のメチルエステルか、テレフタル酸及び/又はテレフタル酸のメチルエステルとイソフタル酸及び/又はイソフタル酸のメチルエステルとを含有する混合物が好ましい。
特にテレフタル酸及び/又はテレフタル酸のメチルエステルか、テレフタル酸及び/又はテレフタル酸のメチルエステルとイソフタル酸及び/又はイソフタル酸のメチルエステルとを含有する混合物が好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステルの具体例としては、ポリブチレンアルキレートテレフタレートが好ましく、ポリブチレンアジペートテレフタレートまたはポリブチレンサクシネートテレフタレートがより好ましく、ポリブチレンアジペートテレフタレートが特に好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステルは、公知の方法(特開2008−31457号公報、特開2008−31456号公報、特開2001−26643号公報等に記載の方法)で製造することができる。例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができる。経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステルとして使用可能な製品(市販品)としては、BASF社製ポリブチレンテレフタレートアジペート樹脂「ECOFLEX」(登録商標)などが挙げられる。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)中の、脂肪族芳香族ポリエステルの含有割合は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)全体を100質量部としたときに、上限が好ましくは100質量
部以下、より好ましくは50質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。
部以下、より好ましくは50質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。
2.その他樹脂
本発明において、上記脂肪族ポリエステル樹脂(A)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他樹脂を含んでいてもよい。その他樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、芳香族ポリエステル等を挙げることができる。
本発明において、上記脂肪族ポリエステル樹脂(A)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他樹脂を含んでいてもよい。その他樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、芳香族ポリエステル等を挙げることができる。
本発明に係る脂肪族ポリエステル樹脂組成物において、脂肪族ポリエステル樹脂(A)とその他樹脂との配合比については、脂肪族ポリエステル樹脂(A)が樹脂成分において主成分となるようにすればよい。具体的には、樹脂組成物に含まれる樹脂成分全体を100質量%として、脂肪族ポリエステル樹脂(A)が50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
3.リン化合物(B)
本発明において、リン化合物(B)(以下、「加水分解促進剤」と称することがある。)としては、下記式(8)で表される有機リン化合物を用いる。ここで、式(8)の化合物同士が結合してジホスフェイト、ジホスファイト等となっていてもよい。
本発明において、リン化合物(B)(以下、「加水分解促進剤」と称することがある。)としては、下記式(8)で表される有機リン化合物を用いる。ここで、式(8)の化合物同士が結合してジホスフェイト、ジホスファイト等となっていてもよい。
[式(8)中、Xは水素原子又はOHを示し、nは1〜20の整数を示し、mは1又は2を示す。]
式(8)において、XはOHが好ましく、nは2〜18の整数がより好ましく、4〜13の整数が更に好ましく、6〜10の整数が特に好ましい。
また、式(8)において、mは1又は2であるが、m=1が好ましい。
式(8)で表される化合物としては、m=1、m=2よりなる単独の化合物である必要はなく、m=1とm=2の化合物の混合物であってもよい。混合割合は特に限定されず、製造条件等により必然的に生じる混合割合であってもよい。すなわち、式(8)において、mは1又は2であるが、どちらか一方のみである必要はない。
式(8)で表される化合物としては、m=1、m=2よりなる単独の化合物である必要はなく、m=1とm=2の化合物の混合物であってもよい。混合割合は特に限定されず、製造条件等により必然的に生じる混合割合であってもよい。すなわち、式(8)において、mは1又は2であるが、どちらか一方のみである必要はない。
基CnH2n+1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基、ステアリル基等が挙げられる。これらの中で、2−エチルヘキシル基が好ましい。
式(8)で表される化合物としては、例えば、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。これらの中で、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、イソトリデシルアシッドホ
スフェート、ジラウリルハイドロゲンホスファイトが好ましく、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイトがより好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
スフェート、ジラウリルハイドロゲンホスファイトが好ましく、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイトがより好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
脂肪族ポリエステル樹脂繊維におけるリン化合物(B)の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、下限が0.3質量部以上であり、好ましくは0.6質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1.0質量部以上である。一方上限が100質量部以下であり、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。脂肪族ポリエステル樹脂繊維におけるリン化合物(B)の含有量が少なすぎると十分な加水分解性が得られず、多すぎると十分な強度の繊維が得られないだけでなく、保管している間に樹脂被覆繊維が分解する。
本発明における脂肪族ポリエステル樹脂繊維におけるリン化合物(B)の含有量とは、脂肪族ポリエステル樹脂繊維中に含有されるリン化合物(B)の量及び脂肪族ポリエステル樹脂繊維の表面に被覆されたリン化合物(B)の量の和を意味する。
脂肪族ポリエステル樹脂繊維中にリン化合物を含有させる方法としては、脂肪族ポリエステルとリン化合物(B)を溶融混練することによって得られた樹脂組成物を紡糸する方法等がある。
脂肪族ポリエステル樹脂繊維表面にリン化合物(B)を被覆する方法としては、脂肪族ポリエステル樹脂繊維をリン化合物(B)を含む溶液に浸漬した後、乾燥させる方法等がある。
脂肪族ポリエステル樹脂繊維中にリン化合物を含有させる方法としては、脂肪族ポリエステルとリン化合物(B)を溶融混練することによって得られた樹脂組成物を紡糸する方法等がある。
脂肪族ポリエステル樹脂繊維表面にリン化合物(B)を被覆する方法としては、脂肪族ポリエステル樹脂繊維をリン化合物(B)を含む溶液に浸漬した後、乾燥させる方法等がある。
本発明者らの検討によれば、脂肪族ポリエステル樹脂を主原料に、紡糸して得られた繊維は、紡糸前の樹脂に比べて加水分解性が低下することが見出された。その理由は明らかではないが、紡糸過程で繊維中心部及び表面が配向結晶化しているためと考えられ、配向結晶化は、繊維中心部より繊維表面の方が顕著と考えられる。
そのため、繊維中に特定の構造を持ったリン化合物(B)を含有させることや繊維表面に特定の構造を持つリン化合物(B)を塗布することで、有機リン化合物が配向結晶化した繊維に浸透し、配向結晶化が生じた表面層を部分的に溶解させたと考えられる。
配向結晶化した表面層が部分的に溶解することで、繊維表面層の粗面化によって表面積が増加し、配向結晶化した繊維であっても加水分解性が向上した。その結果、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維は土中・水中等の多湿条件で速やかに分子量低下が起こるという、従来にない顕著な効果を奏する樹脂被覆繊維を得ることができた。
そのため、繊維中に特定の構造を持ったリン化合物(B)を含有させることや繊維表面に特定の構造を持つリン化合物(B)を塗布することで、有機リン化合物が配向結晶化した繊維に浸透し、配向結晶化が生じた表面層を部分的に溶解させたと考えられる。
配向結晶化した表面層が部分的に溶解することで、繊維表面層の粗面化によって表面積が増加し、配向結晶化した繊維であっても加水分解性が向上した。その結果、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維は土中・水中等の多湿条件で速やかに分子量低下が起こるという、従来にない顕著な効果を奏する樹脂被覆繊維を得ることができた。
4.その他の加水分解促進剤
本発明においては、上記式(8)に示すリン化合物(B)に加え、任意で、下記の有機ホスフェイト、有機ホスファイト、有機ホスホナイト、スルホン酸化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以降、その他の加水分解促進剤と称すことがある。)を含んでもよい。中でも加水分解速度を向上させるために、スルホン酸化合物を含むことが好ましい。
本発明においては、上記式(8)に示すリン化合物(B)に加え、任意で、下記の有機ホスフェイト、有機ホスファイト、有機ホスホナイト、スルホン酸化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以降、その他の加水分解促進剤と称すことがある。)を含んでもよい。中でも加水分解速度を向上させるために、スルホン酸化合物を含むことが好ましい。
4.1.有機ホスフェイト
本発明において、有機ホスフェイトとしては、例えば、下記式(6)で表される構造を有する化合物が挙げられる。ここで、式(6)の化合物同士が結合してジホスフェイト等となっていてもよい。
本発明において、有機ホスフェイトとしては、例えば、下記式(6)で表される構造を有する化合物が挙げられる。ここで、式(6)の化合物同士が結合してジホスフェイト等となっていてもよい。
[式(6)中、R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基を示し、R3、R4及びR5は、互いに結合して環を形成していてもよい。]
式(6)において、R3〜R5の炭素数1〜30のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ステアリル等が挙げられる。また、炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル、ノニルフェニル、ブチルフェニル、ブチルメチルフェニル、ジブチルフェニル、ジブチルメチルフェニル、ビフェニル、オクチルフェニル等が挙がられる。
4.2.有機ホスファイト
本発明において、有機ホスファイトとしては、例えば、下記式(7)で表される構造を有する化合物が挙げられる。ここで、式(7)の化合物同士が結合してジホスファイト等となっていてもよい。
本発明において、有機ホスファイトとしては、例えば、下記式(7)で表される構造を有する化合物が挙げられる。ここで、式(7)の化合物同士が結合してジホスファイト等となっていてもよい。
[式(7)中、R6、R7、R8は、上記のR3、R4、R5と同義である。]
具体的には、例えば、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイト、ビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ジステアリルーペンタエリトリトール−ジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス−(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス−(フェニル−ジアルキルホスファイト)、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。中でもトリス−(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイト、ビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト等が好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
ブチルフェニル)ホスファイト、ビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト等が好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
4.3.有機ホスホナイト
本発明において、有機ホスホナイトとしては、例えば下記式(5)で表される構造を有する化合物を用いることができる。ここで、式(5)の化合物同士が結合してジホスホナイト等となっていてもよい。
本発明において、有機ホスホナイトとしては、例えば下記式(5)で表される構造を有する化合物を用いることができる。ここで、式(5)の化合物同士が結合してジホスホナイト等となっていてもよい。
[式(5)中、R9、R10、R11は、上記のR3、R4、R5と同義である。]
具体的には、例えば、テトラキス(ジ−t−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−1,1−ビフェニルー4,4’−ジイルビスホスホナイト等が挙げられる。これらの中で、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトが好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
4.4.スルホン酸エステル化合物
本発明において、スルホン酸エステル化合物は特に限定されず、スルホン酸化合物とアルコール、あるいはスルホン酸化合物とフェノールからなるスルホン酸エステル化合物が挙げられる。
本発明において、スルホン酸エステル化合物は特に限定されず、スルホン酸化合物とアルコール、あるいはスルホン酸化合物とフェノールからなるスルホン酸エステル化合物が挙げられる。
スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の芳香族スルホン酸が挙げられる。
アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコールなどが挙げられる。
配合による脂肪族ポリエステル樹脂繊維の分解性と、スルホン酸エステル化合物の揮発しにくさのバランスから、芳香族スルホン酸とアルコールからなる芳香族スルホン酸エステルが好ましく、具体的には、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチルが好ましく、中でもp−トルエンスルホン酸メチルが特に好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
本発明において、リン化合物(B)以外に有機ホスフェイト、有機ホスファイト、有機
ホスホナイト、スルホン酸化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する場合、脂肪族ポリエステル樹脂繊維における有機ホスフェイト、有機ホスファイト、有機ホスホナイト、スルホン酸化合物の含有量の和は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、下限が通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは0.8質量部以上である、一方上限は通常100質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)に対する、有機ホスフェイト、有機ホスファイト、有機ホスホナイト、スルホン酸化合物の含有量の和が上記範囲内にあると、優れた紡糸性とマイルドな加水分解速度を持つ樹脂繊維を得ることが出来る傾向にある。
ホスホナイト、スルホン酸化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する場合、脂肪族ポリエステル樹脂繊維における有機ホスフェイト、有機ホスファイト、有機ホスホナイト、スルホン酸化合物の含有量の和は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、下限が通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは0.8質量部以上である、一方上限は通常100質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)に対する、有機ホスフェイト、有機ホスファイト、有機ホスホナイト、スルホン酸化合物の含有量の和が上記範囲内にあると、優れた紡糸性とマイルドな加水分解速度を持つ樹脂繊維を得ることが出来る傾向にある。
5.制酸剤
本発明において、リン化合物(B)の分解等で発生した酸成分(リン酸等)を吸着あるいは中和するために制酸剤を用いてもよい。
その具体例として、酸を吸着するものとしては、ハイドロタルサイト系化合物が挙げられ、天然鉱物であるハイドロタルサイトと工業的に合成したハイドロタルサイト類化合物を含み、何れであってもよく、これらの混合物であってもよい。
本発明において、リン化合物(B)の分解等で発生した酸成分(リン酸等)を吸着あるいは中和するために制酸剤を用いてもよい。
その具体例として、酸を吸着するものとしては、ハイドロタルサイト系化合物が挙げられ、天然鉱物であるハイドロタルサイトと工業的に合成したハイドロタルサイト類化合物を含み、何れであってもよく、これらの混合物であってもよい。
ハイドロタルサイト系化合物としては、代表的には下記一般式(I)で表されるハイドロタルサイト類が挙げられる。
M2+ 1―XAlX(OH)2(An−)X/n・mH2O (I)
式(I)中、M2+は、アルカリ土類金属、または亜鉛族(Zn、Cd、Hg)の二価金属イオンであるが、中でもMg、Ca、Znが望ましい。An−はn価アニオンであり、xは、0<x<0.5の条件を満足する数値であり、mは、0≦m≦4の条件を満足する数値である。
M2+ 1―XAlX(OH)2(An−)X/n・mH2O (I)
式(I)中、M2+は、アルカリ土類金属、または亜鉛族(Zn、Cd、Hg)の二価金属イオンであるが、中でもMg、Ca、Znが望ましい。An−はn価アニオンであり、xは、0<x<0.5の条件を満足する数値であり、mは、0≦m≦4の条件を満足する数値である。
式(I)中のAn−としては、例えば、Cl−、Br−、I−、NO2 −、ClO4 −、SO4 2−、CO3 2−、SiO3 2−、Si2O5 2−、HPO4 2−、HBO3 2−、PO4 3−、Fe(CN)6 3−、Fe(CN)4 4−、CH3COO−、C6H4(OH)COO−、(OCOCOO)2 −、(OCOC6H4COO)2 −などが挙げられる。これらの中で、特にCO3 2−、SiO3 2−、Si2O5 2−などが好ましい。
合成ハイドロタルサイト系化合物としては市販品も入手可能であり、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oが、協和化学工業社製、製品名DHT−4Aとして入手可能である。
一方、酸を中和するものとしては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩が該当し、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
本発明における制酸剤としては、ハイドロタルサイト系化合物、中でも工業的に合成されたハイドロタルサイト類化合物が好ましい。
本発明において、制酸剤の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、上限が好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下であり、下限が好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上である。
制酸剤を少量配合することにより、過剰な酸を失活させて、溶融混練時のストランド引取り性と紡糸性を向上し、さらに溶融混練時、及び紡糸時の臭気を低減する効果がある。
しかしながら、含有量が上限を超えると、脂肪族ポリエステル樹脂繊維の分解性が低下する恐れがある。
しかしながら、含有量が上限を超えると、脂肪族ポリエステル樹脂繊維の分解性が低下する恐れがある。
6.その他の成分
本発明において、樹脂組成物又は樹脂繊維には、滑剤、フィラー(充填剤)、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、加水分解防止剤、表面ぬれ改善剤、難燃剤、離型剤、焼却補助剤、分散助剤、界面活性剤、結晶核剤、相溶化剤、熱安定剤、末端封止剤等の各種添加剤や、澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、或いはこれらの混合物が「その他の成分」として含まれていてもよい。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で任意に使用できる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。これら添加剤の添加量は、通常、樹脂組成物の物性を損なわないように、「その他の成分」の総量が、樹脂組成物又は樹脂繊維の総量に対して、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
本発明において、樹脂組成物又は樹脂繊維には、滑剤、フィラー(充填剤)、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、加水分解防止剤、表面ぬれ改善剤、難燃剤、離型剤、焼却補助剤、分散助剤、界面活性剤、結晶核剤、相溶化剤、熱安定剤、末端封止剤等の各種添加剤や、澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、或いはこれらの混合物が「その他の成分」として含まれていてもよい。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で任意に使用できる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。これら添加剤の添加量は、通常、樹脂組成物の物性を損なわないように、「その他の成分」の総量が、樹脂組成物又は樹脂繊維の総量に対して、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
6.1.滑剤
本発明において、樹脂組成物に滑剤を含ませると、成形性を向上させることができる。
本発明において、樹脂組成物に滑剤を含ませると、成形性を向上させることができる。
滑剤としては、例えば、パラフィン油、固形パラフィン等のパラフィン;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸;パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸の金属塩;ステアリン酸ブチル、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールモノステアレート等の脂肪酸エステル;ステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、オキシステアリン酸エチレンジアミド、メチロールアミド、オレイルアミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミド;カルナウバワックス、モンタンワックス等のワックス類などが挙げられる。これらの中で、エルカ酸アミドが特に好ましい。なお、滑剤やワックス類は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。これらの滑剤の含有量は、樹脂組成物又は樹脂繊維中、通常0.01〜2質量%の範囲であり、好ましくは0.05〜0.5質量%の範囲である。
6.2.フィラー
本発明において、樹脂組成物にフィラーを含ませると、樹脂組成物又は樹脂繊維の剛性を向上させることができる。
本発明において、樹脂組成物にフィラーを含ませると、樹脂組成物又は樹脂繊維の剛性を向上させることができる。
フィラーは、その形状により繊維状、粉粒状、板状のものがあり、特に粉粒状、板状のものが好ましい。粉粒状フィラーとしては、例えば、タルク、ゼオライト、ケイソウ土、カオリン、クレー、シリカ、石英粉末等の鉱物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム等の金属炭酸塩粒子;珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属珪酸塩粒子;アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物粒子;水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物粒子;カーボンブラック等の炭素粒子等が挙げられる。また板状フィラーとしては、例えば、マイカが挙げられる。
樹脂組成物又は樹脂繊維中におけるフィラーの分散状態は、数平均粒径で0.08〜25μmであり、より好ましくは0.1〜5μmである。この範囲からはずれると、上記フィラーの添加効果が低くなる。フィラーは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。これらのフィラーは樹脂組成物中、通常0.05〜40質量%の範囲で使用される。
6.3.可塑剤
樹脂組成物の流れ性が悪い場合は、可塑剤を加えるとよい。特に、樹脂組成物にフィラーを含ませた場合には、樹脂組成物の粘度が上昇して樹脂組成物の流れ性が悪くなる場合があり、樹脂組成物に可塑剤を加えることによって、これを改善することができる。
樹脂組成物の流れ性が悪い場合は、可塑剤を加えるとよい。特に、樹脂組成物にフィラーを含ませた場合には、樹脂組成物の粘度が上昇して樹脂組成物の流れ性が悪くなる場合があり、樹脂組成物に可塑剤を加えることによって、これを改善することができる。
可塑剤としては、例えば、メチルアジペート、ジエチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、ジ−n−プロピルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシレート等の脂肪酸エステル;トリアセチン等のグリセリンエステル;ジエチルマレエート、ジブチルマレエート、ジオクチルマレエート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレート等のマレイン酸およびフマル酸エステル;アジピン酸−1,3−ブチレングリコール、エポキシ化大豆油等のポリエステル・エポキシ化エステル;トリオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル;トリエチレングリコールジアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、グリセリンジアセトモノプロピオネート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノカプレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノベヘネート、グリセリンモノアセトモノステアレート等のアセチル化モノグリセライド;ジグリセリンアセテート、デカグリセリンプロピオネート、テトラグリセリンカプリレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンオレート、デカグリセリンベヘネート等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ロジン誘導体等が挙げられる。これら可塑剤は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。また、可塑剤は、樹脂組成物中に、好ましくは0.05〜10質量%の範囲で使用される。
6.4.帯電防止剤
本発明において、樹脂組成物又は樹脂繊維には、帯電防止剤を含ませることもできる。帯電防止剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。具体例としては、界面活性剤型のノニオン系、カチオン系、アニオン系帯電防止剤が好ましい。
本発明において、樹脂組成物又は樹脂繊維には、帯電防止剤を含ませることもできる。帯電防止剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。具体例としては、界面活性剤型のノニオン系、カチオン系、アニオン系帯電防止剤が好ましい。
ノニオン系の帯電防止剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステルアルキルジエタノールアマイド類等が挙げられる。中でもアルキルジエタノールアミン類が好ましい。
カチオン系の帯電防止剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
アニオン系の帯電防止剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート等が挙げられる。中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸塩は樹脂との混練性がよく、帯電防止効果も高いためである。
帯電防止剤の使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、樹脂組成物又は樹脂繊維に対して、下限が好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、上限が好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。上記範囲を上回ると、樹脂組成物や樹脂繊維の表面べたつきが発生し、製品価値が低下する傾向がある。また、上記範囲を下回ると、帯電防止性向上効果が低減する傾向がある。
6.5.その他添加剤
澱粉としては、具体的にはコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉等が挙げられ、これらは無変性品、変性品どちらも使用できる。変性とは化学的、物理的、生物学的等のあらゆる変性方法を含む。化学的変性としては、炭水化物(多糖類)の構成単位の一部または全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性することを示し、特には、水酸基をエーテル化、エステル化することを示す。また、物理的変性は、結晶化度を変化させること等、物理的性質を変化させることを示す。また、生物学的変性は、生物を用いて化学構造等を変化させることを示す。
澱粉としては、具体的にはコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉等が挙げられ、これらは無変性品、変性品どちらも使用できる。変性とは化学的、物理的、生物学的等のあらゆる変性方法を含む。化学的変性としては、炭水化物(多糖類)の構成単位の一部または全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性することを示し、特には、水酸基をエーテル化、エステル化することを示す。また、物理的変性は、結晶化度を変化させること等、物理的性質を変化させることを示す。また、生物学的変性は、生物を用いて化学構造等を変化させることを示す。
耐光剤としては、例えば、デカンニ酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。耐光剤は、紫外線吸収剤と組み合わせて用いることが好ましく、ヒンダードアミン系安定剤と紫外線吸収剤との組み合わせが有効である。
耐光剤を混合する量は、樹脂組成物又は樹脂繊維に対して、質量基準で、下限が好ましくは100ppm以上、より好ましくは200ppm以上であり、上限が好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。この範囲を下回ると耐光剤の効果が小さくなる傾向がある。また、この範囲を上回ると製造費が高くなる傾向があり、樹脂組成物又は樹脂繊維の耐熱性が劣ったり、耐光剤のブリードアウトが生じたりする傾向がある。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール等が挙げられる。紫外線吸収剤は、特に異なる種類のもの2種以上を任意の比率および組合せで用いることが好ましい。
紫外線吸収剤を混合する量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、樹脂組成物又は樹脂繊維に対して、質量基準で、下限が好ましくは100ppm以上、より好ましくは200ppm以上であり、上限が好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。この範囲を下回ると紫外線吸収剤の効果が低下する傾向がある。また、この範囲を上回ると製造費が高くなりすぎたり、樹脂組成物や樹脂繊維の耐熱性が劣ったり、紫外線吸収剤のブリードアウトが生じたりする傾向ある。
熱安定剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド等のヒンダードフェノール系熱安定剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応性生物等のラクトン系熱安定剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。或いは、上記したリン化合物により、リン系熱安定剤としての機能を兼用させることもできる。
ルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド等のヒンダードフェノール系熱安定剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応性生物等のラクトン系熱安定剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。或いは、上記したリン化合物により、リン系熱安定剤としての機能を兼用させることもできる。
熱安定剤を混合する量は、樹脂組成物又は樹脂繊維に対して、質量基準で、下限が好ましくは100ppm以上、より好ましくは200ppm以上であり、上限が好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。この範囲を下回ると熱安定剤の効果が小さくなる傾向がある。一方、この範囲を上回ると、製造費が高くなる傾向があり、熱安定剤のブリードアウトが生じたりする可能性がある。
末端封止剤は、主に大気中の水分等による加水分解を抑制する目的で用いられ、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。上記のカルボジイミド化合物の内、モノカルボジイミド化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等が挙げられる。これらの中では、工業的に入手が容易であるので、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物としては、例えば米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem.28巻、p2069−2075(1963)、Chemical Review 1981、81巻、第4号、p.619−621等に記載された方法により製造したものを用いることができる。
これらのカルボジイミド化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。本発明においては、特に、ポリカルボジイミド化合物を用いることが好ましく、その重合度は、下限が通常2以上、好ましくは4以上であり、上限が通常40以下、好ましくは20以下である。これら、カルボジイミドの使用量は、樹脂組成物又は樹脂繊維全体に対して通常0.1〜5質量%である。
7.樹脂繊維の製造方法
本発明の樹脂繊維を製造する方法においては、紡糸前の脂肪族ポリエステル樹脂組成物にリン化合物(B)を混合した後に紡糸する方法や、脂肪族ポリエステル樹脂繊維をリン化合物(B)を含む溶液に浸漬させる方法がある。以下にそれぞれの方法を示す。
本発明の樹脂繊維を製造する方法においては、紡糸前の脂肪族ポリエステル樹脂組成物にリン化合物(B)を混合した後に紡糸する方法や、脂肪族ポリエステル樹脂繊維をリン化合物(B)を含む溶液に浸漬させる方法がある。以下にそれぞれの方法を示す。
7.1.製造方法(1)
本発明の樹脂繊維の製造方法においては、原料として脂肪族ポリエステル樹脂及び加水分解促進剤(リン化合物(B))を、さらに必要に応じて、その他の加水分解促進剤、制酸剤、その他の成分等を溶融混練することにより得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物を、紡糸することにより得ることができる。樹脂組成物の紡糸は、混練により得られる樹脂組成物を造粒した後に行ってもよいし、混練と紡糸を連続して行ってもよい。
本発明の樹脂繊維の製造方法においては、原料として脂肪族ポリエステル樹脂及び加水分解促進剤(リン化合物(B))を、さらに必要に応じて、その他の加水分解促進剤、制酸剤、その他の成分等を溶融混練することにより得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物を、紡糸することにより得ることができる。樹脂組成物の紡糸は、混練により得られる樹脂組成物を造粒した後に行ってもよいし、混練と紡糸を連続して行ってもよい。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)とを溶融混練するに際して、リン化合物(B)の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、下限が通常0.3質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上、更に好ましくは0.8質量部以上、特に好ましくは1.5質量部以上であり、上限が通常100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは4.8質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下、特に好ましくは3.5質量部以下、最も好ましくは3.0質量部以下である。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)に対するリン化合物(B)の含有量が上記範囲であると、十分な分子量(固有粘度)を有し、土中・水中などの多湿条件下において制御された分解特性、すなわちマイルドな温度条件でも速やかに分子量低下を起こす特徴をもつ脂肪族ポリエステル樹脂繊維を得ることができる傾向にある。加えて、高温紡糸時の安定性が向上する傾向にある。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)に対するリン化合物(B)の含有量が上記範囲であると、十分な分子量(固有粘度)を有し、土中・水中などの多湿条件下において制御された分解特性、すなわちマイルドな温度条件でも速やかに分子量低下を起こす特徴をもつ脂肪族ポリエステル樹脂繊維を得ることができる傾向にある。加えて、高温紡糸時の安定性が向上する傾向にある。
従来において、各種の添加剤(例えばリン系酸化防止剤や熱安定剤等)は、樹脂の重合時に原料とともに混合(内添重合)するものであったが、このような場合において添加剤を多量に入れ過ぎると重合を阻害してしまう。また、製造される樹脂の分子量が低下してしまい、ポリマーとして好ましくなくなる。これに対して、本発明においては、ポリマーを予め重合した後に、先ず、当該ポリマー(脂肪族ポリエステル樹脂(A))と加水分解促進剤、必要に応じて、制酸剤や他の成分等とを混練、好ましくは特定の温度条件で溶融混練して樹脂組成物とする。これにより、製造時には十分な分子量を有し、機械物性に優れ、また、これら化合物が従来よりも多量に添加されたことで、製造後は土中・水中等の多湿条件で速やかに分子量低下が起こるという、従来にない顕著な効果を奏する樹脂組成物を得ることができる。
混練温度は、下限が90℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、上限が185℃以下、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下である。混練温度が90℃未満の場合、溶融粘度が高くなり、混練が困難となる恐れがある。一方、混練温度が185℃を超えると、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の溶融粘度が低くなり、ストランドの引き取りが困難となる恐れがある。
なお、脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)とを溶融混練するに際しては、混練前の脂肪族ポリエステル樹脂(A)中の水分量を所定範囲とすることが好ましい。すなわち、脂肪族ポリエステル樹脂(A)中の、溶融混練前の水分量は、質量基準で、上限が好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1500ppm以下である。これにより、脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)を溶融混練して得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の脂肪族ポリエステル樹脂(A)に対する固有粘度保持率(後述)を60%以上に維持することがより容易となる。
樹脂組成物の製造に際しては、従来公知の混合/混練技術は全て適用することができる。混合機としては、水平円筒型、V字型、二重円錐型混合機やリボンブレンダー、スーパーミキサーのようなブレンダー、また各種連続式混合機等を使用することができる。また、混練機としては、ロールやインターナルミキサーのようなバッチ式混練機、一段型、二段型連続式混練機、二軸スクリュー押出機、単軸スクリュー押出機等を使用することができる。本発明においては、混練効率の点から二軸スクリュー押出機を使用することが好ま
しく、さらにスクリューの回転方向が同方向であるものが好ましい。
しく、さらにスクリューの回転方向が同方向であるものが好ましい。
製造方法の具体例としては、脂肪族ポリエステル樹脂(A)および加水分解促進剤、必要に応じて、その他の成分をブレンドしたのち同一の押出機で溶融混合する方法が挙げられる。或いは、脂肪族ポリエステル樹脂(A)および加水分解促進剤を混合して加熱溶融させたところに、必要に応じてその他の成分を添加して配合することもできる。この際、各成分を均一に分散させる目的で、ブレンド用オイル等を使用することもできる。
押出機としては単軸または2軸押出機が利用できる。特に樹脂押出機として真空ベントを備えるものを用い、当該真空ベントにより押出機内部を減圧しながら溶融混練を行うことが好ましい。減圧時の押出機内部圧力については5〜50kPa程度とすることが好ましい。溶融混練時に系内を減圧することにより、樹脂組成物から水分を除去することができ、機械物性等に一層優れる樹脂組成物を得ることができる。また、溶融混練時の温度やスクリュー回転数等の条件は特に限定されず、従来公知の条件を適用すればよい。
但し、分解促進剤が揮発しやすい場合は、減圧せずに常圧のまま溶融混練を行うことが好ましい場合もある。
但し、分解促進剤が揮発しやすい場合は、減圧せずに常圧のまま溶融混練を行うことが好ましい場合もある。
押出機のスクリュー回転数は、下限が通常150rpm以上、好ましくは200rpm以上、より好ましくは250rpm以上であり、上眼が通常400rpm以下、好ましくは350rpm以下、より好ましくは300rpm以下である。下限が150rpm未満の場合、分解促進剤の分散性が低くなり、その後の加水分解性のバラツキが大きくなる恐れがあり、上限が400rpmを超えると、剪断発熱が大きくなり、脂肪族ポリエステル樹脂組成物が分解する恐れがある。
次に、得られる樹脂組成物を紡糸することにより、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維を得ることができる。
紡糸方法には溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸などが挙げられるが、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
紡糸した繊維は、必要に応じて延伸、捲縮などを行ってもよく、延伸倍率や捲縮率も適宜選択することができる。但し、延伸倍率を高くすると配向結晶化により加水分解性が低下する恐れがある。
紡糸方法には溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸などが挙げられるが、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
紡糸した繊維は、必要に応じて延伸、捲縮などを行ってもよく、延伸倍率や捲縮率も適宜選択することができる。但し、延伸倍率を高くすると配向結晶化により加水分解性が低下する恐れがある。
紡糸温度は、下限が90℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上であり、上限が230℃以下、好ましくは210℃以下、より好ましくは200℃以下である。紡糸温度が90℃未満の場合、樹脂組成物の粘度が高くなり、紡糸が困難となる恐れがある。一方、紡糸温度が230℃を超えると、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の溶融粘度が低くなり、紡糸(繊維の引き取り等)が困難となる恐れがある。
ここで、紡糸温度とは、溶融状態の樹脂組成物を紡糸する際の口金(ダイス)温度を意味する。
ここで、紡糸温度とは、溶融状態の樹脂組成物を紡糸する際の口金(ダイス)温度を意味する。
7.2.製造方法(2)
上記製造方法(1)では、脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)とを含む組成物を紡糸して脂肪族ポリエステル樹脂繊維を製造する方法を説明した。これ以外に、脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維をまず製造し、繊維表面をリン化合物(B)で被覆することで、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維を製造することもできる。
上記製造方法(1)では、脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)とを含む組成物を紡糸して脂肪族ポリエステル樹脂繊維を製造する方法を説明した。これ以外に、脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維をまず製造し、繊維表面をリン化合物(B)で被覆することで、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維を製造することもできる。
本発明で用いる脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維の製造方法においては、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法などが挙げられるが、紡糸方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。中でも、紡糸性の観点から溶融紡糸法又は湿式紡糸法が好ましい。
紡糸した繊維は、必要に応じて延伸、捲縮などを行ってもよく、延伸倍率や捲縮率も適宜選択することができる。但し、延伸倍率を高くすると配向結晶化により加水分解性が低下する恐れがある。
紡糸温度は、紡糸方法に応じて適宜設定する事ができるが、例えば、溶融紡糸法における紡糸温度は、下限が90℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは190℃以上であり、上限が250℃以下、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下である。紡糸温度が低すぎると、樹脂の粘度が高くなり、紡糸が困難となる恐れがある。一方、紡糸温度が高すぎると、脂肪族ポリエステル樹脂の溶融粘度が低くなり、紡糸(繊維の引き取り等)が困難となる恐れがある。ここで、紡糸温度とは、溶融状態の樹脂を紡糸する際の口金(ダイス)温度を意味する。
また、溶融紡糸法にて生産に用いられる工業的な紡糸装置は、口金の温度ムラを小さくするために気化した熱媒を用いて口金の温度を調節するシステムが用いられる事が多く、その場合、190℃を下回る温度調節は難しいのが実情である。
紡糸後の、樹脂繊維は必要に応じて乾燥を行うことができる。乾燥の方法及び条件は公知の方法を用いることが出来る。
紡糸した繊維は、必要に応じて延伸、捲縮などを行ってもよく、延伸倍率や捲縮率も適宜選択することができる。但し、延伸倍率を高くすると配向結晶化により加水分解性が低下する恐れがある。
紡糸温度は、紡糸方法に応じて適宜設定する事ができるが、例えば、溶融紡糸法における紡糸温度は、下限が90℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは190℃以上であり、上限が250℃以下、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下である。紡糸温度が低すぎると、樹脂の粘度が高くなり、紡糸が困難となる恐れがある。一方、紡糸温度が高すぎると、脂肪族ポリエステル樹脂の溶融粘度が低くなり、紡糸(繊維の引き取り等)が困難となる恐れがある。ここで、紡糸温度とは、溶融状態の樹脂を紡糸する際の口金(ダイス)温度を意味する。
また、溶融紡糸法にて生産に用いられる工業的な紡糸装置は、口金の温度ムラを小さくするために気化した熱媒を用いて口金の温度を調節するシステムが用いられる事が多く、その場合、190℃を下回る温度調節は難しいのが実情である。
紡糸後の、樹脂繊維は必要に応じて乾燥を行うことができる。乾燥の方法及び条件は公知の方法を用いることが出来る。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維にリン化合物(B)を塗布する方法は特に限定されない。具体的には、樹脂繊維の表面にリン化合物(B)を塗布する、噴霧する、リン化合物(B)の溶液に樹脂繊維を浸漬させる等といった方法が挙げられる。尚、有機リン化合物は、エタノール、メタノール、アセトン、水等の公知の溶媒に溶かして用いてもよい。
その際の配合比は、リン化合物(B)の塗布量に応じて適宜設定できる。
その際の配合比は、リン化合物(B)の塗布量に応じて適宜設定できる。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂繊維にリン化合物(B)を塗布した後に、乾燥を行う事が好ましい。乾燥方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、自然乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、加熱乾燥といった方法が挙げられる。乾燥条件については、方法に応じて適宜設定することができる。
脂肪族ポリエステル樹脂被覆繊維に水分やアルコール等の有機溶媒が多量に残存していると、保管中に樹脂被覆繊維が加水分解や加溶媒分解を起こす恐れがある。
樹脂被覆繊維中の水分含有量や溶媒含有量は2000質量ppm以下が好ましく、1500質量ppm以下がより好ましい。
脂肪族ポリエステル樹脂被覆繊維に水分やアルコール等の有機溶媒が多量に残存していると、保管中に樹脂被覆繊維が加水分解や加溶媒分解を起こす恐れがある。
樹脂被覆繊維中の水分含有量や溶媒含有量は2000質量ppm以下が好ましく、1500質量ppm以下がより好ましい。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂繊維に対するリン化合物(B)の被覆量は特に限定されないが、脂肪族ポリエステル樹脂繊維(被覆前の繊維)100質量部に対して、リン化合物(B)が通常0.3質量部以上、好ましくは0.6質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、一方上限は、通常100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。脂肪族ポリエステル樹脂繊維に対するリン化合物(B)の被覆量が少なすぎると樹脂被覆繊維の加水分解性が低くなる恐れがあり、多すぎると保管している間に樹脂被覆繊維が分解する恐れがある。
尚、上記リン化合物(B)の被覆量とは、乾燥後に付着している有機リン化合物の質量である。例えば、下記式(11)にて算出する事ができる。
被覆量(質量部)={(樹脂被覆繊維の質量−被覆前繊維の質量)/被覆前繊維の質量}×100} (11)
尚、各繊維の質量は乾燥後の質量とする。
尚、上記リン化合物(B)の被覆量とは、乾燥後に付着している有機リン化合物の質量である。例えば、下記式(11)にて算出する事ができる。
被覆量(質量部)={(樹脂被覆繊維の質量−被覆前繊維の質量)/被覆前繊維の質量}×100} (11)
尚、各繊維の質量は乾燥後の質量とする。
7.3.製造方法(1)及び製造方法(2)
上記製造方法(1)及び(2)を組み合わせてポリエステル樹脂繊維を製造することもできる。
上記製造方法(1)及び(2)を組み合わせてポリエステル樹脂繊維を製造する場合、
脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)とを溶融混練する際の、リン化合物(B)の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、下限が通常0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上、特に好ましくは0.8質量部以上、最も好ましくは1.5質量部以上であり、上限が通常4.8質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.5質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
製造方法(1)で製造した脂肪族ポリエステル樹脂繊維に対するリン化合物(B)の被覆量は、脂肪族ポリエステル樹脂繊維(被覆前の繊維)100質量部に対して、リン化合物(B)が通常0.2質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.6室上部以上、更に好ましくは1.0質量部以上、一方上限は、通常100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)に対するリン化合物(B)の含有量が上記範囲であると、十分な分子量(固有粘度)を有し、土中・水中などの多湿条件下において制御された分解特性、すなわちマイルドな温度条件でも速やかに分子量低下を起こす特徴をもつ脂肪族ポリエステル樹脂繊維を得ることができる傾向にある。
上記製造方法(1)及び(2)を組み合わせてポリエステル樹脂繊維を製造することもできる。
上記製造方法(1)及び(2)を組み合わせてポリエステル樹脂繊維を製造する場合、
脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)とを溶融混練する際の、リン化合物(B)の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、下限が通常0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上、特に好ましくは0.8質量部以上、最も好ましくは1.5質量部以上であり、上限が通常4.8質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.5質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
製造方法(1)で製造した脂肪族ポリエステル樹脂繊維に対するリン化合物(B)の被覆量は、脂肪族ポリエステル樹脂繊維(被覆前の繊維)100質量部に対して、リン化合物(B)が通常0.2質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.6室上部以上、更に好ましくは1.0質量部以上、一方上限は、通常100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)に対するリン化合物(B)の含有量が上記範囲であると、十分な分子量(固有粘度)を有し、土中・水中などの多湿条件下において制御された分解特性、すなわちマイルドな温度条件でも速やかに分子量低下を起こす特徴をもつ脂肪族ポリエステル樹脂繊維を得ることができる傾向にある。
8.脂肪族ポリエステル樹脂組成物
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、上記した脂肪族ポリエステル樹脂(A)と上記したリン化合物(B)とを含有する樹脂組成物であって、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対するリン化合物(B)の含有量が0.3〜4.8質量部であることを特徴とする。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)の定義及び好ましい態様は、脂肪族ポリエステル樹脂繊維の項で説明したものと同様である。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、上記した脂肪族ポリエステル樹脂(A)と上記したリン化合物(B)とを含有する樹脂組成物であって、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対するリン化合物(B)の含有量が0.3〜4.8質量部であることを特徴とする。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)とリン化合物(B)の定義及び好ましい態様は、脂肪族ポリエステル樹脂繊維の項で説明したものと同様である。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、リン化合物(B)の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、下限が通常0.3質量部以上、好ましくは0.8質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、上限が通常4.8質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.5質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下ある。
本発明において、リン化合物(B)は、脂肪族ポリエステル樹脂の加水分解促進剤としての機能をもつものである。上記した脂肪族ポリエステル樹脂(A)に、リン化合物(B)を上記含有量となるように配合することにより、製造時に十分な分子量(固有粘度)を有し、土中・水中などの多湿条件下において制御された分解特性、すなわちマイルドな温度条件でも速やかに分子量低下を起こす特徴をもつ脂肪族ポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
本発明者らの検討によれば、加水分解促進作用のある各種化合物を加えた脂肪族ポリエステル樹脂化合物は、ペレットの状態では十分な加水分解速度を有するものの、繊維にすることで、加水分解速度が極めて遅くなることが見出された。
本発明者らは検討の結果、特定の構造を持つリン化合物(B)を特定量添加することで、紡糸性に優れ、紡糸後も十分に加水分解性が保持されることを見出し本発明に到達した。
その理由は明らかではないが、脂肪族ポリエステル樹脂繊維が加水分解性を失う理由として、紡糸工程で繊維(特にその表面)が配向結晶化するためと考えられる。
本願発明が規定する特定の有機リン系化合物は、配向結晶化した繊維に対しても十分な加水分解促進作用があることから、紡糸後も加水分解性を保持したものと考えられる。
本発明者らは検討の結果、特定の構造を持つリン化合物(B)を特定量添加することで、紡糸性に優れ、紡糸後も十分に加水分解性が保持されることを見出し本発明に到達した。
その理由は明らかではないが、脂肪族ポリエステル樹脂繊維が加水分解性を失う理由として、紡糸工程で繊維(特にその表面)が配向結晶化するためと考えられる。
本願発明が規定する特定の有機リン系化合物は、配向結晶化した繊維に対しても十分な加水分解促進作用があることから、紡糸後も加水分解性を保持したものと考えられる。
さらに、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、リン化合物(B)以外にその他の
加水分解促進剤を含んでいてもよい。その他の加水分解促進剤の定義及び好ましい態様は、脂肪族ポリエステル樹脂繊維の項で説明したものと同様である。
加水分解促進剤を含んでいてもよい。その他の加水分解促進剤の定義及び好ましい態様は、脂肪族ポリエステル樹脂繊維の項で説明したものと同様である。
本発明に係る樹脂組成物には、滑剤、フィラー(充填剤)、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、加水分解防止剤等の各種添加剤や、澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、或いはこれらの混合物が「その他の成分」として含まれていてもよい。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で任意に使用できる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。その他の成分は公知の添加剤を特に限定されることなく用いることができる。その他の成分の具体例及び添加量は、脂肪族ポリエステル樹脂繊維の項で説明したものと同様である。
9.樹脂組成物及び樹脂繊維の物性
9.1.脂肪族ポリエステル樹脂組成物の物性
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、固有粘度(IV)が0.6〜1.8であることが好ましい。固有粘度は、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上であり、一方上限は、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.4以下である。固有粘度が小さすぎると、成形品の機械物性が低下する可能性があり、また固有粘度が大きすぎると、成形加工時に溶融粘度が高くなりすぎ、成形性が低下する可能性がある。
9.1.脂肪族ポリエステル樹脂組成物の物性
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、固有粘度(IV)が0.6〜1.8であることが好ましい。固有粘度は、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上であり、一方上限は、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.4以下である。固有粘度が小さすぎると、成形品の機械物性が低下する可能性があり、また固有粘度が大きすぎると、成形加工時に溶融粘度が高くなりすぎ、成形性が低下する可能性がある。
また、本発明に係る脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、原料としての脂肪族ポリエステル樹脂(A)に対する固有粘度保持率が、60%以上100%以下であることが好ましく、80%以上100%以下であることがより好ましい。固有粘度保持率が60%未満であると、脂肪族ポリエステル樹脂組成物由来の低分子量成分が多く生成するために、該樹脂組成物の紡糸の際にトラブルが生ずる可能性がある。
なお、混練と紡糸を連続して行う場合においては、樹脂組成物の固有粘度を樹脂繊維の固有粘度と読み替えるものとする。
なお、混練と紡糸を連続して行う場合においては、樹脂組成物の固有粘度を樹脂繊維の固有粘度と読み替えるものとする。
9.2.脂肪族ポリエステル樹脂繊維の物性
以下に、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維の構造、断面形状、繊度、長さに関して説明するが、特に限定されるものではなく、繊維の使用用途に応じて適宜選択することができる。
以下に、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維の構造、断面形状、繊度、長さに関して説明するが、特に限定されるものではなく、繊維の使用用途に応じて適宜選択することができる。
繊維の構造や断面形状は、紡糸口金を変更することにより適宜選択することが可能であり、繊維の構造には単繊維や複合繊維(成分の異なる2種類の原料樹脂を2つに区切られた紡糸口金から同時に紡糸し、1本の繊維としたもの)などが挙げられ、複合繊維には、2成分が貼り合わされた構造になっているもの、芯・鞘構造になっているものなどがある。次に、繊維の断面形状には一般的な円形の他、三角形、Y字形、星形などが挙げられる。
繊維の繊度は、0.1〜2000デシテックスであることが好ましく、0.5〜10デシテックスであることがより好ましい。
繊維の長さは、長繊維でも短繊維(ステープル)でもよい。
繊維の繊度は、0.1〜2000デシテックスであることが好ましく、0.5〜10デシテックスであることがより好ましい。
繊維の長さは、長繊維でも短繊維(ステープル)でもよい。
繊維の固有粘度(IV)は、通常0.6以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上であり、上限が通常1.8以下、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.4以下である。固有粘度が上記範囲にあることで、得られる繊維の機械物性が向上する傾向にある。
また、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維においては、脂肪族ポリエステル樹脂(A
)に、加水分解促進剤、必要に応じて制酸剤等を上記のとおり含有させて紡糸することにより、水浸漬後の固有粘度保持率や質量保持率が好ましい範囲となる。すなわち、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維は、60℃の水中に14日間浸漬した後の固有粘度保持率が35%以下であることが好ましい。固有粘度保持率は、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下である。これにより、速やかに分子量が低下するため、速やかな分解が求められる用途に好適に使用することができる。
また、60℃の水中に14日間浸漬した後の質量保持率が90%以下であることが好ましい。質量保持率は、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。これにより、速やかな分解が求められる用途に好適に使用することができる。
)に、加水分解促進剤、必要に応じて制酸剤等を上記のとおり含有させて紡糸することにより、水浸漬後の固有粘度保持率や質量保持率が好ましい範囲となる。すなわち、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維は、60℃の水中に14日間浸漬した後の固有粘度保持率が35%以下であることが好ましい。固有粘度保持率は、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下である。これにより、速やかに分子量が低下するため、速やかな分解が求められる用途に好適に使用することができる。
また、60℃の水中に14日間浸漬した後の質量保持率が90%以下であることが好ましい。質量保持率は、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。これにより、速やかな分解が求められる用途に好適に使用することができる。
10.樹脂繊維の用途
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維は、使用初期において良好な機械的強度を有し、また、土中・水中等の多湿条件において速やかに分子量低下を起こす。当該特性を有効に利用するため、本発明に係る樹脂組成物は、土壌改質、農業、原油掘削等に特に好適に用いられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維は、使用初期において良好な機械的強度を有し、また、土中・水中等の多湿条件において速やかに分子量低下を起こす。当該特性を有効に利用するため、本発明に係る樹脂組成物は、土壌改質、農業、原油掘削等に特に好適に用いられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維及び樹脂組成物は、後述する実施例において具体的に示されているとおり、使用初期においては十分な機械的強度を有し、100℃以下、更には70℃以下の水中や土中(マイルドな温度条件或いは寒冷条件)においても制御された分解特性、すなわち速やかな質量減少を起こすので、原油やガスなどの地下資源採掘、例えばシェールガス採掘時に空隙の目止め材としてプロパントと共に使用することで、シェールガス採掘効率を向上させると共に、水源の汚染を防ぐことができる。
以下、実施例、比較例および参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は、前記上限または下限の値と実施例の値または実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
〔実施例、比較例、参考例で使用した樹脂〕
(PBS−1)三菱化学社製 ポリブチレンサクシネート GSPla FZ71PN、IV=1.427
(PBS−2)三菱化学社製 ポリブチレンサクシネート GSPla FZ91PN、IV=1.731
(PBSA)三菱化学社製 ポリブチレンサクシネートアジペート GSPla FD92WN、IV=1.752
(PLA−1)ネイチャーワークス社製 ポリ乳酸 Ingeo 6302D、IV=1.383
(PLA−2)ネイチャーワークス社製 ポリ乳酸 Ingeo 4060D、IV=1.636
(PBS−1)三菱化学社製 ポリブチレンサクシネート GSPla FZ71PN、IV=1.427
(PBS−2)三菱化学社製 ポリブチレンサクシネート GSPla FZ91PN、IV=1.731
(PBSA)三菱化学社製 ポリブチレンサクシネートアジペート GSPla FD92WN、IV=1.752
(PLA−1)ネイチャーワークス社製 ポリ乳酸 Ingeo 6302D、IV=1.383
(PLA−2)ネイチャーワークス社製 ポリ乳酸 Ingeo 4060D、IV=1.636
〔実施例、比較例、参考例で使用した加水分解促進剤〕
(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート)城北化学工業社製 JP−508
(ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト)城北化学工業社製 JPE−208
(p−トルエンスルホン酸エチル)MRCユニテック社製 PTSE
(p−トルエンスルホン酸メチル)MRCユニテック社製 PTSM
(テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’
−ジイルビスホスホナイト)クラリアントジャパン社製 HOSTANOX P−EPQ(パウダー) (6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシー5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン)住友化学社製 スミライザーGP
(ラクチド)東京化成工業社製 DL−Lactide
(炭酸ナトリウム)関東化学社製 炭酸ナトリウム 試薬特級
(炭酸カリウム)和光純薬工業社製 炭酸カリウム 試薬特級 (トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート)東京化成工業社製試薬 Tris(2−ethylhexyl)Phosphate
(トリフェニルホスフェート)東京化成工業社製試薬 Triphenyl Phosphate
(トリラウリルホスファイト)城北化学工業社製 JP−312L
(ジアルキルペンタエリスリトールホスファイト)ADEKA社製 PEP−4C
(リン酸)和光純薬工業社製試薬 りん酸
(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート)城北化学工業社製 JP−508
(ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト)城北化学工業社製 JPE−208
(p−トルエンスルホン酸エチル)MRCユニテック社製 PTSE
(p−トルエンスルホン酸メチル)MRCユニテック社製 PTSM
(テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’
−ジイルビスホスホナイト)クラリアントジャパン社製 HOSTANOX P−EPQ(パウダー) (6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシー5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン)住友化学社製 スミライザーGP
(ラクチド)東京化成工業社製 DL−Lactide
(炭酸ナトリウム)関東化学社製 炭酸ナトリウム 試薬特級
(炭酸カリウム)和光純薬工業社製 炭酸カリウム 試薬特級 (トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート)東京化成工業社製試薬 Tris(2−ethylhexyl)Phosphate
(トリフェニルホスフェート)東京化成工業社製試薬 Triphenyl Phosphate
(トリラウリルホスファイト)城北化学工業社製 JP−312L
(ジアルキルペンタエリスリトールホスファイト)ADEKA社製 PEP−4C
(リン酸)和光純薬工業社製試薬 りん酸
[実施例1−1〜1−8、比較例1−1〜1−10、参考例1−1〜1−2]
<評価方法および材料>
(1)水中分解(加水分解)試験
脂肪族ポリエステル樹脂繊維0.25gと脱イオン水50.0gをガラス瓶に入れ、フタをした後、60℃のオーブンに14日間置いた。その後、繊維をガラス瓶から取り出し、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行った。得られた繊維に対して、質量測定、固有粘度測定を実施し、本試験実施前の質量、固有粘度との比をとり、水中分解試験での質量保持率、固有粘度保持率を計算した。
質量測定は、sartorius社製デジタル天秤A200S(0.0001gまで秤量可能)を用いて行った。
<評価方法および材料>
(1)水中分解(加水分解)試験
脂肪族ポリエステル樹脂繊維0.25gと脱イオン水50.0gをガラス瓶に入れ、フタをした後、60℃のオーブンに14日間置いた。その後、繊維をガラス瓶から取り出し、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行った。得られた繊維に対して、質量測定、固有粘度測定を実施し、本試験実施前の質量、固有粘度との比をとり、水中分解試験での質量保持率、固有粘度保持率を計算した。
質量測定は、sartorius社製デジタル天秤A200S(0.0001gまで秤量可能)を用いて行った。
(2)固有粘度測定(IV測定)
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において、濃度0.5g/dLのポリエステル試料溶液および溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(A)より求めた。
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC) (A)
ここで、ηsp=η/η0−1であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において、濃度0.5g/dLのポリエステル試料溶液および溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(A)より求めた。
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC) (A)
ここで、ηsp=η/η0−1であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
(3)溶融混練時の臭気
溶融混練時の臭気は、押出機のダイス周辺にて臭気の多い、少ないを判断した。
溶融混練時の臭気は、押出機のダイス周辺にて臭気の多い、少ないを判断した。
(4)溶融混練時の発煙
溶融混練時の発煙は、押出機のダイス周辺を目視で確認し、発煙の多い、少ないを判断した。
溶融混練時の発煙は、押出機のダイス周辺を目視で確認し、発煙の多い、少ないを判断した。
(5)溶融混練時のストランド引き取り可否
溶融混練時のストランド引き取り可否は、ストランドの引き取り作業にて判断した。
溶融混練時のストランド引き取り可否は、ストランドの引き取り作業にて判断した。
<脂肪族ポリエステル樹脂繊維の製造および評価>
樹脂、加水分解促進剤を表1に示す割合で1つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30;15シリンダー、L/D=52.5)にて溶融混練し、該2軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行い、脂肪族ポリエ
ステル樹脂組成物を得た。なお、混練時の設定温度は140℃、スクリュー回転数は300rpmとした。また、各樹脂は防湿袋を開封して速やかに溶融混練に使用した。
樹脂、加水分解促進剤を表1に示す割合で1つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30;15シリンダー、L/D=52.5)にて溶融混練し、該2軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行い、脂肪族ポリエ
ステル樹脂組成物を得た。なお、混練時の設定温度は140℃、スクリュー回転数は300rpmとした。また、各樹脂は防湿袋を開封して速やかに溶融混練に使用した。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、東洋精機製作所社製CAPIROGRAPH 1Bを用いて簡易的に繊維を紡糸した。簡易繊維紡糸時の設定温度は表1に記載された温度、押出し開始はサンプル充填してから10分後、押出速度は1mm/min、引取速度は200m/minにて実施した。また、使用したノズルの穴の直径は0.5mm、ノズルの高さは10.5mmにて実施した。
得られた繊維は水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表1に示す。
得られた繊維は水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表1に示す。
尚、実施例1−4、1−6、1−7、比較例1−4における混練前IVは、下記式から
算出した。
混練前IV={(使用したPBSのIV)*(使用したPBSの配合量)+(使用したPLAのIV)*(使用したPLAの配合量)}/100
算出した。
混練前IV={(使用したPBSのIV)*(使用したPBSの配合量)+(使用したPLAのIV)*(使用したPLAの配合量)}/100
比較例1−9と参考例1−1、比較例1−10と参考例1−2より、ペレットで高い加水分解性を有する化合物であっても、繊維にすることで加水分解性が著しく低下することがわかる。
実施例1−1〜1−8では、いずれも紡糸時の臭気が少なく、さらに簡易繊維の紡糸が可能であった。
また、実施例1−1〜1−8では、繊維の水中分解(加水分解)試験(60℃、14日後)における質量保持率が90%以下であることから、原油やガスなどの地下資源採掘、例えばシェールガス採掘時の空隙の目止め材として使用した場合、一時的な目止め機能を発揮した後に消失し(温度により消失するまでの時間は変わる)、その後のガス回収効率の低下を引き起こすことはないと考えられる。従って、本発明に示された材料は同用途において極めて好適に使用できるものと考えられる。
実施例1−1〜1−8では、いずれも紡糸時の臭気が少なく、さらに簡易繊維の紡糸が可能であった。
また、実施例1−1〜1−8では、繊維の水中分解(加水分解)試験(60℃、14日後)における質量保持率が90%以下であることから、原油やガスなどの地下資源採掘、例えばシェールガス採掘時の空隙の目止め材として使用した場合、一時的な目止め機能を発揮した後に消失し(温度により消失するまでの時間は変わる)、その後のガス回収効率の低下を引き起こすことはないと考えられる。従って、本発明に示された材料は同用途において極めて好適に使用できるものと考えられる。
<脂肪族ポリエステル樹脂被覆繊維の製造および評価>
[実施例2−1〜2−3、比較例2−1、参考例2−1〜2−2]
<評価方法および材料>
(1)水中分解(加水分解)試験
「脂肪族ポリエステル樹脂被覆繊維0.25gと脱イオン水50.0g」、あるいは「脂肪族ポリエステル樹脂繊維0.25gと脱イオン水50.0g」、あるいは「脂肪族ポリエステル樹脂ペレット5.0gと脱イオン水15.0g」をガラス瓶に入れ、フタをした後、60℃のオーブンに14日間静置した。その後、繊維あるいはペレットをガラス瓶から取り出し、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行った。得られた繊維あるいはペレットについて、実施例1−1と同様の方法により水中分解試験での質量保持率、固有粘度保持率を計算した。
[実施例2−1〜2−3、比較例2−1、参考例2−1〜2−2]
<評価方法および材料>
(1)水中分解(加水分解)試験
「脂肪族ポリエステル樹脂被覆繊維0.25gと脱イオン水50.0g」、あるいは「脂肪族ポリエステル樹脂繊維0.25gと脱イオン水50.0g」、あるいは「脂肪族ポリエステル樹脂ペレット5.0gと脱イオン水15.0g」をガラス瓶に入れ、フタをした後、60℃のオーブンに14日間静置した。その後、繊維あるいはペレットをガラス瓶から取り出し、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行った。得られた繊維あるいはペレットについて、実施例1−1と同様の方法により水中分解試験での質量保持率、固有粘度保持率を計算した。
(2)脂肪族ポリエステル樹脂被覆繊維の被覆量
被覆繊維の質量を、被覆後23℃、3時間の真空乾燥を行った後の質量とし、以下式(11)を用いて被覆量の計算を行った。
被覆量(質量部)={(樹脂被覆繊維の質量−樹脂被覆前繊維の質量)/樹脂被覆前繊維の質量}×100 ・・・(11)
被覆繊維の質量を、被覆後23℃、3時間の真空乾燥を行った後の質量とし、以下式(11)を用いて被覆量の計算を行った。
被覆量(質量部)={(樹脂被覆繊維の質量−樹脂被覆前繊維の質量)/樹脂被覆前繊維の質量}×100 ・・・(11)
[実施例2−1〜2−3]
表2記載の脂肪族ポリエステル樹脂(A)を用いて、東洋精機製作所社製CAPIROGRAPH 1Bを用いて簡易的に繊維を紡糸した。簡易繊維紡糸時の設定温度は表1に記載された温度、押出し開始はサンプル充填してから10分後、押出速度は1mm/min、引取速度は200m/minにて実施した。また、使用したノズルの穴の直径は0.5mm、ノズルの高さは10.5mmにて実施した。
次に、ガラス瓶に表2記載の加水分解促進剤/エタノール=1/99(wt%)の溶液を調製し、該溶液に所定量の脂肪族ポリエステル樹脂繊維を入れ、スパチュラを用いてリン化合物(B)/エタノール溶液を脂肪族ポリエステル樹脂繊維に万遍なく塗布するようにした。その後、23℃、3時間の真空乾燥を行い、エタノールを揮発させ、被覆前後の繊維質量から被覆量を求めた。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂被覆繊維は水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表2に示す。
表2記載の脂肪族ポリエステル樹脂(A)を用いて、東洋精機製作所社製CAPIROGRAPH 1Bを用いて簡易的に繊維を紡糸した。簡易繊維紡糸時の設定温度は表1に記載された温度、押出し開始はサンプル充填してから10分後、押出速度は1mm/min、引取速度は200m/minにて実施した。また、使用したノズルの穴の直径は0.5mm、ノズルの高さは10.5mmにて実施した。
次に、ガラス瓶に表2記載の加水分解促進剤/エタノール=1/99(wt%)の溶液を調製し、該溶液に所定量の脂肪族ポリエステル樹脂繊維を入れ、スパチュラを用いてリン化合物(B)/エタノール溶液を脂肪族ポリエステル樹脂繊維に万遍なく塗布するようにした。その後、23℃、3時間の真空乾燥を行い、エタノールを揮発させ、被覆前後の繊維質量から被覆量を求めた。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂被覆繊維は水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表2に示す。
[比較例2−1]
実施例2−1で得られた脂肪族ポリエステル樹脂繊維を加水分解促進剤を被覆せずにそ
のまま用いて水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表2に示す。
実施例2−1で得られた脂肪族ポリエステル樹脂繊維を加水分解促進剤を被覆せずにそ
のまま用いて水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表2に示す。
[参考例2−1、2−2]
表2記載の脂肪族ポリエステル樹脂ペレットの水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表2に示す。
表2記載の脂肪族ポリエステル樹脂ペレットの水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表2に示す。
比較例2−1より、有機リン化合物が被覆されていない繊維は加水分解性が低い事がかる。対して、実施例2−1〜2−3の樹脂被覆繊維はいずれも紡糸性と加水分解性に優れる事が分かる。
<脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造および評価>
[実施例3−1〜3−9、比較例3−1〜3−13、参考例3−1〜3−2]
<評価方法および材料>
(1)水中分解(加水分解)試験
脂肪族ポリエステル樹脂組成物5.0gと脱イオン水15.0gをガラス瓶に入れ、フタをした後、60℃のオーブンに入れ、表に示す所定の日数静置した。その後、樹脂組成物をガラス瓶から取り出し、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行った。得られた樹脂組成物に対して実施例1−1と同様の方法により水中分解試験での質量保持率、固有粘度保持率を計算した。
[実施例3−1〜3−9、比較例3−1〜3−13、参考例3−1〜3−2]
<評価方法および材料>
(1)水中分解(加水分解)試験
脂肪族ポリエステル樹脂組成物5.0gと脱イオン水15.0gをガラス瓶に入れ、フタをした後、60℃のオーブンに入れ、表に示す所定の日数静置した。その後、樹脂組成物をガラス瓶から取り出し、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行った。得られた樹脂組成物に対して実施例1−1と同様の方法により水中分解試験での質量保持率、固有粘度保持率を計算した。
樹脂、加水分解促進剤を表3〜4に示す割合で1つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30;15シリンダー、L/D=52.5)にて溶融混練し、該2軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化し、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を得た。なお、混練時の設定温度は140℃、スクリュー回転数は300rpmとした。 得られた脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表3〜4に示す。
繊維については、上記ポリエステル樹脂組成物を東洋精機製作所社製CAPIROGRAPH 1Bを用いて簡易的に繊維を紡糸した。簡易繊維紡糸時の設定温度は表3に記載された温度、押出し開始はサンプル充填してから10分後、押出速度は1mm/min、引取速度は200m/minにて実施した。また、使用したノズルの穴の直径は0.5mm、ノズルの高さは10.5mmにて実施した。
得られた繊維は水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表3に示す。
得られた繊維は水中分解(加水分解)試験を行い、試験前後に測定した質量、固有粘度からそれぞれの保持率を算出した。その結果を表3に示す。
尚、実施例3−9における混練前IVは、下記式から算出した。
混練前IV=(PBS−2のIV)*0.92+(PLAのIV)*0.08
混練前IV=(PBS−2のIV)*0.92+(PLAのIV)*0.08
比較例3−1〜3−4より、加水分解促進剤が含まれる樹脂組成物はペレットでは高い加水分解性を有するものの、繊維化することで加水分解性が著しく低下していることがわかる。
対して、実施例3−1〜3−9では、ペレット時だけでなく繊維化した後も水中分解(加水分解)試験(60℃、13日後又は14日後)における固有粘度保持率が20%以下
であることから、原油やガスなどの地下資源採掘、例えばシェールガス採掘時の空隙の目止め材として使用した場合、一時的な目止め機能を発揮した後に消失し(温度により消失するまでの時間は変わる)、その後のガス回収効率の低下を引き起こすことはないと考えられる。従って、本願に示された材料は同用途において極めて好適に使用できるものと考えられる。
対して、実施例3−1〜3−9では、ペレット時だけでなく繊維化した後も水中分解(加水分解)試験(60℃、13日後又は14日後)における固有粘度保持率が20%以下
であることから、原油やガスなどの地下資源採掘、例えばシェールガス採掘時の空隙の目止め材として使用した場合、一時的な目止め機能を発揮した後に消失し(温度により消失するまでの時間は変わる)、その後のガス回収効率の低下を引き起こすことはないと考えられる。従って、本願に示された材料は同用途において極めて好適に使用できるものと考えられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂繊維は、製造時や使用初期においては十分な機械的強度を有し、土壌・水中等の多湿条件下で制御された分解特性を有し、速やかに分子量の低下を起こす。それゆえ、農業用途、土壌改質用途および石油やガスなどの地下資源採掘用途など、使用後に速やかに分解することを求められる用途に広く利用することができる。
Claims (11)
- 脂肪族ポリエステル樹脂(A)が脂肪族ジオール成分及び脂肪族ジカルボン酸成分を含む請求項1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
- 脂肪族ポリエステル樹脂(A)が、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルである請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
- 脂肪族ポリエステル樹脂(A)がオキシカルボン酸成分を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
- 脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維の表面がリン化合物(B)で被覆されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
- 脂肪族ポリエステル樹脂(A)を含む繊維100質量部に対してリン化合物(B)の被覆量が0.3〜100質量部である請求項5に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
- 脂肪族ポリエステル樹脂繊維が地下資源採掘のための空隙の目止め材用である請求項1〜6の何れか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂繊維。
- 脂肪族ポリエステル樹脂(A)が脂肪族ジオール成分及び脂肪族ジカルボン酸成分を含む請求項8に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
- 脂肪族ポリエステル樹脂(A)が、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主成分としてなる脂肪族ポリエステルである請求項8又は9に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
- 脂肪族ポリエステル樹脂組成物が地下資源採掘のための空隙の目止め材用である請求項8〜10の何れか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
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JP2014004358 | 2014-01-14 | ||
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CN113646384A (zh) * | 2019-03-29 | 2021-11-12 | 东洋制罐集团控股株式会社 | 聚乳酸固体组合物及其生产方法 |
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JPH11279419A (ja) * | 1998-03-31 | 1999-10-12 | Mitsui Chem Inc | 生分解性製剤 |
JP2006063199A (ja) * | 2004-08-27 | 2006-03-09 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および成形体 |
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JP6133847B2 (ja) * | 2012-04-27 | 2017-05-24 | 株式会社クレハ | ポリエステル樹脂組成物およびその成形体 |
US20150361326A1 (en) * | 2013-01-18 | 2015-12-17 | Kureha Corporation | Well treatment fluid material and well treatment fluid comprising the same |
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