JP2015151617A - 端子付き被覆電線、その製造方法及びワイヤーハーネス - Google Patents

端子付き被覆電線、その製造方法及びワイヤーハーネス Download PDF

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Abstract

【課題】電気接触部の腐食を抑制可能である端子付き被覆電線、その製造方法及びワイヤーハーネスを提供する。【解決手段】銅系金属にめっきが施された金属板8を所定の端子展開形状に切断した部材9から形成された端子金具5を用い、切断面の銅系金属露出部に、防錆剤、バインダー樹脂、シランカップリング剤、アルコキシシランから選択される少なくとも1種を含む前処理剤を用いて前処理を施した後、端子金具5に電線導体3が絶縁体4で被覆された被覆電線2の電線導体3を接続し、端子金具5と電線導体3の接触部6を防食剤7により被覆して端子付き被覆電線1を得た。【選択図】図1

Description

本発明は、端子付き被覆電線、その製造方法及びワイヤーハーネスに関し、さらに詳しくは、電線導体と端子金具との接触部である電気接続部の防食性に優れた端子付き被覆電線、その製造方法及びワイヤーハーネスに関するものである。
従来、自動車等の車両に配索される電線として、タフピッチ銅の軟質材等からなる導体の外周に絶縁体を被覆してなる被覆電線が広く用いられている。この種の被覆電線の端末では、絶縁体を皮剥ぎして露出させた導体に端子金具が接続されている。被覆電線の端末に電気接続された端子金具は、コネクタに挿入係止される。
このような端子付き被覆電線が複数本束ねられ、ワイヤーハーネスが形成される。自動車等の車両では、通常、ワイヤーハーネスの形態で配索がなされる。エンジンルームや一部の室内環境等に、上記ワイヤーハーネスが配索される場合、熱および水の影響を受けて、電線導体と端子金具とが接触する電気接続部に錆が発生しやすくなる。そのため、このような環境下にワイヤーハーネスを配索する場合には、上記電気接続部における腐食を防止する必要がある。
上記電気接続部における腐食を防止するため、電線導体に接続された端子金具が挿入係止されているコネクタ内にグリースを注入する技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−159846号公報
近年、自動車等の車両の軽量化により燃費効率を向上させようとする動きが加速しており、ワイヤーハーネスを構成する電線材料についても軽量化が求められている。そのため、電線導体にアルミニウムを用いることが検討されるようになってきている。
しかしながら、端子金具は、電気特性に優れた銅又は銅合金等の銅系金属が一般に用いられる。それ故、アルミ電線−銅端子金具の組み合わせ等で使用されることが多くなる。電線導体と端子金具の材質が異なると、その電気接続部で異種金属接触による腐食が発生する。この種の腐食は、電線導体と端子金具の材質が同じである場合よりも起こりやすい。そのため、電気接続部を確実に防食することが可能な防食剤が必要となる。
ところが上記従来のグリースを用いた端子付き被覆電線は、グリースをコネクタ内に密に注入しないと、水の浸入を十分に防止して防食効果を高めることができないという問題があった。防食効果を高めようとしてグリースの充填量を多くすると、本来、防食する必要のない部分にまで、グリースが塗布されてしまうことになる。更に過度の充填は、コネクタや電線のべたつきを招き、取扱い性を低下させる。それ故、このような問題のあるグリースの代替品として、高い防食性のを発揮可能な防食剤が求められている。
そこで、樹脂組成物等の防食剤を端子に塗布し、硬化させる方法が用いられる。ワイヤーハーネスが自動車等に利用される場合、高温高湿状態に対する耐久性等の性能が要求される。
端子金具は、通常、銅又は銅合金等の銅系金属の表面にスズ(Sn)めっき等が施された銅板を所定の端子展開形状に打ち抜き切断して形成されている。この場合、切断面となる端面には、銅が露出している。この銅と防食剤の間に隙間ができると、隙間腐食が進行することになってしまう。また、銅とSnの間ではガルバニック腐食も進行する。
これらの腐食がアルミニウムの電線導体に到達すると、銅とアルミニウムの間でガルバニック腐食が発生し、電線導体と端子金具の接触部の電気的な導通が取れなくなってしまう。この原因は、端子金具の切断面に銅が露出しているためである。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決しようとするものであり、電線導体と端子金具の電気接触部の腐食を抑制可能である、端子付き被覆電線、その製造方法及びワイヤーハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の端子付き被覆電線は、
電線導体が絶縁体で被覆された被覆電線の端部の電線導体に端子金具が接続され、前記端子金具と電線導体の接触部が防食剤により被覆されている端子付き被覆電線であって、
前記端子金具は、銅系金属にめっきが施された金属板が所定の端子展開形状に切断されたものから形成されており、
前記端子金具の切断面の銅系金属露出部が前処理剤により前処理が施され、該前処理された表面が前記防食剤により被覆されているものであり、
前記前処理剤が、防錆剤、バインダー樹脂、シランカップリング剤、アルコキシシランから選択される少なくとも1種を含むことを要旨とするものである。
前記端子付き被覆電線において、銅系金属を前処理した後の表面と前記防食剤との接着強さが0.5MPa以上であることが好ましい。
前記端子付き被覆電線において、前記防錆剤が、ベンゾトリアゾール系防錆剤又はチオール系防錆剤であることが好ましい。
前記端子付き被覆電線において、前記バインダー樹脂が、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂であることが好ましい。
前記端子付き被覆電線において、前記防食剤が、(メタ)アクリレート成分を含む紫外線硬化型樹脂であることが好ましい。
前記端子付き被覆電線において、前記電線導体がアルミニウムであり、前記電線導体と前記端子金具の接触部が異種金属接続部として形成されていることが好ましい。
本発明の端子付き被覆電線の製造方法は、
銅系金属にめっきが施された金属板を所定の端子展開形状に切断した部材から形成された端子金具に、電線導体が絶縁体で被覆された被覆電線の前記電線導体を接続し、前記端子金具と電線導体の接触部を防食剤により被覆して端子付き被覆電線を製造する方法であって、
前記端子金具の切断面の銅系金属露出部に、防錆剤、バインダー樹脂、シランカップリング剤、アルコキシシランから選択される少なくとも1種を含む前処理剤を用いて前処理を施した後、防食剤を用いて前記接触部を被覆することを要旨とするものである。
本発明のワイヤーハーネスは、上記の端子付き被覆電線を用いたことを要旨とするものである。
本発明の端子付き被覆電線は、端子金具の切断面の銅系金属露出部が前処理剤により前処理が施され、該前処理された表面が前記防食剤により被覆されているものであり、前記前処理剤が、防錆剤、バインダー樹脂、シランカップリング剤、アルコキシシランから選択される少なくとも1種を含むことにより、端子金具と電線導体の接触部において、銅系金属が外部に露出していないため、銅系金属と防食剤の間の隙間腐食が進行することや、銅系金属とSn等のめっきの金属との間のガルバニック腐食の進行を防止することが可能であり、防食性に優れたものである。
特に前記被覆電線の電線導体がアルミニウムであり、前記端子金具が銅系金属から構成され、前記接触部が異種金属接続部として構成されている場合、特に優れた腐食防止効果を発揮することが可能である。
本発明の端子付き被覆電線の製造方法は、前記端子金具の切断面の銅系金属露出部に、防錆剤、バインダー樹脂、シランカップリング剤、アルコキシシランから選択される少なくとも1種を含む前処理剤を用いて前処理を施した後、防食剤を用いて前記接触部を被覆する方法を用いたことにより、端子金具と電線導体の接触部において、銅系金属が外部に露出していないため、銅系金属と防食剤の間の隙間腐食の進行や、銅系金属とSn等のめっきの金属との間のガルバニック腐食の進行を防止することが可能であり、防食性に優れた端子付き被覆電線が得られる。
本発明のワイヤーハーネスは、上記の端子付き被覆電線を用いたものであるから、被覆電線と端子金具との接触部の防食性能が優れているものである。
図1は、本発明の端子付き被覆電線の一実施例を示す外観斜視図である。 図2は、図1のA−A線断面図である。 図3(a)、(b)は、端子金具の製造方法の工程の一部を示す説明図である 図4は、実施例の塩水噴霧試験に用いる試験片の説明図である。 図5(a)〜(d)は実施例の接着試験方法の説明図である。
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の端子付き被覆電線の一実施例を示す外観斜視図であり、図2は図1のA−A線断面図である。図1及び図2に示すように、本実施例の端子付き被覆電線1は、被覆電線2の端部の電線導体3が、端子金具5の端部に圧着されて、電線導体3と端子金具5の接触部6が電気的に接続されている。被覆電線2は、アルミニウム合金製の電線導体3がポリ塩化ビニル樹脂よりなる絶縁体4により被覆されている。
被覆電線2の端部の電線導体3は、端子金具5のワイヤバレル52に圧着されている。この圧着部が接触部6となって、電線導体3と端子金具5は電気的に接続されている。上記接触部6は、防食剤7により被覆されている。図1は防食剤7の塗膜を透視した状態で示している。
端子付き被覆電線1は、接触部6は電線導体3のアルミニウム合金と端子金具5のスズめっきされた銅とが接触している。接触部6は、アルミニウムと銅系金属の異種金属が接触した状態の異種金属接続部として構成されている。
端子金具5は、相手側メス端子に接続されるオス端子としてのタブ状の接続部51と、該接続部51の基端より延設形成され被覆電線を圧着するためのバレル部54とを有する。バレル部54は、接続部51側に設けられたワイヤバレル52と、電線導体2側に設けられたインシュレーションバレル53の二つの圧着部から構成されている。
端子金具5のワイヤバレル52は、被覆電線2の電線導体3に加締められ圧着している。またインシュレーションバレル53には、被覆電線2の絶縁体4に加締められて圧着している。このインシュレーションバレル53の圧着部は、端子金具5を被覆電線2の端末に固定、保持するための電線固定部となっている。
端子金具5は、図3(a)に示すように、銅板の表面にスズめっき(特に図示せず)が施されたスズめっき銅板8を用い、所定の端子展開形状5aに打ち抜き切断した中間部材9(同図(b)参照)を形成し、バレルの部分等が折り曲げられて所定の端子形状に形成されたものである。端子金具5の中間部材9は、スズめっき銅板8が切断加工された状態では、表裏面はスズめっきされているが、切断面9a(端面)は、スズめっきが存在せず母材の銅が露出した状態となっている。端子金具5は、中間部材の切断面9aの銅露出部に前処理剤による前処理が施されている。
端子金具5の前処理を施す部分は、少なくとも電線導体3と端子金具5の接触部6の銅が外部に露出している切断面9aの部分である。また前処理は、接触部6の切断面9a以外であっても、端子金具5の接続部51において他の端子と電気的な接続を阻害しない範囲であれば、処理することが可能である。
上記前処理に用いられる前処理剤は、(A)防錆剤、(B)バインダー樹脂、(C)シランカップリング剤、(D)アルコキシシランから選択される少なくとも1種の成分を含むものが用いられる。前処理剤は、上記成分を1種単独で含有するようにしても、2種以上を併用しても、いずれでもよい。
前処理剤には、上記(A)〜(D)成分以外の成分を添加してもよい。
前処理剤は、上記(A)〜(D)成分の1種以上を水や有機溶媒等に希釈し、分散、溶解したプライマー液として調製することができる。前処理剤の濃度は、塗布方法等に応じて、適宜選択することができる。前処理は、端子金具の接続部の切断面に、上記前処理剤を塗布することにより行うことができる。この前処理剤の塗布方法は特に限定されず、前処理剤の成分等に応じて適宜、各種塗布方法を選択することができる。前処理剤は、塗布後、自然乾燥、加熱乾燥等の方法で乾燥させることができる。加熱手段は特に限定されず各種の加熱方法を用いることができる。
端子付き電線1は、接触部6に防食剤7のみを塗布しただけでは、塩水噴霧すると、切断面に露出している銅が塩水により溶解する。銅の溶解は防食剤7で被覆されている部分にも進行し、電線導体のアルミニウム線へのリークパスを形成し、アルミニウム導体が腐食する原因となる。防食剤7で被覆されている部分の銅が溶解するのは、銅表面に対する防食剤の接着強さが不足しているからであると考えられる。また、切断面の銅表面に微細な隙間が存在しているために、防食剤が切断面と十分接触できずに、防食剤との接着強さが低下するものと考えられる。そのため、上記(A)〜(D)成分により、切断面を前処理することで、防食剤と端子の切断面との接着強さを向上させるか、切断面の表面の微細な隙間を平坦化することで、防食剤と切断面を確実に接触させることで、防食剤7を切断面と確実に接着させることができる。
上記(A)防錆剤及び(C)シランカップリング剤等の成分は、銅と防食剤との結合を強化することにより、端子と防食剤の接着強さを向上させる効果がある。また(B)バインダー樹脂、(D)アルコキシシラン等の成分は、端子端面の切断面表面のミクロな隙間に浸透して隙間を埋めることで、アンカー効果により結合を強化し、防食剤と銅の表面の間に隙間ができることを抑制すると考えられる。
上記の観点より、前処理剤により前処理を施した銅板表面と、防食剤との接着強さが、0.5MPa以上であることが好ましい。上記接着強さが、0.5MPa以上であると、塩水噴霧した際の腐食の発生を更に良好に抑制することが可能である。上記接着強さは、せん断接着強さである。
前処理剤の塗布量は、特に限定されない。好ましい塗布量は、0.1mg/cm〜1.0mg/cmの範囲内である。
前処理剤の粘度は、端子金具の切断面表面の微細な凹凸等に浸透して入り込みやすくするために、500Pa・s(25℃)以下に形成するのが好ましい。前処理剤の粘度は、成分を希釈する濃度等を適宜選択することにより調節することができる。
上記(A)防錆剤としては、ベンゾトリアゾール系、チアゾール系の防錆剤を用いることが好ましい。
ベンゾトリアゾール系防錆剤としては、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6'-tert-ブチル-4'-メチル-2,2'-メチレンビスフェノール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1,2,3-ベンゾトリアゾールナトリウム塩水溶液等が挙げられる。
チオール系防錆剤としては、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-アニリノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジントリナトリウム塩、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジンモノナトリウム塩等が挙げられる。
上記(B)バインダー樹脂としては、皮膜形成可能な樹脂であれば特に限定されず、各種の樹脂成分を用いることができる。バインダー樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂としてアクリル系樹脂又はウレタン系樹脂は、水分の透過を抑制可能である点から好ましい。
上記アクリル系樹脂としては、熱可塑性アクリル樹脂、紫外線硬化型樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等の硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。
上記ウレタン系樹脂としては、熱可塑性ウレタン樹脂、湿気硬化型、熱硬化型、2成分硬化型等の硬化性ウレタン樹脂等が挙げられる。
上記(C)シランカップリング剤としては、特に限定されず、各種のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、ビニルメチルジメトキシシラン等のビニルシラン、アリルトリメトキシシラン等のアリルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランン等のアクリルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポシキシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等のサルファーシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン等が挙げられる。またシランカップリング剤としては、上記のシランカップリング剤モノマー以外に、有機基とアルコキシリル基を持つアルコキシオリゴマーを用いてもよい。
上記(D)アルコキシシランとしては、特に限定されず、各種のアルコキシシランを用いることができる。アルコキシシランとしては、例えば、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン及びモノアルコキシシランが挙げられる。上記トリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、エチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。上記ジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。また上記モノアルコキシシランとしては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等が挙げられる。
被覆電線2の電線導体3は、複数の素線3aが撚り合わされてなる撚線から構成されている。撚線は、1種の金属素線より構成されていても良いし、2種以上の金属素線より構成されていても良い。また、撚線は、金属素線以外に、有機繊維よりなる素線等を含んでいても良い。なお、1種の金属素線より構成されるとは、撚線を構成する全ての金属素線が同じ金属材料よりなることをいい、2種以上の金属素線より構成されるとは、撚線中に互いに異なる金属材料よりなる金属素線を含んでいることをいう。撚線中には、被覆電線を補強するための補強線(テンションメンバ)等が含まれていても良い。
上記電線導体3を構成する金属素線の材料としては、アルミニウム合金以外に、銅、銅合金、アルミニウムもしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料等を例示することができる。また、補強線としての金属素線の材料としては、銅合金、チタン、タングステン、ステンレス等を例示することができる。また、補強線としての有機繊維としては、ケブラー等を挙げることができる。電線導体3に用いられる金属素線としては、電線の軽量化等の点からアルミニウム又はアルミニウム合金を用いるのが好ましい。
被覆電線2に用いられる絶縁体4の材料としては、特に限定されず、例えば、ゴム、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。絶縁体4の材料中には、適宜、各種添加剤が添加されていても良い。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
端子金具5に用いられる金属板は、スズめっき銅板以外でもよい。例えば、銅板以外に、黄銅、銅合金等の各種銅合金の金属板を用いることができる。めっきは、スズめっき以外に、ニッケル、金、銀等の各種金属めっきの形態でも良い。
端子付き電線1の接触部6は前処理剤のみで処理した場合、前処理剤の塗膜にピンホール等があると、そこから腐食が進行してしまう。そのため、前処理した部分は、図1に示すように、防食剤7によって被覆されていることが好ましい。防食剤7は、他の端子との接点となる端子金具の接続部51に流れ込んで、電気的な端子接続に影響を与えないようにするため、塗布時の粘度が1000〜20000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
防食剤7は、厚みが0.01〜3mmの範囲となるように塗布するのが好ましい。防食剤7の厚みが厚くなりすぎると、端子金具5を相手側端子のコネクタへ挿入し難くなる恐れがある。また防食剤7の厚みが薄くなりすぎると防食性能が不十分となる恐れがある。
防食剤7は、防食塗膜を形成可能な材料であればよい。好ましい防食剤7としては、(メタ)アクリレート成分を含む紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物(紫外線硬化型樹脂)を用いることができる。紫外線硬化性樹脂組成物は、例えば、(メタ)アクリレートモノマー等の(メタ)アクリレート成分、接着付与剤、架橋剤、光開始剤等の成分から構成することができる。(メタ)アクリレート成分を含む紫外線硬化性樹脂の組成物は、塗布後、紫外線等の光照射により短時間で硬化させることが可能である。
上記(メタ)アクリレート化合物としては、分子中に1つ以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)クリレートモノマー等が挙げられる。本発明において、「(メタ)アクリレート」の記載は、メタクリレート及びアクリレートの意味である。
上記(メタ)アクリレート化合物の具体例として、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、等のモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物又はPO付加物のポリオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加物トリ(メタ)アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、エチルカルビトールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)ブタジエン(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
接着付与剤としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂水素化物、テルペンフェノール樹脂水素化物、変性テルペン樹脂等が挙げられる。接着付与剤を添加することで、防食剤の接着性を向上させることができる。
架橋剤は、カルボジイミド樹脂、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、イソシアネート樹脂、シランカップリング剤等が挙げられる。架橋剤は吸水率を調節するのに用いることができる。
光開始剤(光重合開始剤と呼ばれることもある)は、紫外線を吸収して(メタ)アクリレート成分のラジカル重合を開始させる化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。上記光重合開始剤は、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、エチルアントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾ−ル、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラ−ケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタ−ル、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系等のフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
また紫外線硬化性樹脂に重合開始剤として熱重合開始剤を添加して、熱硬化性樹脂として構成してもよい。
上記熱重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生してラジカル重合を開始させることが可能な化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知の有機過酸化物、アゾ化合物等を用いることができる。上記有機過酸化物としては、例えば、ジへキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド、n−ブチル4,4−ジ(t―ブチルパーオキサイド)バレレート等のパーオキシケタール等が挙げられる。また上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
防食剤の組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を添加してもよい。上記他の成分としては、チキソ性付与剤、レべリング剤等の液性調製剤、顔料、染料、無機フィラー等が挙げられる。
以下、端子付き被覆電線の製造方法について説明する。端子付き被覆電線1を製造するには、端子金具と被覆電線を準備する。端子金具5は、図3(a)、(b)に示すように、スズめっき銅板8を端子展開形状に打ち抜いて切断した中間部材9を用い、切断面9aの所定の箇所に前処理剤による前処理を行った後、曲げ加工等を施す。一方、被覆電線2は、端末の絶縁体4を皮剥ぎして電線導体2を所定の長さだけ露出させる。次いで被覆電線2の端末に、上記の前処理した端子金具5を加締めて圧着し、電線導体3と端子金具5を接続する。圧着は、端子金具のワイヤバレル52に電線導体3を圧着し、インシュレーションバレル53に絶縁体4を圧着する。次いで、電線導体3と端子金具5との接触部6の所定の範囲に防食剤7の組成物を塗布し、所定の条件で硬化せしめることで、端子付き被覆電線1が得られる。
端子金具に前処理剤による前処理を行う時期は、端子金具の切断した後から防食剤を塗布するまでの間であれば、いずれの時期でもよい。好ましいのは、電線導体を端子金具に圧着する前である。
防食剤7の組成物を接触部6に塗布する方法は特に限定されず、例えば、滴下法、塗布法、押し出し法等の公知の手段を用いることができる。また防食剤7の組成物を塗布する際、防食剤7の組成物を加熱、冷却等により温度調節してもよい。
防食剤の組成物の硬化には、紫外線照射装置や加熱装置等の硬化装置を用いることができる。
図1及び図2に示す端子付き被覆電線1は、防食剤7が被覆している部分は、一点鎖線で示した範囲である。図2に示すように防食剤7は端子金具5と被覆電線2の外側周囲の形状に沿って、所定の厚さで被覆している。底面は防食剤7に覆われず、端子金具5の金属が外部に露出した状態になっている。
防食剤7は、少なくとも電線導体2の露出部分を完全に被覆している。防食剤7は、被覆電線4の端部側は、電線導体2の先端から端子金具5の接続部51側に少しはみ出すように被覆している。また端子金具5の端部側は、絶縁体4側に少しはみ出すように被覆している。図1の端子付き被覆電線は、底面が防食剤の塗膜7で被覆されずに金属が露出している。
端子付き被覆電線1は、防食剤7により被覆する部分が上記の形態に限定されず、少なくとも電線導体3が外部に露出しないように被覆されていればよい。また図1に示すように、防食剤7がバレル部54から外方にはみ出すように、被覆しても良いし、特に図示しないが端子金具5の底面を防食剤7で被覆してもよい。また端子金具5の側面が、防食剤7で被覆されていても、被覆されていなくても、いずれでもよい。なお、防食剤7で被覆される部分の切断面は、接触部6以外の部分であっても前処理剤により前処理されているのが好ましい。
以下、本発明のワイヤーハーネスについて説明する。本発明のワイヤーハーネスは、上記端子付き被覆電線1を含む複数本の被覆電線を束ねて結束したものである。ワイヤーハーネスにおいては、被覆電線のうちの一部が本発明の端子付き被覆電線1であっても良いし、全てが本発明の端子付き被覆電線1であっても良い。
ワイヤーハーネスにおいて、複数本の被覆電線は、テープ巻きにより結束されていても良いし、或いは、丸チューブ、コルゲートチューブ、プロテクタ等の外装部品により外装されることで結束されていても、いずれでも良い。
本発明のワイヤーハーネスは、自動車等の車両に配索されるものとして好適であり、特に、被水領域のエンジンルームや車内に配索されるものとして好適である。ワイヤーハーネスがこのような場所に配索された場合、熱および水の影響を受けて、電線導体3と端子金具5との電気接続部に腐食が発生し易くなる。本発明のワイヤーハーネスは、端子付き被覆電線1における電線導体3と端子金具5の接触部6が防食剤7に覆われているので、腐食の発生を効果的に抑えることができる。
実施例1〜15、比較例1
実施例1〜15は表1に示す前処理剤を用いて前処理を施した後、防食剤をディスペンサーで塗布し、比較例は前処理剤を用いずに防食剤を塗布し、塩水噴霧試験と接着試験を行って、前処理剤による効果を確認した。評価結果を表1に示す。前処理剤の各成分と防食剤の詳細と、試験方法は下記の通りである。
前処理剤の調製は、下記のように行った。
防錆剤は、溶媒として純水を用い、濃度1.0%に希釈した。
プライマーは、溶剤で調製されているので、市販の製品をそのまま使用した。
シランカップリング剤は、溶媒としてイソプロピルアルコールを用い、濃度1.0%に希釈した。
(防錆剤:ベンゾトリアゾール系)
・JF77:城北化学工業社製、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
・BT−LX:城北化学工業社製、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール
・TT−LX:城北化学工業社製、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール
(防錆剤:チオール系)
・ジスネットF(TTCA):三協化成社製、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン
・ジスネットDB:三協化成社製、2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン
・ジスネットAF:三協化成社製、2-アニリノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン
・サンチオールN-W:三協化成社製、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジントリナトリウム塩
・サンチオールN-1:三協化成社製、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジンモノナトリウム塩
(プライマー:市販品)
・トスプライムD;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、シラン系プライマー(シーリング材用)
・トスプライムE:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、シラン系プライマー(シーリング材用)
・YP9341:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、シリコーン変性アクリル系プライマー(シーリング材用)
(シランカップリング剤)
・A−189:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
・Y5187:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン
・A−1100:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、3−アミノプロピルトリエトキシシラン
・A−187:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(防食剤:紫外線硬化型接着剤)
・TB3062:スリーボンド社製、嫌気硬化性を付与した紫外線硬化型接着剤
〔塩水噴霧試験〕
JIS C 0023に準拠し塩水噴霧試験を96時間行った後の噴霧面を観察した。具体的には、図4に示すように、25mm×25mm×厚さ0.64mmの銅板10を用意し、該銅板10の表面中央に10mm×10mmの範囲でアルミニウム11を蒸着したアルミ蒸着銅板を作製した。そして蒸着したアルミニウム11の部分を覆うように、アルミ蒸着銅板表面に、前処理剤を塗布して前処理を施した。前処理剤は、塗布後、24時間、室温で乾燥させた。その後、防食剤の組成物を50μmの厚みで塗布し、紫外線を照射して組成物を硬化させて、防食剤の塗膜12を形成して、試験片13とした。試験片は、各材料につき5点(n=5)作製した。
上記の試験片を用いて、JIS C 0023に準拠して塩水噴霧試験を96時間、168時間、実施した後、試験片の表面外観を観察した。外観観察の結果、96時間後の全ての試験片のアルミニウム蒸着部分に変色がない場合を良好(○)とし、更に168時間後の全ての試験片に変色が見られなかった場合を優良(◎)とし、96時間後の試験片に一つでも変色のある場合を不良(×)と判定した。
〔接着試験〕
図5(a)に示すように25×80mmの銅板20の表面に前処理剤を塗布し、24時間、室温で乾燥させて前処理を施した。そして前処理剤を塗布した面に、内径6mmの空間を有する銅リング21を載置した。次いで同図(b)に示すように、銅リング21の空間内に防食剤の組成物22を注入した。次いで同図(c)に示すように、該組成物22に紫外線23を照射して硬化させて、リング21内に防食剤が充填されたせん断接着強さ用試験片25を作製した。同図(d)に示すように、試験片25の銅リング21に専用の冶具26を引っ掛け、治具26と銅板20をせん断方向(図中矢印方向)に引張り、引張り試験後の防食剤接着面の破壊形態を観察した。接着試験の評価は、接着面が凝集破壊していた場合を良好(○)とし、接着面が界面破壊していた場合を不良(×)と判定した。
表1に示すように、前処理をしなかった比較例1では、96時間の塩水噴霧試験で不良となった。これに対し、前処理剤により前処理を施した実施例1〜15は、いずれも96時間の塩水噴霧試験の結果が良好であり、接着強さが0.5MPa以上を有する実施例2〜15は168時間の塩水噴霧試験の結果も良好であった。
Figure 2015151617
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施例の端子付き被覆電線1は、端子金具としてタブ状のオス端子を用いた例を示したが、これに限定されるものではない。例えば端子付き被覆電線は、端子金具としてメス端子を用いたものでもよい。また、端子金具として音叉端子等を用いても良い。
また、端子金具5のバレル部54を、インシュレーションバレルを有しないワイヤバレルのみから構成しても良い。
また、バレル部54はインシュレーションバレルのみから構成してもよい。その場合、電線導体と端子金具の接続方法としては、圧接抵抗溶接、超音波溶接、ハンダ付け等の方法であっても良い。
また、上記実施例では電線導体3として撚線を用いたが、電線導体3は単芯線を用いてもよい。
1 端子付き被覆電線
2 被覆電線
3 電線導体
4 絶縁体
5 端子金具
5a 端子展開形状
51 端子金具の接続部
52 ワイヤバレル
53 インシュレーションバレル
54 バレル部
6 接触部
7 防食剤
11 銅板
12 防食剤の塗膜

Claims (8)

  1. 電線導体が絶縁体で被覆された被覆電線の端部の電線導体に端子金具が接続され、前記端子金具と電線導体の接触部が防食剤により被覆されている端子付き被覆電線であって、
    前記端子金具は、銅系金属にめっきが施された金属板が所定の端子展開形状に切断されたものから形成されており、
    前記端子金具の切断面の銅系金属露出部が前処理剤により前処理が施され、該前処理された表面が前記防食剤により被覆されているものであり、
    前記前処理剤が、防錆剤、バインダー樹脂、シランカップリング剤、アルコキシシランから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする端子付き被覆電線。
  2. 銅系金属を前処理した後の表面と前記防食剤との接着強さが0.5MPa以上であることを特徴とする請求項1記載の端子付き被覆電線。
  3. 前記防錆剤が、ベンゾトリアゾール系防錆剤又はチオール系防錆剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の端子付き被覆電線。
  4. 前記バインダー樹脂が、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の端子付き被覆電線。
  5. 前記防食剤が、(メタ)アクリレート成分を含む紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の端子付き被覆電線。
  6. 前記電線導体がアルミニウムであり、前記電線導体と前記端子金具の接触部が異種金属接続部として形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の端子付き被覆電線。
  7. 銅系金属にめっきが施された金属板を所定の端子展開形状に切断した部材から形成された端子金具に、電線導体が絶縁体で被覆された被覆電線の前記電線導体を接続し、前記端子金具と電線導体の接触部を防食剤により被覆して端子付き被覆電線を製造する方法であって、
    前記端子金具の切断面の銅系金属露出部に、防錆剤、バインダー樹脂、シランカップリング、アルコキシシランから選択される少なくとも1種を含む前処理剤を用いて前処理を施した後、防食剤を用いて前記接触部を被覆することを特徴とする端子付き被覆電線の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の端子付き被覆電線を用いたことを特徴とするワイヤーハーネス。
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