JP6040924B2 - 端子付き被覆電線およびワイヤーハーネス - Google Patents

端子付き被覆電線およびワイヤーハーネス Download PDF

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本発明は、端子付き被覆電線およびワイヤーハーネスに関し、さらに詳しくは、電線導体と端子金具の電気接続部の防食性に優れた端子付き被覆電線およびそれを用いたワイヤーハーネスに関するものである。
自動車等の車両に配索される被覆電線の端末の電線導体には端子金具が接続されている。端子金具と被覆電線の電線導体とが電気的に接続された電気接続部においては、腐食を防止することが求められる。特に近年、自動車等の車両の軽量化などを目的として、電線導体の材料にアルミニウムやアルミニウム合金を用いることが検討されている。一方、端子金具の材料には銅や銅合金が用いられることが多い。また、端子金具の表面にはスズめっきなどのめっきが施されることが多い。つまり、電線導体と端子金具の材質が異なる場合が生じる。電線導体と端子金具の材質が異なると、その電気接続部で異種金属接触による腐食が発生する。このため、電気接続部を確実に防食することが求められる。
電気接続部における防食を達成するために、電気接続部にグリースを注入したり、電気接続部を接着性樹脂によって被覆したりすることが試みられている。例えば、特許文献1には、防食用ポリアミド系樹脂組成物が開示されている。
特開2012−41494号公報
端子金具は、通常、加工油を用いてプレス加工により所定の形状に成形している。また、端子金具を電線導体に圧着する際にも加工油を用いる場合がある。これらの機械加工時に用いられた加工油は端子金具の表面に不可避的に残留する。この加工油は、防食剤と端子金具との間の接着を阻害する。すると、防食剤と端子金具との間に空隙が生じやすくなり、その空隙から水分等が浸入しやすくなるので、十分な防食性能を得ることが困難となる場合がある。
本発明の解決しようとする課題は、端子金具表面に油が付着していても、防食剤が端子金具表面に密着し、電線導体と端子金具の電気接続部において高い防食性能が得られる端子付き被覆電線およびワイヤーハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る端子付き被覆電線は、端子金具と被覆電線の電線導体とが電気的に接続された電気接続部を、硬化性樹脂を含有し、未硬化の状態で室温で31mN/m以下の表面張力を有する防食剤により被覆していることを要旨とする。
ここで、前記硬化性樹脂が、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、二液反応硬化性樹脂、および紫外線硬化性樹脂より選択される樹脂であることが好ましい。また、前記硬化性樹脂が、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種であることが好適である。そして、前記端子金具が銅または銅合金を母材として構成され、前記電線導体がアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる素線を有することが好適である。
本発明にかかるワイヤーハーネスは、上記の端子付き被覆電線を有することを要旨とする。
本発明に係る端子付き被覆電線によれば、防食剤の表面張力が加工油の表面張力と同程度かそれよりも小さいため、加工油が付着した金属の表面において、防食剤が加工油にはじかれずに濡れ広がりやすくなる。これにより、防食剤が電気接続部の表面に密着し、電気接続部を緻密に被覆しやすくなり、端子金具の表面に加工油が付着していても、電気接続部において高い防食性能が得られる。
ここで、硬化性樹脂が、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、二液反応硬化性樹脂、および紫外線硬化性樹脂より選択される樹脂である場合には、電気接続部への防食剤の塗布と硬化を高効率で行うことができる。また、硬化性樹脂が、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種である場合には、高い防食性能が発揮されやすい。
そして、端子金具が銅または銅合金を母材として構成され、電線導体がアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる素線を有する場合には、端子付き被覆電線の電気接続部において異種金属が接するので、適切な防食処理が施されなければ腐食が起こる確率が高くなるが、上記のような優れた防食性能を有する防食剤を用いた端子付き被覆電線とすることで、電気接続部の耐腐食性が向上し、接続信頼性に優れたものとなる。
本発明にかかるワイヤーハーネスは、上記の端子付き被覆電線を有するので、端子金具と被覆電線の電気接続部において、端子金具の表面に加工油が付着していても、高い防食性が得られる。
本発明の端子付き被覆電線の一例を示す外観斜視図である。 図1におけるA−A線縦断面図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の端子付き被覆電線の一例を示す外観斜視図であり、図2は図1におけるA−A線縦断面図である。図1および図2に示すように、本発明の端子付き被覆電線1は、電線導体3が絶縁体4により被覆された被覆電線2の電線導体3と、端子金具5が、電気接続部6により電気的に接続されてなる。
端子金具5は、相手側端子と接続される細長い平板からなるタブ状の接続部51と、接続部51の端部に延設形成されているワイヤバレル52とインシュレーションバレル53とからなる電線固定部54を有する。
電気接続部6では、被覆電線2の端末の絶縁体4を皮剥ぎして、電線導体3を露出させ、この露出させた電線導体3が端子金具5の片面側に圧着されて、被覆電線2と端子金具5が接続される。端子金具5のワイヤバレル52を被覆電線2の電線導体3の上から加締め圧着し、電線導体3と端子金具5が電気的に接続される。又、端子金具5のインシュレーションバレル53を、被覆電線2の絶縁体4の上から加締め圧着する。
端子金具5は、金属製の板材をプレス加工することにより所定の形状に成形加工される。プレス加工の際には、炭化水素系の加工油などの加工油が用いられる。したがって、成形直後の端子金具5の表面には加工油が残留(付着)する。また、電線導体3と端子金具5を接続する圧着加工の際にも、加工油が用いられることがある。この場合には、圧着直後の端子金具5の表面に加工油が残留(付着)する。さらに、端子金具5と同様、圧着直後の電線導体3の表面にも加工油が残留(付着)する。典型的な加工油の付着量はおおよそ0.01〜1mg/cmである。
そして、端子金具5の表面にこのような加工油が付着した状態で、電気接続部6は、図1において一点鎖線で示した範囲が、防食剤7により被覆される。尚、図1の電気接続部6は、防食剤7を透視した状態で示している。防食剤7は、電線導体3、電線導体3と端子金具5との接触部分等に外部から水分等が侵入して金属部分が腐食するのを防止する。
防食剤7が被覆している具体的な部分は、以下の部分である。図1に示すように、被覆電線2の先端2a側は、電線導体3の先端から端子金具5の接続部51側に少しはみ出すように防食剤7で被覆する。端子金具5の先端5a側は、インシュレーションバレル53の端部から被覆電線2の絶縁体4側に少しはみ出すように防食剤7で被覆する。図2に示すように、端子金具5の側面5bも防食剤7で被覆する。端子金具5の裏面5cは防食剤7で被覆しない。こうして、端子金具5と被覆電線2の外側周囲の形状に沿って、電気接続部6を防食剤7により所定の厚さで被覆する。被覆電線2の端末が皮剥ぎされて電線導体3が露出した部分は、防食剤7によって完全に覆われていて、外部に露出しないようになっている。なお、電気接続に影響を与えないのであれば、端子金具5の電線固定部54の裏面側(ワイヤバレル52およびインシュレーションバレル53の裏面側も含む)を、防食剤7により被覆してもよい。
したがって、電気接続部6を被覆する防食剤7の周端のうち3方が端子金具5の表面に接し、一方が絶縁体4の表面に接する。つまり、防食剤7の周端の大部分が端子金具5の表面に接する。
ここで、従来一般の防食剤が使用される場合には、端子金具5(および電線導体3)の表面に加工油があると、防食剤が加工油にはじかれて端子金具5の表面に濡れ広がりにくくなる場合がある。すると、防食剤の端子金具5表面に対する密着が阻害され、端子金具5の表面と防食剤との間に隙間ができやすくなる。これにより、電気接続部6に外部から水分等が侵入して金属部分の腐食が進行しやすくなる。これを防止するため、防食剤7は、以下のような特定の組成を有する。
防食剤7は、硬化性樹脂を含有してなり、未硬化の状態で室温にて31mN/mの表面張力を有する。防食剤7に含まれる硬化性樹脂が端子金具5の表面の金属に密着して硬化することで、防食剤7が端子金具5の表面に接着され、電気接続部6において防食性能が発揮される。ここで、防食剤7の表面張力が31mN/m以下であることで、端子金具5(および電線導体3)の表面に加工油が付着していても、高い防食性能を得ることができる。
防食剤7が高い防食性能を発揮するためには、防食剤7が端子金具5の表面によく濡れ広がることが必要である。加工油が付着した端子金具5の表面張力との比較において、防食剤7の表面張力が小さいほど、加工油が付着した端子金具5の表面で、防食剤7が濡れ広がりやすくなる。加工油が付着した端子金具5と同程度かそれよりも小さい表面張力を防食剤7が有していれば、防食剤7がその端子金具5の表面に濡れ広がりやすくなる。
加工油が付着した端子金具5の表面張力は、加工油の表面張力に近似することができる。加工油の表面張力は、典型的には25〜31mNである。よって、防食剤7が未硬化の状態で31mN/m以下の表面張力を有することで、防食剤7が加工油の付着した端子金具5の表面に濡れ広がりやすく、電気接続部6において高い防食性能を提供する。防食剤7の濡れ広がり性をさらに高める観点から、防食剤7の表面張力は、26mN/m以下でればさらに好ましい。なお、端子金具5の表面における加工油の付着量が少ない場合には、端子金具5の表面を構成する金属の特性が防食剤7の濡れ広がりに影響を与えやすくなるが、防食剤7が上記のように31mN/m以下の表面張力を有する場合に、加工油の付着量が少ない、または付着していない端子金具5の表面においても、十分に濡れ広がることができる。
電気接続部6において、防食剤7が端子金具5の表面でよく濡れ広がって硬化し、端子金具5の表面に密着した緻密な膜状の構造を形成することで、電気接続部6への水分等の接触が抑制され、電気接続部6の腐食が抑制される。特に、後述するように、端子金具5が、銅または銅合金を母材とし、必要に応じてスズ等のめっきが施されてなり、電線導体3がアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる素線を含んでなる場合のように、電気接続部6において異種金属が接触している場合には、水分との接触によってこの部位に腐食が発生しやすいが、防食剤7が、電気接続部6の表面に密着していることで、このような異種金属間腐食も高度に防止することができる。
防食剤7に含まれる硬化性樹脂としては、金属表面に接着可能な樹脂種であれば、どのようなものでもかまわないが、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂(アクリルウレタン系樹脂を含む)、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの樹脂は、最終的に硬化物とされる。防食剤7には、着色用顔料、粘度調整剤、老化防止剤、無機充填材、保存安定剤、分散剤など、添加剤が加えられていても良い。
防食剤7に含まれる硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、二液反応硬化性樹脂、および紫外線硬化性樹脂より選択される樹脂であることが好適である。これらのような硬化性樹脂を防食剤7に用いることで、未硬化の流動性の高い状態で防食剤7を電気接続部6に塗布したあと、防食剤7を端子金具5と被覆電線2の外周に密着した状態で硬化させることができるので、防食剤7による電気接続部6の被覆を高効率で行うことができる。あるいは、硬化性樹脂は、上記の各硬化方法を併用するものであってもよい。硬化操作は、熱硬化性樹脂の場合は防食剤7を塗布した後に防食剤7を加熱することで行えばよく、紫外線硬化性樹脂の場合は防食剤7を塗布した後に防食剤7に紫外線を照射することで行えばよい。また、湿気硬化性樹脂は、大気中の湿気に所定時間晒されることによって硬化し、二液反応硬化性樹脂は、2種の液を混合した後に所定時間が経過することによって硬化するので、これらの樹脂を含む防食剤7は、調製後、硬化が起こるまでの時間内に塗布を行い、放置して硬化させればよい。また、硬化性樹脂として熱可塑性樹脂を用いることもでき、この場合は防食剤7を加熱して液状にした状態で電気接続部に塗布し、冷却することで固化させればよい。いずれの硬化形式の樹脂を使用するかは、防食剤7が適用される部位や使用環境等に応じて選択すればよい。
防食剤7の表面張力は、使用される硬化性樹脂の表面張力に依存するが、溶媒による希釈、表面改質剤の添加(例えば、ビッグケミー・ジャパン製 BYK−377、BYK−UV3510(BYKは登録商標))等の方法にて、適宜所望の値に調整することができる。
防食剤7の調製は、硬化性樹脂とその他必要な添加剤を混合することによって行うことができる。この際、混合を容易にするために、適宜温度調節等を行ってもよい。また、防食剤7の塗布は、滴下法、塗布法、押し出し法等の公知の手段を用いることができる。また防食剤7の塗布の際、防食剤7を加熱、冷却等により温度調節してもよい。さらに、防食剤7の浸透性(塗布性)を高めるため、塗布する際には防食剤7を溶剤で希釈して液状にしてもよい。そして、塗布後に、紫外線照射、加熱等、適宜硬化のための処理を行えばよい。
以下、端子付き被覆電線1を構成する被覆電線2および端子金具5の具体的構成について簡単に説明する。
被覆電線2の電線導体3は、複数の素線3aが撚り合わされてなる撚線よりなる。この場合、撚線は、1種の金属素線より構成されていても良いし、2種以上の金属素線より構成されていても良い。また、撚線は、金属素線以外に、有機繊維よりなる素線などを含んでいても良い。なお、1種の金属素線より構成されるとは、撚線を構成する全ての金属素線が同じ金属材料よりなることをいい、2種以上の金属素線より構成されるとは、撚線中に互いに異なる金属材料よりなる金属素線を含んでいることをいう。撚線中には、被覆電線を補強するための補強線(テンションメンバ)等が含まれていても良い。
上記電線導体3を構成する金属素線の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料などを例示することができる。また、補強線としての金属素線の材料としては、銅合金、チタン、タングステン、ステンレスなどを例示することができる。また、補強線としての有機繊維としては、ケブラーなどを挙げることができる。
絶縁体4の材料としては、例えば、ゴム、ポリオレフィン、PVC、熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。絶縁体4の材料中には、適宜、各種添加剤が添加されていても良い。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
端子金具5の材料(母材の材料)としては、一般的に用いられる黄銅の他、各種銅合金、銅などを挙げることができる。端子金具5の表面の一部(例えば接点)もしくは全体には、スズ、ニッケル、金などの各種金属によりめっきが施されていても良い。
本発明にかかるワイヤーハーネスは、上記本発明にかかる端子付き被覆電線1を含む複数の被覆電線よりなる。ワイヤーハーネスを構成する被覆電線の全てが本発明にかかる端子付き被覆電線1であってもよいし、その一部のみが本発明にかかる端子付き被覆電線1であってもよい。
以下に本発明の実施例、比較例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
<試験試料の作製>
1.接着試験片の作製
JIS K6850に準拠した引張りせん断接着試験を行うために、接着試験片を作製した。つまり、スズめっき銅板に1mg/cmの密度で加工油(出光興産製「ダフニー・マスタードローND−10」)を塗布したものに、下記表1に示す各防食剤を厚さ0.1mmで塗布し、もう1枚のスズめっき銅板(紫外線硬化性の防食剤については、アクリル板)と張り合わせた。そして、各防食剤の種類に応じた硬化方法(例えば、熱硬化性樹脂であれば、加熱)によって樹脂を硬化させることで、接着試験片を作成した。
2.端子付き被覆電線の作製
ポリ塩化ビニル(重合度1300)100質量部に対して、可塑剤としてジイソノニルフタレート40質量部、充填剤として重炭酸カルシウム20質量部、安定剤としてカルシウム亜鉛系安定剤5質量部をオープンロールにより180℃で混合し、ペレタイザーにてペレット状に成形することにより、ポリ塩化ビニル組成物を調製した。次いで、50mm押出機を用いて、上記得られたポリ塩化ビニル組成物を、アルミ合金線を7本撚り合わせたアルミニウム合金撚線よりなる導体(断面積0.75mm)の周囲に0.28mm厚で押出被覆した。これにより被覆電線(PVC電線)を作製した。
上記作製した被覆電線の端末を皮剥して電線導体を露出させた後、自動車用として汎用されている黄銅製のオス形状の圧着端子金具(タブ幅0.64mm)を被覆電線の端末に加締め圧着した。次いで、電線導体と端子金具との電気接続部に、表1に示す各防食剤を厚さ0.5mmで塗布して、露出している電線導体および端子金具のバレルを被覆した。そして、恒温槽にて、各防食剤の種類に応じた硬化方法(例えば、熱硬化性樹脂であれば、加熱)によって防食剤の硬化処理を行い、端子付き被覆電線を得た。
3.評価方法
<表面張力の測定>
自動表面張力計(協和界面科学製「CBVP−Z」)を用いて、ウィルヘルミー法によって、未硬化の状態にある各防食剤の表面張力を測定した。測定は大気中で行い、測定時の温度は23℃とした。なお、用いた加工油についても同様に表面張力の測定を行い、測定結果は、30mN/mであった。
<接着試験>
上記で作成した接着試験片に対し、JIS K6850に準拠して、引張りせん断接着試験を行った。せん断破壊が起こった時の破壊面を肉眼で観察し、破壊形態が凝集破壊であるか界面破壊であるかを評価した。表1において、凝集破壊が起こったものを十分な接着強度を有するとして「○」で表し、界面破壊が起こったものを接着強度が十分でないとして「×」で表す。
<防食性能の評価>
各端子付き被覆電線について、JIS C0023に準拠して塩水噴霧試験を行い、防食性能を評価した。つまり、電気接続部を含む端子金具全体に96時間の塩水噴霧試験を行った。そして、防食剤および樹脂被覆を剥がした後、電気接続部の電線導体の外観を目視にて判定した。腐食が生じていない場合(錆が発生していない場合)を合格「○」、腐食が生じている場合(錆が発生している場合)を不合格「×」とした。
<結果および考察>
表1に、各実施例および比較例にかかる試料の接着性と防食性能の評価結果を、硬化性樹脂の樹脂種および硬化方法、表面張力とともに示す。なお、表中の硬化方法の欄において、「+」の符号は、2つの硬化方法が併用される樹脂であることを示している。
Figure 0006040924
実施例1〜7においては、防食剤が31mN/m以下の表面張力を有している。この場合には、防食剤が十分な接着強度を示すとともに、高い防食性能が得られている。これに対し、比較例1〜4においては、防食剤が31mN/mよりも大きな表面張力を有している。この場合には、防食剤が十分な接着強度を示さず、十分な防食性能が得られていない。
用いた加工油の表面張力が30mN/mであり、おおむね、これと同程度かこれよりも小さい表面張力を有する防食剤を用いると、金属表面によく密着して接着され、高い防食性能を与えると解釈することができる。これは、防食剤が加工油の付着した端子金具の表面でよく濡れ広がるためであると考えられる。これに対し、防食剤の表面張力が31mN/mを超えており、加工油の表面張力よりも有意に大きいと、加工油の付着した金属表面で防食剤が濡れ広がりにくく、十分な密着性と耐食性が得られないと考えられる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 端子付き被覆電線
2 被覆電線
3 電線導体
4 絶縁体
5 端子金具
52 ワイヤバレル
53 インシュレーションバレル
54 電線固定部
6 電気接続部
7 防食剤

Claims (8)

  1. 端子金具と被覆電線の電線導体とが電気的に接続された電気接続部を、硬化性樹脂を含有し、未硬化の状態で室温で26mN/m以下の表面張力を有する防食剤により被覆しており、
    前記防食剤が、前記電気接続部において、前記端子金具の表面および前記電線導体の束の表面に接触して、膜状に該端子金具および電線導体の束を被覆していることを特徴とする端子付き被覆電線。
  2. 前記硬化性樹脂が、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、二液反応硬化性樹脂、および紫外線硬化性樹脂より選択される樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の端子付き被覆電線。
  3. 前記硬化性樹脂が、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の端子付き被覆電線。
  4. 前記端子金具が銅または銅合金を母材として構成され、前記電線導体がアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる素線を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の端子付き被覆電線。
  5. 前記端子金具および前記電線導体の表面に、加工油が付着していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の端子付き被覆電線。
  6. 前記加工油の表面張力は、25〜31mN/mの範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の端子付き被覆電線。
  7. 前記防食剤の表面張力は、前記加工油の表面張力以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の端子付き被覆電線。
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載の端子付き被覆電線を有することを特徴とするワイヤーハーネス。
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