JP6107620B2 - 端子付き被覆電線及びワイヤーハーネス - Google Patents

端子付き被覆電線及びワイヤーハーネス Download PDF

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本発明は、端子付き被覆電線及びワイヤーハーネスに関し、さらに詳しくは、電線導体と端子金具との接触部である電気接続部の防食性に優れた端子付き被覆電線及びワイヤーハーネスに関するものである。
従来、自動車等の車両に配索される電線として、タフピッチ銅の軟質材等からなる導体の外周に絶縁体を被覆してなる被覆電線が広く用いられている。この種の被覆電線の端末では、絶縁体を皮剥ぎして露出させた導体に端子金具が接続されている。被覆電線の端末に電気接続された端子金具は、コネクタに挿入係止される。
このような端子付き被覆電線が複数本束ねられ、ワイヤーハーネスが形成される。自動車等の車両では、通常、ワイヤーハーネスの形態で配索がなされる。エンジンルームや一部の室内環境等に、上記ワイヤーハーネスが配索される場合、熱および水の影響を受けて、電線導体と端子金具とが接触する電気接続部に錆が発生しやすくなる。そのため、このような環境下にワイヤーハーネスを配索する場合には、上記電気接続部における腐食を防止する必要がある。
上記電気接続部における腐食を防止するため、電線導体に接続された端子金具が挿入係止されているコネクタ内にグリースを注入する技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。
近年、自動車等の車両の軽量化により燃費効率を向上させようとする動きが加速しており、ワイヤーハーネスを構成する電線材料についても軽量化が求められている。そのため、電線導体にアルミニウムを用いることが検討されるようになってきている。端子金具は、電気特性に優れた銅又は銅合金が一般に用いられる。それ故、アルミ電線−銅端子金具の組み合わせ等で使用されることが多くなる。電線導体と端子金具との材質が異なると、その電気接続部で異種金属接触による腐食が発生する。この種の腐食は、電線導体と端子金具との材質が同じである場合よりも起こりやすい。そのため、電気接続部を確実に防食することが可能な防食剤が必要となる。
上記従来のグリースを用いた端子付き被覆電線は、グリースをコネクタ内に密に注入しないと、水の浸入を十分に防止して防食効果を高めることができないという問題があった。しかしながら、防食効果を高めようとしてグリースの充填量を多くすると、本来、防食する必要のない部分にまで、グリースが塗布されてしまうことになる。更に過度の充填は、コネクタや電線のべたつきを招き、取扱い性を低下させる。
そこでグリースの代替品として、端子金具と電線導体の接触部に、防食性の有する絶縁性の樹脂(防食剤)を塗布、硬化させる方法が用いられるようになっている。しかし防食剤の粘度が高すぎて、素線内に浸透できなかったり、逆に防食剤の粘度が低すぎた場合は、塗布範囲外に流出してしまい、隙間に保持することができないという問題があった。
そこで例えば、防食剤の粘度を特定の範囲に規定することが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−159846号公報 特開2011−238500号公報
防食性能を十分発揮するためには、防食剤が電線導体の素線同士の間、電線導体と端子の間等の隙間に確実に保持された状態で硬化されていることが必要である。これらの箇所から防食剤が流失してしまうと、所定の防食性能を発揮できなくなってしまう。
上記隙間に対して防食剤を浸透させて確実に保持された状態にするためには、防食剤の粘度を規定するだけでは不十分であった。すなわち、防食剤の表面張力や濡れ性等によって、浸透性や保持性が変化してしまうという問題がある。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決しようとするものであり、被覆電線の電線導体と端子金具の接触部を含む電線接続部の所定部分に防食剤を確実に浸透、保持させることが可能であり、優れた防食性能が得られる端子付き被覆電線及びワイヤーハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の端子付き被覆電線は、被覆電線の電線導体と端子金具との接触部が防食剤により被覆されている端子付き被覆電線であって、前記防食剤が硬化性樹脂の硬化物であり、硬化前の硬化性樹脂が、下記の式1を満足し、粘度が5000mPa・s以下であることを特徴とする端子付き被覆電線。
(式1)
Tcosθ≦40
式1において、Tは硬化性樹脂の表面張力(mN/m)、θは硬化性樹脂のアルミニウム表面に対する接触角(°)である。
上記端子付き被覆電線において、前記硬化性樹脂の粘度が300mPa・s以上であることが好ましい。
上記端子付き被覆電線において、前記硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂として構成されていることが好ましい。
上記端子付き被覆電線において、前記硬化性樹脂が熱硬化性樹脂として構成されていることが好ましい。
上記端子付き被覆電線において、前記被覆電線の電線導体がアルミニウムであり、前記端子金具が銅系金属から構成され、前記接触部が異種金属接続部として構成されていることが好ましい。
本発明のワイヤーハーネスは、上記の端子付き被覆電線を有することを要旨とするものである。
本発明の端子付き被覆電線は、被覆電線の電線導体と端子金具との接触部が防食剤により被覆されている端子付き被覆電線であって、前記防食剤が硬化性樹脂の硬化物であり、硬化前の硬化性樹脂が、式1を満足し、粘度が5000mPa・s以下である構成を採用したことにより、電線導体と端子金具の接触部を含む電線接続部の所定部分に防食剤を確実に浸透、保持させることが可能であり、防食性能に優れた端子付き被覆電線が得られる。
特に前記被覆電線の電線導体がアルミニウムであり、前記端子金具が銅系金属から構成され、前記接触部が異種金属接続部として構成されている場合、特に優れた効果を発揮することが可能である。
本発明のワイヤーハーネスは、被覆電線と端子金具との接触部の防食性能が優れているものである。
図1は本発明の端子付き被覆電線の一実施例を示す外観斜視図である。 図2は図1のA−A線断面図である。 図3(a)〜(c)は実施例の防食性の試験方法の説明図である。
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の端子付き被覆電線の一実施例を示す外観斜視図であり、図2は図1のA−A線断面図である。図1及び図2に示すように、本実施例の端子付き被覆電線1は、被覆電線2の端部が、黄銅製の端子金具5の端部に圧着されている。被覆電線2は、アルミニウム合金製の電線導体3がポリ塩化ビニル樹脂よりなる絶縁体4により被覆されている。電線導体3と端子金具5の圧着部が接触部6となって、両者は電気的に接続されている。接触部6は防食剤7により被覆されている。図1は防食剤7の塗膜を透視した状態で示している。
図1及び図2に示す端子付き被覆電線1は、接触部6が、電線導体3のアルミニウム合金と端子金具5のスズめっきされた黄銅とが接触している。接触部6は、アルミニウムと銅系金属の異種金属が接触した状態の異種金属接続部として構成されている。
端子金具5は黄銅を母材として表面にスズめっきされた金属板を用い、端子金具が展開された所定の形状に打ち抜かれ、バレルの部分等が折り曲げられている。端子金具5は、相手側メス端子に接続されるオス端子としてのタブ状の接続部51と、該接続部51の基端より延設形成され被覆電線を圧着するためのバレル部54とを有する。バレル部54は、接続部51側に設けられたワイヤバレル52と、電線導体2側に設けられたインシュレーションバレル53の二つの圧着部から構成されている。
端子付き被覆電線1は、電線端末が皮剥されて露出した状態の電線導体3が、ワイヤバレル52により加締められ圧着している。また端子金具5のインシュレーションバレル53は、被覆電線2の絶縁体4の周囲に加締められて圧着している。このインシュレーションバレル53の圧着部は、端子金具5を被覆電線2の端末に固定、保持するための電線固定部となっている。
端子付き被覆電線1は、被覆電線2の電線導体3と端子金具5の接触部6が、硬化性樹脂が塗工され硬化された防食剤7により被覆されている。少なくとも防食剤7は、接触部6の電線導体3が露出した部分、電線導体3と端子金具6の接触界面等を被覆している必要がある。防食剤7は、電線導体3と端子金具5との異種金属の接触部6に、外部から水分等が侵入して金属部分が腐食するのを防止する保護膜としての機能を有している
防食剤7は、上記接触部6が外部に露出しないように被覆しているとともに、接触部6を含む電線接続部の隙間に充填されている。この隙間とは、複数の素線から構成されている電線導体3の素線同士の間や、電線導体3と端子金具5との間、電線導体3と絶縁体4との間等である。
本発明は、上記隙間に防食剤7の硬化性樹脂を確実に充填し、保持した状態で硬化させて、防食性を確実に発揮させるために、硬化前の硬化性樹脂が下記式1を満足する物性を有するようにした点に大きな特徴がある。
(式1)
Tcosθ≦40
式1において、Tは硬化性樹脂の表面張力(mN/m)、θは硬化性樹脂のアルミニウム表面に対する接触角(°)である。
以下、式1の技術的意義について説明する。防食剤に所定の防食性能を発揮させるためには、硬化前の硬化性樹脂を電線導体の素線同士の間、電線導体と端子の間等の隙間に確実に浸透させる必要がある。更に浸透した硬化性樹脂が、硬化するまでの間、浸透部位であるその隙間に留まっている必要がある。硬化性樹脂を浸透部位に浸透させ、その場所に留まらせるためには、防食剤の毛管圧を最適範囲とする必要がある。毛管圧は、下記の式2に示す一般式で表される。(式2) h=2(Tcosθ)/ρgr 式2において、hは毛管圧力により上昇する高さ、Tは表面張力、θは接触角、ρは密度、gは重力、rは隙間径である。式2に示すように、毛管圧の大きさは、防食剤の表面張力と接触角の余弦の積(Tcosθ)に関連してる。すなわちTcosθが大きくなると隙間に浸透しやすくなり、小さくなると浸透し難くなるが、隙間に留まりやすくなる。
硬化前の硬化性樹脂の物性として、Tcosθが5〜40mN/mの範囲内であれば、隙間に容易に浸透し、その部位に留まることが可能であり、期待する防食性能が得られることが判った。Tcosθが5mN/m未満では、隙間に十分浸透しない恐れがあり、40nm/mを超えると、素線間に浸透しても、その後に毛管現象により、充填した硬化性樹脂が硬化前外部に移動してしまい、所定の箇所を十分充填することができなくなって、防食性能が不十分となってしまう恐れがある。
Tcosθは、硬化性樹脂の表面張力と、硬化性樹脂と電線導体となる材料の表面に対する接触角から求めることができる。接触角は、例えば電線導体としてアルミニウムを用いた場合は、アルミニウム板の表面に対する硬化性樹脂の接触角を測定した数値を用いることができる。
表面張力(T)は、具体的にはウィルフェルミ法により求めることができる。接触角(θ)は、接線法により求めることができる。接触角及び表面張力は常温(23℃)で測定した値である。
硬化性樹脂は、粘度が5000mPa・s以下のものが用いられる。硬化性樹脂の粘度が5000mPa・sを超えると、隙間への浸透が困難になてしまう。好ましい硬化性樹脂の粘度の上限は、4000mPa・s以下である。また硬化性樹脂の粘度の下限は、特に限定されないが、300mPa・s以上であるのが好ましい。硬化性樹脂の粘度が300mPa・s未満になると、防食剤が隙間に留まることが困難になる恐れがある。更に好ましい硬化性樹脂の粘度の下限は、500mPa・s以上である。
硬化性樹脂の粘度は、特に測定器は問わないが、コーンプレート型粘度計で測定された値を用いた。粘度は常温(23℃)で測定した値である。
防食剤に用いられる硬化性樹脂は、その種類等、特に限定されずに用いることができる。好ましいい硬化性樹脂は、一成分型(一液型)の硬化性樹脂である。前記硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性樹脂、湿気硬化性シリコーン樹脂、湿気硬化性エポキシ樹脂等の湿気硬化性樹脂、溶剤乾燥硬化性樹脂等が挙げられる。これらは市販の硬化型接着剤、シール剤等を用いることができる。
硬化性樹脂のTcosθの調節は、硬化性樹脂の成分組成を適宜調節することで、所定の範囲内に入るようにすることが可能である。例えば、紫外線硬化性樹脂であれば、(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマー等の添加により調整することが可能である。
防食剤の硬化性樹脂は、硬化時間を短縮することが可能であるという点から、紫外線硬化が可能な紫外線硬化性樹脂として構成することが好ましい。硬化性樹脂を紫外線硬化性樹脂として構成する場合、重合開始剤として紫外線重合開始剤(光重合開始剤、光開始剤ということもある)を添加するのが好ましい。
上記光重合開始剤は、紫外線を吸収してラジカル重合を開始させる化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
また防食剤は硬化性樹脂を熱硬化性樹脂として構成することもできる。硬化性樹脂を熱硬化性樹脂として構成する場合は、重合開始剤として熱重合開始剤(熱開始剤)を添加するのが好ましい。
上記熱重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生してラジカル重合を開始させることが可能な化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知の有機過酸化物、アゾ化合物等を用いることができる。
また上記紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂は、湿気硬化性を付与して湿気硬化と紫外線硬化あるいは熱硬化等を併用することが更に好ましい。
硬化性樹脂には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を添加してもよい。上記他の成分としては、老化防止剤、密着性付与剤、腐食防止剤、チキソ性付与剤、レべリング剤等の液性調製剤、顔料、染料、無機フィラー等が挙げられる。
以下、端子付き被覆電線の防食剤の硬化性樹脂以外の構成について説明する。図1及び図2に示す端子付き被覆電線1の防食剤7が被覆している部分は、一点鎖線で示した範囲である。図2に示すように防食剤7は端子金具5と被覆電線2の外側周囲の形状に沿って、所定の厚さで被覆している。底面は防食剤7に覆われず、端子金具5の金属が外部に露出した状態になっている。
防食剤7は、少なくとも電線導体2の露出部分が完全に被覆されて外部に露出しないようになっている。防食剤7は、被覆電線4の端部側は、電線導体2の先端から端子金具5の接続部51側に少しはみ出すように被覆している。また端子金具5の端部側は、絶縁体4側に少しはみ出すように被覆している。
本発明の端子付き被覆電線1は、防食剤7により被覆されている部分が上記の形態に限定されるものではない。防食剤7は、少なくとも電線導体3が外部に露出しないように被覆されていればよい。電線導体3と絶縁体4との境界部分も防食剤により被覆されているのが好ましい。また図1に示すように、防食剤7がバレル部54から外方にはみ出すように、被覆しても良いし、特に図示しないが端子金具5の底面を防食剤7で被覆してもよい。また端子金具5の側面は、防食剤7により被覆されていても、被覆されていなくても、いずれでもよい。
電線導体3は、複数の素線3aが撚り合わされてなる撚線から構成されている。撚線は、1種の金属素線より構成されていても良いし、2種以上の金属素線より構成されていても良い。また、撚線は、金属素線以外に、有機繊維よりなる素線等を含んでいても良い。なお、1種の金属素線より構成されるとは、撚線を構成する全ての金属素線が同じ金属材料よりなることをいい、2種以上の金属素線より構成されるとは、撚線中に互いに異なる金属材料よりなる金属素線を含んでいることをいう。撚線中には、被覆電線を補強するための補強線(テンションメンバ)等が含まれていても良い。
上記電線導体3を構成する金属素線の材料としては、アルミニウム合金以外に、銅、銅合金、アルミニウムもしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料等を例示することができる。また、補強線としての金属素線の材料としては、銅合金、チタン、タングステン、ステンレス等を例示することができる。また、補強線としての有機繊維としては、ケブラー等を挙げることができる。電線導体3に用いられる金属素線としては、電線の軽量化等の点からアルミニウム又はアルミニウム合金を用いるのが好ましい。
被覆電線2に用いられる絶縁体4の材料としては、特に限定されず、例えば、ゴム、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。絶縁体4の材料中には、適宜、各種添加剤が添加されていても良い。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
端子金具5に用いられる材料(母材の材料)としては、黄銅以外に、各種銅合金、銅等を用いることができる。また端子金具5は、表面の一部(例えば接点)もしくは全体に、スズ、ニッケル、金等の各種金属によりめっきが施されていても良い。
防食剤7は、厚みが0.01〜3mmの範囲となるように塗布するのが好ましい。防食剤7の厚みが厚くなりすぎると、端子金具5を相手側端子のコネクタへ挿入し難くなる恐れがある。また防食剤7の厚みが薄くなりすぎると防食性能が不十分となる恐れがある。
以下、端子付き被覆電線の製造方法について説明する。端子付き被覆電線1を製造するには、先ず被覆電線2の端末の絶縁体4を皮剥ぎして電線導体2を所定の長さだけ露出させる。次いで被覆電線2の端末に、めっきされた母材を打ち抜き、曲げ加工等を施して形成された端子金具5を加締めて圧着し、電線導体3と端子金具5を接続する。圧着は、端子金具のワイヤバレル52に電線導体3を圧着し、インシュレーションバレル53に絶縁体4を圧着する。次いで、電線導体3と端子金具5との接触部6の所定の範囲に防食剤7の硬化性樹脂を塗布し、所定の条件で硬化せしめることで、端子付き被覆電線1が得られる。
硬化性樹脂を接触部6に塗布する方法は特に限定されず、例えば、滴下法、塗布法、押し出し法等の公知の手段を用いることができる。また硬化性樹脂を塗布する際、加熱、冷却等により温度調節してもよい。
硬化性樹脂の硬化には、紫外線照射装置や加熱装置等の硬化装置を用いることができる。
以下、本発明のワイヤーハーネスについて説明する。本発明のワイヤーハーネスは、上記端子付き被覆電線1を含む複数本の被覆電線を束ねて結束したものである。ワイヤーハーネスにおいては、被覆電線のうちの一部が本発明の端子付き被覆電線1であっても良いし、全てが本発明の端子付き被覆電線1であっても良い。
ワイヤーハーネスにおいて、複数本の被覆電線は、テープ巻きにより結束されていても良いし、或いは、丸チューブ、コルゲートチューブ、プロテクタ等の外装部品により外装されることで結束されていても、いずれでも良い。
本発明のワイヤーハーネスは、自動車等の車両に配索されるものとして好適であり、特に、被水領域のエンジンルームや車内に配索されるものとして好適である。ワイヤーハーネスがこのような場所に配索された場合、熱および水の影響を受けて、電線導体3と端子金具5との電気接続部に錆が発生し易くなる。本発明のワイヤーハーネスは、端子付き被覆電線1における電線導体3と端子金具5の接触部6が防食剤7に覆われているので、錆の発生を効果的に抑えることができる。
以下に本発明の実施例、比較例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜4、比較例1、2
表1に示す防食剤(硬化性樹脂)の配合組成で市販の接着剤、シール剤(A)〜(F)、モノマー(アクリル酸2−ヒドロキシブチル)、熱開始剤(パーブチルO)等の各成分を配合し、均一に混合して、実施例1〜4、比較例1、2の硬化性樹脂を調製した。得られた硬化性樹脂について、未硬化の状態のTcosθ、粘度Tgを測定した。更に得られた硬化性樹脂を用いて端子付き電線を作製し(1)樹脂充填性、(2)防食性等について試験を行った。試験結果を表1に示す。試験に用いた市販の接着剤、シール剤、各試験方法の詳細は下記の通りである。また端子金具として、錫めっき銅合金を用い、被覆電線として、アルミニウム導体が塩化ビニル製の絶縁体で被覆された電線を用いた。
〔市販の接着剤、シール剤〕
(A)TSE3995:一液室温硬化型シリコーン接着シール剤、モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン社製、製品名「TSE3995」
(B)U485:一液無溶剤紫外線硬化型接着剤、ケミテック社製、製品名「U−485」
(C)TB3017F:一液無溶剤紫外線硬化性アクリル樹脂、スリーボンド社製、製品名「3017F」
(D)KE3420:一液縮合硬化型シリコーンRTVゴム、信越化学社製、製品名「KE−3420」
(E)3006D:一液無溶剤紫外線硬化性アクリル樹脂、スリーボンド社製、製品名「3006D」
(F)AE−45:一液性エポキシ樹脂接着剤、味の素ファインテクノ社製、製品名「AE−15」
〔モノマー〕
アクリル酸2−ヒドロキシエチル
〔熱重合開始剤〕
パーブチルO:t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油社製、製品名「パーブチルO」
〔Tcosθの求め方〕
以下の方法でT及びθを実測して、Tcosθを算出した。
Tはウェルフェルミ法で求めた。
測定器:協和界面科学社製自動表面張力計DY−300
θはアルミ板上に試料を滴下した液滴の接線から求めた。
測定器:協和界面科学社製接触角計DMs−401
〔粘度の測定方法〕
コーンープレート型粘度計で測定。
コーン:直径25mm、角度4°、せん断速度:1/s、測定温度:23℃
測定器:アントンパール社製MCR102
〔(1)樹脂充填性の試験方法〕
端子金具に被覆電線の端部を圧着して圧着端子を作製し、端子金具と電線導体の接続部に防食剤を2mg塗布し、100℃×60分間加熱して防食剤を加熱硬化させ、常温に冷却した後、インシュレーションバレル部を剥ぎ取り、端子金具と電線導体(素線)の隙間に防食剤の硬化物が存在するか否かを、20倍に拡大して観察した。その結果、防食剤が存在する場合は良好(○)とし、防食剤が無い場合は不良(×)と判断した。
〔(2)防食性の試験方法〕
接続部に防食剤を塗布した上記圧着端子を高温高湿試験(90℃×95%RH120時間)後、図3(a)に示すようにインシュレーションバレル部53を横に広げ、電線2を持ち上げて、図3(b)、(c)に示すようにアルミニウム導体3の腐食状態を観察した。その結果、アルミニウム導体3が腐食していない場合を良好(○)とし、アルミニウム導体3が腐食した場合を不良(×)と判断した。
Figure 0006107620
表1に示すように実施例1〜4は、樹脂充填性及び防食性が良好であった。これに対し比較例1、2は樹脂充填性及び防食性が不良であった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、接触部6を被覆した防食剤7の上に更に保護層を形成してもよい。保護層は、接触部6の表面全体を被覆する樹脂皮膜から構成される。保護層は、前記防食剤7と同じ硬化性樹脂を塗布、硬化させたものでもよいし、熱可塑性樹脂等の組成物を塗布した塗膜等から構成してもよい。
上記実施例の端子付き被覆電線1は、端子金具としてタブ状のオス端子を用いた例を示したが、これに限定されるものではない。例えば端子付き被覆電線は、端子金具としてメス端子を用いたものでもよい。また、端子金具として音叉端子等を用いても良い。
また、端子金具5のバレル部54を、インシュレーションバレルを有しないワイヤバレルのみから構成しても良い。
また、バレル部54はインシュレーションバレルのみから構成してもよい。その場合、電線導体と端子金具の接続方法としては、圧接抵抗溶接、超音波溶接、ハンダ付け等の方法であっても良い。
また、上記実施例では電線導体3として撚線を用いたが、電線導体3は単芯線を用いてもよい。
1 端子付き被覆電線
2 被覆電線
3 電線導体
4 絶縁体
5 端子金具
51 端子金具の接続部
52 ワイヤバレル
53 インシュレーションバレル
54 バレル部
6 接触部
7 防食剤

Claims (5)

  1. 被覆電線の電線導体と端子金具との接触部が防食剤により被覆されている端子付き被覆電線であって、前記防食剤が硬化性樹脂の硬化物であり、硬化前の硬化性樹脂が、下記の式1を満足し、粘度が500〜5000mPa・sの範囲内であることを特徴とする端子付き被覆電線。
    (式1)
    5≦Tcosθ≦40
    式1において、Tは硬化性樹脂の表面張力(mN/m)、θは硬化性樹脂のアルミニウム表面に対する接触角(°)である。
  2. 前記硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂として構成されていることを特徴とする請求項に記載の端子付き被覆電線。
  3. 前記硬化性樹脂が熱硬化性樹脂として構成されていることを特徴とする請求項に記載の端子付き被覆電線。
  4. 前記被覆電線の電線導体がアルミニウムであり、前記端子金具が銅系金属から構成され、前記接触部が異種金属接続部として構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の端子付き被覆電線。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の端子付き被覆電線を有することを特徴とするワイヤーハーネス。
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