JP2015151487A - ポリエステル樹脂及びそれからなるブロー成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステルを構成する酸成分の70モル%以上がテレフタル酸であり、グリコール成分の60〜98モル%がエチレングリコールであり、2〜20モル%がビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体であるポリエステル樹脂であって、極限粘度が0.7〜1.4であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であり、かつカルボキシル末端基濃度が20当量/t以下であるポリエステル樹脂。環状3量体の含有量が0.6質量%以下であるポリエステル樹脂。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)を要旨とするものである。
(1)ポリエステルを構成する酸成分の70モル%以上がテレフタル酸であり、グリコール成分の60〜98モル%がエチレングリコールであり、2〜20モル%がビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体であるポリエステル樹脂であって、極限粘度が0.7〜1.4であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であり、かつカルボキシル末端基濃度が20当量/t以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
(2)環状3量体の含有量が0.6質量%以下である、(1)記載のポリエステル樹脂。
(3)(1)又は(2)記載のポリエステル樹脂からなるブロー成形品。
そして、本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂から得られるものであるため、透明性に優れており、種々の用途に用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂はブロー成形用に好適なものであり、中でも、溶融可塑化した樹脂をダイオリフィスを通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型に挟んで内部に空気を吹き込むダイレクトブロー成形法、もしくは射出成形でパリソンを形成し、これを延伸ブロー成形する延伸ブロー成形法に好適なものである。
ポリエステル樹脂中に含まれるテレフタル酸以外の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体の含有量(共重合量)は、全グリコール成分の2〜20モル%であり、中でも3〜15モル%であることが好ましく、さらには3〜12モル%であることが好ましい。ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体を適量共重合することにより、ポリエステル樹脂の結晶化速度をブロー成形に適したものに調整することができ、ブロー成形時の結晶化を防ぐことができる。
なお、エチレングリコールとビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体の合計量は、全グリコール成分の70モル%以上であることが好ましく、中でも80モル%以上であることが好ましい。
重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9未満の場合、樹脂中の分子鎖の絡み合いや、架橋密度が不足するため、ブロー成形に適した粘性を有するものとすることができない。このため、ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。
なお、ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基濃度を20当量/t以下としたり、環状3量体の含有量を0.6質量%以下とするには、ポリエステル樹脂を得るための溶融重合反応後に、特定の条件で固相重合反応を行うことにより可能となる。
酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、加圧下、160〜280℃の温度でエステル化反応を行う。この後、反応生成物を重合反応器に移し、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、重縮合触媒、必要に応じて酸化防止剤や着色防止剤等の添加剤を添加し、通常1hPa以下の減圧下で240〜290℃、好ましくは250〜280℃の温度で溶融重合反応を行う。ここで得られる共重合ポリエステル(プレポリマー)の極限粘度は、0.5〜0.8の範囲であることが好ましい。
(a)極限粘度
前記と同様の方法で測定した。
(b)ポリエステル樹脂の組成
得られたポリエステル樹脂を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合成分の種類と含有量を求めた。
(c)重量平均分子量と数平均分子量の比
得られたポリエステル樹脂を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を測定し、重量平均分子量/数平均分子量を算出した。
送液装置:ウォーターズ社製IsocraticHPLCPump1515
検出器:ウォーターズ社製RefractiveIndexDetector2414
カラム:Mixed−D
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=5/95(質量比)
流速:1ml/分
測定温度:40℃
(d)カルボキシル末端基濃度
得られたポリエステル樹脂0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。
(e)環状3量体含有量
得られたポリエステル樹脂100mgをヘキサフルオロイソプロパノールとクロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、アセトニトリルを加え、抽出したのち、液体クロマトグラフィーを用いて以下の条件にて測定し、環状3量体の量を算出した。
カラム:Waters マイクロボンダスフィア
充填剤:Si-C18 5μ 100A
検出器: Waters 2996型 PDA検出器(光源波長 254nm)
測定時流速:1ml/分
移動相溶媒:アセトニトリル/水=7/3及びアセトニトリル
得られた成形品(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.30mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
(g)ダイレクトブロー成形リサイクル性
得られた成形品を粉砕機で粉砕した粉砕品50質量部、各例にて得られたポリエステル樹脂50質量部をブレンドし、除湿乾燥機に投入し乾燥した後、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形を行い、成形品を得た。得られた成形品(サンプル数100本)につき、(f)と同様にして成形性を評価した。
(h)ダイレクトブロー成形ヘーズ
得られた成形品及び(g)で得られた成形品のそれぞれにおいて、サイズ:厚さ2mm×長さ5cm×幅5cmの試験片(100個)を切り出して試験片の濁度を日本電色工業社製の濁度計MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数100の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(i)延伸ブロー成形性
得られた成形品(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が30μmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
(j)延伸ブロー成形リサイクル性
得られた成形品を粉砕機で粉砕した粉砕品50質量部、各例にて得られたポリエステル樹脂50質量部をブレンドし、除湿乾燥機に投入し乾燥した後、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形を行い、成形品を得た。得られた成形品(サンプル数100本)につき、(i)と同様にして成形性を評価した。
(k)延伸ブロー成形ヘーズ
得られた成形品及び(j)で得られた成形品のそれぞれにおいて、サイズ:厚さ300μm×長さ5cm×幅5cmの試験片(100個)を切り出して試験片の濁度を日本電色工業社製の濁度計MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数100の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、3%以下であれば透明性に優れていると判定した。
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
TPAとEGの反応生成物55.5質量部を重合反応器に仕込み、続いて、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体(BAEO)3.2質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、酢酸コバルト0.004質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO-60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。このプレポリマーの極限粘度は、0.66であった。
続いて、該プレポリマーを結晶化装置に連続的に供給し150℃で結晶化をさせた後、乾燥機に供給し160℃で8時間乾燥後、予備加熱機に送り190℃まで加熱した後、固相重合機へ供給し、窒素ガス下にて固相重合反応を190℃で50時間行った。
得られたポリエステル樹脂をチップ化し、乾燥させた後、ダイレクトブロー成形機(タハラ社製)を用い、押出温度260℃で樹脂を押出して円筒形パリソンを形成し、パリソンが軟化状態にあるうちに金型で挟み、底部形成を行い、これをブローしてボトルを成形した。このとき、パリソン径3cmで長さが25cmとなったところで底部形成を行い、ブロー成形して500ccの中空容器(ダイレクトブロー成形品)を得た。
また、このポリエステル樹脂を用い、乾燥させた後、シリンダー各部およびノズル温度を260℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成型機(日精エーエスビー社製、ASB−50TH型)を用いてプリフォームを成形した。次いで、このプリフォームを100℃雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形し、胴部の平均肉厚300μm、内径3.5cm、高さ15cmの円筒状のボトル(内容積150ccの中空容器;延伸ブロー成形品)を得た。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体の共重合量や、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が表1の値となるように組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品、及び延伸ブロー成形品を得た。なお、比較例6においては、ダイレクトブロー成形機及び延伸ブロー成形機における押出温度を290℃として行った。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体の共重合量が表1の値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、乾燥機の乾燥条件を130℃、10時間、予備加熱機による加熱温度を180℃とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体の共重合量が表1の値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、乾燥機の乾燥条件を120℃、18時間、予備加熱機による加熱温度を175℃とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体の共重合量が表1の値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、乾燥機の乾燥条件を110℃、24時間、予備加熱機による加熱温度を170℃とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、固相重合反応時間を40時間とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が表1の値となるように組成を変更した以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、固相重合反応時間を60時間とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、固相重合反応時間を15時間とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂を、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体の共重合量、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が表1の値となるように組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーを実施例1と同様、結晶化装置に連続的に供給したが、固着したため結晶化を行うことができなかった。
そこで固相重合を行うことなく、エステル化反応、溶融重合反応を行って得た共重合ポリエステルのプレポリマーをポリエステル樹脂とし、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
実施例1で得られた共重合ポリエステルのプレポリマーをポリエステル樹脂とした(固相重合反応を行わなかった)。
そして、得られたポリエステル樹脂を、実施例1と同様にダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、得られた共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、固相重合反応時間を80時間とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂を用い、ダイレクトブロー成形機、及び延伸ブロー成形における押出温度を290℃とした以外は、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
溶融重合反応時間を8時間とした以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、得られた共重合ポリエステルのプレポリマーをポリエステル樹脂とした(固相重合反応を行わなかった)。
そして、得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
を得た。
ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が表1の値となるように変更した以外は比較例7と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
なお、比較例9においては、ダイレクトブロー成形機及び延伸ブロー成形機における押出温度を290℃として行った。
なお、実施例9で得られたポリエステル樹脂は、極限粘度が低かったため、ダイレクトブロー成形の際のドローダウンが大きくなり、ダイレクトブロー成形品を得ることができなかった。しかしながら、延伸ブロー成形は実施例1〜8と同様、操業性よく行うことができ、得られた成形品については厚みムラがなく、透明性に優れたものであった。また、リサイクル性にも優れていた。
Claims (3)
- ポリエステルを構成する酸成分の70モル%以上がテレフタル酸であり、グリコール成分の60〜98モル%がエチレングリコールであり、2〜20モル%がビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体であるポリエステル樹脂であって、極限粘度が0.7〜1.4であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であり、かつカルボキシル末端基濃度が20当量/t以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
- 環状3量体の含有量が0.6質量%以下である、請求項1記載のポリエステル樹脂。
- 請求項1又は2記載のポリエステル樹脂からなるブロー成形品。
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