JP2015150652A - 超硬工具用基材及び超硬工具、並びに超硬工具用基材及び超硬工具の製造方法 - Google Patents

超硬工具用基材及び超硬工具、並びに超硬工具用基材及び超硬工具の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度化することができる超硬工具用基材を提供する。
【解決手段】超硬工具用基材の製造方法は、炭化タングステン粉末を含む金属炭化物粉末と、コバルト粉末と、チタン粉末及びアルミニウム粉末の少なくとも一方とを混合して混合物を得る工程(ステップS1−1)と、混合物を焼結する工程(ステップS1−2)とを備える。金属炭化物粉末及びコバルト粉末の合計100質量部に対して、チタン粉末及びアルミニウム粉末の合計が3.0〜7.0質量部である。
【選択図】図2

Description

本発明は、超硬工具用基材及び超硬工具、並びにその製造方法に関する。
従来、超硬合金を基材として用いた超硬工具が知られている。超硬合金は、金属炭化物の粉末を焼結して製造される。機械的特性に特に優れる超硬合金として、炭化タングステン(WC)とコバルト(Co)とを主成分とするWC−Co系超硬合金が知られている。また、超硬合金の基材の表面に物理蒸着又は化学蒸着によって保護膜を形成し、耐摩耗性及び潤滑性を向上させた超硬工具が知られている。
超硬工具は、高硬度材料の加工に用いられる。高硬度材料は例えば、マルテンサイト系ステンレス鋼管、オーステナイト系ステンレス鋼管、二相系ステンレス鋼管等の高合金管である。超硬工具は例えば、これらの管のネジ切削加工に用いられるチェザー、抽伸加工に用いられるプラグ、切削加工に用いられるチップ等である。
特開2002−210525号公報には、WCの粉末をCoで焼結形成した超硬合金により製造され、その製造品に窒化又は軟窒化による表面処理が施されていることを特徴とする超硬工具が開示されている。この特許文献によれば、WCとCoとを焼結した超硬合金には、WC、Co以外に微量な不純物(Fe、Mo等)が含まれている。そのため、この超硬合金に窒化処理又は軟窒化処理を実施すると、不純物の成分が窒化される。この特許文献には、窒化処理又は軟窒化処理によって、超硬工具の耐摩耗性及び疲労強度を改善できると記載されている。
特開2002−210525号公報
上記の特許文献に記載された超硬工具では、超硬合金に含まれる不純物(Fe、Mo等)が窒化されて、超硬合金の表層に、窒化鉄等を含んだ窒素拡散層が形成される。この窒素拡散層の線熱膨張係数は約8.5×10−6/Kであり、超硬合金の線熱膨係数(約5.5×10−6/K)との差が比較的大きい。そのため、この窒素拡散層には強い圧縮応力が存在する。したがって、この超硬工具では、界面剥離、又は窒素拡散層のチッピングに起因する窒素拡散層全体の破壊等が懸念される。
本発明の目的は、高強度化することができる超硬工具用基材を提供することである。
本発明の一実施形態による超硬工具用基材の製造方法は、炭化タングステン粉末を含む金属炭化物粉末と、コバルト粉末と、チタン粉末及びアルミニウム粉末の少なくとも一方とを混合して混合物を得る工程と、混合物を焼結する工程とを備える。金属炭化物粉末及びコバルト粉末の合計100質量部に対して、チタン粉末及びアルミニウム粉末の合計が3.0〜7.0質量部である。
本発明の一実施形態による超硬工具の製造方法は、炭化タングステン粉末を含む金属炭化物粉末と、コバルト粉末と、チタン粉末及びアルミニウム粉末の少なくとも一方とを混合して混合物を得る工程と、混合物を焼結して超硬工具用基材を得る工程と、超硬工具用基材を窒素雰囲気中で加熱して超硬工具用基材の表層に窒素拡散層を形成する工程とを備える。金属炭化物粉末及びコバルト粉末の合計100質量部に対して、チタン粉末及びアルミニウム粉末の合計が3.0〜7.0質量部である。
本発明の一実施形態による超硬工具用基材は、炭化タングステンを含む金属炭化物と、金属コバルトと、金属チタン及び金属アルミニウムの少なくとも一方とを備える。金属炭化物及び金属コバルトの合計100質量部に対して、金属チタン及び金属アルミニウムの合計が3.0〜7.0質量部である。
本発明の一実施形態による超硬工具は、上記の超硬工具用基材を備える。超硬工具用基材は、その表層に形成された窒素拡散層を含む。
本発明によれば、高強度化することができる超硬工具が得られる。
図1は、本発明の第1の実施形態による超硬工具の表面の構成を模式的に示す断面図である。 図2は、超硬工具の製造方法の一例を示すフロー図である。 図3は、本発明の第2の実施形態による超硬工具の表面の構成を模式的に示す断面図である。 図4は、超硬工具の製造方法の一例を示すフロー図である。
本発明者は、超硬工具の性能を向上させる方法を検討した。より具体的には、廉価で生産性に優れる窒化処理を、炭化タングステン及びコバルトを主原料とする超硬合金に応用して、高強度の超硬工具を得る方法を検討した。
窒化処理は、鋼材の表面を高強度化させる方法として広く用いられている技術である。しかし、窒化処理を行うためには、被処理材中に窒素との共有結合性の高い元素が含まれている必要がある。炭化タングステン及びコバルトを主原料とする超硬合金は、窒素との共有結合性の高い元素が乏しい。そのため、超硬合金に対する窒化処理の効果は限定的なものになる。
本発明者は、窒化処理を有効にする元素として、金属チタン及び金属アルミニウムを見出した。すなわち、本発明者は、超硬合金の原料である炭化タングステン、コバルト等に金属チタン及び金属アルミニウムを適量含有させることで、窒化処理によって高強度化することができる超硬工具用基材が得られることを見出した。
本発明者は、金属チタン及び金属アルミニウムを含有させた超硬工具用基材を窒化処理し、又は窒化処理された超硬工具用基材の上にさらに保護膜を形成することによって、強度の高い超硬工具が得られることを見出し、本発明を完成させた。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による超硬工具1の表面の構成を模式的に示す断面図である。超硬工具1は、超硬工具用基材10を備えている。超硬工具基材10の表層には、窒素拡散層10aが形成されている。
超硬工具用基材10は、金属炭化物と、金属コバルトと、金属チタン及び金属アルミニウムの少なくとも一方とを含有している。超硬工具用基材10は、後述するように、これらの原料粉末を混合して焼結した焼結体を、窒化処理したものである。
金属炭化物は、炭化タングステンを含んでいる。金属炭化物は、炭化タングステンに加えて、炭化チタン、及び炭化タンタル等をさらに含んでいても良い。
超硬工具用基材10における金属炭化物とコバルトとの質量比は、例えば95:5〜80:20である。金属炭化物の量に対してコバルトの量が少なすぎると、金属炭化物を十分に結合させることができないため、超硬工具用基材10の強度が低下する。一方、金属炭化物の量に対してコバルトの量が多すぎると、超硬工具用基材10の硬度が低下する。金属炭化物とコバルトとの質量比は、より好ましくは92:8〜85:15である。
超硬工具用基材10は、コバルトの他に、チタン及びアルミニウムの少なくとも一方を金属成分として含有している。ここで、「金属成分として含有している」とは、化合物として存在しているものを除くことを意味する。例えば、金属炭化物として炭化チタンが含まれている場合、炭化チタン中のチタン元素は、金属成分としてのチタンには含めない。
チタン及びアルミニウムは、窒素との共有結合性が高い。また、チタン及びアルミニウムは、窒化チタン及び窒化アルミニウムとして生成した後は安定化合物として存在し、高硬度結晶粒として機能する。そのため、チタン及び/又はアルミニウムを含んだ超硬工具用基材10を窒化処理すれば、硬度の高い窒素拡散層を得ることができる。チタン及びアルミニウムの少なくとも一方が含まれていれば、窒化処理によって硬度の高い窒素拡散層を得ることができる。
また、超硬工具用基材10中に窒化アルミニウムが形成されると、超硬工具用基材10の熱伝導率が高まる。そのため、超硬工具用基材10を超硬工具1として使用したとき、超硬工具1の放熱性が高まる。超硬工具用基材10は、硬度の高い窒素拡散層を得るためにはチタン及びアルミニウムの少なくとも一方を金属成分として含有していれば良いが、上述の理由によって、アルミニウムを金属成分として含有していることがより好ましい。
超硬工具用基材10中のチタン及びアルミニウムの合計の含有量は、金属炭化物及びコバルトの合計100質量部に対して、3.0〜7.0質量部である。チタン及びアルミニウムの含有量が少なすぎると、超硬工具用基材10を窒化処理しても十分な硬度が得られない。一方、チタン及びアルミニウムの含有量が多すぎると、超硬工具用基材10の摩擦係数或いは表面粗さが劣化するなど表面平滑性が損なわれる他、密着力が低下する。チタン及びアルミニウムの合計の含有量は、下限の観点では、3.0質量部以上がより好ましく、4.0質量部以上がさらに好ましい。上限の観点では、7.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましい。
窒素拡散層10aは、後述するように、超硬工具用基材10を窒化処理することによって形成される。窒素拡散層10aには、窒化チタン及び/又は窒化アルミニウムが分散して析出している。
上述のように、窒化チタン及び/又は窒化アルミニウムが高硬度結晶粒として機能するため、窒化チタン及び/又は窒化アルミニウムが分散して析出した窒素拡散層10aは、高い硬度を有する。また、窒化アルミニウムが分散して析出した窒素拡散層10aは、高い放熱性を有する。
さらに、窒化チタン及び/又は窒化アルミニウムを含む窒素拡散層10aの線熱膨張係数は約6.5×10−6/Kであり、窒素拡散層10a以外の部分の線熱膨係数(約5.5×10−6/K)との差が比較的小さい。そのため、窒素拡散層10aの内部応力を、緩慢な圧縮応力に抑えることができる。
窒素拡散層10aの厚さは、例えば10〜100μmである。好ましい窒素拡散層10aの厚さは、10〜30μmである。窒素拡散層10aが薄すぎると、十分な硬度が得られない。一方、窒素拡散層10aを過剰に厚く形成しても効果は飽和するので、生産効率の面から好ましくない。
[超硬工具1の製造方法]
図2は、超硬工具1の製造方法の一例を示すフロー図である。本実施形態による超硬工具1の製造方法は、超硬工具用基材10を製造する工程(ステップS1)と、超硬工具用基材10を窒化処理する窒化処理工程(ステップS2)とを備えている。
超硬工具用基材10を製造する工程(ステップS1)は、原料混合工程(ステップS1−1)と、焼結工程(ステップS1−2)とを含んでいる。
原料混合工程(ステップS1−1)ではまず、金属炭化物粉末及びコバルト粉末を準備する。金属炭化物粉末とコバルト粉末との質量比が、例えば95:5〜80:20となるように配合する。金属炭化物粉末とコバルト粉末との質量比は、より好ましくは92:8〜85:15である。
金属炭化物粉末は、炭化タングステン粉末を含んでいる。金属炭化物粉末は、炭化タングステン粉末に加えて、炭化チタン粉末、及び炭化タンタル粉末等をさらに含んでいても良い。
金属炭化物粉末の平均粒径は、例えば円相当径で0.05〜5.0μmである。粒径が小さすぎると当該粉末を成形金型に充填する際、超硬工具用基材10の製造効率が低下する。一方、粒径が大きすぎると超硬工具用基材10の焼結緻密度が低下する。コバルト粉末の平均粒径は、例えば円相当径で0.5〜1.0μmである。
上記の原料粉末の混合物に、チタン粉末及びアルミニウム粉末の少なくとも一方を加える。このとき、金属炭化物粉末とコバルト粉末との合計100質量部に対して、チタン粉末及びアルミニウム粉末の合計が3.0〜7.0質量部となるように配合する。チタン粉末及びアルミニウム粉末の合計は、下限の観点では、3.0質量部以上がより好ましく、4.0質量部以上がさらに好ましい。上限の観点では、7.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましい。
上記の原料粉末の混合物に、必要に応じて他の原料をさらに加えても良い。
これらの原料粉末を十分に混合する。混合方法は任意であり、湿式であっても良いし、乾式であっても良い。
焼結工程(ステップS1−2)は、圧粉成形工程(ステップS1−2−1)と、予備焼結工程(ステップS1−2−2)と、本焼結工程(ステップS1−2−3)とを含んでいる。
圧粉成形工程(ステップS1−2−1)では、原料混合工程(ステップS1−1)で得られた原料粉末の混合物を、超硬工具1に対応する形状に冷間プレス成形(圧粉成形)する。
予備焼結工程(ステップS1−2−2)では、圧粉成形工程(ステップS1−2−1)で得られた成形品を、大気中で焼成する。処理温度は例えば、900〜1100℃である。処理時間(最高到達温度での保持時間)は例えば、30〜120分である。
本焼結工程(ステップS1−2−3)では、予備焼結工程(ステップS1−2−2)で得られた焼成体を、真空雰囲気で焼結する。真空度は例えば、5.0Pa以下である。処理温度は例えば、1300〜1500℃である。処理時間(最高到達温度での保持時間)は例えば、30〜240分である。
以上の工程によって、超硬工具用基材10が製造される。
窒化処理工程(ステップS2)では、ステップS1で得られた超硬工具用基材10を窒素雰囲気中で加熱して、窒素拡散層10aを形成する。より具体的には、窒素ガス雰囲気中、又はアンモニアガス雰囲気中で焼結体を熱処理する。処理温度は例えば、450〜600℃である。処理時間(最高到達温度での保持時間)は30〜120分である。
チタン及び/又はアルミニウムを含んだ超硬工具用基材10を窒化処理することによって、窒化チタン及び/又は窒化アルミニウムが分散して析出する。窒化チタン及び/又は窒化アルミニウムは、安定化合物として存在し、高硬度粒として有効に機能する。
処理時間が短すぎると、窒化チタン及び/又は窒化アルミニウムが十分に析出せず、硬度向上の効果が得られない。一方、処理時間を過剰に長くしても効果は飽和するので、生産効率の面から好ましくない。
以上、超硬工具1の構成及び製造方法を説明した。本実施形態によれば、窒化処理によって高強度化できる超硬工具用基材10が得られる。また、この超硬工具用基材10を窒化処理して得られた超硬工具1は、優れた強度を有している。
窒化チタン及び窒化アルミニウムは、窒化鉄等と比較して、高い硬度を有している。そのため、窒化チタン及び/又は窒化アルミニウムが分散して析出した窒素拡散層10aを有する超硬工具1は、優れた表面硬度を有している。より具体的には、超硬工具1は、ビッカース硬度2000以上の表面硬度を有している。
本実施形態による超硬工具1では、窒素拡散層10aと窒素拡散層10a以外の部分との熱膨張率差が比較的小さい。そのため、窒素拡散層10aのチッピングが抑制される。そのため、超硬工具1は、特に耐アブレッシブ摩耗性に優れている。
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態による超硬工具2の表面の構成を模式的に示す断面図である。超硬工具1は、超硬工具用基材10と、超硬工具用基材10の窒素拡散層10aの上に形成された保護膜20を備えている。
保護膜20は、保護膜21、保護膜22、及び保護膜23を含んでいる。保護膜21、保護膜22、及び保護膜23は、超硬工具用基材10の表面から、この順番で形成されている。
保護膜21、保護膜22、及び保護膜23のそれぞれは、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物のいずれかからなる。保護膜21、保護膜22、及び保護膜23は、超硬工具用基材10の耐摩耗性及び潤滑性を高める。
金属窒化物は例えば、窒化チタン(TiN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化クロム(CrN)、及びこれらの複合金属窒化物(TiAlN,TiSiN,CrSiN,AlCrSiN等)である。
金属酸化物は例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタニウム(TiO)、及びこれらの複合金属酸化物である。
金属炭化物は例えば、炭化チタン(TiC)、炭化珪素(SiC)、炭窒化チタン(TiCN)、炭窒化アルミニウム(AlCN)、及びこれらの複合金属炭窒化物である。
保護膜20は、保護膜21としてTiCN、保護膜22としてAl、保護膜23としてTiN膜を用いることが好ましい。
保護膜21、保護膜22、及び保護膜23の厚さは例えば、それぞれ0.1〜20μmであり、保護膜20全体の厚さは例えば、1〜40μmである。
本実施形態では、保護膜20が、保護膜21、保護膜22、及び保護膜23の3層から構成されている場合を説明した。しかし、保護膜20は、1層又は2層から構成されていても良く、4層以上から構成されていても良い。
[超硬工具2の製造方法]
図4は、超硬工具2の製造方法の一例を示すフロー図である。本実施形態による超硬工具2の製造方法は、超硬工具用基材を製造する工程(ステップS1)と、窒化処理工程(ステップS2)と、保護膜形成工程(ステップS3)とを備えている。超硬工具用基材を製造する工程(ステップS1)及び窒化処理工程(ステップS2)は第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
保護膜形成工程(ステップS3)では、窒化処理工程(ステップS2)によって形成した窒素拡散層10aの上に、保護膜21、保護膜22、及び保護膜23を順番に形成する。保護膜21、保護膜22、及び保護膜23のそれぞれは例えば、物理蒸着法、化学蒸着法等のドライ成膜法によって形成される。保護膜21、保護膜22、及び保護膜23のそれぞれを、異なる成膜方法によって形成しても良い。保護膜21、保護膜22、及び保護膜23は、廉価で生産性に優れる化学蒸着法によって形成することが好ましい。
保護膜21を化学蒸着法によって形成する場合には、窒化処理工程(ステップS2)と保護膜形成工程(ステップS3)とを同一の反応炉で、連続して実施することが好ましい。すなわち、窒化処理後、温度を室温まで下げることなく保護膜21を形成することが好ましい。これによって、保護膜21を形成する際に超硬工具用基材10を再加熱しなくても良いため、生産効率を高めることができる。より好ましくは、保護膜21、保護膜22、及び保護膜23をすべて化学蒸着法によって形成し、これらをすべて同じ反応炉で実施する。これによって、生産効率をより高めることができる。
以上、超硬工具2の構成及び製造方法を説明した。本実施形態によれば、保護膜20によって、超硬工具1よりも耐摩耗性及び潤滑性が改善された超硬工具2が得られる。
超硬工具2では、保護膜20は、窒化拡散層10aの上に形成される。保護膜20の線熱膨張係数は、約7.0〜9.0×10−6/Kであり、超硬工具用基材10の線熱膨係数(約5.5×10−6/K)よりも大きい。一方、窒化拡散層10aの線熱膨張係数は約6.5×10−6/Kである。したがって、保護膜20を窒素拡散層10aの上に形成することによって、保護膜20を窒化処理されていない超硬工具用基材10の上に形成する場合と比較して、熱膨張率差を小さくすることができる。これによって、超硬工具用基材10と保護膜20との密着力を向上させることができる。そのため、超硬工具2は、耐アブレッシブ摩耗性に特に優れている。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、この実施例は本発明を限定するものではない。
チタン粉末及びアルミニウム粉末の含有量を変えて、複数の超硬工具用基材を製造した。それぞれの超硬工具用基材を窒化処理して、超硬工具を製造した。製造した超硬工具のビッカース硬度を測定した。さらに、それぞれの超硬工具の窒素拡散層の上に化学蒸着法によって保護膜を形成した。保護膜を形成した超硬工具のそれぞれの摩擦係数及、表面粗さ、及び超硬工具用基材と保護膜との密着力を測定した。
[超硬工具用基材の製造]
炭化タングステン粉末、炭化チタン粉末、炭化タンタル粉末、及びコバルト粉末を、質量割合で85:3:2:10となるように秤量した。さらに、炭化タングステン粉末、炭化チタン粉末、炭化タンタル粉末、及びコバルト粉末の合計100質量部に対して、チタン粉末及びアルミニウム粉末をそれぞれ0.0〜5.0質量部の範囲で変えて準備した。これらの原料粉末を、乾式ボールミルで12時間混合した。
原料粉末の混合体をそれぞれ圧粉成形した。成型体を1000℃で60分、大気中で焼成した。焼成した焼結体を、10Pa以下に減圧した雰囲気下で、1400℃で120分保持して焼結して超硬工具用基材を製造した。
[超硬工具の製造]
製造した超硬工具用基材のそれぞれを、500〜550℃で60分、窒素或いはアンモニアガス雰囲気中で熱処理する窒化処理を実施して、超硬工具を製造した。
[硬度測定]
製造した超硬工具のそれぞれのビッカース硬度Hvを測定した。試験荷重は1.0kgfとした。ビッカース硬度Hvが2000以上になることを目標とした。
[保護膜の形成]
製造した超硬工具のそれぞれに、超硬工具用基材の表面から順番に、TiCN膜、Al膜、及びTiN膜を化学蒸着法によって形成した。
[摩擦係数測定]
保護膜を形成した超硬工具のそれぞれの摩擦係数μを測定した。具体的には、バウデン式滑り試験機を使用し、荷重5N、室温、速度4mm/秒で直径5mmの高炭素クロム鋼軸受材料、例えば、SUJ2製の鋼球を摺動させて測定した。摩擦係数μが0.30以下になることを目標とした。
[表面粗さ測定]
保護膜を形成した超硬工具のそれぞれの表面粗さRaを測定した。具体的には、ミツトヨ製、SurfScan;SV−600型を使用し、触針(ダイアモンド製針、外径25μm)で保護膜形成後の任意表面を10mm長で走査し、JIS B0601−1994に定める算術平均粗さRaを測定した。表面粗さRaが0.40以下になることを目標とした。
[密着力測定]
保護膜を形成した超硬工具のそれぞれの密着力F(N)を測定した。具体的には、CSEM社製REVETEST型スクラッチ式試験機を使用し、外径0.2mm、先端角120°のダイアモンド針を、走査速度10mm/分、荷重速度100N/分、最大荷重105Nで走査し、下地が露出した時点(光学顕微鏡で判別)又は先端針が異常機械震動(AE信号)を検知した時点の荷重値を密着力とした。密着力が100N以上になることを目標とした。
[測定結果]
測定結果を表1に示す。
Figure 2015150652
表1の「Ti」、「Al」及び「Ti+Al」の欄には、炭化タングステン粉末、炭化チタン粉末、炭化タンタル粉末、及びコバルト粉末の合計100質量部に対する、チタン粉末、アルミニウム粉末、及びこれらの合計の質量部が記載されている。「硬度」の欄には、硬度測定によって測定されたビッカース硬度Hvの値が記載されている。「摩擦係数」の欄には、摩擦係数測定によって測定された摩擦係数μの値が記載されている。「表面粗さ」の欄には、表面粗さ測定によって測定された表面粗さRaの値が記載されている。「密着力」の欄には、密着力測定によって測定された密着力F(N)の値が記載されている。
表1を参照して、番号4〜8の超硬工具は、炭化タングステン粉末、炭化チタン粉末、炭化タンタル粉末、及びコバルト粉末の合計100質量部に対して、チタン粉末及びアルミニウム粉末の合計が3.0〜7.0質量部の範囲であった。そのため、番号4〜8の超硬工具は、ビッカース硬度が2000以上であった。さらに番号4〜8の超硬工具は、摩擦係数が0.30以下であり、表面粗さが0.4以下であり、密着力が100N以上であった。
番号1〜3の超硬工具は、炭化タングステン粉末、炭化チタン粉末、炭化タンタル粉末、及びコバルト粉末の合計100質量部に対して、チタン粉末及びアルミニウム粉末の合計が3.0質量部未満であった。そのため、番号1〜3の超硬工具は、ビッカース硬度が2000未満であった。
番号9〜11の超硬工具は、炭化タングステン粉末、炭化チタン粉末、炭化タンタル粉末、及びコバルト粉末の合計100質量部に対して、チタン粉末及びアルミニウム粉末の合計が7.0質量部を超えた。そのため、番号9〜11の超硬工具は、摩擦係数が0.3を超え、表面粗さが0.4を超え、密着力が100N未満であった。

Claims (6)

  1. 炭化タングステン粉末を含む金属炭化物粉末と、コバルト粉末と、チタン粉末及びアルミニウム粉末の少なくとも一方とを混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物を焼結する工程とを備え、
    前記金属炭化物粉末及び前記コバルト粉末の合計100質量部に対して、前記チタン粉末及び前記アルミニウム粉末の合計が3.0〜7.0質量部である、超硬工具用基材の製造方法。
  2. 炭化タングステン粉末を含む金属炭化物粉末と、コバルト粉末と、チタン粉末及びアルミニウム粉末の少なくとも一方とを混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物を焼結して超硬工具用基材を得る工程と、
    前記超硬工具用基材を窒素雰囲気中で加熱して前記超硬工具用基材の表層に窒素拡散層を形成する工程とを備え、
    前記金属炭化物粉末及び前記コバルト粉末の合計100質量部に対して、前記チタン粉末及び前記アルミニウム粉末の合計が3.0〜7.0質量部である、超硬工具の製造方法。
  3. 請求項2に記載の超硬工具の製造方法であって、さらに、
    金属窒化物、金属酸化物、及び金属炭窒化物からなる群から選択される1種又は2種以上からなる保護膜を前記窒素拡散層上に形成する工程を備える、超硬工具の製造方法。
  4. 炭化タングステンを含む金属炭化物と、
    金属コバルトと、
    金属チタン及び金属アルミニウムの少なくとも一方とを備え、
    前記金属炭化物及び前記金属コバルトの合計100質量部に対して、前記金属チタン及び前記金属アルミニウムの合計が3.0〜7.0質量部である、超硬工具用基材。
  5. 請求項4に記載の超硬工具用基材を備え、
    前記超硬工具用基材は、その表層に形成された窒素拡散層を含む、超硬工具。
  6. 請求項5に記載の超硬工具であって、さらに、
    前記窒素拡散層上に形成され、金属窒化物、金属酸化物、及び金属炭窒化物からなる群から選択される1種又は2種以上からなる保護膜を備える、超硬工具。
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