JP2015150510A - シリカ処理剤 - Google Patents

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和隆 大崎
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Abstract

【課題】水に溶解しているシリカの析出抑制剤または凝集剤として実用的なシリカ処理剤を実現する。
【解決手段】シリカ処理剤は、式(1)で表されるケイ素化合物を含む。Rは、水素、水酸基、加水分解性基または非加水分解性のイオン性有機鎖である。但し、Rは、少なくとも一つが水酸基または加水分解性基であり、かつ、少なくとも一つが非加水分解性のイオン性有機鎖である。このシリカ処理剤は、イオン性有機鎖が陰イオン性有機鎖の場合にシリカの析出抑制剤として機能し、イオン性有機鎖が陽イオン性有機鎖の場合にシリカの凝集剤として機能する。
Figure 2015150510

【選択図】なし

Description

本発明は、シリカ処理剤、特に、水に溶解しているシリカの処理剤に関する。
シリカなどの溶解成分を含む天然水、例えば、湖沼水、河川水または地下水を取水原とする水道水や工業用水を給水用や循環用の用水として用いるボイラやクーリングタワーは、用水と触れる箇所においてシリカスケールが生成し、これが熱交換等の諸機能の低下の原因となる。そこで、ボイラやクーリングタワーに供給する用水は、逆浸透膜装置などの膜分離装置を用いて処理し、シリカなどの溶解成分を除去しているが、この場合は膜分離装置においてシリカスケールが生成し、それが膜分離装置の機能低下をもたらす。
したがって、ボイラやクーリングタワー或いは膜分離装置に供給する用水は、シリカスケールの生成を抑制するための処理が求められる。
シリカスケールの生成を抑制する方法として、用水においてシリカの析出を抑制する方法と、用水からシリカを除去する方法との、二通りの方法が知られている。前者の方法は、用水中でのシリカの溶解性を高め、それによってシリカの析出を抑制しようとするものである。例えば、特許文献1は、シリカスケールの生成を抑制するために、アミノトリスメチレンホスホン酸や1−ヒドロキシ−エチリデン−1,1−ジホスホン酸といったホスホン酸系の処理剤を用水に添加することで用水中でのシリカの分散性(溶解性)を高めている。
しかし、水に溶解しているシリカはpH8以下の環境下で析出しやすく、特許文献1に記載の方法においても用水がpH8以下のときはシリカの析出を抑制するのが困難である。特に、各種の用水は、通常、シリカスケールの抑制以外の目的で各種の薬剤を添加することが多く、その薬剤の影響によりpHが低下することがあるため、用水のpHがシリカの析出抑制に影響すれば実用性を欠くことになる。
一方、後者の方法は、用水中でシリカを凝集させ、その凝集物を用水から分離することでシリカスケールの原因となるシリカを用水から除去しようとするものである。例えば、特許文献2は、用水に強カチオン性の高分子凝集剤を添加することで用水に溶解しているシリカを凝集させ、これを捕集して用水から分離している。
しかし、特許文献2に記載の方法は、高分子凝集剤を添加してからシリカが凝集し始めるのに数時間程度を要することから、結果的に用水からシリカを除去するのに長時間を要し、実用性を欠く。
特許第3752761号公報(特許請求の範囲、段落0011) 特開2006−192424号公報(特許請求の範囲)
本発明は、水に溶解しているシリカの析出抑制剤または凝集剤として実用的なシリカ処理剤を実現するものである。
本発明は、水に溶解しているシリカの処理剤に関するものであり、この処理剤は、下記の式(1)で表されるケイ素化合物を含む。
Figure 2015150510
式(1)中、Rは、水素、水酸基、加水分解性基または非加水分解性のイオン性有機鎖であり、少なくとも一つが水酸基または加水分解性基であり、かつ、少なくとも一つがイオン性有機鎖である。
他の観点に係る本発明は、水に溶解しているシリカの析出抑制剤に関するものであり、この析出抑制剤は、下記の式(1)で表されるケイ素化合物を含む。
Figure 2015150510
式(1)中、Rは、水素、水酸基、加水分解性基または非加水分解性の陰イオン性有機鎖であり、少なくとも一つが水酸基または加水分解性基であり、かつ、少なくとも一つが陰イオン性有機鎖である。
さらに他の観点に係る本発明は、水に溶解しているシリカの凝集剤に関するものであり、この凝集剤は、下記の式(1)で表されるケイ素化合物を含む。
Figure 2015150510
式(1)中、Rは、水素、水酸基、加水分解性基または非加水分解性の陽イオン性有機鎖であり、少なくとも一つが水酸基または加水分解性基であり、かつ、少なくとも一つが陽イオン性有機鎖である。
さらに他の観点に係る本発明は、水に溶解しているシリカの析出を抑制するための方法に関するものであり、この方法は、本発明に係るシリカの析出抑制剤を水に添加する工程を含む。
さらに他の観点に係る本発明は、水に溶解しているシリカを凝集するための方法に関するものであり、この方法は、本発明に係るシリカの凝集剤を水に添加する工程を含む。
さらに他の観点に係る本発明は、水に溶解しているシリカを分離するための方法に関するものであり、この方法は、本発明に係るシリカの凝集剤を水に添加する工程1と、工程1において生成した凝集物を水から分離する工程2とを含む。
本発明に係るシリカ処理剤は、特性の構造を有するケイ素化合物を含むものであるため、水に溶解しているシリカの析出抑制剤または凝集剤として実用的である。
本発明に係るシリカの析出抑制剤は、本発明に係るシリカ処理剤のうち、非加水分解性のイオン性有機鎖として陰イオン性有機鎖を有するものであり、それが適用される水のpHによる影響を受けずに水に溶解しているシリカの析出を抑制することができる。
本発明に係るシリカの凝集剤は、本発明に係るシリカ処理剤のうち、非加水分解性のイオン性有機鎖として陽イオン性有機鎖を有するものであり、水に溶解しているシリカを速やかに凝集させることができる。
本発明に係るシリカの析出抑制方法は、本発明に係るシリカの析出抑制剤を用いることから、それが適用される水のpHによる影響を受けずに当該水に溶解しているシリカの析出を抑制することができる。
本発明に係るシリカの凝集方法は、本発明に係るシリカの凝集剤を用いることから、水に溶解しているシリカを速やかに凝集させることができる。
本発明に係るシリカの分離方法は、本発明に係るシリカの凝集剤を用いることから、水に溶解しているシリカを速やかに分離することができる。
実験例3の結果を示すグラフ。
本発明に係るシリカ処理剤は、下記の式(1)で表されるケイ素化合物を含む。
Figure 2015150510
式(1)中、Rは、水素、水酸基、加水分解性基または非加水分解性のイオン性有機鎖であり、少なくとも一つが水酸基または加水分解性基であり、かつ、少なくとも一つが非加水分解性のイオン性有機鎖である。
加水分解性基は、水中で加水分解し、水中に溶解しているシリカ側のシラノール基と脱水反応することでシロキサン結合(−Si−O−Si−)を形成可能なものであり、例えば、ハロゲンおよびOR基が挙げられる。ハロゲンとしては、通常、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素が好ましい。OR基のRは、特に限定されない原子団であり、例えば、特に限定されない炭化水素基である。
が炭化水素基の場合、その例としては、炭素数が1から20程度のアルキル基、炭素数が2から20程度のアルケニル基およびアルキニル基並びに炭素数が6から30程度の単環または多環のアリール基を挙げることができる。これらの炭化水素基は、酸素や硫黄などのヘテロ原子を含むものであってもよく、また、官能基(この官能基の選択肢には炭化水素基やアリール基が含まれる。)を有するものであってもよい。
式(1)のケイ素化合物は、二種以上の加水分解性基を有していてもよい。
非加水分解性のイオン性有機鎖は、式(1)中のケイ素原子(Si)との結合が加水分解されずに維持されるイオン性有機鎖である。このようなイオン性有機鎖としては、例えば、式(1)中のケイ素原子に対して炭素原子により結合するイオン性有機鎖(以下、第1イオン性有機鎖と称する場合がある。)や式(1)中のケイ素原子とシロキサン結合(−O−Si−)を形成して結合するイオン性有機鎖(以下、第2イオン性有機鎖と称する場合がある。)を挙げることができる。
第1イオン性有機鎖は、例えば、次の式(2)、(3)または(4)で表される。
Figure 2015150510
式(2)、(3)および(4)において、Rは水素または特に限定されない有機原子団である。式(2)の二つのRは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、Rは特に限定されない有機原子団である。RおよびRの有機原子団は、例えば、特に限定されない炭化水素鎖である。この炭化水素鎖は、例えば、炭素数が1から20程度のものであり、メチレン鎖、エチレン鎖、プロピレン鎖、オクチレン鎖およびドデシレン鎖等の直鎖状のもの、iso−プロピレン鎖やtert−ブチレン鎖等の側鎖を有するもの、および、シクロへキシレン鎖等の環状のもののいずれのものであってもよい。また、この炭化水素鎖は、酸素や硫黄などのヘテロ原子を含むものであってもよく、二重結合や三重結合等の不飽和結合を含んでいてもよい。
Zは、イオン性基、すなわち、陰イオン性基または陽イオン性基である。陰イオン性基の例としては、りん酸基、スルホン酸基およびカルボキシル基が挙げられる。陽イオン性基の例としては、アミノ基、四級アンモニウムおよび四級ホスホニウムが挙げられる。アミノ基は、一級アミノ基、二級アミノ基または三級アミノ基のいずれであってもよい。二級アミノ基および三級アミノ基の場合、窒素原子への置換基は、特に限定されるものではなく、アミノ基などの陽イオン性基を含むものであってもよい。
第2イオン性有機鎖は、例えば、次の式(5)で表される。
Figure 2015150510
式(5)において、Zは、式(2)、(3)および(4)中のZと同様のイオン性基、すなわち、陰イオン性基または陽イオン性基である。
は、水素、水酸基または特に限定されない有機原子団、例えば、特に限定されない炭化水素基や下記の式(6)で表されるシロキサン基である。式(5)の二つのRは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
Figure 2015150510
ここで、炭化水素基は、例えば、炭素数が1から20程度のものであり、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基およびドデシル基等の直鎖状のもの、iso−プロピル基やtert−ブチル基等の分岐を有するもの、および、シクロヘキシル基等の環状のもののいずれのものであってもよい。また、この炭化水素基は、酸素や硫黄などのヘテロ原子を含むものであってもよく、二重結合や三重結合等の不飽和結合を含んでいてもよい。さらに、この炭化水素基は、Zと同様のイオン性基(但し、Zが陰イオン性基のときは同じく陰イオン性のものであり、Zが陽イオン性基のときは同じく陽イオン性のものである。)を含むものであってもよい。
シロキサン基を表す式(6)において、mは整数(例えば、1から100程度の整数。)である。また、Rは、水素、水酸基または特に限定されない有機原子団、例えば、Rと同様の炭化水素基やシロキサン基である。式(6)中のRは、全てが同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、式(6)中のシロキサン鎖は、二種以上のものが交互状態、ランダム状態またはブロック状態で配列されたものであってもよい。
は、特に限定されない有機原子団、例えば、炭化水素鎖や下記の式(7)で表されるシロキサン鎖である。ここで、炭化水素鎖は、Rと同様のものである。また、シロキサン鎖を表す式(7)において、nは整数(例えば、1から100程度の整数。)であり、RはRと同様のものである。式(7)の二つのRは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、式(7)で表されるシロキサン鎖は、二種以上のものが交互状態、ランダム状態またはブロック状態で配列されたものであってもよい。
Figure 2015150510
式(1)において、二種以上のイオン性有機鎖が含まれていてもよいが、この場合、各イオン性有機鎖のイオン性基は、いずれも陰イオン性基または陽イオン性基である必要がある。すなわち、式(1)で表されるケイ素化合物は、陰イオン性基と陽イオン性基とを同時に含まない。
本発明のシリカ処理剤は、式(1)で表されるケイ素化合物の二種以上を含むものであってもよいが、イオン性有機鎖として陰イオン性基を有するものと、イオン性有機鎖として陽イオン性基を有するものとを同時に含まない。
本発明のシリカ処理剤は、上記ケイ素化合物を蒸留水等の精製水に溶解した水溶液であってもよいし、アルコール類やエーテル類等の有機溶剤に溶解した溶液であってもよい。これらの溶液は、金属等のスケール抑制、菌類の繁殖抑制またはスライムの生成抑制などの目的のため、スケール抑制剤、殺菌剤またはスライム抑制剤などの他の成分を含んでいてもよい。他の成分は、二種以上のものが含まれていてもよい。
本発明のシリカ処理剤は、陰イオン性基を有するイオン性有機鎖を有する場合、水に溶解しているシリカの析出抑制剤として機能し得る。
このような本発明のシリカ処理剤を用いて水に溶解しているシリカの析出を抑制する場合は、処理対象の水にシリカ処理剤を添加し、適宜攪拌する。これにより、シリカ処理剤の式(1)のRである水酸基、または、Rである加水分解性基の加水分解により生成した水酸基と溶解しているシリカ(SiO・2HO)のシラノール基との間での脱水反応、および、溶解しているシリカ分子のシラノール基間での脱水反応によりシロキサン結合の生成が進行し、それによって陰イオン性のシリカ重合物が生成することから、シリカの析出が抑制される。すなわち、シリカ処理剤の添加により表面電位の大きなシリカ一次粒子が生成し、このシリカ一次粒子同士が水中で反発しあうことからシリカ二次粒子の成長が抑制され、この結果として水中でのシリカの析出が抑制される。
ここで、シリカ処理剤は、シリカの析出抑制能が水のpHに影響されず、シリカが析出しやすい低pHから高pHの広範囲のpHの水に溶解しているシリカの析出を効果的に抑制することができる。また、処理対象の水がシリカとともに硬度分を含む場合、シリカは析出しやすい傾向があるが、本発明のシリカ処理剤は、硬度分を含む水においてもシリカの析出を効果的に抑制することができる。
一方、本発明のシリカ処理剤は、陽イオン性基を有するイオン性有機鎖を有する場合、水に溶解しているシリカの凝集剤として機能し得る。
このような本発明のシリカ処理剤を用いて水に溶解しているシリカを凝集する場合は、処理対象の水にシリカ処理剤を添加し、適宜攪拌する。これにより、シリカ処理剤の式(1)のRである水酸基、または、Rである加水分解性基の加水分解により生成した水酸基と溶解しているシリカ(SiO・2HO)のシラノール基との間での脱水反応、および、溶解しているシリカ分子のシラノール基間での脱水反応によりシロキサン結合の生成が進行し、それによって陽イオン性基を有するシリカ重合物、すなわち、シリカ一次粒子が生成する。このシリカ一次粒子は、陽イオン性基によって弱い陰イオン性を有するシラノール基を分子内で電荷中和することから、お互いの反発力が低下するか消失し、水中でシリカ二次粒子に成長する。この結果、水中でシリカが凝集する。
ここで、シリカ一次粒子の生成およびその二次粒子への成長は、処理対象の水にシリカ処理剤を添加後に速やかに進行するため、通常、シリカ処理剤を添加してから1時間以内程度の短時間でシリカの凝集が進行する。
本発明のシリカ処理剤をシリカの凝集剤として用いる場合、本発明のシリカ処理剤を用いて水に溶解しているシリカを分離することができる。この場合、処理対象の水にシリカ処理剤を添加し(工程1)、それにより生成した凝集物を水から分離する(工程2)。凝集物の分離方法としては、ろ過や沈降分離などの一般的な固液分離方法を採用することができる。
本発明のシリカ処理剤は、水に含まれるシリカの析出を効果的に抑制できるか、或いは、水に含まれるシリカを効果的に凝集させることができるため、シリカスケールの生成により不具合が生じ得るボイラやクーリングタワーの用水の処理剤、或いは、そのような用水を膜分離装置により予備処理する場合の処理剤として有用である。
<実験例1>
実験例1A:
14本の試験管のそれぞれにメタケイ酸ナトリウム九水和物(和光純薬工業株式会社:コード199−02445)500mg(105.6mgSiO相当)と蒸留水2.0mLとを加え、メタケイ酸ナトリウム九水和物を完全に溶解することでシリカが溶解している試験水溶液を調製した。この試験水溶液のpHは、メタケイ酸ナトリウム九水和物の加水分解のため、13.4であった。
各試験水溶液に対し、シリカ処理剤として下記の式(8)で表される3−(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルホスホナートナトリウム塩50重量%溶液(Sigma Aldrich社:コード435716)を0.2mL添加し、攪拌した。シリカ処理剤を添加した試験水溶液は、理論上、シリカ濃度が48,000mgSiO/Lの過飽和状態である。
Figure 2015150510
14本の試験管の各試験水溶液のそれぞれに対し、10重量%塩酸を0.75mLから1.40mLの範囲で0.05mL刻みで変化させて添加することで試験水溶液毎にpHを変化させ、塩酸の添加直後および塩酸添加から10日後に各試験水溶液の変化を観察した。試験水溶液のpHは、pH試験紙を用いて確認したところ、10重量%塩酸の添加量が0.75mLのときで12付近、同添加量が1.40mLのときで1付近であった。結果を表1に示す。評価の基準は次の通りである。
○:白濁およびゲル化が観られない。
×:白濁またはゲル化が観られる。
Figure 2015150510
表1によると、各試験水溶液は、10重量%塩酸の添加直後および同塩酸を添加してから10日経過後のいずれにおいても白濁およびゲル化が観られず、シリカの析出が抑制されていた。
比較実験例1A:
実験例1Aで調製した試験水溶液と同様の試験水溶液に対し、シリカ処理剤を添加せずに10重量%塩酸を1.0mL添加したところ、試験水溶液はシリカの析出により直ちに白濁した。
比較実験例1B:
実験例1Aで調製した試験水溶液と同様の試験水溶液に対し、シリカ処理剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸60重量%溶液(東京化成株式会社:コードH0587)を0.2mL添加し、攪拌した。シリカ処理剤を添加した試験水溶液は、それ自体で酸性を示し、シリカの析出により直ちに白濁した。
比較実験例1C:
実験例1Aで調製した試験水溶液と同様の試験水溶液に対し、ポリカルボキシレート系のシリカスケール防止剤であるSokalan RO 2000(BASF社の登録商標)を0.2mL添加し、攪拌した。これに10重量%塩酸を0.90mL添加したところ、シリカの析出により直ちに白濁した。
比較実験例1D:
実験例1Aで調製した試験水溶液と同様の試験水溶液に対し、シリカ処理剤としてアミノトリスメチレンホスホン酸50重量%溶液(東京化成株式会社:コードN0474)を0.2mL添加し、攪拌した。これに10重量%塩酸を0.25mL添加したところ、シリカの析出により直ちに白濁した。
<実験例2>
実験例2A:
無水塩化カルシウム(和光純薬工業株式会社:コード039−00475)832mgと塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業株式会社:コード135−00165)1,525mgとを50mLの蒸留水に溶解し、pHが6.5の第1水溶液を調製した。
一方、メタケイ酸ナトリウム九水和物(和光純薬工業株式会社:コード199−02445)1,421mgと実験例1Aで用いたものと同じ3−(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルホスホナートナトリウム塩722mgとを40mLの蒸留水に加えて溶解し、pHが約12の水溶液を得た。この水溶液に対し、pH計により監視しながら10重量%塩酸を滴下し、pHを7に調整した(10重量%塩酸添加量は約3mL)。この水溶液に蒸留水を加えて体積を50mLに調整し、第2水溶液を調製した。
調製直後の第2水溶液2.5mLに対して第1水溶液0.5mLを添加し、3.0mLの試験水溶液を得た。この試験水溶液は、シリカ濃度が83.3mM(5,000mgSiO/L)、カルシウム濃度が25.0mM、マグネシウム濃度が25.0mM、3−(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルホスホナートナトリウム塩濃度が20.8mMである。
試験水溶液は、24時間経過しても白濁やゲル化が観られなかった。
実験例2B:
実験例2Aと同様にして調製した試験水溶液に10mM塩酸0.1mLを添加して容量を3.1mLに調製したところ(シリカ濃度:4,839mgSiO/L)、24時間経過しても白濁やゲル化は観られなかった。
実験例2C:
実験例2Aと同様にして調製した試験水溶液に10mM塩酸1.0mLを添加して容量を4.0mLに調製したところ(シリカ濃度:3,750mgSiO/L)、24時間経過しても白濁やゲル化は観られなかった。
実験例2D:
実験例2Aと同様にして調製した試験水溶液に10mM水酸化ナトリウム水溶液0.1mLを添加して容量を3.1mLに調製したところ(シリカ濃度:4,839mgSiO/L)、24時間経過しても白濁やゲル化は観られなかった。
実験例2E:
実験例2Aと同様にして調製した試験水溶液に10mM水酸化ナトリウム水溶液1.0mLを添加して容量を4.0mLに調製したところ(シリカ濃度:3,750mgSiO/L)、24時間経過しても白濁やゲル化は観られなかった。
比較実験例2A:
3−(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルホスホナートナトリウム塩を用いなかった点を除いて実験例2Aと同様に第2水溶液を調製した。そして、調製直後の第2水溶液2.5mLに対して実験例2Aと同様に調製した第1水溶液0.5mLを添加し、3.0mLの試験水溶液を得た。この試験水溶液のシリカ濃度、カルシウム濃度およびマグネシウム濃度は実験例2Aと同じである。
試験水溶液は、30分経過時に白濁が観られた。
比較実験例2B:
比較実験例2Aと同様にして調製した試験水溶液に10mM塩酸0.1mLを添加して容量を3.1mLに調製したところ(シリカ濃度:4,839mgSiO/L)、30分経過時に白濁が観られた。
比較実験例2C:
比較実験例2Aと同様にして調製した試験水溶液に10mM塩酸1.0mLを添加して容量を4.0mLに調製したところ(シリカ濃度:3,750mgSiO/L)、24時間経過時に白濁が観られた。
比較実験例2D:
比較実験例2Aと同様にして調製した試験水溶液に10mM水酸化ナトリウム水溶液0.1mLを添加して容量を3.1mLに調製したところ(シリカ濃度:4,839mgSiO/L)、30分経過時に白濁が観られた。
比較実験例2E:
比較実験例2Aと同様にして調製した試験水溶液に10mM水酸化ナトリウム水溶液1.0mLを添加して容量を4.0mLに調製したところ(シリカ濃度:3,750mgSiO/L)、30分経過時に白濁が観られた。
実験例2F:
3−(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルホスホナートナトリウム塩722mgに代えて3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸水溶液(Fluorochem Ltd.社:コードS17910)722mgを用いた点を除いて実験例2Aと同様の試験水溶液を調製した。この試験水溶液は、シリカ濃度が83.3mM(5,000mgSiO/L)、カルシウム濃度が25.0mM、マグネシウム濃度が25.0mM、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸濃度が20.8mMである。
試験水溶液は、24時間経過しても白濁やゲル化が観られなかった。
実験例2G:
実験例2Fと同様にして調製した試験水溶液に10mM塩酸0.1mLを添加して容量を3.1mLに調製したところ(シリカ濃度:4,839mgSiO/L)、24時間経過しても白濁やゲル化は観られなかった。
実験例2H:
実験例2Fと同様にして調製した試験水溶液に10mM塩酸1.0mLを添加して容量を4.0mLに調製したところ(シリカ濃度:3,750mgSiO/L)、24時間経過しても白濁やゲル化は観られなかった。
実験例2I:
実験例2Fと同様にして調製した試験水溶液に10mM水酸化ナトリウム水溶液0.1mLを添加して容量を3.1mLに調製したところ(シリカ濃度:4,839mgSiO/L)、24時間経過しても白濁やゲル化は観られなかった。
実験例2J:
実験例2Fと同様にして調製した試験水溶液に10mM水酸化ナトリウム水溶液1.0mLを添加して容量を4.0mLに調製したところ(シリカ濃度:3,750mgSiO/L)、24時間経過しても白濁やゲル化は観られなかった。
<実験例3>
比較実験例3A:
イオン交換水950mLに対してメタケイ酸ナトリウム九水和物(和光純薬工業株式会社:コード199−02445)1.421gと緩衝剤としての炭酸水素ナトリウム500mgとを加えて溶解した。この水溶液に10重量%塩酸3.7mLを添加することでpHを7.3に調整した後、イオン交換水を加えて体積を1.0Lに調整した。このようにして調製された試験水溶液は、シリカ濃度が300mgSiO/Lである。
実験例3A:
ポリプロピレン製の容器に比較実験例3Aで調製した試験水溶液50mLを入れ、これにシリカ凝集剤として下記の式(9)で表されるアミノアルキルシルセスキオキサンオリゴマー(Aminoalkyl Silsesquioxane Oligomers:Gelest社:コードWSA−9911)0.1mLを添加、混合した。
Figure 2015150510
実験例3B:
シリカ凝集剤を下記の式(10)で表されるN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルシラントリオール(N−(2−aminoethyl)−3−aminopropylsilanetriol:Gelest社:コードSIA−0590.0)0.1mLに変更した点を除いて実験例3Aと同様に操作した。
Figure 2015150510
比較実験例3B:
シリカ凝集剤を強カチオン性高分子凝集剤であるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−アクリルアミド共重合物溶液(Poly(acrylamide−co−diallyldimethylammonium chloride)solution:Sigma Aldrich社:コード409081)0.1mLに変更した点を除いて実験例3Aと同様に操作した。
比較実験例3C:
シリカ凝集剤を強カチオン性高分子凝集剤であるジアリルジメチルアンモニウムクロリドの低分子量ホモポリマー溶液(Poly(diallyldimethylammonium chloride)solution:Sigma Aldrich社:コード409014)0.1mLに変更した点を除いて実験例3Aと同様に操作した。
実験例3の評価:
比較実験例3Aについては試験水溶液の調製直後から、また、実験例3Aおよび3B並びに比較実験例3Bおよび3Cについてはシリカ凝集剤の添加時から経時的に試験水溶液の外観変化を観察するとともに試験水溶液を分取し、これを0.2μmのシリンジフイルターを用いてろ過した後、JIS K 0101に規定されているモリブデン黄吸光光度法によりろ液中のイオン状シリカ濃度を測定した。イオン状シリカ濃度の測定結果を図1に示す。
実験例3Aおよび3Bの試験水溶液は、シリカ凝集剤を添加して5分後に白濁が観られ、また、図1に示すようにシリカ凝集剤の添加から60分程度でろ液中のイオン状シリカ濃度が大きく低下した。一方、比較実験例3Aの試験水溶液は、外観変化が観られず、ろ液のイオン状シリカ濃度も変動しなかった。また、比較例実験例3Bおよび3Cの試験水溶液は、目立った外観変化が観られず、ろ液のイオン状シリカ濃度の低下も非常に緩慢であった。この結果から、実験例3Aおよび3Bで用いたシリカ凝集剤は、試験水溶液に溶解しているシリカを速やかに凝集できることがわかる。

Claims (6)

  1. 水に溶解しているシリカの処理剤であって、
    下記の式(1)で表されるケイ素化合物を含む、
    シリカ処理剤。
    Figure 2015150510
    (式(1)中、Rは、水素、水酸基、加水分解性基または非加水分解性のイオン性有機鎖であり、少なくとも一つが前記水酸基または前記加水分解性基であり、かつ、少なくとも一つが前記イオン性有機鎖である。)
  2. 下記の式(1)で表されるケイ素化合物を含む、
    水に溶解しているシリカの析出抑制剤。
    Figure 2015150510
    (式(1)中、Rは、水素、水酸基、加水分解性基または非加水分解性の陰イオン性有機鎖であり、少なくとも一つが前記水酸基または前記加水分解性基であり、かつ、少なくとも一つが前記陰イオン性有機鎖である。)
  3. 下記の式(1)で表されるケイ素化合物を含む、
    水に溶解しているシリカの凝集剤。
    Figure 2015150510
    (式(1)中、Rは、水素、水酸基、加水分解性基または非加水分解性の陽イオン性有機鎖であり、少なくとも一つが前記水酸基または前記加水分解性基であり、かつ、少なくとも一つが前記陽イオン性有機鎖である。)
  4. 水に溶解しているシリカの析出を抑制するための方法であって、
    請求項2に記載のシリカの析出抑制剤を前記水に添加する工程を含む、
    シリカの析出抑制方法。
  5. 水に溶解しているシリカを凝集するための方法であって、
    請求項3に記載のシリカの凝集剤を前記水に添加する工程を含む、
    シリカの凝集方法。
  6. 水に溶解しているシリカを分離するための方法であって、
    請求項3に記載のシリカの凝集剤を前記水に添加する工程1と、
    工程1において生成した凝集物を前記水から分離する工程2と、
    を含むシリカの分離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113415909A (zh) * 2021-07-22 2021-09-21 裴自川 一种黑臭水体净化药剂的配方及其生产方法

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