JP2015148027A - 可染性ポリオレフィン繊維およびその製造方法 - Google Patents

可染性ポリオレフィン繊維およびその製造方法 Download PDF

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健太郎 高木
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Abstract

【課題】 本発明は、耐摩耗性、染色性に優れた可染性ポリオレフィン繊維、および可染性ポリオレフィン繊維を安定した紡糸性により得られる製造方法を提供する。【解決手段】 ポリオレフィンと可染性ポリマーとをブレンドしてなる海島構造を有するポリマーアロイ繊維であって、該繊維横断面における島成分のドメインサイズが100nm未満であることを特徴とする可染性ポリオレフィン繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、耐摩耗性、染色性に優れた可染性ポリオレフィン繊維に関するものである。
ポリオレフィン繊維は、軽量性、保温性、撥水性、易リサイクル性などに優れている点から、養生シート、建築工事用メッシュシートやカーペットなどさまざまな産業用途に用いられている。しかしながら、一般にポリオレフィン繊維は染色性に劣ることから、ポリオレフィン繊維を使用した衣料製品は意匠性が低くなる問題があった。また、染色性を補うため、紡糸時に顔料や染料を練り込んだポリオレフィン系原着繊維が展開されているが、淡色系などの色合いを安定して発現させることが難しく、また細繊度および細単糸繊度の繊維を得るには制限がある、そして品種ごとの色替等に多量のロスが発生するため工業的ではないなどの問題があった。
このような問題から、多彩な色が要求され、細繊度であり細単糸繊度の繊維、特に柔らかいフィラメントが好まれる衣料への展開は進んでおらず、染色工程で染色可能である可染性ポリオレフィン繊維が望まれており、特には、ポリエステルやポリアミド、アセテートといった他素材と使用した場合に染め分けによる多彩な表現が可能なカチオン可染性ポリオレフィン繊維が望まれてきた。
このため、染色が可能なポリオレフィン系繊維の開発が盛んに行われている。例えば、特許文献1にはポリプロピレンに約0.1〜15重量%のスルホン基をグラフトしたポリエステル、並びにアルキルが炭素原子を1〜4個有する約30〜18重量%のアクリル酸アルキル及び70〜82重量%のエチレンを含有するエチレンコポリマー、上記アクリル酸アルキルが該組成物の0.2〜3.0重量%の量で存在する組成物を含むカチオン可染ポリプロピレン繊維が記載されている。
また、特許文献2ではポリオレフィン中に2級アルコールもしくは3級アルコールとカルボン酸とのエステル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む(メタ)アクリレート系ポリマーを繊維全体に対して3〜30質量%含有する可染性ポリオレフィン繊維が記載されている。
また、特許文献3ではポリプロピレン中に可染ポリマーとして、ポリアミドもしくはポリエステルを1〜50質量%含有した可染性ポリプロピレン繊維が記載されている。
特許文献4には、ポリプロピレン中に共重合ポリエステルが1〜50質量%含有されたポリプロピレン繊維であって、共重合ポリエステルは、テレフタル酸と2種類以上のグリコール成分とからなり、グリコール成分はエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールであり、結晶融点が110〜190℃である可染性ポリプロピレン繊維が記載されている。
特表平10−501309号公報 特開2006−241663号公報 特開平4−209824号公報 特開2007−308830号公報
しかしながら、特許文献1の手法で得られたポリオレフィン繊維は、ポリプロピレンに可染性ポリマーのポリエステルを分散させ、海島構造とした繊維であり、可染性ポリエステルとして親水基であるスルホン基を導入したポリエステルを用いており、通常のポリエステルより更にポリプロピレンとの相溶性に乏しいため、物理的に強い力が加わると、海島間に剥離が生じ、結果、耐摩耗性が悪化する欠点があった。また、溶融紡糸の際に糸切れ等が発生しやすく、紡糸安定も不十分となりやすかった。また、特許文献2、3、4の手法で得られたポリオレフィン繊維も特許文献1と同様に可染性ポリマーとの海島構造とした繊維であるが、分散染料のみで染色可能であり、ポリエステルやポリアミド、アセテートといった他素材との染め分けができず、また特許文献1と同様にポリオレフィンとの相溶性が低いため、物理的に強い力が繊維にかかる場合、海島間に剥離が生じ、結果、耐摩耗性が悪化し、溶融紡糸の際に糸切れ等が発生しやすい欠点があった。
そこで、本発明は、耐摩耗性、染色性に優れた可染性ポリオレフィン繊維、および可染性ポリオレフィン繊維を安定した紡糸性により得られる製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、下記の構成からなる。
(1)ポリオレフィンと可染性ポリマーとをブレンドしてなる海島構造を有するポリマーアロイ繊維であって、該繊維断面における島成分のドメインサイズが100nm未満であることを特徴とする可染性ポリオレフィン繊維。
(2)可染性ポリマーが、カチオン可染性ポリマーであることを特徴とする(1)記載の可染性ポリオレフィン繊維。
(3)海成分がポリオレフィン、島成分が酸性基を有するポリオレフィンであることを特徴とする(1)(2)いずれかに記載の可染性ポリオレフィン繊維。
(4)カチオン染料で染色された繊維のL値が55以下である(1)〜(3)いずれかに記載の可染性ポリオレフィン繊維。
(5)ポリオレフィン60〜95重量部、可染性ポリマー5〜40重量部となるようにブレンドし、溶融紡糸することを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の可染性ポリオレフィン繊維の製造方法。
(6)前記可染性ポリマーの酸性基変性度が、8〜40質量%であることを特徴とする(5)記載の可染性ポリオレフィン繊維の製造方法。である。
本発明によれば、耐摩耗性、染色性に優れた可染性ポリオレフィン繊維、および可染性ポリオレフィン繊維を安定した紡糸性により得られる製造方法を提供することができる。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維において用いるポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン等が好ましい。特に好ましくは、衣料用途に適した融点であるポリプロピレンである。ポリプロピレンとしては、ポリプロピレンのホモポリマーに限られず、エチレン−プロピレン共重合体であるランダムポリプロピレン、プロピレン単独重合体とエチレン−プロピレン共重合体のブレンド体であるブロックポリプロピレンも含まれる。
背景技術で述べた通り、可染性を付与させるため、海成分であるポリオレフィンに島成分である可染性ポリマーを分散させ、海島構造とした繊維は、物理的に強い力が加わると海島間に剥離が生じ、結果、耐摩耗性が悪化し実使用に適さないものであった。そのため、海成分と島成分ポリマーの相溶性を良くすることと海島間に剥離が生じないように島成分を分散させること、すなわち、海島成分の相溶性と分散の制御が、耐摩耗性向上に寄与するのである。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維中の島成分の分散度合いの指標として、繊維断面における島成分のドメインサイズが100nm未満であることが必要である。
ここでいうドメインサイズとは、ポリオレフィン繊維の繊維軸と垂直の方向に超薄切片を切り出し、該切片の島成分を染色し、4万倍の透過型電子顕微鏡(TEM)にてブレンド状態を観察・撮影した。この撮影画像を三谷商事(株)の画像解析ソフト「WinROOF」を用い、島ドメイン(非染色部)のサイズとしてドメインを円と仮定し、ドメインの面積から換算される直径(直径換算)(2r)である。本発明ではこのようにドメインの面積から換算される直径をドメインサイズと定義する。
かかる範囲とすることで、繊維に加わる外力を微分散した島成分に分散させることが可能となるため、衣料用途に適した耐摩耗性が得られる。また、微分散による均一な染色も可能となる。ドメインサイズが小さいほど、耐摩耗性が良好となり、好ましくは50nm以下である。さらに好ましくは30nm以下である。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維において用いる可染性ポリマーとは、直接染料や、酸性染料、カチオン染料、分散染料、反応染料等に例示される公知の天然・合成染料にて、染色可能なポリマーをいう。ポリエステルやポリアミド、アセテートといった他素材との染め分けによる多彩な表現をするためには、他素材と可染性ポリオレフィン繊維で染色工程の際に染め分けできるようにすればよく、ポリエステル、アセテートと染め分けする場合には、酸性染料、カチオン染料、直接染料、反応染料で染色可能なポリマーが好ましく、ポリアミドと染め分けする場合には、カチオン染料で染色可能なポリマーが好ましい。ポリエステルやポリアミド、アセテートと染め分けする場合は、カチオン染料で染色可能なポリマーが特に好ましい。
島成分で用いる可染性ポリマーは、酸性基を有するポリオレフィンであることが好ましい。かかるポリマーとすることで、カチオン染料で染色可能となる。カチオン染料はカチオンイオンを持った染料で、繊維中のアニオンイオンとイオン結合を形成することで染色可能となる。酸性基としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸基、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸基、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸無水物基、スルホ基、リン酸基等が挙げられる。また、主鎖をポリオレフィンポリマーとすることにより、海成分であるポリオレフィンと類似したポリマー骨格にすることにより、海成分ポリマーと島成分ポリマーの相溶性を向上させ、均一で微細な分散が可能となる。かかる海島ポリマーの組み合わせとすることで、海島間の剥離を抑制し良好な耐摩耗性が得られるばかりか、均一な染色や安定した紡糸が可能となる。
また、可染性ポリオレフィン繊維中に含まれる酸性基量が1〜15質量%であることが好ましい。かかる範囲とすることで、カチオン染料にて染色した場合、濃色かつ均一に染色できる。繊維中に含まれる酸性基量は、可染ポリマーの酸性基変性度、海島比率により算出できる。本発明の可染性ポリオレフィン繊維の好ましい海島構成としては、海成分がポリオレフィン、島成分が可染性ポリマーである。また、好ましい海島比率としては、ポリオレフィン60〜95重量部、可染性ポリマーを5〜40重量部である。かかる範囲にすることで、衣料用途に適する繊維の強度や染色性を有することが可能で有り、紡糸性の良好なポリオレフィンが多数を占めることから紡糸安定性にも優れる。可染性ポリマー量が少ないほど、染色時に染め斑になり難いので、さらに好ましくは、ポリオレフィン70〜95重量部、可染性ポリマーを5〜30重量部である。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維は、カチオン染料で染色された繊維のL値が55以下であることが好ましい。ここでいうカチオン染料で染色された繊維のL値とは、繊維を布帛にし、アイゼンカチロンブルーGLH(保土谷化学工業社製)0.7質量%で染色した試験片を、測色計(スガ試験機株式会社性のSM−3型)を用いて測定した値をいう。L値は値が小さくなるほど濃色染色されていることを表し、かかる範囲とすることで、衣料用途に適する染色性に優れる。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維は、フロスティング試験による等級が4級以上であることが好ましい。ここでいうフロスティング試験による等級とは、JIS L1076(2012年)に定められているアピアランス・リテンション形試験機により、押圧750g、10分摩耗させた後のJIS L0105(2006年)に定められている試験片の変色の程度を変退色用グレースケールで等級判定した等級をいう。かかる範囲にすることで、衣料用途に適する耐摩耗性に優れる。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維は、ヒンダードアミン系安定剤(以下、HALS系安定剤という。)、アルキルラジカルを捕捉する酸化防止剤(1次酸化防止剤)であるヒンダードフェノール系安定剤またはヒドロキシルアミン系安定剤、過酸化ラジカルを分解する酸化防止剤(2次酸化防止剤)であるリン系酸化防止剤もしくはイオウ系酸化防止剤を含むことが好ましい。
ポリオレフィンの中でも特にポリプロピレンは熱、光等によりアルキルラジカルを生成し、さらに大気中の酸素と反応して過酸化ラジカルが生じることによる、自動酸化サイクルによって劣化していくため、上記記載の1次酸化防止剤および2次酸化防止剤を含むことが好ましい。
HALS系安定剤は、例えば、ジブチルアミン1,3,5−トリアジンN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1−6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’ジホルミルヘキサメチレンジアミン、還元型牛脂を原料としたアルキルアミンの酸化生成物等が挙げられる。
また、本発明に用いる1次酸化防止剤は例えば、1,3,5−トリス(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、還元型牛脂を原料としたアルキルアミンの酸化生成物、長鎖ジアルキル−n−メチルアミン酸化生成物、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)ベンジル]イソシアヌル酸があげられる。
さらに本発明に用いられる2次酸化防止剤は例えば、トリス(2,4−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト等があげられる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、二酸化チタン等の艶消し剤、硫酸バリウムなどの各種機能性粒子が添加されていても何ら問題はない。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維は、ポリオレフィンポリマーと可染性ポリマーをブレンドし、溶融紡糸した繊維断面が海島構造のポリマーアロイとする製造方法が最適である。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維の製造方法において、ポリオレフィンポリマーと可染性ポリマーをブレンドする方法は、高い混練力を有する単軸押出機や二軸押出機を用いて溶融紡糸する方法が、島成分を均一に微分散させ、分散の制御が可能となり、好ましい。さらに好ましくは、二軸押出機を用いる方法である。
例えば、紡糸工程の溶融混練前にポリオレフィンポリマーと可染性ポリマーをブレンドし、二軸押出機にて溶融混練し、溶融紡糸する方法や、予め二軸押出機を使用してポリオレフィンポリマー中に高濃度で可染性ポリマーを分散させたマスターチップを製造し、紡糸工程でマスターチップとポリオレフィンチップをチップブレンドし、溶融紡糸する方法が挙げられる。
二軸押出機にて溶融混練する際は、ポリオレフィンポリマーと可染性ポリマーの押出量Q(kg/h)をスクリュー回転数N(rpm)にて除したQ/Nが0.01〜0.04となることが好ましい。さらに好ましくは0.01〜0.03以下である。
Q/Nの値はスクリュー1回転あたりの押出量(吐出量)であり、値が小さいほどポリマーへの混練力が大きいこと示す。かかる範囲とすることで、ポリマーへのダメージが無くかつ可染性ポリマーを均一に微分散させ、均一な染色、耐摩耗性に優れた繊維となる。
ポリオレフィンポリマーの粘度は、JIS K7210(1999)B法に準じた装置を用い、230℃で2160g荷重にて2回測定し、その平均値のメルトフローレイト(MFR)にて、10〜100g/10分の範囲が好ましい。かかる範囲とすることで、衣料用途に適する繊維の強度を有することが可能で有り、紡糸時のポリマー流動性が良いことから紡糸安定性にも優れる。
可染性ポリマーの粘度は、JIS K7210(1999)B法に準じた装置を用い、150℃で2160g荷重にて2回測定し、その平均値のメルトフローレイト(MFR)にて、200g/10分以下が好ましい。かかる範囲とすることで、衣料用途に適する繊維の強度を有することが可能で有り、紡糸時のポリマー流動性が良いことから紡糸安定性にも優れる。
また、可染性ポリマーは酸性基を有するポリオレフィンポリマーであることが好ましく、その酸性基変性度は、8〜40質量%であることが好ましい。かかる範囲とすることで、ポリオレフィンと均一分散が可能なため、カチオン染料にて染色した場合、濃色かつ均一に染色できる。酸性基変性度が低いと、染色性を良くさせるために、可染性ポリマー比率を増加させなければならず、製糸性が不安定となりやすく、酸性基変性度が高いと、染色時に染め斑になりやすくなるので、さらに好ましくは、15〜35質量%である。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維の製造方法において、海島比率は、ポリオレフィン60〜95重量部、可染性ポリマー5〜40重量部となるようにブレンドすることが好ましい。かかる範囲にすることで、衣料用途に適する繊維の強度や染色性を有すことが可能で有り、製糸性の良好なポリオレフィンが多数を占めることから安定製糸性にも優れる。可染性ポリマーが増加すると染色時に染め斑になりやすくなるので、さらに好ましくは、ポリオレフィン70〜95重量部、可染性ポリマーを5〜30重量部となるようにブレンドすることである。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維の形態については特に限定はなく、長繊維、短繊維のいずれでもよい。また、本発明の繊維を紡績糸、仮撚や捲縮加工など加工糸としてもよい。
本発明の可染性ポリオレフィン繊維の総繊度、フィラメント数(長繊維の場合)、長さ・捲縮数(短繊維の場合)も特に限定はなく、断面形状も得られる布帛の用途等に応じて任意の形状とすることができる。衣料用繊維素材として使用する事を考慮すると、繊度は5デシテックス以上235デシテックス以下、フィラメント数は1以上144フィラメント以下が好ましい。また、断面形状は円形、三角、扁平、Y型、星形、V型、X型、楕円八葉形が好ましい。
かくして得られる本発明の可染性ポリオレフィン繊維は、耐摩耗性、染色性に優れ、染色工程で染色分けが可能であるため、多彩な色が要求され、柔らかいフィラメントが好まれる衣料用途に展開可能となる。特に、可染性ポリマーに酸性基を有するポリオレフィンポリマーを用いる場合、ポリエステルやポリアミド、アセテートといった他素材との染め分けによる多彩な表現が可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例における特性値の測定法等は次のとおりである。
(1)繊度
1.125m/周の検尺器に繊維試料をセットし、200回転させて、ループ状かせを作成し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてかせ質量を量り、公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。尚、可染性ポリオレフィン長繊維の公定水分率は、0.02%とした。
(2)MFR
チップを、JIS K7210(1999)B法に準じた装置を用い、温度:ポリオレフィン230℃、酸性基を有するポリオレフィン150℃、荷重:2160g重の条件にて2回測定したメルトマスフローレートの値の平均値をそのポリマーのMFRの代表値とする。
(3)酸性基変性度JIS K0070(1992)3.1記載の中和滴定法に準じて以下の方法を用いて酸価を算出後、計算式1を用いて、チップの酸性基変性度を測定した。
A.100℃に温度調整したキシレン100gに(X)1gを溶解させる。
B.フェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液[商品名「0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液」、和光純薬(株)製]で滴定を行う。
C.滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価(単位:mgKOH/g)を算出する。
なお、上記測定では1個の酸無水物基は1個のカルボキシル基と等価になる結果が得られる。
計算式1
酸性基変性度=酸価/1000/水酸化カリウムの分子量×酸変性物の分子量×100。
(4)繊維断面における島ドメインのサイズ
繊維試料の繊維軸と垂直の方向に超薄切片を切り出し、該切片の酸性基を有するポリオレフィン成分をRuOにて金属染色し、4万倍の透過型電子顕微鏡(TEM)にてブレンド状態を観察・撮影した。この撮影画像を三谷商事(株)の画像解析ソフト「WinROOF」を用い、島ドメイン(非染色部)のサイズとしてドメインを円と仮定し、ドメインの面積から換算される直径(直径換算)(2r)をドメインサイズとした。なお、測定するドメイン数は1試料あたり任意に100個とし、その分布の平均を島成分のドメインサイズとした。
TEM装置:日立社製H−7100FA型
条 件 :加速電圧 100kV 。
(5)筒編み地作製
総繊度78dtexの繊維試料を、筒編み機にて度目50となるように調整して作製した。また、総繊度が66dtex未満の繊維は、総繊度66〜89dtexとなるように2〜14本適宜合糸し、総繊度66dtex以上の繊維は1本で行い、前記同様度目50となるように調整して作製する。
(6)筒編み地の精錬
上記(5)で得られた筒編み地をノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製ノイゲンSS)2g/l水溶液を編み地1gに対し100ml用意し、60℃にて30分洗浄した後流水にて20分水洗し、脱水機にて脱水、風乾した。
(7)筒編み地の染色
上記で(5)(6)で得られた筒編み地を、以下の染料及び染色助剤を用いて染色した。
カチオン染料:アイゼンカチロンブルーGLH(保土谷化学工業社製) 0.7質量%
染色助剤:酢酸ソーダ 1.5%
分散剤:酢酸 5.0%
カチオン染料、染色助剤、分散剤を含む染色浴に常圧98℃設定で30分間染色した後、流水にて20分水洗し、脱水機にて脱水、風乾した。
(8)染色性
得られた染色筒編み地を、検査者(5人)の視覚によって、染色性(色の濃さ、均一性)について、5段階判定し、最多得点を採用し3点以上を合格とした。
1点:染まらない(着色なし、白)
2点:淡又は中又は濃色に染まるものの、染色斑が発生
3点:均一に全体が淡色に着色
4点:均一に全体が中色(淡〜濃色)に着色
5点:均一に全体が濃色に着色 。
(9)L値
得られた染色筒編み地を、フリーの筒状の状態(2枚重ね)で、測色計(スガ試験機株式会社性のSM−3型)により、測定径30mmφの条件で5回測定し、その平均値で評価した。なお、L値が80を超えると白色で、染まっていない。
(10)耐摩耗性評価(フロスティング評価、フィブリル化評価)
JIS L1076(2012)に定められているアピアランス・リテンション形試験機により、押圧750g、10分摩耗させる。試験片について、以下(a)、(b)を判定し、3枚の平均値で評価した。
(a)フロスティング評価
試験片の変色の程度を変退色用グレースケールで等級判定し(1,1−2,2,2−3,3,3−4,4,4−5,5 9段階)し、4級以上合格とした。
(b)フィブリル化評価
試験片を、拡大鏡を用いて20倍にて観察し、フィブリル化有無を以下の3段階で判定した。
○:フィブリル化無し。摩擦前の状態と変化なし。
△:フィブリル化有り。軽〜中程度(明確なフィブリル化有り)。
×:フィブリル化有り。中〜重程度(繊維が部分的に崩壊)。
(11)紡糸性
可染性ポリオレフィン長繊維を実施例記載の条件で紡糸し、1時間以上糸切れ無く紡糸可能であった場合に紡糸性良好と判断した。
実施例1
230℃にてMFR:60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFR:102g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス620”、酸性基変性度:21.0質量%)を、70/30(繊維中の無水マレイン酸基量:6.3質量%)となるように計量しながら、二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS)にて220℃、回転数300rpmで溶融し、押出量5.64kg/hにて溶融ポリマーを220℃の紡糸機に導いた。この際のQ/Nは0.019である。そして、丸孔紡糸口金より糸条を吐出させ、冷却した後、給油、交絡を付与した後、糸条を2886m/分で引き取り、引き続いて3030m/分で延伸(延伸倍率1.05倍)し、引き続き3000m/分で巻き取ることにより78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。なお、1時間以上糸切れ無く安定して紡糸可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは20nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が濃色に染色され、L値は32と良好な染色性であった。また、フロスティング評価は5級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
実施例2
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFR:102g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス620”、酸性基変性度:21.0質量%)を85/15(繊維中の無水マレイン酸基量:3.2質量%)にした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。1時間以上糸切れ無く安定した紡糸が可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは16nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が中色に染色され、L値は46であった。また、フロスティング等級は5級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
実施例3
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFRが10.9g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス630”、酸性基変性度:35.0質量%)を70/30(繊維中の無水マレイン酸基量:10.5質量%)とした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。1時間以上糸切れ無く安定した紡糸が可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは70nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が濃色に染色され、L値は30であった。また、フロスティング等級は4級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
実施例4
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFRが10.9g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス630”、酸性基変性度:35.0質量%)を75/25(繊維中の無水マレイン酸基量:8.8質量%)にした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。1時間以上糸切れ無く安定した紡糸が可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは48nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が濃色に染色され、L値は31であった。また、フロスティング等級は4−5級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
実施例5
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFRが10.9g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス630”、酸性基変性度:35.0質量%)を94/6(繊維中の無水マレイン酸基量:2.1質量%)にした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。1時間以上糸切れ無く安定した紡糸が可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは15nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が中色に染色され、L値は53であった。また、フロスティング等級は5級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
実施例6
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFRが112g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス1010”、酸性基変性度:9.1質量%)を70/30(繊維中の無水マレイン酸基量:2.7質量%)にした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。1時間以上糸切れ無く安定した紡糸が可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは15nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が中色に染色され、L値は49であった。また、フロスティング等級は5級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
実施例7
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFRが112g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス1010”、酸性基変性度:9.1質量%)を80/20(繊維中の無水マレイン酸基量:1.8質量%)にした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。1時間以上糸切れ無く安定した紡糸が可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは15nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が淡色に染色され、L値は56であった。また、フロスティング等級は5級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
実施例8
回転数200rpmで溶融した以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。この際のQ/Nは0.028である。なお、1時間以上糸切れ無く安定して紡糸可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは70nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が濃色に染色され、L値は32と良好な染色性であった。また、フロスティング評価は4−5級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
実施例9
回転数150rpmで溶融した以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。この際のQ/Nは0.038である。なお、1時間以上糸切れ無く安定して紡糸可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは90nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が濃色に染色され、L値は32と良好な染色性であった。また、フロスティング評価は4級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
実施例10
回転数500rpmで溶融した以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。この際のQ/Nは0.011である。なお、1時間以上糸切れ無く安定して紡糸可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは12nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が濃色に染色され、L値は32と良好な染色性であった。また、フロスティング評価は5級であり、フィブリル化も無く良好な耐摩耗性を有していた。
Figure 2015148027
表1の結果から明らかなように本発明の実施例1〜10による可染性ポリオレフィン繊維は、耐摩耗性、染色性に優れている。また、可染性ポリオレフィン繊維を安定した紡糸性により得られる。
比較例1
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のみにて、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン長繊維を得た。1時間以上糸切れ無く安定した紡糸が可能であった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、染色されず、L値は90.5であった。また、フロスティング等級は、染色されなかった(白)ため、変退色による測定は不能ではあるが、フィブリル化は無かった。
比較例2
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFRが10.9g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス630”、酸性基変性度:35.0質量%)を30/70(繊維中の無水マレイン酸基量:24.5質量%)にした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。紡糸開始1時間以内に糸切れが多発した。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは200nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、濃色に染まるものの、染色斑が発生した。L値は20であった。また、フロスティング等級は2−3級であり、繊維が部分的に崩壊し、フィブリル化を確認でき、衣料用に耐えうる耐摩耗性を有していなかった。
比較例3
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFRが102g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス620”、酸性基変性度:21.0質量%)を30/70(繊維中の無水マレイン酸基量:14.7質量%)にした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。紡糸開始1時間以内に糸切れが多発した。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは150nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、濃色に染まるものの、染色斑が発生した。L値は25であった。また、フロスティング等級は2−3級であり、明確なフィブリル化を確認し、衣料用に耐えうる耐摩耗性を有していなかった。
比較例4
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFRが10.9g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス630”、酸性基変性度:35.0質量%)を50/50(繊維中の無水マレイン酸基量:17.5質量%)とした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。紡糸開始1時間以内に糸切れが多発した。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは180nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、濃色に染まるものの、染色斑が発生した。L値は24であった。また、フロスティング等級は2−3級であり、明確なフィブリル化を確認し、衣料用に耐えうる耐摩耗性を有していなかった。
比較例5
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、150℃にてMFRが102g/10分の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業社製“ユーメックス620”、酸性基変性度:21.0質量%)を50/50(繊維中の無水マレイン酸基量:10.5質量%)とした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。1時間以上糸切れ無く安定した紡糸が可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは120nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が濃色に染色され、L値は28であった。また、フロスティング等級は3−4級であり、明確なフィブリル化を確認し、衣料用に耐えうる耐摩耗性を有していなかった。
比較例6
(カチオン可染ポリエステルの重合方法)
精留塔を備えたエステル交換反応槽にテレフタル酸ジメチルを927重量部とエチレングリコールを595重量部、アジピン酸ジメチルを得られるポリエステル中の全酸成分に対する濃度が5.1モル%となるように仕込み、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを得られるポリエステル中の全酸成分に対し2.4モル%となるように仕込んだ。その後、チタン化合物としてTi−乳酸触媒をチタン元素換算で5ppm、リン化合物としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業化学株式会社製GSY−P101)をリン元素換算で10ppmとなるよう添加し、酢酸マグネシウム・四水和物を600ppm添加し、その後にEAH20(テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド 20%、水 67%、メタノール 13%の混合物、三洋化成社製)を1200ppm(窒素換算で29.3ppm)添加した。その後、エステル交換反応槽の温度を徐々に昇温し、エステル交換反応時に発生するメタノールを反応系外に留去させながら反応を進行させ、低重合体を得た。その後、エステル交換反応槽から重合反応槽にその低重合体を移液した。移液終了後、ポリエステル中の濃度が0.07質量%になるよう酸化チタンのエチレングリコールスラリーを添加した。さらに5分後に、反応槽内を240℃から280℃まで徐々に昇温するとともに、エチレングリコールを留去しながら、圧力を50Paまで下げた。所定の攪拌機トルク(電力値)となった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻し重合反応を停止させ、ストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリエステルのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の攪拌機トルク到達までの時間はおよそ2時間15分だった。
得られたポリエステルチップは固有粘度0.62、DEG2.0質量%、Δ固有粘度280が0.020、カルボキシル末端基量47.4eq/t、融点235℃であった。
230℃にてMFRが60g/10分のホモポリプロピレン(プライムポリプロ社製“S119”)のポリマーペレットと、上記方法で重合したカチオン可染ポリエステルと、相溶化剤としてエチレンとメタクリル酸グリシジルとの共重合体(商品名:ロタダー)を68/30/2とした以外、実施例1と同様の方法で78dtex、28フィラメントのポリプロピレン系ポリマーアロイ長繊維を得た。1時間以上糸切れ無く安定して紡糸可能であった。
得られた繊維について、繊維断面における島成分のドメインサイズは300nmであった。
この繊維を筒編み、精錬しカチオン染料にて染色した結果、均一に全体が濃色に染色され、L値は35であった。また、フロスティング等級は1−2級であり、繊維が部分的に崩壊し、フィブリル化を確認でき、衣料用に耐えうる耐摩耗性を有していなかった。
Figure 2015148027

Claims (6)

  1. ポリオレフィンと可染性ポリマーとをブレンドしてなる海島構造を有するポリマーアロイ繊維であって、該繊維横断面における島成分のドメインサイズが100nm未満であることを特徴とする可染性ポリオレフィン繊維。
  2. 可染性ポリマーが、カチオン可染性ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の可染性ポリオレフィン繊維。
  3. 海成分がポリオレフィン、島成分が酸性基を有するポリオレフィンであることを特徴とする請求項1、または2記載の可染性ポリオレフィン繊維。
  4. カチオン染料で染色された繊維のL値が55以下である請求項1〜3いずれか1項に記載の可染性ポリオレフィン繊維。
  5. ポリオレフィン60〜95重量部、可染性ポリマー5〜40重量部となるようにブレンドし、溶融紡糸することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の可染性ポリオレフィン繊維の製造方法。
  6. 前記可染性ポリマーの酸性基変性度が、8〜40質量%であることを特徴とする請求項5記載の可染性ポリオレフィン繊維の製造方法。
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