JP6310064B2 - 複合繊維、それからなる仮撚加工糸およびその製造方法、ならびに布帛 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1、2では、レーヨンなどの天然系繊維や耐熱繊維と混用する方法が挙げられ、特許文献3では、後加工においてシリコンやポリエチレンワックス等の平滑剤を添加する方法が提案されている。
また、ポリエステル繊維自体を改善する方法として、特許文献4、5では、ポリエステル繊維の芯部にポリエステルよりも融点の低い低融点ポリマーを配した複合繊維による方法が提案されており、作用機構としては、摩擦により発生した摩擦熱をポリエステルが溶融する前に、芯部の低融点ポリマーの融解による吸熱作用により吸収することで、ポリエステルの溶融を低減させている。このため、摩擦熱が解除された場合、芯部の低融点ポリマーが再度固化するため、繰り返し利用可能となり、また、洗濯等による耐久性も得られる。
なかでも、芯部のポリマーアロイにおけるポリエステルおよびポリオレフィンの質量比率が95:5〜55:45であることが好ましい。
また、本発明は、前記の複合繊維を用いて、ヒーター温度が180〜220℃、撚数が2000〜4000T/mの条件で仮撚加工する仮撚加工糸の製造方法でもある。
そして、本発明は、上記複合繊維を、少なくとも、一部に用いた耐摩擦溶融性布帛でもある。
また、本発明の耐摩擦溶融性布帛用複合繊維を用いることにより、耐摩擦溶融性、加工性、染色性とも良好な仮撚加工糸や布帛を提供できる。
芯部のポリマーは、2種類以上の熱可塑性ポリマーからなるポリマーアロイであり、このポリマーアロイは海相がポリエステル、島相がポリオレフィンの海島構造を形成したものである。
本発明のポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーである。このようなポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が挙げられる。力学的特性、紡糸性の観点からポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートが好ましい。
芯部のポリマーには、耐摩擦溶融性を得るため、上記ポリエステルに、ポリエステルよりも融点の低いポリマーを分散させたものを用いる。耐摩擦溶融性を最大限発揮するためには、ポリエステルとの融点差が大きく、融解熱量が大きいポリマーが好ましく、また、ポリエステルの溶融紡糸温度に耐え得るポリマーが好ましい。これらの要求を満足するポリマーとしては、ポリオレフィンが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、またこれらの共重合体などが挙げられる。中でも、ポリエステルとの親和性が他のポリオレフィンと比べ良好で、融解熱量の大きい低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンが好ましい。特に好ましくは、高密度ポリエチレンである。なお、低密度ポリエチレンとは、密度が0.910〜0.929であり、直鎖状低密度ポリエチレンとは、密度が0.930〜0.941であり、高密度ポリエチレンとは、密度が0.942以上である。また、これらのポリオレフィンは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。ここでいう密度とは、試料の質量と体積の比であり、単位としては、g/cm3で表す。
本発明における芯部のポリマーアロイは、ポリエステルとポリオレフィンとの相溶性が不十分なため、通常の方法で溶融混合して得たものでは、ポリエステル中へのポリオレフィンの分散性が悪く、紡糸性の悪化や得られる繊維の物性の低下が生じる。そこで本発明では、上記ポリマーアロイに相溶化剤を添加することが必要である。本発明における相溶化剤とは、2種類以上のポリマーを混合させた場合、ポリマー界面に働き、両者のモルフォロジーを安定化させる化合物である。本発明では、相溶化剤を添加することで、ポリエステル中におけるポリオレフィンの分散を安定させ、紡糸性を良好にする役割を果たす。これより、ポリエステル中に安定的にポリオレフィンを高分散させることが可能となる。本発明におけるポリエステルとポリオレフィンとのポリマーアロイの場合、使用される相溶化剤としては、変性ポリオレフィンが挙げられる。上記変性ポリオレフィンとは、分子内にカルボン酸、カルボン酸金属塩基、カルボン酸エステル基、無水酢酸およびエポキシ基などの官能基を有するポリオレフィンである。これらの官能基を有するモノマーが共重合されたポリオレフィンであれば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体いずれであってもよい。また、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンを主成分とする重合体やエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体等の共重合体などを挙げることができる。
本発明の複合繊維は、芯部のポリマーとして、上記ポリエステルとポリオレフィンおよび相溶化剤からなるポリマーアロイ、鞘部のポリマーとして、ポリエステル準備し、通常の方法で乾燥後、複合紡糸装置を用いて、通常の溶融紡糸を行うことにより得ることができる。ここでいう複合繊維とは、ポリマーアロイとポリエステルとを別々に溶融し、紡糸時に様々な形状にて結合させた複合(コンジュゲート)繊維のことを示す。
尚、撚数が過度に少ない場合、捲縮が不良となり易く、過度に多い場合も二重撚り等が生じ易いため、撚数は、繊度に応じて、上記撚係数から算出した撚数の範囲とすることが好ましい。
本発明の複合繊維または仮撚加工糸を用いて、耐摩擦溶融性布帛を作製する場合、布帛の種類としては特に制限するものではないが、織物、編物、不織布などいずれでもよい。
本発明の耐摩擦溶融性布帛は、上記複合繊維または上記仮撚加工糸を、摩擦対象面に使用することが好ましく、摩擦対象面のみに使用してもよいし、布帛全体に使用してもよい。
(1)極限粘度[η]
フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)の混合溶媒中20℃で常法により求めた。
(2)MFR(g/10分)
測定法は、JIS K 6922−2に従った。
(3)紡糸操業性
24時間紡糸した際に、一度も糸切れのなかったものを○、糸切れ発生したものを×とした。
(4)繊維の力学的物性(強度および伸度)
島津製作所製オートグラフAGSを用いた引張試験を行い、測定長:200mm、引張り速度:200mm/分の条件下にて、繊維が破断したときの破断強さと伸度をそれぞれ5回測定し、その平均値を求めて、強度、伸度とした。
(5)仮撚操業性
仮撚加工を実施した際の操業性を、以下の基準で評価した。
○:糸切れなし、サージングなし
×:糸切れ発生、他異常の発生
(6)伸縮復元率
JIS L1013 8.12に準じて測定した。
(7)残留トルク
0.2g/dexの荷重下で25cm長の撚数を検撚器で測定し、得られた撚数(T/25cm)を4倍して、残留トルク(T/m)を算出した。
(8)染色性
得られた糸を用いて丸編みにし、精練した後、染料D/N BLUEACE1.0%owf、酢酸0.2ml/L、イオネットRP1.0g/L、の染浴中、浴比1:20にて130℃で60分染色させ、目視での観察から、○(染色性良好)、×(染色性不良)で評価した。
(9)耐摩擦溶融性
得られた糸を用いて丸編みにし、JIS L1056(B法)に準拠してローター型摩擦溶融試験を用いる方法にて実施した。2kg荷重にて、10秒間押し当てた後の布帛表面の様子を、次の三段階、○(溶融跡はなく、擦過跡のみあり)、△(一部溶融跡あり)、×(試料が破損し、穴あきあり)で評価した。
極限粘度が0.64のポリエチレンテレフタレート樹脂とMFRが7.0で密度が0.964の高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製)を使用し、相溶化剤として、エチレン―グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学社製ボンドファースト、グレード:2C)を使用して、それぞれ表1に示す所定量に配合しドライブレンドした後、二軸混練押出機に供給し、混練温度270℃、スクリュー回転数250rpmの条件にて溶融混練し、冷却ペレット化して芯部に使用するポリマーアロイを得た。一方、鞘部として、極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートを使用した。それぞれのポリマーを乾燥後に複合紡糸機に導入しポリマーアロイとポリエチレンテレフタレートの容積比率を2:1として溶融し、図1(A)の芯部にポリマーアロイ、鞘部にポリエチレンテレフタレートとなるように紡糸口金から押し出し、通常の方法で油剤付与後、第一ゴデッドローラー(GR1)の周速1400m/分(温度:80℃)で引取り、次いで、第二ゴデッドローラー(GR2)の周速4300m/分(温度:130℃)に導きGR1とGR2の間で延伸する通常のスピンドロー法にて、167dtex/48fの芯鞘型複合繊維を得た。得られた複合繊維を用い、ヒーター温度200℃、糸速100m/分、撚数2800T/mの条件にて、仮撚加工を行ったところ、欠点なく優れた仮撚加工通過性を示し、嵩高性の良好な仮撚加工糸を得た。尚、得られた仮撚加工糸は強度が3.14cN/dtex、伸度が20.5%、伸縮復元率が31%、残留トルクが106T/mであった。得られた仮撚加工糸を用いて、丸編みを作製し、耐摩擦溶融性評価および染色性評価を行った。結果を表1に示す。
ポリマーアロイのポリエチレンテレフタレートと高密度ポリエチレンの質量比率を表1の通り、65:35に変更し、相溶化剤の添加量を0.3質量%から0.5質量%に変更し、フィラメント数を変更した以外は実施例1と同様の方法で、167dtex/72fの芯鞘型複合繊維を得た。また、実施例1と同様の条件にて仮撚加工を行ったところ、欠点なく嵩高性の良好な仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸を用いて耐摩擦溶融性評価および染色性評価を行った。結果を表1に示す。
ポリマーアロイのポリオレフィンをMFR5.0で密度が0.935の直鎖状低密度ポリエチレンに変更し、フィラメント数を変更した以外は実施例1と同様の方法で、167dtex/72fの芯鞘型複合繊維を得た。また、実施例と同様の条件にて仮撚加工を行ったところ、欠点なく崇高性の良好な仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸を用いて耐摩擦溶融性評価および染色性評価を行った。結果を表1に示す。
極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートを用いて、167dtex/72fでのポリエチレンテレフタレート繊維を得た。また、実施例1と同様の条件にて仮撚加工を行ったところ、欠点なく嵩高性の良好な仮撚加工糸を得た。尚、得られた仮撚加工糸は強度が4.01cN/dtex、伸度が24.5%、伸縮復元率が37.2%、残留トルクが138T/mであった。得られた仮撚加工糸を用いて耐摩擦溶融性評価および染色性評価を行った。結果を表1に示す。
芯部のポリマーとしてMFR2.3の高密度ポリエチレン、鞘部のポリマーとして極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートを用いて、容積比率が1:3として、実施例1と同様の方法にて、167dtex/72fでの芯鞘型複合繊維を得た。実施例1と同様の条件にて仮撚加工を行ったところ、鞘部に亀裂が生じ、芯部の高密度ポリエチレンの露出が確認され、白粉が多量に発生し、糸切れが多発した。仮撚加工性に劣るものであったため少量しか得られなかったが、それを用いて耐摩擦溶融性評価および染色性評価を行った。結果を表1に示す。尚、得られた仮撚加工糸は強度が2.60cN/dtex、伸度が20.4%、伸縮復元率が32.6%、残留トルクが130T/mであった。
実施例1で使用した芯部のポリマーアロイのみを使用し、167dtex/72fでの単独紡糸を実施した。しかし、一部表面に露出した高密度ポリエチレンにより、白粉が発生し、糸切れが多発した。また、仮撚加工でも白粉が発生し、糸切れが多発した。
極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートとMFRが7.0で密度が0.964の高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製)を使用し、相溶化剤として、エチレン―グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学社製ボンドファースト、グレード:2C)を使用して、それぞれ表2に示す所定量に配合しドライブレンドした後、二軸混練押出機に供給し、混練温度270℃、スクリュー回転数250rpmの条件にて溶融混練し、冷却ペレット化して芯部に使用するポリマーアロイを得た。一方、鞘部として、極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートを使用した。それぞれのポリマーを乾燥後に複合紡糸機に導入しポリマーアロイとポリエチレンテレフタレートの容積比率を2:1として溶融し、図1(A)の芯部にポリマーアロイ、鞘部にポリエチレンテレフタレートとなるように紡糸口金から押し出し、通常の方法で油剤付与後、紡速4300m/分のPOY法にて、150dtex/24fの芯鞘型複合繊維(POY糸)を得た。得られた芯鞘型複合繊維を用い、ヒーター温度200℃、糸速760m/分、撚数3100T/mの条件にて、フリクション方式で1.785倍に延伸しながら糸速度760m/分にて仮撚加工を行ったところ、伸縮性及び嵩高性が良好な仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸は、繊度84dtex/24f、伸縮復元率が26%、残留トルクがZ方向51T/m、強度が3.3cN/dtex、伸度は31%であった。さらにこの仮撚加工糸を用いて、耐摩擦溶融性および染色性を評価した。その結果を表2に示す。
実施例4と同様に紡糸口金から押し出し、通常の方法で油剤を付与し、紡速1600m/分で芯鞘型複合繊維の未延伸糸を巻き取った。得られた未延伸糸を、3.120倍で延伸し、84dtex/24fの芯鞘型複合繊維(延伸糸)を得た。得られた芯鞘型複合繊維を、ピン方式で糸速度120m/分、ヒーター温度200℃、撚数3100T/mにて仮撚加工を行った。得られた仮撚加工糸は、伸縮性及び嵩高性が良好であった。またこの仮撚加工糸は繊度84dtex/24f、伸縮復元率が26%、残留トルクはZ方向53T/m、強度は3.2cN/dtex、伸度は32%であった。さらにこの仮撚加工糸を用いて、耐摩擦溶融性および染色性を評価した。その結果を表2に示す。
極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートを用いて、84dtex/24fでの単独繊維を得た。得られた繊維を、実施例4と同様に仮撚加工を行った。得られた仮撚加工糸の物性及び評価を表2に示す。
芯部のポリマーとしてMFR2.3の高密度ポリエチレン、鞘部のポリマーとして極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートを用いて、容積比率を1:3とする以外は、実施例4と同様に、84dtex/24fの芯鞘型複合繊維を得た。得られた芯鞘型複合繊維を、実施例4と同様に仮撚加工を行ったところ、鞘部に亀裂が生じ、芯成分である高密度ポリエチレンの露出が確認され、白粉が多量に発生し、糸切れが多発したが、仮撚加工糸は少量得られた。得られた仮撚加工糸の物性及び評価結果を表2に示す。
実施例4で得た芯部のポリマーアロイのみの単独成分で紡糸し、84dtex/24fの繊維を得た。紡糸の際、一部表面に高密度ポリエチレンが露出し、白粉が発生し、糸切れも多発した。得られた繊維を実施例4と同様に仮撚加工したところ、白粉が発生し、糸切れも多発したが、仮撚加工糸をごく少量得ることができた。得られた仮撚加工糸の評価結果を表2に示す。
比較例4から得られたポリエチレンテレフタレート単独繊維を用いた仮撚加工糸は、耐摩擦溶融性に劣り、また比較例5から得られた、芯部をポリエチレン、鞘部をポリエチレンテレフタレートとした芯鞘型複合繊維からなる仮撚加工糸は、芯鞘剥離が生じ、染色性が不良であるうえ、実施例品と比べて耐摩擦溶融性に劣っていた。また、比較例6から得られたポリマーアロイのみからなる繊維は、紡糸工程、仮撚工程とも、白粉が発生し糸切れが多発し、染色した際には染色斑が生じ、耐摩擦溶融性も不良であった。
極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートとMFRが7.0で密度が0.964の高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製)を使用し、相溶化剤として、エチレン―グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学社製ボンドファースト、グレード:2C)を使用して、それぞれ実施例4と同様に配合しドライブレンドした後、二軸混練押出機に供給し、混練温度270℃、スクリュー回転数250rpmの条件にて溶融混練し、冷却ペレット化して芯部に使用するポリマーアロイを得た。一方、鞘部として、極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートを使用した。それぞれのポリマーを乾燥後に複合紡糸機に導入しポリマーアロイとポリエチレンテレフタレートの容積比率を2:1として溶融し、図1(A)の芯部にポリマーアロイ、鞘部にポリエチレンテレフタレートとなるように紡糸口金から押し出し、通常の方法で油剤付与後、紡速1600m/分にて未延伸糸を得て、これを84℃の下、3.12倍に延伸して84dtex/24fの芯鞘型複合繊維を得た(コンベンショナル法)。得られた芯鞘型複合繊維を用い、ヒーター温度200℃、糸速120m/分、撚数3100T/mの条件のピン方式で仮撚加工を行ったところ、伸縮性及び嵩高性が良好な仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸は、繊度84dtex/24f、伸縮復元率が26%、残留トルクがZ方向51T/m、強度が3.3cN/dtex、伸度は30%であった。さらにこの仮撚加工糸を用いて、22ゲージ丸編み機にて、表面に得られた糸、中裏面に84dtex/72fのY字断面レギュラーポリエステル糸、裏面に84dtex/36fのレギュラーポリエステル糸を配し、両面スムース編にて編成し、目付け250g/m2の編地を得た。得られた編地を用いて、JIS L1056(B法)に準拠してローター型摩擦溶融試験を用いる方法にて耐摩擦溶融試験を実施した。2kg荷重にて、10秒間押し当てた後の布帛表面には、擦過跡はあったが、溶融跡はなかった。
実施例6で得られた84dtex/24fの芯鞘型複合繊維(延伸糸)を、仮撚加工を行わずに、上記方法にて目付け250g/m2の編地を作製し、実施例6と同様に耐摩擦溶試験を行ったところ、2kg荷重にて、10秒間押し当てた後の布帛表面には、擦過跡はあったが、溶融跡はなかった。
得られた仮撚加工糸を、極限粘度が0.64のポリエチレンテレフタレートの84dtex/24fのポリエチレンテレフタレート繊維と変更する以外は、実施例6と同様に目付け250g/m2の編地を作製し、実施例6と同様に耐摩擦溶融試験を行った。2kg荷重にて、押し当てた際、3.0秒以下で、布帛は、穴が開き、破損した。
芯部としてMFR2.3の高密度ポリエチレン、鞘部として極限粘度[η]が0.64のポリエチレンテレフタレートを用いて、容積比率を1:3とする以外は、実施例6と同様に、84dtex/24fの芯鞘型複合繊維を得て、仮撚加工を行って、編地を作製しようとしたが、芯鞘剥離に伴う白粉発生により編地を作製可能な加工糸量は得られなかった。
比較例8で得た芯鞘型複合繊維を用いて、実施例6と同様に編地(目付け250g/m2)を作製し、耐摩擦溶融試験を行ったところ、10秒押し押し当てた後の布帛表面は、破れてはいないものの溶融跡があった。
尚、耐摩擦溶融試験結果は、以下の基準で評価した。
○:溶融跡はなく、擦過跡のみあり
△:一部溶融跡あり
×:試料が破損し、穴あきあり
b ポリエステル成分
Claims (4)
- 芯部と芯部を完全に覆う鞘部からなる複合繊維であって、芯部のポリマーは2種類以上の熱可塑性ポリマーからなるポリマーアロイであり、前記ポリマーアロイは、ポリエステル、ポリオレフィンおよび相溶化剤からなり、前記ポリマーアロイは海相がポリエステル、島相がポリオレフィンの海島構造を形成したものであり、前記ポリオレフィンが、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種類のポリマーであり、鞘部のポリマーはポリエステルであることを特徴とする耐摩擦溶融性布帛用複合繊維。
- 芯部のポリマーのポリエステルとポリオレフィンの質量比率が、95:5〜55:45である請求項1記載の耐摩擦溶融性布帛用複合繊維。
- 請求項1または2記載の複合繊維を用いて、ヒーター温度が180〜220℃、撚数が2000〜4000T/mの条件で仮撚加工する、仮撚加工糸の製造方法。
- 請求項1または2記載の複合繊維を、少なくとも、一部に用いた耐摩擦溶融性布帛。
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