JP2015147734A - 水中油(o/w)型乳化組成物、水中油(o/w)型乳化組成物の製造方法、及び皮膚外用剤 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、特定の組成を有するポリグリセリン脂肪酸エステル、多価アルコール、油性物質及び水を特定の比率で組み合わせた水中油型乳化物が、加熱安定性、経時安定性および低温保存からの復元性に優れ、多種の油性物質に適用可能となることが記載されている。
さらに特許文献2には、特殊なポリグリセリン脂肪酸エステルとIOB(無機/有機バランス)値が特定の範囲である液状油とを用いることによって、水性媒体や油性媒体への分散性が悪い高結晶性物質を安定的かつ均一に分散させることができることが記載されている。
本発明は、さっぱりとした使用感とリッチな感触(使用実感)を併せ持つ乳化組成物を提供することを課題とする。
即ち、本発明は、以下に示す通りである。
<1> 界面活性剤、水、及びグリセリンを含むD(Detergent)相に油相を添
加し、さらに水相を添加して得られる水中油(O/W)型乳化組成物であって、下記(a)及び(b)の条件を満たすことを特徴とする、水中油(O/W)型乳化組成物。
(a)D相における水/グリセリンの質量比が0.2〜2.0である。
(b)融点が70℃以上の油剤を乳化組成物全量に対して0.01〜10.0質量%含有する。
<2> グリセリンを乳化組成物全量に対して1.00〜20.0質量%含有する、<1
>に記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
<3> 芳香族アルコールを乳化組成物全量に対して0.01〜2.00質量%含有する
、<1>又は<2>に記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
<4> 前記界面活性剤がポリグリセリン脂肪酸エステルである、<1>〜<3>の何れ
かに記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
<5> 前記融点が70℃以上の油剤が、カルバナワックス、キャンデリラワックス、ビ
ーズワックス、マイクロクリスタリンワックス、木ロウ、鯨ロウ、ライスワックス、イボタロウ、水添ホホバ油、硬化ヒマシ油、25℃1気圧で固体の高級脂肪酸、及び高級アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、<1>〜<4>の何れかに記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
<6> 組成物中の油相の平均粒子径が100〜300nmである、<1>〜<5>の何
れかに記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
<7> 酸化エチレン(EO)型非イオン性界面活性剤を含有しない、<1>〜<6>の
何れかに記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
<8> 界面活性剤、水、及びグリセリンを含むD(Detergent)相を準備する
第1工程、第1工程で準備した組成物に油相を添加する第2工程、及び第2工程で生成した組成物に水相を添加する第3工程を含む水中油(O/W)型乳化組成物の製造方法であって、下記(a’)及び(b’)の条件を満たすことを特徴とする。
(a’)D相における水/グリセリンの質量比が0.2〜2.0である。
(b’)第2工程において添加する油相の温度が70℃以上である。
<9> <1>〜<7>の何れかに記載の水中油(O/W)型乳化組成物、又は<8>に
記載の製造方法によって製造された水中油(O/W)型乳化組成物を含有する皮膚外用剤。
本発明の一態様である水中油(O/W)型乳化組成物(以下、「本発明の乳化組成物」と略す場合がある。)は、界面活性剤、水、及びグリセリンを含むD(Detergen
t)相に油相を添加し、さらに水相を添加して得られる水中油(O/W)型乳化組成物であり、下記(a)及び(b)の条件を満たすことを特徴とする。
(a)D相における水/グリセリンの質量比が0.2〜2.0である。
(b)融点が70℃以上の油剤を乳化組成物全量に対して0.01〜10.0質量%含有する。
前述のように乳化物は、様々な機能が発現される有用な組成物であり、例えば組成物中の乳化滴を微細にすることで、化粧料等に使用した場合にさっぱり感等の良好な使用感を付与することもできる。そのため、化粧料分野において乳化滴を微細なものに制御しようとする様々な試みがなされており、その1つとしてD(Detergent)相と呼ばれる界面活性剤相に油相を添加してD相中油(O/D)型の乳化物を形成し、さらに水相を添加して水中油(O/W)型の乳化物を得る、いわゆるD相乳化法が検討されている。しかし、D相乳化法では、乳化温度等の調製条件に制約を受ける場合が多く、そのため例えば高融点の油剤を配合した乳化が難しくなり、高融点の油剤によって得られるリッチな感触(使用実感)を化粧料等に付与することが困難であった。
本発明者らは、D相を形成するための多価アルコールとしてグリセリンを用い、さらにそのグリセリンの含有量(水/グリセリンの質量比)を特定の範囲とすることによって、例えば70℃以上の高温条件におけるD相乳化法が可能となることを見出した。そのため、D相乳化法において高融点の油剤を配合した乳化が可能となり、D相乳化法によって得られるさっぱりとした使用感と高融点の油剤によって得られるリッチな感触(使用実感)を併せ持つ乳化組成物が実現可能となったのである。
なお、「D相における水/グリセリンの質量比」とは、本発明の乳化組成物を得るために形成したD相における水/グリセリンの質量比を表し、最終的に得られる水中油(O/W)型乳化組成物全量におけるグリセリンの含有量とは異なる数値を表すものである。
芳香族アルコールの種類は、特に限定されず、化粧料分野等において使用される公知のものを適宜選択することができるが、芳香族アルコールの炭素数は、通常7以上、好ましくは8以上であり、通常15以下、好ましくは14以下である。具体的な芳香族アルコールとしては、フェノキシエタノール、ベンジルアルコールが挙げられるが、フェノキシエタノールが特に好ましい。なお、D相に含まれる芳香族アルコールは、1種類に限られず、2種類以上を含むものであってもよい。
また、水相の添加量は、本発明の乳化組成物における水相/D相の質量比として、通常0.50以上、好ましくは0.75以上、より好ましくは1.0以上であり、通常30.0以下、好ましくは25.0以下、より好ましくは20.0以下である。
界面活性剤は、乳化組成物全量に対して、通常1.0質量%以上、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上であり、通常10.0質量%以下、好ましくは9.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下である。
水は、乳化組成物全量に対して、通常30.0質量%以上、好ましくは40.0質量%以上、より好ましくは50.0質量%以上であり、通常95.0質量%以下、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは85.0質量%以下である。
グリセリンは、乳化組成物全量に対して、通常1.0質量%以上、好ましくは1.5質
量%以上、より好ましくは2.0質量%以上であり、通常20.0質量%以下、好ましくは17.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。
油剤(融点が70℃以上の油剤を含む。)は、乳化組成物全量に対して、通常1.0質量%以上、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上であり、通常75.0質量%以下、好ましくは70.0質量%以下、より好ましくは65.0質量%以下である。
芳香族アルコールは、乳化組成物全量に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上であり、通常2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。
上記範囲内であると、安定なD相を形成することができる。
本発明の乳化組成物は、D相に油相を添加し、さらに水相を添加して得られるものであれば、具体的な製造方法等は特に限定されないが、下記の製造方法によって製造されるものであることが好ましい。なお、下記の製造方法もまた本発明の一態様である(以下、「本発明の製造方法」と略す場合がある。)。
界面活性剤、水、及びグリセリンを含むD(Detergent)相を準備する第1工程、第1工程で準備した組成物に油相を添加する第2工程、及び第2工程で生成した組成物に水相を添加する第3工程を含む水中油(O/W)型乳化組成物の製造方法であって、下記(a’)及び(b’)の条件を満たすことを特徴とする。
(a’)D相における水/グリセリンの質量比が0.2〜2.0である。
(b’)第2工程において添加する油相の温度が70℃以上である。
本発明の乳化組成物の用途は、特に限定されず、乳化物が利用される皮膚外用剤(化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨等を含む。)、食品、塗料等の公知の用途に幅広く利用することができる。これらの中でも、皮膚外用剤に利用することが好ましい。なお、本発明の乳化組成物、又は本発明の製造方法によって製造された乳化組成物を含有する皮膚外用剤も本発明の一態様(以下、「本発明の皮膚外用剤」と略す場合がある。)である。
B6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤等が挙げられる。
下記表1の組成に従い、本発明の乳化組成物、及び比較例の乳化組成物を調製した。即ち、成分(イ)を70℃まで加熱し均一混合した後、70℃に加熱した成分(ロ)を添加し、均一になるまでしっかりと練る。その後、撹拌しながら70℃以上に加熱した成分(ハ)を徐々に添加する。次に、攪拌を続けながら、70℃に加熱した成分(ニ)を徐々に投入して乳化を行う。その後30℃まで冷却し、乳化組成物を得た。
成分(イ)及び(ロ)を混合した時点及び成分(イ)、(ロ)、(ハ)を混合した時点の相状態を、偏光顕微鏡及びにより評価した。結果を表1に合わせて示す。
下記表2の組成に従い、比較例3の乳化組成物を調製した。すなわち、成分(イ)を70℃に加熱し、均一混合した後、攪拌を続けながら、成分(ロ)を70℃で均一溶解したものを徐々に添加し、乳化を行った後、30℃まで冷却し、乳化組成物を得た。
光学顕微鏡により乳化組成物の粒子径を計測した。また、乳化組成物の後方散乱強度から粒度分布を計測した。結果を表3に示す。
実施例1〜6、比較例1〜3の乳化組成物を肌上に塗布した場合の、さっぱり感及び使用実感(リッチな感触)を熟練評価者5名により、以下の基準にて評価した。評価者5名の平均点をその乳化組成物のさっぱり感スコア及び使用実感スコアとした。結果を表3に示す。
実施例1〜6、比較例1〜3の乳化組成物を50℃に3か月間保存し、試験例1に従い乳化滴の評価を、また、試験例2に従い使用感の評価を行った。結果を表3に示す。
Claims (9)
- 界面活性剤、水、及びグリセリンを含むD(Detergent)相に油相を添加し、さらに水相を添加して得られる水中油(O/W)型乳化組成物であって、下記(a)及び(b)の条件を満たすことを特徴とする、水中油(O/W)型乳化組成物。
(a)D相における水/グリセリンの質量比が0.2〜2.0である。
(b)融点が70℃以上の油剤を乳化組成物全量に対して0.01〜10.0質量%含有する。 - グリセリンを乳化組成物全量に対して1.0〜20.0質量%含有する、請求項1に記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
- 芳香族アルコールを乳化組成物全量に対して0.01〜2.0質量%含有する、請求項1又は2に記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
- 前記界面活性剤がポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1〜3の何れか1項に記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
- 前記融点が70℃以上の油剤が、カルバナワックス、キャンデリラワックス、ビーズワックス、マイクロクリスタリンワックス、木ロウ、鯨ロウ、ライスワックス、イボタロウ、水添ホホバ油、硬化ヒマシ油、25℃1気圧で固体の高級脂肪酸、及び高級アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜4の何れか1項に記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
- 組成物中の油相の平均粒子径が100〜300nmである、請求項1〜5の何れか1項に記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
- 酸化エチレン(EO)型非イオン性界面活性剤を含有しない、請求項1〜6の何れか1項に記載の水中油(O/W)型乳化組成物。
- 界面活性剤、水、及びグリセリンを含むD(Detergent)相を準備する第1工程、第1工程で準備した組成物に油相を添加する第2工程、及び第2工程で生成した組成物に水相を添加する第3工程を含む水中油(O/W)型乳化組成物の製造方法であって、下記(a’)及び(b’)の条件を満たすことを特徴とする。
(a’)D相における水/グリセリンの質量比が0.2〜2.0である。
(b’)第2工程において添加する油相の温度が70℃以上である。 - 請求項1〜7の何れか1項に記載の水中油(O/W)型乳化組成物、又は請求項8に記載の製造方法によって製造された水中油(O/W)型乳化組成物を含有する皮膚外用剤。
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