JP2016190797A - 日焼け止め化粧料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】経時的に安定でかつ高い紫外線防御能を発揮し得る水中油型乳化組成物を提供する。
【解決手段】水中油型乳化組成物において、紫外線吸収剤を3〜30質量%と共に、HLBが6〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させる。前記水中油型乳化組成物は、液晶乳化法による製造方法により、好ましく製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、日焼け止め化粧料に関する。
紫外線による肌のダメージを抑えるために、種々のUVケア化粧料が開発されている。UVケア化粧料の1つである日焼け止め化粧料(サンスクリーン、サンプロテクター)は、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤等を配合することにより、太陽光線中の紫外線を防御し、紫外線の悪影響から皮膚を守ることを目的とする化粧料である(非特許文献1)。
近年、マリンスポーツやスキー、ゴルフ等、強い太陽光に長時間さらされる屋外でのレジャーシーンに限らず、日常生活においても紫外線防御が重要と考えられており、日焼け止め化粧料の需要やその使用頻度が高まっている。そのため、日焼け止め化粧料には、紫外線防御力はもちろん、使用感の向上も求められている。
日焼け止め化粧料の剤型としては、乳化剤型、ゲル剤型、オイル剤型等種々のものがあるが、さっぱりした感触と保湿乳液に近い使用感が得られるため、紫外線吸収剤を配合したものでは水中油型乳化剤型がよく採用されている。
しかしながら、一般に紫外線吸収剤は極性が高いために乳化が困難な場合があり、これを高配合して日焼け止め化粧料の紫外線防御力を高めることは難しかった。また、紫外線吸収剤を多く配合すると、化粧料の経時的安定性を損なう場合がある。かかる問題点を解消するため、水中油型乳化剤型にポリエチレングリコール系界面活性剤を配合することにより紫外線吸収剤の安定な高配合を実現することが提案されている(特許文献1)。
特開2013−121947号公報
「化粧品事典」、日本化粧品技術者会編、2004年、丸善株式会社発行、第495〜496頁
近年、敏感肌の増加や安全志向の高まりから、ナチュラルオーガニック化粧料に人気が集まっており、ポリエチレングリコール系界面活性剤等の石油由来の界面活性剤は忌避されやすい傾向にある。その一方で、日焼け止め化粧料に対しては、高い紫外線防御能と良好な使用感が望まれている。
このような状況に鑑みて、本発明は、経時的に安定でかつ高い紫外線防御能を発揮し得る水中油型乳化組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、水中油型乳化組成物において、HLBが6〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、紫外線吸収剤を高配合することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、本明細書においてHLB(Hydrophilic-Lypophilic Balance)は、グリフィンの式より算出した値をいう。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]HLBが6〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルと、紫外線吸収剤を3〜30質量%と、を含有する、水中油型乳化組成物。
[2]さらに多価アルコールを含有する、[1]に記載の水中油乳化型組成物。
[3]平均乳化粒子径が4μm以下である、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物。
[4]前記多価アルコールがグリセリン及び/又はソルビトールを含む、[2]又は[3]に記載の水中油型乳化組成物。
[5]前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ステアリン酸ポリグリセリル−10及び/又はオレイン酸ポリグリセリル−10を含む、[1]〜[4]の何れかに記載の水中油型乳化組成物。
[6]ポリエチレングリコール系界面活性剤を実質的に含有しない、[1]〜[5]の何れかに記載の水中油型乳化組成物。
[7]日焼け止め化粧料である、[1]〜[6]の何れかに記載の水中油型乳化組成物。[8]水中油型乳化組成物の製造方法であって、HLBが6〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルと水相成分とを混合して液晶又はD相を形成させる液晶/D相化工程、前記液晶又はD相に、紫外線吸収剤3〜30質量%を含む油相成分を加えてゲルを形成させるゲル化工程、及び前記ゲルに、水を加えてエマルションを形成させる乳化工程を含む、製造方法。
[9]前記水相成分が多価アルコールを含有する、[8]に記載の製造方法。
[10]前記多価アルコールがグリセリン及び/又はソルビトールを含む、[9]に記載の製造方法。
本発明により、ポリエチレングリコール系界面活性剤を使用しなくとも、紫外線吸収剤を高配合することを可能にし、かつ経時的に安定な水中油型乳化組成物が提供される。これにより、紫外線防御能に優れた日焼け止め化粧料が実現され得る。
実施例2の組成物の薄膜の顕微鏡写真。 実施例6の組成物の薄膜の顕微鏡写真。
<本発明の水中油型乳化組成物>
本発明の水中油型乳化組成物は、HLBが6〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。これにより組成物中に紫外線吸収剤を高濃度で配合することができ、かつ組成物の経時安定性を実現できる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの疎水基部分である脂肪酸としては、炭素数が好ましくは12以上、より好ましくは16以上であり、また好ましくは30以下、より好ましくは22以下であるものが好ましい。脂肪酸は飽和脂肪酸でも、不飽和脂肪酸でもよいが、不飽和脂肪酸であることが好ましい。また、脂肪酸は炭素鎖に分岐があってもなくてもよいが、分岐がないことが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの親水基部分は、グリセリンの重合度が4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、6〜16であり、好ましくは9〜16である。
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−6、オレイン酸ポリグリセリル−10、ミリスチン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−6、オレイン酸ポリグリセリル−6、ミリスチン酸ポリグリセリル−6、ステアリン酸ポリグリセリル−4、オレイン酸ポ
リグリセリル−4、ミリスチン酸ポリグリセリル−4等が好ましく挙げられ、さらに好ましくは、ステアリン酸ポリグリセリル−10、オレイン酸ポリグリセリル−10であり、これらを1種又は2種以上任意に使用できる。
本発明の水中油型乳化組成物において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの合計の含有量は、組成物全量に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.3〜4.0質量%であることがより好ましく、0.5〜3.0質量%であることがさらに好ましい。
本発明の水中油型乳化組成物は、紫外線吸収剤を組成物全量に対して合計で3〜30質量%含有し、好ましくは5〜25質量%含有し、より好ましくは7〜20質量%含有する。このように紫外線吸収剤を高配合することにより、高い紫外線防御能を実現することができる。
なお、水中油乳化型組成物において、紫外線吸収剤は通常油相に存在する。
紫外線吸収剤としては、特段限定されないが、通常化粧料に配合し得るものが好ましい。また、幅広い波長の紫外線を吸収するために、320〜400nm波長(A領域)の紫外線を吸収するUV−A吸収剤、及び290〜320nm波長(B領域)の紫外線を吸収するUV−B吸収剤を含むことが好ましい。UV−A吸収剤及びUV−B吸収剤は、後述する化合物を任意に組み合わせることができる。
UV−A吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、ビス(レスルシニル)トリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタン等の化合物が例示でき、これらを1種又は任意の組み合わせで2種配合することができる。
これらのうち、紫外線吸収能に優れることから、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、及びt−ブチルメトキシベンゾイルメタンが特に好ましい。これらの化合物には市販品が存在するので、市販品をそのまま用いることができる。具体的な市販品としては「ユビナールAプラス グラニュラー」(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル BASF社製)、「パルソール1789」(t−ブチルメトキシベンゾイルメタン DSM社製)が例示できる。
UV−B吸収剤としては、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2´−エチルヘキシル−1´−オキシ)−1,3,5−トリアジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル等の化合物が例示でき、これらを1種又は任意の組み合わせで2種配合することができる。これらの化合物には市販品が存在するので、市販品をそのまま用いることができる。具体的な市販品としては、「ユビナールMC80」(パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル BASF社製)、「ユビナールT150」(2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2´−エチルヘキシル−1´−オキシ)−1,3,5−トリアジン BASF社製)、「ユビナールM40」(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン BASF社製)、「パルソールSLX」(ジメチコジエチルベンザルマロネート DSM社製)、「パルソール340」(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル DSM社製)、「パルソールHMS」(サリチル酸ホモメンチル DSM社製)、「パルソールEMS」(サリチル酸オクチル DSM社製)が例示できる。
本発明の水中油型乳化組成物は、さらに多価アルコールを含有することが好ましい。これにより、乳化粒子の粒径を小さくすることができ、エマルションが微細なであることにより組成物の経時安定性がより向上する。
多価アルコールとしては、界面活性剤のHLBを低下させるものが好ましく、このような多価アルコールとしては3価以上の多価アルコールが好ましく挙げられ、グリセリン、ソルビトール等がより好ましく、これらを1種又は2種以上任意に使用できる。
本発明の水中油型乳化組成物において、多価アルコールの合計の含有量は、組成物全量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明の水中油型乳化組成物は、通常、紫外線吸収剤以外の油性成分をも油相に含有する。
本発明の水中油型乳化組成物において、紫外線吸収剤を含む油性成分の合計の含有量は、さっぱりした使用感が得られることから、組成物全量に対して3〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、7〜40質量%であることがさらに好ましい。
紫外線吸収剤以外の油性成分としては、極性油、天然油、炭化水素油、シリコーン油等が挙げられる。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
さらに、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート等も挙げられる。
また、天然油として、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、ワセリン、水添ポリ(C6−12オレフィン)、水添ポリイソブテン等が挙げられ、中でもワセリンが好ましい。
シリコーン油としてはシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、ジメチコン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、
(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられ、これらのうち粘度10〜800万mPasの高重合ジメチコンが好ましい。
本発明の水中油型乳化組成物において、乳化粒子の平均粒径は、好ましくは4μm以下であり、より好ましくは2μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。このように非常に小さな乳化粒子径を有し、エマルションが微細な水中油型乳化組成物は、経時安定性に優れる。
また、乳化粒子の粒径の標準偏差は、好ましくは平均粒子径×1.5以下、より好ましくは平均粒子径×1.0以下、さらに好ましくは平均粒子径×0.7以下である。このように非常に小さな粒子径でそろっている乳化粒子で形成される水中油型乳化組成物は、経時安定性に優れる。
なお、乳化粒子の平均粒径は、定法に従ってレーザー回折法や動的光散乱法等で測定することができる。
本発明の水中油型乳化組成物における、内相比(油相の質量/水相の質量比)は、1.5以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましい。
このような範囲にすることにより、さっぱりとした使用感と、十分な紫外線吸収剤の配合量とを確保することができる。
本発明の水中油型乳化組成物は、皮膚外用剤として好ましく利用できる。組成物中において高配合された紫外線吸収剤は微細な乳化粒子に均一に含有され得るため、皮膚に塗布した際に紫外線吸収剤を肌の上に均一に分布させることができる。また、乳化粒子の粒径が非常に小さいため、経時的安定性に優れる。さらに、皮膚に塗布した際の感触がさっぱりとした良好なものとなる。
そのため、本発明の水中油型乳化組成物は、日焼け止め化粧料として好ましく利用できる。
本発明の水中油型乳化組成物は、その効果を損なわない限りにおいて、その他の任意成分を含有することができる。
任意成分としては、通常皮膚外用剤に配合し得る成分であれば特に限定されず、他の界面活性剤(カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール系を除く非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール系を除くシリコーン系界面活性剤等)、各種有効成分、増粘剤、紛体類、紫外線吸収剤、有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
有効成分としては、シワ改善成分、抗炎症成分、動植物由来の抽出物等が挙げられ、1種のみを含有させてもよく、2種以上含有されていてもよい。
ただし、本発明の水中油型乳化組成物は、ポリエチレングリコール系(ポリオキシエチレン系)界面活性剤は実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に含有しない」とは、特に限定されないが、組成物全量に対して好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、さらに好ましくは0.0001質量%以下をいう。
本発明において、「ポリエチレングリコール系(ポリオキシエチレン系)界面活性剤」としては、例えばポリエチレングリコール脂肪酸エステル(モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等)、POEソルビタン脂肪酸エステル類(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレング
リセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等)、POE脂肪酸エステル類(POEモノオレート、POEジステアレート等) 、POEアルキルエーテル類(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンデシルペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド(ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等)、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールラノリン等の非イオン性界面活性剤類や、PEG−10ジメチコン、PEG/PPG−20/20 ジメチコン等のシリコーン系界面活性剤類が挙げられる。
<本発明の製造方法>
本発明の水中油型乳化組成物を製造する方法は特に限定されないが、液晶乳化法による製造方法、すなわち(1)液晶/D相化工程、(2)ゲル化工程、及び(3)乳化工程を順に含む製造方法により製造することが、微細なエマルションを形成できるため好ましい。その結果、経時的に安定な水中油型乳化組成物が得られる。
液晶およびD相乳化法は、界面活性剤が形成する液晶またはD相中に分散相を分散保持させて、微細な乳化粒子を生成させる乳化方法である。ポリエチレングリコール系界面活性剤を用いた系で、この乳化法は植物油などの極性油の乳化が可能であることが知られている(参照:遠藤正行、鷺谷弘道、油化学、40, 2, 1991, 133-139)。
一般的に油の極性が高いと界面活性剤が油に溶解しやすくなるため、乳化安定性を高めるためには界面活性剤を多量に配合しなければならない。極性の指標としてI.O.B(Inorganic-Organic-Balance)が用いられている。スキンケア品に汎用される代表的な油剤である水添ポリイソブテンの0、エチルヘキサン酸セチルの0.13、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルの0.31と比較して、紫外線吸収剤のI.O.Bは、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルは0.35(特願2000−81895)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは0.68、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンは0.47(参照:WO2011077674 A1)であり、紫外線吸収剤を含有する組成物において乳化安定性を保つことは困難であり、紫外線吸収剤の含有量が大きい場合はなおさら困難である。
本発明者らは、紫外線吸収剤を含有する水中油型乳化組成物の製造方法において、液晶乳化法により多段階工程を経て製造する手法を採用することにより、紫外線吸収剤を安定に高配合できることを見出した。
以下に液晶乳化法による水中油型乳化組成物の製造方法を説明する。
まず、(1)液晶/D相化工程においては、HLBが6〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルと水相成分とを混合して液晶又はD相を形成させる。
なお、D相は、バイコンティニアス型マイクロエマルジョン相とも呼ばれ、界面活性剤分子の会合数が無限になって、油相と水相とが連続相を形成する構造をいう。
液晶/D相かどうかは定法により確認でき、例えば目視による外観からの判定、相平衡図の作成、電気伝導度測定、NMRによる自己拡散係数の測定、小角X線散乱、フリーズフラクチャー法を用いて調製したレプリカの電子顕微鏡観察等により判別することができ
る。
前記水相成分は、好ましくは多価アルコールを含有する。なお、多価アルコールの説明は、本発明の水中油型乳化組成物での説明に準じる。
多価アルコールは界面活性剤の見かけのHLBを変えることが知られており(T. Iwanaga et al., J. Colloid and Interface Science, 227, 15, 2000, 349-355)、水相に含有させることで界面膜強度をより高められると考えられる。また、多価アルコールのうち、グリセリンやソルビトール等は液晶相では水相に取り込まれた位置に存在すると考えられており(参照:鷺谷弘道、池田由美子、大郷保、油化学、33, 3, 1984, 156-161)、これらを含有させることにより均一な液晶相/D相が形成される。さらに、後述のゲル化工程においても形成されるゲルを均一にし、その後の乳化工程では粒子径の小さい、微細なエマルションを形成することができ、経時的安定性のより高い水中油型乳化組成物を実現する。
次に、(2)ゲル化工程においては、(1)液晶/D相化工程で得た液晶又はD相に、油相成分を加えて油相(O)が液晶(LC)またはD相(D)中に乳化されたO/LC(D)のゲルを形成させる。本工程では、通常、撹拌下で油相成分を加える。また、HLBが低いポリグリセリン脂肪酸エステルは固体であることから、その溶解温度以上でゲル形成することが好ましい。
油相成分は、紫外線吸収剤を含有する。また、油相成分は通常、油性成分を含有する。なお、紫外線吸収剤及び油性成分の説明は、本発明の水中油型乳化組成物での説明に準じる。
次に、(3)乳化工程では、(2)ゲル化工程で得たO/LC(D)のゲルに、水相を加えてO/W型のエマルションに転移させる。添加する水相は、エマルション形成後の冷却工程を短略するために加熱する必要はないが、加熱しても構わない。エマルション形成後に室温程度まで冷却する。
液晶乳化法による製造方法の他に、本発明の水中油型乳化組成物は、例えばホモジナイザーを用いて製造してもよい。その際は、例えば水相成分及び油相成分をそれぞれ溶解・混合した後に、ホモジナイザーを用いて撹拌しながら水相成分に油相成分を添加して乳化する手法が挙げられる。ホモジナイザーの回転数は特に限定されないが、回転数を高くするほうが微細なエマルションを形成でき、その結果、経時的に安定な水中油型乳化組成物が得られるため好ましい。回転数は例えば6000rpm以上が好ましく、8000rpm以上がさらに好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
表1に示す処方に従って、液晶乳化法により水中油型乳化組成物を調製した。
すなわち、まず成分(I)を60℃で加熱混合した。偏光板を用いて直交ニコル下で液晶の形成確認を行った結果、実施例1〜5では液晶相を形成したのに対し、比較例1では均一な液晶相の形成が確認されなかった。
次いで、成分(II)を80℃で加熱溶解させた。60℃に保ち、手撹拌しながら、油相を液晶相に徐々に添加し、O/LCのゲルを得た。比較例1のみ、分離した油相が確認され、ゲルを得ることはできなかった。
その後、60℃の成分(III)を添加してO/Wエマルションを形成させ、手撹拌しながら室温まで冷却した。
表2に示す処方に従って、ホモジナイザーを用いて水中油型乳化組成物を調製した。
すなわち、まず成分(IV)を60℃で、成分(II)を80℃で加熱し、それぞれ溶解混合した。ホモジナイザー( Primix社製 ホモミクサーMARK II 2.5型)で所定の回転数を加えながら、成分(IV)に成分(II)を添加し、混合した。ホモジナイザーで4分間さらに均一化させた後、手撹拌しながら室温まで冷却した。
実施例1〜7の各組成物について平均粒子径及びその標準偏差をレーザー回折法で測定した。表3に示す結果の通り、液晶乳化法によって得られるエマルションの平均粒子径は、ホモジナイザーによる乳化法で得られるそれよりも、微細であることが確認された。さらに、グリセリンを添加することで、エマルションをより微細化できた。
実施例1〜7の各組成物を20℃に放置し、1日後及び1ヶ月後に安定性を目視で評価したところ、表3に示す結果となった。
顕微赤外分光法を用いて、化粧膜(薄膜)における紫外線吸収剤の分布を観察した。スライドガラスの上にアルミホイルをはりつけ、その上に実施例2及び6の各組成物を塗布して薄膜を形成させた後、顕微FT−IRシステム NicoletiN10(Thermo Scientific社製)を用いて評価した。実施例2の組成物で形成した薄膜では、紫外線吸収剤が均一に分布していた(図1)。一方、実施例6の組成物で形成した薄膜では紫外線吸収剤が局在化していた(図2)。
本発明により、ポリエチレングリコール系界面活性剤を使用しなくとも、紫外線吸収剤を高配合することを可能にし、かつ経時的に安定な水中油型乳化組成物が提供される。これにより、紫外線防御能に優れた日焼け止め化粧料が実現されるため、産業上非常に有用である。

Claims (10)

  1. HLBが6〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルと、紫外線吸収剤を3〜30質量%と、を含有する、水中油型乳化組成物。
  2. さらに多価アルコールを含有する、請求項1に記載の水中油乳化型組成物。
  3. 平均乳化粒子径が4μm以下である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. 前記多価アルコールがグリセリン及び/又はソルビトールを含む、請求項2又は3に記載の水中油型乳化組成物。
  5. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ステアリン酸ポリグリセリル−10及び/又はオレイン酸ポリグリセリル−10を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の水中油型乳化組成物。
  6. ポリエチレングリコール系界面活性剤を実質的に含有しない、請求項1〜5の何れか一項に記載の水中油型乳化組成物。
  7. 日焼け止め化粧料である、請求項1〜6の何れか一項に記載の水中油型乳化組成物。
  8. 水中油型乳化組成物の製造方法であって、
    HLBが6〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルと水相成分とを混合して液晶又はD相を形成させる液晶/D相化工程、
    前記液晶又はD相に、紫外線吸収剤3〜30質量%を含む油相成分を加えてゲルを形成させるゲル化工程、及び
    前記ゲルに、水を加えてエマルションを形成させる乳化工程を含む、製造方法。
  9. 前記水相成分が多価アルコールを含有する、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記多価アルコールがグリセリン及び/又はソルビトールを含む、請求項9に記載の製造方法。
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