JP2015147590A - スロッシングを制振する制振装置及び制振方法 - Google Patents

スロッシングを制振する制振装置及び制振方法 Download PDF

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【課題】横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンクにおけるスロッシングを効率良く制振することができると共に、液体用貯蔵タンクへの取付けも容易な制振装置及び制振方法を提供すること。【解決手段】平面視において中心部で十字状に交差する4つの壁部3を備え、且つ液体用貯蔵タンクTに貯蔵された貯蔵液体Wに対して液面から所定深さまでの範囲に位置する状態で浮遊可能に構成されている制振用パネル2を備え、壁部3が、複数のスリット4を有し、最大横幅が、液体用貯蔵タンクTの横断面において対向する2辺の間の距離のうちの小さい方の長さ、又は前記対向する2辺の間の距離が同じ場合はその長さよりも大きく設定されていることを特徴とする制振装置。【選択図】図1

Description

本発明は、横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンクに配設されてスロッシングを制振する制振装置及び制振方法に関する。
従来から、地震時における液体用貯蔵タンク内でのスロッシング現象(以下、「スロッシング」と略称する)が問題となっていた。スロッシングとは、容器内の液体が外部からの比較的長周期な振動によって揺動することである。このスロッシングに対して何の対策も施していないと、液体の波がタンク周壁や天井に繰り返し衝突し、液体用貯蔵タンクが損傷することがある。したがって、スロッシングへの各種対策が提案されてきた。
スロッシングのメカニズムとしては、貯蔵液体の水深とタンク長とでスロッシングの固有振動数が決まることは解明されている。しかし、その他の細かなメカニズムについては完全には解明されていない。このような実情の中、球状の液体用貯蔵タンクであれば、横断面形状が円であるため、地震波の入力方向が何れの方向であっても、スロッシングの挙動が同じであり、スロッシングへの対策を講じやすい。しかし、横断面形状が矩形の液体用貯蔵タンクは、地震波の入力方向によってスロッシングの挙動が異なり、その方向によっては想像以上の甚大な被害が生じることがあった。
例えば、受水槽には、横断面形状が矩形状の液体用貯蔵タンクが多く採用されているところ、平成23年東北地方太平洋沖地震においては、病院や学校等の大型施設における大容量の受水槽の損壊が多く見られた。受水槽内に貯蔵された上水の容量が大きく、その揺動エネルギー自体が大きいことが原因の一つであるのは当然ながら、その他の原因として、波が受水槽の角部分に集まって、波の進行速度が一気に高められると共に液面が一気に上昇させられ、周壁や天井に衝突したと推定できる。
これまでに、横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンクのスロッシングを制振するものとして、例えば、特許文献1に示すようなものが提案されている。特許文献1に記載の技術においては、横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンク(文献では、「流体貯蔵タンク」)の内部空間を、内部セル壁構造体によって複数の小さいセルに分割している。内部セル壁構造体は、複数の板状の内部セル壁を、液体用貯蔵タンクの全高に亘って鉛直方向に沿った状態で、平面視格子状に組み合わせて構成されている。さらに、液体用貯蔵タンクの底部分において、内部セル壁に一つの大きな通路開口を備え、全セル間で流体(点検時には人)が行き来可能なように構成されている。
特許文献1に記載の技術のように構成すると、液体用貯蔵タンク全体としての実質的な容量は確保しつつも、見かけ上の容量が小さくなるので、スロッシング時の流体の揺動エネルギーが細かく分断され、スロッシングによる液体用貯蔵タンクの損壊が軽減されると考えられる。
特表2008−503703号公報(請求項1、段落番号[0051]、[0052]、図1等参照)
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、スロッシング自体を制振するものではなく、液体の揺動エネルギーを分割するだけであって、かつ、セルの下部空間では通路開口を介して流体の移動が可能であるものの、スロッシングが顕著に発生する上部空間では流体の移動が全くできない。したがって、大地震が発生して各セル内でのスロッシングが非常に大きくなった場合は、全ての揺動エネルギーが内部セル壁に作用し、かつ、液体の揺動エネルギーが減衰されないので、最終的に内部セル壁が損壊する虞がある。
また、特許文献1に記載の技術では、内部セル壁が全高に亘っており、かつ、格子状に組み合わされている。一般的に、受水槽等は、ジャングルジムのように構造フレームを組んで、その周囲にパネルを取付けた構造であるので、この技術では、既存のものに対しての施工が困難であり、汎用性が低くなる虞がある。しかも、この技術では、部材量が多いので、設置コストが嵩む虞もある。
本発明は、上記実情に鑑み、横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンクにおけるスロッシングを効率良く制振することができると共に、液体用貯蔵タンクへの取付けも容易な制振装置及び制振方法を提供することを目的とする。
本発明の制振装置に係る第1特徴構成は、横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンクに配設されてスロッシングを制振する制振装置であって、平面視において中心部で十字状に交差する4つの壁部を備え、且つ前記液体用貯蔵タンクに貯蔵された貯蔵液体に対して液面から所定深さまでの範囲に位置する状態で浮遊可能に構成されている制振用パネルを備え、前記壁部が、複数のスリットを有し、最大横幅が、前記液体用貯蔵タンクの横断面において対向する2辺の間の距離のうちの小さい方の長さ、又は前記対向する2辺の間の距離が同じ場合はその長さよりも大きく設定されている点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、液体の流通を許容するスリットを複数有する十字形の制振用パネルを、液体用貯蔵タンクに貯蔵された貯蔵液体に対して液面から所定深さまでの範囲に位置する状態で浮遊させるため、スロッシング時に液体の一部の制振用パネル流通は可能であるが、一部の制振用パネル流通は制限される。したがって、液体は、制振用パネル流通の際に粘性が高まったかのような挙動を示し、その揺動エネルギーが減衰される。その結果、スロッシングが制振され、液体用貯蔵タンクの損壊が防止される。また、一部の液体が制振用パネルを流通できるので、流体の流通を完全阻止するようなものと比較して、制振用パネルに作用する液体の衝突力が小さくなり、この点からも液体用貯蔵タンクの損壊が防止される。
また制振用パネルが一枚の平板だけで構成される場合、液体の揺動方向(液体用貯蔵タンクの揺れ方向)が制振用パネルに沿った方向と平行または略平行な方向であると、制振用パネルを流通する液体量が少なくなり、制振用パネルが機能せず、スロッシングが制振されない虞がある。しかし、本構成によれば、制振用パネルの横断面形状が十字形であるため、液体の揺動方向が何れの方向であっても、制振用パネルと液体の揺動方向との交差角度が45度以上で、液体が制振用パネルを流通する部分が存在し、制振用パネルを流通する液体量をある程度確保でき、スロッシングの制振効果が担保される。
また本構成の制振装置は、液体用貯蔵タンクに固定するものではなく、貯蔵液体に浮遊させて使用するものであるため、予め作製した制振装置を、既設の液体用貯蔵タンクに設置することができて施工性が良い。
また、本構成の制振装置における制振用パネルは、液体流通可能な部分として壁部に複数のスリットを備えるものであるため、液体流通可能な部分として複数の孔を備える場合と比べて、カビ取りなどの清掃作業を実施し易い。
また本構成の制振装置の最大横幅が、液体用貯蔵タンクの横断面において対向する2辺の間の距離のうちの小さい方の長さ、又は前記対向する2辺の間の距離が同じ場合はその長さよりも大きく設定されている。従って、浮遊する制振装置が水平方向に回転をしようとしても、制振装置が液体用貯蔵タンクの内周面に接触して制振装置の回転運動を制限するため、より高いスロッシング抑制効果が発揮される。
第2特徴構成は、横断面形状が矩形の外枠部材を備え、前記制振用パネルが該外枠部材の中に固定されている点にある。
〔作用及び効果〕
本構成のごとく外枠部材を備えることにより、制振装置全体の剛性が向上するため、大地震が発生して大きなスロッシングが発生した場合も、その揺動エネルギーに耐えて、変形や破損の生じ難い強度を確保することができる。
第3特徴構成は、前記外枠部材が、前記液体用貯蔵タンクの内周全体に沿う大きさに設定されており、前記制振用パネルの端部のそれぞれが、前記外枠部材の矩形の各辺の中点において固定されている点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、外枠部材が、液体用貯蔵タンクの内周全体に沿う大きさに設定されているため、浮遊する制振装置の水平方向の回転運動だけでなく、水平移動も規制されることとなり、さらにより高いスロッシング抑制効果が発揮される。
また本構成によれば、制振用パネルが、横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンクの略全幅に亘るように配置されるため、液体用貯蔵タンクにおいて、効率良く広範囲に制振用パネルが配設されていることになり、制振装置によるスロッシング制振効果を効率良く発揮させられる。
第4特徴構成は、前記制振用パネルが平面視で8の字状である点にある。
〔作用及び効果〕
本構成のごとく制振用パネルを平面視で8の字状に構成することによって、制振用パネル自体が張力を有するため、外枠部材を別に設けなくとも高い剛性を確保することができる。
本発明の制振方法に係る第1特徴構成は、横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンクのスロッシングを制振する方法であって、複数のスリットを有する、平面視において中心部で十字状に交差する4つの壁部を備え、且つ、最大横幅が、前記液体用貯蔵タンクの横断面において対向する2辺の間の距離のうちの小さい方の長さ、又は前記対向する2辺の間の距離が同じ場合はその長さよりも大きく設定されている制振装置を、前記液体用貯蔵タンクに貯蔵された貯蔵液体に対して液面から所定深さまでの範囲に位置する状態で浮遊させて配設する点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、液体の流通を許容するスリットを複数有する十字形の制振装置を、液体用貯蔵タンクに貯蔵された貯蔵液体に対して液面から所定深さまでの範囲に位置する状態で浮遊させるため、スロッシング時に液体の一部の制振装置流通は可能であるが、一部の制振装置流通は制限される。したがって、液体は、制振装置流通の際に粘性が高まったかのような挙動を示し、その揺動エネルギーが減衰される。その結果、スロッシングが制振され、液体用貯蔵タンクの損壊が防止される。また、一部の液体が制振装置を流通できるので、流体の流通を完全阻止するようなものと比較して、制振装置に作用する液体の衝突力が小さくなり、この点からも液体用貯蔵タンクの損壊が防止される。
また制振装置が一枚の平板だけで構成される場合、液体の揺動方向(液体用貯蔵タンクの揺れ方向)が制振装置に沿った方向と平行または略平行な方向であると、制振装置を流通する液体量が少なくなり、制振装置が機能せず、スロッシングが制振されない虞がある。しかし、本構成によれば、制振装置の横断面形状が十字形であるため、液体の揺動方向が何れの方向であっても、制振装置と液体の揺動方向との交差角度が45度以上で、液体が制振装置を流通する部分が存在し、制振装置を流通する液体量をある程度確保でき、スロッシングの制振効果が担保される。
また本構成の制振装置は、液体用貯蔵タンクに固定するものではなく、貯蔵液体に浮遊させて使用するものであるため、予め作製した制振装置を、既設の液体用貯蔵タンクに設置することができて施工性が良い。
また、本構成の制振装置は、液体流通可能な部分として壁部に複数のスリットを備えるものであるため、液体流通可能な部分として複数の孔を備える場合と比べて、カビ取りなどの清掃作業を実施し易い。
また本構成の制振装置の最大横幅が、液体用貯蔵タンクの横断面において対向する2辺の間の距離のうちの小さい方の長さ、又は前記対向する2辺の間の距離が同じ場合はその長さよりも大きく設定されている。従って、浮遊する制振装置が水平方向に回転をしようとしても、液体用貯蔵タンクの内周面に接触して回転運動が制限されるため、より高いスロッシング抑制効果が発揮される。
第2特徴構成は、前記所定深さが、前記貯蔵液体の貯蔵深さの1/9〜1/3である点にある。
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、制振装置を液面から貯蔵液体の貯蔵深さの1/9〜1/3の深さまでの範囲に位置する状態で浮遊させることによって、制振装置のスロッシング制振効果をより確実且つ十分に発揮させることができる。
本発明の制振装置(第1実施形態)を適用した受水槽の縦断側面図である。 本発明の制振装置(第1実施形態)の配置を示す横断平面図である。 本発明の制振装置(第1実施形態)の斜視図である。 ダンパーパネルとジョイントバーとの組み付け前(a)と組み付け後(b)の斜視図である。 ダンパーパネル、ジョイントバー、ストッパーキャップ、及びスペーサーの組み付けを示す斜視図である。 本発明の制振装置(第1実施形態)に係るその他の実施形態を示す斜視図である。 本発明の制振装置(第1実施形態)に係るその他の実施形態を示す斜視図である。 本発明の制振装置(第2実施形態)の斜視図である。 嵌合部材の(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)側面図である。 2つの嵌合部材を嵌め合わせてジョイント部材を形成するときの様子を示す斜視図である。 ジョイント部材にダンパーパネルを嵌め込むときの様子を示す斜視図である。 制振装置によるスロッシング制振効果を示す模式図である。 実証実験で使用した貯水タンクを模式的に示した斜視図(a)及び横断面図(b)である。 本発明の制振装置を設置しなかった貯水タンクにおけるパネル中央部の加速度の時系列変化を示す実証データである。 本発明の制振装置を設置した貯水タンクにおけるパネル中央部の加速度の時系列変化を示す実証データである。 貯水タンクのバルジング現象を模式的に示した斜視図である。 本発明の制振装置を設置した貯水タンクにおけるパネルのパワースペクトルを示す実証データである。 本発明の制振装置を設置しなかった貯水タンク内部における歪みの時系列変化を示す実証データである。 本発明の制振装置を設置した貯水タンク内部における歪みの時系列変化を示す実証データである。 本発明の制振装置を設置しなかった貯水タンクにおける1次スロッシングモードでの波高の時系列変化を示す実証データである。 本発明の制振装置を設置した貯水タンクにおける1次スロッシングモードでの波高の時系列変化を示す実証データである。 本発明の制振装置を設置しなかった貯水タンクにおける2次スロッシングモードでの波高の時系列変化を示す実証データである。 本発明の制振装置を設置した貯水タンクにおける2次スロッシングモードでの波高の時系列変化を示す実証データである。
〔第1実施形態〕
本発明の制振装置の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔液体用貯蔵タンク〕
本実施形態における液体用貯蔵タンクTは、図1及び図2に示すごとく、矩形(正方形又は長方形)の横断面形状を有する一般的な箱状躯体として構成されており、内部に貯蔵液体Wを貯蔵可能である。尚、液体用貯蔵タンクTとしては、このような簡素な構成を備えるものに限らず、他にも例えば、鉛直方向に沿った状態で前後方向かつ左右方向に一定間隔を空けて設置された複数の鉛直フレームと、水平方向に沿った状態で前後方向及び左右方向に一定間隔を空けて設置された複数の水平フレームと、を組み合わせてジャングルジムのような籠状に組み上げて構造体を形成し、その外周にパネルを取付けてあるような構成としても良い。
本発明に適用可能な液体用貯蔵タンクTとしては、例えば、上水を貯蔵可能な受水槽等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
〔制振装置〕
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る制振装置は、スロッシングを制振する制振用パネル2を備えて構成される。図1に示すように、本発明に係る制振装置は、所謂「フロート式」の制振装置であって、液体用貯蔵タンクTの内部の貯蔵液体Wに対してその液面WLから所定深さDまでの範囲に位置する状態で、貯蔵液体Wに浮遊するように構成されている。尚、所定深さDは、十分な制振効果を確保するため、貯蔵液体Wの貯蔵深さの1/9〜1/3であることが望ましい。
〔制振用パネル〕
図3に示すように、本実施形態に係る制振用パネル2は、平面視において中心部で十字状に交差する4つの壁部3を備える。各壁部3には、液体の流通を許容する部分として、壁部3の横方向全体に亘る複数のスリット4が、縦方向に所定の間隔をおいて設けられている。
制振用パネル2のスリット4は、縦方向に隣接する2つのダンパーパネル20の間に、後述するスペーサー30を介在させることによって形成されるものであるため、スリット4の数については、使用するスペーサー30の数により必要に応じて適宜設定することができる。尚、スリット4の縦幅は、スペーサー30の大きさやその設置数によって規定され、スリット4の横幅は、後述する第1ジョイントバー5とダンパーパネル20の長手方向の長さによって規定される。
本実施形態に係る制振装置の最大横幅は、制振用パネル2の横幅、即ち、平面視で直線状に連結された2つの壁部3に亘る長さL1(平面視で制振用パネル2を十字とみなしたときに交差する直線の長さ)が制振装置の最大横幅となる(図2参照)。
図2に示すように、この長さL1は、液体用貯蔵タンクTの横断面の矩形において対向する2辺の間の距離のうちの小さい方の長さL2、または対向する2辺の間の距離が同じ場合はその長さL3、よりも大きく設定される(L1>L2又はL3)。本実施形態における液体用貯蔵タンクTは、正方形の横断面形状を有するため、対向する2辺の間の距離はいずれも同じ長さL3である。尚、制振用パネル2における2つの壁部3に亘る長さが異なる場合(平面視で制振用パネル2を十字とみなしたときに交差する2本の直線の長さが異なる場合)は、長い方が最大横幅となる。
以上の構成により、浮遊する制振用パネル2が水平方向に回転をしようとしても、制振用パネル2が液体用貯蔵タンクTの内周面に接触するため回転運動が制限される。
本実施形態における上述の制振用パネル2は、後述するダンパーパネル20、第1及び第2ジョイントバー5,6、ストッパーキャップ10、並びにスペーサー30を組み合わせることにより構成される。
〔ダンパーパネル〕
図4に示すように、ダンパーパネル20は、矩形の平板であり、ポリエチレン等の樹脂で構成されている。以下説明の便宜上、ダンパーパネル20の幅方向X1と長手方向X2とを図4に示すごとく定義する。ダンパーパネル20の幅方向X1の両端には、断面H字状の係合部22を設けてある。
〔第1及び第2ジョイントバー〕
図4及び図5に示すように、第1及び第2ジョイントバー5,6はいずれも、軸心方向と直交する方向の断面形状が同じ棒状の部材であって、ポリエチレン等の樹脂で構成されている。本実施形態においては、説明の便宜のため、横方向に沿う向きで使用するものを第1ジョイントバー5とし、縦方向に沿う向きで使用するものを第2ジョイントバー6と定義する。本実施形態では、第1ジョイントバー5については、第2ジョイントバー6よりも長く、且つダンパーパネル20の長手方向X2の長さと略一致するように設定されている。
第1及び第2ジョイントバー5,6の軸心方向と直交する方向の断面の中央部には、長手方向X2に貫通する断面円形の貫通孔7が形成されている。さらに、その貫通孔7の周りを囲むように、長手方向X2に貫通する断面T字状の4つの被係合溝8が周方向に等間隔で形成されている。
図4に示すように、第1ジョイントバー5の被係合溝8に対しては、ダンパーパネル20の係合部22を、被係合溝8の端からスライドさせて被係合溝8の中に取り外し可能に嵌め込むことができるように構成されている。
図5に示すように、第2ジョイントバー6の被係合溝8に対しては、後述するストッパーキャップ10の補助係合部12や、スペーサー30の補助係合部32を、第2ジョイントバー6被係合溝8の端からスライドさせて取り外し可能に嵌め込むことができるように構成されている。
〔ストッパーキャップ〕
ストッパーキャップ10は、第1及び第2ジョイントバー5,6の両端に取り外し可能に装着できる部材であり、高密度ポリエチレンやABS樹脂等で構成されている。
以下説明の便宜上、ストッパーキャップ10の幅方向Y1と高さ方向Y2と厚み方向Y3とを図5に示すごとく定義する。また、便宜上、板部11の「表面」と「裏面」とを使い分けるが、これらを入れ替えて読んでも実質的に差異は生じない。
ストッパーキャップ10は、第1及び第2ジョイントバー5,6の断面と略同じ外形で四隅に丸みを帯びた板部11を備え、その板部11の表面に、断面T字状の補助係合部12を備え、またその裏面に、2つの断面T字状の閉塞用係合部13と、厚み方向Y3の長さが閉塞用係合部13よりも長く横断面形状が十字形の閉塞用柱部14とを備える。
補助係合部12は、板部11の表面の幅方向Y1の中央部において、高さ方向Y2の全長に亘るように設けられており、第1及び第2ジョイントバー5,6の被係合溝8に対して取り外し可能に嵌め込めるように構成されている。閉塞用柱部14は、板部11の裏面の中央部に設けられており、第1及び第2ジョイントバー5,6の貫通孔7に対して取り外し可能に嵌め込めるように構成されている。2つの閉塞用係合部13は、板部11の裏面の高さ方向Y2の中央部において、閉塞用柱部14を挟んで対向する位置に設けられており、第1及び第2ジョイントバー5,6の被係合溝8に対して取り外し可能に嵌め込めるように構成されている。
これにより、第1及び第2ジョイントバー5,6の貫通孔7にストッパーキャップ10の閉塞用柱部14を嵌め込むと共に、第1及び第2ジョイントバー5,6の4つの被係合溝8のうちの対向配置する2つの被係合溝8のそれぞれに、ストッパーキャップ10の2つの閉塞用係合部13のそれぞれを嵌め込むことによって、ストッパーキャップ10を第1及び第2ジョイントバー5,6の端部に取り付けることができる。
〔スペーサー〕
スペーサー30は、第1及び第2ジョイントバー5,6の被係合溝8に対して取り外し可能に装着できる部材であり、高密度ポリエチレンやABS樹脂等で構成されている。
以下説明の便宜上、スペーサー30の幅方向Y1と高さ方向Y2と厚み方向Y3とを図5に示すごとく定義する。また、便宜上、板部31の「表面」と「裏面」とを使い分けるが、これらを入れ替えて読んでも実質的に差異は生じない。
スペーサー30は、第1及び第2ジョイントバー5,6の断面と略同じ外形で四隅に丸みを帯びた板部31を備え、その板部31の表面に、断面T字状の補助係合部32を備える。
補助係合部32は、表面の幅方向Y1の中央部において、高さ方向Y2の全長に亘るように設けられており、第1及び第2ジョイントバー5,6の被係合溝8に対して取り外し可能に嵌め込めるように構成されている。
〔制振装置の組み立てについて〕
次に、制振装置の組み立て方法について説明するが、これは一例に過ぎず、ダンパーパネル20、第1及び第2ジョイントバー5,6、ストッパーキャップ10、及びスペーサー30の組み付け手順については適宜変更して良い。
(1)制振用パネルの作製
先ず、図4及び図5に示すように、ダンパーパネル20の2つの係合部22のそれぞれに第1ジョイントバー5を嵌め込み、さらに各第1ジョイントバー5の両端に対して、補助係合部12の向きがダンパーパネル20の幅方向X1に沿うようにストッパーキャップ10を装着する。以下、このように、ダンパーパネル20と2本の第1ジョイントバー5と4つのストッパーキャップ10とを組み合わせたものを、液体の流通を阻止する部材として邪魔板と称する。
上述のようにして、邪魔板を必要数作製する。尚、本実施形態では合計16枚となる。
次いで、邪魔板の両端に装着したストッパーキャップ10の補助係合部12のそれぞれに、第2ジョイントバー6の被係合溝8を嵌め込む。さらに、それら2本の第2ジョイントバー6のそれぞれにおいて、邪魔板を嵌め込んだのと同じ被係合溝8に今度はスペーサー30を嵌め込む。そして、さらに別の邪魔板を、スペーサー30を嵌め込んだのと同じ被係合溝8に嵌め込む。
このようにスペーサー30と邪魔板とを、第2ジョイントバー6の同じ被係合溝8に交互に嵌め込むという作業を繰り返して壁部3を形成する。本実施形態における壁部3では、4枚の邪魔板の間に合計6つのスペーサー30を介在させることによって、横方向に延びる3つのスリット4が形成される。
上記壁部3の片方の第2ジョイントバー6を中心として、別の3本の第2ジョイントバー6のそれぞれを、前記片方の第2ジョイントバー6の被係合溝8のうち、未係合の3つの被係合溝8に対応する3方向に配置する。そして、前記片方の第2ジョイントバー6と、新たに配置された3つの第2ジョイントバー6のそれぞれとの間に、邪魔板とスペーサー30とを交互に嵌め込むという、上述の壁部3を作製したときと同様の作業を繰り返すことによって、4つの壁部3を備え、且つ横断面形状が十字状の制振用パネル2を組み立てることができる。
以上の作業により、本発明の制振装置が完成する。尚、本実施形態の制振装置については、上述のダンパーパネル20、第1及び第2ジョイントバー5,6、ストッパーキャップ10及びスペーサー30を組み合わせて使用することにより、横幅のサイズを自由に拡張することが可能であるため、規模の大きな液体用貯蔵タンクに対しても容易に対応することができる。
〔ダンパーパネル、第1及び第2ジョイントバー、ストッパーキャップ及びスペーサーの成形方法について〕
ダンパーパネル20、第1及び第2ジョイントバー5,6については、公知の押出成形方法等によって容易に作製することができる。また、ストッパーキャップ10及びスペーサー30については、公知の射出成型方法等によって作製することができる。ダンパーパネル20、第1及び第2ジョイントバー5,6、ストッパーキャップ10及びスペーサー30のいずれの構成部材も公知の成形方法によって容易に作製することが可能であるため、適用される液体用貯蔵タンクの形状や規模に応じて、そのサイズを適宜変更し易い。
図6に示すように、上述の第1実施形態に係る制振装置について、制振装置全体の剛性と浮力とを増大させるため、外枠部材40を備えるように構成しても良い。
外枠部材40は、上述のダンパーパネル20、第1及び第2ジョイントバー5,6、ストッパーキャップ10、並びにスペーサー30を組み合わせることによって構成することができる。
制振用パネル2は外枠部材40の中に配置され、制振用パネル2における4つの壁部3の先端のそれぞれが、外枠部材40の矩形の各辺の中点において固定されている。
外枠部材40は、4つの側壁部41を備えるものであり、矩形の横断面形状を有する。本実施形態における各側壁部41には、横方向全体に亘る複数のスリット4が、縦方向に所定の間隔をおいて形成されている。しかし、この構成に限らず、スリット4を設けない構成、即ち4つの側壁部41の全面に後述するダンパーパネル20を設ける構成としても良い。外枠部材40にダンパーパネル20を多く設けるほど、外枠部材40ひいては制振装置全体の剛性と浮力とを増大させることが可能であるため、例えば外枠部材40におけるダンパーパネル20の数を調節することによって、制振装置の所定深さDを調節することもできる。
本実施形態に係る制振装置の最大横幅は、外枠部材40の矩形の対角線の長さL1となる。この長さL1は、液体用貯蔵タンクの横断面の矩形において対向する2辺の間の距離のうちの小さい方の長さL2、または対向する2辺の間の距離が同じ場合はその長さL3、よりも大きく設定される(L1>L2又はL3)。これにより、浮遊する制振装置が水平方向に回転をしようとしても、外枠部材40が液体用貯蔵タンクの内周面に接触して制振装置の回転運動を制限する。尚、本実施形態における液体用貯蔵タンクは、正方形の横断面形状を有するため、対向する2辺の間の距離はいずれも同じ長さL3である。
また、制振装置の外枠部材40のサイズとしては、液体用貯蔵タンクTの内周面と制振装置との間にできるだけ隙間が生じないように、液体用貯蔵タンクTの内周全体に沿う大きさに設定することが望ましい。
また、外枠部材40のその他の形態としては、例えば、図7に示すように、第1及び第2ジョイントバー5,6のみを組み合わせて簡素に構成したものであっても良い。
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係る制振装置の第2の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、重複説明を避けるため、先の第1実施形態で説明した構成と同じ作用を奏する構成については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として異なる構成についてのみ説明する。
〔制振装置〕
図8に示すように、本実施形態に係る制振装置は、スロッシングを制振する制振用パネル2を備えて構成される、上記第1実施形態と同じ「フロート式」の制振装置である。
〔制振用パネル〕
本実施形態に係る制振用パネル2は、平面視において中心部で十字状に交差する4つの壁部3を備えており、さらに各壁部3が平面視でL字状をなすものであって、各壁部3の端部同士がジョイント部材50により連結されており、全体として平面視で8の字状となる。
各壁部3には、液体の流通を許容する部分として、壁部3の横方向全体に亘る複数のスリット4が、縦方向に所定の間隔をおいて設けられている。制振用パネル2のスリット4は、縦方向に隣接する2つのダンパーパネル20の間に、ジョイント部材50を介在させることによって形成されるものである。
スリット4の数については、使用するジョイント部材50の数により必要に応じて適宜設定することができる。本実施形態においては、縦方向に4つのジョイント部材50を配置しており、これにより各壁部3に3つのスリット4が形成されている。
尚、スリット4の縦幅は、ジョイント部材50を構成する嵌合部材51の高さ方向Z3(図9参照)における被係合溝55間の距離によって規定され、スリット4の横幅は、ダンパーパネル20の長手方向の長さによって規定される。また、本実施形態に係る制振装置においては、平面視で両端に配置されるジョイント部材50間の直線距離が最大横幅L1となる。
〔ジョイント部材〕
ジョイント部材50は、高密度ポリエチレンやABS樹脂等で構成される同一形状の2つの嵌合部材51が互いに嵌め合わされて形成される。
以下、説明の便宜のため、嵌合部材51の長手方向Z1、幅方向Z2、及び高さ方向Z3を図9に示すように定義する。また嵌合部材51の構成についても、説明の便宜上、T字状の切欠き部56が上方に向かって開口する姿勢とした場合において説明する。
図9に示すように、嵌合部材51は、長方形の板状部52と、該板状部52の両長辺側に設けられ板状部52よりも肉厚の上側壁状部53及び下側壁状部54とを備えており、上側壁状部53、板状部52、及び下側壁状部54に亘る断面形状がH字状となるように構成されている。
上側壁状部53は、その長手方向中央部において2つに分断されている。そしてその分断部分となる大溝56aと、当該大溝56aから板状部52の高さ方向中心部分まで切り欠かれた細溝56bとを合わせて、側面視でT字状の切欠き部56が形成されている。ここで、切欠き部56における大溝56aの長手方向Z1の長さは、嵌合部材51の上側壁状部53及び下側壁状部54の幅方向Z2の長さに略一致する。切欠き部56における細溝56bの長手方向Z1の長さは、嵌合部材51の板状部52の厚みに略一致する。切欠き部56の高さ方向Z3における長さは、嵌合部材51の高さ方向Z3全長における略半分の長さである。
また切欠き部56の大溝56aの上端部分、即ち分断された2つの上側壁状部53における内側面の上端部分のそれぞれには、長手方向中央部に向けてわずかに張り出す爪部57が設けられている。爪部57は、分断された上側壁状部53の上面から大溝56a側にかけて落ち込むように傾斜するテーパー面57aを有する。
2つの上側壁状部53には、その幅方向Z2の中央部において長手方向Z1に沿って貫通する断面T字状の被係合溝55が形成されている。
下側壁状部54の長手方向Z1の中央部において、その幅方向Z2の両端の角のそれぞれには、内側に凹む2つの段部58が形成されている。この段部58は、別の嵌合部材51の爪部57が係止可能に構成されている。
下側壁状部54には、その幅方向Z2の中央部において、長手方向Z1の両端から中央部に向けて延びる断面T字状の2つの被係合溝55が形成されている。
尚、上述の2つの上側壁状部53の被係合溝55、及び下側壁状部54の2つの被係合溝55のそれぞれの断面形状は、いずれも同じT字状であって、長手方向の長さも同じである。
また、嵌合部材51の板状部52の表面と裏面には、上側壁状部53と下側壁状部54に亘る補強リブ59が、T字状の切欠き部56の左右両側に設けられている。尚、本実施形態では、4つの補強リブ59が設けられている。嵌合部材51については、公知の射出成型方法等によって作製することができる。
次に、ジョイント部材50の組み付け方法について説明する。
図10に示すように、切欠き部56同士が対向するように2つの嵌合部材51を十字に交差させ、一方の嵌合部材51の切欠き部56に他方の嵌合部材51の切欠き部56を嵌め込む。これにより、一方の嵌合部材51の切欠き部56に、他方の嵌合部材51の長手方向中央部における下側壁状部54と板状部52に亘る部分が嵌め込まれると同時に、前記他方の嵌合部材51の切欠き部56に、前記一方の嵌合部材51の長手方向中央部における下側壁状部54と板状部52に亘る部分が嵌め込まれる。
このとき、一方の嵌合部材51の爪部57のテーパー面57aに対して、他方の嵌合部材51の下側壁状部54における幅方向Z2両端の外側面が摺接することによって、一方の嵌合部材51の爪部57が弾性変形により大溝56aの長手方向外側に少し押し込まれた状態となる。そして、一方の嵌合部材51の爪部57の位置に他方の嵌合部材51の段部58が位置すると、爪部57が弾性力により段部58側に移動して係合する。即ち、一方の嵌合部材51の爪部57及び段部58のそれぞれと、他方の嵌合部材51の段部58及び爪部57のそれぞれとが係合し、2つの嵌合部材51の十字交差が外れないように固定される。
上述のようにして組み付けられたジョイント部材50の被係合溝55に対して、図11に示すように、上述のダンパーパネル20の係合部22を、被係合溝55の端からスライドさせて被係合溝55の中に取り外し可能に嵌め込むことができる。
〔制振装置の組み立てについて〕
次に、本実施形態の制振装置の組み立て方法について説明するが、これは一例に過ぎず、ダンパーパネル20とジョイント部材50の組み付け手順については適宜変更して良い。
ダンパーパネル20については、上述の第1実施形態のダンパーパネル20と同じものを使用することができる。
先ず、1枚のダンパーパネル20の四隅にジョイント部材50を装着する。つまり、ダンパーパネル20の2つの係合部22のそれぞれの両端に、ジョイント部材50の被係合溝55を嵌め込む。
次いで、ダンパーパネル20を平面視でL字状に湾曲させつつ、別のL字状に湾曲させたダンパーパネル20の係合部22の両端を、先のダンパーパネル20の4つのジョイント部材50の被係合溝55に嵌め込み、平面視で四角状の枠を形成する。
後は、4つのジョイント部材50にL字状に湾曲させたダンパーパネル20の係合部22の両端を嵌め込むという上述の作業を、ダンパーパネル20とジョイント部材50を適宜追加しながら上下方向及び横方向に繰り返し、連結していく。これにより、平面視において中心部で十字状に交差し、且つL字状をなす4つの壁部3の端部同士がジョイント部材50により連結され、全体として平面視で8の字状となる制振用パネル2を組み立てることができる。
上述のとおり、本実施形態の制振装置については、ダンパーパネル20とジョイント部材50の2種類の部材で組み立てることが可能であるため、上述の第1実施形態の場合と比べて必要な部品点数が少なくて済み、施工性も良い。
〔制振装置の制振効果について〕
以上のような構成の制振装置であれば、例えば、液体用貯蔵タンクTがどの方向に沿って揺れても、スロッシング時に液体用貯蔵タンクTのうち上層部分において、貯蔵液体Wは必ず制振用パネル2のスリット4を流通する。
そして、貯蔵液体Wが制振用パネル2のスリット4を流通する際に、ダンパーパネル20による流通制限によって貯蔵液体Wの見かけ上の粘度が上昇する。特に上述の実施形態では、ダンパーパネル20に凹凸面を設けてあるため、ダンパーパネル20の外周面と貯蔵液体Wとの接触面積がフラットな平板を用いる場合よりも大きく、貯蔵液体Wの見かけ上の粘度はより一層大きくなる。
このため、図12に示すごとく、貯蔵液体Wの揺動エネルギーが大きく減衰され、効率良くスロッシングを制振することができる(図12に実線で示した液面WL参照)。なお、図12において二点鎖線で示したWL−0は、制振装置を配設していない場合におけるスロッシング時の液面である。
〔その他の実施形態について〕
上述の第1及び第2実施形態におけるスリット4としては、壁部3の横方向全体に亘るものに限らず、縦方向全体に亘るものであっても良い。この場合、壁部3の縦方向全体に亘るスリットが、壁部3の横方向に所定の間隔をおいて設けられる。またあるいは壁部3において、横方向全体に亘るスリットと縦方向全体に亘るスリットとを組み合わせて設けても良い。またさらにスリットの形状は、壁部3の横方向又は縦方向の全体には亘らない横長又は縦長の形状であっても良い。
上述の第2実施形態における8の字状の制振用パネル2については、上述の構成に限らず、例えば、端部のジョイント部材50を使用せずに、もっと長いダンパーパネル20を中心部のジョイント部材50から1周回して設置して8の字を形成する構成としても良い。またあるいは、十字状に交差するように直線状のダンパーパネル20を中心部のジョイント部材50に設置し、各ダンパーパネル20の端部にジョイント部材50を取り付けて、平面視でL字状のダンパーパネル20を前記端部のジョイント部材50に接続することによって8の字を形成する構成としても良い。
〔実証実験について〕
本発明の制振装置の効果を確認する実証実験を行ったので、その実証実験の条件及び実証結果について説明する。
図13に示すように、液体用貯蔵タンクとして、幅3m×奥行3m×高さ3mの水平断面形状四角形の実機ステンレス製パネル式タンクを用意した。
また制振装置として、上述の図7に示す形態の制振装置を使用した。本制振装置のサイズは、幅2982mm×奥行2982mm×高さ1450mmであり、縦266mm×横1511mmのダンパーパネルを使用して、スリットの縦幅を71.2mmに設定した。
上記制振装置を設置した場合と、設置しない場合とで生じるタンクパネルの応答加速度、タンク構造部材の歪み、及びタンクパネルに生じる圧力を計測するため、図13に示すように、タンクパネルの所定の位置に加速度計及び圧力計を設置すると共に、タンク2段目の内部補強材に歪みゲージを設置した。
当該タンクを振動台に設置して、25tの水を入れて振動実験を行った。当該振動実験では安全面や振動台の性能面を考慮して、1995年に発生した兵庫県南部地震で観測されたJMA神戸NS方向の地震波を50%変位に調整して実施した。
タンクに地震波(JMA神戸波)を与えた場合、スロッシングと共にタンクパネルと内部の水とが連成するバルジングが生じることが確認された。その時のタンクパネルの振動は、図16に示すようにタンクパネル中央が大きく変形するモードであり、タンクパネルの中央部に設置した加速度計において大きな値が計測された。その時のタンクパネル中央部における加速度応答波形を図14及び図15に示す。
図14及び図15に示すように、本発明の制振装置は、地震発生時にタンクパネルに生じる加速度応答を半減させることがわかった。
また、その時のタンクパネルのパワースペクトルを図17に示す。図17に示すように、タンクパネルの振動が3.5Hz付近で卓越していることから、スロッシング(1Hz以下)ではなく、バルジング振動が発生したと考えられる。
さらにタンク内部に生じる歪みを、本発明の制振装置の有無で比較した。その結果を、図18及び図19に示す。図18及び図19に示すように、本発明の制振装置によって若干歪みが低減している傾向があるが、隅角部の斜材は非常に薄く、タンクパネルの変形によって大きく曲るため、バルジングに対する補強効果にはほとんど影響しないものと考えられる。尚、今回計測できなかったが、振動実験後のタンク内部を確認すると斜材の永久変形が確認された。
また、本発明の制振装置を設置しない場合、タンクパネル間の溶接部にき裂が生じ、水漏れが確認された。このことからも、より大きな地震動によってバルジング等が発生し、タンクパネルが内容液と連動して共振することで貯水槽の破壊に至ることも示唆された。
次いで、本発明の制振装置の減衰性能を把握するための実証実験を行った。
本タンクを45°方向に起振するように振動台に設置し、起振条件として、本タンクに水深2700mmまで水を注水したときの本タンクの一次固有振動数である0.49Hzの正弦波を変位±5mmで10波起振する1次スロッシングモード、及び本タンクに水深2700mmまで水を注水したときの本タンクの二次固有振動数である0.87Hzの正弦波を変位±5mmで10波起振する2次スロッシングモードを設定した。そして、各スロッシングモードにおける、液面波高及び自由減衰揺動をレーザー変位計で計測して、応答波高を比較した。
図20〜図23に示すように、本発明の制振装置を設置することによって、波高を半減させることができ、スロッシングによる波高を即座に減衰させていることが理解できる。
本発明の制振装置は、受水槽や石油タンクなどの液体貯蔵設備を使用する幅広い産業分野において使用可能である。
2 制振用パネル
3 壁部
4 スリット
5 第1ジョイントバー
6 第2ジョイントバー
7 貫通孔
8 被係合溝
10 ストッパーキャップ
11 板部
12 補助係合部
13 閉塞用係合部
14 閉塞用柱部
20 ダンパーパネル
21 溝
22 係合部
30 スペーサー
31 板部
32 補助係合部
40 外枠部材
41 側壁部
50 ジョイント部材
51 嵌合部材
52 長方形の板状部
53 上側壁状部
54 下側壁状部
55 被係合溝
56 T字状の切欠き部
56a 大溝
56b 細溝
57 爪部
57a テーパー面
58 段部
59 補強リブ
T 液体用貯蔵タンク
W 貯蔵液体

Claims (6)

  1. 横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンクに配設されてスロッシングを制振する制振装置であって、
    平面視において中心部で十字状に交差する4つの壁部を備え、且つ前記液体用貯蔵タンクに貯蔵された貯蔵液体に対して液面から所定深さまでの範囲に位置する状態で浮遊可能に構成されている制振用パネルを備え、
    前記壁部が、複数のスリットを有し、
    最大横幅が、前記液体用貯蔵タンクの横断面において対向する2辺の間の距離のうちの小さい方の長さ、又は前記対向する2辺の間の距離が同じ場合はその長さよりも大きく設定されていることを特徴とする制振装置。
  2. 横断面形状が矩形の外枠部材を備え、前記制振用パネルが該外枠部材の中に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  3. 前記外枠部材が、前記液体用貯蔵タンクの内周全体に沿う大きさに設定されており、前記制振用パネルの端部のそれぞれが、前記外枠部材の矩形の各辺の中点において固定されている請求項2に記載の制振装置。
  4. 前記制振用パネルが平面視で8の字状であることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  5. 横断面形状が矩形である液体用貯蔵タンクのスロッシングを制振する方法であって、
    複数のスリットを有する、平面視において中心部で十字状に交差する4つの壁部を備え、且つ、最大横幅が、前記液体用貯蔵タンクの横断面において対向する2辺の間の距離のうちの小さい方の長さ、又は前記対向する2辺の間の距離が同じ場合はその長さよりも大きく設定されている制振装置を、前記液体用貯蔵タンクに貯蔵された貯蔵液体に対して液面から所定深さまでの範囲に位置する状態で浮遊させて配設することを特徴とする制振方法。
  6. 前記所定深さが、前記貯蔵液体の貯蔵深さの1/9〜1/3である請求項5に記載の制振方法。
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