JP2015147358A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015147358A
JP2015147358A JP2014021816A JP2014021816A JP2015147358A JP 2015147358 A JP2015147358 A JP 2015147358A JP 2014021816 A JP2014021816 A JP 2014021816A JP 2014021816 A JP2014021816 A JP 2014021816A JP 2015147358 A JP2015147358 A JP 2015147358A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
ink
paper
recording
upstream
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014021816A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6134665B2 (ja
Inventor
将人 臼井
Masato Usui
将人 臼井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Document Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Document Solutions Inc filed Critical Kyocera Document Solutions Inc
Priority to JP2014021816A priority Critical patent/JP6134665B2/ja
Publication of JP2015147358A publication Critical patent/JP2015147358A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6134665B2 publication Critical patent/JP6134665B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】ノズル周囲の撥水膜の撥水性の劣化進行を軽減することができるインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】複数のノズルが設けられたノズル面を有する記録ヘッドと、前記ノズル面の表面に形成された撥水膜と、前記ノズル面を清掃する清掃部材とを備えたインクジェット記録装置であって、前記清掃部材の清掃開始側を上流側とすると、各ノズル行(L1、L2、L3、L4、L5、L6)の最上流ノズル(L1a、L2a、L3a、L4a、L5a、L6a)よりも上流側にインクを保持する親水性部(H1、H2、H3、H4、H5、H6)が形成され、かつ前記親水性部(H1、H2、H3、H4、H5、H6)は他のノズル行の親水性部と連通せず互いに独立している。【選択図】図4

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関し、特に長尺インクジェット記録ヘッドを使用したインクジェット記録装置に関する。
水溶性のインクジェットプリンタ用ヘッドにおいては、通常、ノズルプレート表面(ノズル面)に撥水膜(撥水層)を形成し、この撥水膜によりインクの付着を防止し、インクの吐出の安定性を確保することが行われている。
従来より、記録ヘッドのノズル面の清掃(ワイピング)は、ノズルからインクを溢れさせ、ノズル面にインクが付着した状態を作り出し、インクが存在する状態でワイプを行うことにより、ノズル面とワイプブレードとの摩擦力を抑え、ノズル面に損傷を与えない状態でノズル面の清掃を行っている。しかし、パージインク同士がくっついてまとまると、ノズルによっては周囲からインクがなくなってしまう現象が発生し、これはノズル行方向における両端で顕著である。このような状態でワイピング(いわゆる空ワイプ)を行うと、ノズル面とワイプブレード(以下、単に「ワイプ」と称することもある。)との摩擦力が大きくなり、ノズル面表面に形成した撥水膜に影響を与え、ノズル周囲の撥水性の劣化が進行しやすいという問題がある。ここで、ワイプ下流側にあるノズルは、上流側からワイプによりインクが押し寄せてくるためこのような問題はないが、ワイプ最上流(拭き始め位置)側にある先頭ノズルはインクが全くない状態になり、撥水性の劣化が顕著である。それによりノズル周囲汚れに起因した着弾精度が悪化する等の不具合が起こる。
即ち、ワイピングを繰り返し行うと、記録ヘッド表面に設けている撥水膜が劣化し、劣化の進行度合いが均一ではないことから、パージインクが撥水性の低下した部分に集まってしまう問題が発生する。本来であればパージインクがノズル面に均等に存在した状態でワイピングを行うことでノズル面の汚れを除去することができるが、部分的にパージインクが集まってしまうことで、パージインクが存在しない状態でワイピングされる箇所が発生してしまう。特にワイピングの開始側の先頭ノズルにおいては、パージインクが中央部に集まってしまうような場合においてはパージインクが全く存在しない状態でワイピングが行われることとなり、ノズル面とワイプブレードとの摩擦力が大きくなり、ノズル周囲の撥水性の劣化がより進行してしまう。
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1では、ノズルのワイプ移動方向手前(上流側)及び後ろ(下流側)の両側に親水性領域を設け、インクミストやワイピング時の拭き残しインクをその親水性領域に溜めることにより、ノズルからの吐出インクとの接触を防ぎ、それに伴う着弾の悪化及び印画品質の低下を防止しようとしている。また、特許文献2では、印字には使用しないダミーノズルを用いてワイプ拭き始めの更に上流部分に、予めインクで濡れた状態を作り出している。
特開2002−3316782号公報 特開2006−218748号公報
しかしながら、特許文献1のように、ノズルのワイプ移動方向手前(上流側)及び後ろ(下流側)の両側に、親水性領域を単に設けるだけでは、親水領域が連通しているため、ノズル部より各ノズル間の部分にインクが偏ってしまう場合もあった。また、特許文献2においては、ダミーノズルを作製するという工程が必要であり、作業性、製造コストの点で問題がある。
本発明は、ノズル周囲の撥水膜の撥水性の劣化進行を軽減することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、複数のノズルが設けられたノズル面を有する記録ヘッドと、前記ノズル面の表面に形成された撥水膜と、前記ノズル面を清掃する清掃部材とを備えたインクジェット記録装置であって、前記清掃部材の清掃開始側を上流側とすると、各ノズル行の最上流ノズルよりも上流側にインクを保持する親水性部が形成され、かつ前記親水性部は他のノズル行の親水性部と連通せず互いに独立していることを要旨とする。
このような構成によれば、親水性部を起点としてパージインクが集まるため、最上流側ノズルまでパージインクが行き渡り、清掃手段の清掃開始位置(すなわち、ワイプ拭き始め位置)にインクがない状態のノズルが存在することはない。そのため、ノズル周囲の撥水膜の撥水性の劣化進行を軽減することができるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明によれば、親水部分を起点としてパージインクが存在するため、最上流ノズル周囲には、パージ後常にインクが存在し、空ワイプによるノズル周囲の撥水膜の撥水性の劣化進行を軽減することができる。また、従来のようにダミーノズルを設ける工程も不要となる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。 図1のインクジェット装置の記録ヘッドの一部拡大断面図である。 図2の記録ヘッドのノズル配置を下から見た状態を模式的に示した平面図である。 図3のX部におけるノズルと親水性部との位置関係を拡大して示す模式図である。 実施例1の耐久性の評価結果を示す顕微鏡写真である。 実施例2の耐久性の評価結果を示す顕微鏡写真である。 実施例3の耐久性の評価結果を示す顕微鏡写真である。 実施例4の耐久性の評価結果を示す顕微鏡写真である。 実施例5の耐久性の評価結果を示す顕微鏡写真である。 比較例1の耐久性の評価結果を示す顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、記録動作を説明する。図1はインクジェット記録装置の一例であるインクジェット式プリンターの模型的垂直断面正面図である。
図1に示すように、プリンター1の本体2の内部下方には用紙収容部である給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3はその内部に記録媒体である印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを、例えば500枚程度積載して収容している。給紙カセット3の用紙搬送方向下流部、すなわち図1における給紙カセット3の右側の上方には給紙装置4が配置されている。この給紙装置4により、用紙Pは図1において給紙カセット3の右上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出して用紙Pを補充することが可能である。
本体2の右側面外部の箇所には、手差し給紙トレイ5が備えられている。手差し給紙トレイ5には給紙カセット3に入っていないサイズの用紙や厚紙、OHPシート、封筒、ハガキのように屈曲した搬送経路を通過するのが困難な記録媒体、1枚ずつ手で送り込みたいものなどが載置される。手差し給紙トレイ5の用紙搬送方向下流部、すなわち図1における手差し給紙トレイ5の左側には給紙装置6が配置されている。この給紙装置6により、手差し給紙トレイ5上の用紙は図1において左方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。
また、プリンター1はその内部に用紙搬送部7を備えている。用紙搬送部7は給紙カセット3に関して言えばその給紙方向である右方に位置し、手差し給紙トレイ5に関して言えばその左方に位置する。給紙カセット3から送り出された用紙Pは用紙搬送部7により本体2の側面に沿って垂直上方に、手差し給紙トレイ5から送り出された用紙は略水平左方に向けて搬送される。
用紙搬送部7の用紙搬送方向下流端であって記録搬送部20のすぐ上流側にはレジストローラー8が備えられている。さらにその下流には記録搬送部20及び記録部30が配置されている。給紙カセット3または手差し給紙トレイ5から送り出された用紙Pは用紙搬送部7を通ってレジストローラー8に到達する。レジストローラー8は用紙Pの斜め送りを矯正しつつ記録部30が実行するインク吐出動作とのタイミングを計り、記録搬送部20に向かって用紙Pを送り出す。なお、用紙搬送部7には用紙Pを搬送するための搬送ローラー対を必要に応じて設けても良い。
記録搬送部20は駆動ローラー22、従動ローラー23及びテンションローラー24に巻き掛けられた無端状の記録搬送ベルト21を備えている。記録搬送ベルト21は駆動ローラー22により図1において反時計方向に回転する。レジストローラー8によって送り出された用紙Pはこの記録搬送ベルト21の上面に載置され、図1において右方から左方へと搬送される。
記録搬送部20の記録搬送ベルト21の内側であって記録搬送ベルト21上面の裏側に対応する箇所には用紙吸引部25が備えられている。用紙吸引部25はその上面に多数の空気吸引用の孔(図示せず)を備えている。そして、記録搬送部20は用紙吸引部25によりその上面から下方に向かって空気を吸引することができる。また、記録搬送ベルト21にも多数の空気吸引用の孔(図示せず)が設けられている。これにより、記録搬送部20は記録搬送ベルト21と用紙吸引部25とを用いて用紙Pを記録搬送ベルト21の上面に吸着させながら搬送する。
一方、プリンター1は外部コンピュータ(図示せず)から文字や図形、模様などの画像データ信号を受信する。この画像データの情報は記録搬送部20と対向するようにその上方に配置された記録部30に送られる。記録部30はインク吐出ノズル(図示せず)の先端部が配置された底面と記録搬送ベルト21の上面である用紙搬送面との間に微小間隔(例えば1mm)を設けて配置されている。
記録部30はインクヘッドであるライン型インクジェットヘッド31(以下、ライン型ヘッドと称する)を4台備えている。ライン型ヘッド31は各々用紙搬送方向と直角をなす用紙幅方向に向かって延び、それら4台が記録搬送ベルト21の回転方向に沿って回転方向上流側から下流側に向けて一列に並べて配置されている。4台のライン型ヘッド31とは上流側から順にブラックインク用のライン型ヘッド31K、シアンインク用のライン型ヘッド31C、マゼンタインク用のライン型ヘッド31M、及びイエローインク用のライン型ヘッド31Yである。各色のインクは図示しないインクタンクからライン型ヘッド31に補給される。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「K」「C」「M」「Y」の識別記号は省略するものとする。
記録部30の各ライン型ヘッド31は外部コンピュータから受信した画像データの情報に対応して、記録搬送ベルト21表面に載置された用紙Pに向かってインク吐出ノズルからインクを吐出する。そして、記録搬送ベルト21の回転とともに所定のタイミングで各ライン型ヘッド31から各色のインクが順次吐出されることにより、記録搬送ベルト21表面上の用紙Pにはブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクが重ね合わされた多重フルカラーインク画像が形成、記録される。なお、プリンター1ではモノクロインク画像を記録することも可能である。
インクジェット記録装置1は、ライン型ヘッド31Y,31M,31C,31Kのそれぞれに対応して配置される、ワイプブレード(図示せず)を有する。ノズル面の清掃部材であるワイプブレードは、各ライン型ヘッド31に当接可能なワイパー面を有し、ライン型ヘッド31に対して移動してワイパー面によりノズル面の清掃(リフレッシュ動作等のクリーニング)を実行する。
記録搬送部20の左方であって用紙搬送方向下流には乾燥装置40が備えられている。記録部30にてインク画像が記録された用紙Pは乾燥装置40へと送られ、乾燥装置40によって用紙P表面に吐出されたインクが乾燥される。
乾燥装置40の用紙搬送方向下流であって本体2の左側面近傍にはデカーラー部9が備えられている。乾燥装置40にてインクが乾燥された用紙Pはデカーラー部9へと送られ、用紙幅方向に並んだ複数のローラーを用いてカールが矯正される。
デカーラー部9の上方であって用紙搬送方向下流には用紙案内部10が備えられている。デカーラー部9を通過した用紙Pは両面記録を行わない場合、用紙案内部10からプリンター1の左側面外部の箇所に設けられた用紙排出トレイ11に排出される。
本体2の上部であって記録部30及び乾燥装置40の上方には両面記録を行うための用紙反転部12が備えられている。両面記録を行う場合には第一面への記録が終了して乾燥装置40及びデカーラー部9を通過した用紙Pが用紙案内部10を通って用紙反転部12へと送られる。用紙反転部12へ送られた用紙Pは続いて第二面の記録のために搬送方向が切り替えられ、本体2の上端部を通して右側に向かって送られて再度用紙搬送部7を経て記録搬送部20へと送られる。
乾燥装置40は、乾燥搬送部50、送風部60及び排気部70を備えている。
乾燥搬送部50は駆動ローラー52、従動ローラー53及びテンションローラー54に巻き掛けられた無端状の乾燥搬送ベルト51を備えている。乾燥搬送ベルト51は駆動ローラー52により反時計方向に回転する。記録搬送部20によって送り出された用紙Pはこの乾燥搬送ベルト51の上面に載置され、右方から左方へと搬送される。
乾燥搬送部50の乾燥搬送ベルト51の内側であって乾燥搬送ベルト51上面の裏側に対応する箇所には用紙吸引部55が備えられている。用紙吸引部55はその上面に多数の空気吸引用の孔(図示せず)を備えている。そして、乾燥搬送部50は用紙吸引部55によりその上面から下方に向かって空気を吸引することができる。また、乾燥搬送ベルト51にも多数の空気吸引用の孔(図示せず)が設けられている。これにより、乾燥搬送部50は乾燥搬送ベルト51と用紙吸引部55とを用いて用紙Pを乾燥搬送ベルト51の上面に吸着させながら搬送する。
送風部60は用紙搬送経路を隔てた乾燥搬送部50の上方に配置されている。送風部60は、図示しないが送風ファン、吸気ダクト、送風ダクト、送風ノズル及び送風路を備えている。
排気部70は送風部60の用紙搬送方向下流側であって乾燥搬送部50の下流端の上方に配置されている。排気部70は排気ダクト(図示せず)を備えている。
このようにして、プリンター1の乾燥装置40は用紙Pのインク吐出面に対して略平行をなす方向に用紙Pに向かって空気を吹きつけるための送風部60を備えているので、用紙Pのインク吐出面に沿って流れる空気流が生じる。したがって、空気が用紙Pのインク吐出面に直接衝突することがないので、空気を減速させることなくスムーズに流すことが可能である。
また、送風部60は用紙搬送方向に対して略平行をなす方向であって用紙搬送の進行方向に沿って用紙Pに向かって空気を吹きつけ、用紙幅と同じ長さにわたって空気を吹きつける。したがって、空気をコンパクトな構成で長時間用紙Pに向かって吹きつけることができ、用紙Pの搬送とともにスムーズに流すことが可能である。
そして、上記実施形態の構成によれば、用紙P表面に吐出されたインクをできるだけ早く乾燥させることが可能な乾燥装置40を提供することができる。また、このような乾燥装置40を搭載した信頼性が高められ高速記録が可能なインクジェット記録装置であるプリンター1を提供することができる。
図2は、上記インクジェット記録装置であるプリンター1のライン型ヘッド(以下、「記録ヘッド」と称する)31に多数配列されたドット形成部のうちの1つを拡大して示す縦断面図である。
この記録ヘッド31は、記録媒体Pの幅方向に延びる長尺なライン型の記録ヘッド31であって、ドット形成部及びノズル(インク吐出口)313は記録媒体Pの搬送方向に複数列(例えば4列)に並んでいる。
ドット形成部は、平面視で長円形状の加圧室(キャビティ)312を備え、この加圧室312の一端部が、ノズル流路314を介して、記録ヘッド31の下面に形成されたノズル313と連通し、他端部が、絞り通路315を介して、インク共通供給路316と連通している。ノズル313は、上側開口313bの径が下側開口313aの径よりも大きい逆円錐台形状である。なお、図2のノズル313は、ワイプブレード(図示せず)による清掃開始側に最も近い(即ち、最初にワイプブレードによる清掃が行われる)最上流ノズルを示している。
ドット形成部は、加圧室312が形成された第1基板311aと、ノズル流路314の上部314a及び絞り通路315が形成された第2基板311bと、ノズル流路314の下部314b及びインク共通供給路316が形成された第3基板311cと、ノズル313が形成された第4基板(以下、「ノズルプレート」と称することもある))311dとが積層されて構成されている。積層された第1〜第4基板311a〜311dによって当該記録ヘッド31の基板311が提供されている。
基板311の上面には、共通電極(図示せず)を内部に有する薄板状の圧電素子(図示せず)と、各ドット形成部の加圧室312に対応する個別電極(図示せず)とが積層された構成の圧電アクチュエータ(図示せず)が備えられている。この圧電アクチュエータ(図示せず)の駆動によって加圧室312内のインクに圧力波が伝達され、この圧力波によってノズル流路314及びノズル313内の記録液が振動して、記録液がノズル313の下側開口313aから記録媒体Pに向けて吐出される。
ノズルプレート311dの下側の表面には、ノズル面周囲のインクの付着による汚れ等を防止するため、薄膜の撥水膜317が形成されている。なお、ノズル313(最上流ノズル)の下側開口313aには、記録液滴を吐出させるため、撥水膜317は形成されておらず、これは最上流ノズル313の下流側の各ノズル(図示せず)についても同様である。撥水膜317には、例えば、フッ素樹脂等の撥水性を有する樹脂材料を用いることができる。
撥水膜317の膜厚は、特に限定されないが、0.5〜2μmの範囲であることが好ましい。撥水膜317の膜厚が薄すぎると、撥水性が低下して、記録液の付着による記録液滴の吐出不良を生じる傾向がみられ、膜厚が厚すぎると、膜形成が困難となり、膜を形成できたとしてもそれ以上の効果が得られない傾向がみられる。
本実施形態においては、ノズル313(最上流ノズル)よりも上流側(図面左側)に、パージインクを保持する親水性部318が形成されている。ここで親水性部318とは、撥水膜317が形成されていない部分を意味する。
図3は、図2の記録ヘッドのノズル配置を下から見た状態を模式的に示した平面図であり、図4は、図3のX部におけるノズルと親水性部との位置関係を拡大して示す模式図である。なお、図2〜図4において、位置を表す際、ワイプ方向に対して上流側・下流側という表現を用い、図面では左側を上流側、右側を下流側とし、左側から右側にワイプブレードを移動させ、清掃を行う。
図4に示すように、ノズル行(L1)においては、各ノズル(L1a、L1b、L1c、L1d)のうち、一番左側に位置するノズル(L1a)が最上流ノズルであり、この最上流ノズルL1aよりも上流側に、親水性部H1が形成されている。同様に、ノズル行(L2)においては、各ノズル(L2a、L2b、L2c、L2d、L2e)のうち、一番左側に位置するノズル(L2a)が最上流ノズルであり、この最上流ノズルL2aよりも上流側に、親水性部H2が形成されている。ノズル行(L1)の親水性部H1と、他のノズル行(L2)の親水性部H2とは、連通せず互いに独立している。以下、同様に、ノズル(L3a、L4a、L5a、L6a)が最上流ノズルであり、各親水性部(H3、H4、H5、H6)は、他のノズル行の親水性部とは連通せず互いに独立している。
ワイプ拭き始めの最上流ノズル(L1a、L2a、L3a、L4a、L5a、L6a)よりも更にワイプ上流であり、かつパージインクが及ぶ部分に親水性部(H1、H2、H3、H4、H5、H6)が形成されており、かつ各親水性部(H1、H2、H3、H4、H5、H6)は連通せず互いに独立しているため、その親水性部(H1、H2、H3、H4、H5、H6)を起点としてパージインクが存在し、その結果、ワイプ拭き始めの最上流ノズル(L1a、L2a、L3a、L4a、L5a、L6a)周囲には、パージ後常にインクが存在し、空ワイプによるノズル周囲の撥水膜の撥水性の劣化進行を軽減することができる。
本実施形態においては、各ノズル行における最上流側ノズル(L1a、L2a、L3a、L4a、L5a、L6a)と、親水性部(H1、H2、H3、H4、H5、H6)との距離(ピッチ)は、均等であることが好ましい。このように、距離(ピッチ)が均等であると、各ノズルを均等なインク量でワイピングすることができる。
また、最上流ノズル周囲の接触角と、親水性部の接触角との差は、イオン交換水において20°以上であることが好ましく、25°以上であることがより好ましい。このように、最上流ノズル周囲の接触角と、親水性部の接触角との差が大きければ、ノズル周囲の汚れが小さく、耐久性が向上する。
親水性部318の形成方法としては、例えば、先端が0.1mm四方のワイプブレードの切れ端(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等)を使って、ノズルプレート311dの削り込みを行う方法が挙げられる。まず、回転可能な軸に棒状のEPDMを垂直に設置する。EPDMの先端にノズルプレート311dが最大で0.5mm程度食い込むように、ノズルプレート311dを設置する。軸を角速度100mm/sになるように回転させ、ノズルプレート311dをワイプブレードの切れ端で削る。
また、親水性部318の他の形成方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)ノズルプレート311dの表面に撥水膜317を形成する際に、予めマスキング(覆い)をしておき、撥水膜が付かない様にして、親水性部318を形成する方法。
(2)撥水膜317を形成した後、エキシマレーザー等を照射して、撥水膜を削り取り、親水性部318を形成する方法。
エキシマレーザーのパワーは200mJ/cmで1〜数パルス、5〜10°の角度で照射するのが好ましい。
(3)撥水膜317を形成した後、溶剤で撥水膜を局所的に溶解して、親水性部318を形成する方法。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(記録ヘッドの作製)
図1及び図2に示す構造の記録ヘッドを有し、図2に示す加圧室312の面積が0.2mm、幅が200μm、深さが100μm、ノズル流路314の直径が200μm、長さが800μm、絞り部315の直径が30μm、長さが40μm、ノズル313の長さが30μm、開口313aの形状が円形で半径Rが10μmであると共に、この各部からなるドット形成部が1列で166個、全体(4列)で664個、基板1上に配列された記録ヘッドを作製した。なお、同一列内のドット形成部間のピッチは150dpiとし、また隣り合う各列を1/4ピッチずつずらすことで、全体として600dpiとした。
(親水性部の形成)
先端が0.1mm四方のワイプブレードの切れ端(EPDM)を使って、ノズルプレートの削り込みを行った。まず、回転可能な軸に棒状のEPDMを垂直に設置した。EPDMの先端にノズルプレートが最大で0.5mm程度食い込むように、ノズルプレートを設置した。軸を角速度100mm/sになるように回転(回転数:2000回)させ、ノズルプレートをワイプブレードの切れ端で削り、最上流ノズル周囲の接触角と、親水性部の接触角との差を25°とした。なお、イオン交換水における接触角は、顕微鏡(Nikon社製、MM−800、倍率:500倍)を用いて測定した。
このようにして、各ノズル行の最上流ノズルよりも上流側にインクを保持する親水性部を形成した。この親水性部は他のノズル行の親水性部と連通せず互いに独立しており、各ノズル行における最上流側ノズルと親水性部との距離(ピッチ)は、均等である。
〔実施例2〜5〕
最上流ノズル周囲の接触角と、親水性部の接触角との差が、下記の表1に示す値となるように、回転数を変更した以外は、実施例1と同様にして親水性部を形成した。
〔比較例1〕
実施例1と同様に記録ヘッドを作製したが、親水性部を形成しなかった。
≪評価≫
実施例及び比較例の記録ヘッドを用いて、以下の基準に従い、耐久性の評価を行った。その結果を、下記の表1に示した。
〔耐久性の評価〕
パージ・ワイプ作業を3000回繰り返す耐久実験を行い、ワイプ3000回終了時点でのノズル周囲の汚れを目視で観察し、耐久性を評価した。また、その結果を、図5〜図10の顕微鏡写真(測定装置:ニコン社製、測定顕微鏡MM−800)に示した。評価基準は、以下の通りである。
◎・・・ワイプ下流方向のみの汚れ、かつ汚れの長さがノズル径より短い
○・・・ワイプ下流方向のみの汚れ
△・・・ワイプ下流方向に加え、写真縦方向に拡がったような汚れ
×・・・ノズル周囲が囲まれるような汚れ
上記表1の結果から、実施例1〜5は親水性部を形成したため、比較例1に対して耐久性が向上した。中でも、実施例1,2は、最上流ノズル周囲の接触角と、親水性部の接触角との差が20°以上であるため、耐久性が特に良好であった。
これに対して、比較例1は親水性部を形成していないため、耐久性が著しく劣っていた。
本発明は、長尺インクジェット記録ヘッドを使用したインクジェット記録装置として有用である。
313 ノズル(最上流ノズル)
317 撥水膜
318 親水性部

Claims (3)

  1. 複数のノズルが設けられたノズル面を有する記録ヘッドと、前記ノズル面の表面に形成された撥水膜と、前記ノズル面を清掃する清掃部材とを備えたインクジェット記録装置であって、前記清掃部材の清掃開始側を上流側とすると、各ノズル行の最上流ノズルよりも上流側にインクを保持する親水性部が形成され、かつ前記親水性部は他のノズル行の親水性部と連通せず互いに独立していることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 各ノズル行における最上流側ノズルと親水性部との距離は均等である請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 最上流ノズル周囲の接触角と、親水性部の接触角との差が、イオン交換水において20°以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置
JP2014021816A 2014-02-07 2014-02-07 インクジェット記録装置の製法 Expired - Fee Related JP6134665B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014021816A JP6134665B2 (ja) 2014-02-07 2014-02-07 インクジェット記録装置の製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014021816A JP6134665B2 (ja) 2014-02-07 2014-02-07 インクジェット記録装置の製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015147358A true JP2015147358A (ja) 2015-08-20
JP6134665B2 JP6134665B2 (ja) 2017-05-24

Family

ID=53891164

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014021816A Expired - Fee Related JP6134665B2 (ja) 2014-02-07 2014-02-07 インクジェット記録装置の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6134665B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10730303B2 (en) 2017-10-26 2020-08-04 Seiko Epson Corporation Liquid ejecting head and liquid ejecting apparatus

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06210859A (ja) * 1992-10-19 1994-08-02 Canon Inc 改善されたインク吐出口面を備えたインクジェットヘッド、該インクジェットヘッドを備えたインクジェット装置
US20020097297A1 (en) * 2000-12-05 2002-07-25 SKINNER David Corrision resistant hydrophobic liquid level control plate for printhead of ink jet printer and process
JP2009241500A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Fujifilm Corp ノズルプレート、液体吐出ヘッドおよび画像形成装置
JP2012201102A (ja) * 2011-03-28 2012-10-22 Fujifilm Corp インクジェットヘッド、インクジェットヘッド洗浄システムおよびインクジェットヘッドのメンテナンス方法
JP2015098093A (ja) * 2013-11-18 2015-05-28 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド、および、液体噴射装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06210859A (ja) * 1992-10-19 1994-08-02 Canon Inc 改善されたインク吐出口面を備えたインクジェットヘッド、該インクジェットヘッドを備えたインクジェット装置
US20020097297A1 (en) * 2000-12-05 2002-07-25 SKINNER David Corrision resistant hydrophobic liquid level control plate for printhead of ink jet printer and process
JP2009241500A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Fujifilm Corp ノズルプレート、液体吐出ヘッドおよび画像形成装置
JP2012201102A (ja) * 2011-03-28 2012-10-22 Fujifilm Corp インクジェットヘッド、インクジェットヘッド洗浄システムおよびインクジェットヘッドのメンテナンス方法
JP2015098093A (ja) * 2013-11-18 2015-05-28 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド、および、液体噴射装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10730303B2 (en) 2017-10-26 2020-08-04 Seiko Epson Corporation Liquid ejecting head and liquid ejecting apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP6134665B2 (ja) 2017-05-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006289648A (ja) 画像形成装置
JP2004216653A (ja) インクジェット式プリンタ
JP2000062197A (ja) 描画ヘッド装置及びその清掃装置
JP2008137158A (ja) 画像形成装置
JP6417926B2 (ja) インクジェットプリンタ
JP5012650B2 (ja) 記録装置
JP2010023374A (ja) 画像記録装置
JP2005104144A (ja) インクジェットヘッド及びそのクリーニング方法
JP2017132192A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP6054962B2 (ja) プリントヘッドのノズル表面をクリーニングするための吸引装置
JP6134665B2 (ja) インクジェット記録装置の製法
JP2011018836A (ja) 圧電型アクチュエータの製造方法、及び該製造方法によって製造された圧電型アクチュエータ
JP2011011498A (ja) 画像形成装置
JP6341648B2 (ja) インクジェット記録装置
JP2007268794A (ja) 画像形成装置
JP6658609B2 (ja) 記録ヘッドの回復システム及びそれを備えたインクジェット記録装置
US7347531B2 (en) Inkjet recording head and image formation apparatus
JP5561177B2 (ja) 液体吐出装置
JP2009172952A (ja) 記録装置
JP2019018355A (ja) 記録ヘッド及びそれを備えたインクジェット記録装置
JP2013111897A (ja) インクジェット記録装置
JP2012116063A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェットヘッドの結露防止方法
JP2010214882A (ja) インクジェットヘッド
JP2010167573A (ja) 記録装置
JP6690558B2 (ja) 記録ヘッドおよびそれを備えたインクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170411

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170424

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6134665

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees