以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1では、電動工具の一例として、動力工具である空気圧縮機10を取り上げて説明する。図1〜図4に示す本実施の形態1の空気圧縮機10は、モータ駆動により作動するエアコンプレッサである。
空気圧縮機10の構成について説明すると、平行となって基台11に取り付けられる2つの空気タンク12a,12bを有しており、それぞれの空気タンク12a,12bの両端部の下面には、脚部13が取り付けられている。
また、空気圧縮機10は脚部13の部分で所定の設置箇所に配置され、基台11の両端部にはハンドル部14a,14bが設けられており、空気圧縮機10はハンドル部14a,14bを作業者が把持して持ち運ぶことができる。すなわち、空気圧縮機10は、可搬型のエアコンプレッサである。
基台11には、図2に示すように、駆動ボックス15が取り付けられており、この駆動ボックス15にはモータ16が取り付けられている。このモータ16は、ロータつまり回転子18と、円筒形のステータつまり固定子19とを有しており、電源からの電力の供給によって駆動されるものである。本実施の形態1の空気圧縮機10で用いられるモータ16は、例えば三相交流ブラシレスモータである。
回転子18にはモータ回転軸17が取り付けられ、モータ回転軸17を介して被駆動部材としての圧縮空気生成部30を駆動する。圧縮空気生成部30は、モータ16の駆動により圧縮空気を生成するものである。
また、固定子19には複数の界磁巻線つまり巻線が回転子18に対向して設けられている。回転子18は固定子19の内部に組み込まれており、このモータ16はインナーロータ型となっている。固定子19はモータ16を収容するハウジングとしての駆動ボックス15に取り付けられる。
モータ回転軸17は駆動ボックス15に回転自在に支持されている。駆動ボックス15には、モータ回転軸17の回転方向に180度の位相をずらして2つのシリンダ21a,21bが取り付けられており、それぞれのシリンダ21a,21bにはピストン22a,22bが軸方向に往復動自在に組み込まれている。
モータ回転軸17の回転運動をピストン22a,22bの軸方向の往復運動に変換するために、それぞれのピストン22a,22bには、コネクティングロッド23a,23bの一端部がピン結合されている。コネクティングロッド23a,23bの他端部には、モータ回転軸17に装着される偏心カム24a,24bが設けられており、それぞれの偏心カム24a,24bはピストン22a,22bの往復動方向に逆向きに偏心している。
これにより、一方のピストン22aが駆動室25a,25bを圧縮する方向に駆動されると、他方のピストン22bは駆動室25a,25bを膨張させる方向に駆動される。
それぞれのシリンダ21a,21bに設けられたシリンダヘッド26a,26bには、逆止弁27a,27bが設けられている。ピストン22a,22bが駆動室25a,25bを圧縮させる方向に駆動されると、吐出室28a,28bから配管29a,29bを介して空気タンク12a,12bに圧縮空気が供給される。
ピストン22bは外気を導入して圧縮する第1段目の低圧用のピストンであり、低圧用のピストン22bにより圧縮された空気は第2段目の高圧用のピストン22aによりさらに圧縮される。上述したシリンダ21a,21bとピストン22a,22b等は、圧縮空気生成部30を構成しており、モータ16の回転子18はモータ回転軸17を介して圧縮空気生成部30に連結される。モータ16により圧縮空気生成部30が駆動されると、高圧用のピストン22aから吐出された圧縮空気が空気タンク12a,12bに貯溜される。
すなわち、圧縮空気生成部30では、モータ16の回転によるピストン22a,22bの往復運動で圧縮空気が生成され、この圧縮空気生成部30で生成された圧縮空気は、空気タンク(タンク)12a,12bに貯溜される。
モータ回転軸17の一端部には、モータ16の外側に位置させて冷却ファン31aが取り付けられており、モータ回転軸17の他端部には冷却ファン31bが取り付けられている。冷却ファン31bの外側には制御基板(制御部、メイン基板)32が配置されており、図4に示すように、制御基板32は、立てた状態で配置されている。
また、冷却ファン31aにより生成される冷却風はモータ16に吹き付けられ、一方、冷却ファン31bにより生成される冷却風は制御基板32に吹き付けられる。基台11にはカバー33が装着されており、図2〜図4に示すように、上述した圧縮空気生成部30、モータ16および空気タンク12a,12b等はカバー33によって覆われている。
それぞれの空気タンク12a,12bに貯溜された圧縮空気を外部に供給するために、図1に示すように、空気タンク12a,12bの端部上方にはカプラ34a,34bが設けられている。それぞれのカプラ34a,34bから外部に排出される圧縮空気の圧力を調整するために、減圧弁35a,35bが空気タンク12a,12bに設けられており、減圧された空気の圧力は圧力計36a,36bに表示される。
カバー33には操作パネル37が設けられており、この操作パネル(操作部、操作基板)37には、図7に示す運転スイッチ(電源スイッチ、メインスイッチ)37aやモードスイッチ37b等が設けられている。そして、これらの運転スイッチ37aやモードスイッチ37bを操作することにより、モータ16の起動/停止指令が入力される。また、必要に応じ、駆動条件、例えば、モータ回転数を直接入力する構成にしてもよい。あるいは、モータ16の駆動モードの切り替えを指示し、これらの操作のための操作信号を出力する。
また、図4に示すように、制御基板32では、上記操作信号に基づいたモータ16の駆動、および圧縮空気生成部30における空気の圧縮動作を制御している。
なお、図7に示す操作パネル37には、表示部(報知部)37cも設けられている。表示部37cには、複数のLED(Light Emitting Diode) L1〜L12である表示ランプが設けられている。
すなわち、複数の表示ランプL1〜L12(LED)により、作業者に、タンク内の圧力、空気圧縮機10の操作可能(起動可能)な回数および異常情報等の複数種類の情報を報知することができるようになっている。
また、空気圧縮機10には、図5および図6に示すように、認証用情報を読み取る読み取り部(アンテナ基板)39aと、読み取り部39aで読み取った上記認証用情報に基づいて認証(照合)を行うサブ基板(認証部)39とが設けられている。なお、読み取り部39aは、カバー33の近傍に取り付けられており、また、読み取り部39aとサブ基板39とは、図8に示すように、リード62を介して電気的に接続されている。
読み取り部39aでは、例えば、図6に示すICタグであるセキュリティカード(セキュリティの解除を行う際に必要となるセキュリティキー)40等に書き込まれている認証用情報を、アンテナ部39bを介して読み取る。
そして、セキュリティカード40から読み取った認証用情報と、サブ基板39等に搭載された半導体チップ(例えば、メモリチップ)に予め書き込まれている認証用情報とを照合する。この照合は、例えば、サブ基板39で行い、照合した結果、セキュリティカード40の認証用情報とサブ基板39のメモリチップ等に書き込まれた認証用情報とが合致(認証)した場合に、空気圧縮機10のセキュリティを解除し、動作可能(起動可能)な状態にする。
すなわち、サブ基板39には、認証用のマイコンチップが搭載されており、さらに、空気圧縮機10のセキュリティ管理を行うための回路が形成されている。
なお、認証用のマイコンチップは、制御基板32に搭載されていてもよく、その場合、上記認証(照合)を、制御基板32で行ってもよい。もしくは、上記認証(照合)を、サブ基板39および制御基板32以外の他の基板で行ってもよい。
そして、本実施の形態1の空気圧縮機10は、サブ基板39によって認証(照合)を行った際には、モータ16の起動が可能な状態(セキュリティロック解除状態)になる。さらに、認証(照合)を行っていなくても(認証(照合)を経ていない状態であっても)、所定の回数を起動可能とするものである。
つまり、空気圧縮機10では、設定した所定の回数までは、認証を行う・行わないに関わらず工具本体を起動することが可能なよう設定される。そして、認証を行わずに(認証(照合)を経ることなく)上記所定の回数を越えて起動しようとすると、運転スイッチ37aをONにしてもモータ16が起動せずにセキュリティが作動した状態(セキュリティロック状態)となり、この場合には、空気圧縮機10を使用することはできない。
そして、このセキュリティが作動している状態で、セキュリティカード40等のICタグの認証用情報を空気圧縮機10の読み取り部39aで読み取り、認証(照合)を行うと、再度、所定の回数まで起動可能な状態になる(セキュリティロックが解除される)。
なお、起動回数(操作回数、使用回数)が所定の回数までは達していない途中の段階で、セキュリティカード40等の認証用情報を空気圧縮機10の読み取り部39aで読み取って認証(照合)を行うと、起動可能な回数はリセットされ、再度、設定された所定の回数まで起動可能な状態となる。
以上のようなセキュリティ機能を備えていることにより、本実施の形態1の空気圧縮機10は、セキュリティカード40等のICタグを忘れた場合や破損もしくは紛失等により認証(照合)不可となった場合、あるいは、停電やブレーカー遮断等で再起動が必要な状況であっても、上述の所定の回数までは、何人であっても空気圧縮機(工具本体)10を起動することができる。
なお、起動可能の条件とする回数は、例えば、工具本体に供給される電源の遮断回数、工具本体の運転スイッチ37aのオン/オフの回数、もしくはモータ16の起動回数等である。
例えば、起動可能の条件とする回数が、工具本体に供給される電源の遮断回数、すなわち電源コード51の電源コンセント(以降、単にコンセントと呼ぶ)への抜き差しの回数の場合、モータ16を起動させることが可能なセキュリティロックの解除状態で電源コード51をコンセントから抜いた時、電源コード51のコンセントへの差し込み回数が所定の回数となるまでは常にセキュリティロックの解除状態となる(スイッチ操作可能)。
しかし、電源コード51のコンセントへの差し込みが所定の回数を超えると、自動的に工具本体にセキュリティロックがかかる(セキュリティが作動する)。
なお、セキュリティの「有効化」、「無効化」の切り替えを、セキュリティカード40等のICタグを所定の時間(例えば、5秒間)かざす(読み込ませる)ことで行うことができる。
また、本実施の形態1においては、空気圧縮機10本体の動作中(モータ駆動中)にセキュリティカード40の検出、あるいは、受付を行なわない仕様としている。これは、工具本体の運転中は、すでに認証済みの状態であり、再度の認証が不要であることによるものであり、例えば、セキュリティのロックのために駆動中に認証が必要であれば、空気圧縮機10本体の動作中(モータ駆動中)にセキュリティカード40の検出、あるいは、受付を随時行うことが望ましい。
なお、当然のことながら、登録されていないセキュリティカード40等のICタグは、読み取りと認証までは行うものの、認証後のロック解除、あるいは、ロックのための受け付けは不能とする仕様である。
また、空気圧縮機10において、図4に示すように、制御基板32は、カバー33の内側(空気圧縮機本体の内部)の奥まった位置に配置されており、一方、操作パネル37およびサブ基板39は、空気圧縮機本体のカバー33の近傍に取り付けられている。操作パネル37には、運転スイッチ37aやモードスイッチ37b等のスイッチ類および表示ランプ等の表示部37cが設けられているため、上記スイッチ類は、カバー33の近傍に配置されている。
サブ基板39は、操作パネル37の下部に配置され、サブ基板39と操作パネル37とが積層されている。さらに、図8に示すように、アンテナ基板である読み取り部39aは、サブ基板39上に配置され、サブ基板39と読み取り部39aも積層された状態となっている。
次に、図5に示す空気圧縮機10の制御系の詳細について説明する。
空気圧縮機(工具本体)10は、外部に設置された交流電源50(例えば仮設の電源)等の電源から電源コード51を介して電力の供給を受けて動作するものである。
まず、交流電源50から制御基板(制御部)32に電力が供給され、制御基板32がモータ16を駆動する。制御基板32には、空気圧縮機10の運転操作を行うための操作パネル(操作基板、操作部)37が電気的に接続されている。
なお、図7に示すように、操作パネル37には、空気圧縮機本体の運転ON/OFFを切り替える運転スイッチ37aと、運転時のモータ16の回転数を切り替えるモードスイッチ37bと、各種情報を表示する表示部37cとが設けられている。
図9に示すように、本実施の形態1における運転スイッチ37aとモードスイッチ37bは、作業者が押圧している時にONの信号を発し、作業者が手を離すとOFFとなるスイッチである。表示部37cは、点灯・消灯または点滅することで空気タンク12a,12b内の圧力値や空気圧縮機10の運転状態、運転モードを作業者に報知するものであり、例えば圧力表示用LED、運転状態表示用LED、運転モード表示用LED等が設けられている(図7に示す表示ランプL1〜L12)。
なお、図7に示す操作パネル37における表示部37cである複数の表示ランプL1〜L12(LED)、および運転スイッチ37aやモードスイッチ37b等のスイッチのそれぞれは、図9に示すように、部品としては、それぞれサブ基板39上に実装されている。
したがって、サブ基板39上には、認証にも用いられるマイコンチップが搭載され、認証を行い、かつセキュリティを管理する回路が形成されている。
なお、サブ基板39には、図7に示す操作パネル37における表示部37cである複数の表示ランプL1〜L12(LED)も実装され、操作パネル37からの操作信号を送信するための回路が形成されている。さらに、上述のように、認証にかかるマイコンチップも搭載されており、認証を行い、かつセキュリティを管理する回路も形成されている。
ただし、認証にかかるマイコンチップやセキュリティを管理する回路は、サブ基板39において他の制御回路やマイコンと共有化するのみならず、別の基板に独立して実装、もしくは形成される構成であってもよい。
また、図5に示すように、モータ16の回転位置は、位置センサ41によって検出されて電圧信号として制御基板32にケーブルを介してフィードバックされる。制御基板32は、運転スイッチ37aからの運転指示信号、モードスイッチ37bからのモード指示信号、位置センサ41からの位置検出信号、および圧力センサ42からの圧力検出信号に基づいてモータ16の駆動を制御する。この制御は、制御基板32に搭載された演算部44によって行われる。
また、制御基板32は、空気圧縮機10の全体の動作を制御するものであり、電源部43と、演算部44と、電源電流検出部45と、電圧検出部46と、モータ電流検出部47と、駆動部(インバータ)48と、不揮発性メモリ(メモリチップ)としてのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)49とを有している。
制御基板32において、外部の交流電源50から電源コード51を介して電源部43に交流電力がされる。電源部43は、交流電源50からの交流電力を直流電力に変換し、駆動部48および演算部44その他の各回路に適切な電圧を供給する。電源電流検出部45は、電源部43の電流を検出する。電圧検出部46は、電源部43の電圧を検出する。モータ電流検出部47は、モータ16の駆動電流を検出する。
演算部44は、入力される各種情報(運転スイッチ37aからの運転指示信号、モードスイッチ37bからのモード指示信号、位置センサ41からの位置検出信号、および圧力センサ42からの圧力検出信号)に基づき、駆動部48を構成する各半導体スイッチング素子(例えばFET(Field Effect Transistor))をスイッチング駆動する。
スイッチングされる駆動部48を介して電源部43からモータ16に駆動電力が供給される。演算部44は、EEPROM49に空気圧縮機10の運転ログデータ(運転モードや運転設定値、モータ16の回転数等)を記録し、またEEPROM49から空気圧縮機10の運転ログデータを読み出す。空気タンク12a,12b内の空気圧力、運転状態、および運転モードは演算部44が表示部37cに表示する。
また、空気圧縮機10は、セキュリティ用の認証部であるサブ基板39および認証用情報を読み取る図6に示す読み取り部39aを備えている。読み取り部39aでは、図6に示すアンテナ部39bによって認証用情報を読み取る。そして、制御基板32とサブ基板39とがケーブル61を介して電気的に接続され、さらに、サブ基板39と操作パネル37とがケーブル60を介して電気的に接続されている。
なお、図8に示すように、アンテナ基板である読み取り部39aの表面には、クッション膜39cが形成されており、クッション膜39cによって図6に示すアンテナ部39bが保護されている。これにより、読み取り部39aのアンテナ部39bの損傷の低減化を図ることができる。
また、空気圧縮機10では、読み取り部39aとサブ基板39とが積層されている。これにより、空気圧縮機本体の内部のカバー33の近傍における部品実装のコンパクト化を図ることができる。
また、図8に示すサブ基板39は、その表面側(図8における下側の面、読み取り部39aと反対側の面)に導電性のプレーンパターン(ベタパターン、ベタ膜)38が形成されており、このプレーンパターン38は、GND(グランド)に接続されている。
したがって、読み取り部39aと本体内方の図4に示す制御基板32との間に、GND電位のプレーンパターン38が配置され、これにより、読み取り部39aのアンテナ部39bが、GND電位のプレーンパターン38によって覆われた状態となる。
その結果、アンテナ部39bは、プレーンパターン38によってシールドされるため、制御基板32上の様々な部品等から発生するノイズの影響を受けにくくすることができる。これにより、アンテナ部39bがノイズを拾いにくくなり、その結果、アンテナ部39bの受信感度の向上を図ることができる。
なお、プレーンパターン38は、サブ基板39の裏面側(図8における上側の面)に形成されていてもよく、あるいはサブ基板39の表裏両面に形成されていてもよい。もしくは、アンテナ基板である読み取り部39aの裏面側(図8における下側の面、クッション膜39cと反対側の面)に形成されていてもよく、読み取り部39aとサブ基板39の両者に形成されていてもよい。
また、図7に示す操作パネル37において、その表示部(報知部)37cの複数の表示ランプL1〜L12(LED)に対して、例えば、表示ランプL1〜L6を用いて、タンク内の圧力の大きさの表示(6段階の圧力表示)と、空気圧縮機10の操作可能な回数の表示(例えば、所定の回数が6回の場合の残りの操作可能な回数表示)とで、2種類の情報を、空気圧縮機10の待機状態等の状態に応じて切り替えて表示することができる。
具体的には、表示ランプL7を空気圧縮機10の待機状態の表示として用い、表示ランプL7の表示を切り替えることにより、表示ランプL1〜L6の表示を切り替える。つまり、表示ランプL1〜L6による空気タンク12a,12b内の圧力(6段階)表示と、空気圧縮機10の操作可能な回数(6回)表示とを、表示ランプL7の表示を切り替えることでこれに対応させて空気タンク12a,12b内の圧力と操作可能回数とを切り替えて表示することができる。
ここで、表示ランプL7を空気圧縮機10の待機状態の表示として用いる場合、例えば、セキュリティが全く作動しない状態(セキュリティ機能無効化)は、緑色の点滅、セキュリティが解除された状態(セキュリティ解除状態)は、黄色の点滅、セキュリティが作動している状態(セキュリティロック状態)は、赤色の点滅等である。
そして、これら表示ランプL7の3種類の点滅において、表示ランプL7がセキュリティ機能無効化(緑色の点滅)を表示している時、表示ランプL1〜L6は、タンクの圧力(6段階)を表示する。さらに、表示ランプL7がセキュリティ解除状態(黄色の点滅)を表示している時、表示ランプL1〜L6は、タンクの圧力(6段階)を表示する。さらに、表示ランプL7がセキュリティロック状態(赤色の点滅)を表示している時、表示ランプL1〜L6は、操作可能回数(6回)を表示する。
さらに、表示ランプL7がセキュリティ解除状態(黄色の点滅)を表示している時、表示ランプL1〜L6は、タンクの圧力(6段階)を表示する。さらに、表示ランプL7がセキュリティロック状態(赤色の点滅)を表示している時、表示ランプL1〜L6は、操作可能回数(6回)を表示する。
また、表示ランプL7がセキュリティロック状態(赤色の点滅)を表示している時、表示ランプL1〜L6は、無点灯となる。
このように、表示ランプL1〜L12(LED)の全てもしくは一部を、複数種類の情報の表示として兼用することも可能である。
なお、図7に示す例では、表示ランプL8をモードスイッチ37bのモード毎の種別表示として用い、さらに、表示ランプL9〜L12(LED)を、電圧異常、オーバーヒート、ドレインにかかる警報表示や、製品点検の総使用時間等の案内表示として用いているが、これらの情報報知に限定されるものではない。
以上により、作業者に報知する情報の数や種類を増やすことができ、さらに、使用するLED(表示ランプ)の数を削減することができる。その結果、空気圧縮機10のコストの低減化を図ることができる。
次に、本実施の形態1の空気圧縮機10の制御方法を、図10に示すフローを用いて説明する。図10は、図1に示す電動工具の操作手順の一例を示すフロー図である。
ここで、図10に示す制御方法では、例えば図7に示す操作パネル37の表示部37cの表示ランプL7(図10ではLED7として表記)を、空気圧縮機10の様々な待機状態の表示として用いる場合を説明する。
また、本実施の形態1では、空気圧縮機10の制御方法として、空気圧縮機(工具本体)10の起動可能の条件とする回数が、工具本体に供給される電源の遮断回数の場合について説明する。ここで、電源の遮断回数とは、電源コード51を介して空気圧縮機10本体への電源の供給の遮断回数、一例として、ブレーカーによる完全な遮断やコンセントへの抜き差しの回数を意味している。本実施の形態1では、空気圧縮機10の起動可能の条件とする回数が、空気圧縮機10の電源コード51のコンセントへの抜き差しの回数の場合を例示して説明する。
ただし、空気圧縮機10の電源コード51を接続する電源が、仮設電源や発電機等の不安定な電源手段である場合、起動可能の条件とする回数のカウントにおいて、後述する理由で、仮設電源の一時的な電圧降下による空気圧縮機10本体の停止(モータ16の回転停止)は回数として数えないことが好ましい。
まず、図10のステップS1に示す本体電源ONを行う。すなわち、空気圧縮機10の図6に示す電源コード51を仮設電源(商用電源、例えば図5の交流電源50)に接続する(電源を投入する)。
次に、ステップS2に示す操作制限(所定の回数の起動可能な制限)におけるカウントUPを行う。ここで、ステップS2のCの初期値は、0である。すなわち、1回目の使用の場合、C=0となる。
次に、ステップS3の操作回数nの判定を行う。なお、ここでは、一例として、起動可能な所定の回数を6回までとする場合を説明する。本実施の形態1で想定する空気圧縮機10の使用条件では、後述するように6回程度の回数が望ましい。ただし、起動可能な所定の回数は、6回に限定されるものではなく、6回以外の何回であってもよい。
所定の回数を6回とする場合、n=6であり、例えば、6回目の起動の場合のCはC=5となる。したがって、6回目の電源コード51の差し込みでは、C=5<6となってステップS4に進む。一方、7回目の起動の場合のCはC=6となって、C=6<6が成立しないため、ステップS5に進む。
ステップS4では、図7の表示ランプL7(LED7)が黄色の点滅(起動待機)となる。ここで、表示ランプL7の黄色の点滅状態とは、例えば、空気圧縮機10のセキュリティの一時的な解除状態を表している。すなわち、操作回数が使用可能回数以下の場合であるため、空気圧縮機10を使用することが可能な状態であることを表示ランプL7を黄色の点滅とすることで作業者に報知し、運転スイッチ37aを受け付け可能(モータ16を起動可能)な待機状態を表している。
一方、ステップS5では、表示ランプL7(LED7)が赤色の点滅(起動待機)となる。表示ランプL7の赤色の点滅状態とは、例えば空気圧縮機10のセキュリティのロック状態を表している。つまり操作回数が使用可能回数を越えたため、このままでは空気圧縮機10を使用することが不可能であることを作業者に報知し、運転スイッチ37a等のスイッチ操作の受け付けを許容しない待機状態を表している。
この場合、ステップS6に進みICタグ照合を行う。すなわち、ICタグである図6に示すセキュリティカード40を空気圧縮機10の読み取り部39aにかざしてその認証用情報を読み込ませ、認証(照合)を行う。
そして、この認証(照合)により、セキュリティカード40の認証用情報とサブ基板39のメモリチップ等に書き込まれた認証用情報とが合致(認証)した場合に、空気圧縮機10のセキュリティを解除し、動作可能(起動可能)な状態になる。この時、ステップS7に示すようにC=0となって使用可能回数はリセットされ、6回に戻る。
また、ステップS6で、セキュリティカード40の認証用情報とサブ基板39のメモリチップ等の認証用情報とが合致(認証)しなかった場合には、合致(認証)するまで認証(照合)を行う。
一方、ステップS4において、空気圧縮機10が、セキュリティ解除の待機状態となった場合、ステップS8では、空気圧縮機10は、スイッチ操作受付の状態となる。
次に、ステップS9に示すICタグ照合を行う。この認証(照合)により、セキュリティカード40の認証用情報とサブ基板39のメモリチップ等の認証用情報とが合致(認証)した場合に、ステップS10に示すようにC=0となって使用可能回数はリセットされ、6回に戻る。
なお、セキュリティカード40の認証用情報とサブ基板39のメモリチップ等の認証用情報とが合致(認証)しなかった場合は、ステップS11において、ステップS4と同様の状態となる。すなわち、元々のステップS4の空気圧縮機10のセキュリティの解除状態となる。
次に、ステップS12に示す運転スイッチONを行う。ここでは、操作パネル37における運転スイッチ37aを入れる(押す)。これにより、ステップS13に示すように、表示ランプL7(LED7)が緑色の点滅(起動待機)となる。表示ランプL7の緑色の点滅状態とは、例えば空気圧縮機10のモータ16が起動した状態である。
次に、空気圧縮機10を使用する。
使用後、ステップS14に示す運転スイッチOFF?を行う。ここでは、空気圧縮機10の動作を停止しない場合、再度、ステップS13の空気圧縮機10のモータ16が起動した状態に戻る。つまり、空気圧縮機10の動作を継続する。
一方、運転スイッチ37aをOFFした場合には、ステップS15に示す表示ランプL7(LED7)が黄色の点滅(起動待機)となる(モータ停止の状態)。
そして、作業終了となり、ステップS16に示す本体電源OFFを行う。ここでは、電源コード51を電源のコンセントから抜く。この場合、次回、空気圧縮機10を使用する際には、ステップS1の本体電源ONからの開始になり、その際、使用可能回数が1回減る。
一方、電源コード51を電源のコンセントから抜かなかった場合、すなわち、商用電源から本体までの電源供給が途切れない場合における次回の空気圧縮機10の使用は、ステップS4のセキュリティが解除された待機状態からの開始となる。その際には、操作回数は、減算されずにそのままの状態で使用することができる。すなわち、使用可能回数が減ることはなく、前回使用時と同じ使用可能回数を維持した状態で空気圧縮機10を使用することができる。
次に、本実施の形態1において、本願の課題が発生し易い状況について説明する。
空気圧縮機10は、建設現場で使用することが比較的多い。そして、建設現場では、家庭用電源や事業用の電源とは異なり、仮設電源を使用することが多い。この場合、電源事情が必ずしも良い状態ではなく、100V等の定格電圧が安定供給されるとは限らず、電源が不安定な状態となっていることが少なくない。
例えば、建設現場では、1つの仮設電源に対して複数の電動工具を接続して使用する場合があり、電源の容量が大きくないために電圧降下が起こったり、ブレーカーが作動してしまったりすることがある。つまり、上述のように電源が不安定な状況で本実施の形態1の空気圧縮機10等の電動工具は使用される場合が多い。
したがって、本実施の形態1の空気圧縮機10では、電源が不安定な状況、すなわち、電圧降下や電源遮断が頻繁に生じた時には、所定時間内(例えば、30分以内が望ましく、さらに好適には10分以内が望ましい。)の遮断や電圧降下による回数の減算は行わない、若しくは、これらの複数回の遮断や電圧降下をまとめて1回のカウントとして回数の減算処理を行うことで、仮設の電源等の電源状態が不安定な環境であっても、制限回数(所定の回数)を十分に利用して起動することを可能にしたものである。
すなわち、本実施の形態1の空気圧縮機10は、単に使用回数制限を設定して盗難の抑止効果を得るだけではなく、電源事情等の空気圧縮機10の使用環境を考慮して作業者の使いやすさ(使い勝手、操作性)が向上するように、設定された制限回数までの減算の条件を定めて複数回使用できるようにしたものである。
本実施の形態1の空気圧縮機10によれば、ICタグの認証の有無に関係なく、所定の回数を起動可能としたことにより、セキュリティカード40等のICタグを持っていない場合であっても、空気圧縮機10の操作を所定の回数まで行うことが可能になる。
したがって、万一、セキュリティカード(ICタグ)40を忘れた場合、あるいは破損や紛失等により認証不可となった場合でも、少なくとも、その日だけは空気圧縮機10を起動させ、作業を行うことが可能になる。これにより、空気圧縮機10が起動しないために、空気工具を用いた作業が行えないという状況になることを回避できる。
したがって、空気圧縮機10のセキュリティ性(盗難の抑止効果)を維持しつつ、空気圧縮機10の使いやすさ(使い勝手、操作性)を向上する(高める)ことができる。
すなわち、本実施の形態1の空気圧縮機10は、上述のように電源事情が良くない作業場所であっても工具本体を使用可能にするものである。言い換えると、空気圧縮機10の盗難の抑止効果と作業者の使いやすさ(使い勝手)との両立を満たすものである。さらに言い換えると、空気圧縮機10の盗難の抑止効果と作業者の使いやすさ(使い勝手)とのバランスを考慮したものと言える。
なお、所定の回数の設定として、本実施の形態1では好適な回数として、例えば、6回とし、さらに、工具本体を起動可能とする条件を、電源の遮断(電源コード51のコンセントの抜き差し)回数としている。これは、作業を月曜〜土曜の6日間行う場合を考えた際、1日目の朝に電源コード51をコンセントに差し込んで1日中差し込みっぱなしにし、夕方、作業終了時に電源コード51をコンセントから抜く。このような使用方法を繰り返せば、ICタグを所持しない場所であっても数日間程度、停電やブレーカー遮断等がない場合であっても最長1週間程度は継続して空気圧縮機10を使用することができ、その間にセキュリティカード(ICタグ)40を入手することが可能である。
この場合、工具本体を起動可能とする条件を、電源の遮断回数とすることで、電源コード51を1日中差しておくことにより、仮に、休憩時間等に運転スイッチ37aのオン/オフを複数回行ったとしても、1日のカウントは電源コード51の抜き差しの1回のみで済むことを意味する。
また、電源として仮設電源を用いる場合を考慮して、電圧降下を伴う工具本体の停止は、起動可能な所定の回数としてカウントしないようにすることが好ましい。これにより、空気圧縮機10が、電源が不安定な状況下で使用されて、電圧降下により、仮に複数回電源の供給が遮断されたとしても、制限回数(所定の回数)にカウントされないため、制限回数を減らさずに作業を行うことができる。
次に、本実施の形態1の変形例について説明する。
上記実施の形態1では、空気圧縮機10に電力を供給する電源として仮設の電源を用いる場合を説明したが、前記電源は、安定した家庭用や業務用の商用電源(例えば、100V単相交流電源や200Vの単相、若しくは三相交流電源)であってもよく、いわゆる電源のコンセントに電源コード51を接続して空気圧縮機10を使用してもよい。
また、上記実施の形態1では、工具本体を起動可能とする条件が、工具本体に供給される電源の遮断回数の場合を説明したが、安定した商用電源を利用できる環境では、起動可能とする条件は、工具本体の運転スイッチ37aのオン/オフの回数としてもよく、この場合は、使用制限の回数がより厳格となるため、セキュリティ性が向上する。
また、起動可能とする条件は、圧縮機であるモータ16の起動回数としてもよい。空気圧縮機10は、使用時に常にモータ16が回転しているのではなく、タンク内の圧力が上限に達すると圧縮作業を中断(一旦停止)する。そこで、モータ16の起動回数や駆動時間を制限する仕様とすることで、電源の遮断や運転スイッチのオン/オフの回数に依らずに、一定期間、あるいは、一定量の空気を利用できるよう制限を与えることができる。
また、上記実施の形態1では、操作パネル37の表示部37cに表示ランプとしてLEDを設け、使用可能回数の表示を、例えば、6つのLED(L1〜L6)を使用して6段階表示の場合を説明したが、使用可能回数の表示は、例えば、LEDや液晶等、任意の表示手段による数字で回数を表示するようにしてもよく、回数に応じた色を変化させる方法でも良い。
さらに、報知部による報知する手段として、ブザー等を用いて音を出すようにしてもよい。例えば、操作エラー時、あるいはICタグの認証(照合)時に認証を受け付けた際等にブザーが鳴るようにしてもよい。
(実施の形態2)
図11、図12、図13は、それぞれ本発明の実施の形態2の電動工具の構造の一例を示す斜視図である。
本実施の形態2は、電動工具の他の例を示すものである。すなわち、電動工具は、実施の形態1の空気圧縮機10に限定されるものではなく、モータ駆動によって作動する電動工具であれば、図11〜図13に例示するような電動工具であってもよい。
図11に示す電動工具は、一例として、インパクトドライバー70である。また、図12に示す電動工具は、他の例として丸のこ80であり、図13に示す電動工具は、さらに他の例として卓上型丸のこ90である。
図11〜図13に示す電動工具(インパクトドライバー70、丸のこ80、卓上型丸のこ90)は、実施の形態1の空気圧縮機10と同様に、セキュリティカード40等のICタグの認証(照合)を行った際には、工具本体(モータ)の起動が可能な状態になり、さらに、認証(照合)を行っていなくても所定の回数を起動可能とするものである。
これにより、セキュリティカード40等のICタグを持っていない場合等であっても、ICタグの認証の有無に関係なく、電動工具の操作を所定の回数まで行うことが可能になる。
したがって、万一、ICタグを忘れた場合、あるいは破損や紛失等により認証不可となっても、所定の回数、例えば最低限その日の作業回数は電動工具を起動させることが可能になる。
これにより、電動工具を用いた作業が行えないという状況になることを回避できる。
本実施の形態2の電動工具(インパクトドライバー70、丸のこ80、卓上丸のこ90)によって得られるその他の効果については、実施の形態1のものと同様であるため、その重複説明は省略する。
なお、図11や図12に開示したインパクトドライバー70、丸のこ80等は、商用電源を使用せず、バッテリパックを具備した、いわゆるコードレス工具の形態のものも普及している。これらのコードレス工具においては、上記実施の形態において、コンセントを抜く動作は、バッテリを工具本体から外す行為に代えることで同様の効果を奏することができる。また、図11乃至図13の工具を作業で使用する際には、実際の電源スイッチの起動回数をカウントする方法のみならず、当該工具を使用する際に解除する安全ロック機構を、上述した実施の形態における電源スイッチの起動回数に代えることもでき、この場合は、当該工具の一日の平均的な使用頻度(駆動回数)に応じて、ロック解除の所定の回数を定めればよい。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
上記実施の形態1,2では、認証用情報が書き込まれたICタグがセキュリティカード40の場合を説明したが、前記ICタグは、例えば、シート状のシール等でもよく、このシールをカードに貼り付けておいてもよいし、あるいは、カード以外の小物(例えば、携帯用電話器)等に張り付けておいて使用してもよい。