JP2015144501A - 回転電機ロータ - Google Patents

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Abstract

【課題】回転電機ロータにおいて、エンドプレートを用いずに、磁石が挿入される磁石孔に充填した樹脂が遠心力によって飛散することを抑制することである。
【解決手段】回転電機ロータ10は、回転軸が設けられるロータコア12と、ロータの磁極を形成する磁石20,22と、ロータコア12の軸方向に沿って貫通し磁石20,22が挿入される磁石孔24,26と、ロータコア12の軸方向の一方側の端部から軸方向に貫通しない深さを有し、磁石孔24,26の側面に接続して設けられる溝部28,30と、磁石20,22が挿入された磁石孔24,26および溝部28,30に充填され、磁石20,22の軸方向端部も覆う樹脂40,42とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転電機ロータに係り、特に、ロータコアに設けられる磁石孔に磁石が挿入され樹脂が充填される回転電機ロータに関する。
回転電機として、ロータコアの磁石孔に磁石が挿入され樹脂が充填されるIPM(埋め込み磁石型モータ)が用いられる。この場合、ロータが回転するときの遠心力等で磁石が飛び出さないように、ロータの軸方向端面に端板またはエンドプレートと呼ばれる円板状部材が設けられることが多い。
例えば、特許文献1には、回転子の軸方向両端の端板を小型化するために、端板をロータコアの積層鋼板と同じ大きさとせず磁極の少なくとも一部を覆う大きさとすることが開示されている。
特許文献2には、永久磁石埋込型モータの回転子において、永久磁石の磁力線と交わる2面である径方向内側および外側の面を除いて永久磁石の側面を覆う磁石カバーを用いて磁石を磁石孔に挿入することが開示されている。
特開2012−235652号公報 特開2012−257390号公報
ロータコアの磁石孔には挿入された磁石を固定する樹脂が充填されるので、エンドプレートを用いなくても済みそうであるが、磁石と樹脂の熱膨張係数が異なるため、磁石と樹脂の界面に亀裂が生じ、遠心力により亀裂の入った樹脂部分が飛散する可能性がある。
本発明の目的は、磁石が挿入される磁石孔に充填した樹脂が遠心力によって飛散することを抑制できる回転電機ロータを提供することである。
本発明に係る回転電機ロータは、回転軸が設けられるロータコアと、ロータの磁極を形成する磁石と、ロータコアの軸方向に沿って貫通し磁石が挿入される磁石孔と、ロータコアの軸方向の一方側の端部から軸方向に貫通しない深さを有し、磁石孔の側面に接続して設けられる溝部と、磁石が挿入された磁石孔および溝部に充填され、磁石の軸方向端部も覆う樹脂と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る回転電機ロータにおいて、磁石孔の側面のうちでロータコアの内径側の側面に接続して溝部が設けられることが好ましい。
本発明に係る回転電機ロータにおいて、溝部の軸方向に沿った深さ位置は、磁石孔に挿入された磁石の一方端側の端部位置を越えることが好ましい。
本発明に係る回転電機ロータにおいて、溝部は、磁石孔の軸方向の両端部にそれぞれ設けられることが好ましい。
本発明に係る回転電機ロータは、磁石または樹脂の飛び出しを押えるエンドプレートを備えないエンドプレートレスロータであっても好適である。
上記構成によれば、磁石孔は軸方向に貫通するが溝部は軸方向に貫通しないので、磁石孔に充填された樹脂の軸方向に沿った長さよりも溝部に充填された樹脂の軸方向に沿った長さが短い。したがって、樹脂と磁石との熱膨張係数の差によって仮に磁石孔に充填された樹脂の部分に亀裂が生じても、溝部に充填された樹脂の部分に亀裂が生じることが抑制される。
また、磁石孔の側面に溝部が接続されるので、磁石孔に充填される樹脂と溝部に充填される樹脂は一体である。溝部に充填された樹脂の周囲はロータコアまたは磁石であるので、仮に磁石孔に充填された樹脂に亀裂が生じ、亀裂が生じた樹脂とこれに一体の溝部に充填された樹脂に遠心力が働いても、溝部に充填された樹脂がロータコアまたは磁石で支えられるので、亀裂の生じた樹脂が遠心力で飛散することが抑制される。
また、回転電機ロータにおいて、磁石孔の側面のうちでロータコアの内径側の側面に接続して溝部が設けられるので、溝部に充填された樹脂に遠心力が働いても、外径側にある磁石によって遠心力を受けとめることができる。したがって、亀裂の生じた樹脂が遠心力で飛散することが抑制される。
また、回転電機ロータにおいて、溝部の軸方向に沿った深さ位置は、磁石孔に挿入された磁石の一方端側の端部位置を越えてさらに深い位置にあるので、溝部に充填された樹脂に遠心力が働くときは、確実に樹脂が磁石に引っ掛かる。したがって、亀裂の生じた樹脂が遠心力で飛散することがより確実に抑制される。
また、回転電機ロータにおいて、溝部は、磁石孔の軸方向の両端部にそれぞれ設けられるので、亀裂の生じた樹脂が遠心力で飛散することがロータコアの両端部において抑制される。
また、回転電機ロータは、エンドプレートレスロータであっても、亀裂の生じた樹脂が遠心力で飛散することがより確実に抑制される。
本発明に係る実施の形態における回転電機ロータを軸方向の端面からみた図である。 本発明に係る実施の形態における回転電機ロータの磁石孔と溝部を示す図である。図2(a)は図1における1つの磁極の拡大図であり、図2(b)は、図2(a)のB−B線に沿った断面図、図2(c)は図2(a)および図2(b)のC−C線に沿った断面図である。 比較のために溝部が設けられない従来技術を示す図で、図3(a)は図2(a)に対応する図で、図3(b)は図2(b)に対応する図である。 本発明に係る実施の形態における回転電機ロータの溝部の溝深さの効果を示す図である。図4(a)は図2(c)と同じで軸方向に貫通しない溝部を示す図、図4(b)は軸方向に貫通する溝部を示す図である。 別の形態の磁石孔と溝部を示す図である。図5(a)は1つの磁極における磁石孔と溝部を示す図であり、図5(b)は図5(a)の拡大図であり、図5(c)は溝部に充填された樹脂がロータコアに支えられることを示す図である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下に述べる寸法、形状、材質、磁極の極数、1つの磁極を構成する磁石の数と配置方法等は、説明のための例示であって、回転電機ロータの仕様等により、適宜変更が可能である。また、以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、車両に搭載される回転電機に用いられる回転電機ロータ10を示す図である。以下では、回転電機ロータ10を特に断らない限り、ロータ10と呼ぶ。図1は、ロータ10の軸方向の端面から見た図である。図1には、ロータ10の周方向θ、径方向R、軸方向Zを示した。
ロータ10が用いられる回転電機は、車両が力行するときは電動機として機能し、車両が制動時にあるときは発電機として機能するモータ・ジェネレータで、三相同期型回転電機である。回転電機は、図1に示されるロータ10と、ロータ10の外周側に所定の隙間を隔てて配置されて巻線コイルが巻回される円環状のステータとで構成される。図1ではステータの図示を省略した。
ロータ10は、回転軸が設けられるロータコア12を含んで構成される。ロータコア12には、ロータの回転軸が設けられる中心穴14を有し、周方向に予め定められた数の磁極16が設けられる。図1の例では、磁極数は8である。ロータコア12を磁極数で区分した扇型の部分には、磁極を形成する磁石20,22と、ロータコア12の軸方向に沿って貫通し磁石20,22が挿入される磁石孔24,26と、磁石孔24,26の側面に接続して設けられる溝部28,30が設けられる。なお、ロータコア12の軸方向に沿った磁石20,22の長さはロータコア12の厚さよりも短い。磁石20,22が挿入された磁石孔24,26および溝部28,30には、磁石20,22の軸方向端部も覆うように、樹脂40,42が充填される。ロータ10が回転電機に用いられるときには、ロータコア12と一体化された回転軸の軸方向の両端が軸受によって回転自在に支持され、図示されていないステータと協働してロータコア12と共に回転軸が回転する。このように、回転電機においては、中心穴に設けられる回転軸がトルクを出力する出力軸となる。
図2は、ロータコア12における磁石20,22と磁石孔24,26と溝部28,30を示す図である。(a)は図1における1つの磁極16の拡大図であり、(b)は、(a)のB−B線に沿った断面図、(c)は(a)および(b)のC−C線に沿った断面図である。
図2(a)に示すように、1つの磁極16において、磁石20,22は、磁石孔24、26にそれぞれ配置され、ロータコア12の磁極を形成する磁石である。1つの磁極16では、2つの磁石孔24,26が略V字形に配置されているので、これに対応して、2つの磁石20,22も略V字形に配置される。1つの磁極16を形成する2つの磁石20,22は、図示されていないステータに向かい合う外周側の面の極性が共にN極またはS極である。隣接する磁極の間ではその極性が互いに逆になる。例えば、図2(a)の磁石20,22は、いずれも外径側の側面の極性がN極で、内径側の側面の極性がSである。したがって、図1における磁極16はステータに対しN極の極性を有する。なお、磁極16の隣の磁極は、S極の極性を有し、それぞれにおいて略V字形に配置される2つの磁石20,22は、いずれも外径側の側面の極性がS極、内径側の側面の極性がN極である。
磁石20、磁石孔24、溝部28、樹脂40の組と、磁石22、磁石孔26、溝部30、樹脂42の組は、ロータコア12に対称形で配置されるので、以下では、特に断らない限り、磁石20,22は磁石20で代表させ、磁石孔24,26は磁石孔24で代表させ、溝部28,30は溝部28で代表させ、樹脂40,42は樹脂40で代表させ、ロータコア12もその部分に代表させて説明する。
ロータコア12は、所定枚数の磁性体薄板13を積層した積層体である。磁性体薄板13としては、電磁鋼板を用いることができる。磁性体薄板13には形状の異なる2種類がある。1つは、回転軸の外形を通す中心穴14と、複数の磁石孔24とを含んで、磁性体薄板のシートを打ち抜き加工等で所定の形状に成形された円環状の磁性体薄板13aで、もう1つは、中心穴14と、溝部28と磁石孔24が接続した形状の穴を含んで、磁性体薄板のシートを打ち抜き加工等で所定の形状に成形された円環状の磁性体薄板13bである。
図2(c)に示すように、ロータコア12の+Z方向の端面側の溝部28に対応して、ロータコア12の−Z方向の端面側に溝部29が設けられる。ロータコアの積層の際、磁性体薄板13bは、ロータコア12の軸方向の端面側に配置される。図2(c)の例では、溝部28の深さL0に対応して、+Z方向の端面側のL0の厚さに相当して磁性体薄板13bが配置され、溝部29の深さL0に対応して、−Z方向の端面側のL0の厚さに相当して磁性体薄板13bが配置され、その間には磁性体薄板13aが配置される。
ロータコア12において、磁石孔24は軸方向に貫通し、溝部28,29は軸方向に貫通せずに、ロータコア12の軸方向の一方側の端部から所定の深さL0を有する。上記では、ロータコアを磁性体薄板13a,13bの積層体としたが、磁石孔24を軸方向に貫通させ、溝部28,29を磁石孔24の側面に接続させながら軸方向に貫通させないように形成するものであればよく、例えば、粉末成形等で上記所定の形状に成形したものを用いることができる。
磁石20は、磁石孔24にそれぞれ配置され、ロータコア12の磁極を形成する磁石である。かかる磁石20の材質としては、ネオジムと鉄とホウ素を主成分とするネオジム磁石、サマリウムとコバルトを主成分とするサマリウムコバルト磁石等の希土類磁石が用いられる。これ以外にフェライト磁石、アルニコ磁石等を用いてもよい。
磁石孔24は、ロータコア12の外周側に所定の配置で複数配置され、軸方向であるZ方向に貫通する孔である。磁石孔24は、磁石20を埋め込んで配置するための孔である。磁石孔24は、平面図で略長方形の形状を有する。図2(c)に示すように、磁石孔24の軸方向の長さは、ロータコア12の軸方向の長さH0と同じで、磁石20の軸方向の長さよりも長く設定される。
溝部28は、ロータコア12の軸方向の一方側の端部から軸方向に貫通しない深さL0を有する有底溝である。溝部は、1つの磁石孔24についてロータコア12の軸方向の両端部にそれぞれ設けられる。2つの溝部を区別して、ロータコア12の+Z方向の端面側に設けられる溝部28に対し、ロータコア12の−Z方向の端面側に設けられるものを溝部29とする。溝部28,29の深さL0は、軸方向の両端に設けられる溝が互いに軸方向に接続しない寸法に設定される。すなわち、(ロータコア12の軸方向の全長H0)>2L0である。なお、磁石20の軸方向の全長はロータコア12の全長よりも短いが、それとの比較では、(磁石20の軸方向の全長)>2L0である。また、(H0−2L0)<磁石20の軸方向の全長)とすることが好ましい。
樹脂40は、磁石20を磁石孔24に固定するために、磁石20が挿入された状態の磁石孔24および溝部28,29に充填される。磁石20の軸方向の全長はロータコア12の全長よりも短いので、樹脂40は、磁石20の軸方向の両端部も覆う。したがって、磁石孔24内において磁石20の全表面が樹脂40で覆われる。かかる樹脂40としては、成形性と耐熱性に優れた熱硬化樹脂が用いられる。熱硬化樹脂としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等を用いることができる。
つぎに、磁石20、磁石孔24、溝部28,29、樹脂40の関係について図2(b),(c)を用いて説明する。
溝部28,29は、磁石20と樹脂40の間の熱膨張係数の差で樹脂40に亀裂50,52が生じ、亀裂50,52によって独立した小さな島状の樹脂の部分45が形成されたときに、その島状の樹脂の部分45が遠心力Fで飛散しないように、ロータコア12に係止する樹脂の部分を形成するための樹脂充填溝である。
図2(b)は、磁石20と樹脂40の間の熱膨張係数の差で樹脂40に亀裂50,52が生じることを示す図である。磁石20の熱膨張係数は樹脂40の熱膨張係数よりも小さい。したがって、温度が上昇または降下したときの磁石20の軸方向の長さの変化量60は、樹脂40の軸方向の長さの変化量62よりも小さくなり、その長さの変化量の差に応じた応力が磁石20と樹脂40との間に発生する。熱膨張係数の差により生じる磁石20と樹脂40との間の応力が樹脂40の亀裂発生閾値を超えると、樹脂40に亀裂50,52が生じる。
樹脂40は、磁石20の周囲全体を覆うように充填されるが、図2(a)に示すように、磁石20の周方向に沿った側面を覆う樹脂40の厚さは、磁石20の径方向に沿った側面を覆う樹脂40の厚さよりも薄い。そこで、図2(b)に示すように、亀裂50,52は、磁石20の周方向に沿った側面を覆う樹脂40について、磁石20の径方向に沿った両側面側に生じ、磁石20の径方向に沿った両側面に沿って延びる。これによって、ロータコア12の軸方向の端面では、樹脂40は3つの樹脂の部分43,44,45に分かれる。樹脂の部分43,44は、磁石孔24において磁石20の周方向に沿った両側面側に充填された部分で、樹脂の部分45は、磁石孔24の軸方向の両端部において磁石20の上下頂部を覆う部分である。この樹脂の部分45は、亀裂50,52によって、磁石20の軸方向の両端部において、独立した小さな島状の状態となっている。
この状態で、ロータ10が回転すると、遠心力Fが働き、そのままでは、独立した島状の樹脂の部分45が亀裂50,52の所で他の樹脂の部分43,44から分離し、回転するロータ10から飛散する可能性がある。
図3は、溝部28,29が設けられない従来技術の構造のロータ11を示す図である。図3(a)は図2(a)に対応し、図3(b)は図2(b)に対応する。相違するのは、溝部28,29の有無のみである。図3のロータ11においては、亀裂50,52によって樹脂40が3つの樹脂の部分43,44,45に分かれ、そこで遠心力Fが働くと、図3(b)に示すように、独立した島状の樹脂の部分45が亀裂50,52の所で他の樹脂の部分43,44から分離し、あたかも飛ぶ島のように、ロータ11から飛散する樹脂の部分47となる。
再び図2に戻り、ロータコア12の径方向に沿った断面である図2(c)は、島状の樹脂の部分45と溝部28,29との関係を示す図である。溝部28,29にも樹脂の部分46として示されるように樹脂40が充填される。樹脂の部分46は、磁石20の周方向に沿った側面に充填される樹脂の部分47と一体であるが、樹脂の部分47よりも径方向に沿った樹脂の厚さが厚い。
図2(c)に、温度が上昇または降下したときの溝部28,29に充填される樹脂の部分46の軸方向の長さの変化量64と、この部分に対応する磁石20の部分の軸方向の長さの変化量66を示した。樹脂の部分46の軸方向の長さの変化量64は、これに対応する磁石20の軸方向の長さの変化量よりも大きいが、その差=(変化量64−変化量66)は、図2(b)に示される変化量の差=(変化量62−変化量60)よりも小さくなる。これは、図2(b)における変化量の差は、ロータコア12のZ方向の全長=H0についてであるのに対し、図2(c)における変化量の差は、ロータコア12のZ方向の全長=H0よりも小さい値の溝深さL0についてであるためである。
したがって、図2(c)における変化量の差=(変化量64−変化量66)に基づいて発生する応力は、図2(b)における変化量の差=(変化量62−変化量60)に基づいて発生する応力よりも小さく、図2(b)において亀裂50,52が発生しても図2(c)においては亀裂の発生が抑制される。亀裂が発生しない状態では、溝部28に充填される樹脂の部分46は、磁石20の周方向に沿った側面側に充填された樹脂の部分47と一体であり、また島状の樹脂の部分45と一体である。このように、亀裂50,52によって生じた島状の樹脂の部分45は、溝部28,29に充填される樹脂の部分46を介して磁石20の周方向に沿った側面側に充填された樹脂の部分47に繋がっているので、遠心力Fが働いても島状の樹脂の部分45がロータコア12から飛散することが抑制される。
図2(c)に示されるように、溝部28の軸方向に沿った深さ位置は、磁石孔24に挿入された磁石20の一方端側の端部位置を越えたところにある。この構成のときは、溝部28に充填された樹脂の部分46に+R方向の遠心力Fが働いても、樹脂の部分46が必ず磁石20の端部に引っかかる。これによって、遠心力Fが働いても、樹脂の部分46に一体となっている島状の樹脂の部分45は+R方向に移動することが抑制され、ロータコア12から飛散することがより効果的に抑制される。溝部29においても同様である。
図4は、溝部28,29の溝深さの効果を示す図である。図4は、ロータコア12の径方向に沿った断面図で、(a)は図2(c)と同じで軸方向に貫通しない溝部28,29を示す図、(b)は軸方向に貫通する溝部70を示す図である。
軸方向に貫通しない溝部28,29は、図2(c)で説明したように、樹脂における亀裂の発生が抑制される。これに対し、軸方向に貫通する溝部70では、溝部70に充填される樹脂の部分72は、ロータコア12の全長H0の長さを有する。その場合には、径方向の断面図である図2(b)で説明したように、温度が上昇または降下したときの磁石20の軸方向の長さの変化量60は、樹脂の部分72の軸方向の長さの変化量74よりも小さく、磁石20と樹脂の部分72との間にその長さの変化量の差に応じた応力が発生する。このように熱膨張係数の差により生じる磁石20と樹脂の部分72との間の応力が樹脂の亀裂発生閾値を超えると、樹脂の部分72と島状の樹脂の部分46との間に亀裂76が生じる。
このように、軸方向に貫通する溝部70では、温度が上昇または降下したときに、溝部に充填された樹脂72と島状の樹脂の部分45との間に亀裂76が生じる。したがって、軸方向に貫通する溝部70では、島状の樹脂の部分45に遠心力Fが働くと、島状の樹脂の部分45の飛散を抑制することができない。
上記では、1つの磁極16における磁石20,22がなす傾斜角度があまり大きくなく、磁石孔24の側面のうちで遠心力Fの方向にほぼ垂直な側面に溝部28,29が設けられるものを説明した。図5は、1つの磁極における2つの磁石がなす傾斜角度が大きく、磁石孔側面のうちで遠心力Fの方向にほぼ平行な側面に溝部が設けられる例を示す図である。図5(a)は、図2(a)に対応し、1つの磁極における磁石等の配置を示す図で、図5(b)は、1つの磁石孔についての拡大図、図5(c)は磁石孔と溝部に充填された樹脂を示す斜視図である。
図5では、磁石100,102が配置される磁石孔104,106の側面のうちで遠心力Fの方向にほぼ平行な側面に溝部120,122が設けられる。ここでは、磁石孔104と溝部120に樹脂108が充填され、磁石孔106と溝部122に樹脂110が充填される。この場合でも、磁石100,102と樹脂108,110の熱膨張係数の差により、樹脂108,110に亀裂124,126,128,130が発生する。
図5(b)は、1つの磁石孔104において樹脂108に亀裂124,126が生じることを示す図である。図5(c)は、そのときの磁石100の頂部における島状の樹脂の部分140と溝部120に充填された樹脂の部分142を示す図である。溝部120は、ロータコア12の軸方向に貫通しないので、溝部120に充填された樹脂の部分142には亀裂が生じず、島状の樹脂の部分140と溝部120に充填された樹脂の部分142は一体の樹脂の部分109となっている。ここで、島状の樹脂の部分140について遠心力Fが図5(b)に示す方向に働くと、これと一体である溝部120に充填された樹脂の部分142に働く遠心力Fは、磁石100によって受け止めることができない。
図2(b)に示されるように、磁石孔104と溝部120は、ロータコア12で囲まれている。そこで、溝部120に充填された樹脂の部分142に働く遠心力Fは、ロータコア12によって受け止められる。図2(b)において溝部120の遠心力Fが向かう方向の内壁部121が溝部120に充填された樹脂の部分142に働く遠心力Fを受け止める部分である。内壁部121は、ロータコア12を構成する磁性体薄板で溝部120が打ち抜かれた側壁に相当する。図5(c)に、溝部120に充填された樹脂の部分140のうち、内壁部121で受け止められる樹脂の部分144を示した。
上記のように、ロータコア12の軸方向に沿って貫通しない溝部を設けることで、溝部に充填される樹脂に磁石と樹脂の熱膨張係数の差による亀裂が発生することを抑制できる。これによって、磁石と樹脂の熱膨張係数の差によって生じた亀裂によって磁石の頂部に形成される島状の樹脂の部分と溝部に充填された樹脂の部分が一体化される。そして、溝部に充填された樹脂に働く遠心力は、図2(c)で説明したように、他の樹脂の部分、磁石によって受け止められ、あるいは図5(b),(c)で説明したようにロータコアで受け止められる。したがって、島状の樹脂の部分がロータの回転による遠心力で飛散することを抑制できる。これにより、磁石または樹脂の飛び出しを押えるエンドプレートを備えないエンドプレートレスロータとすることができる。
上記では、溝部の断面形状を半円形として示したが、これ以外の形状でもよい。例えば、矩形形状であってもよく、楕円形状であってもよい。また、溝部の位置を磁石孔の長辺の中央部として示したが、磁石孔に接続していればよく、その位置を任意に定めることができる。また、1つの磁石孔について軸方向両端部にそれぞれ1つずつの溝部としたが、溝部の個数も任意に設定できる。
10,11 (回転電機)ロータ、12 ロータコア、13,13a,13b 磁性体薄板、14 中心穴、16 磁極、20,22,100,102 磁石、24,26,104,106 磁石孔、28,29,30,70,120,122 溝部、40,42,108,110 樹脂、43,44,45,46,47,72,109,140,142,144 樹脂の部分、50,52,76,124,126,128,130 亀裂、60,62,64,66,74 (熱膨張による長さの)変化量、121 内壁部。

Claims (5)

  1. 回転軸が設けられるロータコアと、
    ロータの磁極を形成する磁石と、
    ロータコアの軸方向に沿って貫通し磁石が挿入される磁石孔と、
    ロータコアの軸方向の一方側の端部から軸方向に貫通しない深さを有し、磁石孔の側面に接続して設けられる溝部と、
    磁石が挿入された磁石孔および溝部に充填され、磁石の軸方向端部も覆う樹脂と、
    を備えることを特徴とする回転電機ロータ。
  2. 請求項1に記載の回転電機ロータにおいて、
    磁石孔の側面のうちでロータコアの内径側の側面に接続して溝部が設けられることを特徴とする回転電機ロータ。
  3. 請求項2に記載の回転電機ロータにおいて、
    溝部の軸方向に沿った深さ位置は、磁石孔に挿入された磁石の一方端側の端部位置を越えることを特徴とする回転電機ロータ。
  4. 請求項1に記載の回転電機ロータにおいて、
    溝部は、磁石孔の軸方向の両端部にそれぞれ設けられることを特徴とする回転電機ロータ。
  5. 請求項1に記載の回転電機ロータは、
    磁石または樹脂の飛び出しを押えるエンドプレートを備えないエンドプレートレスロータであることを特徴とする回転電機ロータ。
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