JP2015143758A - 光学用ポリエステルフィルム、偏光板、画像表示装置、光学用ポリエステルフィルムの製造方法、および易接着層用組成物 - Google Patents
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Description
偏光板は、ポリビニルアルコールを含む偏光子とその両側に貼り合わされる保護フィルムから形成され、保護フィルムには、光学的歪みによる画質の低下(斜め方向から観察した際の虹状の色斑)を防止するため、従来より、光学異方性(Re値:レタデーション値)が小さいトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが主に使用されている。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] ポリエステルフィルムの融解サブピーク温度が130〜200℃である、[1]に記載の光学用ポリエステルフィルム。
[3] イソシアネート系架橋剤が、少なくともマロン酸エステル誘導体によりブロックされたブロックイソシアネート化合物である、[1]または[2]に記載の光学用ポリエステルフィルム。
[4] ポリエステル系樹脂の数平均分子量が、15000以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[5] ポリエステルフィルムの面内方向のレタデーションReが4000〜30000nmであり、厚み方向のレタデーションRthと面内方向のレタデーションReの比であるRe/Rthが0.6〜1.2である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[6] 未延伸のポリエステルフィルム、または縦方向あるいは横方向の延伸倍率が1.4倍以下となるように延伸されたポリエステルフィルムに易接着層を積層した積層フィルムを、縦方向あるいは横方向の延伸倍率が3.0倍以上となるように延伸することにより製造される、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[7] 未延伸のポリエステルフィルムに易接着層を積層した積層フィルムを、縦方向あるいは横方向の延伸倍率が3.0倍以上となるように延伸することにより製造される、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[8] 積層フィルムの横方向の延伸倍率と縦方向の延伸倍率との比率である、横方向の延伸倍率/縦方向の延伸倍率が、1.5以上であるか、又は積層フィルムの縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率との比率である、縦方向の延伸倍率/横方向の延伸倍率が、1.5以上である、[6]または[7]に記載の光学用ポリエステルフィルム。
[9] 偏光子保護用フィルムである、[1]〜[8]のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルムの製造方法であって、未延伸のポリエステルフィルム、または縦方向あるいは横方向の延伸倍率が1.4倍以下となるように延伸されたポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に易接着層を積層して積層フィルムを得る工程と、積層フィルムを縦方向あるいは横方向の延伸倍率が3.0倍以上となるように延伸する工程を含む、光学用ポリエステルフィルムの製造方法。
[11] [1]〜[9]のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルムと偏光子とを少なくとも有する偏光板。
[12] さらに保護フィルムとハードコート層とを含む[11]に記載の偏光板。
[13] [11]または[12]に記載の偏光板を有する画像表示装置。
[14] ポリエステル系樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂、およびイソシアネート系架橋剤を少なくとも含む易接着層用組成物。
なお、本明細書において「縦方向」とは、帯状(長尺状)のフィルムの流延方向(MD方向)をいい、「横方向(幅方向ともいう)」とは、帯状(長尺状)のフィルムの流延方向(MD方向)と直行する方向(TD方向)をいう。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に易接着層とを有し、前記易接着層は、ポリエステル系樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコールを「PVA」ともいう)、およびイソシアネート系架橋剤を少なくとも含むことを特徴とする。本発明の光学用ポリエステルフィルムの用途は特に制限はないが、例えば、偏光子保護用フィルムとして用いることができる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、上記のような構成を有することにより、後述するハードコート層や偏光子に貼り合わせた際に優れた密着性を発揮することができる。
なお、光学用ポリエステルフィルムの製造に用いられるポリエステルフィルムが縦方向あるいは横方向に延伸されたポリエステルフィルムである場合、易接着層を積層する前の延伸倍率は、1.0倍以上1.4倍以下であればよく、1.0倍以上1.3倍以下であることが好ましく、1.0倍以上1.2倍以下であることがより好ましい。
なお、未延伸フィルムに易接着層を積層した後、すなわち積層フィルムを形成した後、同時に縦方向と横方向に延伸することもできるが、その場合、縦方向あるいは横方向のいずれか一方の延伸倍率は1.0倍以上1.4倍以下とし、1.0倍以上1.4倍以下に延伸した方向とは直交する方向に3.0倍以上7.0倍以下延伸することが好ましい。また、縦方向の延伸倍率を1.0倍以上1.4倍以下とし、横方向の延伸倍率を3.0倍以上7.0倍以下とすることが、より好ましい。
本発明の光学用ポリエステルフィルムに用いるポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分とするフィルムであって、好ましくは融解サブピーク温度(Tsm)が130〜200℃であるフィルムである。ポリエステルフィルムは、単層フィルムであってもよいし、多層フィルムであってもよい。また、これら単層フィルムまたは多層フィルムの両面または片面に表面処理が施されたものであってもよく、この表面処理は、コロナ処理、真空グロー処理、大気圧グロー処理、火炎処理、ケン化処理、熱処理、紫外線照射、電子線照射等による表面改質であってもよいし、高分子や金属等の塗布や蒸着等による薄膜形成であってもよい。ポリエステルを主成分とするフィルムとは、ポリエステルフィルム全体に占めるポリエステルの質量割合が、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上であるフィルムを意味する。
また、積層フィルムを、横方向の延伸倍率が3.0倍以上7.0倍以下となるように延伸した光学用ポリエステルフィルムにおいては、面内方向のレタデーション(Re)を求める際の屈折率の値から、積層フィルムを所定の条件で延伸したことを判別することができる。ここで、面内方向のレタデーション(Re)を求める際の屈折率とは、後述する式(1)においてnaおよびnbで表される値であり、屈折率が大きい方が、主たる延伸方向となっている。
面内方向のレタデーション(Re)は、下記式(1)で表される。
Re=(na−nb)×d・・・(1)
上記式(1)において、naは延伸ポリエステルフィルムの面内遅相軸方向の屈折率であり、nbは延伸ポリエステルフィルムの面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率であり、dは延伸ポリエステルフィルムの厚みである。
厚み方向のレタデーション(Rth)は、下記式(2)で表される。
Rth={(na+nb)/2−nc}×d (2)
上記式(2)において、naは延伸ポリエステルフィルムの面内遅相軸方向の屈折率であり、nbは延伸ポリエステルフィルムの面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率であり、ncは延伸ポリエステルフィルムの厚み方向の屈折率であり、dは延伸ポリエステルフィルムの厚みである。
2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)1,3,5−トリアジン−2−イル]トリアジン−2(オクチロキシ)フェノール、2−[4,6−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[2−(2−エチルヘキサノイロキシ)エトキシ]フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ] −フェノール、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等を用いることができる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に易接着層を有し、易接着層は、ポリエステル系樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂、およびイソシアネート系架橋剤を含む。易接着層がポリエステル系樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂、およびイソシアネート系架橋剤を含むことで、密着性を向上させることができる。
易接着層に用いられるポリエステル系樹脂の主な構成成分は、特に制限はないが、例えば、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物であることが好ましい。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸および、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ソジウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、4−ソジウムスルホイソフタル酸、4−カリウムスルホイソフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。
また、ポリエステル系樹脂の数平均分子量(Mn)は、密着性の観点から、易接着層の凝集力を高める必要があり、10000以上が好ましい。好ましくは、15000以上であり、さらに好ましくは20000以上が良い。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、30℃〜90℃が好ましく、40℃〜70℃がさらに好ましい。
易接着層に用いられるカルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂は、カルボン酸変性されたポリビニルアルコール部位を有するものである。
易接着層に用いられるカルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂の原料となる酸成分には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸、あるいはそのモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸等、側鎖にカルボキシル基を含むものであればいずれも使用可能であるが、酸により架橋を形成しやすいジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸が好ましく、マレイン酸、イタコン酸がより好ましい。
けん化度は、特に限定されるものではないが、50〜95モル%であることが好ましく、60〜90モル%であることがより好ましく、70〜90モル%であることがさらに好ましい。
また、重合度は、特に限定されるものではないが、300以上2000以下が好ましく、400以上2000以下がより好ましく、500以上2000以下がさらに好ましい。重合度が高いものほど、易接着層の凝集力を高めることができ、密着力を向上させることができるが、塗布液としての粘度が上昇してしまう。塗布液粘度の観点から、重合度の上限は2000以下であることが好ましい。また、重合度の異なるものをブレンドすることで、易接着層の凝集力を高めながら、塗布液の粘度を調整することもできる。
易接着層は、イソシアネート化合物を含むイソシアネート系架橋剤を含む。イソシアネート系架橋剤を使用することにより、強固な密着力が確保可能となる。イソシアネート系架橋剤は、インラインコーティングへの適用等を配慮した場合、水溶性または水分散性を有することが好ましい。
また、本発明におけるイソシアネート系化合物は単体で用いても良いし、複数種を用いても良い。さらには、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート系化合物の分散性や架橋性を向上させるという意味において、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
また、イソシアネート系架橋剤の他に、例えば、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等からなる架橋剤を混合して用いてもよい。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、易接着層には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等が含有されてもよい。また、本発明で用いられる易接着層用塗布組成物には、必要に応じて触媒、界面活性剤、分散剤、増粘剤、成膜助剤、アンチブロッキング剤などを含んでもよい。例えば、触媒としては有機スズ系化合物(例えば第一工業製薬製、エラストロンCat・21)、界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、スルホコハク酸系界面活性剤、ポリエチレンオキサイド系界面活性剤(例えば三洋化成工業製、ナロアクティCL−95)などが挙げられる。なお、易接着層中の各種成分の分析は、例えば、TOF−SIMS等の表面分析によって行うことができる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、未延伸のポリエステルフィルムまたは縦方向あるいは横方向の延伸倍率が1.4倍以下となるように延伸されたポリエステルフィルムの両面に易接着層を積層し、積層フィルムを得る工程と、積層フィルムを縦方向あるいは横方向に延伸倍率が3.0倍以上となるように延伸する工程を含む。また、光学用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムの融解サブピーク温度(Tsm)は好ましくは130〜200℃であり、易接着層は、ポリエステル系樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂、およびイソシアネート系架橋剤を含む。
易接着層は、インラインコーティング方によって設けられることが好ましい。この場合、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50質量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて、ポリエステルフィルムを製造することが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明は、上述したような光学用ポリエステルフィルムと偏光子とを含む偏光板に関する。偏光板には、さらにハードコート層や保護フィルムが含まれることが好ましい。図3には、本発明の偏光板の態様の一例を示す断面図が示されている。図3に示されているように、偏光板は、ポリエステルフィルム10と易接着層12および14を有する光学用ポリエステルフィルムと、偏光子20と、保護フィルム30と、ハードコート層40を有することが好ましい。ここでは、易接着層12は、偏光子側の易接着層であり、易接着層14はハードコート層側の易接着層である。易接着層12と易接着層14とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
具体的には、本発明においては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステル多官能アクリレートオリゴマー(3〜15官能)、ウレタン多官能アクリレートオリゴマー(3〜15官能)等を適宜組み合わせて用いることが好ましい。
ハードコート層用組成物にける光重合開始剤の含有量は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。1質量部未満であると、ハードコート層の硬度を上述した範囲とすることができないことがあり、10質量部を超えると、塗設した膜の深部まで電離放射線が届かなくなり内部硬化が促進されず、目標であるハードコート層の表面の鉛筆硬度3H以上が得られないおそれがあるためである。
ハードコート層には、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層を兼ねることもできる。
ハードコート層の硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。またはドコート層の耐擦傷性は、JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後のハードコート層を塗設した試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板を含むことを特徴とする。画像表示装置としては、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELDまたはIELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、電子ペーパー等を挙げることができる。これらの画像表示装置は、画像表示パネルの表示画面側に本発明の偏光板を備えることが好ましい。
液晶表示装置は、本発明の偏光板と、液晶表示素子とを備えるものであることが好ましい。ここで、液晶表示素子は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行う液晶パネルが代表的であるが、その他、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイ等、公知の各種ディスプレイに対しても、本発明の偏光板を適用することができる。液晶表示装置においては、本発明の偏光板は、そのハードコート層側を外側にして液晶表示素子よりも視認側に配置されることが好ましい。ポリエステルフィルムは、液晶表示素子の表面に直接貼合してもよいし、液晶パネルを液晶表示素子とする場合は、例えば先述のように、偏光子を介して液晶パネルの表面に貼合することもできる。また、本発明の偏光板は、ハードコート層側の易接着層を外側にして、液晶表示素子よりもバックライト側に配置されることも好ましい。この場合、ハードコート層側の易接着層上にハードコート層を形成しても良いが、易接着層が最表面として使用される形態でもよい。このように、ポリエステルフィルムを有する本発明の偏光板を液晶表示素子に適用した場合には、ポリエステルフィルムとハードコート層との湿熱経時後の密着耐久性に優れるうえ、従来の保護フィルムを用いた場合よりも、高温多湿環境下で使用した際の偏光機能や色相等の低下を防止することができる。また、液晶表示素子の強度が補強され、液晶表示素子の反りを防止することもできる。液晶表示装置の一例を図4に示す。図4において、液晶セル42の視認側には、保護フィルム30、偏光子20、易接着層12、ポリエステルフィルム10、易接着層14及びハードコート層40がこの順に配置されている。また、液晶セル42のバックライト側には、保護フィルム30、偏光子20、易接着層12、ポリエステルフィルム10、易接着層14がこの順に配置されている。図4に示す液晶表示装置は上記に加えて、反射型偏光子44、プリズムシート46、拡散シート48、導光板50、反射シート52及び光源54から構成されている。図4に示すように、本発明の偏光板は、液晶セルの視認側およびバックライト側の両方で使用することができる。バックライト側に反射型偏光子が使用された場合、偏光子と光学フィルムの軸ズレにより偏光面が回転すると、輝度低下が発生することがある。図4の構成を採用することにより、上記したような輝度低下を防ぐことができる。
<原料ポリエステルの合成>
(原料ポリエステル1)
以下に示すように、テレフタル酸及びエチレングリコールを直接反応させて水を留去し、エステル化した後、減圧下で重縮合を行う直接エステル化法を用いて、連続重合装置により原料ポリエステル1(Sb触媒系PET)を得た。
第一エステル化反応槽に、高純度テレフタル酸4700kgとエチレングリコール1800kgを90分かけて混合してスラリー形成させ、3800kg/時間の流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。更に三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を連続的に供給し、反応槽内温度250℃、攪拌下、平均滞留時間約4.3時間で反応を行なった。このとき、三酸化アンチモンはSb添加量が元素換算値で150ppmとなるように連続的に添加した。
上記で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給し、攪拌下、反応温度270℃、反応槽内圧力20torr(2.67×10−3MPa)で、平均滞留時間約1.8時間で重縮合させた。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量であり(本測定では1g/100mlとする)、Kはハギンス定数(0.343とする)であり、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定することができる。
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン)10質量部、PET1(IV=0.65)90質量部を混合し、混練押出機を用い、PET1の作製と同様にしてペレット化して、紫外線吸収剤を含有する原料ポリエステル2を得た(以降、PET2と略す)。
−フィルム成形工程−
原料ポリエステル1(PET1)90質量部と、紫外線吸収剤を含有した原料ポリエステル2(PET2)10質量部を、含水率20ppm以下に乾燥させた後、直径50mmの1軸混練押出機1のホッパー1に投入し、押出機1で300℃に溶融した(中間層II層)。
またPET1を、含水率20ppm以下に乾燥させた後、直径30mmの1軸混練押出機2のホッパー2に投入し、押出機2で300℃に溶融した(外層I層、外層III層)。
これらの2種のポリマー溶融物をそれぞれギアポンプ、濾過器(孔径20μm)に介した後、2種3層合流ブロックにて、押出機1から押出されたポリマーが中間層(II層)に、押出機2から押出されたポリマーが外層(I層及びIII層)になるように積層し、幅120mmのダイよりシート状に押し出した。
溶融樹脂の押出条件は、圧力変動を1%、溶融樹脂の温度分布を2%として、溶融樹脂をダイから押出した。具体的には、背圧を、押出機のバレル内平均圧力に対して1%加圧し、押出機の配管温度を、押出機のバレル内平均温度に対して2%高い温度で加熱した。
ダイから押出した溶融樹脂を、温度25℃に設定された冷却キャストドラム上に押出し、静電印加法を用い冷却キャストドラムに密着させた。冷却キャストドラムに対向配置された剥ぎ取りロールを用いて剥離し、未延伸ポリエステルフィルム1を得た。このとき、I層、II層、III層の厚さの比は10:80:10となるように各押出機の吐出量を調整した。
未延伸ポリエステルフィルム1を、加熱されたロール群および赤外線ヒーターを用いて、95℃に加熱し、その後周速差のあるロール群でフィルム走行方向に3.1倍延伸して、一軸延伸ポリエステルフィルム2を得た。
(1)ハードコート層側易接着層の形成
下記化合物を下記の比率で混合し、ハードコート層側易接着層用の塗布液H1を作製した。
水 56.6質量部
アクリル樹脂(A1、固形分28質量%) 21.4質量部
カルボジイミド化合物(C1、固形分40質量%) 2.9質量部
界面活性剤(E1、固形分1質量%水溶液) 8.1質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 9.6質量部
粒子(F1、固形分40質量%) 0.4質量部
滑剤(G、固形分30質量%) 1.0質量部
・アクリル樹脂(A1)
アクリル樹脂(A1)としては、下記組成のモノマーで重合したアクリル樹脂の水分散体(固形分28質量%)を用いた。
メチルメタアクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタアクリレート/アクリル酸=59/9/26/5/1(質量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)、Tg=45℃
・カルボジイミド化合物:(C1)(日清紡製、カルボジライトV−02−L2)
・界面活性剤(E2):ポリエチレンオキサイド系界面活性剤(三洋化成工業製、ナロアクティCL−95)
・粒子(F1):平均粒径50nmのシリカゾル
・滑剤(G):カルナバワックス
下記化合物を下記の比率で混合し、偏光子側易接着層用の塗布液P1を作製した。
(偏光子側易接着層用の塗布液P1)
水 47.2質量部
ポリエステル水分散体(A2、固形分30質量%) 17.0質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B1、固形分10質量%) 25.5質量部
イソシアネート系化合物(C2、固形分70質量%) 0.5質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
・ポリエステル樹脂(A2)
ポリエステル樹脂(A2)としては、下記組成のモノマーで共重合したポリエステル樹脂のスルホン酸系水分散体を用いた。
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=44/46/10//84/16(mol%)、Tg=61℃、酸価=2KOHmg/g、Mn=20000
・ポリビニルアルコール水溶液(B1)
ポリビニルアルコール水溶液(B1)は下記の手順で作製した。水90質量部を入れ、攪拌しながらケン化度が77%で重合度600のカルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(クラレ製)10質量部を徐々に添加した。添加後、液を攪拌しながら、95℃まで加熱し、樹脂を溶解させた。溶解後、攪拌しながら室温まで冷却して、固形分10質量%のポリビニルアルコール水溶液(B1)を作製した。
イソシアネート系化合物(C2)は下記の手順で作製した。攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート):1000質量部、3価アルコールであるトリメチロールプロパン(分子量134)22質量部を仕込み、攪拌下反応器内温度を90℃1時間保持しウレタン化を行った。その後反応液温度を60℃に保持し、イソシアヌレート化触媒トリメチルベンジルアンモニウム・ハイドロオキサイドを加え、転化率が48%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去した。
得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は25,000mPa・s、イソシアネート基含有量は19.9質量%、数平均分子量は1080、イソシアネート基平均数は5.1であった。その後、NMR測定により、ウレタン結合、アロファネート結合、イソシアヌレート結合の存在を確認した。
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、上記で得られたポリイソシアネート100質量部、数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコール42.3質量部、ジプロピレングリコールジメチルエーテル76.6質量部を仕込み、80℃で6時間保持した。その後反応温度を60℃に冷却し、マロン酸ジエチル72質量部、ナトリウムメチラートの28%メタノール溶液0.88質量部を添加し、4時間保持した後、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート0.86質量部を添加した。
引き続き、ジイソプロピルアミン43.3質量部を添加し、反応液温度70℃で5時間保持した。この反応液をガスクロマトグラフで分析し、ジイソプロピルアミンの反応率が70%であることを確認し、固形分濃度70質量%のイソシアネート系化合物(B2)を得た。(有効NCO基質量5.3%)
・粒子(F2):平均粒径80nmのシリカゾル
一軸延伸ポリエステルフィルム2の両側に、500J/m2の処理量でコロナ放電処理を実施した。その後、リバースロール法にて、片側に上記ハードコート層側易接着層用の塗布液H1を、もう一方の面に偏光子側易接着層用の塗布液P1を乾燥後の塗布量がどちらの面も0.12g/m2になるように調整しながら、塗布した。
(予熱部)
この易接着層を形成した一軸延伸ポリエステルフィルム2を、テンター(横延伸機)に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、予熱温度を120℃とし、延伸可能な温度まで加熱した。
引き続き、下記の方法、条件にてTD方向(フィルム幅方向、横方向)に横延伸し、5m幅のフィルムを得た。
《条件》
・横延伸温度:130℃
・横延伸倍率:4.0倍
・延伸速度 :900%/分
次いで、ポリエステルフィルムの膜面温度を下記範囲に制御しながら、熱固定処理を行った。
《条件》
・熱固定温度:160℃
・熱固定時間:20秒
熱固定後のポリエステルフィルムを下記の温度に加熱し、フィルムを緩和した。
《条件》
・熱緩和温度:160℃
・熱緩和率:TD方向(フィルム幅方向、横方向)1.5%
次に、熱緩和後のポリエステルフィルムを50℃の冷却温度にて冷却した。
冷却後の、偏光子側易接着層上に、15000J/m2の処理量でコロナ放電処理を実施した。その後、ポリエステルフィルムを1.5m幅に幅方向に3分割し、クリップで把持したチャック部をトリミングした。その後、分割した各ロールの両端に幅10mm、高さ10μmで押出し加工(ナーリング)を行なった後、張力18kg/mで2000m巻き取った。上記の通り3分割したサンプルを一方の端部側からそれぞれ端部A、中央部B、端部Cとした。
以上のようにして、厚さ100μm、幅1.5mの帯状(長尺状)の光学用ポリエステルフィルムA(端部)、B(中央部)、C(端部)を製造し、光学用ポリエステルフィルムとして用いた。
実施例2及び3の光学用ポリエステルフィルムは、熱固定温度を、下記表の値となるように制御した以外は、実施例1と同様に作製した。
実施例4において、偏光子側易接着層用の塗布液P1を下記液P2に変更した以外は、実施例4と同様に光学用ポリエステルフィルムを作製した。なお、偏光子側易接着層用の塗布液P2は、下記化合物を下記の比率で混合し作製した。
(偏光子側易接着層用の塗布液P2)
水 48.67質量部
ポリエステル水分散体(A2、固形分30質量%) 17.0質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B1、固形分10質量%) 21.8質量部
イソシアネート系化合物(C3、固形分27質量%) 2.7質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
炭酸水素ナトリウム 0.01質量部
炭酸ナトリウム1水和物 0.02質量部
イソシアネート化合物(C3)は下記の手順で作製した。ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とマレイン酸とのポリエステル200質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネート34質量部を添加し、反応を行い、30質量%の重亜硫酸ナトリウム水溶液を73質量部添加し攪拌を行った後、水で希釈し、固形分27質量%のブロックイソシアネート化合物(C3)を得た。
実施例4において、偏光子側易接着層用の塗布液P1を下記液P3に変更した以外は、実施例4と同様に光学用ポリエステルフィルムを作製した。なお、偏光子側易接着層用の塗布液P3は、下記化合物を下記の比率で混合し作製した。
水 50.2質量部
ポリエステル水分散体(A2、固形分30質量%) 14.5質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B1、固形分10質量%) 21.8質量部
イソシアネート系化合物(C2、固形分70質量%) 1.0質量部
イソシアネート系化合物(C3、固形分27質量%) 2.7質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
炭酸水素ナトリウム 0.01質量部
炭酸ナトリウム1水和物 0.02質量部
実施例4において、偏光子側易接着層用の塗布液P1を下記液P4に変更した以外は、実施例4と同様に光学用ポリエステルフィルムを作製した。なお、偏光子側易接着層用の塗布液P4は、下記化合物を下記の比率で混合し作製した。
(偏光子側易接着層用の塗布液P4)
水 47.2質量部
ポリエステル水分散体(A2、固形分30質量%) 17.0質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B1、固形分10質量%) 20.4質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B2、固形文10質量%) 5.1質量部
イソシアネート系化合物(C2、固形分70質量%) 0.5質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B2)は下記の手順で作製した。水90質量部を入れ、攪拌しながらケン化度が87%で重合度1800のカルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(クラレ製)10質量部を徐々に添加した。添加後、液を攪拌しながら、95℃まで加熱し、樹脂を溶解させた。溶解後、攪拌しながら室温まで冷却して、固形分10質量%のポリビニルアルコール水溶液(B2)を作製した。
実施例4において、偏光子側易接着層用の塗布液P1を下記液P5に変更した以外は、実施例4と同様に光学用ポリエステルフィルムを作製した。なお、偏光子側易接着層用の塗布液P5は、下記化合物を下記の比率で混合し作製した。
水 47.2質量部
ポリエステル水分散体(A3、固形分30質量%) 17.0質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B1、固形分10質量%) 25.5質量部
イソシアネート系化合物(C2、固形分70質量%) 0.5質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
ポリエステル樹脂(A3)としては、下記組成のモノマーで共重合したポリエステル樹脂のスルホン酸系水分散体を用いた。
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=44/52/4//50/50(mol%)、Tg=67℃、酸価=2KOHmg/g、Mn=15000
実施例4において、偏光子側易接着層用の塗布液P1を下記液P6に変更した以外は、実施例4と同様に光学用ポリエステルフィルムを作製した。なお、偏光子側易接着層用の塗布液P6は、下記化合物を下記の比率で混合し作製した。
水 47.2質量部
ポリエステル水分散体(A4、固形分30質量%) 17.0質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B1、固形分10質量%) 25.5質量部
イソシアネート系化合物(C2、固形分70質量%) 0.5質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
ポリエステル樹脂(A4)としては、下記組成のモノマーで共重合したポリエステル樹脂のスルホン酸系水分散体を用いた。
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=44/52/4//70/30(mol%)、Tg=70℃、酸価=2KOHmg/g、Mn=10000
実施例4において、ハードコート層側易接着層用の塗布液H1をP1に変更した以外は、実施例4と同様に、光学用ポリエステルフィルムを作製した。
実施例15の光学用ポリエステルフィルムは、熱固定温度を、表1の値となるように制御した以外は、実施例1と同様に作製した。
比較例1の光学用ポリエステルフィルムは、偏光子側易接着層用の塗布液P1を下記液P7に変更した以外は、実施例4と同様に光学用ポリエステルフィルムを作製した。なお、偏光子側易接着層用の塗布液P7は、下記化合物を下記の比率で混合し作製した。
水 47.2質量部
ポリエステル水分散体(A3、固形分30質量%) 17.0質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B3、固形分10質量%) 25.5質量部
イソシアネート系化合物(C2、固形分70質量%) 0.5質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B3)は下記の手順で作製した。水90質量部を入れ、攪拌しながらケン化度が73%で重合度500のポリビニルアルコール樹脂(クラレ製)10質量部を徐々に添加した。添加後、液を攪拌しながら、95℃まで加熱し、樹脂を溶解させた。溶解後、攪拌しながら室温まで冷却して、固形分10質量%のポリビニルアルコール水溶液(B3)を作製した。
比較例2の光学用ポリエステルフィルムは、偏光子側易接着層用の塗布液P1を下記液P8に変更した以外は、実施例4と同様に光学用ポリエステルフィルムを作製した。なお、偏光子側易接着層用の塗布液P8は、下記化合物を下記の比率で混合し作製した。
水 46.3質量部
ポリエステル水分散体(A3、固形分30質量%) 17.0質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B1、固形分10質量%) 25.5質量部
オキサゾリン系化合物 (C3、固形分25質量%) 1.4質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
・オキサゾリン系化合物:(C3)(日本触媒製、エポクロスWS−700)
比較例3の光学用ポリエステルフィルムは、偏光子側易接着層用の塗布液P1を下記液P9に変更した以外は、実施例4と同様に光学用ポリエステルフィルムを作製した。なお、偏光子側易接着層用の塗布液P9は、下記化合物を下記の比率で混合し作製した。
(偏光子側易接着層用の塗布液P9)
水 12.7質量部
ポリエステル水分散体(A3、固形分30質量%) 17.0質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B1、固形分10質量%) 25.5質量部
エポキシ系化合物 (C4、固形分1質量%水溶液) 35.0質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
・エポキシ系化合物:(C4)(ナガセケムテックス製、デナコールEX−614B)
比較例4の光学用ポリエステルフィルムは、偏光子側易接着層用の塗布液P1を下記液P10に変更した以外は、実施例4と同様に光学用ポリエステルフィルムを作製した。なお、偏光子側易接着層用の塗布液P10は、下記化合物を下記の比率で混合し作製した。
(偏光子側易接着層用の塗布液P10)
水 46.0質量部
アクリル樹脂(A1、固形分28質量%) 18.2質量部
ポリビニルアルコール水溶液(B1、固形分10質量%) 25.5質量部
イソシアネート系化合物(C2、固形分70質量%) 0.5質量部
粒子(F2、固形分濃度40質量%) 1.8質量部
触媒(有機スズ系化合物 固形分10質量%) 0.6質量部
界面活性剤(E2、固形分1質量%水溶液) 7.4質量部
実施例及び比較例で得られた光学用ポリエステルフィルムのハードコート層側易接着層用の塗布液H1を塗布した面に、下記組成の混合塗液(アクリル−1)を乾燥膜厚が5μmになるように塗布・乾燥し、紫外線を照射して硬化させハードコート層を形成した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 85質量部
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート 15質量部
光重合開始剤(チバスペシャルティケミカル製イルガキュア184) 5質量部
メチルエチルケトン 200質量部
偏光板保護フィルムとして市販のセルロースアセテートフィルム(ZRD40、富士フイルム(株)製)を用意し、1.5mol/L(1.5N)の水酸化ナトリウム水溶液に連続的に通し、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/L(1N)の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアセテートフィルムの表面をケン化した。
ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を接着剤として、帯状(長尺状)の光学用ポリエステルフィルムの偏光子側易接着層用の塗布液が塗布された面を偏光子側とし偏光子に貼り合わせ、さらに上記のケン化したセルロースアセテートフィルムをポリエステルフィルムとは反対側に偏光子を間にしてロールツーロールで貼り合わせた。このようにして、偏光子の両面を各フィルムによって保護した帯状(長尺)の偏光板を得た。
上述したようにして得られた光学用ポリエステルフィルム及び偏光板について、下記の評価を行った。
各実施例および比較例の光学用ポリエステルフィルムに用いた光学用ポリエステルフィルムの特性評価と、各実施例、参考例および比較例の偏光板および液晶表示装置の評価を以下の方法で行った。得られた結果を下記表に記載した。
セイコ−電子工業(株)製 DSC220を用い、1.5m巾のポリエステルフィルムB(中央部)において、巾方向に均等に5箇所サンプリングし、各々試料量10mgにて、昇温速度20℃/分でDSC曲線を描かせ、融解による明瞭な吸熱ピークより低温側の吸熱ピークを融解サブピーク温度(Tsm)とし、その平均値を求めた。
面内方向のレタデーションとは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|Nx−Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。1.5m巾のポリエステルフィルムB(中央部)において、二枚の偏光板を用いて、フィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向が直交するように4cm×2cmの長方形を、巾方向に均等に5箇所切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(Nx,Ny)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって各々測定し、その平均値を求めた。得られた屈折率値より、二軸の屈折率差の絶対値(|Nx−Ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて各々測定し、その平均値の単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、レタデーション(Re)を求めた。
得られたRe、Rthの値から、Re/Rthの値を求めた。
<<ポリエステルフィルムの面内配向角の測定>>
ポリエステルフィルムの面内配向角は、位相差測定装置(KOBRA 21ADH、またはWR、王子計測機器(株))を用い、ポリエステルフィルム面内の屈折率の最大方向として求めた。具体的には、各実施例および比較例で製造したポリエステルフィルムA(端部)、ポリエステルB(中央部)、ポリエステルフィルムC(端部)それぞれにおいて、巾方向に均等に5箇所サンプリングし、フィルム横方向からのズレ角が大きい3箇所の配向角の平均値を、フィルムの面内配向角とした。
A:80°以上
B:70°以上80°未満
C:60°以上70°未満
D:60°未満
各実施例および比較例の光学用ポリエステルフィルムを貼り合せた偏光板を、幅2.5cm×長さ15cmのサンプルに切り出した。その際、サンプルの向きは、15cm長さの方向をロール進行方向とした。切り出したサンプルのハードコート層面側を、粘着剤を介してガラス板上に貼り合わせた。その後、偏光子と光学用ポリエステルフィルム界面に切り込みを入れ、偏光子とZRD40フィルムを引き起こし、テンシロン(RTG−1310、エーアンドデイ株製)を使用し、剥離速度300mm/分で、90°方向に剥離を行った。その際の層間剥離力を測定し、以下の基準で評価した。なお、上記A〜Cは製品上問題のないレベルである。
A:剥離力 20N以上
B:剥離力 10N以上20N未満
C:剥離力 3N以上10N未満
D:剥離力 1N以上3N未満
E:剥離力 1N未満
42型液晶TV(LGD製42LE5500、反射型偏光子がBLUに使用されている)のバックライト面側の偏光板のみを剥し、作製した各実施例および比較例の偏光板をZRD40が液晶セル側になるようにして貼りつけた。
作製したLCDパネルを白表示させ、色彩輝度計(BM−7,トプコンテクノハウス製)を用いて、正面輝度を測定した。
光学用ポリエステルフィルムB(中央部)を使用した時の正面輝度を100%とした時の、光学用ポリエステルフィルムA(端部)を使用した時の正面輝度を、下記基準で評価した。なお、上記A〜Cは製品上問題のないレベルである。
A:正面輝度 100%〜98%以上
B:正面輝度 98%未満〜95%以上
C:正面輝度 95%未満〜85%以上
D:正面輝度 85%未満〜75%以上
E:正面輝度 75%未満
各実施例および比較例の偏光板を55インチのサイズにトムソン刃で裁断し、23℃、相対湿度50%環境下で2時間放置した。
その後、ハードコート層面を片刃カミソリにて10×10のクロスカットをして、その上に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)、エルパック(登録商標)LP−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後の剥離面を観察した。その結果を下記A〜Eの5段階で以下のように評価した。なお、上記A〜Cは製品上問題のないレベルである。
A:剥がれなしの場合
B:剥離した升目の数が1以上5未満の場合
C:剥離した升目の数が5以上15未満の場合
D:剥離した升目の数が15以上30未満の場合
E:剥離した升目の数が30以上の場合
IPSモード液晶セル(LGD製 42LS5600)の上下の偏光板を剥し、作製した各実施例および比較例の偏光板をZRD40が液晶セル側になるようにして貼りつけた。上側偏光板(視認側)の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板(バックライト側)の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製したLCDパネルを白表示させ、目視および偏光サングラス越しの観察を行った。その結果を、以下の基準にて評価した。実用上、A〜C評価であることが必要であり、A評価であることが好ましい。
A :目視、および偏光サングラス越しの双方で虹状の色ムラが見えない
B :目視では虹ムラは見えないが、偏光サングラス越しで若干虹状の色ムラが見える。
C :目視では虹ムラは見えないが、偏光サングラス越しで虹状の色ムラが見える。
D :目視、偏光子越しの双方で虹状の色ムラが見える。
12 易接着層
14 易接着層
20 偏光子
30 保護フィルム
40 ハードコート層
42 液晶セル
44 反射型偏光子
46 プリズムシート
48 拡散シート
50 導光板
52 反射シート
54 光源
Claims (14)
- ポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に易接着層とを有し、前記易接着層は、ポリエステル系樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂およびイソシアネート系架橋剤を含む、光学用ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムの融解サブピーク温度が130〜200℃である、請求項1に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 前記イソシアネート系架橋剤が、少なくともマロン酸エステル誘導体によりブロックされたブロックイソシアネート化合物である、請求項1または2に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステル系樹脂の数平均分子量が、15000以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムの面内方向のレタデーションReが4000〜30000nmであり、厚み方向のレタデーションRthと面内方向のレタデーションReの比であるRe/Rthが0.6〜1.2である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 未延伸のポリエステルフィルム、または縦方向あるいは横方向の延伸倍率が1.4倍以下となるように延伸されたポリエステルフィルムに易接着層を積層した積層フィルムを、縦方向あるいは横方向の延伸倍率が3.0倍以上となるように延伸することにより製造される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 未延伸のポリエステルフィルムに易接着層を積層した積層フィルムを、縦方向あるいは横方向の延伸倍率が3.0倍以上となるように延伸することにより製造される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 前記積層フィルムの横方向の延伸倍率と縦方向の延伸倍率との比率である、横方向の延伸倍率/縦方向の延伸倍率が、1.5以上であるか、又は前記積層フィルムの縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率との比率である、縦方向の延伸倍率/横方向の延伸倍率が、1.5以上である、請求項6または7に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 偏光子保護用フィルムである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルムの製造方法であって、未延伸のポリエステルフィルム、または縦方向あるいは横方向の延伸倍率が1.4倍以下となるように延伸されたポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に易接着層を積層して積層フィルムを得る工程と、前記積層フィルムを縦方向あるいは横方向の延伸倍率が3.0倍以上となるように延伸する工程を含む、光学用ポリエステルフィルムの製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルムと偏光子とを少なくとも有する偏光板。
- さらに保護フィルムとハードコート層とを含む請求項11に記載の偏光板。
- 請求項11または12に記載の偏光板を有する画像表示装置。
- ポリエステル系樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂、およびイソシアネート系架橋剤を少なくとも含む易接着層用組成物。
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