JP2015141165A - 弾性表面波センサおよび測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性表面波が反射部で反射される際に発生するバルク波の影響を抑制し、測定精度を改善する。【解決手段】本発明による弾性表面波センサは、圧電基板上に形成され、入力信号により励振されて前記圧電基板上に第1弾性表面波を発生させる第1電極部と、前記第1弾性表面波を反射させる第1反射部と、前記第1電極部と前記第1反射部との間の前記第1弾性表面波の伝搬経路上に形成され、被測定物が配置される第1反応場と、前記圧電基板上に形成され、前記入力信号により励振されて前記圧電基板上に第2弾性表面波を発生させる第2電極部と、前記第2弾性表面波を反射させる第2反射部と、前記第2電極部と前記第2反射部との間の前記第2弾性表面波の伝搬経路上に形成され、前記第2弾性表面波の位相を反転させる位相反転部と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、弾性表面波センサおよび測定装置に関し、更に詳しくは、圧電基板上に形成され弾性表面波を励振させる櫛形電極と、前記櫛形電極と前記弾性表面波の伝搬方向における前記圧電基板の端部との間に被測定物が配置される反応場とが形成される弾性表面波素子を備えた弾性表面波センサおよび測定装置に関する。
一般に、弾性表面波素子は、圧電基板と、前記圧電基板上に設けられた櫛歯状電極指からなる送信電極及び受信電極とを備えている。このように構成される弾性表面波素子では、送信電極に電気信号が供給されると、電極指間に電界が発生し、圧電効果により弾性表面波が励振され、その弾性表面波が圧電基板上を伝搬して受信電極を励振させ、電気信号に変換される。この弾性表面波のうち、圧電基板の表面に平行に偏波するすべり弾性表面波(SH-SAW:Shear horizontal Surface Acoustic Wave)を利用し、各種物質の検出や物性値等の測定を行うための弾性表面波センサが研究されている(特許文献1)。
弾性表面波センサでは、圧電基板上に負荷された被測定物の領域が電気的に開放されている場合と短絡されている場合とで、受信電極で得られる信号の特性に差異があることを利用し、被測定物の物理的特性として誘電率、導電率を求めることができる。また、圧電基板上の送信電極と受信電極との間の伝搬路上に凹凸構造を形成し、その凹部に被測定物を負荷すると、負荷された被測定物は擬似的に膜を形成する。この膜が圧電基板とともに励振し、膜の質量に基づいて共振周波数が変化する質量負荷効果を利用して、被測定物の密度を求めることができる(特許文献2)。
弾性表面波センサの一形態として特許文献4には、圧電性基板上に配置した送信電極と受信電極との間に、検体である液体が導入される検出領域を備えたバイオセンサが開示されている。一般にバイオセンサでは、滴下された液体試料によって検査領域の弾性表面波の伝搬速度または振幅の変化が生じ、該変化量を測定することで液体試料に含まれている検体の物性を検出する。
特許文献1、2の弾性表面波センサは、送信電極及び受信電極が圧電基板上に形成されているが、弾性表面波の反射を利用した1つの送受信電極からなる弾性表面波センサが知られている(特許文献3)。この弾性表面波センサでは、送受信電極で励振された弾性波は、被測定物が負荷された反応場を伝搬した後、圧電基板の端部で反射され、再び送受信電極に入力される。この信号に基づき、被測定物の物理的特性を測定することができる。この場合、弾性表面波素子を1つの送受信電極で構成することにより、弾性表面波素子を小型に構成することができる。
なお、特許文献3の弾性表面波センサでは、送受信電極で励振された弾性波を圧電基板の端部で反射させているが、圧電基板の端部に代えて、グレーティング等を用いた反射器により弾性波を反射させる構成を用いることもできる。
特許第3481298号公報 特許第3248683号公報 特開2009−300302号公報 特開2008−286606号公報
ところで、弾性波には、圧電基板の表面に沿って伝搬する弾性表面波と、圧電基板の内部を伝搬するバルク波とが含まれている。特許文献3に開示された構成からなる弾性表面波センサの場合、送受信電極で励振された弾性表面波が圧電基板の端部等の反射部で反射される際にバルク波が発生する。これら弾性表面波の反射波及びバルク波を含めた弾性波が共に送受信電極に入力される。従って、送受信電極で得られた信号には、弾性表面波に基づく信号と、バルク波に基づく信号とが混在しているため、被測定物の物理的特性を高精度に求めることができない場合がある。
従って、本発明の課題の一つは、弾性表面波が反射部で反射される際に発生するバルク波の影響を抑制し、測定精度を改善することができる弾性表面波センサおよび測定装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明にかかる弾性表面波センサは、圧電基板上に形成され、入力信号により励振されて前記圧電基板上に第1弾性表面波を発生させ、前記第1弾性表面波に基づく反射波を受信する第1電極部と、前記第1弾性表面波の伝搬方向における前記圧電基板上に形成され、前記第1弾性表面波を反射させる第1反射部と、前記第1電極部と前記第1反射部との間の前記第1弾性表面波の伝搬経路上に形成され、被測定物が配置される第1反応場と、前記圧電基板上に形成され、前記入力信号により励振されて前記圧電基板上に第2弾性表面波を発生させ、前記第2弾性表面波に基づく反射波を受信する第2電極部と、前記第2弾性表面波の伝搬方向における前記圧電基板上に形成され、前記第2弾性表面波を反射させる第2反射部と、前記第2電極部と前記第2反射部との間の前記第2弾性表面波の伝搬経路上に形成され、前記第2弾性表面波の位相を反転させる位相反転部とを備え、例えば、前記位相反転部は、前記第1弾性表面波に対して前記第2弾性表面波の音速を相対的に変化させることにより、前記第2弾性表面波の位相を反転させることを特徴とする。この構成によれば、第1弾性表面波に対し第2弾性表面波の進行速度が変化される。これにより、第1弾性表面波に対し第2弾性表面波の位相を180°だけ遅延させて、その位相を反転させることができる。
この構成によれば、第1電極部により発生された第1弾性表面波は、第1反射部により反射されて第1電極部により受信される。このとき、第1反射部により第1弾性表面波の反射波と共にバルク波が発生されて第1電極部により受信される。一方、第2電極部により発生された第2弾性表面波は、第2反射部により反射されて第2電極部により受信される。このとき、第2弾性表面波は位相反転部により前記第1弾性表面波に対して前記第2弾性表面波の音速が相対的に変化させられることにより、位相反転されて第1弾性表面波に対し逆相となる。上記位相反転された第2弾性表面波は、第2反射部により反射される。このとき、第2反射部により、上記位相反転された第2弾性表面波の反射波と共にバルク波が発生される。このうち、上記位相反転された第2弾性表面波の反射波は、位相反転部により位相反転されて第2電極部により受信される。これにより、第2反射部から第2電極部により受信される第2弾性表面波の反射波の位相は、第1反射部から第1電極部により受信される第1弾性表面波の反射波と同相になる。これに対し、第2反射部から第2電極部により受信されるバルク波の位相は、位相反転部により反転されず、第1反射部から第1電極部により受信されるバルク波の位相に対して逆相になる。このため、第1反射部から第1電極部により受信されるバルク波と、第2反射部から第2電極部により受信されるバルク波とを合成すれば、第1反射部および第2反射部によりそれぞれ発生されるバルク波が相殺される。これにより、反射部から発生するバルク波を抑制することが可能になる。
前記弾性表面波センサにおいて、例えば、前記位相反転部は、前記第2弾性表面波の音速を変化させるためのグレーティング構造を有することを特徴とする。または、前記弾性表面波センサにおいて、例えば、前記位相反転部は、前記第2電極部と前記第2反射部との間の前記圧電基板上に形成され、前記第2弾性表面波の音速を変化させるように膜厚が調整されたメタル層を備えたことを特徴とする。または、前記弾性表面波センサにおいて、例えば、前記位相反転部は、前記第2電極部と前記第2反射部との間の前記圧電基板上に形成された反応場に形成された構造体を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、第1弾性表面波に対し第2弾性表面波の伝搬時間が変化される。これにより、第1弾性表面波に対し第2弾性表面波の音速を変化させ、第1弾性表面波に対し第2弾性表面波の位相を反転させることができる。
前記弾性表面波センサにおいて、例えば、前記圧電基板の端部は、前記第1電極部および第2電極部が励振されることにより発生するバルク波の反射波の進行方向を変更するように形成されたことを特徴とする。この構成によれば、圧電基板の端部から第1電極部および第2電極部に向かうバルク波の反射波が低減される。
上記課題を解決するための本発明にかかる測定装置は、前記弾性表面波センサを備えた測定装置の構成を有する。
本発明によれば、弾性表面波が反射部で反射される際に発生するバルク波の影響を抑制し、測定精度を改善することができる。
本発明の第1実施形態による測定装置の構成例を示す図である。 本発明の第1実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサの構成例を模式的に示す図であり、測定装置の上視図および断面図である。 本発明の第1実施形態による測定装置の動作を説明するための図であり、(A)は、弾性表面波の位相を説明するための図であり、(B)は、弾性表面波の反射波およびバルク波の位相を説明するための図である。 本発明の第1実施形態による測定装置の動作を説明するための図であり、圧電基板の端部でのバルク波の反射波に着目した動作を説明するための図である。 本発明の第2実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサの構成例を模式的に示す上視図である。 本発明の第3実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサの構成例を模式的に示す上視図である。 本発明の第4実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサの構成例を模式的に示す上視図である。 本発明の第5実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサの構成例を模式的に示す上視図である。 本発明の実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサの変形例を模式的に示す上視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
(構成の説明)
図1は、本発明の第1実施形態による測定装置10の構成例を示す図である。
測定装置10は、例えば液体状の被測定物の物理的特性を測定するものであり、弾性表面波センサ100と、発振器14、分配器16、スイッチ17及び弾性波検出器18から構成される測定部20と、パソコン等で構成される処理部22とを備える。
図2は、本実施形態による測定装置10が備える弾性表面波センサ100の構成例を模式的に示す図であり、弾性表面波センサ100の上視図(上段)および断面図(下段)である。
弾性表面波センサ100は、圧電基板110と、櫛形電極(第1電極部)121および櫛形電極(第2電極部)122と、反応場131,132A,132Bと、反射器(反射部)141および反射器(反射部)142と、位相反転部150と、バルク波伝搬部160とを備える。
ここで、圧電基板110は、弾性表面波を伝搬させることができるものであれば、特に限定されないが、例えば水晶であり、あるいは、36°回転Y板X伝搬LiTaO(タンタル酸リチウム単結晶)である。櫛形電極121および櫛形電極122は、入力端子Sに供給される入力信号により励振されて圧電基板110上に弾性波を発生させると共に、この弾性波に基づく反射波を受信するるものであり、それぞれ圧電基板110上に形成されている。反射器141および反射器142は、弾性表面波を反射させるものであり、それぞれ、櫛形電極121および櫛形電極122から発生された弾性波の伝搬方向(矢印X方向)における圧電基板110上に形成されている。反応場131は、櫛形電極121と反射器141との間の弾性表面波の伝搬経路上に形成され、被測定物が配置されるものである。また、反応場132A,132Bは、櫛形電極122と反射器142との間の弾性表面波の伝搬経路上に形成され、同じく被測定物が配置されるものである。
本実施形態では、圧電基板110は、概略長方形の形状を有している。櫛形電極121および櫛形電極122は、圧電基板110の長辺方向の一端側の圧電基板110上に、圧電基板110の短辺方向に配列されるようにして形成されている。また、反射器141および反射器142は、圧電基板110の長辺方向の他端側の圧電基板110上に、櫛形電極121,122に対応して、圧電基板110の短辺方向に配列されるようにして形成されている。反応場131は、櫛形電極121と反射器141との間の弾性波の伝搬経路上に形成されている。また、反応場132Aおよび反応場132Bは、櫛形電極122と反射器142との間の弾性波の伝搬経路上に形成されている。
位相反転部150は、櫛形電極122と反射器142との間の弾性表面波の伝搬経路上に形成され、この弾性表面波の位相を反転させるものである。位相反転部150は、反応場132Aと反応場132Bとの間に形成されている。本実施形態では、位相反転部150は、櫛形電極121により発生される弾性表面波に対して、櫛形電極122により発生される弾性表面波の音速を相対的に変化させることにより、位相を反転させる。このため、位相反転部150は、櫛形電極122により発生された弾性表面波の音速を変化させるためのグレーティング構造を有する。即ち、位相反転部150は、すべり弾性表面波の伝搬方向と直交するようにして、一定の間隔をおいて圧電基板110上に並列に配置した複数の電極指151,152から構成されている。また、複数の電極指151,152の配置ピッチは、すべり弾性表面波の波長λの8分の1に設定している。このようなグレーティング構造を有する位相反転部150を採用したことにより、位相反転部150から圧電基板110の内部への弾性波の漏えいを抑制しつつ、位相反転に必要な音速の調整を実現している。
なお、本実施形態では、位相反転部150は、櫛形電極122と反射器142との間の弾性波の伝搬経路の略中間に形成されているが、この例に限らず、櫛形電極122により発生されたすべり弾性表面波の位相を反転させることができることを限度として、任意の位置に配置することができる。また、圧電基板110への弾性波の漏えいが許容される限度において、電極指151,152を省略し、位相反転部150での金属膜の膜厚をゼロとすることも可能である。この場合、位相反転を効果的に行うことができる。
バルク波伝搬部160は、反射器141および反射器142のそれぞれと端部Eとの間に形成されるバルク波の伝搬領域である。
なお、反射器141,142から発生されるバルク波の影響を抑制する本発明の目的からすれば、バルク波伝搬部160は本発明の必須の要素ではないが、後述するように、櫛形電極121,122から発生されたバルク波の端部Eでの反射波と、櫛形電極121,122から発生されて反射器141,142により反射された弾性表面波の反射波とをバルク波伝搬部160により時間分離することにより、更にいっそうバルク波の影響を抑制して測定精度を改善することができる。
弾性波は、弾性表面波、バルク波等の各種の波を含む。弾性表面波は、圧電基板110の表面に沿って伝搬する波であり、バルク波は、圧電基板110の内部を伝搬する波である。また、被測定物が液体の場合、弾性表面波は、すべり弾性表面波である。本実施形態では、弾性表面波の例としてすべり弾性表面波を用いて説明する。本実施形態では、すべり弾性表面波は、圧電基板110の表層部分を伝搬し、一部が反射器141,142で反射される。また、バルク波は、圧電基板110の全体に伝搬し、反射器141,142の下方を通過してバルク波伝搬部160を伝搬した後、圧電基板110の端部Eで反射される。
本実施形態では、櫛形電極121は、極性の異なる複数対の電極指121a、121bを弾性表面波の波長λの間隔で伝搬方向にN対が配列して構成される(例えば、図1では4対)。櫛形電極121は、発振器14で生成された高周波発振信号(例えば、中心周波数が250MHz)に基づいて弾性表面波を励振させて反応場131に伝搬させる。櫛形電極121は、反応場131を伝搬して反射器141により反射されて戻ってきたすべり弾性表面波を受信する。また、櫛形電極121は、反応場131からバルク波伝搬部160に伝搬して圧電基板110の端部Eにより反射されて戻ってきたバルク波を受信する。櫛形電極121は、被測定物が付着することで測定精度が低下することを回避するため、樹脂又はガラス等の封止部材(図示省略)により密閉される。
櫛形電極122についても櫛形電極121と同様に構成されている。即ち、櫛形電極122は、極性の異なる複数対の電極指122a、122bを弾性表面波の波長λの間隔で伝搬方向にN対が配列して構成される(例えば、図1では4対)。櫛形電極122は、発振器14で生成された高周波発振信号(例えば、中心周波数が250MHz)に基づいて弾性表面波を励振させて反応場132A,132Bに伝搬させる。櫛形電極122は、反応場132A,132Bおよび位相反転部150を伝搬して反射器142により反射されて戻ってきたすべり弾性表面波を受信する。また、櫛形電極122は、反応場132A,132Bからバルク波伝搬部160に伝搬して圧電基板110の端部Eにより反射されて戻ってきたバルク波を受信する。櫛形電極122は、櫛形電極121と同様に、被測定物が付着することで測定精度が低下することを回避するため、樹脂又はガラス等の封止部材(図示省略)により密閉される。
櫛形電極121の電極指121bと櫛形電極122の電極指122bは入力端子Sに共通に接続されている。入力端子Sを介して測定部20から櫛形電極121,122に高周波発振信号が供給される。また、櫛形電極121の電極指121aと櫛形電極122の電極指122aは固定電位端子Gに接続されている。本実施形態では、固定電位端子Gにはたえグランド電位が供給されている。
反射器141は、複数の電極指141aを並列接続して構成される。複数の電極指141aの配置ピッチ(幅)は、例えば弾性表面波の波長λの4分の1に設定されている。これにより、波長λの弾性表面波は反射器141により受信されずに反射される。反射器142についても反射器141と同様に構成されている。即ち、反射器142は、複数の電極指142aを並列接続して構成される。複数の電極指142aのそれぞれの配置ピッチ(幅)は、例えば弾性表面波の波長λの4分の1に設定されている。これにより、波長λの弾性表面波は反射器142に受信されずに反射される。
なお、本実施形態では、反射器141,142としてグレーティングを用いるが、これに代えて、例えば、弾性表面波の伝搬経路と直交するように圧電基板110上に溝を形成し、この溝の側壁部を反射器として用いてもよい。
反応場131,132A,132Bのそれぞれには、圧電基板110上に蒸着された金属膜が形成される。金属膜は、電気的に短絡された短絡伝搬路を構成する。金属膜40の材料は、特に限られないが、各反応場に滴下される被測定物に対して化学的に安定している金とすることが好ましい。
バルク波伝搬部160は、バルク波が伝搬される領域であり、反射器141,142から圧電基板110の端部Eまでの距離L2は、次式(1)の関係を満たす値に設定される。
L2≧N×λ/2 …(1)
ここで、λは弾性表面波の波長であり、Nは、電極指121a、121bおよび電極指122a、122bのそれぞれの対の数である。
測定部20を構成する発振器14は、高周波発振信号を生成する。分配器16は、高周波発振信号を櫛形電極121,122に供給するとともに、弾性波検出器18に供給する。弾性波検出器18は、分配器16で分配された高周波発振信号と、櫛形電極121,122により受信された弾性表面波に基づく信号との振幅比、位相差及び伝搬遅延差を検出し、検出した振幅比、位相差及び伝搬遅延差に基づく信号を処理部22に出力する。処理部22は、弾性波検出器18から供給される信号に基づき、被測定物の物理的特性を求める。また、処理部22は、所定のタイミングで、スイッチ17の端子1と端子3との接続、または端子2と端子3との接続を切り替える。なお、物理的特性とは、例えば、被測定物の粘度、密度等である。処理部22は、例えば、反応場131,132A,132Bに何も滴下されていない状態で、供給された信号の振幅変化、位相変化を求める。反応場131,132A,132Bに何も滴下しない場合、被測定物は空気である。次に、反応場131,132A,132Bに被測定物が滴下されている状態で、供給された信号の振幅変化、位相変化を求める。処理部22は、この2つの測定データの算出することで、滴下された被測定物の粘度や密度等を算出する。
(動作の説明)
次に、図3を参照して、櫛形電極121,122により発生された弾性表面波が反射器141,142により反射される際に発生するバルク波を抑制する観点から、測定装置10の動作を説明する。
図3は、本実施形態による測定装置10が備える弾性表面波センサ100の動作を説明するための図であり、(A)は、弾性表面波の位相を説明するための図であり、(B)は、弾性表面波の反射波およびバルク波の位相を説明するための図である。
測定者は、弾性表面波センサ100の反応場131,132A,132Bに被測定物を滴下する。この場合、櫛形電極121,122は、封止部材(図示省略)によって密閉されているため、櫛形電極121,122に被測定物が付着することで測定精度が低下する事態を回避することができる。なお、被測定物としては、液体状のものであれば、例えば、純液、混合液のいずれであってもよく、メタノール、エタノール等のアルコールの物理的特性を測定する場合に特に有効である。また、被測定物に抗原、抗体、バクテリア等が含まれる状態においても、物理的特性を測定できることは言うまでもない。
次に、発振器14でバースト的に生成された高周波発振信号は、分配器16で分配され、櫛形電極121,122及び弾性波検出器18に同一の高周波発振信号が供給される。櫛形電極121,122は、供給された高周波発振信号に基づいて励振して弾性波を発生させる。ここで、図3(A)に示すように、櫛形電極121により発生された弾性波のうち、すべり弾性表面波W1は、圧電基板110の表層部分を伝搬し、被測定物が滴下された反応場131に沿って矢印X方向に伝搬する。そして、図3(B)に示すように、反応場131を伝搬したすべり弾性表面波W1の一部が反射器141によって反射された後、反射波RW1となって、再度、反応場131を伝搬し、櫛形電極121で受信される。ここで、反射器141によりすべり弾性表面波W1が反射される際、バルク波RB1が発生する。このバルク波RB1は、すべり弾性表面波W1の反射波RW1と共に櫛形電極121で受信される。
また、図3(A)に示すように、櫛形電極122により発生された弾性波のうち、すべり弾性表面波W2は、圧電基板110の表層部分を伝搬し、被測定物が滴下された反応場132A,132Bおよび位相反転部150に沿って矢印X方向に伝搬する。そして、図3(B)に示すように、反応場132A,132Bおよび位相反転部150を伝搬したすべり弾性表面波W2の一部が反射器142によって反射された後、反射波RW2となって、再度、反応場132A,132Bおよび位相反転部150を伝搬し、櫛形電極122で受信される。ここで、反射器142によりすべり弾性表面波W2が反射される際、バルク波RB2が発生する。このバルク波RB2は、すべり弾性表面波W2の反射波RW2と共に櫛形電極122で受信される。
上述のように、櫛形電極121,122により発生されたすべり弾性表面波W1,W2が反射器141,142により反射され、その反射波RW1,RW2がバルク波RB1,RB2と共に櫛形電極121,122により受信される。
ここで、すべり弾性表面波W1,W2、反射波RW1,RW2、バルク波RB1,RB2の各位相関係を検討する。
櫛形電極121により発生されたすべり弾性表面波W1は反射器141に反射される際、その位相は反転されずに維持される。このため、すべり弾性表面波W1と、その反射波RW1は同相の関係にある。また、櫛形電極122により発生されたすべり弾性表面波W2は、位相反転部150に到達する前の反応場132Aにおいては、櫛形電極121により発生されたすべり弾性表面波W1と同相であるが、位相反転部150を通過することにより、その位相が反転される。
位相反転されたすべり弾性表面波W2は、反応場132Bを伝搬した後、反射器142により反射されて反射波RW2となる。この反射波RW2は、反応場132Bを伝搬して位相反転部150を通過することにより、再度、その位相が反転される。この結果、櫛形電極122により受信される反射波RW2の位相は元の状態に戻り、櫛形電極121により受信される反射波RW1と同相になる。従って、櫛形電極121と櫛形電極122が接続された入力端子Sには、櫛形電極122により受信される反射波RW2と、櫛形電極121により受信される反射波RW1との合成波が供給される。この場合、反射波RW2と反射波RW1は同相の関係にあるから、受信信号の振幅が拡大される。
次に、バルク波の位相を検討すると、櫛形電極121により発生されたすべり弾性表面波W1が反射器141に反射される際に発生するバルク波RB1は、すべり弾性表面波W1の反射波RW1と同相である。これに対し、櫛形電極122により発生されて位相反転部150により位相反転されたすべり弾性表面波W2が反射器142に反射される際に発生するバルク波RB2は、上述のバルク波RB1と逆相となる。即ち、バルク波RB1とバルク波RB2は相互に逆相の関係になる。この逆相の関係を維持した状態で、バルク波RB2は、反応場132B、位相反転部150、反応場132Aの下方の圧電基板110の内部を通って櫛形電極121により受信される。
従って、櫛形電極121と櫛形電極122が接続された入力端子Sには、櫛形電極122により受信されるバルク波RB2と、櫛形電極121により受信されるバルク波RB1との合成波が供給される。この場合、バルク波RB1とバルク波RB2は逆相の関係にあるから、相互に打消し合う。これにより、反射器141および反射器142によりそれぞれ発生されたバルク波が抑制される。
このように、本実施形態によれば、すべり弾性表面波W1,W2の反射波RW1,RW2は同相の関係になり、すべり弾性表面波W1,W2が反射器141,142により反射される際に発生するバルク波RB1,RB2は逆相の関係になる。このため、反射波RW1,RW2による信号成分が増加し、逆に、バルク波RB1,RB2による信号成分が低減される。従って、受信信号のSN比が改善され、測定精度が向上する。
また、本実施形態によれば、反応場131と反応場132A,132Bを隣接して配置したので、被測定物を分散させて滴下する必要がなく、一か所に滴下すればよい。従って、測定作業を軽減することができる。
次に、図4を参照しながら、圧電基板110の端部Eでのバルク波の反射波を抑制する観点から、測定装置10の動作を説明する。
図4は、本発明の第1実施形態による測定装置10の動作を説明するための図であり、圧電基板110の端部でのバルク波の反射波に着目した動作を説明するための図である。
上述と同様に、測定者は、被測定物を弾性表面波センサ100の反応場131,132A,132Bに滴下する。そして、発振器14でバースト的に生成された高周波発振信号は、分配器16で分配され、櫛形電極121,122及び弾性波検出器18に同一の高周波発振信号が供給される。櫛形電極121,122は、供給された高周波発振信号に基づいてすべり弾性表面波W1,W2を発生させる。このとき、櫛形電極121はバルク波B1を発生させ、櫛形電極122はバルク波B2を発生させる。バルク波B1は、圧電基板110の全体に伝搬し、その一部が反射器141の下方の圧電基板110の内部を通過してバルク波伝搬部160を伝搬し、圧電基板110の端部Eに到達する。バルク波B2は、圧電基板110の全体に伝搬し、その一部が反射器142の下方の圧電基板110の内部を通過してバルク波伝搬部160を伝搬し、圧電基板110の端部Eに到達する。これらバルク波B1,B2は、端部Eによって反射された後、再度、バルク波伝搬部160及び反応場131,132A,132Bを伝搬し、櫛形電極121,122で受信される。
ここで、本実施形態では、反射器141,142によって反射されたすべり弾性表面波の反射波RW1,RW2と、バルク波伝搬部160を伝搬して圧電基板110の端部Eによって反射されたバルク波B1,B2を時間的に分離して検出する。このため、設計者は、バルク波伝搬部160の距離L2を以下のように設定する。すなわち、櫛形電極121を構成する極性の異なる複数対の電極指121a,121bの間隔は、弾性波の波長λであり、電極指121a、121bの対の数をNとすると、櫛形電極121の幅は、(N×λ)である(ただし、Nは1以上の整数)。櫛形電極122についても同様である。すべり弾性表面波とバルク波とを確実に分離するために、すべり弾性表面波が反射器141,142で反射されて櫛形電極121,122に戻るまでの時間t1と、バルク波が圧電基板110の端部Eで反射されて櫛形電極121,122に戻るまでの時間t2との時間差(t2−t1)は、次式(2)の関係を満たす値に設定される。
t2−t1≧N×λ/v …(2)
ここで、vは弾性波の伝搬速度である。この時間差(t2−t1)は、バルク波が距離L2のバルク波伝搬部160を往復するのに要する時間であるから、次式(3)が成り立つ。
t2−t1=2×L2/v …(3)
従って、受信した弾性波からバルク波を時間的に分離し、すべり弾性表面波を高精度に検出するために、(2)、(3)式から、バルク波伝搬部160の距離L2は、次式(4)の関係を満たす値に設定される。
L2≧N×λ/2 …(4)
櫛形電極121,122により受信されたすべり弾性表面波及びバルク波は、すべり弾性表面波信号及びバルク波信号に変換された後、弾性波検出器18に供給される。弾性波検出器18は、分配器16から供給された高周波発振信号と、受信した信号との振幅比、位相差及び伝搬遅延差を検出し、当該検出された振幅比、位相差及び伝搬遅延差に基づく信号を処理部22に出力する。処理部22は、弾性波検出器18から供給されたこれらの信号のうち、すべり弾性表面波信号に対して所定時間遅延しているバルク波信号を分離し、すべり弾性表面波信号に係る信号に基づき、被測定物の物理的特性を求める。
このように、第1実施形態によれば、反応場131,132A,132Bを伝搬し、反射器141,142によって反射された後、櫛形電極121,122に入力する上述のすべり弾性表面波の反射波RW1,RW2と、反応場131,132A,132Bから反射器141,142の下部を通過してバルク波伝搬部160を伝搬し、圧電基板110の端部Eによって反射された後、櫛形電極121,122に入力されるバルク波B1,B2の反射波との間に所定の時間差が生じる。従って、処理部22は、弾性波検出器18より供給された信号から、すべり弾性表面波に基づく信号に対して所定時間遅延して供給されるバルク波に基づく信号を分離することができる。この結果、処理部22は、すべり弾性表面波に係る信号に基づいて、反応場131,132A,132Bに滴下された被測定物の物理的性を高精度に求めることができる。
従って、第1実施形態によれば、反射器141,142により発生されるバルク波と、圧電基板110の端部Eで発生するバルク波との両方の影響を抑制することができるため、測定精度を有効に改善することができる。ただし、必要に応じて、圧電基板110の端部Eで発生するバルク波の影響を抑制せず、反射器141,142により発生されるバルク波の影響のみを抑制してもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図5は、本発明の第2実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサ200の構成例を模式的に示す上視図である。
第2実施形態による弾性表面波センサ200は、図2に示す第1実施形態の弾性表面波センサ100の構成において、位相反転部150に代えて位相反転部250を備える。位相反転部350の構成および機能は第1実施形態の位相反転部150と同様である。ただし、第2実施形態では、位相反転部350は、櫛形電極122と反射器142との略中間よりも、櫛形電極122に寄った位置に配置されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
第2実施形態によれば、位相反転部250の両側に位置する反応場232A,232Bのうち、反応場232Bの面積を第1実施形態の反応場132Bに比較して拡大することができる。従って、位相反転部250が反応場に介在することによる影響を抑制することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図6は、本発明の第3実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサ300の構成例を模式的に示す上視図である。
第3実施形態による弾性表面波センサ300は、図2に示す第1実施形態の弾性表面波センサ100の構成において、位相反転部150に代えて位相反転部350を備える。第2実施形態では、図6の下段の断面図から理解されるように、櫛形電極122と反射器142との間の反応場332には、連続した金属膜が形成され。その金属膜上に、位相反転部350を構成する複数の電極指からなるグレーティングが形成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
第3実施形態によれば、櫛形電極122と反射器142との間の反応場332において、金属膜が存在しない開放領域を無くすことができるので、バイオセンサとしての利用に適している。また、第3実施形態によれば、櫛形電極122から発生されたすべり弾性表面波が位相反転部350を伝搬する過程で、位相反転部350から圧電基板110の内部に侵入するバルク波を防止することができる。
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサ400の構成例を模式的に示す上視図である。
第4実施形態による弾性表面波センサ400は、図2に示す第1実施形態の弾性表面波センサ100の構成において、位相反転部150に代えて位相反転部450を備える。位相反転部450は、櫛形電極122と反射部142との間の圧電基板110上に形成され、櫛形電極122と反射部142との間を伝搬する弾性表面波の音速を変化させるように膜厚が調整された金属膜から構成される。
具体的には、図7の下段の断面図から理解されるように、櫛形電極122と反射器142との間の反応場432には、位相反転部450として、連続した金属膜が形成される。この位相反転部450として形成された金属膜は反応場432としての機能を兼ねる。位相反転部450を形成する金属膜の膜厚は、櫛形電極122から発生されたすべり弾性表面波の位相が反射器142に到達した時点で反転した状態となるような弾性表面波の音速が得られるように、調整されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
第4実施形態によれば、第3実施形態と同様に、櫛形電極122と反射器142との間の反応場432において、金属膜が存在しない開放領域を無くすことができるので、バイオセンサとしての利用に適している。また、第4実施形態によれば、第3実施形態と同様に、櫛形電極122から発生されたすべり弾性表面波が位相反転部450を伝搬する過程で、位相反転部450から圧電基板110の内部に侵入するバルク波を防止することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
図8は、本発明の第5実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサ500の構成例を模式的に示す上視図である。
第5実施形態による弾性表面波センサ500は、図2に示す第1実施形態の弾性表面波センサ100の構成において、位相反転部150に代えて位相反転部550を備える。位相反転部550は、櫛形電極122と反射器142との間の圧電基板110上に形成された反応場532上に配置された構造体を有する。
具体的には、第5実施形態では、図8の下段の断面図から理解されるように、櫛形電極122と反射器142との間の反応場532には、第3実施形態と同様に、連続した金属膜が形成され、その金属膜上に、位相反転部550として構造体が配置されている。この構造体としては、すべり弾性表面波を減衰させず、音速を変化させ得る任意の材料が用いられる。その他の構成は第1実施形態と同様である。
第5実施形態によれば、第3および第4実施形態と同様に、櫛形電極122から発生されたすべり弾性表面波が位相反転部550を伝搬する過程で、位相反転部550から圧電基板110の内部に侵入するバルク波を防止することができる。
[変形例]
次に、上述した本発明の各実施形態の変形例を説明する。
図9は、本発明の実施形態による測定装置が備える弾性表面波センサの変形例を模式的に示す上視図である。
本変形例では、圧電基板の端部は、櫛形電極121および櫛形電極122励振されることにより発生するバルク波の反射波の進行方向を変更するように形成されている。即ち、圧電基板の端部は、櫛形電極121および櫛形電極122が励振されることにより発生するバルク波の進行方向に対して一定の傾きを有する傾斜面を有している。
図9(A)に示す例では、櫛形電極121,122と反射器141,142との間のすべり弾性表面波の進行方向Xに対し、圧電基板110の両端部に傾斜を設けている。この例では、圧電基板110aの上面方向から見て、圧電基板110aの端部Eaに傾斜が設けられている。この例によれば、端部Eaで反射したバルク波が、櫛形電極121,122と反射器141,142との間のバルク波の伝搬経路とは異なる圧電基板110aの側面に向かって反射される。圧電基板110aの他端側でも同様である。このため、端部Eaで反射されたバルク波が櫛形電極121,122に受信される確率が低下する。従って、端部Eaで反射されたバルク波の影響が低減され、測定精度が改善される。
図9(B)に示す例では、圧電基板110bの側面方向から見て、台形をなすように、圧電基板110bの端部Ebに傾斜が設けられている。この例によれば、端部Ebで反射したバルク波が、櫛形電極121,122と反射器141,142との間のバルク波の伝搬経路とは異なる圧電基板110bの下面に向かって反射される。このため、端部Ebで反射されたバルク波が櫛形電極121,122に受信される確率が低下する。従って、端部Ebで反射されたバルク波の影響が低減され、測定精度が改善される。
図9(C)に示す例では、圧電基板110cの側面方向から見て、逆台形をなすように、圧電基板110cの端部Ecに傾斜が設けられている。この例によれば、端部Ecで反射したバルク波が、櫛形電極121,122と反射器141,142との間のバルク波の伝搬経路とは異なる圧電基板110bの上面に向かって反射される。このため、端部Ecで反射されたバルク波が櫛形電極121,122に受信される確率が低下する。従って、端部Ecで反射されたバルク波の影響が低減され、測定精度が改善される。
図9(D)に示す例は、上述の図9(B)に示す例と、図9(C)に示す例の組み合わせである。即ち、圧電基板110dの端部Edは、上述の図9(B)に示す端部Ebに対応する傾斜面と、図9(C)に示す端部Ecに対応する傾斜面とを有する。この例によれば、端部Edで反射したバルク波が、櫛形電極121,122と反射器141,142との間のバルク波の伝搬経路とは異なる圧電基板110bの下面または上面に向かって反射される。このため、端部Edで反射されたバルク波が櫛形電極121,122に受信される確率が低下する。従って、端部Ebで反射されたバルク波の影響が低減され、測定精度が改善される。
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、本発明は、上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、修正、置換、付加等が可能である。
例えば、上述の第1実施形態では、櫛形電極121から反射器141に向かう弾性波の第1伝搬方向と、櫛形電極122から反射器142に向かう弾性波の第2伝搬方向が並行となるように、各要素を圧電基板110上に形成したが、第1伝搬方向と第2伝搬方向が相互に対向するように各要素を配置してもよく、逆に、第1伝搬方向と第2伝搬方向とが離反するように各要素を配置してもよく、これらの伝搬方向は任意に設定し得る。
また、上述の第1実施形態では、櫛形電極122と反射器142との間に反応場132A,132Bを形成したが、これらの反応場132A,132Bを省略し、反応場131のみを備えてもよい。
以下、既述の実施形態に開示された発明の、特許請求の範囲に記載しなかった発明の構成、作用および効果を「特許請求の範囲」、「課題を解決するための手段」、「発明の効果」の各欄に準じた様式により列記する。
〔請求項7〕
請求項5に記載の弾性表面波センサにおいて、
前記圧電基板の端部は、
前記第1電極部および第2電極部が励振されることにより発生するバルク波の進行方向に対して一定の傾きを有する傾斜面を有することを特徴とする弾性表面波センサ。
前記弾性表面波センサにおいて、例えば、前記圧電基板の端部は、前記第1電極部および第2電極部が励振されることにより発生するバルク波の進行方向に対して一定の傾きを有する傾斜面を有することを特徴とする。この構成によれば、圧電基板の端部によるバルク波の反射波の進行方向が変更される。
〔請求項8〕
請求項5または請求項7の何れか1項に記載された弾性表面波センサを備えた測定装置。
上記課題を解決するための本発明にかかる測定装置は、前記弾性表面波センサを備えた測定装置の構成を有する。
10 測定装置
20 測定部
22 処理部
100,200,300,400,500 弾性表面波センサ
110,110a,110b,110c,110d 圧電基板
121 櫛形電極(第1電極部)
122 櫛形電極(第2電極部)
131,132A,132B 反応場
141,142 反射器(反射部)
150,250,350,450,550 位相反転部

Claims (6)

  1. 圧電基板上に形成され、入力信号により励振されて前記圧電基板上に第1弾性表面波を発生させ、前記第1弾性表面波に基づく反射波を受信する第1電極部と、
    前記第1弾性表面波の伝搬方向における前記圧電基板上に形成され、前記第1弾性表面波を反射させる第1反射部と、
    前記第1電極部と前記第1反射部との間の前記第1弾性表面波の伝搬経路上に形成され、被測定物が配置される第1反応場と、
    前記圧電基板上に形成され、前記入力信号により励振されて前記圧電基板上に第2弾性表面波を発生させ、前記第2弾性表面波に基づく反射波を受信する第2電極部と、
    前記第2弾性表面波の伝搬方向における前記圧電基板上に形成され、前記第2弾性表面波を反射させる第2反射部と、
    前記第2電極部と前記第2反射部との間の前記第2弾性表面波の伝搬経路上に形成され、前記第2弾性表面波の位相を反転させる位相反転部を有し、
    前記位相反転部は、
    前記第1弾性表面波に対して前記第2弾性表面波の音速を相対的に変化させることにより、前記第2弾性表面波の位相を反転させること
    を特徴とする弾性表面波センサ。
  2. 前記位相反転部は、
    前記第2弾性表面波の音速を変化させるためのグレーティング構造を有することを特徴とする請求項1に記載された弾性表面波センサ。
  3. 前記位相反転部は、
    前記第2電極部と前記第2反射部との間の前記圧電基板上に形成され、前記第2弾性表面波の音速を変化させるように膜厚が調整されたメタル層を備えたことを特徴とする請求項1に記載された弾性表面波センサ。
  4. 前記位相反転部は、
    前記第2電極部と前記第2反射部との間の前記圧電基板上に形成された反応場に形成された構造体を備えたことを特徴とする請求項1に記載された弾性表面波センサ。
  5. 前記圧電基板の端部は、
    前記第1電極部および第2電極部が励振されることにより発生するバルク波の反射波の進行方向を変更するように形成されたことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載された弾性表面波センサ。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載された弾性表面波センサを備えた測定装置。
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