JP7091950B2 - Sawセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、SAWデバイスを用いたSAWセンサに関する。
無線、およびセンシング部無給電のセンサとして、表面弾性波(即ち、SAW(Surface Acoustic Wave))遅延素子を用いて物理量を検出する位相検出型センサ、即ち、SAWセンサが知られている。SAW遅延素子、即ち、SAWデバイスの物理量例えば温度、圧力、応力等が変化すると、SAWデバイスの伝搬路が伸び縮みしたり、伝搬方向のSAWの音速が変化したりし、SAWデバイスからの反射信号、即ち、受信信号の位相が変化する。SAWセンサは、受信信号の位相を同期検波回路により検出して物理量に変換する。この構成の場合、受信信号の位相が、-180°から+180°の範囲を越えると、折り返しが発生するため、測定可能な物理量範囲は大幅に制限されるという問題があった。
これに対して、特許文献1に記載されているように、SAWデバイスの構成を変えずに、2つの周波数の受信信号の差分を取ることにより、疑似的に検出感度を落とし、測定範囲を広げるという装置が考えられている。しかし、この装置の場合、感度を落としているので、測定精度が劣化するという問題がある。
特開2014-020841号公報
本発明の目的は、測定範囲を広げる構成でありながら、測定精度の劣化を防止することができるSAWセンサを提供することにある。
請求項1、2記載の発明は、SAWデバイスと、前記SAWデバイスと通信可能に接続され、SAWデバイスで検出されたSAWの検出信号の位相を検出するセンシング装置とを備えたSAWセンサである。センシング装置は、第1信号をSAWデバイスに入力して得られるSAWの第1検出信号の位相と、第1信号と周波数が異なる第2信号をSAWデバイスに入力して得られるSAWの第2検出信号の位相の差である2周波差分の特性に基づいて、検出信号の位相の折り返し回数を求め、折り返しの補正を行う折り返し補正部を有するように構成されている。また、請求項1記載の発明は、第1検出信号と第2検出信号の電圧振幅比を用いて位相誤差を直接補正する位相誤差補正部を備える。また、請求項2記載の発明は、第1検出信号と第2検出信号の電圧振幅比を用いて位相誤差を含んだ周波数比率を求める周波数比率計算部を備える。
第1実施形態を示すもので、SAWセンサの電気的構成を示す図 検出信号の物理量と位相回転との関係を示す図 周波数と物理量の位相回転感度との関係を示す図 2つの周波数の信号の物理量と位相回転との関係を示す図 2周波差分について飛び値補正前の物理量と位相回転との関係を示す図 2周波差分について飛び値補正後の物理量と位相回転との関係を示す図 位相誤差が小さい場合の周波数比率倍した2周波差分について飛び値補正後の物理量と位相回転との関係を示す図 位相誤差が小さい場合の折り返し回数の物理量特性を示す図 折り返し補正したf1の特性を示す図 位相の折り返し補正制御のフローチャート 誤差が大きい場合の折り返し回数の物理量特性を示す図 挿入ロスの周波数特性を示す図 電圧振幅比の周波数特性を示す図 第2実施形態を示すもので、実測した周波数比率倍した2周波差分、および折り返し補正したf1の物理量特性を示す図 位相誤差の物理量特性を示す図 物理量の電圧振幅比特性を示す図 周波数比率倍した2周波差分の物理量特性(補正前後)を示す図 SAWセンサの電気的構成を示す図 位相誤差計算部のブロック図 位相の折り返し補正制御のフローチャート 位相誤差算出制御のフローチャート 第3実施形態を示すもので、周波数比率の物理量特性を示す図 回転位相の物理量特性を示す図 位相誤差の物理量特性を示す図 SAWセンサの電気的構成を示す図 周波数比率計算部のブロック図 位相の折り返し補正制御のフローチャート 周波数比率算出制御のフローチャート 第4実施形態を示すもので、挿入ロスの周波数特性を示す図 電圧振幅比の周波数特性を示す図 第5実施形態を示すもので、SAWデバイスの構造を示す図(その1) SAWデバイスの構造を示す図(その2) 挿入ロスの周波数特性を示す図 第6実施形態を示すもので、SAWデバイスの構造を示す図 挿入ロスの周波数特性を示す図 第7実施形態を示すもので、SAWデバイスの構造を示す図 挿入ロスの周波数特性を示す図 第8実施形態を示すもので、SAWデバイスの構造を示す図 挿入ロスの周波数特性を示す図 第9実施形態を示すもので、SAWデバイスの構造を示す図 第10実施形態を示すもので、OPEN型反射器の構造を示す図 SHORT型反射器の構造を示す図
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、図1ないし図13を参照して説明する。最初に、図1を参照して、本実施形態に係る表面弾性波遅延素子、即ち、SAWデバイスを用いた位相検出型センサである例えばSAWセンサ10の概略構成について説明する。
本実施形態のSAWセンサ10は、SAWデバイス11と、SAWデバイス11と例えば通信可能に接続され、SAWデバイス11で検出されるSAWの検出信号の位相、即ち、位相角を検出するセンシング装置12とを有する。SAWデバイス11とセンシング装置12との間は、例えば無線で通信されるように構成されている。
SAWデバイス11は、例えば反射型であり、圧電体基板13に、バースト信号の入力によりSAWを生じさせる櫛形電極(以下、IDTと示す)15と、SAWを反射する反射器16とを設けて構成されている。圧電体基板13は、例えばニオブ酸リチウムからなる。
また、IDT15は、例えばアルミニウムからなる。IDT15は、一例として、複数例えば数十本の櫛の歯を有する2つの電極が対となって構成されている。対となった2つの電極のうち、1つの電極は接地されており、他の1つの電極はアンテナ17に接続されている。
反射器16は、例えばOPEN型反射器で構成されており、IDT15と同一の材料であるアルミニウムからなり、SAWの進行方向と垂直な方向に延びた複数例えば数十本の電極が並設されて構成されている。センシング装置12の信号源からIDT15に所定周波数の信号例えばバースト信号が入力されると、圧電体基板13にSAWが発生し、IDT15から反射器16に向かって進行していく。そして、SAWは、反射器16により反射され、IDT15に戻ることによって、検出信号として検出される。
センシング装置12は、信号源20と、送信時と受信時の接続を切り替える切替スイッチ21と、入力された信号を進相あるいは遅相させる位相器22と、切替スイッチ21からの受信信号を入力して同期検波を行なう同期検波回路23と、位相・物理量を計算する位相物理量計算回路24とを備えている。
信号源20は、複数の周波数のバースト信号を出力する機能を有し、信号源20からの信号は、RF信号とLO信号に分岐される。切替スイッチ21は、スイッチ21aと、切替接点c-a及びc-bとを有し、送信時には、スイッチ21aがオンされ、且つ、切替接点c-a間がオンされ、受信時(即ち、図1の状態)には、スイッチ21aがオフされ、且つ、切替接点c-b間がオンされる。
切替スイッチ21が送信時の接続状態に切り替えられたときに、信号源20からのRF信号が、切替スイッチ21、アンテナ25及びアンテナ17を介してSAWデバイス11に入力される。SAWデバイス11においては、IDT15により上記入力されたRF信号、即ち、電気信号が機械振動に変換され、SAWが発生する。SAWは、SAWデバイス11の伝搬路を進行し、反射器16で反射され、再度IDT15により電気信号、即ち、検出信号に変換される。そして、SAWデバイス11からの検出信号、即ち、受信信号は、切替スイッチ21が受信時の接続状態に切り替えられたときに、アンテナ17及びアンテナ25、切替スイッチ21を介して同期検波回路23に入力される。
位相器22は、LO信号を入力し、LO信号と、例えば90°進相させたLO信号とを出力する。
同期検波回路23は、SAWデバイス11からの検出信号を上記LO信号と同期検波してI信号及びQ信号に変換する機能を有する。同期検波回路23は、2個のミキサー27、28、2個のアンプ29、30、2個のローパスフィルタ31、32を備えている。同期検波回路23の構成及び機能は、特許文献1に記載されているものとほぼ同じである。尚、特許文献1に記載されているものには、アンプが備えられていない。位相器22からのLO信号は、一方のミキサー27に与えられ、位相器22からの90°進相させたLO信号は、他方のミキサー28に与えられている。
同期検波回路23からのI信号及びQ信号は、位相物理量計算回路24に出力される。位相物理量計算回路24は、例えばFPGAで構成されており、位相計算部35と、折り返し補正部36と、物理量計算部37とを有する。位相計算部35は、同期検波回路23からのI信号及びQ信号を入力して、位相情報に変換する。折り返し補正部36は、位相計算部35からの位相情報を入力し、検出信号の位相の折り返し回数を求め、折り返しの補正を行なう。物理量計算部37は、折り返し補正部36からの補正された位相情報を入力し、位相情報に基づいて物理量を計算する。
SAWデバイス11に作用する物理量、例えば温度、圧力、応力等が変化すると、SAWの音速や伝搬長が変化する。SAWの音速や伝搬路長が変化すると、送信から受信までの遅延時間が変化するため、位相変化として検出できる。位相検出方法は、その位相を同期検波回路23により検出し、位相物理量計算回路24により物理量に変換する検出方法である。しかし、図2に示すように、位相は、-180から+180°の範囲しか持たないため、その範囲を越えてしまうと、360°折り返してしまうため、例えば点p1と点p2は位相では区別することができず、正しく物理量を求められないという課題がある。
上記折り返しによる物理量の検出範囲の制限に対する解決策の1つが、特許文献1に記載されており、これについて説明する。図3に示すように、物理量変化に対する位相回転感度は、周波数に比例する。よって、図4に示すように、周波数の異なる信号f1、f2を用いることにより、傾きの異なる2つの位相の物理量特性を得ることができる。図4において、特性r1は信号f1の物理量特性を示し、特性r2は信号f2の物理量特性を示す。
そして、図5に示すように、2つ周波数信号f1、f2の位相の物理量特性の差分、即ち、2周波差分を取ることにより、傾きの差に応じた感度の低い特性を得ることができる。図5において、特性r3は2周波差分(f2-f1)の物理量特性を示す。尚、2周波差分の物理量特性には、飛び値が存在するが、閾値などを設けることにより容易に補正可能である。例えば、図5において、2つの横方向に延びる破線は、飛び値判定用閾値を示す。飛び値補正後の物理量特性r4を、図6に示す。
このとき、2周波差分の特性r4の傾きは、信号f1の特性r1の傾きの(f2-f1)/f1倍である。よって、2つ周波数信号f1、f2の周波数差が小さいほど、低感度化することができ、物理量の測定範囲を広げることができる。しかし、低感度化すると、物理量の検出精度が落ちるため、検出範囲を広くすることと、検出精度を高くすることとの両立が困難であるという課題がある。
これに対して、本実施形態においては、2周波差分の物理量特性と、1つの周波数の検出信号の位相、即ち、1周波の物理量特性を用いて、位相検出の広検出範囲化及び検出の高精度化を両立させる方法を提供する。まず、2周波差分の物理量特性を用いて信号f1の特性の折り返し回数を求める。ここでは、位相誤差が小さい場合を考える。
理想的には、2周波差分の特性の傾きは、1周波の特性の傾きの(f2-f1)/f1倍であるので、2周波差分の特性に、(f2-f1)/f1の逆数f1/(f2-f1)、即ち、周波数比率を掛けると、(f2-f1)×周波数比率の特性の傾きは、信号f1の特性の傾きと一致する。図7に示すように、(f2-f1)×周波数比率の特性r5の傾きは、信号f1の特性r1の傾きと一致する。尚、特性r5を中心線とする帯状領域は、特性r5の位相誤差を示す。
この結果、測定したい物理量範囲において、f1の特性r1と同じ傾きで折り返しの無い特性r5が得られる。このとき、2周波差分の特性の位相誤差も周波数比率倍される。上記特性r5からf1の特性r1を引き、更に360で割る計算を行なうと、計算結果は、折り返し回数に近い値となる。この計算結果の特性r6を、図8に示す。計算結果、即ち、折り返し回数の特性r6には、位相誤差に起因した折り返し回数誤差、即ち、帯状領域が含まれている。このため、最も近い整数値に丸め込むことにより、上記誤差の影響を除外する。
次に、誤差の影響を除外した折り返し回数の特性r6に、360を乗算して、f1の特性r1を加算することにより、計算結果は、f1の特性の折り返し補正を行った特性となる。この折り返し補正をしたf1の特性r7を、図9に示す。この折り返しの無いf1の特性r7を用いることにより、広検出範囲化及び検出の高精度化を両立させたSAWセンサ10を実現することができる。尚、f2の特性r2の折り返し回数を算出したい場合には、周波数比率として、f2/(f2-f1)を用いて上記したf1とほぼ同様にして計算すれば良い。
本実施形態において、位相物理量計算回路24の折り返し補正部36は、上記した2周波差分の特性から1周波例えば信号f1の特性の折り返し回数を算出する計算制御を実行する。図10のフローチャートは、折り返し補正部36の上記計算制御の内容を示す。まず、図10のステップS10では、信号f2の位相から信号f1の位相を減算する。
そして、ステップS20へ進み、減算結果が予め設定した閾値内に収まっているか否かを判断する。ここで、減算結果が閾値内に収まっていないときには(NO)、ステップS30へ進み、減算結果に―360または360を加算することにより、計算結果が閾値内に収まるようにする。また、上記ステップS20において、減算結果が閾値内に収まっているときには(YES)、ステップS40へ進む。
ステップS40においては、ステップS20の計算結果またはステップS30の計算結果に、周波数比率f1/(f2-f1)を乗算する。続いて、ステップS50へ進み、ステップS40の乗算結果から{(f2-f1の初期位相)×(周波数比率)-(f1の初期位相)}を減算する。この後、ステップS60では、ステップS50の減算結果からf1の位相を減算する。
そして、ステップS70では、ステップS60の計算結果を360で除算する。次いで、ステップS80へ進み、最も近い整数値に丸め込む。更に、ステップS90へ進み、ステップSの丸め込み結果に360を乗算する。この後、ステップS100へ進み、ステップS90の乗算結果に、信号f1の位相を加算する。これにより、本計算制御、即ち、折り返し補正制御を終了する。
さて、これまでの説明においては、位相誤差(例えば信号ノイズ、製造バラツキ、温度勾配、IQ円歪等)が無視できるほど小さい場合を考えていたが、位相誤差が大きく無視できない場合がある。具体的には、周波数比率を乗算した2周波差分の特性の位相誤差が±180°以上である場合には、折り返し回数誤差は±0.5(即ち、±180÷360)以上となる。このため、折り返し回数を、最も近い整数値に丸め込む際に判定を誤ってしまうことがある。図8は、位相誤差が小さい場合の折り返し回数の物理量特性を示す。図11は、位相誤差が大きい場合の折り返し回数の物理量特性、即ち、折り返し回数誤差が±0.5以上のものを示す。図11においては、矢印の先端で示す部分が、折り返し回数の丸め込み判定が不可となる。
例えば、2つの周波数がUHF帯の916.8MHz、923.4MHzだとすると、周波数比率は約140である。このとき、許容できる2周波差分の特性の位相誤差は±1.3°(即ち、±180÷140)以下である。位相誤差の許容値を大きくするためにはf1/(f2-f1)を小さくする、即ち、2つの周波数の差を拡げる必要がある。しかし、UHF帯などにおいては、使用できる周波数帯が決まっていることから、2周波差分の特性の位相誤差を許容値以下に収めることが不可能な場合がある。
そこで、位相誤差を許容値以下に収めるように補正する方法について考察する。位相誤差に再現性がある場合、物理量から位相誤差を推定して補正することができる。その際、位相以外の情報を用いて補正を行う。ここでは、反射信号の電圧振幅から物理量を求める方法を提案する。
図12に示すように、SAWデバイス11は、挿入ロスの周波数特性にピークを持つ。尚、本実施形態の説明において、挿入ロスの周波数特性を示す全ての図は、縦軸の最大値が0dBであり、下に行くほど負の絶対値が増大する。上記ピークは、物理量が変化すると形を保ったまま周波数軸上をシフトする。挿入ロスも変化する場合もある。且つ、2つの周波数の信号の電圧振幅比は、図13に示すように、ピークを持つ範囲において周波数に対し単調増加または減少する。尚、上記電圧振幅比は、挿入ロスに変換すると傾きに相当する(図12参照)。よって、物理量は、電圧振幅比から一意に求めることができる。この物理量の値は、SAWデバイス11以外の部品において挿入ロスの変動(例えばアンテナ間距離変動など)が起きても、周波数特性がフラットであれば、ピークの形が保たれるため、ほとんど変化しない。
また、ピークの形は、SAWデバイス11の設計値に依存するため、急峻な特性になるように設計すれば、物理量変化に対する感度を向上させることができる。よって、これらの情報を利用することにより、位相誤差の補正が可能となる。この方法は、電圧振幅比からのみ物理量を得るのではなく、あくまで位相誤差を補正するために利用する。尚、ホワイトノイズなどの再現性のない誤差は補正できない。
(第2実施形態)
図14ないし図21は、第2実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第2実施形態のSAW無線センサは、2つの異なる周波数の信号f1、f2の電圧振幅比から位相誤差を推定して折り返し判定を行う機能を備えている。
まず、電圧振幅比を用いた位相誤差の補正方法について、実験結果を用いて説明する。2周波差分の特性には、再現性のある位相誤差が重畳している。図14に示すように、物理量が変化したときの信号f1の位相は、線形に増加または減少するが、周波数比率を乗算した2周波差分の特性は、増幅された位相誤差が重畳しているため、ギザギザした特性を持つ。図14において、実線c1は信号f1の位相(これは折り返し補正済みである)を示し、実線c2は周波数比率を乗算した2周波差分の物理量特性を示す。尚、物理量が変化したときの信号f1の位相は、線形だけでなく、2次特性の場合もある。
これら2つの特性の差分を取ると、位相誤差が得られるが、図15に示すように、位相誤差は±150°ほどあるため、折り返し回数の丸め込み判定が不安定となる。即ち、位相誤差±150°の場合、判定可能であるが、ホワイトノイズ等の他に重畳してくる誤差の大きさによっては、判定不可になったり、判定可能になったりして不安定になる。そこで、2つの周波数の信号f1、f2の電圧振幅比を測定し、図16に示した物理量の電圧振幅比特性d1から物理量を求める。そして、求めた物理量の値と、図15の位相誤差の物理量特性e1を用いることにより、位相誤差が得られ、位相誤差を補正することができる。
図17において、実線c1は信号f1の物理量特性を示し、実線c2は補正前の周波数比率を乗算した2周波差分の物理量特性を示し、実線c3は補正後の周波数比率を乗算した2周波差分の物理量特性の特性を示す。この図17に示すように、実線c1と実線c3は、ほぼ重なっている。即ち、補正済みの周波数比率を乗算した2周波差分の特性c3は、f1の特性c1と非常に近い特性を持っていることから、折り返し回数を正確に求めることができる。尚、図15と図16を用いて、位相誤差の電圧振幅比特性を作成して、折り返し回数を直接求められるように構成してもよい。
次に、第2実施形態の具体的構成について、図18ないし図21を参照して説明する。図18に示すように、位相物理量計算回路24は、位相計算部35、折り返し補正部36、物理量計算部37の他に、電圧振幅比を用いて位相誤差を計算する位相誤差計算部40を備えている。位相誤差計算部40は、同期検波回路23からのI信号とQ信号を入力し、位相誤差信号を折り返し補正部36に出力する。位相誤差計算部40は、位相誤差補正部としての機能を有する。
図19に示すように、位相誤差計算部40は、第1振幅計算部41と、第2振幅計算部42と、振幅比計算部43と、位相誤差算出部44とを備えている。第1振幅計算部41は、I信号とQ信号からf1の検出信号の電圧振幅V1を計算する。第2振幅計算部42は、I信号とQ信号からf2の検出信号の電圧振幅V2を計算する。振幅比計算部43は、V2/V1またはV1/V2の計算結果を電圧振幅比V21とする。位相誤差算出部44は、電圧振幅比V21に基づいて位相誤差を求める。
図20のフローチャートは、第2実施形態の折り返し補正部36の計算制御の内容を示す。第1実施形態の折り返し補正部36の計算制御(図10参照)と異なる点は、ステップS50とステップS60の間にステップS55を実行するように構成した。即ち、ステップS50を実行した後、ステップS55へ進み、ステップS50の減算結果から位相誤差計算部40により算出した位相誤差を減算する。この後、ステップS60からステップS100までの処理は、第1実施形態と同様にして実行する。
図21のフローチャートは、位相誤差計算部40の計算制御の内容を示す。まず、図21のステップS210においては、信号f1のI信号とQ信号のそれぞれの電圧(I1,Q1)からf1の反射信号の電圧振幅V1を計算する(即ち、第1振幅計算部41の機能)。V1の計算式は、ステップS210内に示す。
続いて、ステップS220へ進み、信号f2のI信号とQ信号のそれぞれの電圧(I2,Q2)からf2の反射信号の電圧振幅V2を計算する(即ち、第2振幅計算部42の機能)。V2の計算式は、ステップS220内に示す。
次いで、ステップS230へ進み、電圧振幅比V21=V2/V1またはV21=V1/V2を計算する(即ち、振幅比計算部43の機能)。そして、ステップS240へ進み、上記計算した電圧振幅比V21に基づいて位相誤差を求める(即ち、位相誤差算出部44の機能)。
尚、上述した以外の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第2実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2実施形態によれば、2つの異なる周波数の信号f1、f2の電圧振幅比から位相誤差を推定して折り返し判定を行う機能を備えたので、位相誤差が大きく無視できない場合においても、折り返し回数の丸め込み判定を正確に行なうことができ、検出精度を向上させることができる。
(第3実施形態)
図22ないし図28は、第3実施形態を示すものである。尚、第1実施形態または第2実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第2実施形態では、位相誤差の物理量特性および物理量の電圧振幅比特性を用いて位相誤差を補正した。これに対して、第3実施形態では、位相誤差を含んだ周波数比率の物理量特性を用いて位相誤差を補正するように構成した。
図22において、実線g1は、周波数比率の物理量特性を示し、実線g2は、2周波差分の特性がf1の特性に完璧に合うように計算した周波数比率(即ち、誤差込みの周波数比率)の物理量特性を示す。この場合、2周波差分の特性に、各物理量での周波数比率(即ち、誤差込みの周波数比率)を乗算することにより、f1の特性に完璧に合わせることができる。
よって、図16の特性から得た物理量に対応する周波数比率(即ち、誤差込みの周波数比率)を、図22から求める。そして、2周波差分の特性に上記求めた周波数比率を乗算することにより、f1に非常に近い特性を得ることができる。図23において、実線c1は信号f1の物理量特性を示し、実線c2は(f2-f1)×周波数比率の物理量特性を示し、実線c4は(f2-f1)×電圧振幅比から求めた周波数比率(即ち、誤差込みの周波数比率)の物理量特性を示す。この図23に示すように、実線c1と実線c4は、ほぼ重なっている。即ち、2周波差分の特性に各物理量での周波数比率(即ち、誤差込みの周波数比率)を乗算することにより、f1の特性に完璧に合わせることができる。
これにより、図24に示すように、小さい位相誤差を実現することができ、折り返し回数を正確に求めることができ、検出精度を高めることができる。図24において、e1は補正前の位相誤差の物理量特性を示し、e2は、補正後の位相誤差の物理量特性を示す。尚、図16及び図22を用いて周波数比率(即ち、誤差込みの周波数比率)の電圧振幅比特性を作成し、直接求められるように構成してもよい。
次に、第3実施形態の具体的構成について、図25ないし図28を参照して説明する。図25に示すように、位相物理量計算回路24は、位相計算部35、折り返し補正部36、物理量計算部37の他に、電圧振幅比を用いて周波数比率(即ち、誤差込みの周波数比率)を計算する周波数比率計算部50を備えている。周波数比率計算部50は、同期検波回路23からのI信号とQ信号を入力し、誤差込みの周波数比率信号を折り返し補正部36に出力する。
図26に示すように、周波数比率計算部50は、第1振幅計算部41と、第2振幅計算部42と、振幅比計算部43と、周波数比率演算部51とを備えている。第1振幅計算部41は、I信号とQ信号からf1の反射信号の電圧振幅V1を計算する。第2振幅計算部42は、I信号とQ信号からf2の反射信号の電圧振幅V2を計算する。振幅比計算部43は、V2/V1またはV1/V2の計算結果を電圧振幅比V21とする。周波数比率演算部51は、電圧振幅比V21に基づいて誤差込みの周波数比率を求める。
図27のフローチャートは、第3実施形態の折り返し補正部36の計算制御の内容を示す。第1実施形態の折り返し補正部36の計算制御(図10参照)と異なる点は、ステップS40に代えてステップS405を実行するように構成した。即ち、ステップS30を実行した後、ステップS405へ進み、ステップS30の計算結果に、誤さ込みの周波数比率を乗算する。この後、ステップS50からステップS100までの処理は、第1実施形態と同様にして実行する。
図28のフローチャートは、周波数比率計算部50の計算制御の内容を示す。まず、図28のステップS210においては、信号f1のI信号とQ信号のそれぞれの電圧(I1,Q1)からf1の反射信号の電圧振幅V1を計算する。V1の計算式は、ステップS210内に示す。
続いて、ステップS220へ進み、信号f2のI信号とQ信号のそれぞれの電圧(I2,Q2)からf2の反射信号の電圧振幅V2を計算する。V2の計算式は、ステップS220内に示す。
次いで、ステップS230へ進み、電圧振幅比V21=V2/V1またはV21=V1/V2を計算する。そして、ステップS2405へ進み、上記計算した電圧振幅比V21に基づいて誤差込みの周波数比率を求める(即ち、周波数比率演算部51の機能)。
尚、上述した以外の第3実施形態の構成は、第1実施形態または第2実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第3実施形態においても、第1実施形態または第2実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第3実施形態によれば、2つの異なる周波数の信号f1、f2の電圧振幅比から誤差込みの周波数比率を求め、折り返し判定を行う機能を備えたので、位相誤差が大きく無視できない場合においても、折り返し回数の丸め込み判定を正確に行なうことができ、検出精度を向上させることができる。
(第4実施形態)
図29及び図30は、第4実施形態を示すものである。尚、第2実施形態または第3実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第4実施形態では、3つの異なる周波数の信号の電圧振幅比を用いて折り返し判定を行うように構成した。
SAWデバイス11の挿入ロスの周波数特性が、図29に示すような特性の曲線h1であったとする。この特性h1においては、f1とf2の信号の電圧振幅比V21の増減が周波数によって変化する。そのため、図30に示すように、同じ電圧振幅比を持つ3つの領域、即ち、領域(1)、領域(2)、領域(3)が存在し、正しい領域を特定しなければ物理量を誤ってしまう。図30における曲線i1が電圧振幅比V21の特性を示す。
第4実施形態においては、異なる周波数f3を加えて3つの領域の中のいずれであるかの特定を行う。まず、3つの周波数の信号から2つの電圧振幅比V31(即ち、V3/V1またはV1/V3)、V23(即ち、V2/V3またはV3/V2)をそれぞれ求める。そして、これらの差分(V23-V31)の符号から領域の特定を行う。図30において、曲線i2が電圧振幅比V31の特性を示し、曲線i3が電圧振幅比V23の特性を示し、曲線i4が電圧振幅比の差分(V23-V31)の特性を示す。
図30に示すように、差分(V23-V31)の符号が例えば正であった場合、領域(2)であると特定できる。また、領域(1)、領域(3)においては、差分(V23-V31)がどちらも負であるが、物理量差が大きいので、2周波差分の特性を用いて領域を特定することができる。尚、f3の周波数は、f2とf1の中間付近の値が望ましい。そして、領域を特定し、電圧振幅比より物理量を推定した後は、第2実施形態または第3実施形態のうちの適切な方の制御を実行するように構成されている。
(第5実施形態)
図31ないし図33は、第5実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第5実施形態では、電圧振幅比を用いた位相誤差補正方法で用いるSAWデバイスにおいて、位相検出用の反射器と振幅検出用の反射器を共用するように構成した。
図31に示すSAWデバイス55は、2つの反射器56、57を有し、これら2つの反射器56、57をIDT15の例えば右側に配設した。2つの反射器56、57は、伝搬路長が異なり、反射波が時間分離されるように配置されている。反射器56の伝搬路長の方が、反射器57の伝搬路長よりも短い。これら2つの反射器56、57からの信号の位相の差分を取ることにより、アンテナでの位相回転をキャンセルすることができる。
図31に示すSAWデバイス55においては、2つの反射器56、57で伝搬路を一部共通化させているので、圧電体基板13の温度勾配の影響を抑制することができる。一方、上記SAWデバイス55においては、IDT15が双方向性を持つ構成であるから、反射器56、57が無い方向、即ち、図31中の左方に出力されたSAWのエネルギーは例えば3dBの損失となる。
次に、図32に示すSAWデバイス60は、2つの反射器61、62を有し、これら2つの反射器61、62をIDT15の両側に配設した。2つの反射器61、62は、伝搬路長が異なり、反射波が時間分離されるように配置されている。反射器61の伝搬路長の方が、反射器62の伝搬路長よりも長い。このSAWデバイス60は、SAWのエネルギーを損失なく利用できるが、2つの反射器61、62の伝搬路を共通化していないため、圧電体基板13の温度勾配などによる誤差が発生するおそれがある。
これら2つのSAWデバイス55、60においては、位相情報は2つの反射器56、57、61、62からの信号に基づいて得ることができ、また、振幅情報は2つの反射器56、57、61、62のうちのいずれか一方の反射器からの信号に基づいて得ることができる。SAWデバイス55、60においては、IDT15と反射器56、57、61、62の膜厚、配線のL/S、即ち、電極のラインとスペースの幅は、同じである。このため、SAWデバイス55、60の挿入ロスの周波数特性は、位相検出用と振幅検出用で共通である。図33おいて、曲線h2は、位相検出用と振幅検出用の共通の挿入ロスの周波数特性を示す。即ち、位相検出用の挿入ロスの周波数特性と、振幅検出用の挿入ロスの周波数特性が重なっている状態を示す。
また、図31において、SAWデバイス55の圧電体基板13の左右の端面13aの位置は、端面13aからのSAWの反射波が反射器56、57からの反射波と干渉しない位置に配置されていることが望ましい。また、端面処理ができる場合には、チップサイズが小さくなるように、端面13aを極力IDT15または反射器56、57に近い位置に配置するように構成することが望ましい。尚、2つの反射器56、57、61、62を有するSAWデバイス55、60の場合には、それぞれの周波数に対し2つずつ反射信号の位相が得られる。それぞれの周波数において、2つの反射器56、57、61、62からの信号の位相の差分を取った後は、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態のうちのいずれかの制御を実行するようになっている。
上述した以外の第5実施形態の構成は、第1実施形態の構成、第2実施形態または第3実施形態と同じ構成となっている。従って、第2実施形態においても、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態とほほ同じ作用効果を得ることができる。
(第6実施形態)
図34及び図35は、第6実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第6実施形態では、電圧振幅比を用いた位相誤差補正方法で用いるSAWデバイスにおいて、位相検出用の反射器と振幅検出用の反射器を分離するように構成した。
第5実施形態のSAWデバイス55、60は、位相検出用の反射器と振幅検出用の反射器が共用のため、挿入ロスの周波数特性が同じである。位相検出用は、広いダイナミックレンジを確保するために、高帯域である必要がある。一方、振幅検出用は、検出精度を高めるために、ピークの形が急峻である必要がある。位相検出用と振幅検出用素子を共通化させる構成の場合、トレードオフで用いなければならないため、システムの特性の最大化ができない場合がある。
この対策として、第6実施形態では、反射器を1つ追加し、位相検出用の反射器と振幅検出用の反射器を分離させた。具体的には、図34に示すように、SAWデバイス65は、位相検出用の反射器66と、振幅検出用の反射器67とを有し、これら2つの反射器66、67をIDT15の両側に配設した。位相検出用の反射器66と、振幅検出用の反射器67は、伝搬路長が異なる。この構成の場合、位相検出用の反射器66の伝搬路長の方が、振幅検出用の反射器67よりも長くなるように構成されている。
また、振幅検出用の反射器67は、位相検出用の反射器66よりも電極の本数、即ち、反射基本数を多くするように構成した。尚、位相検出用の反射器66は、第4実施形態の反射器56、57と同様な構成の反射器68、69を有している。
上述した以外の第6実施形態の構成は、第1実施形態と同じ構成となっている。従って、第6実施形態においても、第1実施形態とほほ同じ作用効果を得ることができる。特に、第6実施形態においては、位相検出用の反射器66と振幅検出用の反射器67をIDT15の両側に配設し、位相検出用の反射器66の伝搬路長と振幅検出用の反射器67の伝搬路長が異なるように構成し、位相検出用の反射器66と振幅検出用の反射器67とを時間分離させるように構成した。この構成によれば、SAWデバイスの片側に反射器を配設することでSAWデバイスの損失となっていたSAWのエネルギーを有効に活用することができる。
また、第6実施形態では、振幅検出用の反射器67は、位相検出用の反射器66よりも電極の本数を多くした。これにより、図35に示すように、振幅検出用の挿入ロスの周波数特性は、位相検出用の挿入ロスの周波数特性よりも急峻な挿入ロスの周波数特性を得ることができる。図35において、曲線h3は位相検出用の挿入ロスの周波数特性を示し、曲線h4は振幅検出用の挿入ロスの周波数特性を示す。尚、IDT15と各反射器66、67においては、電極膜厚および電極のL/Sは同じに設定されている。
また、振幅検出用の反射器67の伝搬路長は、反射波が干渉し合わなければ位相検出用の反射器66の伝搬路長よりも長くても良いし、また、短くても良い。但し、位相検出用の反射器66は、伝搬路長が長いほど、SAWデバイスの物理量感度が向上するため、振幅検出用の反射器67の伝搬路長は短く構成した方が望ましい。
(第7実施形態)
図36及び図37は、第7実施形態を示すものである。尚、第6実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第6実施形態では、振幅検出用の反射器67は、位相検出用の反射器66よりも電極の本数を多くして、振幅検出用の挿入ロスの周波数特性を急峻にした。これに対して、第7実施形態では、IDTの電極の対数を調整することにより、振幅検出用の挿入ロスの周波数特性を急峻にするように構成した。
第7実施形態では、図36に示すように、SAWデバイス70のIDT71は、位相検出用と振幅検出用を分離しており、位相検出用のIDT72と、振幅検出用のIDT73を有する。位相検出用のIDT72と、位相検出用の反射器66とから位相検出用のSAWデバイス74が構成されている。また、振幅検出用のIDT73と、振幅検出用の反射器75とから振幅検出用のSAWデバイス76が構成されている。
振幅検出用のIDT73は、位相検出用のIDT72よりも電極の対数を多くした。これにより、図37に示すように、振幅検出用の挿入ロスの周波数特性は、位相検出用の挿入ロスの周波数特性よりも急峻な挿入ロスの周波数特性を得ることができる。図37において、曲線h5は位相検出用の挿入ロスの周波数特性を示し、曲線h6は振幅検出用の挿入ロスの周波数特性を示す。尚、IDT71、72、73と各反射器66、75においては、電極膜厚および電極のL/Sは同じに設定されている。
上述した以外の第7実施形態の構成は、第6実施形態と同じ構成となっている。従って、第7実施形態においても、第6実施形態とほほ同じ作用効果を得ることができる。
(第8実施形態)
図38及び図39は、第8実施形態を示すものである。尚、第6実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第6実施形態では、振幅検出用の反射器67は、位相検出用の反射器66よりも電極の本数を多くして、振幅検出用の挿入ロスの周波数特性を急峻にするように構成した。これに対して、第8実施形態では、振幅検出用の反射器の電極のL/S、即ち、電極のラインとスペースの幅を、IDTや位相検出用の反射器66のL/Sと変える、即ち、ずらすことで、振幅検出用の挿入ロスの周波数特性を急峻にした。
具体的には、図38に示すように、振幅検出用の反射器80の電極のL/S、即ち、電極のラインとスペースの幅を、IDT15や反射器66のL/Sと変える、例えば、振幅検出用の反射器80の電極のラインとスペースの幅を、IDT15や反射器66の電極のラインとスペースの幅よりも広くするように構成した。これにより、図39に示すように、振幅検出用の挿入ロスの周波数特性は、位相検出用の挿入ロスの周波数特性よりも急峻な挿入ロスの周波数特性を得ることができる。図39において、曲線h7は位相検出用の挿入ロスの周波数特性を示し、曲線h8は振幅検出用の挿入ロスの周波数特性を示す。尚、位相検出用の反射器66の電極のラインとスペースの幅は、IDT15の電極のラインとスペースの幅と同じに設定されている。また、電極膜厚は、IDT15、反射器66、反射器80全て同じに設定されている。
上述した以外の第8実施形態の構成は、第6実施形態と同じ構成となっている。従って、第8実施形態においても、第6実施形態とほほ同じ作用効果を得ることができる。特に、第8実施形態によれば、反射器80の反射基本数を増やす必要が無いので、反射波の励振が収まるまでの時間が短くなり、伝搬路長を短くすることができる。よって、SAWデバイスのチップサイズを小さくすることができる。
(第9実施形態)
図40は、第9実施形態を示すものである。尚、第6実施形態または第8実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第6実施形態または第8実施形態では、位相検出用の反射器と振幅検出用の反射器を、IDTの両側に配置するように構成したが、第9実施形態では、位相検出用の反射器と振幅検出用の反射器を、IDTの片側に配置するように構成した。
具体的には、図40に示すように、IDT81の片側例えば右側に、位相検出用の反射器82と、振幅検出用の反射器83を配置した。この場合、振幅検出用の反射器83の伝搬路長を、位相検出用の反射器82の伝搬路長よりも短くするように構成した。
上述した以外の第9実施形態の構成は、第6実施形態または第8実施形態と同じ構成となっている。従って、第9実施形態においても、第6実施形態または第8実施形態とほほ同じ作用効果を得ることができる。
(第10実施形態)
図41及び図42は、第10実施形態を示すものである。SAWデバイスの反射器としては、図41に示すOPEN型の反射器84と、図42に示すSHORT型の反射器85とがある。OPEN型の反射器84とSHORT型の反射器85は、反射特性が異なる。反射器は、圧電材料や電極材料の物性、SAWデバイスの設計などによって適切な型が異なる。上述した第1実施形態ないし第9実施形態においては、OPEN型の反射器84を用いるように構成したが、SHORT型の反射器85を用いるように構成しても良い。即ち、SAWデバイスの特性として、最大限の特性が得られる構成となれば、OPEN型の反射器84またはSHORT型の反射器85のいずれを使用しても良い。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図面中、10はSAW無線センサ、11はSAWデバイス、12はセンシング装置、15は櫛形電極、16は反射器、21は切替スイッチ、23は同期検波回路、24は位相物理量計算回路、35は位相計算部、36は折り返し補正部、37は物理量計算部、40は位相誤差計算部、41は第1振幅計算部、42は第2振幅計算部、43は振幅比計算部、44は位相誤差算出部、50は周波数比率計算部、51は周波数比率演算部、55はSAWデバイス、56、57は反射器、60はSAWデバイス、61、62は反射器、65はSAWデバイス、66は反射器、67は反射器、68は反射器、69は反射器、70はSAWデバイス、71はIDT、72はIDT、73はIDT、74はSAWデバイス、75は反射器、76はSAWデバイス、80は反射器、81はLDT、82は反射器、83は反射器、84は反射器、85は反射器である。

Claims (11)

  1. SAWデバイス(11)と、
    前記SAWデバイスと通信可能に接続され、SAWデバイスで検出されたSAWの検出信号の位相を検出するセンシング装置(12)とを備え、
    前記センシング装置は、第1信号を前記SAWデバイスに入力して得られるSAWの第1検出信号の位相と、第1信号と周波数が異なる第2信号を前記SAWデバイスに入力して得られるSAWの第2検出信号の位相の差である2周波差分の特性に基づいて、検出信号の位相の折り返し回数を求め、折り返しの補正を行う折り返し補正部(36)を有するように構成され
    前記第1検出信号と前記第2検出信号の電圧振幅比を用いて位相誤差を直接補正する位相誤差補正部(40)を備えたSAWセンサ。
  2. SAWデバイス(11)と、
    前記SAWデバイスと通信可能に接続され、SAWデバイスで検出されたSAWの検出信号の位相を検出するセンシング装置(12)とを備え、
    前記センシング装置は、第1信号を前記SAWデバイスに入力して得られるSAWの第1検出信号の位相と、第1信号と周波数が異なる第2信号を前記SAWデバイスに入力して得られるSAWの第2検出信号の位相の差である2周波差分の特性に基づいて、検出信号の位相の折り返し回数を求め、折り返しの補正を行う折り返し補正部(36)を有するように構成され、
    前記第1検出信号と前記第2検出信号の電圧振幅比を用いて位相誤差を含んだ周波数比率を求める周波数比率計算部(50)を備えたSAWセンサ。
  3. 前記第1検出信号と、前記第2検出信号と、第1信号及び第2信号と周波数が異なる第3信号を前記SAWデバイスに入力して得られるSAWの第3検出信号の電圧振幅比を用いて、位相誤差を含んだ周波数比率を求める周波数比率計算部(50)を備えた請求項1記載のSAWセンサ。
  4. 前記SAWデバイスは、2つの反射器(56、57、61、62)を備えるように構成された請求項1から3のいずれか一項記載のSAWセンサ。
  5. 前記SAWデバイスは、位相検出用の反射器(66)と、振幅検出用の反射器(67)とを備え、
    前記振幅検出用の反射器は、電極の本数を調整されるように構成された請求項1から3のいずれか一項記載のSAWセンサ。
  6. 前記SAWデバイスは、櫛形電極(72、73)と、位相検出用の反射器と、振幅検出用の反射器とを備え、
    前記櫛形電極は、電極の対数を調整されるように構成された請求項1から3のいずれか一項記載のSAWセンサ。
  7. 前記SAWデバイスは、位相検出用の反射器と、振幅検出用の反射器(80)とを備え、
    前記振幅検出用の反射器は、電極のライン幅とスペース幅を調整されるように構成された請求項1から3のいずれか一項記載のSAWセンサ。
  8. 前記SAWデバイスは、位相検出用の反射器と、振幅検出用の反射器が、櫛形電極の両側に配置されるように構成された請求項5又は7記載のSAWセンサ。
  9. 前記SAWデバイスは、位相検出用の反射器(82)と、振幅検出用の反射器(83)が、櫛形電極(81)の片側に配置されるように構成された請求項5又は7記載のSAWセンサ。
  10. 前記SAWデバイスは、前記反射器として、OPEN型の反射器(84)を用いるように構成された請求項4から9のいずれか一項記載のSAWセンサ。
  11. 前記SAWデバイスは、前記反射器として、SHORT型の反射器(85)を用いるように構成された請求項4から9のいずれか一項記載のSAWセンサ。
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