JP2015139441A - 昆虫類駆除方法、昆虫類駆除システム及び植物栽培装置 - Google Patents

昆虫類駆除方法、昆虫類駆除システム及び植物栽培装置 Download PDF

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正樹 藤金
真里 小野寺
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真里 小野寺
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Shinichi Imai
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Abstract

【課題】液体中に放電空間を形成することにより、液体中に存在する昆虫類を駆除する昆虫類駆除方法を提供する。【解決手段】本開示の昆虫類駆除方法は、液体中に気体を供給して生成した気流内で放電空間を形成する。そして、放電空間を形成した後の液体を昆虫類に接触させることにより、昆虫類の駆除を行う。【選択図】図1

Description

本開示は、昆虫類を駆除する昆虫類駆除方法、昆虫類駆除システム及び植物栽培装置に関する。
従来、昆虫類を駆除するものとして、蚊又はハエを駆除する蚊又はハエ取り線香がある(例えば、特許文献1参照。)。蚊又はハエ取り線香は、殺虫成分となる薬剤を含む混合粉を渦巻き状にしたものである。蚊又はハエ取り線香は、線香の端部を燃やして殺虫成分を空気中に放出させることによって、蚊又はハエを駆除している。
殺虫成分となる薬剤を使用せずに昆虫類を駆除するものとして、産卵容器内で孵化した蚊の幼虫(ボウフラ)を死滅させるボウフラ発生防止具がある(例えば、特許文献2参照。)。このボウフラ発生防止具は、銅又はスズを、水を入れた産卵容器内に入れ、殺虫作用の強い銅イオン又はスズイオンを産卵容器内の水中に溶解させることにより、産卵容器内で孵化したボウフラを死滅させている。
特開2013−18775号公報 特開平1−273534号公報
しかしながら、昆虫類の駆除方法として、薬剤又は金属イオンを使用しない駆除方法、昆虫類駆除システム及び植物栽培装置が求められている。特に、植物栽培に昆虫類駆除機能を付加する場合には、植物への影響を考慮し薬剤の使用を回避することが望ましい。
したがって、本開示は、薬剤又は金属イオンを使用しない昆虫類駆除方法、昆虫類駆除システム及び植物栽培装置を提供することを目的とする。
本開示に係る昆虫類駆除方法は、
液体中に気体を供給して生成した気流内で放電空間を形成し、
当該放電空間を形成した後の液体を昆虫類に接触させる。
上記の概括的かつ特定の態様は、昆虫類駆除方法、昆虫類駆除システム及び植物栽培装置の任意の組み合わせにより実現してもよい。
本開示に係る昆虫類駆除方法、昆虫類駆除システム及び植物栽培装置によれば、薬剤又は金属イオンを使用せずに、昆虫類の駆除を行うことができる。
本開示の実施の形態1に係る昆虫類駆除装置を示す概略図である。 本開示の実施の形態1に係る昆虫類駆除方法のフローチャートである。 本開示の実施の形態1における第1の電極ユニットの構成を示す断面図である。 本開示の実施の形態1に係る別の昆虫類駆除装置を示す概略図である。 本開示の実施の形態1における別の第1の電極ユニットの構成を示す断面図である。 本開示の実施の形態1に係る別の昆虫類駆除装置を示す概略図である。
本開示の第1の態様に係る昆虫類駆除方法は、液体中に気体を供給して生成した気流内で放電空間を形成し、
当該放電空間を形成した後の液体を昆虫類に接触させる。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、薬剤又は金属イオンを使用せずとも昆虫類を駆除することができる。さらに、本開示の昆虫類駆除方法によれば、環境に与える負荷が小さい。植物栽培装置においては、栽培している植物への影響を低減することができる。
本開示の第2の態様に係る昆虫類駆除方法は、前記第1の態様における前記放電空間内でプラズマを発生させる。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、放電空間内で発生したプラズマにより活性種を生成することができる。
本開示の第3の態様に係る昆虫類駆除方法は、
第1の電極の少なくとも一部と第2の電極の少なくとも一部とを液体中に浸漬するステップと、
気体供給部が前記液体中に気体を供給することによって前記液体中に気流を生成するステップと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して、前記気流内で放電することにより放電空間を形成するステップと、
を含み、
前記放電空間を形成した後の液体を昆虫類に接触させる。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、薬剤又は金属イオンを使用せずとも昆虫類を駆除することができる。さらに、本開示の昆虫類駆除方法によれば、環境に与える負荷が小さい。植物栽培装置においては、栽培している植物への影響を低減することができる。
本開示の第4の態様に係る昆虫類駆除方法においては、前記第3の態様における前記放電空間を形成するステップは、液体中に放電空間を形成することによって活性種を生成することを含み、前記活性種を含む液体を昆虫類に接触させる。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、放電空間を形成した後の液体(処理された液体)中に存在する活性種により昆虫類を駆除することができる。
本開示の第5の態様に係る昆虫類駆除方法においては、前記第3又は第4の態様における前記放電空間を形成するステップは、昆虫類が存在する液体中に前記放電空間を形成する。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、処理された液体を確実に昆虫類に接触させることができる。
本開示の第6の態様に係る昆虫類駆除方法においては、前記第3又は第4のいずれかの態様における前記放電空間を形成した後の液体を、昆虫類が存在する水槽に供給するステップをさらに含む。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、処理された液体を、昆虫類の存在する水槽に移して昆虫類を駆除することができる。このように、本開示の昆虫類駆除方法は、処理された後の液体を別の場所に移して使用することで使い勝手を向上させることができる。
本開示の第7の態様に係る昆虫類駆除方法においては、前記第5又は第6の態様における前記液体の液面の上昇と下降とを実行するステップをさらに含む。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、液体中に昆虫類を引き込むことができるため、効率良く昆虫類を駆除することができる。
本開示の第8の態様に係る昆虫類駆除方法においては、前記第1〜7のいずれかの態様における前記昆虫類は、ボウフラである。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、昆虫類として、ボウフラを駆除することができる。
本開示の第9の態様に係る昆虫類駆除方法においては、前記第3〜8のいずれかの態様における前記放電空間を形成するステップは、1日の入力電力量が、液体1リットルあたり60Wh以上となるまで電力を印加した後に、印加を停止する。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、昆虫類の駆除作用、産卵誘発作用、及び孵化抑制作用を確実に継続することができる。
本開示の第10の態様に係る昆虫類駆除方法においては、前記第3〜9のいずれかの態様における前記放電空間を形成するステップは、前記放電空間内でプラズマを発生させる。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除方法は、放電空間内で発生したプラズマにより活性種を生成することができる。
本開示の第11の態様に係る植物栽培装置は、
植物を栽培する栽培槽と、
前記栽培槽に併設され、液体の液面が外気に接するように開口した水槽と、
前記水槽内の液体中に放電空間を形成する放電デバイスと、
を備える。
このような構成により、本開示の植物栽培装置は、植物に害を及ぼす昆虫類を駆除することができる。
本開示の第12の態様に係る植物栽培装置においては、前記第11の態様における前記放電デバイスは、
前記液体中に少なくとも一部を浸漬する第1の電極と、
前記液体中に少なくとも一部を浸漬する第2の電極と、
前記第1の電極の周囲に空間を形成するように配置された絶縁体であって、前記水槽内の液体と前記空間とを連通するように設けられた開口部を有する絶縁体と、
前記第1の電極と前記絶縁体との間の空間に気体を供給する気体供給部と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して、前記水槽内の液体中に放電空間を形成する電源と、
を備える。
このような構成により、本開示の植物栽培装置は、植物に害を及ぼす昆虫類を駆除することができる。
本開示の第13の態様に係る植物栽培装置においては、前記第11又は第12のいずれかの態様における前記水槽内の液面の上昇と下降とを制御する制御部をさらに備える。
このような構成により、本開示の植物栽培装置は、水槽内の液体中に、植物に害を及ぼす昆虫類を引き込むことができるため、効率良く昆虫類を駆除することができる。
本開示の第14の態様に係る植物栽培装置においては、前記第11〜13のいずれかの態様における前記放電空間内でプラズマを発生させる。
このような構成により、本開示の植物栽培装置は、液体中の放電空間内で発生したプラズマにより活性種を生成することができる。
本開示の第15の態様に係る昆虫類駆除システムは、
液体の液面が外気に接するように開口した水槽と、
前記液体中に少なくとも一部を浸漬する第1の電極と、
前記液体中に少なくとも一部を浸漬する第2の電極と、
前記第1の電極の周囲に空間を形成するように配置された絶縁体であって、前記水槽内の液体と前記空間とを連通するように設けられた開口部を有する絶縁体と、
前記第1の電極と前記絶縁体との間の空間に気体を供給する気体供給部と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して、前記液体中に放電空間を形成する電源と、
前記水槽内の液面の上昇と下降とを制御する制御部と、
を備える。
このような構成により、本開示の昆虫類駆除システムは、薬剤又は金属イオンを使用せずとも昆虫類を駆除することができる。また、本開示の昆虫類駆除システムで放電空間を形成した後の液体(処理された液体)は、昆虫類の駆除作用、産卵誘発作用、及び孵化抑制作用が長時間継続する。さらに、本開示の昆虫類駆除システムによれば、環境に与える負荷が小さい。
(本開示に係る一形態を得るに至った経緯)
前述の「背景技術」の欄で説明したように、従来の昆虫類を駆除するものとして、殺虫成分を含む薬剤を使用する蚊又はハエ取り線香、又は殺虫作用の強い銅イオンなどを使用するボウフラ発生防止具が開示されている。しかし、蚊又はハエ取り線香は、殺虫効果の持続性がないという課題があった。また、銅は、環境基準値により排水量が規制されている。そのため、銅イオンを水中に溶解させるボウフラ発生防止具は、環境負荷の観点から好ましくないという課題があった。
そこで、本発明者らは、薬剤又は銅イオンなどを使用せずに、電気的作用によって昆虫類を駆除できることを見出し、本開示に至った。本開示の昆虫類駆除方法は、第1の電極と第2の電極の少なくとも一部を液体中に浸漬し、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することにより、液体中に放電空間を形成している。そして、放電空間を形成した後の液体を昆虫類に接触させることにより、昆虫類を駆除する。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の全ての図において、同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態1に係る昆虫類駆除方法を実施する装置について説明する。
[装置構成]
図1は、本開示の実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100の全体構成を示す概略図である。図1に示すように、実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100は、液体109中で放電を生じさせる放電デバイスを備える。実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100は、放電デバイスとして、第1の電極102と、第2の電極103と、電源104と、を備える。実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100は、液体109を入れる処理槽101と、昆虫類と液体109が入れられる水槽113と、を備えてもよい。処理槽101と水槽113とは、配管114および循環ポンプ115によって接続されてもよい。また、実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100は、水槽113に入れられた液体109の液面の高さを制御する制御部116を備えてもよい。なお、実施の形態1の昆虫類駆除装置100において、処理槽101、水槽113、配管114、循環ポンプ115、制御部116は、必須の構成要素ではない。また、実施の形態1における放電デバイスは、上記構成に限定されない。
以下の実施の形態1においては、処理槽101と、第1の電極102と、第2の電極103と、電源104と、水槽113と、配管114と、循環ポンプ115と、制御部116と、を備える昆虫類駆除装置100について説明する。また、実施の形態1において、昆虫類は、一例として、蚊の幼虫(ボウフラ)117で説明する。
図1に示すように、第1の電極102の少なくとも一部と第2の電極103の少なくとも一部とがそれぞれ液体109中に浸漬されている。実施の形態1においては、液体109は、処理槽101に入れられているため、第1の電極102と第2の電極103とは、処理槽101の壁に、貫通して配置されている。第1の電極102と第2の電極103との間には、電圧を印加する電源104が接続されている。処理槽101と水槽113とは、配管114および循環ポンプ115によって接続されている。よって、液体109は、処理槽101内と水槽113内とを、配管114と循環ポンプ115とによって循環することができる。水槽113内の液体109中には、ボウフラ117が存在する。また、水槽113には、制御部116が備えられており、水槽113内の液体109の液面の高さを制御することができる。
実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100は、第1の電極102と第2の電極103とを液体109中に浸漬し、電源104によって第1の電極102と第2の電極103との間に電圧を印加することにより、液体109中に放電空間を形成する構成となっている。放電空間とは、第1の電極102と第2の電極103との間に電圧を印加することにより、液体109中に放電が生じる空間である。実施の形態1においては、この放電空間内でプラズマを発生させ、処理槽101内の液体をプラズマ処理している。実施の形態1では、液体109中で放電を生じさせるために、液体109中に気流を生成してもよい。液体109中に気流を生成する方法としては、任意の方法がある。例えば、気体供給部によって液体109中に気体を供給することにより、気流を生成してもよい。なお、本明細書における「気流」とは、液体中に発生する流れを伴う気体の塊のことを言う。
次に、実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100の各構成部品について説明する。
<第1の電極>
第1の電極102は、処理槽101内に少なくとも一部が配置され、液体109中に浸漬している。実施の形態1においては、第1の電極102は、例えば、直径0.95mmの円柱形状を有し、タングステンから形成される。第1の電極102の直径は、プラズマが発生する直径(例えば、直径2mm以下)であればよい。第1の電極102の形状は、円柱形状に限定されない。例えば、第1の電極102一端から他端までの径が実質的に変わらない柱形状であってもよい。針状のように、端に向かうほど細くなり最端部では実質的な厚みが無い形状の場合、必要以上に先端部に電界が集中してしまうことや、使用のうちに劣化してしまうことにより、好ましくない。第1の電極102の材料は、タングステンに限られるものではなく、他の耐プラズマ性の金属材料を用いてもよい。第1の電極102の材料は、耐久性は悪化するが、例えば、銅、アルミニウム、鉄、白金、又はそれらの合金から形成されてもよい。さらに、第1の電極102の表面の一部に、導電性物質が添加された1〜30Ωcmの電気抵抗率を有する酸化イットリウムの溶射を行ってもよい。酸化イットリウムの溶射により、電極寿命が長くなるという効果が得られる。
<第2の電極>
第2の電極103は、処理槽101内に少なくとも一部が配置され、液体109中に浸漬している。実施の形態1において、第2の電極103は、直径1mmの円柱形状を有し、タングステンから形成される。第2の電極103は、この形状、サイズ、材料に限定されない。また、第2の電極103は、導電性の金属材料から形成されていればよい。例えば、第1の電極102と同様に、鉄、タングステン、銅、アルミニウム、白金、又はそれらの金属から選ばれる1又は複数の金属を含む合金などの材料から形成されてもよい。
なお、第1の電極102と第2の電極103との間の距離は任意でよい。実施の形態1では、電極間距離を規定する必要はなく、第1の電極102と第2の電極103との間の距離が離れていても放電空間を形成し、プラズマを生成することが可能である。
さらに、第1の電極102と第2の電極103を対向させる必要もない。第2の電極103の少なくとも一部が液体109と接触する位置であれば、第2の電極103を配置する位置に制約はない。
<電源>
電源104は、第1の電極102と第2の電極103との間に配置されている。電源104は、第1の電極102と第2の電極103との間にパルス電圧又は交流電圧を印加できる。電圧波形は、例えば、パルス状、正弦半波形、又は正弦波状のいずれかであってもよい。また、パルス電圧の周波数について特に制約はなく、例えば1Hz〜100kHzのパルス電圧の印加により、液体109中に放電空間を形成し、プラズマを十分に生成できる。周波数が大きいほどプラズマを生成している累積時間が長くなる。一方、電力については電源の能力だけで決まらず、負荷のインピーダンスとの兼ね合いによって決まることは言うまでもない。また、パルス電圧を印加する際に正のパルス電圧と負のパルス電圧を交互に印加する、いわゆるバイポーラーパルス電圧を印加すれば電極の寿命が長くなるという利点もある。
<処理槽>
処理槽101は、液体109が入れられる。処理槽101は、例えば、循環ポンプ115を備えた配管114で水槽113と接続されていてもよい。処理槽101内の液体109は、循環ポンプ115と配管114によって、処理槽101内と水槽113内とを循環する。
<水槽>
水槽113は、処理槽101で処理された液体109が入れられる。水槽113は、液体109の液面が外気に接するように開口している。実施の形態1では、水槽113内に存在するボウフラ117に処理槽101で処理した液体109を接触させることで、ボウフラ117を駆除している。水槽113の内壁には、蚊が産卵しやすいように産卵場を設けてもよい。例えば、水槽113の内壁面に凹凸を設ける、又はろ紙を貼るなどしてもよい。蚊の産卵場を設ける場合、産卵場は、水の流入流出口から離れた、水面の変化が激しくない場所に設置してもよい。
<制御部>
制御部116は、水槽113内の液体109の液面の高さを制御する。制御部116は、水槽113内の液体109の液面を上昇させることにより、水槽113の内壁に産卵された蚊の卵を液体109中に浸漬させる。このとき、液面センサーによって、産卵場が液体109に接触したと検知された時点で液面の上昇を停止してもよい。本実施の形態では、液面を上昇させて卵を液体に浸漬させることで、卵と放電空間を形成した後の液体とを接触させることができる。後述するが、本開示の昆虫類駆除方法は、卵に放電空間を形成した後の液体109を接触させることによって、孵化したボウフラが生存できなくなる効果を発揮する。制御部116は、蚊の卵を液体109に浸漬した後に、水槽113内の液体109の液面を下降させて、再び蚊の産卵場である水槽113の内壁面を露出させる。制御部116は、水槽113内の液体109の液面を上昇させた後、一定期間経過後に液面を下降させることができる。なお、水面の変化が激しい場所においては蚊が産卵しづらいことがわかっている。このため、液面の上昇及び下降が次に繰り返されるまでの時間間隔は長くしてもよい。蚊の卵は短くて2〜3日で孵化することから、例えば、半日〜1日の範囲の時間間隔で液面の上昇及び下降を実行するように制御してもよい。また、液面の上昇及び下降は、繰り返し行ってもよい。制御部116は、循環ポンプ115に接続して、処理槽101からの液体109の流量を調整することにより、液面の高さを制御してもよい。
<昆虫類駆除方法>
実施の形態1に係る昆虫類駆除方法について図2を用いて説明する。図2は、実施の形態1に係る昆虫類駆除方法のフローチャートである。
図2に示すように、ステップS1は、第1の電極102の少なくとも一部と第2の電極103の少なくとも一部とを液体109中に浸漬する。実施の形態1においては、液体109は、処理槽101に入れられている。そのため、第1の電極102の少なくとも一部と第2の電極103の少なくとも一部とは、処理槽101の壁面を貫通させて配置する。
ステップS2は、液体109中に気流を生成する。実施の形態1では、例えば、気体供給部により、第1の電極102近傍に気体を供給して液体109中に気流を生成する方法、又は液体109を沸騰させて気化して気流を生成する方法等を採用することができる。気流を生成する方法は、これらに限定されず、任意の方法で気流を生成してもよい。
ステップS3は、電源104により、第1の電極102と第2の電極103との間に電圧を印加し、気流内で放電空間を形成する。ステップS3は、第1の電極102と第2の電極103との間に電圧を印加することにより、気流内で放電が起こり、放電空間を形成する。そして、この放電空間内において、第1の電極102近傍からプラズマを発生させる。実施の形態1の昆虫類駆除方法は、このプラズマによって、多量の活性種を生成することができる。実施の形態1において、生成される活性種とは、例えば、Hや、H、OHなどのイオン、及び/又はOH、NOなどのラジカルである。
ステップS4は、放電空間を形成した後の液体109を、昆虫類が存在する水槽113に供給する。放電空間を形成した後の液体109とは、放電している状態又は放電終了後の状態で、放電空間にさらされた液体を意味する。また、放電空間を形成した後の液体109は、放電空間内で生じたプラズマによって処理された液体(プラズマ処理水)であって、プラズマにより生成された活性種を含む。ステップS4は、例えば、処理槽101内でプラズマ処理された液体109を、配管114と循環ポンプ115とによってボウフラ117が存在する水槽113内に供給する。水槽113内にプラズマ処理された液体109を供給することによって、水槽113内に存在するボウフラ117が液体109中の活性種と接触する。実施の形態1では、ボウフラ117と活性種とを接触させることによって、ボウフラ117を駆除することができる。
ステップS5は、制御部116によって、水槽113内の液体109の液面の高さを制御する。蚊は、液体109中ではなく、水槽113の内壁に設けた産卵場(例えば、壁面の凹凸又は壁面に配置されたろ紙)に産卵するため、水槽113内の液体109の液面を上昇させることにより、蚊の卵を液体109中に浸漬させることができる。卵を液体に浸漬させることで、卵と放電空間を形成した後の液体109とを接触させることができる。後述するが、本開示の昆虫類駆除方法は、卵に放電空間を形成した後の液体109を接触させることによって、孵化したボウフラが生存できなくなる効果を発揮する。制御部116は、水槽113内の液体109の液面を上昇させた後、再び蚊に水槽113の産卵場で卵を産ませるために、液面を下降させる。液面の上昇及び下降は、一定の期間繰り返して行ってもよい。
なお、実施の形態1では、液面を上昇させることにより卵を液体中に浸漬させる構成を有するが、必ずしもこの形態に限定されない。蚊の卵は水に浸漬しなければ孵化しないため、浸漬前に卵を除去してもよい。後述するが、ステップ3によって、液体中に放電空間を形成しプラズマを発生させた液体は、未処理の液体と比較して蚊の産卵を誘発する効果が高いことが判明している。すなわち、プラズマ処理した液体によって蚊の産卵を誘発し、その後に卵を除去してもよい。
次に、本開示の昆虫類駆除方法の実施例1及び参考例について説明する。
まず、実施例1について説明する。
<実施例1>
実施例1に用いられる昆虫類駆除装置100aは、図1に示す実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100の構成に加えて、気体供給部105をさらに備えている。また、実施例1における第1の電極102aの周辺の電極構成では、第1の電極ユニット150aを用いている。
実施例1における第1の電極ユニット150aについて図3及び図4を用いて説明する。図3は、実施例1における第1の電極ユニット150aの断面図である。図4は、第1の電極ユニット150aを備えた昆虫類駆除装置100aの概略構成図である。図3に示すように、第1の電極ユニット150aは、第1の電極102aと、絶縁体106と、保持ブロック121と、を備える。また、図4に示すように、実施例1の気体供給部105は、第1の電極ユニット150aに接続されている。実施例1では、放電デバイスとして、第1の電極ユニット150aと、第2の電極103と、電源104と、気体供給部105と、を備える。
第1の電極ユニット150aにおいて、第1の電極102aは、処理槽101内に配置される金属電極部122と、保持ブロック121に接続固定するとともに、電源104と接続する金属固定部123と、を備える。金属電極部122の周囲には、空間108を形成するように絶縁体106が設けられている。絶縁体106は、処理槽101内の液体109中に気流111を発生させる開口部107が設けられている。金属固定部123は、外周にネジ部124と、内部に貫通孔125と、を備える。実施例1に用いられる昆虫類駆除装置100aは、気体供給部105から貫通孔125を介して空間108に気体110が供給され、開口部107から液体109中に気流111を生成する。保持ブロック121は、内部に金属固定部123のネジ部124と螺合するネジ部126と、を備える。
次に、実施例1に用いられる昆虫類駆除装置100aにおける各構成部品について説明する。
<第1の電極>
第1の電極102aは、処理槽101内に少なくとも一部が配置され、液体109中に浸漬している。図3に示すように、第1の電極102aは、金属電極部122と、金属固定部123とを備える。金属電極部122と金属固定部123とは、異なるサイズで、異なる材料の金属から形成されていてもよい。実施の形態1においては、金属電極部122は、例えば、直径0.95mmの円柱形状を有し、タングステンから形成される。金属固定部123は、直径3mmの円柱形状を有し、鉄から形成される。金属電極部122の直径は、プラズマ112が発生する直径(例えば、直径2mm以下)であればよい。金属電極部122の形状は、円柱形状に限定されない。例えば、金属電極部122の一端から他端までの径が実質的に変わらない柱形状であってもよい。針状のように、端に向かうほど細くなり最端部では実質的な厚みが無い形状の場合、必要以上に先端部に電界が集中してしまうことや、使用のうちに劣化してしまうことにより、好ましくない。金属電極部122の材料は、タングステンに限られるものではなく、他の耐プラズマ性の金属材料を用いてもよい。金属電極部122の材料は、耐久性は悪化するが、銅、アルミニウム、鉄、白金、又はそれらの合金から形成されてもよい。さらに、金属電極部122の表面の一部に、導電性物質が添加された1〜30Ωcmの電気抵抗率を有する酸化イットリウムの溶射を行ってもよい。酸化イットリウムの溶射により、電極寿命が長くなるという効果が得られる。一方、金属固定部123の直径は、3mmに限られるものではなく、その寸法は金属電極部122の直径よりも大きいものであればよい。金属固定部123の材料は、加工し易い金属材料であればよく、例えば、一般的なネジに用いられている材料である、銅、亜鉛、アルミニウム、錫及び真鍮等であってもよい。第1の電極102aは、例えば、金属電極部122を金属固定部123に圧入することによって形成することができる。このように、金属電極部122にプラズマ耐性の高い金属材料を用い、金属固定部123に加工し易い金属材料を用いることにより、プラズマ耐性を有しながら製造コストの低い、特性を安定化した第1の電極102aを実現できる。
金属固定部123の内部には、気体供給部105に接続される貫通孔125が設けられている。貫通孔125は、絶縁体106と金属電極部122との間に形成される空間108と繋がっている。そのため、気体供給部105からの気体110が貫通孔125を介して空間108に供給される。金属電極部122は、この貫通孔125から供給された気体110によって覆われる。貫通孔125は、金属電極部122の重力方向側に設けてもよい。貫通孔125を金属固定部123の重力方向側に設けることにより、金属電極部122が気体供給部105から供給される気体110で覆われ易くなる。また、貫通孔125の数が2個以上あると、貫通孔125での圧損を抑制するのに有益である。実施の形態1において、貫通孔125の直径は、0.3mmであるが、これに限定されるものではない。
金属固定部123の外周には、ネジ部124を設けてもよい。例えば、金属固定部123の外周のネジ部124が雄ネジの場合、保持ブロック121に雌ネジのネジ部126を設けることで、ネジ部124、126を螺合して第1の電極102aを保持ブロック121に固定することができる。また、金属固定部123を回転させることで、絶縁体106に設けられた開口部107に対する金属電極部122の端面の位置を正確に調整することができる。さらに、電源104との接続固定もネジ部124で螺合して固定できることより、接触抵抗の安定化をもたらし、特性を安定化させることができる。またさらに、気体供給部105と第1の電極102aとの接続が確実にできる。このような工夫は実用化するにあたって防水対策や安全対策上、非常に有益である。
<絶縁体>
絶縁体106は、第1の電極102aの金属電極部122の周囲に空間108を形成するように配置される。空間108には、気体供給部105から気体110が供給され、この気体110によって金属電極部122が覆われる。したがって、金属電極部122の外周は、電極の金属部分である導電体露出部が露出しているにもかかわらず、液体109に直接接触しないようになっている。絶縁体106は、例えば、内径1mmの円筒形状を有しているが、絶縁体106のサイズ、形状はこれに限定されるものではない。
絶縁体106は、開口部107を備える。開口部107は、処理槽101内の液体109中に気流111を発生させるときに、気流111の大きさを決定する機能を有する。なお、実施の形態1では、絶縁体106にアルミナセラミック(酸化アルミニウム)を用いたが、例えば、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、絶縁性のプラスチック、ガラス、及び石英などの材料を用いてもよい。
絶縁体106の開口部107は、図3に示すように、絶縁体106の端面に設けられているが、絶縁体106の側面に設けてもよい。開口部107の位置は、特に限定されない。また、開口部107は、絶縁体106に複数設けてもよい。なお、実施の形態1の絶縁体106の開口部107の直径は、1mmであるが、これに限定されるものではない。例えば、開口部107の直径は、0.3mm〜2mmの範囲であってもよい。
<気体供給部>
気体供給部105は、第1の電極102aの金属固定部123に接続される。気体供給部105は、金属固定部123の内部の貫通孔125を介して空間108に気体110を供給する。供給する気体110は、例えば、空気、He、Ar、またはO等が用いられる。実施の形態1において、気体供給部105から供給される気体供給量は、特に制限はないが、1リットル/minである。気体供給部105としては、例えば、ポンプ等を用いることができる。実施の形態1では、気体供給部105から供給される気体110によって、第1の電極102aの導電体露出部である金属電極部122の表面を覆う気流111を形成する。
<保持ブロック>
保持ブロック121は、第1の電極102aの金属固定部123と絶縁体106とに接続されている。保持ブロック121は、第1の電極102a及び絶縁体106の接続部分において、液体109が漏れないように、シールする構造を有していてもよい。例えば、保持ブロック121は、内部に第1の電極102aの金属固定部123と絶縁体106とをネジ止めするネジ部126を備えた構造としてもよい。シール構造は、これに限定されるものではなく、任意の構造とすることができる。
なお、本明細書において、「金属電極部122(または金属電極部122の表面)が液体109に直接接触しない」とは、金属電極部122の表面が、処理槽101内の大きな塊としての液体と接触しないことをいう。したがって、例えば、金属電極部122の表面が液体109で濡らされている状態で、気流111を発生させたときには、金属電極部122の表面が液体109に濡れたまま(即ち、厳密には金属電極部122の表面が液体109と接触した状態で)、その表面を気流111内の気体で覆う状態が生じることがある。本明細書においては、その状態も「金属電極部122が液体109に直接接触しない」状態に含まれるものとする。
次に、実施例1において液体109中に気流111を生成し、放電空間を形成する方法について説明する。実施例1では、気体供給部105によって、第1の電極102aの貫通孔125を介して、絶縁体106と第1の電極102aの金属電極部122との間で形成される空間108に、気体110を供給する。気体110の流量は、例えば、0.5リットル/min〜2.0リットル/minである。液体109中には、第1の電極102aの金属電極部122を覆う柱状の気流111が形成される。気流111は、絶縁体106の開口部107から一定距離(図示した形態では10mm以上)にわたって途切れることのない、単一の大きな気流となる。即ち、気体110の供給により第1の電極102aの金属電極部122と絶縁体106との間の空間108に気体110が流れ、第1の電極102aの金属電極部122は、常に気体110で覆われた状態となる。
また、実施例1では、図2に示すステップS3において、第1の電極102aと第2の電極103との間に、例えば、パルス電圧を印加する。第1の電極102aと第2の電極103との間に電圧を印加することにより、気流111内で放電が起こり、放電空間を形成する。そして、この放電空間内において、第1の電極102aの金属電極部122近傍からプラズマ112を発生させる。プラズマ112は、第1の電極102aの先端部分の気流111のみならず内部の空間に渡って広く生成している。これは、絶縁体106を介して液体109が対向電極として働いた結果である。この部分の効果もあって多量の活性種を生成することができる。つまり、本開示のように第1の電極102aが液体109に位置しているために生じる大きな効果である。
なお、第1の電極102aと第2の電極103との間の距離は任意でよい。例えば、電極間距離を規定する必要はなく、第1の電極102aと第2の電極103との間の距離が離れていても放電空間を形成し、プラズマ112を生成することが可能である。
さらに、第1の電極102aと第2の電極103を対向させる必要もない。第2の電極103の少なくとも一部が液体109と接触する位置であれば、第2の電極103を配置する位置に制約はない。また、処理槽101が接地されていてもよい。処理槽101が接地されていると、第2の電極103、液体109を通じて接地されたことと同等となる。液体と処理槽の両方を接地してもよい。即ち、第2の電極103が常に液体109と接触していることにより、液体109全体が同電位となり、気流111と液体109との界面部分が電極として機能する。その結果、気流111を導入することによって対向電極を第1の電極102a近傍に形成したことになる。そして、気流111の容積が大きいほど液体109の液中で大きな面積の対向電極を形成したことに等しくなり、気流111の大きさに応じてプラズマ112も大きくなる。なお、水槽113を接地しても、処理槽101を接地した場合と同様の効果が得られる。
実施例1では、上記のような構成の昆虫類駆除装置100aにより、液体109中に放電空間を形成し、プラズマ112を発生させている。実施例1では、このプラズマ112により多量の活性種を生成することができる。特に、実施例1では、液体109をプラズマ処理することにより、活性種として長寿命のラジカルを生成することができる。
実施例1における昆虫類駆除装置100aは、第1の電極ユニット150aを1つだけ備える構成としたが、複数備えてもよい。
次に、参考例について説明する。
<参考例>
参考例で用いられる昆虫類駆除装置100bは、図1に示す実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100の実施例1における第1の電極102の周辺の電極構成に、第1の電極ユニット150bを用いている。なお、参考例は、気体供給部を備えていない。参考例では、放電を生じさせる放電デバイスとして、第1の電極ユニット150bと、第2の電極103と、電源104と、を備える。
参考例における第1の電極ユニット150bについて図5及び図6を用いて説明する。図5は、参考例における第1の電極ユニット150bの断面図である。図6は、参考例における第1の電極ユニット150bを備えた昆虫類駆除装置100bの概略構成図である。図5及び図6に示すように、第1の電極ユニット150bは、第1の電極102aと、絶縁体106と、保持ブロック121と、を備える。参考例における第1の電極ユニット150bは、気体供給部が接続されないため、気体が通過する貫通孔を有していない点で実施例1における第1の電極ユニット150aと異なる。参考例における第1の電極ユニット150bの他の構成は、実施例1における電極ユニット150aの構成と同じでもよい。例えば、参考例における第1の電極ユニット150bは、実施例1における第1の電極ユニット150aと同様にネジ部124、126を備えてもよい。
第1の電極102bは、例えば、円柱状であり、第1の電極102bの外周には絶縁体106が配置されている。絶縁体106は、第1の電極102bの外周に空間108を形成するように配置される。
次に、参考例において液体109中に気流111を生成し、放電空間を形成する方法について説明する。参考例では、液体109の処理を開始する前に、第1の電極102bと絶縁体106との間に形成される空間108は、絶縁体106の開口部107から入ってくる液体で満たされた状態となる。この状態で、電源104により第1の電極102bと第2の電極103との間に電力を印加すると、第1の電極102bから流れる電流によって、空間108内の液体が加熱される。参考例は、空間108内の液体を加熱して、気化させることにより気体を生成する。そして、この気体が絶縁体106の開口部107から処理槽101内の液体109中に放出されることより気流111を生成する。参考例は、この気流111内で放電することにより、プラズマ112を生成することができる。即ち、参考例は、液体109を気化させて生成した気流111内で放電空間を形成し、この放電空間内でプラズマ112を発生させることにより、活性種を生成している。なお、本参考例においては、第1の電極102bと第2の電極103との間の電力印加にパルス電源を用いることが好ましい。これにより、空間108内の液体の気化と、空間108内への液体の進入とを交互に繰り返すことができる。
参考例では、上記のような構成の昆虫類駆除装置100aにより、液体109中に放電空間を形成し、プラズマ112を発生させている。参考例では、このプラズマ112により多量の活性種を生成することができる。特に、参考例では、液体109をプラズマ処理することにより、活性種として長寿命のラジカルを生成することができる。
参考例における昆虫類駆除装置100bは、第1の電極ユニット150bを1つだけ備える構成としたが、複数備えてもよい。
[効果(ボウフラの致死率)]
本開示の昆虫類駆除方法の効果(ボウフラの致死率)について実施例1及び参考例を用いて説明する。本開示の昆虫類駆除方法の効果(ボウフラの致死率)を調べるため、実施例1及び参考例を用いて実験1及び実験2を行った。
まず、実験1について説明する。実験1は、実施例1においてプラズマ処理された液体(プラズマ処理水)をボウフラ117に接触させた場合の致死率と、ブランクとしてプラズマ処理されていない液体(未処理水)をボウフラ117に接触させた場合の致死率と、を比較した。
<実験1>
実験1は、水槽113内にボウフラ117を20匹入れて、実施例1とブランクのそれぞれの場合における1日後と3日後のボウフラ117の致死率を調べた。また、餌の有無によりボウフラ117の致死率に変化があるかを調べるため、餌の有無も条件とした。餌の有無を条件とした理由は、ボウフラ117が餌を食べるとき、プラズマ処理された液体を体内に取り込むため、体内からプラズマ処理水が作用して致死率に影響を与えるのではないかと考えたからである。通常、ボウフラは、肺呼吸であるため水中にいても水を摂取しないが、液体中にある餌を摂取する場合は水を若干体内に取り込む可能性がある。ボウフラ117は、ヒトスジシマカの3齢幼虫を使用した。
実施例1の詳細な実験条件について説明する。実施例1は、第1の電極ユニット150aを1つだけ使用し、入力電力30Wでプラズマ処理を行った。ここで、入力電力とは、電源の1次側の電力を意味し、2次側の電力はそれよりも低いことを意味する。今回の電源では電源効率改善のための回路を備えておらず、無効電力が存在するため実際のプラズマ部での消費電力は、入力電力の0.5〜0.7倍程度と推定している。実施例1で処理する液体109としては、3Lの水道水を用いた。実施例1は、プラズマ処理を開始してから1.5h後に処理を停止した。なお、実施例1は、プラズマ処理中においても処理槽101と水槽113との液体109の循環を行っている。即ち、実施例1は、放電しながら、液体109を、処理槽101と水槽113とに循環させている。
ブランクについて説明する。ブランクは、プラズマ処理されていない液体として、3Lの水道水を用いた。
以下に示す表1は、実験1の結果である。
Figure 2015139441
実施例1とブランクにおけるボウフラ117の致死率について比較する。表1に示すように、餌なしの場合・餌ありの場合のいずれも、実施例1とブランクとを比較すると、若干実施例1の方が、優位差は無いものの致死率が若干増大していることがわかる。
ただし、ここで特筆すべきは、実施例1の場合、ボウフラの運動に明らかな異常が見られた点である。すなわち、プラズマ処理水を作用させた場合、ボウフラの運動が突然緩慢になった。そして、運動が緩慢になった結果、ボウフラが水面に上昇できなくなった。ただし、ある一定の時間が経過すると、この現象は見られなくなり、ボウフラは元気に活動をすることも観察の結果わかった。発明者は、この事実に着目した。前述したように、通常、ボウフラは肺呼吸であるために水面に臀部の呼吸官を出して空気を摂取する。つまり、発明者は、ボウフラの運動が緩慢になり、水面に上昇できない時間を長くすれば、空気を採取できず、ボウフラを溺死させることが可能ではないかということを考えた。したがって、作りたてのプラズマ水を連続供給する、そのときの供給時間を延ばすというような方策が考えられた。これについては、後述する実験2で説明する。
なお、参考までに、餌有りの場合と餌無しの場合のボウフラ117の致死率について比較した結果を説明する。ブランクと実施例1のどちらにおいても、餌有りの場合のボウフラ117の致死率が餌無しの場合の致死率と比較しても、増大していない。餌有りの場合、ボウフラ117が餌を食べるときにプラズマ処理水を体内に取り込む。しかし、餌有りの場合のボウフラ117の致死率が増大していない。したがって、実施例1では、ボウフラ117の体内に積極的にプラズマ処理水を取り込ませずとも、ボウフラ117にプラズマ処理水を接触させるだけで、ボウフラ117を死亡させることができる。
<実験2>
実施の形態1に係る昆虫類駆除方法における効果(ボウフラの致死率)について詳細に調べるため、実施例1及び参考例を用いて、様々な条件で実験2を行った。実験2は、実施例1、参考例、及びブランクを用いて、それぞれ2つの条件で行った。また、実験2は、実験1と同様に、餌の有無も条件とした。以下、実験2の条件について説明する。
実験2では、実施例1は、第1の電極ユニット150aを2つ使用し、入力電力35Wでプラズマ処理を行った。プラズマ処理の時間は、3hである。実施例1で処理する液体109としては、1.8Lの水道水を用いた。
参考例は、第1の電極ユニット150bを2つ使用し、入力電力35Wでプラズマ処理を行った。プラズマ処理の時間は、3hである。参考例で処理する液体109としては、1.8Lの水道水を用いた。
ブランクは、1.8Lの水道水を用いた。
実施例1においては、さらに以下の条件で実験2を行った。
<条件1>
条件1は、プラズマ処理開始時から処理槽101内の液体109を、水槽113に循環している。即ち、条件1は、3時間のプラズマ処理中においても処理槽101内の液体109を水槽113に循環している(プラズマ処理水を3hの放電中にも循環している)。また、条件1は、ボウフラ117としてヒトスジシマカの3齢幼虫を用いている。
<条件2>
条件2は、プラズマ処理を3h行った後に、プラズマ処理した処理槽101内の液体109を水槽113に循環している(プラズマ処理水を放電終了後に循環している)。即ち、条件3は、プラズマ処理中において処理槽101内の液体109を、水槽113に循環していない。また、条件3は、ボウフラ117としてヒトスジシマカの終齢幼虫を用いている。終齢幼虫は、蛹になる前の幼虫であり、3齢幼虫に比べて死亡しにくい幼虫である。
参考例においても同様に、上記の条件1及び2で実験を行った。なお、実験2の他の条件は、実験1の条件と同じである。
以下に示す表2は、実験2の結果である。
Figure 2015139441
表2に示すように、実施例1の条件1は、処理当日、1日後、3日後、13日後のすべてにおいて、ボウフラ117の致死率がブランクに比べて増大していることがわかる。表2から13日後の致死率は、餌なしの場合、ブランクが66.7%であるのに対し、実施例1は96.2%である。また、実施例1(条件1)の餌有りの場合の13日後の致死率においても、ブランクが25%であるのに対し、実施例1は93.4%である。
実施例1の条件1において、ボウフラの観察を行った結果、ボウフラの運動が実験1と同様に突然緩慢になる様子が確認できた。さらに循環中のプラズマ連続生成によって、この影響は持続し、1.5h経過後にボウフラが水面上に死骸として浮かびはじめた。発明者が予測した通りの結果を得ることができた。ボウフラの死骸を顕微鏡で観察したが、特に概観に異常がなく、例えば体の一部にラジカルによる穴や体皮が溶解した痕跡は目視では見られなかった。したがって、プラズマ生成直後のプラズマ水がボウフラに接触することによって、ボウフラの動きが鈍くなり溺死したのではないかと推定している。さらに、ボウフラの活動に影響を与えた原因についてはラジカル以外にプラズマ発生による水中衝撃波もしくは音波なども考えられるが、これらは副次的な効果であり、主因子ではないと考えている。いずれにしても、本発明の水中プラズマ装置がもたらした効果であり、今迄誰も成し得なかったことである。
一方、実施例1の条件2は、ボウフラ117として終齢幼虫を使用しているにも関わらず、13日後の餌なしの場合は致死率57.8%、餌ありの場合は致死率61.9%と高い数値を示している。条件1と比較すると、ボウフラ117の致死率は若干減少している。条件2では、上述のとおり、プラズマ処理した後(放電終了後)の液体を水槽113内に供給している。したがって、実施例1は、プラズマ処理(放電)しながら水槽113に液体109を供給すれば、終齢幼虫であっても高い致死率で駆除することができる可能性がある。
一方、参考例に着目すると、条件1及び条件2において、餌ありと餌なしのいずれについても、ブランクと比較すると致死率の若干の増減があるが大きな差がないことがわかる。
以上の実験結果から、実施例1では、高い致死率でボウフラ117の駆除をすることができ、ボウフラ抑制に効果があると言える。一方、液体を気化してできる気流中で放電させる参考例においては、大きな効果が確認できなかった。実施例1は、外部から液体中に供給した気体中で放電させている。このことから、外部から供給する気体に起因する活性種がボウフラ117駆除の結果に影響している可能性がある。また、餌の有無により、実験結果に差異は見られないことから、実施例1でプラズマ処理された液体は、ボウフラ117の体内に積極的に取り込ませる必要はなく、ボウフラ117に接触させるだけで、ボウフラ117を駆除できる。
ここまでの実験は、液体中に生息しているボウフラへの影響を確認したものである。しかし、産卵を抑制する、もしくは産卵しても孵化しなければ、ボウフラは発生しない。実験3及び実験4ではその点に着目して実験を行った。
[効果(蚊の産卵誘発)]
本開示の昆虫類駆除方法の効果(蚊の産卵誘発)について実施例1及び参考例を用いて説明する。本開示の昆虫類駆除方法の効果(蚊の産卵誘発)を調べるため、実施例1及び参考例を用いて実験3を行った。以下、実験3について説明する。
<実験3>
実験3では、実施例1及び参考例においてプラズマ処理された液体(プラズマ処理水)と、ブランクとしてプラズマ処理されていない液体(未処理水)とを用いて、蚊が産卵した卵の数をそれぞれ比較した。実験3は、実施例1又は参考例のプラズマ処理水が入った水槽と、ブランクとして未処理水が入った水槽とを、同時に1つの箱の中に入れ、その箱の中に吸血済みのヒトスジシマカの雌を15匹入れている。そして、実験3は、それぞれの液体が入った水槽において、ヒトスジシマカの産卵した卵の数を測定した。
実験3では、実施例1は、第1の電極ユニット150aを1つ使用し、入力電力30Wでプラズマ処理を1h行った。実施例1は、処理槽101内の液体109をプラズマ処理しながら、水槽113に循環している。なお、処理した液体109は、0.8Lの水道水である。
参考例は、第1の電極ユニット150bを2つ使用し、入力電力35Wでプラズマ処理を1h行った。実施例1は、処理槽101内の液体109をプラズマ処理しながら、水槽113に循環している。なお、処理した液体109は、0.8Lの水道水である。
ブランクは、0.8Lの水道水を用い、プラズマ処理せずに循環のみを行った。
以下に示す表3及び表4は、実験3の結果である。
Figure 2015139441
Figure 2015139441
表3に示すように、蚊の産卵数は、ブランクが14個であるのに対し、実施例1は77個である。また、表4に示すように、蚊の産卵数は、ブランクが12個であるのに対し、参考例は83個である。このように、実施例1では、ブランクに比べて約6倍の蚊の産卵誘発作用があり、参考例では、ブランクに比べて約7倍の蚊の産卵誘発作用がある。
[効果(孵化抑制)]
本開示の昆虫類駆除方法の効果(孵化抑制)について実施例1を用いて説明する。本開示の昆虫類駆除方法の効果(孵化抑制)を調べるため、実施例1を用いて実験4を行った。以下、実験4について説明する。
<実験4>
実験4では、実施例1においてプラズマ処理された液体(プラズマ処理水)が入った容器と、脱塩素水が入った容器と、にそれぞれ105個の蚊の卵を投入し、卵の孵化率と孵化したボウフラ117の生存率とを比較した。ここで、孵化率とは、容器に投入された105個の卵に対する孵化したボウフラ117の数の割合である。また、生存率とは、孵化したボウフラ117の数に対する卵を投入して8時間経過後に生存しているボウフラ117の数の割合である。
実施例1は、第1の電極ユニット150aを2つ使用し、入力電力30Wでプラズマ処理を3h行った。処理した液体109は、0.8Lの水道水である。実施例1では、プラズマ処理を行った後、さらに36時間経過した後に、105個の蚊の卵を投入した。
以下に示す表5は、実験4の結果である。
Figure 2015139441
表5に示すように、孵化率に着目すると、脱塩素水は25.7%あるのに対し、実施例1は16.2%である。また、ボウフラ117の生存率に着目すると、脱塩素水が100%であるのに対し、実施例1が0%である。このように、実施例1では、蚊の卵が孵化するのを抑制するとともに、孵化してもボウフラ117はその後生存することができない効果を有する。
また、本実験4は、プラズマ処理した後(放電終了後)36時間経過後の液体を用いているにもかかわらず、孵化した幼虫の生存率は0%であった。すなわち、プラズマ処理後1.5日経過後の液体は、孵化したての幼虫を殺す能力は十分有していることがわかった。このことから、本実験4の実施例1においては、孵化したてのボウフラに対する効果として1.5日以上の長寿命性を有していることが確認できた。
以上のように、本開示の昆虫類駆除方法によれば、薬剤又は金属イオンなどを使用せずともボウフラ117を駆除することができる。また、本開示の昆虫類駆除方法によれば、蚊の産卵誘発、及び蚊の卵の孵化抑制を行うことができる。さらに、本開示の昆虫類駆除方法によれば、環境に与える負荷が小さい。本開示の昆虫類駆除方法においてプラズマ処理された液体は、ボウフラ117の駆除作用、蚊の産卵誘発作用、及び蚊の卵の孵化抑制作用を長時間有している。
本開示の昆虫類駆除方法において、プラズマ処理された液体は、蚊の産卵誘発作用を有している。そのため、本開示の昆虫類駆除方法は、水槽113の内壁に設けられた産卵場に蚊の産卵を集中させることにより、効率良くボウフラ117の駆除を行うことができる。特に、本開示の昆虫類駆除方法のように、水槽113内の液体109の液面の高さを制御すれば、水槽113の内壁に産卵された卵を液体109中に浸漬し、効率良くボウフラ117の駆除を行うことができる。
本開示の昆虫類駆除方法において、プラズマ処理された液体は、蚊の卵の抑制作用を有するとともに、孵化したボウフラ117は、8時間以内に死亡する。したがって、本開示の昆虫類駆除方法は、蚊の卵の孵化抑制及びボウフラ117の駆除に有益である。
本開示の昆虫類駆除方法は、1日の入力電力量が、液体1リットルあたり60Wh以上となるまで電力を投入することにより、昆虫類の駆除作用、蚊の産卵誘発作用、及び孵化抑制作用を確実に持続させることができる。以下、その理由を説明する。実施例1において、第1の電極ユニット150aを2本使用し、電源消費電力35Wで水1.8Lを3hだけプラズマ処理すると、プラズマ処理された液体では、昆虫類の駆除作用、蚊の産卵誘発作用、及び孵化抑制作用が3日間以上継続する。発明者の知見によると、この実施例1において、プラズマ処理を1.5hだけ行うと、これらの作用は、1.5日以上継続すると考えられる。このことから、本開示の実施の形態1の昆虫類駆除方法によれば、実施例1において、第1の電極ユニット150aを2本使用し、電源消費電力35Wで水1.8Lを1.5hのプラズマ処理を、少なくとも1日に1回行えば、これらの作用を持続することができると考えられる。また、実施例1において、第1の電極ユニット150aを1本使用し、電源消費電力30Wでプラズマ処理する場合、水1Lあたり2hの処理時間が必要となると考えられる。したがって、1日あたり60Wh/Lの仕事量(プラズマ処理)、即ち、電圧印加のエネルギーとなるようにプラズマ処理を行うことにより、昆虫類の駆除作用、蚊の産卵誘発作用、及び孵化抑制作用を確実に持続させることができる。
昆虫類の駆除作用、産卵誘発作用、及び孵化抑制作用は、本開示の昆虫類駆除方法において、プラズマ処理された液体中に含まれる活性種がボウフラ117に接触することによって、引き起こされると考えられる。特に、本開示の昆虫類駆除方法は、長寿命のラジカル種を生成できるため、このラジカル種が昆虫類の駆除作用、産卵誘発作用、及び孵化抑制作用を引き起こしていると考えられる。
本明細書では、昆虫類としてボウフラ117を説明したが、本開示の昆虫類駆除方法で駆除可能な昆虫類は、ボウフラ117に限定されない。例えば、本開示の昆虫類駆除方法で駆除可能な昆虫類として、ヤブカ類、オオカ類、イエカ類、ハエ類、ウンカ類、ハムシ類、ゾウムシ類などがある。また、本開示における実験おいては、ボウフラ117として、ヒトスジシマ蚊を用いたが、ボウフラ117の種類はこれに限定されない。例えば、マラリアなどの病気を媒介するハマダラ蚊でもよい。
なお、本開示の実施の形態1に係る昆虫類駆除方法で用いられる昆虫類駆除装置100は、処理槽101と水槽113とを備える構成としたが、処理槽101を用いず、水槽113のみを用い、第1の電極102と第2の電極103とを、ボウフラ117が存在する水槽113内の液体109中に浸漬させてもよい。また、本開示の昆虫類駆除方法は、水槽113、配管114、及び循環ポンプ115を用いず、処理槽101でプラズマ処理した液体109を、装置から離れた場所に位置する容器(水槽)に供給することによって、容器内のボウフラ117を駆除してもよい。実施の形態1に係る昆虫類駆除方法によりプラズマ処理された液体は、ボウフラ117の駆除作用、産卵誘発作用、及び孵化抑制作用を長時間継続するため、プラズマ処理された液体を装置から離れた場所に位置する容器に供給しても、上記作用は継続する。したがって、本開示の昆虫類駆除方法は、使い勝手を向上させることができる。
本開示の昆虫類駆除方法が実施される装置の例として、植物栽培装置が挙げられる。本開示の昆虫類駆除方法においてプラズマ処理された液体は、蚊の産卵誘発作用を有していることから、蚊以外の昆虫類についても産卵を誘発させる効果があると考えられる。したがって、本開示の昆虫類駆除装置100は、植物栽培装置に利用してもよい。例えば、植物栽培装置は、植物を栽培する栽培槽と、栽培槽に併設され、第1の電極と第2の電極とが配置された水槽と、水槽内の液体中に放電空間を形成する放電デバイスと、を備える。放電デバイスは、実施例1又は参考例で用いられた構成要素(第1と第2の電極、絶縁体、電源など)を用いてもよい。さらに、植物栽培装置は、水槽内の液体の液面の高さを制御する制御部を備えてもよい。このような構成により、植物栽培装置は、植物に害を及ぼす昆虫類を水槽に集中させて、昆虫類を駆除する、及び害を及ぼす昆虫類の発生を抑制することができる。このとき、栽培槽において産卵防止のために水面を継続的に波立たせてもよい。また、植物栽培装置は、実施例1又は参考例の構成を適用してもよい。参考例の構成を適用する場合、水槽に産卵を誘発させた後、卵を除去してもよい。卵の除去方法としては、一定時間ごとに水槽から卵ごと排水を行ってもよい。
本開示の昆虫類駆除方法は、昆虫類駆除システムとして実施されてもよい。例えば、昆虫類駆除システムは、液体の液面が外気に接するように開口した水槽と、液体中に少なくとも一部を浸漬する第1及び第2の電極と、第1の電極の周囲に空間を形成するように配置された絶縁体であって、水槽内の液体と空間とを連通するように設けられた開口部を有する絶縁体と、第1の電極と絶縁体との間の空間に気体を供給する気体供給部と、第1及び第2の電極との間に電圧を印加して、液体中に放電空間を形成する電源と、水槽内の液面の上昇と下降とを制御する制御部と、を備える。
なお、本開示の実施の形態1に係る昆虫類駆除装置100a、100bでは、第1の電極102の周辺の電極構成として、実施例1及び参考例の第1の電極ユニット150a、150bを説明したが、これに限定されない。本開示の昆虫類駆除方法を実施する昆虫類駆除装置100において、第1の電極102の周辺の電極構成は、液体109中に放電空間を形成し、プラズマを発生させることができる構成であればよい。また、放電を生じさせる放電デバイスとして、実施例1及び参考例を説明したが、これらに限定されず、他の構成要素を含んでもよい。
本開示に係る昆虫類駆除方法は、薬剤又は金属イオンを使用せずとも昆虫類を駆除することが可能であるため、昆虫類駆除装置、植物栽培、農耕、魚介類養殖、ビオトープ、アクアリウムなどに有効に利用できる。
100、100a、100b 昆虫類駆除装置
101 処理槽
102 第1の電極
103 第2の電極
104 電源
105 気体供給部
106 絶縁体
107 開口部
108 空間
109 液体
110 気体
111 気流
112 プラズマ
113 水槽
114 配管
115 循環ポンプ
116 制御部
117 ボウフラ
121 保持ブロック
122 金属電極部
123 金属固定部
124 ネジ部
125 貫通孔
126 ネジ部
150a、150b 第1の電極ユニット

Claims (15)

  1. 液体中に気体を供給して生成した気流内で放電空間を形成し、
    当該放電空間を形成した後の液体を昆虫類に接触させる、昆虫類駆除方法。
  2. 前記放電空間内でプラズマを発生させる、請求項1に記載の昆虫類駆除方法。
  3. 第1の電極の少なくとも一部と第2の電極の少なくとも一部とを液体中に浸漬するステップと、
    気体供給部が前記液体中に気体を供給することによって前記液体中に気流を生成するステップと、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して、前記気流内で放電することにより放電空間を形成するステップと、
    を含み、
    前記放電空間を形成した後の液体を昆虫類に接触させる、昆虫類駆除方法。
  4. 前記放電空間を形成するステップは、液体中に放電空間を形成することによって活性種を生成することを含み、前記活性種を含む液体を昆虫類に接触させる、請求項3に記載の昆虫類駆除方法。
  5. 前記放電空間を形成するステップは、昆虫類が存在する液体中に前記放電空間を形成する、請求項3または4に記載の昆虫類駆除方法。
  6. 前記放電空間を形成した後の液体を、昆虫類が存在する水槽に供給するステップをさらに含む、請求項3または4に記載の昆虫類駆除方法。
  7. 前記液体の液面の上昇と下降とを実行するステップをさらに含む、請求項5または6に記載の昆虫類駆除方法。
  8. 前記昆虫類は、ボウフラである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の昆虫類駆除方法。
  9. 前記放電空間を形成するステップは、1日の入力電力量が、液体1リットルあたり60Wh以上となるまで電力を印加した後に、印加を停止する、請求項3〜8のいずれか一項に記載の昆虫類駆除方法。
  10. 前記放電空間を形成するステップは、前記放電空間内でプラズマを発生させる、請求項3〜9のいずれか一項に記載の昆虫類駆除方法。
  11. 植物を栽培する栽培槽と、
    前記栽培槽に併設され、液体の液面が外気に接するように開口した水槽と、
    前記水槽内の液体中に放電空間を形成する放電デバイスと、
    を備える、植物栽培装置。
  12. 前記放電デバイスは、
    前記液体中に少なくとも一部を浸漬する第1の電極と、
    前記液体中に少なくとも一部を浸漬する第2の電極と、
    前記第1の電極の周囲に空間を形成するように配置された絶縁体であって、前記水槽内の液体と前記空間とを連通するように設けられた開口部を有する絶縁体と、
    前記第1の電極と前記絶縁体との間の空間に気体を供給する気体供給部と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して、前記水槽内の液体中に放電空間を形成する電源と、
    を備える、請求項11に記載の植物栽培装置。
  13. 前記水槽内の液面の上昇と下降とを制御する制御部をさらに備える、請求項11または12に記載の植物栽培装置。
  14. 前記放電空間内でプラズマを発生させる、請求項11〜13のいずれか一項に記載の植物栽培装置。
  15. 液体の液面が外気に接するように開口した水槽と、
    前記液体中に少なくとも一部を浸漬する第1の電極と、
    前記液体中に少なくとも一部を浸漬する第2の電極と、
    前記第1の電極の周囲に空間を形成するように配置された絶縁体であって、前記水槽内の液体と前記空間とを連通するように設けられた開口部を有する絶縁体と、
    前記第1の電極と前記絶縁体との間の空間に気体を供給する気体供給部と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して、前記液体中に放電空間を形成する電源と、
    前記水槽内の液面の上昇と下降とを制御する制御部と、
    を備える、昆虫類駆除システム。
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