JP2015138151A - 光反射シート - Google Patents

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理 伊澤
達哉 小泉
Tatsuya Koizumi
達哉 小泉
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Abstract

【課題】 本発明は、厚みが薄く、軽量であるにもかかわらず、光反射性に優れると共に、耐折り曲げ性に優れる積層発泡シートから構成される光反射シートを提供することを課題とする。【解決手段】 本発明の光反射シートは、ポリスチレン系樹脂発泡層の少なくとも片面に樹脂層が積層された、見掛け密度0.08〜0.9g/cm3および厚み0.05〜3mmの積層発泡シートから構成される光反射シートであって、前記樹脂層がポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂から構成されており、前記発泡層の酸化チタン含有量Aが3〜70g/m2であり、前記発泡層の厚み方向の平均気泡径が1〜70μmであり、前記発泡層の厚み方向の気泡数Bが10個以上であることを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、光反射シートに関し、より詳しくは積層発泡シートから構成される光反射シートに関する。
光の利用効率を上げるための光反射材が従来から使用されている。例えば、光反射材を液晶TVの最背面に設置して、LEDや冷陰極蛍光ランプ(CCFL)等の光源から発せられた光を効率良く前面に反射させることが行われている。また、光反射材を蛍光灯やLED型の照明装置へ装着して、光を効率良く反射させることも行われている。
こうした光反射材は近年の省エネ化の要求に伴い、光の利用効率をさらに高めることが要求されている。そのため、光反射率の向上が試みられている。更に、光反射シートなどの光反射材を液晶TVに用いる場合、より精彩な画像を得るためには、反射シートは波長による反射率にムラがなく、
反射光が“白”に近い光となる必要がある。
従来の反射材として、特許文献1には、発泡シート中に屈折率が高く光隠ぺい性に優れる酸化チタンに代表される無機フィラーを添加し、発泡セルと無機フィラーによる効果を併用して反射率を高めたシートが開示されている。このシートは、押出成形にて最終製品を製造することが可能であるものの、該シートは多孔を有するダイから押出発泡させた後に圧縮することを必要としているので、シートの厚みが比較的厚く、且つシートの表面状態が悪く、シートが脆いという問題を有するものである。
さらに、本発明者らは、厚みが薄く、軽量であるにもかかわらず、光反射性に優れると共に、波長による反射ムラが少なく、優れた強度や熱成形性を有し、生産性に優れる、ポリスチレン系樹脂発泡シートから構成される光反射シートを提案した(特許文献2)。
特開2010−145908号公報 特願2013−550680号
前述のように、酸化チタン等の高屈折率物質の添加により光反射シートの反射率を向上させることは従来から行なわれてきた。しかし、近年では、光反射シートに折り曲げ加工を行い、形状を付与することによって光の利用効率を高めることが行われるようになってきている。このような折り曲げ加工を行った際には、光反射シートが折れて切れてしまう場合があり、こうした曲げ加工に耐え、折れて切れることがない耐折性を有する光反射シートが求められている。
本発明は、厚みが薄く、軽量であるにもかかわらず、光反射性に優れると共に、耐折り曲げ性に優れる積層発泡シートから構成される光反射シートを提供することを課題とするものである。
[1]ポリスチレン系樹脂発泡層の少なくとも片面に樹脂層が積層された、見掛け密度0.08〜0.9g/cm、厚み0.05〜3mmの積層発泡シートから構成される光反射シートであって、 該樹脂層がポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂から構成されており、 該発泡層の酸化チタン含有量Aが3〜70g/mであり、 該発泡層の厚み方向の平均気泡径が1〜70μmであり、 該発泡層の厚み方向の気泡数Bが10個以上であることを特徴とする光反射シート。[2]前記樹脂層と発泡層の剥離強度が、0.1N/25mm以上であることを特徴とする前記[1]に記載の光反射シート。[3]前記混合樹脂を構成するポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の重量比率が、2:98〜95:5であることを特徴とする、前記[1]または[2]に記載の光反射シート。[4]前記樹脂層を構成する混合樹脂の相構造指数(PI値)が0.3〜10であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の光反射シート。 PI値=(η(ps)・φ(po)/η(po)・φ(ps)) (1)

((1)式においてφ(ps)は樹脂層中のポリスチレン系樹脂相の体積分率、η(ps)は190℃、剪断速度100sec-1におけるポリスチレン系樹脂の溶融粘度、φ(po)は樹脂層中のポリオレフィン系樹脂相の体積分率、η(po)は190℃、剪断速度100sec-1における前記ポリオレフィン系樹脂の溶融粘度である。) [5]前記樹脂層の坪量が1〜60g/mであることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の光反射シート。[6]前記酸化チタン含有量Aと前記気泡数Bとが、下記(2)式の関係を満足することを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の光反射シート。
B ≧ 60−1.5×A (2)
[7] 前記酸化チタンの含有量Aが5〜50g/m、及び/又は前記気泡数Bが20個以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の光反射シート。
本発明の積層発泡シート(以下、単に発泡シートともいう。)から構成される光反射シートは、ポリスチレン系樹脂発泡層の少なくとも片面に、樹脂層が積層された積層発泡シートから構成される光反射シートであり、該樹脂層がポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂からなることにより、折り曲げた際に積層発泡シートが切れてしまうことが無く、強度が向上したものである。
更に、本発明の発泡シートは、樹脂層が混合樹脂からなり、混合樹脂成分間で多数の界面を有し、各成分の屈折率が異なることによって、混合樹脂成分間の界面で光が多数屈折されて反射性が向上するので、光反射シートとして好ましい物となる。
図1は、実施例1で得られた積層発泡シートのTD方向断面写真である。
本発明の光反射シートは、以下で説明する特定の積層発泡シート(以下、単に発泡シートともいう。)から構成される。以下、本発明の光反射シートについて図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の光反射シートを構成する積層発泡シートは、発泡層の少なくとも片面に樹脂層が積層されたものである。
発泡層を形成するポリスチレン系樹脂としては、スチレン系モノマーの単独重合体、スチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体、及びこれらの2種以上又はこれらの1種以上と他の熱可塑性樹脂との混合物が挙げられる。その共重合体又は混合物中に含まれるスチレン系モノマーに由来する構造単位は少なくとも50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。上記スチレン系モノマーは、下記の式(I)で表されるモノマーが好ましい。
式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Zはハロゲン原子またはメチル基を示し、pは0または1〜3の整数である。
好ましいポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ−α−メチルスチレン、およびポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との混合物が例示される。これらの中でも、耐熱性が要求される際には、スチレン−アクリル酸共重合体などの耐熱ポリスチレン系樹脂が好ましく使用される。
前記ポリスチレン系樹脂の溶融粘度は、190℃、剪断速度100sec−1の条件下で、20Pa・s以上で10000Pa・s未満が好ましく、より好ましくは100〜5000Pa・sである。その溶融粘度が前記範囲内であれば、発泡成形が容易となり、良質の発泡層を形成することが容易となる。前記ポリスチレン系樹脂の溶融粘度は、株式会社島津製作所の溶融粘度測定装置であるフローテスターCFT−500により測定できる。
また、本発明の発泡層においては、ポリスチレン系樹脂にスチレン系エラストマーを添加することもできる。ただし、発泡層におけるスチレン系エラストマーの添加量は、発泡層を構成する樹脂組成物を100重量%として15%以下であることが好ましい。
発泡層にスチレン系エラストマーを添加することにより、発泡層を形成している気泡壁の伸縮性が向上するため、発泡シートが破断し難くなる。なお、発泡層を構成する樹脂の発泡性や、積層発泡シートの耐熱性の観点から、発泡層におけるポリスチレン系エラストマーの添加量はより好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下である。
さらに、前記発泡層には、本発明の目的効果を阻害しない範囲内において、上記以外の他の樹脂を混合することができる。なお、その配合量は、発泡層を構成する樹脂組成物を100重量%として、10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
本発明において、発泡層の厚み方向の気泡数(B)は10個以上であることが好ましい。気泡数が10より少なくなると反射率の向上効果が不十分となる。これに対し、厚み方向の気泡数が増えるほど気泡界面での反射の回数が増えるので、厚み方向の気泡数が多く存在するほど、反射率が向上する。従って、該気泡数(B)は、より好ましくは15個以上であり、更に好ましくは20個以上である。なお、厚み方向の気泡数(B)の上限は、該気泡数が多すぎると、得られる発泡層の強度が低下し、製造が困難となることから、概ね200個であり、好ましくは150個であり、より好ましくは100個であり、さらに好ましくは50個である。
また、本発明の発泡層においては、厚み方向の平均気泡径が1〜70μmである。厚み方向の平均気泡径が70μmを超えると、厚み方向の気泡数を10個以上にするために、発泡層の全体厚みが厚くなりすぎる。一方、厚み方向の平均気泡径が1μmより小さくなると、発泡層の製造が困難になる。かかる観点から、平均気泡径は、2〜30μmが好ましく、より好ましくは3〜25μm、更に好ましくは4〜15μmである。なお、上記の厚み方向の気泡数と気泡径の範囲が満たされることにより、厚み方向に多数の気泡が存在することとなり、気泡界面での反射が効率的に起こり、反射率の向上効果が得られる。この効果により、450〜750nmの広範囲にわたって、反射率を向上させることが可能となる。なお、上記の気泡構造は、気泡調整剤の添加量や、後述する押出発泡時の延伸工程において、冷却速度や、引取り速度などを調整することにより形成することができる。
本発明の発泡層においては、気泡が扁平な形状を有することが好ましい。具体的には、発泡層の厚み方向の平均気泡径(VD)の幅方向の平均気泡径(TD)に対する比VD/TD(幅方向の扁平率)は、0.08〜0.5が好ましく、0.09〜0.4がより好ましく、0.1〜0.3が更に好ましい。該比VD/TDが小さいほど、幅方向に扁平となる。気泡形状が扁平になると、気泡界面での反射が効率的に起こり、反射率が向上する。かかる扁平気泡を得るためには、TDは5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましく、15〜100μmであることがさらに好ましい。
更に、発泡層の厚み方向の平均気泡径(VD)の押出方向の平均気泡径(MD)に対する比VD/MD(押出方向の扁平率)は、0.05〜0.4であることが好ましく、0.07〜0.3がより好ましく、0.1〜0.25が更に好ましい。該比VD/MDが小さいほど、押出方向に扁平となる。前記幅方向ばかりでなく、押出方向においても気泡形状が扁平となることにより、気泡界面での反射がより効率的に起こり、反射率の向上効果が得られる。かかる気泡変形率の気泡を得るためには、MDは10〜300μmであることが好ましく、15〜200μmであることがより好ましく、20〜150μmであることがさらに好ましい。
本明細書において、厚み方向の気泡数B、厚み方向の平均気泡径VD、幅方向の平均気泡径TD、押出方向の平均気泡径MDは次のようにして求められる。
まず、発泡層の幅方向垂直断面(発泡層の押出方向と直交する垂直断面)の顕微鏡写真を撮影する。次いで、得られた拡大写真上において厚み方向に発泡層厚み全体にわたり直線を引き、その直線と交差する気泡の数(Nv)を計数する。上記の気泡数(Nv)の測定は、発泡層の幅方向に等間隔離れた少なくとも3箇所 (例えば、発泡層の幅のほぼ中央位置と、該中央位置の両側の2つの位置であって、各々発泡層の幅の1/3に相当する距離だけ該中央位置から離れた2つの位置、の合計3箇所)について行う。これらの測定箇所におけるカウント数(Nv)の算術平均値が発泡層の厚み方向の気泡数Bである。
厚み方向の平均気泡径VDは、上記した平均気泡数の測定で用いた拡大写真を用いて決定する。測定箇所における前記直線の長さ(Ln)と該直線と交差する気泡の数(Nv)から、比Ln/Nvを求める。3つの測定箇所における比Ln/Nvの算術平均値が厚み方向の平均気泡径VDである。
幅方向の平均気泡径TDも、前記厚み方向の平均気泡径の測定に用いた拡大写真を用いて決定する。前記測定箇所の各々において、発泡層の厚みを二等分する直線を引く。この幅方向の直線の長さは、拡大写真上で500μmに相当する長さである。該直線と交差する気泡の数Ntをカウントし、そのカウント数から(500μm/(Nt−1))を計算する。3つの測定箇所における計算値(500μm/(Nt−1))の算術平均値が幅方向の平均気泡径TDである。
発泡層の押出方向の平均気泡径MDは次のように行う。まず、発泡層の押出方向垂直断面(発泡層の押出方向に平行に、幅方向の中央部で二等分した垂直断面)の顕微鏡を撮影して拡大写真を得る。写真撮影は、断面における3箇所(任意の1箇所と、該箇所から押出方向に互いに反対方向に等間隔(例えば240mm)離れた2箇所)について行う。各々の拡大写真上において、発泡層の厚みを二等分する直線を引く。この押出方向の直線の長さは、拡大写真上で500μmに相当する長さである。該直線と交差する気泡の数(Nm)をカウントし、そのカウント数から(500μm/(Nm−1))を計算する。3つの測定箇所のおける計算値(500μm/(Nm−1))の算術平均値が押出方向の平均気泡径MDである。
幅方向の気泡扁平率は、前記厚み方向の平均気泡径VDを、幅方向の平均気泡径TDで割算する(VD/TD)ことにより求められ、押出方向の気泡扁平率は、前記厚み方向の平均気泡径VDを、押出方向の平均気泡径MDで割算する(VD/MD)ことにより求められる。
本発明の発泡層は、酸化チタンを含有するものである。酸化チタンは屈折率が比較的高く、光吸収が少なく、発泡シートの反射率を向上させるのに適するものである。さらに、発泡層1平方メートル当たりの酸化チタンの含有量を増加させるにつれて、長波長側の全反射率を短波長側の全反射率に対して大きく向上させることが可能となることから、より反射ムラの少ない発泡層を得ることができる。なお、酸化チタンの結晶構造には、アナターゼ型とルチル型があるが、屈折率が高く、反射率向上効果に優れることから、ルチル型の酸化チタンを用いることが好ましい。また、酸化チタンの平均粒子径は、光に対する遮蔽性の観点から、100〜500nmであることが好ましく、より好ましくは150〜400nm、更に好ましくは200〜300nmである。
本発明においては、発泡層の1平方メートル当たりの酸化チタンの含有量Aは3〜70g/mである。言い換えれば、酸化チタンの発泡層単位体積当たりの含有量と発泡シートの厚みとの積(A)が3〜70g/mである。酸化チタンの含有量Aが多くなるほど、全反射率は高くなるが、70g/mを超えると発泡層が脆くなり、軽量性が損なわれ、コスト高になってしまう。また、押出発泡性が低下する虞がある。一方、該含有量Aが3g/mより少ないと、反射率の向上効果が得難くなる虞がある。かかる観点から、該酸化チタンの含有量Aは5〜50g/mが好ましく、更に好ましくは10〜30g/mである。
なお、本明細書において、酸化チタンの発泡層1平方メートル当たりの含有量グラム数Aを、酸化チタンの含有量Aということがある。
本発明の発泡層は、酸化チタンの含有量Aと発泡シートの厚み方向の気泡数Bとの関係が下記(2)式を満足することが好ましい。
B≧60−1.5×A ・・・(2)
上記(2)式は、発泡層の光反射特性が前記発泡層の酸化チタンの含有量Aと、厚み方向の気泡数Bとの両方に関連していることを示しており、上記式(2)を満足しない場合には、発泡層の全反射率が低下したり、反射ムラが大きくなったりする。前記観点から、酸化チタンの含有量Aと、厚み方向の気泡数Bは、下記(3)式を満足することがより好ましい。
B≧75−2.0×A ・・・(3)
更に、AとBは下記(5)式を満足することがさらに好ましい。
A×B≧750 ・・・(4)
本発明の発泡層の厚みは、0.05〜3mmであることが好ましい。該厚みが0.05mmより少ないと、厚み方向における気泡数や酸化チタンの含有量Aを増やすことが困難になり、光反射性能が低下するおそれがある。また発泡層のコシも無くなるため、取扱いが容易ではなくなる。一方、該厚みが3mmを超えると、発泡層を実装する際にスペースを要するなどハンドリング性が低下するおそれがある。かかる観点から、発泡層の厚みは、0.06〜2mmであることが好ましく、より好ましくは0.07〜1mmであり、さらに好ましくは、0.08〜0.8mmである。
なお、本発明の積層発泡シートからなる光反射シートは、発泡層による光反射性能だけでなく、樹脂層を形成することによっても光反射性の向上効果が見られるので、発泡層をより薄くして酸化チタン含有量Aが少なくなったとしても、光反射性を向上させたり、樹脂層を有しない発泡シートからなる光反射シートと同等の光反射性を保持することができる。
前記発泡層の厚みは、発泡シートの幅方向垂直断面の顕微鏡写真について測定する。測定は発泡シートの幅方向に等間隔離れた少なくとも3箇所 (例えば、発泡シートの幅のほぼ中央位置と、該中央位置の両側の2つの位置であって、各々発泡シートの幅の1/3に相当する距離だけ該中央位置から離れた2つの位置、の合計3箇所)について行う。これらの測定箇所、樹脂層部分を除いた測定値の算術平均が発泡層の厚みである。
該発泡層は見掛け密度0.08〜0.9g/cmを有することが好ましい。該見掛け密度が0.08g/cmより低いと、剛性が低下し、コシが弱くなってハンドリング性が低下するおそれがある。一方、該見掛け密度が0.9g/cmより高いと、軽量性や剛性が高くなりすぎて取扱い性が低下するおそれがある。かかる観点から、該見掛け密度は、0.1〜0.8g/cmが好ましく、0.15〜0.7g/cmがさらに好ましい。
発泡層の坪量は、50〜450g/mであることが好ましい。該坪量が小さすぎると、発泡層の製造が困難になる虞がある。一方、該坪量が大きすぎると、軽量性が失われ、取り扱い難いものとなる虞がある。かかる観点から、該坪量は、60〜400g/mが好ましく、より好ましくは70〜350g/mであり、更に好ましくは80〜300g/mである。
前記樹脂層は、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とからなる混合樹脂により構成される。ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とからなる樹脂層を形成することにより、従来の単層発泡シートからなる光反射シートに比べて、耐折性が向上する。なお、発泡層を構成する樹脂と同様の樹脂を使用して樹脂層を形成しても、耐折性の向上効果は見られない。積層発泡シートとして、前記混合樹脂を用いることによって、初めて、単層発泡シートからなる光反射シートよりも耐折性に優れた光反射シートが得られる。
さらに、前記混合樹脂を用いることによって、反射シートの全反射率及び拡散反射率を高めることができる。これは、混合樹脂のポリオレフィン成分とポリスチレン成分により、各樹脂成分の界面が多数形成され、また各樹脂成分の屈折率が異なるため、各樹脂成分の界面で光が屈折することによると考えられる。すなわち、本発明においては、積層発泡シートの樹脂層をポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とからなる混合樹脂を用いることによって、光反射シートの耐折性だけでなく、光反射性をも向上させることが可能となる。なお、樹脂層が光反射シートの片面にのみ形成されている場合、耐折性の向上効果と共に光反射性の向上効果も得られるという点で、樹脂層が形成されている面を反射面側として使用することが好ましい。但し、反射面の反対側に使用しても、耐折性の向上効果は得られる。
前記樹脂層を構成するポリスチレン系樹脂としては、前述の発泡層を構成するポリスチレン系樹脂と同様のものを用いることができる。なお、樹脂層を構成するポリスチレン系樹脂としては、発泡層に用いられるものと同種のものを用いることが好ましい。
上記樹脂層を構成するポリスチレン系樹脂としては、溶融粘度が2000pa・s以下のものを用いることが好ましく、1500pa・s以下であることがより好ましい。溶融粘度が2000pa・s以下のポリスチレン系樹脂を用いることにより、共押出法により発泡シートを得る際には表層にウロコ模様等が発生せず、表面性が高く光反射性に優れるシートを得ることができる。また、樹脂層を構成するポリスチレン系樹脂の溶融粘度は、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂の溶融粘度よりも小さいものを用いることが好ましい。
前記樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、更にそれら2種以上の混合物等が挙げられる。上記ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなエチレンとコモノマーとの共重合体でエチレン成分が50モル%を超えるもの、更にそれら2種以上の混合物が挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のモノマーとの共重合体、及びこれらの2種以上又はこれらの1種以上と他の熱可塑性樹脂との混合物が包含され、その共重合体中又は混合物中に含まれるプロピレンに由来する構造単位は少なくとも50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。プロピレン共重合体において、その共重合成分には、エチレンや、プロピレン以外の他のα−オレフィンが包含され、そのα−オレフィンの炭素数は12以下、好ましくは8以下である。その共重合成分であるエチレン又は/及び他のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量は、ブロック共重合体の場合は20重量%以下、ランダム共重合体の場合は8重量%以下であることが好ましい。前記ポリオレフィン系樹脂の中では、高密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましく、さらにはポリプロピレン系樹脂を用いることがより好ましい。
前記ポリプロピレン樹脂の中では、ポリプロピレン単独重合体又はエチレンープロピレンブロック共重合体が好ましい。更に、共押出成形性に優れていることから、エチレンープロピレンブロック共重合体がより好ましい。共押出によるシート製造時には、製造条件によっては、伸びムラによるウロコ模様が発生することがあるが、エチレンープロピレンブロック共重合体を用いれば、ウロコ模様が発生する虞がない。これらの中でも融点150℃以上のものがより好ましい。
前記樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂の溶融粘度は、4000pa・s以下であることが好ましい。これを超える高粘度のポリオレフィン系樹脂を用いると、表層が上手く積層されずムラになってしまう。掛かる観点より、樹脂層に用いるポリオレフィン系樹脂の粘度は、共押出法により樹脂層を形成する場合には、3000pa・s以下が好ましく、2500Pa・s以下がより好ましい。また、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の溶融粘度比(PS/PP)は、0.2〜3が好ましく、0.25〜2がより好ましく、0.3〜1.5がさらに好ましい。
前記混合樹脂における、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の重量比は、ポリスチレン系樹脂:ポリオレフィン系樹脂=2:98〜95:5である(ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の合計は100である)ことが好ましい。なお、発泡層と樹脂層の接着性の観点からは、該重量比は、ポリスチレン系樹脂:ポリオレフィン系樹脂=5:95〜90:10であることが好ましく、ポリスチレン系樹脂:ポリオレフィン系樹脂=10:90〜80:20であることがより好ましい。
前記混合樹脂には、スチレン系エラストマーを配合することができる。スチレン系エラストマーを配合することにより、樹脂層と発泡層の接着性をさらに向上させることが可能となる。
該スチレン系エラストマーは、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを相溶化する機能を有するものである。該スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)のブロック共重合体と、それらの水添ポリマーであるスチレン−エチレン−エチレン−プロピレンのブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンのブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンのブロック共重合体(SEPS)、水添スチレンブタジエンゴム(HSBR)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンのブロック共重合体(SEEPS)などが挙げられる。SBS系又はSIS系のものは、ハードセグメントとしてポリスチレンの結晶相を有し、ソフトセグメントとしてポリブタジエン又はポリイソプレンがブロック的に共重合された構造を有する。一方、SEBS系やSEPS系のものは、前記SBS系やSIS系のものに含まれているポリブタジエン、ポリイソプレンを高度に水素化してその主鎖中の二重結合を飽和させたものである。これらのSEBS系や、SEPS系、SBS系及びSIS系等のスチレン系エラストマーについては、「プラスチックエージ」、第101頁〜第106頁(June
1985)に詳述されている。尚、スチレン系エラストマー中のスチレンに由来する構造単位は、通常は10〜65重量%であり、好ましくは30〜55重量%である。
なお、該混合樹脂がスチレン系エラストマーを含有している場合には、該混合樹脂のポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とスチレン系エラストマーとの配合割合が、ポリスチレン系樹脂2〜90重量%、ポリプロピレン系樹脂5〜95重量%、スチレン系エラストマー25重量%以下(ただし、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とスチレン系エラストマーの合計量は100重量%である)であることが好ましい。この範囲内であれば、樹脂層は光反射性を保持しつつ、耐折性にも優れるものとなる。かかる観点から、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とスチレン系エラストマーとの配合割合が、ポリスチレン系樹脂10〜80重量%、ポリプロピレン系樹脂10〜80重量%、スチレン系エラストマー1〜20重量%(ただし、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とスチレン系エラストマーの合計量は100重量%である)であることが好ましい。
本発明においては、前記樹脂層を構成する混合樹脂の相構造指数(PI値)を0.3〜10とすることが好ましく、0.35〜8とすることがより好ましく、0.4〜6とすることがさらに好ましい。
該PI値が上記範囲内であれば、樹脂中のポリプロピレン系樹脂がポリスチレン系樹脂を覆うことにより、ポリスチレン系樹脂が積層発泡シートの表面に露出することを防止することができ、その結果として光反射性を維持しつつ、耐折性を向上させることができると考えられる。
該PI値は、下記(5)式により算出されるものである。
PI値=(η(ps)・φ(po)/η(po)・φ(ps))
・・・(5)
(5)式においてφ(ps)は樹脂層中のポリスチレン系樹脂相の体積分率、η(ps)は190℃、剪断速度100sec-1におけるポリスチレン系樹脂の溶融粘度、φ(po)は樹脂層中のポリオレフィン系樹脂相の体積分率、η(po)は190℃、剪断速度100sec-1における前記樹脂の溶融粘度である。なお、樹脂層に相溶化剤を添加する場合のPI値の計算は、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とのどちらの方に相溶化剤がより相溶性が良いかを判断し、相溶性の良い方の構成成分として前記(5)式によりPI値を求める。例えば、SBS系のものはポリスチレン系樹脂の構成成分として、SEBS系のものはポリオレフィン系樹脂の構成成分としてPI値を求める。
前記樹脂層の坪量は1〜60g/mであることが好ましい。この範囲内であれば、表面性が良好で、耐久性に優れる反射シートが得られる。この範囲より小さいと強度向上効果が殆ど見られなくなってしまい、逆にこの範囲より大きいと、共押出時に、樹脂層から発泡層へ多量の熱が移動してしまうため、発泡性が悪化して気泡が巨大化して反射率が低下してしまう。かかる観点から、該坪量は2〜50g/mがより好ましく、3〜30g/mが更に好ましく、最も好ましくは5〜25g/mである。なお、該樹脂層の坪量は、発泡層の両面に樹脂層が存在する場合には、少なくともどちらか一方の樹脂層が上記範囲を満足することが好ましく、両方の樹脂層が上記範囲を満足することがより好ましい。
前記樹脂層には、光拡散剤や相溶化剤などのその他の添加剤を配合することができる。該樹脂層に光拡散剤を配合すると、樹脂層に微細な凹凸が形成され、干渉ムラの発生を抑えることができる。また、樹脂層表面に凹凸が形成されていると、樹脂層表面の滑り性が向上するので、積層発泡シートと冷却マンドレルとの摩擦力が低下し、シートの引取り速度を上げることが可能となり、積層発泡シートの坪量を低下させることがより容易になる。なお、樹脂層表面の凹凸は、樹脂層が冷却される際に、樹脂層を構成する樹脂と、光拡散剤との収縮率差により発生するものと考えられる。
前記光拡散剤としては、樹脂層の基材樹脂とは非相溶である有機微粒子が好ましく、例えば、ポリスチレン系微粒子、アクリル系微粒子、ナイロン系微粒子やアクリル酸エステル微粒子、(メタ)アクリル酸エステル微粒子、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及びスチレンモノマーを共重合して得られた微粒子等の有機微粒子が挙げられる。
前記樹脂層の更に外面側に、最外層の樹脂層を設けることにより、より反射シートの耐折強度を高めることも可能である。
該最外層にはポリオレフィン系樹脂を用いることが望ましい。さらに、該最外層としてポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂を用いることがより望ましく、ポリプロピレン系樹脂を用いることがさらに望ましい。ポリプロピレン系樹脂を用いて最外層を形成すれば、ポリプロピレン系樹脂は耐熱性が高いことから、反射シートの耐熱性を向上させ、さらに屈折強度を向上させることもできる。
本発明における積層発泡シートの厚みは、0.05〜3mmである。該厚みが0.05mmより小さいと、厚み方向における気泡数や酸化チタンの含有量Aを増やすことが困難になり、光反射性能が低下するおそれがある。一方、該厚みが3mmを超えると、ハンドリング性が低下したり、軽量性が低下するおそれがある。かかる観点から、積層発泡シートの厚みは、0.06〜2mmであることが好ましく、より好ましくは0.07〜1mmであり、さらに好ましくは、0.08〜0.8mmである。
前記積層発泡シートの厚みは、発泡シートの幅方向垂直断面の顕微鏡写真について測定する。測定は発泡シートの幅方向に等間隔離れた少なくとも3箇所 (例えば、発泡シートの幅のほぼ中央位置と、該中央位置の両側の2つの位置であって、各々発泡シートの幅の1/3に相当する距離だけ該中央位置から離れた2つの位置、の合計3箇所)について行う。
前記積層発泡シートの見掛け密度は0.08〜0.9g/cmである。該見掛け密度が0.08g/cmより低いと、積層発泡シートの剛性が低下し、コシが弱くなってハンドリング性が低下する。一方、該見掛け密度が0.9g/cmより高いと、積層発泡シートの軽量性や剛性が高くなりすぎて取扱い性が低下する。かかる観点から、該見掛け密度は、0.1〜0.8g/cmが好ましく、0.15〜0.7g/cmがさらに好ましい。
前記積層発泡シートの見かけ密度(g/cm)は、積層発泡シートから切り出した試験片の重量(g)を該試験片の体積(cm)で除した値である。
前記積層発泡シートの樹脂層と発泡層の剥離強度は、0.1N/25mm以上であることが好ましい。上記範囲であれば、光反射シートとしての取り扱い性が容易となるうえに、耐折性にも優れるものとなる。
次に、本発明における積層発泡シートの製造方法について説明する。該積層発泡シートは、発泡層の片面又は両面に樹脂層を積層することにより得ることができる。なお、樹脂層は熱ラミネート、押出ラミネート、共押出等の公知の方法によって積層することができる。これらの中では、少ない製造工程で容易に樹脂層を発泡層に積層でき、樹脂層を強固に接着させることができ、薄い樹脂層を積層し得ることから、共押出法により製造することが好ましい。共押出法においては、発泡層形成用押出機の出口に共押出用ダイが取り付けられ、その共押出ダイに樹脂層形成用押出機が連結された装置が用いられる。
なお、前記押出機、共押出用環状ダイ等の共押出用の装置等は、従来共押出発泡の分野で用いられてきた公知のものを用いることができる。
共押出法においては、前記ポリスチレン系樹脂原料とその他の添加剤を発泡層形成用押出機に供給し、加熱溶融し混練し、更に発泡剤を圧入して発泡性樹脂溶融物とする。同時に、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂と、必要に応じてスチレン系エラストマーや光拡散剤などの添加剤とを樹脂層形成用押出機に供給し、加熱溶融し混練して樹脂層形成用樹脂溶融物とする。
前記発泡層を形成するポリスチレン系樹脂とともに押出機に供給される気泡調整剤としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、クレー、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末;などを用いることができる。特に数平均メジアン粒子径が0.1〜20μmの大きさのタルクが好ましく、粒径が0.5〜15μmであることがより好ましい。気泡調整剤の添加量は、該気泡調整剤の種類によっても異なるが、本発明においては、微細な気泡を形成させるため、タルクを使用する場合は前記発泡層形成用樹脂組成物中の含有量が、1〜30重量%となるように添加することが好ましく、より好ましくは2〜25重量%、更に好ましくは2.5〜20重量%である。
また、気泡調整剤としてタルクを用いる場合、添加量が少ないと気泡が粗大となり、反射効率が低くなる虞がある。一方、添加量が多すぎる場合、タルクが凝集してしまい気泡微細化効果が低下する虞がある。また、タルクを多量に添加した場合には、発泡シート中のタルク自体による光吸収により、発泡シートの反射率が低下してしまうという問題が生じるおそれがある。さらに、タルクを多量に添加した場合には、タルクに含まれる微量の不純物の影響で、発泡シート自体が着色するおそれがあることから、不純物(金属性イオン)が少なく、白色度の高いタルクを用いることが好ましい。
前記ポリスチレン系樹脂には、気泡の微細化を容易にするために、フッ素系界面活性剤を配合することが好ましい。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロブタンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステル、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステル型アミン中和物、含フッ素基・親水性基含有オリゴマー、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー等が挙げられる。さらに、コスト的な観点からは、パーフルオロブタンスルホン酸塩が特に好ましい。
フッ素系界面活性剤の配合量は、前記発泡層形成用樹脂組成物中の含有量が0.1〜5重量%となるように配合することが好ましく、さらに好ましくは、0.2〜2重量%である。該含有量が少なすぎると、気泡の微細化効果が得られず、該添加量が多すぎると、押出機中でスリップが起きるなどの不都合が生じる虞がある。
また、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂中には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加物、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光増白剤、染料、顔料、加工助剤、衝撃改質剤、充填剤などが添加されていてもよい。
なお、気泡調整剤や前記の添加剤は、ポリスチレン系樹脂をベースレジンとするマスターバッチを予め調製し、得られたマスターバッチの適当量を添加することが添加剤等の分散性の点から好ましい。気泡調製剤のマスターバッチは、好ましくは、気泡調整剤としてタルクを使用した場合、発泡層形成用樹脂組成物100重量部に対してタルク含有量60重量%マスターバッチとして5〜100重量部、より好ましくは10〜50重量部加えて調整することができる。
発泡剤としては、炭素数3〜5の飽和炭化水素や、脂肪族アルコール、二酸化炭素、窒素、水などの物理発泡剤、炭酸水素ナトリウムなどの化学発泡剤を使用できる。これらの発泡剤の中でも、気泡を微細化するためには、二酸化炭素、窒素を用いることが好ましく、厚み方向の気泡数を容易に増やすことができることから窒素を用いることがより好ましい。注入量は、前記発泡層形成用樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましい。
次に、前記発泡層形成用樹脂溶融物と前記樹脂層形成用樹脂溶融物とを共押出ダイに導入し、共押出用ダイ内で、発泡層形成用の樹脂溶融物と樹脂層形成用の樹脂溶融物とを合流させて、発泡層形成用の樹脂溶融物の片面又は両面に樹脂層樹脂溶融物を積層させる。合流した溶融物をダイリップから共押出し、発泡層形成用樹脂溶融物を発泡させることにより、発泡層の表面に樹脂層が積層された積層発泡シートが形成される。
なお、本発明の発泡層の気泡を扁平で微細な気泡構造とするために、押出発泡時に以下の操作を行うことにより気泡形状を調整することができる。例えば、押出方向に気泡を扁平状にする場合には、吐出速度に対して引き取り速度を上げる等の方法で調整できる。幅方向に気泡を扁平状にする場合には、発泡体が幅方向に広がるように押出しする方法で調整でき、環状ダイを用いる場合は、環状ダイの吐出口径と円柱状の冷却装置であるマンドレルの直径との比(マンドレルの直径/環状ダイの吐出口径)を大きくする方法で調整できる。
共押出法により積層発泡シートを形成する方法には、共押出用フラットダイを用いてシート状に共押出発泡させて積層する方法と、共押出用環状ダイを用いて筒状積層発泡体を共押出発泡し、次いで筒状積層発泡体を円柱状冷却装置に沿わせて引取りながら切り開いてシート状の積層発泡シートとする方法等がある。
これらの中では、共押出用環状ダイを用いる方法が、コルゲートと呼ばれる波状模様の発生を抑えることができ、発泡層の特定の気泡構造を形成しつつ、厚みの薄い樹脂層を形成できるので、好ましい方法である。なお、発泡シート形成用樹脂溶融物と樹脂層形成用樹脂溶融物との積層は、環状ダイ内で行なうことが好ましい。
本発明の光反射シートは、強度に優れることから熱成形することが可能である。
本発明の光反射シートは、前記ポリスチレン系樹脂押出積層発泡シートからなるものであり、液晶TVの最背面に設置されてLEDやCCFL等の光源より発せられた光を前面に反射して光利用効率を上げたり、蛍光灯等の照明装置や電飾看板といった装置に装着されて、光の利用効率を上げることができるものである。特に、本発明の光反射シートは、樹脂層が、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の混合物により形成されていることから、該光反射シートは強度に優れ、熱成形も可能なので、広い用途での使用が可能なものである。
以下の実施例および比較例は本発明を更に説明する。但し、本発明は下記実施例に限定されるものでは無い。
実施例、比較例において次の原料を用いた。
(1)発泡層を形成するポリスチレン系樹脂としては、PSM1:PSジャパン社製 メタクリル酸共重合スチレン系樹脂G9001(溶融粘度2650Pa・s(190℃、100sec−1))100重量部に対して、SER1:JSR社製 スチレン系エラストマー TR2000(SBS;溶融粘度1400Pa・s(190℃、100sec−1))8.4重量部を添加したものを用いた。
(2)酸化チタンとして、ルチル型構造の、平均粒子径230nmの酸化チタンを、GPPS1:PSJ社製 GPPS樹脂 679(溶融粘度1090Pa・s(190℃、100sec−1))で70wt%マスターバッチとしたものを用いた。
(3)気泡調整剤は、平均粒径6.9μm、白色度98のタルクを用い、GPPS1を用いて60wt%マスターバッチとしたものを用いた。
(4)樹脂層を形成するポリスチレン系樹脂としては、以下のものを用いた。
GPPS1:PSジャパン社製ポリスチレン樹脂679
(溶融粘度1090Pa・s(190℃、100sec−1))
GPPS2:PSジャパン社製ポリスチレン樹脂680
(溶融粘度1300Pa・s(190℃、100sec−1))
GPPS3:東洋スチレン社製ポリスチレン樹脂G100C
(溶融粘度730Pa・s(190℃、100sec−1
(5)樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂としては、以下のものを用いた。
PP1:JPP社製ポリプロピレン樹脂EC9
(溶融粘度1900Pa・s(190℃、100sec−1))
PP2:JPP社製ポリプロピレン樹脂BC6DR
(溶融粘度1120Pa・s(190℃、100sec−1))
PP3:JPP社製ポリプロピレン樹脂BC3H
(溶融粘度770Pa・s(190℃、100sec−1))
PP4:JPP社製ポリプロピレン樹脂BC2E
(溶融粘度560Pa・s(190℃、100sec−1))
(6)最外層を構成するポリプロピレン系樹脂として、PP3:JPP社製ポリプロピレン樹脂BC3H(溶融粘度770Pa・s(190℃、100sec−1))を用いた。
(7)樹脂層を構成するスチレン系エラストマーとして、SER1:JSR社製 スチレン系エラストマー TR2000(SBS;溶融粘度1400Pa・s(190℃、100sec−1))を用いた。
(1)製造装置1
製造装置1は、積層発泡シートを製造するための装置であり、バレル内径90mmの第一押出機と、第一押出機に接続されたバレル内径120mmの第二押出機とからなるタンデム型の発泡層形成用押出機と、バレル内径65mmの樹脂層形成用押出機とを備え、さらに発泡層形成用押出機と樹脂層形成用押出機とが共押出用環状ダイ(リップ径φ110mm)に接続された装置である。
(2)製造装置2
樹脂層の更に外面側に最外層を形成する場合には、上記の製造装置1に、バレル内径40mmの最外層形成用押出機を前記共押出用環状ダイに接続した製造装置2を用いた。
実施例1
製造装置1の第一押出機に、表1に示すポリスチレン、酸化チタン、タルク(気泡調整剤)を供給し、加熱、溶融、混練して樹脂溶融物を得た。この溶融物を、それに窒素を表1中に示す量注入した後、第二押出機に搬送し、第二押出機中で発泡に適した樹脂温度に調整して、発泡性樹脂溶融物を得た。一方、樹脂層形成用押出機に、表1に示すポリスチレン系樹脂、スチレン系エラストマー、ポリプロピレン系樹脂を供給し、加熱、溶融、混練して樹脂層形成用樹脂溶融物を得た。両者を共押出用環状ダイ中に導入し、該環状ダイ内で、筒状に流動する発泡性樹脂溶融物の両面に樹脂層形成用樹脂溶融物を積層し、環状ダイのダイリップを通して表1に示す吐出量で筒状発泡シートとして押出した。次いで、筒状発泡シートを外面側流量0.6m/min、内面側0.6m/minの冷却エアを吹き付けながら、冷却マンドレルに沿わせて冷却しながら引取った。筒状発泡シートの引取り速度は表1に記載の通りであった。冷却した発泡筒状シートを押出し方向に切断して、1枚の幅1110mmの平坦な発泡シートを得た。なお、得られた発泡シートは、発泡層の両面に樹脂層が形成された、2種3層の積層シートである。なお、表中の樹脂層坪量は両面に積層された樹脂層の合計坪量である。
また、実施例2〜7(表1)、9〜11(表2)、比較例1,2(表3)においても、表中に記載した条件によって、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
実施例8
製造装置2を用いて、表2に記載した条件により、発泡層の両面に樹脂層を形成し、さらに樹脂層の外面側に最外層を形成し、最外層の坪量が10g/mの3種4層の積層発泡シートを得た。
実施例は、樹脂層として、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とからなる混合樹脂から構成される積層発泡シートからなる光反射シートであり、比較例1における単層の発泡シートや比較例2におけるポリスチレン系樹脂のみから構成される積層発泡シートからなる光反射シートに比べて、平均屈折回数が向上していることが分かる。
表中の各物性の測定は次のように行なった。
<積層発泡シートの厚み>
積層発泡シートの厚みは、前記の方法により測定した。
<積層発泡シートの見掛け密度(g/cm)>
積層発泡シートの見掛け密度は、前記の方法により測定した。
<樹脂層、発泡層の坪量>
樹脂層の坪量は、積層発泡シートの全幅にわたって、幅方向に等間隔に、縦10cm×横10cm×発泡層の厚みの試験片を切り出し、樹脂層の厚みの平均値に樹脂層を構成している樹脂の密度を乗じ、単位換算した値(g/m)として求めた。なお、樹脂層密度(g/cm)は、樹脂層を構成する各樹脂の密度に各樹脂の含有重量比率を乗じて算出される値の総和として求めた。
なお、前記方法にて坪量測定が困難な場合には、共押出によって製造される積層発泡シートの場合、押出発泡条件の内、樹脂層の吐出量X[kg/時]と、得られる積層発泡シートの幅W[m]、積層発泡シートの単位時間あたりの押出されるシート長さL[m/時]から、下記(6)式にて樹脂層の坪量[g/m]を求めた。また、発泡シートの両面に樹脂層を押出ラミネート法により積層する場合には、それぞれの樹脂層の吐出量に基づきそれぞれの樹脂層の坪量を求めた。
坪量[g/m]=〔1000X/(L×W)〕・・・(6)
また、発泡層の坪量(g/m)は、積層発泡シートの坪量(g/m)から樹脂層の坪量(g/m)を引算することによっても求めた。なお、最外層の坪量についても、(6)式により算出した。
<酸化チタン含有量A(g/m)>
発泡層の酸化チタン含有量Aは、前記発泡層の坪量と、酸化チタン使用量より計算にて求めた。
<厚み方向の平均気泡数B>
発泡層の厚み方向の気泡数は、前述の方法により求めた。なお、気泡数の測定は、発泡層の幅方向に等間隔に3箇所(シート中央部及び中央部より両端側に240mm離れた計3箇所)について行った。積層発泡シートの場合には、発泡シート部分について同様に測定した。
<厚み方向平均気泡径VD、押出方向平均気泡径MD、幅方向平均気泡径TD>
厚み方向平均気泡径、幅方向平均気泡径は、前記厚み方向の平均気泡数の測定に用いた、各々の拡大写真を使用して、前述の方法により行った。押出方向の平均気泡径は、別途、前述の方法により求めた。なお、気泡数の測定は、発泡シートの押出方向断面上の3箇所(任意の1箇所と、該箇所から押出方向に互いに反対方向に等間隔(240mm)離れた2箇所)について行った。
<気泡扁平率>
VD/MD気泡扁平率、VD/TD気泡扁平率は、前記平均気泡径から前記方法により算出した。
<全反射率、拡散反射率>
JIS K7105−1981の全光線反射率測定法Aに準拠して求めた。具体的には、発泡シートの3箇所(幅方向の中央部及び該中央部より幅方向の反対方向に240mm離れた2つの位置)から3つの試験片を切り出した。全反射率測定は、各試験片の表面(マンドレル接触面の反対側の面(スキン面))を紫外可視分光光度計(島津製作所製、UV−2450)と、積分球試料台(島津製作所製、ISR−2200)とを使用し0.5nm毎に波長450〜750nmの範囲の、入射角8度における反射率を測定し、3枚のシートについて得られた値の算術平均値を全反射率(%)とした。なお、該全反射率は、硫酸バリウム(Merck社製、DIN5033、白色標準)の反射率を100%とした相対値である。
拡散反射率の測定は、前記全反射率の測定と同じ装置を用い、入射角0度として測定を行った。
なお、表中の全反射率(550nm)は、3つの試験片についての波長550nmにおける全反射率の算術平均値である。拡散反射率/全反射率は、550nmにおける拡散反射率の550nmにおける全反射率に対する比である。
<耐折性試験>
(耐折性)試験片の長さ方向が押出方向(MD)または幅方向(TD)となる長さ110mm×幅15mm×厚さ(多層発泡シートの全厚)の試験片を作製し、この試験片を用いて耐折試験を行った。試験は、東洋精機製作所製のMIT耐折疲労試験機を用い、JIS
P 8115(1994)に準じて、荷重:6.9N、折り曲げ部R:0.38mmとし、試験片の一端を固定し左右へ135度の角度に折り曲げて行った。試験は試験片10個について、けい線部に裂け目が発生するまでの折り曲げ回数を測定し、平均値を求めた。
<剥離強度>
剥離強度については、JIS−K6854−2に基づき試験を行った。幅25mm、長さ200mmの試験片において、試験温度23℃で、引張試験機のチャックに積層発泡シートを保持し(チャック間距離:60mm)、引張り速度100mm/minの条件で、発泡層と樹脂層(スキン面側)とを180度方向に引っ張り試験を行い、発泡層と樹脂層との積分平均荷重にて剥離強度を算出した。



























Claims (7)

  1. ポリスチレン系樹脂発泡層の少なくとも片面に樹脂層が積層された、見掛け密度0.08〜0.9g/cm、厚み0.05〜3mmの積層発泡シートから構成される光反射シートであって、 該樹脂層がポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂から構成されており、 該発泡層の酸化チタン含有量Aが3〜70g/mであり、 該発泡層の厚み方向の平均気泡径が1〜70μmであり、 該発泡層の厚み方向の気泡数Bが10個以上であることを特徴とする光反射シート。
  2. 前記樹脂層と発泡層の剥離強度が、0.1N/25mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光反射シート。
  3. 前記混合樹脂を構成するポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との重量比率が、2:98〜95:5であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光反射シート。
  4. 前記樹脂層を構成する混合樹脂の相構造指数(PI値)が0.3〜10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光反射シート。 PI値=(η(ps)・φ(po)/η(po)・φ(ps)) (1)

    ((1)式においてφ(ps)は樹脂層中のポリスチレン系樹脂相の体積分率、η(ps)は190℃、剪断速度100sec-1におけるポリスチレン系樹脂の溶融粘度、φ(po)は樹脂層中のポリオレフィン系樹脂相の体積分率、η(po)は190℃、剪断速度100sec-1における前記ポリオレフィン系樹脂の溶融粘度である。)
  5. 前記樹脂層の坪量が1〜60g/mであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光反射シート。
  6. 前記酸化チタンの含有量Aと前記気泡数Bとが、下記(2)式の関係を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光反射シート。
    B ≧ 60−1.5×A (2)
  7. 前記酸化チタンの含有量Aが5〜50g/m、及び/又は前記気泡数Bが20個以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の光反射シート。





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JP2020111060A (ja) * 2016-02-05 2020-07-27 大日本印刷株式会社 内装用シート、部屋、乗り物
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