JP2015137407A - 亜鉛メッキ基材の表面処理方法、亜鉛メッキコード及び伝動ベルト - Google Patents

亜鉛メッキ基材の表面処理方法、亜鉛メッキコード及び伝動ベルト Download PDF

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Abstract

【課題】 金属基材と伝動ベルト本体を構成するエラストマー材料との接着性を、短い処理時間で且つ簡便に、効果的に向上させることができる環境にもやさしい金属基材の表面処理方法、金属コード及び伝動ベルトを提供すること。
【解決手段】 亜鉛メッキ基材の表面にアルカリ水溶液を接触させることにより、亜鉛メッキ基材表面に水酸基を導入する水酸化処理工程、水酸化処理後の亜鉛メッキ基材の表面にシランカップリング剤水溶液を接触させることにより、シランカップリング剤由来のシラノール基と亜鉛メッキ基材表面の水酸基との水素結合を形成するシランカップリング剤処理工程、及び、シランカップリング剤処理後の亜鉛メッキ基材を加熱して前記シラノール基と前記水酸基との脱水縮合反応により形成されるSiO結合を介して亜鉛メッキ基材表面にシランカップリング剤皮膜を形成する工程を含む亜鉛メッキ基材の表面処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、亜鉛メッキ基材の表面処理方法、亜鉛メッキコード及び伝動ベルトに関する。特に、本発明は、タイミングベルト等の伝動ベルトの補強用金属コードとして好適に用い得る亜鉛メッキ基材の表面処理方法、亜鉛メッキコード及び伝動ベルトに関する。
タイミングベルト(以下、「歯付きベルト」ともいう)などの伝動ベルトの補強材として使用される金属コードとしては、亜鉛メッキスチールワイヤやステンレススチールワイヤを撚り合わせたものが用いられ、ゴムやウレタン樹脂等のエラストマー材料からなるベルト本体に埋設される。
このような伝動ベルトにおいては、エラストマー材料と金属コードとの接着性を高めるために、例えば、金属コードを構成するスチールワイヤの表面をエポキシ樹脂層で被覆する方法が公知である。しかしながら、有機溶剤を使用するため、環境にやさしいスチールワイヤの表面処理手段が求められる。また、近年、タイミングベルト等においては、耐疲労性等に優れたウレタン樹脂がエラストマー材料として注目されており、特にベルト本体を構成する母材ウレタン樹脂との接着性を向上させるためのスチールワイヤの表面処理技術が求められる。
各種材料の表面処理手段として、シランカップリング剤を用いた処理が周知である。シランカップリング剤処理される材料としては、ガラス繊維から始まり、無機材料、シリカ、金属材料など幅広いが、金属材料に対しては反応性の確保が難しく、他の薬剤等を複合的に作用させるか、特殊なシランカップリング剤を使用する例が殆どである。
発明の属する分野は本発明と異なるが、例えば、特許文献1には、特定の多価フェノールカルボン酸、およびそのデプシドを含有する物質から選ばれた少なくとも1種の物質と特定構造のシランカップリング剤とを含有する表面処理液で亜鉛メッキ鋼板の表面を処理することにより、塗装密着性を改善する技術が開示されている。
また、本発明と同様の技術分野では、特殊なカップリング剤を使用する技術として、例えば、特許文献2には、加硫型エラストマーと金属補強材との密着性を向上させるために、シランカップリング剤として、加硫型エラストマー材料と反応するための不飽和炭素−炭素結合を有する高分子主鎖と、金属材料と結合するための特定の基を有する末端基とを含む特定のカップリング剤が開示されている。
また、基材に対する他の表面処理技術として、例えば、オゾン水で基材表面を処理する技術が公知である。発明の属する分野は本発明と異なる医療分野であるが、例えば、特許文献3及び4には、基材に対するリン酸カルシウム剤皮膜の密着性を高めるために、基材表面をオゾン水で処理する技術が開示されている。
特開平7−216268号公報 特表2010−519374号公報 国際公開第2009/057502号パンフレット 国際公開第2010/125686号パンフレット
上述したように、各種材料の表面処理手段として様々な技術が公知であるが、金属基材と、特にベルト本体を構成するウレタン樹脂等のエラストマー材料との接着性を、簡便且つ効果的に向上させる環境に優しい技術は未だ存在しないのが実情である。
本発明は、金属基材と伝動ベルト本体を構成するエラストマー材料との接着性を、短い処理時間で且つ簡便に、効果的に向上させることができる環境にもやさしい金属基材の表面処理方法、金属コード及び伝動ベルトを提供することを課題とする。
本発明の第1側面によると、亜鉛メッキ基材の表面にアルカリ水溶液を接触させることにより、亜鉛メッキ基材表面に水酸基を導入する水酸化処理工程、
水酸化処理後の亜鉛メッキ基材の表面にシランカップリング剤水溶液を接触させることにより、シランカップリング剤由来のシラノール基と亜鉛メッキ基材表面の水酸基との水素結合を形成するシランカップリング剤処理工程、及び、
シランカップリング剤処理後の亜鉛メッキ基材を加熱して前記シラノール基と前記水酸基との脱水縮合反応により形成されるSiO結合を介して亜鉛メッキ基材表面にシランカップリング剤皮膜を形成する工程を含む亜鉛メッキ基材の表面処理方法が提供される。
本発明の一形態において、上記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液である。
また、本発明の他の形態において、本発明の表面処理方法は、上記水酸化処理工程の前に亜鉛メッキ基材の表面を酸化処理する工程を更に含んでいてもよい。
また、本発明の他の形態において、上記酸化処理は加熱により行われる。
また、本発明の他の形態において、上記シランカップリングは、アミノ系シランカップリング剤である。
また、本発明の他の形態において、上記亜鉛メッキ基材は、亜鉛メッキ線状体であってもよいし、2本以上の亜鉛めっき線状体を撚り合わせたストランドであってもよい。
本発明の第2側面によると、亜鉛メッキコードが提供される。
本発明の一形態において、亜鉛メッキコードは、上述した亜鉛メッキ基材の表面処理方法を用いて表面処理された2本以上の亜鉛線状体を撚り合わせたストランドからなる。
また、本発明の他の形態において、亜鉛メッキコードは、2本以上の亜鉛線状体を撚り合わせたストランドからなり、このストランドが上述した亜鉛メッキ基材の表面処理方法を用いて表面処理されたものである。
また、本発明の他の形態において、亜鉛メッキコードは、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたコアストランドの周囲に、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたシースストランドを複数配置してなる亜鉛メッキコードであって、少なくとも、上記シースストランドを構成する亜鉛メッキ線状体が、上述した亜鉛メッキ基材の表面処理方法により表面処理されている。
また、本発明の他の形態において、亜鉛メッキコードは、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたコアストランドの周囲に、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたシースストランドを複数配置してなる亜鉛メッキコードであって、少なくとも、上記シースストランドが、上述した亜鉛メッキ基材の表面処理方法により表面処理されている。
また、本発明の他の形態において、上記亜鉛メッキコードは、伝動ベルトの補強材として用いられ、例えば、タイミングベルトの補強材として用いられる。
本発明の第3側面によると、上述した亜鉛メッキコードが補強材として、エラストマー材料を含有するベルト本体に埋設されてなる伝動ベルトが提供される。
本発明の一形態において、上記エラストマー材料は、ウレタン樹脂を含有する。
また、本発明の他の形態において、上記伝動ベルトは、タイミングベルトである。
本発明により、亜鉛メッキ基材と伝動ベルト本体を構成するエラストマー材料との接着性を、短い処理時間で且つ簡便に、効果的に向上させることができる環境にもやさしい亜鉛メッキ基材の表面処理方法、亜鉛メッキコード及び伝動ベルトを提供することが可能となった。
実施例の引抜き試験において使用したサンプル外観を示す写真。
以下、本発明の態様について詳細に説明する。
本発明に係る亜鉛メッキ基材の表面処理方法は、亜鉛メッキ基材の表面にアルカリ水溶液を接触させる水酸化処理工程、水酸化処理後の亜鉛メッキ基材表面に、シランカップリング剤水溶液を接触させるシランカップリング剤処理工程、及び、シランカップリング剤処理後の亜鉛メッキ基材を加熱してシランカップリング剤皮膜を形成するシランカップリング剤皮膜の形成工程を含む。
すなわち、本発明に係る亜鉛メッキ基材の表面処理方法(以下、「本発明の表面処理方法」などともいう)では、まず、亜鉛メッキ基材の表面にアルカリ水溶液を接触させることにより、金属基材表面に水酸基が導入され、次いで、シランカップリング剤水溶液を水酸化処理後の亜鉛表面に接触させることにより、シランカップリング剤由来のシラノール基と亜鉛メッキ基材表面の水酸基との水素結合が形成される。次いで、シランカップリング処理後の亜鉛メッキ基材を加熱することにより、シラノール基と亜鉛メッキ基材表面の水酸基との脱水縮合反応によりSiO結合が形成され、これを介してシランカップリング剤皮膜が基材表面上に固定化される。
本発明の表面処理方法によるシランカップリング剤皮膜の固定化の上記メカニズムは、シランカップリング剤処理においてシランカップリング剤の水溶液を使用することにより達成されるものであり、例えば、上述した特許文献4に記載されているように(例えば、段落0030−0031、実施例等を参照)、シランカップリング剤の有機溶剤溶液を使用することによっては達成されない。
すなわち、水酸化処理後の金属基材表面は、酸化物(M−O)や水酸化物(M−OH)等の存在により親水性になっており、表面に水分が吸着している。有機溶媒中のシランカップリング剤は疎水性(Si−O−R)であるため、シランカップリング剤の有機溶媒溶液を用いてアルカリ水酸化処理後の金属基材表面を処理した場合、アルカリ水酸化処理後の基材表面(親水性)との反応が進みにくく、シランカップリング剤皮膜が形成されにくい。このためシランカップリング剤処理を高温で長時間にわたり行うことにより、金属基材とシランカップリング剤皮膜との間にSi−O−M結合をダイレクトに形成することが必要となる。
一方、本発明の表面処理方法では、シランカップリング剤の水溶液が使用されるため、上述の通り、シランカップリング剤由来のシラノール基(Si−OH)(親水性)と、水酸化処理後の金属基材表面の水酸基が水素結合を形成し、反応が速やかに進行する。このためシランカップリング剤処理は、後述するように常温且つ短時間で実施される。更に、次いで施される加熱処理により、上述したように、シラノール基と金属基材表面の水酸基との脱水縮合反応によりSiO結合が形成され、これを介してシランカップリング剤皮膜が基材表面上に固定化される。
<亜鉛メッキ基材>
本発明の表面処理方法で処理される金属基材は、亜鉛メッキ基材である。本発明者等による鋭意研究の結果、上述した処理工程を含む表面処理方法は、金属基材の中でも特に亜鉛メッキ基材の表面処理に適用した場合に、エラストマー材料との接着性が飛躍的に向上することが見出された。
本発明の一態様において、本発明の表面処理方法で処理される亜鉛メッキ基材は、伝動ベルトの補強材として使用されるものである。ここで、伝動ベルトは、例えば、タイミングベルト(歯付きベルト)、平ベルト、Vリブドベルト等であり、その補強材として用いられる金属基材としては、亜鉛メッキ線状体や、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたストランドが挙げられる。したがって、本発明の表面処理方法で処理される亜鉛メッキ基材は、亜鉛メッキ線状体であってもよいし、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたストランドであってもよい。
<水酸化処理>
本発明の表面処理方法は、亜鉛メッキ基材表面にアルカリ水溶液を接触させる水酸化処理工程を含む。この水酸化処理工程により、アルカリ水溶液中の塩基(OH)と、基材表面の亜鉛との化学反応で、亜鉛メッキ基材表面は、酸化物(M−O)や水酸化物(M−OH)等の存在により親水性になり、表面に水分が吸着する。すなわち、亜鉛メッキ基材表面に水酸基が導入される。この水酸基に、後述するシランカップリング剤由来のシラノール基が反応して水素結合を形成する。
水酸化処理工程において用い得るアルカリ水溶液は、強アルカリ水溶液であることが好ましく、例えば、水酸化ナトリウム水溶液が挙げられる。
また、亜鉛メッキ基材の表面とアルカリ水溶液とを接触させる方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ水溶液中に亜鉛メッキ基材を浸漬してもよい。また、アルカリ水溶液を亜鉛メッキ基材に流しかけてもよい。浸漬の場合には、回分及び連続のいずれの方法を用いてもよい。また、浸漬の間、溶液に超音波をかけてもよい。
アルカリ水溶液におけるアルカリ濃度としては、特に限定されるものではなく、後掲のアルカリ水溶液の温度との関係で適宜設定することができる。アルカリ濃度が低すぎると基材との反応スピードが遅くなり、処理時間が長くなるか、反応効果が不充分となるため、例えば、アルカリ水溶液の温度が25℃の場合には、pH11以上が好適であり、pH12以上がより好適である。一方、アルカリ濃度が高すぎると、反応の不均一性が生じ得ることや、水酸化処理後の洗浄の負担になることから、例えば、25℃の場合にはpH13.5以下が好適である。アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液の場合、水酸化ナトリウムの濃度は、例えば、0.002質量%以上1質量%以下が好ましく、0.02質量%以上1質量%以下がより好ましい。また、1質量%以下であることが好ましい。
アルカリ水溶液の温度としては、特に限定されるものではなく、亜鉛メッキ基材表面の水酸化状況などによって、アルカリ水溶液の濃度と共に適宜設定すればよい。本発明の一形態において、アルカリ水溶液の温度は、例えば、20〜50℃が好適であり、25〜45℃がより好適である。
亜鉛メッキ基材の表面とアルカリ水溶液とを接触させる時間としては、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。本発明の一形態において、処理時間は、例えば、20秒〜2分が好ましく、30秒〜1分がより好ましい。
<洗浄工程>
なお、本発明の表面処理方法は、一形態において、上述した水酸化処理工程の後に、亜鉛メッキ基材表面に付着した過剰のアルカリを除去する洗浄工程を更に含んでいてもよい。このアルカリ除去工程は、例えば、水酸化処理後の亜鉛メッキ基材を水洗いすることにより行うことができる。
<シランカップリング剤処理>
本発明の表面処理方法では、アルカリ水溶液を接触させた後の亜鉛メッキ基材の表面に、シランカップリング剤水溶液を接触させる。ここで使用し得るシランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば水溶性の観点からは、アミノ基を含むアミノ系シランカップリング剤が好ましく、具体的には、3−アミノプロピルトリエトシキシラン(CAS No.919−30−2;製品名KEB−003 信越化学社製)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−602)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−603)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903)、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン(KBE−9103)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573)、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン(KBE−9007)等が挙げられる。
本発明のシランカップリング剤処理工程で用いるシランカップリング剤水溶液としては、シランカップリング剤を溶解した水である限り限定されるものではい。他の薬剤等を併用せずともシランカップリング剤由来のシラノール基と亜鉛メッキ基材表面の水酸基との水素結合が形成され、次いで後述する脱水縮合反応により形成されるSiO結合を介してシランカップリング剤皮膜を亜鉛メッキ基材表面上に固定化することができる。
亜鉛メッキ基材表面にシランカップリング剤を接触させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、シランカップリング剤の水溶液中に亜鉛メッキ基材を浸漬させてもよいし、シャワーのようにシランカップリング剤の水溶液を亜鉛メッキ基材に流しかけてもよい。浸漬の場合には、回分及び連続のいずれの方法を用いてもよい。また、接触操作は、大気中で行うことができ、例えば、窒素雰囲気下で行う必要はない。
シランカップリング剤水溶液におけるシランカップリング剤の濃度としては、特に限定されないが、例えば、1〜8体積%であることが好適であり、2〜4体積%が更に好適である。シランカップリング剤濃度が1体積%未満では作用時間や温度を要し、一方、8体積%を超えるとシランカップリング剤が多量に付着して皮膜が厚くなりすぎる場合がある。
シランカップリング剤水溶液の温度としては、特に限定されないが、20〜40℃が好適であり、室温(例えば25℃)がより好適である。
亜鉛メッキ基材の表面とシランカップリング剤水溶液とを接触させる時間としては、特に限定されないが、例えば30秒以上が好適であり、1分以上がより好適である。必要以上に長時間接触させる必要はない。
なお、本発明の表面処理方法では、水酸化処理後で、シランカップリング剤処理前に、亜鉛メッキ基材表面を、水溶性の有機溶剤(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中に浸漬させることにより、水酸化処理時の基材表面の水分を除去する必要はない。この作業は、例えば、シランカップリング剤を亜鉛メッキ基材表面に接触させる工程において疎水性の有機溶剤を使用する場合に必要な作業であり、本発明ではシランカップリング剤の水溶液が使用されるため、このような作業の必要はなく、簡便に行うことができる。
<シランカップリング剤皮膜形成工程(加熱工程)>
本発明の表面処理方法では、シランカップリング剤水溶液を接触させた後の亜鉛メッキ基材を加熱する。これにより、シランカップリング剤由来のシラノール基と亜鉛メッキ基材表面の水酸基との脱水縮合反応によりSiO結合が形成され、これを介してシランカップリング剤皮膜が亜鉛メッキ基材表面上に固定化される。
加熱温度としては、特に限定されないが、例えば、100℃以上であることが好適であり、110℃程度であることが更に好適である。一方、加熱温度が高すぎると、シランカップリング剤の分解や、シランカップリング剤間の重合、亜鉛メッキ基材の酸化などが生じる場合があるため、そのような問題が生じない所定の温度以下とする。
加熱時間としては、脱水した水分を除去するのに適切な時間であればよく、例えば、5分程度であればよい。亜鉛メッキ基材が例えば複数の金属線状体を撚り合わせてなるストランドである場合、十分乾燥させるために、更に加熱時間を長くしてもよい。
以上に説明した本発明の表面処理方法は、様々な用途に利用することができる。例えば、上述したように、タイミングベルト、平ベルト、Vリブドベルト等の伝動ベルトの補強材として使用される亜鉛メッキ基材の表面処理方法に利用されると有益である。本発明の表面処理方法により処理された亜鉛メッキ基材は、伝動ベルトのベルト本体を構成する母材エラストマーとの接着性を飛躍的に向上させることができる。
ここで、ベルト本体を構成する母材となるエラストマー材料としては、特に限定されるものではないが、分子鎖にアミン、アミドなどの構造をもつエラストマーが好ましく、例えば、ウレタン樹脂等が挙げられる。ウレタン樹脂は、耐疲労性の観点などから特に好ましい。
上述したように、本発明の一態様において、本発明の表面処理方法は、タイミングベルト等の伝動ベルトの補強材として使用される亜鉛メッキコードを構成する亜鉛メッキ基材の表面処理方法として利用される。
この場合の金属コードとしては、一形態において、本発明の表面処理方法により処理された2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたストランドである。また、他の形態において、亜鉛メッキコードは、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたストランドが本発明の表面処理方法により処理されてなるストランドである。また、他の形態において、亜鉛メッキコードは、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたコアストランドの周囲に、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたシースストランドを複数配置してなる亜鉛メッキコードであって、少なくとも、上記シースストランドを構成する亜鉛メッキ線状体が、本発明の表面処理方法により表面処理されてなる亜鉛メッキコードである。また、他の形態において、亜鉛メッキコードは、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたコアストランドの周囲に、2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたシースストランドを複数配置してなる亜鉛メッキコードであって、少なくとも上記シースストランドが、本発明の表面処理方法により表面処理されてなる亜鉛メッキコードである。
以下に、本発明の例を記載する。本発明はこれらに限定されるものでない。
<被処理体>
亜鉛メッキ線状体として、72C 高炭素鋼線に電気亜鉛メッキを施し、冷間加工したワイヤ(直径0.15mm)を用い、この亜鉛メッキ線状体を複数撚り合わせてなる4種の亜鉛メッキコードA1、A2、A3及びA4(表1参照)を被処理体(コイル状)として使用した。表1において、例えば、上記亜鉛メッキ線状体(直径0.15mm)を3本撚ったものを、さらに7本撚り合わせてなる亜鉛メッキコードNo.A1の構成を、7×3×0.15と表記する。
<実施例1−4>
[水酸化処理]
水酸化ナトリウム水溶液中にコイル状の亜鉛メッキコードを浸漬した。水酸化ナトリウム水溶液の濃度及び温度、処理時間は後掲の表2に示す通りである。
[水洗処理]
水酸化処理後の各試料について、表面に付着した過剰のアルカリを除去するために、水道水で洗浄した。
[シランカップリング剤処理]
シランカップリング剤として、KBE−903 オルガノシラン(信越化学工業社製、3−アミノプロピルトリエトキシシラン CAS No.919−30−2)を使用し、これを用いて2体積%の濃度のシランカップリング剤水溶液を調製した。このシランカップリング剤水溶液を入れたステンレス容器に亜鉛メッキコードを浸漬した。処理条件は、後掲の表2に記載の通りである。
[シランカップリング剤処理後の加熱処理]
シランカップリング剤処理後の亜鉛メッキコードについて、オーブン内にてコイル状のコードをフックにかけ、表2に記載の条件で加熱処理を施した。
表1に記載のZnコードA1、A2、A3及びA4について、上掲の表面処理を施したものを各々実施例1〜4として後掲の引抜き試験により接着性を評価した。
<実施例5>
実施例1に対し、水酸化処理におけるNaOH水溶液の濃度を0.01質量%に変更した以外は実施例1と同様の条件で表面処理を施した。これを実施例5として後掲の引抜き試験により接着性を評価した。
<比較例1>
実施例1に対し、水酸化処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様の条件で表面処理を施した。これを比較例1として後掲の引抜き試験により接着性を評価した。
<接着性評価>
表面処理後の各試料について、以下に示す引抜き試験を行い、表面処理後の亜鉛メッキコードとウレタン樹脂との接着性を評価した。
[引抜き試験]
表面処理後の各試料にウレタン樹脂を押出被覆した後(被覆厚み3mm)、被覆部の長さが10mmとなるよう被覆部を除去することにより試験サンプルを作製した(図1を参照)。このサンプルについて、表3に示す条件下、亜鉛メッキコードの引抜きに必要な荷重(引抜き力)を3回求め、平均値を表4に示した。
表4に示す結果より、各亜鉛メッキコード断面の表面積にほぼ比例した良好な引抜き力が得られており、本発明による表面処理が有効であることがわかる。

Claims (13)

  1. 亜鉛メッキ基材の表面にアルカリ水溶液を接触させることにより、亜鉛メッキ基材表面に水酸基を導入する水酸化処理工程、
    水酸化処理後の亜鉛メッキ基材の表面にシランカップリング剤水溶液を接触させることにより、シランカップリング剤由来のシラノール基と亜鉛メッキ基材表面の水酸基との水素結合を形成するシランカップリング剤処理工程、及び、
    シランカップリング剤処理後の亜鉛メッキ基材を加熱して前記シラノール基と前記水酸基との脱水縮合反応により形成されるSiO結合を介して亜鉛メッキ基材表面にシランカップリング剤皮膜を形成する工程
    を含む亜鉛メッキ基材の表面処理方法。
  2. 前記アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である、請求項1に記載の亜鉛メッキ基材の処理方法。
  3. 前記シランカップリング剤がアミノ系シランカップリング剤である、請求項1又は2に記載の亜鉛メッキ基材の表面処理方法。
  4. 前記亜鉛メッキ基材が亜鉛メッキ線状体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の亜鉛メッキ基材の表面処理方法。
  5. 前記亜鉛メッキ基材が2本以上の亜鉛メッキ線状体を撚り合わせたストランドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の亜鉛メッキ基材の表面処理方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の亜鉛メッキ基材の表面処理方法を用いて表面処理された亜鉛メッキ線状体を2本以上撚り合わせたストランドからなる亜鉛メッキコード。
  7. 2本以上の亜鉛線状体を撚り合わせたストランドからなる亜鉛メッキコードであって、該ストランドが請求項1〜5のいずれか1項に記載の亜鉛メッキ基材の表面処理方法を用いて表面処理された亜鉛メッキコード。
  8. 2本以上の亜鉛線状体を撚り合わせたコアストランドの周囲に、2本以上の亜鉛線状体を撚り合わせたシースストランドを複数配置してなる亜鉛メッキコードであって、少なくとも、前記シースストランドを構成する亜鉛線状体は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の亜鉛メッキ基材の表面処理方法により表面処理されている亜鉛メッキコード。
  9. 2本以上の亜鉛線状体を撚り合わせたコアストランドの周囲に、2本以上の亜鉛線状体を撚り合わせたシースストランドを複数配置してなる亜鉛メッキコードであって、少なくとも前記シースストランドは、請求項1〜5のいずれか1項に記載の亜鉛メッキ基材の表面処理方法により表面処理されている亜鉛メッキコード。
  10. 伝動ベルトの補強材として用いられる請求項6〜9のいずれか1項に記載の亜鉛メッキコード。
  11. 請求項6〜9いずれか1項に記載の亜鉛メッキコードが補強材として、エラストマー材料を含有するベルト本体に埋設されてなる伝動ベルト。
  12. 前記エラストマー材料としてウレタン樹脂を含有する、請求項11に記載の伝動ベルト。
  13. 前記伝動ベルトがタイミングベルトである、請求項11又は12に記載の伝動ベルト。
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